コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議(第2回) 議事要旨

1.日時

平成26年7月8日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎7号館 東館(文部科学省庁舎) 15F特別会議室

3.議題

  1. 有識者ヒアリングについて
  2. コミュニティ・スクール等の課題及び今後の推進方策について
  3. その他

4.議事要旨

(1)有識者ヒアリングについて

事務局から資料1に基づき第1回会議の指摘事項について説明を行った後、小西委員より資料2に基づいて山口県の取組について説明があった。

(2)コミュニティ・スクール等の課題及び今後の推進方策について

事務局から資料3、資料4について説明があった後、これを元に意見交換が行われた。概要は以下のとおり。

<コミュニティ・スクールの成果>

  • コミュニティ・スクールの取組が充実している市では、他の設置校と比べ、保護者・地域からの苦情の減少、児童生徒の学力向上、家庭の教育力の向上などに成果が出ている。

<学校評議員制度との関係>

  • 学校運営協議会も学校支援地域本部も存在せず、唯一導入している学校評議員制度が形骸化している学校も多く、まずは、学校評議員制度そのものを見つめ直す必要がある。
  • 学校評議員は学校運営等への意見や学校評価を担うが、地域防災協議会や主任児童委員、青少年委員、児童館の館長等、地域の方々の支援をまとめていくものがなく、学校を大きな形で支えていく組織が必要ではないか。
  • 地域社会と一緒に子供を育て、地域社会の問題も一緒に考えていく時代の今、学校評議員の制度が形骸化しているなら、恐れずに変えていけばよいし、発展的に解消してもよい。

<学校評価との関係>

  • 学校運営協議会は広がっていない要因の一つは、学校評価が十分に機能していないことにある。学校評価の結果を踏まえた改善意識を高め、地域の方々の協力を得て学校を改善していく場が学校運営協議会であり、学校関係者評価を見直しと併せて検討する必要。
  • 学校が評価されるだけではなく、地域も保護者も家庭もお互いに評価し合い、解決策を考えていく要が学校運営協議会。学校だけを評価対象にして足りない面ばかり指摘する、上に立った学校運営協議会では、全国的には広がっていきにくい。

<地域づくりへの貢献の視点>

  • 子供の事実に基づく学校課題の把握、少子高齢化、地域コミュニティの衰退など地域の課題に対する学校の貢献を考えていく必要がある。
  • スクール・コミュニティのような大きな枠の中で学校運営協議会を作っているものについては、より手厚い補助がもらえるという柔軟性があれば有り難い。
  • 「学校とともにある地域づくり」の発想も重要で、学校を含めた地域をどうつくっていくかという哲学が大切ではないか。
  • 子供の変化だけではなく、地域の方々が自分たちの在り方を見詰め直し、次にどうしていくかを考えるのが学校運営協議会。地域力がないところにも、学校運営協議会を設置することで、地域コミュニティの活性化、再構築につながっていくことを期待している。
  • コミュニティとは、ただ単に地域・共同体という意味ではなく、そこに住む人たちが互いに自立して、お互いに助け合い励まし合い、よりよく成長していくための共同体・社会をつくっていこうという哲学。その一つのツールとして学校運営協議会がある。
  • 学校を支援してもらうスタイルはできるだけ早く卒業して、双方向で学校が外にもしっかりと成果を見せ、外に向けて得意の機能を発揮していくことも重要ではないか。

<学校運営協議会と学校支援地域本部等の取組の一体的な推進>

  • 学校運営協議会と学校支援地域本部は車の両輪。審議機関とアクションする機関は連動しなければうまくいかない。学校運営協議会にコーディネーターの代表が入り、学校や教員は学校支援の協議会にも入るなど、信頼関係の構築が大切。
  • 三鷹市では、コミュニティ・スクール委員会に学校支援の部会がある。委員会で学校関係者評価を実施し、評価結果を踏まえた改善のために学校支援を実施している。
  • 杉並区では、学校支援のコーディネーターたちが学校の主任・主幹教員と分区ごとの情報連絡会を設け、意識を共有している。また、天沼校区では学校教員とCS委員、学校支援地域本部と放課後の関係者等が集まって方向性を共有している。
  • 京都市では、教育委員会の規則で、学校支援等の部会や企画推進委員会などを設置できる規則にし、学校支援を併せ持った学校運営協議会の位置づけにしている。
  • 学校運営協議会と学校支援地域本部の制度の一本化は有り難い。補助の手続が別々だと負担が増えるため、補助金の一体的な運用をお願いしたい。事業を細分化せず大きなまとまりの補助・委託事業等、柔軟な実施形態に対応できる地域主導の在り方が望ましい。
  • 予算を細分化せず、組織横断で地域とともにある学校を推進することに賛成だが、各々の機能が少しずつ異なるため、きちんとPDCAサイクルを回すようにしていく必要がある。
  • 学校運営協議会はあくまでも学校に対して意見を述べる機関であり、学校の取組を点検評価する場合、学校支援までしてしまうと評価が難しくなるため、学校支援とはある程度距離を置いた方が役割を果たせるという意見もある。
  • 学校から要望が上がってこないとボランティアを集めても実際の仕事がない。また、学校支援の謝金と既存の活動等の謝金との関係など様々な課題の整理が必要となる。
  • 一方的に地域が学校を支援する関係ではなく、学校も総合学習を通じて地域で学ぶ双方向の関係づくりが地域とともにある学校づくり。学校運営にも参画しモチベーションを高めてこそ学校支援につながる。権限を発揮するのが学校運営協議会で、一方的に支援するのが学校支援地域本部という二分論に立って考えると長続きしない。
  • 学校支援地域本部事業は一つの事業であり、年度によって変わっていき、なくなるかもしれないが、法律で定められている学校運営協議会は継続していく。
  • 学校運営協議会で育ってきた人は教育委員などの役割を大いに果たしてもらうことが必要であるし、もっと地域社会が広がっていくような働きかけをする仕組みも組み込みながら再構築していく必要がある。学校運営協議会と学校支援地域本部の予算を一緒に組み込んで、費用対効果があらわれるような仕組みにすればよい。

(今後の学校運営協議会の在り方)

  • CSの役割は校長の示した経営ビジョンに意見し賛同した上で、アクションの状態を見守ることにある。アクションには、学校支援等の部会が関わるが、承認した経営方針に基づきPDCAが機能しているか評価し、次年度の学校経営に生かす体制づくりが大切。
  • 海外のように、保護者や地域が学校に対してクリティカルフレンドとして対応していく発想が必要で、学校運営協議会にその機能をどのように保障していくかが重要ではないか。
  • 学校運営協議会を核にしながらスクールコミュニティという大きな広がりを持って、地域づくり、町おこしにもつながるツールにしていこうとした場合、学校支援地域本部事業も一つの部門としてそこに組み込んで、役割を果たしてもらうことがあってもよい。そうした今の時代に合った一つのデザインを作り直していくことが必要ではないか。

(行政部局内の連携)

  • 教育委員会内で指導系の先生方と社会教育の担当者との連携がされていない県が多い。同じ県、同じ市町の教育の中で情報の共有化、連携をしっかり進めていくことが重要であり、学校教育と社会教育との連携を重視した研修を実施していく必要がある。

(PTAとの関係)

  • コミュニティ・スクールの在り方の中で、直接の保護者の存在をどう位置づけるのかという議論が必要ではないか。元PTAの役員が学校運営協議会の委員になったり、支援本部に関わったりするが、在籍する児童生徒の保護者と、卒業した後の地域で活躍している保護者との協力をどうしていくのか議論が必要ではないか。

<地域との協働による学校・子供の抱える課題の解決>

  • コミュニティ・スクールの家庭支援教育部会では、不登校の子供の居場所づくりについて協議し、ボランティアの方にお願いし、その子供が公民館の一室で活動する時間、寄り添える体制を整えた。
  • 支援のベースは、学校が真(しん)に困っている課題について保護者や地域の方々を巻き込んで話すこと。不登校やいじめの問題は学校から外に発信できず苦しんでいる部分。学校がどんなに困っているか共通の理解を得る場が学校運営協議会の場。
  • 非常にプライベートな部分の解決には公的な形でSSWやカウンセラーが関わる必要があり、そうした方向に働きかけるのもコミュニティ・スクールの役割ではないか。
  • 家庭教育支援チームの方々がコミュニティ・スクールや学校支援の動きと協働し、学校の抱える学力や荒れ等の課題を意識して、アクションをしていくことも考えられる。

<幅広い普及・啓発>

  • コミュニティ・スクールの協議の中にはSSWや福祉の人など様々な人が入り、皆で考える場が絶対に必要だということを積極的に情報発信し、理解を促す必要がある。
  • 学校運営協議会への不要論に対し、子供たちの荒れなど課題が発生した際に生きてくるという危機管理の視点での必要性をしっかりとPRしていく必要がある。
  • 町村の課題は人口減少によりコミュニティが成立しなくなりつつあること。そうした地域で学校運営協議会の設置はコミュニティの再生、町おこしにつながる。教育委員会改革を踏まえ、首長に旗を振らせ、首長と教育委員会が一緒に進める姿勢も必要ではないか。

<コミュニティ・スクール等の多様性と裾野の拡大>

(類似の仕組みの機能化)

  • 地域によってコミュニティ・スクールの形は様々。学校運営協議会がなくとも、学校支援地域本部を主体にしたもの、学校評議員を主体にしつつ移行していくものなどもコミュニティ・スクールという柔軟な発想もあってよいのではないか。
  • コミュニティ・スクールの多様性について議論する上で、各々の取組の中で、コミュニティ・スクールの要件・要素がどのように存在しているかを見ていく必要がある。

(小中一貫校のコミュニティ・スクール)

  • 小中一貫教育が進められているが、学校運営協議会は制度上学校ごとに指定する規定。中学校区単位でどういう制度構築ができるかということを検討する上で必要な人的体制を支援するインセンティブがないと、全国にはなかなか広まりにくいのではないか。

<魅力(インセンティブ)の提供>

  • 全国的に広げていくためにはインセンティブが必要。立ち上げ支援から定着まで、4~5年のスパンでの支援があるとよい。当初の学校の関わりが重要であり、教員・事務職員の人的な加配を重点化することが望まれる。あるいは、後の2~3年はコーディネーターの養成・配置にシフトしていくという指定の仕方も考えられる。
  • 中学校区単位の指定にシフトしていくためにも、中学校区での指定に対してより過重な人的配置のインセンティブがあると指定しやすい。
  • 学校運営協議会の導入には教職員にかかる負担が非常に高いため、学校のガバナンスを支える体制として、導入校への教員加配、中学校区単位での事務職員加配ができないか。

<取組内容の充実と活性化、人材育成>

(学校の組織としてのマネジメント)

  • 学校運営協議会、評議員制度、支援本部のいずれも肝腎なのは情報と人。学校で抱えている課題をまとめ、まずは教職員が共有し、地域が共有することでまず土台をつくること、そこにどういう立場の人がどこの組織で関わるかということが非常に大事。
  • 情報の共有化、学校の中の校務分掌の在り方も含め、学校の課題に対する組織づくりが大切であり、継続性のある人員配置・育成の在り方を検討していくことが必要ではないか。
  • 事務職員も含め、教職員が全体で関わっていくという意識改革が必要。事務職員が運営面・経営面に参画していき、地域との連携や広報等を積極的に進めていくんだという意識改革もなされていかなければならない。また、人も併せてハード面での場づくりも重要。

(教職員等の意識改革)

  • コミュニティ・スクールを通して、学校の体質改善、教職員の意識改革を図り成長していく必要があり、教職員の人材育成の手段の一つとして捉える必要がある。
  • 教職員と学校運営協議会委員、コーディネーター等が一緒に研修する機会を充実していくことが必要であり、共通認識を持って学ぶ場がないと足元がぐらついてしまう。
  • 地域コーディネーター育成の研修は、家庭教育アドバイザーの研修も一緒に兼ねて実施。コミュニティ・スクール等の研修会にも家庭教育アドバイザーの方は数多く参加している。

(教員養成課程への位置づけ)

  • 山口大学の教職大学院のカリキュラムの中にコミュニティ・スクールの授業を設けていただく方向。教員養成課程におけるコミュニティ・スクールに関する学びの充実が必要。
  • 教員全体にコミュニティ・スクールに対する理解・意識が行き渡らず、学校間の意識の差が大きい。教員全体が関わるという意識を持たせることが大切であり、大学の教員養成課程において、社会教育との連携、コミュニティ・スクールの理解を学んでいく必要がある。

(校長に対する研修)

  • コミュニティ・スクールの視点を入れた形で、県として求める校長の学校経営の水準を示すとともに、校長の研修を徹底している。
  • コミュニティ・スクールによる学校づくりの視点を取り入れた論文・面接試験の実施など、管理職の選考要件としてコミュニティ・スクールを位置付けている。
  • 校長の管理職の試験においてコミュニティ・スクールの理解を促すことが必要。
  • 今後のコミュニティ・スクールの充実に向けた研修プログラムの作成に取り組んでいるが、組織作り、熟議の場づくり、マネジメントと評価指標づくりの視点が重要である。
  • コミュニティ・スクールの充実・普及のためには、校長等への研修を実施し、コミュニティ・スクールを意識した学校経営に当たらせることが必要である。また、各市町の教育長に対する研修も重要である。

(負担の軽減)

  • 学校現場が非常に忙しくなってきている中で、新たな事業に対する負担感・抵抗感があり、インセンティブも含め、管理職や教員への理解の促進が必要である。

(財源の確保)

  • 大玉村では、今年度からふるさと納税の用途に“子供の教育”という項目を設け、独自の教育財源を確保する工夫をしている。

<都道府県・市町村の役割>

  • コミュニティ・スクールの充実に向けて最も重要なのは、市町の教育長の意識改革。自身の設置している学校の将来像のイメージ化、社会総がかりで子供を育てる仕組みづくりに対する意識を持ってもらうために、県として市町に積極的に働きかけている。
  • コミュニティ・スクールの視点を入れた形で、県として求める校長の学校経営の水準を示すとともに、校長の研修を徹底している。(再掲)
  • 県教委の中には、義務教育に積極的に関わり支援していくタイプと、市町村に委ねてしまうタイプがあるが、県教委がいかに義務教育を支援するかが重要である。
  • 県の長期教育総合計画には、コミュニティ・スクールの文字が出てこない。県が、頑張っている小さな市町村をしっかりと支援していくことが大切。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)