英語教育の在り方に関する有識者会議 英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成26年7月4日(金曜日)9時00分~11時00分

2.場所

文部科学省(合同庁舎第7号館東館)3階3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 英語力の評価及び入試における外部試験活用の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

吉田主査、石鍋委員、佐々木委員、松本委員、三木谷委員、安河内委員

文部科学省

山中文部科学事務次官、前川初等中等教育局長、義本大臣官房審議官、榎本国際教育課長、圓入外国語教育推進室長、平野大学入試室長、太田視学官、向後教科調査官、葛城英語教育プロジェクトオフィサー

5.議事録

【吉田主査】 まだ全員揃(そろ)っていませんが、定刻になりましたので、第2回英語教育の在り方に関する有識者会議英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会を開催したいと思います。お忙しいところ御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 前回は、佐々木委員、安河内委員、竹岡氏から、大学入試における外部試験活用についていろいろ御発表いただきました。また、私の方からも大学教育レベルにふさわしい英語力の評価についてということで発表をさせていただき、その後、様々な御意見も頂いたわけです。本日、第2回は、これまで英語教育の在り方に関する有識者会議及びこの小委員会で出された御意見を踏まえ、事務局で審議のまとめの案、たたき台を用意しておりますので、本日はこれを基に御議論いただきたいと思います。有識者会議全体の取りまとめを今秋に予定していますので、本日御議論いただいた内容は審議のまとめに反映して、次回以降の有識者会議に報告できればと思っております。
 まずは、事務局から説明がございます。次に、安河内委員から御意見があるということですので御発表いただき、その後続けて、自由に御議論いただきたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【圓入室長】 それでは、お手元の資料の御確認をお願いしたいと思います。まず、議事次第がございます。1ページ目をめくっていただきますと、事務局の方で用意させていただいた審議のまとめ(案)を添付しております。続けて、ホチキス止めにしておりますけれども、安河内委員から御提出いただいた資料2も同じく後ろにまとめさせていただいております。別冊といたしまして、資料1-2ということで分厚い参考資料がございます。これは、前回お配りした参考資料に加えまして、後ほど御説明いたしますが、各試験団体の皆様方が御協力くださいましたいろいろな資料がございます。それから、机上のみになりますが、後ほど御説明いたしますけれども、CEERとの関係ということで、様々な研究を各試験団体さんの方でやっていただいているということで御提供いただいた資料。それから、上智大学のパンフレットでございますが、前回主査からも御説明ありましたTEAPの関係の資料も少し頂いております。また、GTECのCBTの方でございます。これは新しいものでございますけれども、大学入学者選抜で活用できる4技能の英語力指標ということで、新しくパンフレットも頂いておりますので、御参考までにということで配付させていただいております。
 過不足ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【吉田主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、議事を進めていきたいと思います。まず、事務局から、英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会の審議のまとめ(案)について、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【圓入室長】 それでは、議事次第をおめくりいただきまして、資料1-1を御覧いただければと思います。有識者会議で頂いた御意見、それから前回の小委員会で頂きました御意見をまとめさせていただいております。1ページ目にはこれまでの経緯ということで書かせていただいております。構成といたしましては、経緯の後に、基本的なスタンスといいますか考え方、その次に、3番目の柱としては、具体的なこれからの推進方策をまとめさせていただく構成になっております。
 まず、1ページ目でございますが、最初の丸でございますけれども、グローバル化に対応した人材育成において、「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」の4技能を総合的に学び、英語によるコミュニケーション能力を育成するためには、各技能が適切に評価されることが重要である。ただ、一方で、前回も御議論に出ましたけれども、現在実施されている入学者選抜におきましては、英文の理解や語法・文法などの言語に関する知識を問う問題を中心とした「読む」又は「書く」ことの2技能を評価するものが多いと。その在り方が現在の生徒さんそれから大学生の―学生という意味ですけれども―学ぶ意欲や教員の指導の在り方に大きく影響を与えているという指摘が多くございました。
 こういったことに対して、過去、様々な御提言の中に、資格・検定試験の活用の促進ということで御指摘を頂いているという状況でございますが、その趣旨の理解それから活用は十分に進んでいないと書かせていただいております。
 なお、ここで補足説明でございますが、この委員会立ち上げのときには外部試験ということでまとめておりましたけれども、この名前を外部試験というより資格・検定試験ということで統一させていただきました。例えば、御紹介いたしますと、中教審の高大接続部会のなどでも、この資格・検定試験というような表記にさせていただいておりまして、単なる外部の試験ということではなくて、英語関係の資格・検定試験というような用語ということで統一させていただいております。
 続けて説明させていただきます。
 そのような状況の中で、教育再生実行会議ですとか中教審の中でも、先ほど御紹介いたしました高大接続部会の中でも、英語をはじめとした―こちらでは「外国語」と書いてありますけれども―外部検定試験の活用を検討するというような指摘がなされているところでございます。
 その後、昨年のお話になりますけれども、平成25年12月の実施計画の公表というところでも、活用の促進ということでの検討の方向性が示されまして、有識者会議が設置されたわけでございます。次の3ページに続きますけれども、こちらの小委員会は、その下で、専門的・技術的な見地から御議論いただくということで設置されまして、一つは、英語力の評価及び入学者選抜における資格・検定試験の活用に関する基本的な考え方、それから具体的な今後の活用推進方策について検討を行ったというような経緯とさせていただいております。
 これまでの審議の状況を、以下、まとめさせていただきましたが、省略いたします。
 2番目でございますが、基本的考え方でございます。まず、一つ目の丸でございますが、社会経済のグローバル化が急速に進展し、以前にも増して様々な分野で英語力が求められる時代の中では、実用的な英語力を身に付けるということでは、我が国の子供たちが各界で活躍する可能性を大きく広げるとともに、日本の国際競争力を高めていく上で重要な要素になっていると書き出させていただいております。
 このような環境の中で、実用的な英語力を向上するためにも、前回三木谷委員からも御発言いただきましたように、ゴール設定という御発言を頂きましたけれども、世界標準を視野に入れた目標設定を行うとともに、小・中・高等学校を通じてコミュニケーション能力に必要な4技能が総合的に育成され、その各技能が適切に評価されることが重要であるということで書かせていただいております。
 次のページでございます。また、大学へ進学を希望する者については、高等学校卒業時までに育成された4技能が、大学入学者選抜においても適切に評価されることが重要である。同時に、大学入学者選抜における評価の内容・方法と、高等学校在学中の4技能を総合的に身に付けるための英語学習や大学入学後の例えば海外留学等に必要となる英語力との連続性・親和性が確保されていることが重要であると、書かせていただいております。
 さらに、学習指導要領を踏まえた中学校・高等学校における英語教育と、大学及び高等学校入学者選抜との整合性を確保しつつ、コミュニケーション能力の育成に必要な4技能をバランスよく伸ばすことができるように、各大学・高等学校の教育理念・内容等に応じた入学者受入方針を踏まえながら、既に広く認められている資格・検定試験を活用することは意義があるということでございます。
 資格・検定試験を活用する際には、前回も御議論いただきましたけれども、その有効性と課題があると指摘いただきました。そういったものを明確にした上で、生徒・学生が自ら主体的に学び、英語によるコミュニケーション能力の向上を図る一つの客観的な指標として4技能をバランスよく測ることができる効果的な試験を活用するということの御指摘も頂きました。
 以下、資格・検定試験の有効性や課題、前回御発表いただいた内容を列挙させていただいております。
 今後でございますが、英語力の評価及び入学者選抜におきましては、コミュニケーション能力に必要な4技能を総合的に測る資格・検定試験の活用が、こういったものを進める中で英語教育全体の改善の促進につながることを期待するということを書かせていただいております。
 5ページ目を御覧いただければと思います。ここからが具体的な方策でございます。まず、1番目の活用促進の方策でございますが、二つ目の丸から御覧いただければと思います。このような観点から、生徒等の英語力を客観的に把握するため、一つ目は、国による資格・検定試験団体と連携した生徒の英語力調査を進めるとともに、2番目でございます、4技能を測定する資格・検定試験のうち、CEFRとの関連を考慮しつつ、例えば、一つの視点としては、国際的に広く受け入れられている試験、それから、国内で開発されても広く受け入れられている試験を、在学中の英語力の評価や入学者選抜において積極的に活用することを促進するということでございます。
 資格・検定試験団体と連携した生徒の英語力調査でございます。前回少し御紹介させていただきましたけれども、今年度から高校3年生を対象に、約8万人の方々でございますが、まずはフェージビリティー調査ということで始めさせていただいております。日常的な学習による生徒の英語力の測定及び学習状況。これは、英語力の結果だけではなくて、生徒さんが日頃どのような学習を行っているかというような質問も行っておりますが、そういった現状や課題を把握、分析し、それらの結果を活用することにより、生徒の学習意欲を喚起するとともに、教員の指導改善に生かすということにつなげることを目的として掲げさせていただきました。
 また、各大学等の入学者受入方針との整合性を図ることを前提に、各大学の入学者選抜における資格・検定試験の活用を奨励するということを、次に挙げさせていただいております。このため、大学入学者選抜における具体的な活用方策として、後述もさせていただいております協議会―これも飽くまで仮称でございますけれども―において、大学入試センター試験や各大学の個別学力検査の成績と資格・検定試験の結果の換算方法、いわゆるその仕組みだと思いますけれども、そういったものを検討するということを挙げさせていただきました。これは、前回、安河内委員から御提案があった協議会のことを想定して書かせていただいております。
 6ページを御覧いただければと思います。あわせて、その協議会におきましては、4技能の総合的な育成及び評価の観点から、入学者選抜における資格・検定試験の活用に関する有効性や留意すべき点について更に具体的な指針として提示をし、生徒・学生の英語力も踏まえた多様な資格・検定試験の活用を奨励するということを書かせていただきました。
 (例)ということで、そのような留意すべき点を挙げさせていただいております。更に具体に検討していただくということになるかと思いますが、4技能の能力との親和性と測定可能性、それから評価の妥当性、さらに、多様な生徒・学生の能力への適合性、御提案もありました「みなし満点」を含む妥当な換算方法、それから受験のしやすさ。これは、前回も御指摘いただきましたように、経済的な状況を配慮した受験料の件、それから試験会場がありますけれども、地域バランスに配慮した実施体制、それと受験回数ということがございます。さらに、試験監督や情報管理。最近、大変厳しくなっておりますが、適正・公正な試験実施体制ということも挙げさせていただきました。最後に、国際的な通用性。様々な観点がございますけれども、これを整理して、指針として提示させていただいたらどうかということでございます。
 続きまして、その協議会でございます。資格・検定試験の活用促進及び客観的な質保証を図る観点から、資格・検定試験が大学・高等学校等において適切かつ効果的に活用されるための環境整備の一環として、大学、高等学校、中学校の関係者の皆様、それから資格・検定試験の関係団体の皆様方に広く参画いただく形での協議会なるものを設置し、これまで御説明しましたような取組について検討、対応していただく。また、そういった中から出てくる検証結果それから結果の情報発信を広く行っていただいてはどうかということを書かせていただいております。
 また、現在、中教審の中で達成度テストについて議論が続いておりますけれども、その中でも英語、外国語ということで、外部検定試験の活用ということの御指摘があります。これはまだ引き続き検討ということでございますので、その中で具体的な検討を行う際には、こちらの小委員会で御提案いただくような内容が更に並行して検討が進むと思いますけれども、そういった在り方について是非参考にしていただきながら御検討していただいてはどうかということを書かせていただいております。
 さらに、前回御紹介いたしましたスーパーグローバルハイスクールの取組ですとかスーパーグローバル大学の取組、様々な例がございます。そういったものも奨励策として推進し、参考事例を普及するということを書かせていただいております。
 最後、7ページでございますが、前回、竹岡様からヒアリングということで、いろいろな各大学の英語問題を取り上げながら御発表いただきました。それを受けまして、大学及び高等学校入学者選抜における学力検査等の在り方の改善ということで挙げさせていただいております。4技能を総合的に評価する学力検査等を奨励するという観点から、前述の協議会などにおいて現状の学力検査等における英語問題の在り方の調査・分析を行い、得られた結果が大学や高等学校等において活用が図られるよう広く情報発信等を行うと書かせていただきました。
 以上、きょう、事務的に御用意させていただいた「たたき台」でございます。
 それから、資料1-2を御覧いただければと思います。前回御紹介させていただいた資料は省略いたします。御参考資料としては、58ページ以降でございますけれども、主な英語の資格・検定試験の関係資料を付けさせていただいております。その中で、おめくりいただきまして62ページを御覧いただければと思います。各試験団体の皆様方の御協力を頂きながら、各団体で御発表していただいているCEFRとの関係をこちらで取りまとめさせていただきました。先ほど協議会の話をさせていただきましたけれども、こういったものも参考にさせていただきながら、更に検証などが必要ではないかというようなイメージで資料を御提供させていただいております。
 それから、64ページ以降でございます。こちらも、各試験団体の皆様方から、今の例えば大学の入学者選抜における利用状況などをまとめて発表いただいている資料を御提供いただいております。67ページ以降、最近発表されました日本英語検定協会さんの、これは大学の入試を担当されている関係者の皆様方の調査も添付させていただいております。大学入試に4技能を測定すべきという方々は66%、ただ、大学独自で4技能を測定する試験を実施するのは難しい、64%、というような結果を頂いておりますので、適宜御参照もいただければと思います。
 そのほか、それぞれの各団体さんの高校や大学入試における外部試験の活用状況というような内容でございます。
 机上資料の方は、先ほど御紹介いたしましたように、各試験団体でこれまで研究を続けてこられたCEFRとの関係の資料、例えば、どのような形でCEFRと英検さんが検証されたかという研究プロジェクトの資料ですとか、それから得られてきたCAN-DOリストの御紹介、それから7ページはGTECさんの、CBTが出てきますけれども、CEFRとの関係ですとか、TOEFLの関係でも頂いております。IELTSの方からも頂いております。それぞれ、これまでの積み重ねの中でCEFRとの関係を御提示いただいている資料ということで、御提供いただきました。
 あとはパンフレットで、「Change!」、それからGTEC CBTということでも、これまでの研究を踏まえた新しい取組、動きの御紹介となっておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 事務局の説明は以上とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【吉田主査】 ありがとうございました。後ほど御議論いただく時間は十分ありますので、まず、今の内容に関して何か御質問がおありの委員はおられますでしょうか。よろしいでしょうか。とりあえずまとめとして、今までの内容を説明していただきました。
 それでは、続きまして、先ほどもちょっと紹介しましたけれども、安河内委員から御意見が出ていますので、その御発表をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

【安河内委員】 ありがとうございます。15分間頂きましたので、15分間でまとめさせていただきます。
 私の発表は、今、圓入さんがお示しになった方向性と、それからこの資料のデータをどういうふうに具体的に一歩進めればいいのかというお話になります。
 とりあえず、一般入試に外部検定試験、4技能検定試験を導入する方法としては、今までの議論の中で、まず、みなし満点方式、つまり満点に換算する方式。それから、得点換算方式。それから、上智大学が既に行っている、基準点を設ける方式。この三つの方式がですね、今のところ提案されています。あとは、AO入試それから推薦入試では加点方式。つまり、プラスとして加えるという方式ですね。大きく分けてこの四つの方式があると思うのですが、それでは、じゃあどういうふうに導入していけばいいのかという話になります。
 まず、一番大きな試験からですね、センター試験。具体的にどういうふうにこのセンター試験に外部検定試験を導入するのか。そのたたき台としての案を一つ、こちらに提示してございます。資料1の8ページ、タイトルとしては、「4技能外部試験⇔センター試験得点換算案」となっていますが、こういう形で、みなし満点と換算方式をハイブリッドで導入していけば、最も有効的な形でセンター試験に外部試験を導入することができるという一つの案です。上から説明させていただきます。
 満点の200点と換算できるのは、TOEFL iBT 70点、IELTS 6.0、TEAP 300、GTEC CBT 1,100となります。これらの点数をこの4技能試験で得ることができる生徒は、普通に考えて、センター試験を受けるとまず満点が取れるだろうという実力を有しているという判断で、満点を授与するわけです。この括弧の中に12点とか4.0とか50とか175とあるのですが、これは何かというと、1技能での最低ラインです。例えば、TOEFL iBT 70点で満点ということになると、予備校としては、じゃあスピーキングとライティングは捨てなさいというような指導をするかもしれない。リスニングとリーディングで満点を取って残りは適当にやれば70は行くからという指導になってしまうかもしれないのです。4技能のバランスをとるためには、最低ラインを設けていかなければいけないという意味で、括弧の中に最低ラインを設けています。
 一番上に戻りますが、満点の200点以外の換算得点に関しては、本番の得点とどちらか点数の高い方を提出することができると考えています。つまり、本番までずっと努力をし続けるわけですね。もうTOEFL70という子は、普通に受ければ満点が取れるわけですから、それ以上センター試験の問題を解き続ける必要はないと思うのですが、例えば、TOEFL 60点、IELTS 5.0という子は、やはりまだ努力を続けなければならないと思います、本番まで。というわけで、換算方式です。ちょっと分かりにくくなったのですけれども、例えばIELTS 5.0だったらセンター試験の180が事前にもらえます。しかしながら、本番で190点を取ったら、その190点が提出できるということです。つまり、本番とどちらかよい方が提出できるということですね。満点の200点以外の得点換算に関しては、本番の得点とどちらか点数の高い方を提出することができるという案です。
 ただ、余り早い時期から資格試験の受験が過熱するというのはよくないと思います。例えば、中学3年生でじゃあTOEFLを受けるというようなことですね。もうテストのための勉強になってしまうわけです。とすると、やはりここに歯止めをかけなければ、学習指導要領が規定する4技能、コミュニケーション英語が、単なる「テスト英語」になってしまう可能性があります。そこで、私の案なのですけれども、1年以内のスコアを有効にします。高校2年生の1月以降に受けた試験の結果を有効としていくということですね。もちろん浪人生もいますから、浪人生は前年度1月以降ということで、1年以内のスコアを有効としていくということにさせていただきました。
 括弧内は、1技能において最低クリアしなければならない点数ですね。1技能において、例えば全体が70点でも、スピーキングが例えば5点しか取れなかったとしましょう。これ、4技能のバランスが悪いわけですから、こういったものは無効にしていくということですね。
 さらに、後の達成度テストでも同じような換算方式を取り入れていくということです。とりあえず今あるセンター試験を使って換算方式ということでやらせていただきましたけれども、後の達成度テストにおいてもこのような方式を取り入れていくのがよいのではないかということですね。
 こちらで示させていただいた200点というのは、リスニングとリーディングの圧縮得点の200点です。TEAPとGTEC CBTに関しては、実際にベネッセさんと英語検定協会さんから換算式を頂きまして、その換算式を基に作成してあります。TOEFL iBT、IELTSに関しては、やはり、2技能の試験とは直接の換算は難しいということだったのですが、これは、秋田の国際教養大学で、71点で満点と換算しております。そういった既にある事例を基に、この程度の換算がよろしいのではないかということで、客観的に作ってみました。
 さて、隣なのですけれども、4技能試験協議会の案ですね。前回、こういったものを作らなければならないという案を出させていただいたですけれども、どうしてこういうものが必要なのかということをもう一回整理しておきます。こちら、先ほどの資料なのですが、各資格・検定試験団体作成資料―CEFRとの対照―ですね。
 各試験団体が様々な換算方法を提示されているのですけれども、この換算がちょっと怪しいのではないかということがよく言われるのです。で、私自身も月に1回は検定試験を受けて自分の体で実験しているわけですけれども、いろんなところから出ている資料が、どうも難易度に関して、それから換算得点に関して、いろんな意味で怪しいのではないかという気がします。自動車においても、各種電化製品においても、各メーカーの自主申告ではなくて、ちゃんと公的な機関がその安全性を測るということをやっているわけですけれども、試験の難易度やそれから運営の公平性に関しても、やはり公平に測る機関がなければ、こういう自主申告の資料だけで何もかも決めてしまうというのはちょっとおかしいのではないかと思いますので、そういう意味での協議会の設置ということです。
 さて、今提示させていただいた案は、センター試験におけるみなし満点と得点換算方式という案です。これは一番大きなセンター試験を例に挙げて、こういうふうに換算するといいのではないかという案を出してみました。ここで挙げている試験は、四つの試験ですね。TOEFL iBT、IELTS、TEAP、GTEC CBT。どうしてこの四つの試験かというと、全て4技能の試験だからです。4技能均等の試験だからです。ほかにも4技能試験はあると思いますので、これからもそれらの試験を研究していかなければならないと思います。
 実用英語検定なのですけれども、1級から5級まで、準2級、準1級という目盛りを使って合否を判定するという試験もありますが、合否という荒い目盛りではしっかりとした換算をすることができません。一部、例えば英検準1級なんかは受験のレベルにぴったり合っているのですけれども、ほかの級では、換算が非常に難しいということがあります。そこで、文科省の方からも、英検協会さんに、英検を4技能均等スコア型にしてくれという要請が行っております。私の方でも、英検協会さんに、4技能均等スコア型に英検を大改定するという案を提出してあります。で、英検さんも前向きに検討されているそうなので、恐らく英検も、上から下までの級がスコア型、4技能均等型に生まれ変わるのではないかと確信しております。そうなると、上から下までが4技能のスコアによって換算できる大きな体系ができ上がることになります。
 これが、みなし満点、得点換算方式に関する意見なのです。これは、センター試験に限ったことではなくて、私大の一般入試、国立大の2次試験でもすぐに採用可能です。上智大学さん、立教大学さんも、みなし満点若しくは得点換算方式ということで一般入試に導入する検討をしていただければ、非常にうれしく思います。
 前回、みなし満点に関するちょっと誤解があったようなので、説明させていただきます。英語をみなし満点にすると、ほかの教科で勝負になるのではないかという意見がありました。しかしながら、英語をみなし満点にすると、英語でみなし満点を取った子は英語満点なわけですから、当然、4技能外部試験でみなし満点を得た子は圧倒的に有利になります。むしろ、4技能試験を利用した方が一般の受験者よりも有利になるということで、4技能試験の活用促進が進むということですね。そこのところはちょっと誤解があったようなので、訂正させていただきます。他教科で有利になることはありません。むしろ英語が得意な生徒が有利になります。もちろん得点設定にもよるのですけれどもね。
 2番目の方式です。2番目の方式は、基準点方式という形があります。こちら、上智大学のパンフレットを見ていただければと思うのですが。上智大学では、一般入試で合格する定員の約5分の1の定員が、TEAPという検定試験を受けなければ入学できないということになって、大々的にこのTEAPという検定試験を採用した、初めての大学ということになると思います。5人に1人がこのTEAPという試験を受けて入学するわけです。
 上智大学では、このパンフレットを開けばお分かりになるように、このような基準点方式というものを設けています。例えば神学部であれば、TEAP――今年は2技能なのですけれども、来年からは4技能になるのではないかと思います――90点を取らなければ、ほかの2科目の試験に進めないということですね。例えば総合人間学部であれば、95点を取らなければ次の試験に進めないという、そういう方式です。年に3回、この基準点をクリアするチャンスがあるのです。1次試験、2次試験のような形になりますね。英語が1次試験、ほかの2科目が2次試験。
 で、これに対する私の意見なのですけれども、みなし満点方式だと英語が圧倒的に有利になる、英語で点数を取った子が有利になる優位性を持ってほかの2科目に進むことができるわけですけれども、基準点方式は、むしろ、基準点をクリアするとほかの2科目で勝負になるということですね。英語だけで合格を確保するのを、多少難しくしているという部分もあるのかもしれないですね。例えば、90点取った子も190点取った子も、ほかの2科目では同じように競争しなければならないということなのですね。そういった意味では、受験生に対する魅力は、みなし満点に比べると少ないのではないかとは思うのですが、こちらは上智大学さんでの導入方式です。
 一つの有名大学がこのTEAP方式を、この基準点方式で一般入試の合格者定員の5分の1の人数で導入したわけです。で、どういうことが起こっているかというと、第1回のTEAPは、試験場がパンクするほどの申込み。1回目で、2技能の、ほぼ試験的な実施にもかかわらず、3,000名という生徒が集まっています。この調子でいくと、多分初年度でもう1万人を超えると見込まれます。まだ2技能の試験実施段階、2技能、3技能、4技能と徐々に増えていく段階です。ひとつの有名大の入試で検定試験をわずか定員の5分の1でも導入すると、これだけの大きな波及効果があるということです。皆さんに御理解いただければと思っております。
 あとは、4技能試験に関しての加点方式が、様々な大学でAO入試とか推薦入試で取り入れられているわけですけれども、やはり、残念ながら、AO入試とか推薦入試の一部として取り上げるということでは、上智大学のTEAPの導入に比べるとインパクトが小さいですね。だから、これからスーパーグローバルユニバーシティの審査などもやられると思うのですけれども、やはりAOで入れているから、推薦で採用しているからということではなくて、どれだけの人数をその4技能検定試験で入れているかということが大きな基準になってこなければならないのではないかと考えております。
 最後に、資格・検定試験、たくさんあるのですけれども、我々が気をつけなければならないのは、例えばTOEFL試験に関しても、TOEFL ITP、これ、2技能ですね。TOEFL PBT、2技能ですね。TOEIC試験は4技能でありますけれども、495点、495点、200点、200点、全部で1,390点なのですが、一般の人がTOEIC試験と言ったときには990点満点のTOEIC試験を想起しますから、4技能であるか2技能であるか3技能であるか、ここをよく区別して試験を見ていかなければならないと思います。外部検定試験であれば、また実用英語であれば何でもいいというわけではありません。4技能という縛りを皆さんがしっかり掛けていくことが、これから改革を進めていく上で重要なポイントだと思っております。
 私の発表はここで終わらせていただきます。ありがとうございます。

【吉田主査】 どうもありがとうございました。 
 それでは、今の安河内委員の御発表について、御質問ございますでしょうか。この後は議論に入っていきますので、そのときでも構いませんが、もし何か特別にありましたらおっしゃってください。
 よろしいでしょうか。それでは、今御発表いただいた内容、そして先ほど事務局の方から頂いたまとめの内容を踏まえて、皆さんの御意見を頂きたいと思いますが、どなたからでも構いませんので、もし御意見、御質問などおありの方がございましたら、どうぞ挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どなたか。
 松本委員はいかがでしょうか。

【松本委員】 いやいや。御指名ですか…。

【吉田主査】 御指名で。

【松本委員】 それでは、圓入室長から御説明いただいた資料1-1に、少しだけ気になる点があります。3ページに示された基本的考え方です。この文章が後々にいろいろな文章に使われる可能性があるという前提で申し上げます。2か所、「実用的な英語力」という文言があるのですが、実用的という冠を付けてしまうと、また無駄な議論が始まる可能性があると思います。実用的とは何ぞやということに議論を誘発する可能性が高いと思います。ここで言われていることは、現在の学習指導要領で育成しようとしている力ということなので、「実用的な」という冠は削除した方がいいという提案です。もし付けるとするならば、その他の文脈を見てみると、「総合的な」英語力という冠になるかなと思います。つまらない議論を誘発しないような文言にすべきだと思います。
 それから、5ページ以降の具体的方策については、前回の会議で指摘されたような様々な点を考慮した具体的な施策になっていて、すばらしいなと基本的に思います。ただ、高校側からすると、もう少しスピード感が欲しいというのが正直なところではないかなと。例えば、6ページに「次のような奨励策を推進し」とあります。その下も大体、奨励するというような表現になっているので、どういうような施策がこれから出てくるのかというのが、一般の方あるいは高校の教員にとってはちょっと見えない部分があると思います。
 前回発言しましたが、スーパーグローバル大学等の取組において、入学者選抜の改訂案を多くの大学が出しているとは思うのですが、それを更に後押しするような、例えば入学者選抜GPとかいった、入学者選抜に特化したものを何か考えていく必要もあるかなと思います。
 基本的に4技能入試を導入するということについては、先ほどの英検さんのデータからもあるように、多くの大学教員はその方向でいいと考えているのですが、ほとんどの大学教員は各大学独自には難しいと考えている。じゃあTEAPを活用するかとなると、そこにはやはりまだ壁があります。大学側は入学者選抜に関して総合的に判断するノウハウを持っていない、そういう人材が育成されていない、それから資金面に問題があるというような点があるかと思うので、上智大学さんのようにアクセルを踏み込むためには、何らかのサポートがないと、奨励だけしていても多分急ピッチには変わらない。今、安河内委員がおっしゃったように、AO入試での活用にとどまるでしょう。それで、「やっています」という看板を出して、結局、多くの受験生にとっては、4技能入試は関係ないことになってしまう可能性があると思いますので、もう少しアクセルを踏み込んだ分かりやすい施策が欲しいと思います。
 以上です。

【吉田主査】 ありがとうございました。
 高校の現場という話もありましたが、佐々木委員、いかがですかね。

【佐々木委員】 最初はそのまとめについてですけれども、高校の現場ということでは、ここの4ページの上のところにあります「高校卒業時までに育成された4技能が、大学入試選抜においても適切に評価される」ということで、授業、学校教育の成果を測るという基本線はやはり絶対に押さえておいていただきたい。前にも申し上げましたけれども、大学入試によって現場が変わってくるのではなくて、現場のやっていることを適正に評価していただきたいということをやはり、この辺は強く申し上げておきたいと思います。
 その次の5ページの、今後の具体的方策ですけれども、今松本先生がおっしゃったように、スピード感というのはやっぱり大事だと思いますし、具体的に今後こうなるという明確な方向性を早めに示していただいて、それに向かっていくという準備段階が必要だと思うのですね。だから、推奨しますというところで曖昧な部分と今御指摘がありましたけれども、どうしようどうしようというところで時間が過ぎていくのではなくて、明確な目標、具体的な策をとったところで学校が進んでいくというスピード感がやっぱり欲しいのではないかなと思います。
 そして、その5ページの一番下になりますけれども、大学入試センター試験にこういう初中局のところで踏み込んだというのは非常に大きいかなという感じがします。これは前に圓入室長が言われてましたけれども、この会が大学入試になかなか踏み込めないというのではなくて、国として考えるのであれば、文科省の中全体また我々全体として横断的に考えた方向性が示されるべきだと思います。そういう点では、安河内委員のありました協議会というところで、各分野の全体を考える会で具体的な策を考えていただくということは非常に有意義であると、必要だなと感じます。
 あと、恐らく、そういったところで達成度テストとの関係性だとか、今、達成度テストの中では合科という形でしょうか、5教科ですか、というような考え方もありますけれども、その中で英語がどうやって測られていくのかというのは大事なことなので、この辺も併せて全体で議論すべきだなと思いました。
 あと、安河内委員のお話の中でありましたこの換算表について、やはり、誰もが認められる、疑いのない換算表ができればいいのではないかなと思うのですが、これはやはり専門家が時間を掛けてというか、いろいろ御意見を頂いて、みんなが共通して使えるものを使わないと、そこが曖昧であればこれはもう元も子もありませんので、是非お願いしたいと思います。
 あと、1点、この受験の時期ですけれども、安河内委員がおっしゃった高校2年次1月以降とありますが、この辺は議論が必要かなと思います。1月に受けるためには、高校生なり学校とすれば、恐らくいろんな準備を進めたりとか指導していったりということになると思うのですね。これがやはり大学受験に直結するとなると、相当な準備を進める。そうすると、高校生活3年間の中の、高校生活そのものの意義というか、それもあわせて、それでいいかどうかをもう少し考えていただかないと、恐らく高校2年生の1月、部活なり何なりが充実してきた、3年生になる前の一番大事な時期で、その2年生の時期も、後半というのも大事な、高校生活にとって人間性を養うために非常に重要な時期でもありますので、これが適切かどうか、またこれ以降の方がいいのか、浪人生も含めて――浪人生は、前年の1月に受けたということは、試験の直前に受けたということですかね。そうなると、その辺と併せて議論すべきだなと考えました。

【吉田主査】 ありがとうございます。
 続きまして、石鍋委員、いかがでしょう。

【石鍋委員】 今議論されている大学入試のところで、4技能を使って測るというのは、中学生が高校入試に臨むときも全く同様だと思っています。この考え方は共通でよろしいのだろうと思います。
 また、もう一つ、佐々木委員がおっしゃっていた、学校の授業で身に付けた英語力をどう測っていくかというベクトル、そこの部分は我々現場側からすると非常に重要なポイントだと思うのですね。特に中学生の発達段階のときに、目的がテストになってしまう。先ほど安河内委員もありましたが、テストが目的化されてしまう弊害というのがありますけれども、それは非常に重要なポイントだと思っています。中学生の段階からテストのための勉強しかやらないというと、総合的な人格の完成を目指す教育において一体どうなるのかという、大変大きな問題になってしまうのだろうと思っています。義務教育の課せられたものは、やはり、ふだんの日常をきちっとすることによって、選抜のところへ臨んでいくということだと私は思っています。
 現在、中学校のところでは、なかなか外部試験というのは多くはやられていない。ただ、大阪の方で今後、実用英語検定を使うなんていう話がありますが、私自身は非常に興味を持っています。ただ、どのように使うかと実際に考えたときに、そのまま英語検定の試験を得点化できるのだろうかという疑問はあります。なぜかというと、授業と一体感がどれだけ持てているかということからです。ですから、どの部分を使っていくか、どのぐらいのウエートを掛けていくか、そういったところを興味を持って大阪の取組にも注目したいなと思っています。
 あと、もう一つは、公立学校は、当たり前のことなのですけれども、基本的には地域や社会の縮図と言われておりますので、いろんな環境のもとの子供たちがおります。経済的に恵まれているお子さんもいますが、その日の生活を非常に苦しんでいるお子さんもいる。そうなったときに、外部試験を活用する際の費用の問題ですとか、これはまたひとつ大きな問題になろうと。今、97%以上の生徒が高校に進学するという時代ですけれども、97%全員が外部検定に、例えば受益者負担という形でお金を払っていくとなると、これはまた公立学校にとっては課題が出てくるのだろうなと思っています。この辺が大学入試と高校入試との違いがあるのだろうと思うので、是非、協議会でも結構ですし、この場でも結構なのですが、高校入試と大学入試との差というところについても少しお話しいただけると、中学校の現場としては有り難いと感じています。
 以上です。

【吉田主査】 ありがとうございました。
 今、佐々木委員と石鍋委員からいわゆる現場の声として、更にこういう点について考慮してほしいという御意見を頂きました。今後もし、きょう御提案がありました協議会のような組織が立ち上がったとした場合、当然、今御意見が出たものに関しては具体的な方策を考えることにはなると思います。もう1点は、松本委員からも最初に出ましたスピード感の問題。次期学習指導要領の改定というのが、もうある意味では目の前に迫っているという状況の中で、この問題というのは非常に大きな問題として関わってくると思うのですね。そういう意味でも、ある程度の基本的な方針というものは出しておく必要があると思います。学習指導要領の改定の際に、既にこういう方向で今後は検討していくのだということが明確になっていることが、非常に大事ではないかなと私は思います。
 ちょっとからお話しさせていただいていますけれども、安河内委員から、仮の案ということでこの換算表が今出されていますが、なかなかこういうのって実は出しにくいのですね。というのは、それぞれのテストそのものが違った目的のために作られていたりするものですから、どこまでの妥当性があるのかというのはなかなか難しい。一つの指標にはなると思いますが、この間の検証の問題であるとか、いろんなことを今後やっていく必要があると思います。ただ、一つの案としてこういうものがあると便利であろうということは、当然分かりますので、そういうものの作成をこの協議会ができれば今後検討していくことになると思います。どこまできれいな形でできてくるかというのは、まだ分かりませんけれども、何かの指標は確かに必要だと思いますね。
 じゃあ、三木谷さん、どうぞ。

【三木谷委員】 すみません。緊急な用件があり、遅れて参りました。
 今、ブリーフィングを受けまして、大きな問題として、一つは回数という問題と、それからコストという問題があると聞きました。
 今の入試というのは一発勝負的なところがあって、一回、例えば熱があるとか調子が悪かったとかで、たまたま点数が悪ければ駄目という制度ですが、複数回チャンスがあるという制度に変更するのはとてもいいことなのではないかと思っています。それから、学習していく上で、模擬試験というのはみんな受けているわけです。模擬試験を受けるのではなく、受験までに英語の外部試験を受けてベストスコアを提出するということに、変更していくべきだろうと思っています。数回程度受けられるチャンスがあるというのは、英語力を正確に測るためには非常にいいことじゃないかと思っています。
 二つ目はコストの問題です。一度ETSの専務理事と話をしました。彼らが言うには、受験者数が増えればコストは下がるのだということです。1回当たり2,000円なのか3,000円なのか、そういうコストをターゲットにしたらいいと思います。もしTOEFLが高過ぎるのであればそれをやめて先生たちが作っている試験や英検に変更するということも含めて、コストをベンチマーキングして、1回当たり幾らを目指すという、しっかりとした方針を出したらいいと思います。
 1回当たり受験料は2,000円。多分、ITの力を使ったら、そんなの簡単に実現できる話だと思っているのです。受ける数が何百万人というふうになるわけですから、それに対しては十分です。別に手で採点するわけじゃないわけですから、基本的にオートメーションなので、受験者数が増えると、コストは一気に下がるはずだと思うのです。やはりここでは、1回の受験費用というのは幾らぐらいが妥当であるというぐらいまで踏み込んで制度設計をするべきではないかと思います。今掛かっているような受験費用というのはとても割高だと思っていますから、我々としては、1回当たり2,000円なのか、あるいは2,500円なのかというしっかりとしたベンチマークを付けるべきだと思っています。

【吉田主査】 ありがとうございました。
 複数回受験って今までも話は出ていると思いますし、方向としてはその方向で皆さん多分納得しておられると思います。費用に関してはちょっとまた別の問題がありまして、例えばスピーキングとかライティングというのはかなり手作業で採点しなきゃいけないところがありますので、その点に掛かる費用は確かにあると思うのですね。

【三木谷委員】 楽天の話ばかりで恐縮ですが、スピーキングに関して、VERSANTという音声技術を使ったスピーキングテストがあります。楽天社内でネイティブも含めテストしたところ、ほぼ完全に近い採点精度になっていました。ライティングについても、少なくとも英語に関しては、もう実際のビジネスの世界ではほとんどタイピングなので、別に手で文字を書くということに余り価値はないのだと思っているのです。テストもキーボードを使ってそこでタイピングさせてしまうということで、コストは十分解決はできると思っています。むしろタイピングぐらいできた方がいいわけです。今の世界では、キーボードが使えない大学生なんていないわけでしょう。そういうことで、基本的にはパソコンを設置して、そこでライティングに関してもキーボードで打ってもらうことによって採点をオートメーションにすると、コストが下がります。そういう価格を下げる創意工夫が必要だと思います。

【吉田主査】 これからテクノロジーがいろいろ進歩すれば、いろんな形で可能な部分って出てくると思いますけれども。

【三木谷委員】 非常に重要なポイントです。本当に、今のこの世の中、ライティングといっても、本当に手で書くことが重要なのでしょうか。私は、手で英語書いたことなど、この25年間ぐらいないです。そういうことが本当に重要なのかという議論もした方がいいのだと思うのです。

【吉田主査】 テストそのものの質の問題とか、何を試そうとしているか、目標としているものが何かによって、またその辺の議論は今後していく必要があると思います。
 松本委員、どうぞ。

【松本委員】 先ほど石鍋委員がおっしゃった点について少し議論したいと思います。テストが目的化してはならないというのは大賛成で、私が入学者選抜の方法について改善をすべきだと言っているのは、英語の試験問題の中身をどう変えるかという以前の問題を指摘しているわけです。入学者選抜方法を改善のためのノウハウや人材やお金が日本の大学にはないということです。総合的に受験者を選抜するというやり方が存在しないということなのです。一部、AO入試等ではやっていますが、それでも現実はちょっとお寒い状態です。面接をして小論文を書かせてというようなレベルのことしかしていません。ですから、入学者選抜の方法をまず変えて、英語は飽くまで一部という発想に変革していくことが重要だと思います。
 それから、高校2年次1月以降に受けるという安河内委員の提案ですが、TEAPは高校3年生以上しか受けられないということなのですけね。いずれにしても、一つは、現場の先生にとっては模擬試験が今あるわけですね。この間のNHKのニュースでも、英語で授業している現場の先生が模擬試験対応をせざるを得ないとおっしゃっていたわけです。ですから、この模擬試験に代わるものとして、TOEFL、TEAP、GTECなどを活用するということであれば、今の状態よりはましになるのではないかというのが、私の考えです。
 それに、受験資格は何年生からと設定しようが、小学校時代から始めますよ。場合によっては幼稚園のときから。現状でもそうですから。それに拍車が掛かる。小学生のためのTEAP塾とか。小学生のためのGTEC CBT塾で、三木谷委員がおっしゃるように、パソコンを使いこなす子供たちという状況が現実として起こると思います。それをよしとするのかどうなのかということについての議論も必要でしょう。多分、小学校や中学校の生徒は、英語の先生に向かって、「先生、TEAP何点?」って、「あ、僕の方が上だね」みたいなことは、現実に起こり得ると思います。

【三木谷委員】 別にいいじゃないですか。

【安河内委員】 今でもあるのですよ。

【吉田主査】 じゃあ、安河内委員、どうぞ。

【安河内委員】 今でもあるのです。今でも、小学生からの東大塾とか、それから、中学生の段階から大学入試に出てくる翻訳みたいな問題をやるとか、とにかく大学入試がそうだと小学生までさかのぼってそうなるわけですから、4技能の大学入試からさかのぼった方がまだましだということが言えると思います。

【松本委員】 ですから、高校2年次1月以降と制限をかけても…。

【安河内委員】 あ、そういうことですね。

【松本委員】 点数の賞味期限としてはいいですけれども、こういう試験に向けての勉強に何かちょっとブレーキをかけるようなことは多分やっても無理だということです。

【安河内委員】 そうですね。ただ、やはり、上から指示する側としては、ある程度、「高校3年以降」のように、過熱し過ぎないように言った方がいいのではないかなということです。放っといても過熱するわけですから、上からは一応の歯止めをかけるということです。

【三木谷委員】 今、すごく面白いポイントとして、パソコンの議論が出てきました。英語の勉強をするというのは、楽しくないと駄目だと思うのです。ファンラーニングというのがあって、特に子供たちはやっぱり楽しくないといけないのです。今何が起こっているかというと、ソーシャルゲームの会社が今まではゲームばっかりやっていましたが、ITを使いながら楽しみながら英語が勉強できる、ソーシャルラーニングというコンセプトを出してきました。これによって、先生がそんなに英語の勉強に関与しなくてもいいステージに来ているのだと思うのです。
 私も養護施設や保護施設などいろいろな施設を訪問していますけれども、子供たち、今はもう全員スマホを持っているのです。もうそれぐらい必需品になっているということを考えていくと、小学校・中学校・高校教育も、やはりスマートデバイスなりITを使って、いかに効率的に英語を勉強するのかが重要です。今までみたいにレクチャーで先生がしゃべったって、そんな下手な英語聞きたくないし、英語をきちんと教えられる人がいないわけです。やっぱりITを使ってどうやって効率的に子供たちが楽しく勉強するか、それを先生がうまくどうやってサポートしていくかというステージに入らなくてはいけないと思うのです。
 だから、そういう意味においても、私が、「別にいいじゃないですか、書かなくて」って言うのは、冗談で言っているのではないのです。私も書くのは下手で、タイプで打った方が絶対速いと思うのです。アメリカでは、大学の受験でさえ、エッセーを手書きで出せなんてところはないわけで、全部タイプでオンラインレジストレーションだということなのです。手書きに対する神話みたいなのは捨てた方がいいと思います。本当に日本の英語のレベルを上げようと思うのだったら、小学校、中学校でどうやってITを安くうまく効率的に使いながら、レベルに合わせた英語教育をやっていくかだと思います。
 英語のレベルっていっても、できる子とできない子に大きな差があるわけじゃないですか。できない子にすごい難しい英語をやれっていうのはかわいそうだし、できる子にThis is a penを教えても仕方ないわけであって、やはりそこに合わせたものを作っていくべきです。文科省さんには、是非そういうことも含めて、世界にない先進的な取組を考えていただきたいと思います。

【吉田主査】 ありがとうございます。
 多分、今の三木谷委員がおっしゃっているような、ITを使った、CBT化ですよね、コンピューターベーストのテストの方法は、今後、どのテストもそっちの方向を向いていくと思います。教育現場でも今現在、ITCの利用の促進をどうやっていけば一番いいのかというのはもう喫緊の課題になっていますので、今おっしゃったことはそのとおりだと思いますね。ですから、それをやっぱり何らかの形で推進していくような形で、この例えば協議会の中でもきちんとそれを議論していく必要があると思います。先ほどのスピード感の問題を考えても、確かに今もうどんどん変わっていっているわけですから、それに合わせた形でできるだけ早いうちにそういう転換ができるような、そういう提案は必要になってくると私も思いますね。

【三木谷委員】 一つだけ言っておきたいのですが、僕は別にTOEFLにこだわってなくて、別に英検さんでも先生たちが作った試験でも何でも、フェアなものだったらいいと思っているのです。ただ、やっぱりコストを下げて、何回も受けられて、子供たちが楽しく勉強できるような環境を整えましょうと言っているのです。先生も、いきなり、今まで英語やってこなかったのに、明日から最高の英語教育しなさいって言われても、そんなの無理に決まっているわけです。であれば、やはりITの力を使って、先生が横からうまくサポートするという方向にするべきだと思うのです。

【吉田主査】 その点は多分、どなたも異論はないのではないかと思います。
 ほかの方で、いかがですか。
 じゃあ、安河内委員、どうぞ。

【安河内委員】 まず、スピード感の問題なのですけれども、ここで個別の大学の自主性に任せましょうとか、後は皆さんで考えてとなると、この10年と同じような感じになり何も変わらないと思います。ここは一度、皆さんでセンター試験を論じてみませんか。これは56万人が受けている試験です、これを4技能試験と換算するということに関して、本気でちょっと考えてみていただきたいのですけれども。
 三木谷委員、どうでしょうかね。センター試験を4技能試験に換算するというこの案なのですが、これが実現すると、巨大なインパクトを英語教育に与えると思うのです。きょうは大学入試室長の平野さんもいらっしゃっていますけれども、例えばいつから受けるかどうかということよりも、多分、センター試験の換算というものが、今我々が持っているオプションの中で最も大きなインパクトを英語教育に与えていくのではないかと思うのです。当然、こちらの試験、GTEC CBTなんかタイピングの試験です。TOEFL iBTもタイピングの試験です。センター試験にタイピングが含まれるようになると、当然、そのウォッシュバック効果として、高校の指導現場でもITを活用するという方向に進んでいくと思います。もちろん手書きの試験もあるのですけれども、多くの試験がやはり将来的にはIT化して、iBT、CBT方式にしていこう、ハイブリッドにしていこうという方向性は持っていますので、そのあたりも皆さん、スピード感という意味で御検討いただければと思います。

【三木谷委員】 これは、例えばTOEFL iBTテストが60点だったら、センター試験は180点であるというふうに認めましょうということですね。

【安河内委員】 そうですそうです。

【三木谷委員】 逆に考えているわけですね。

【安河内委員】 うん。そうすると、例えば高校3年生の1学期に60点を取っていれば、もう180点をもらえるのです。で、本番は受けるのですけれども、どっちかいい方を提出。で、70点を取っていればもう満点なので、もっと難しい、TOEFLの上のレベルに向けて勉強する、若しくは2次試験に向けて勉強するということです。いかがでしょう。

【吉田主査】 先ほど説明いただいた部分ですけれども、これについて、もう具体的に検討するということは、確かに必要性があると思います。
 あと、ほかの。
 じゃあ、石鍋委員、どうぞ。

【石鍋委員】 先ほどの三木谷委員からのITのことなのですけれども、私自身、理想としては是非そういう形で進めていくべきだとは思いますが、今のいわゆる現場の状況をちょっとお伝えしておこうと思いましてね。
 本校の実態を申し上げますと、パソコンはパソコン教室という教室にあるだけなのです。

【三木谷委員】 そうなのですねえ。良い状態ではないです。

【石鍋委員】 そう言われても、私、何ともできませんけども。

【三木谷委員】 IT業界が何とかしましょう、そこは。本当に。

【石鍋委員】 あと、もう一つは、各フロアにいわゆる電子黒板が1台ずつ。そういう状況なのですね。で、スマホを持っている子供たちはやはり半数以上はいます。これは非公式に手を挙げさせてみると、かなり手が挙がります。昔のガラパゴス携帯と呼ばれているものを持っている子の方が減っています。そのあたりは社会の流れではあるのでしょうけれども、ただ、現実問題、義務教育の中には、スマホどころか、もうもちろんパソコンがないという家庭もまだあります。本校の実態としてもありますので、そういった社会的な背景をどう捉えながら考えてもらうか。その辺を是非、今後、義務教育の場合には特に必要なのではないかなと思います。

【三木谷委員】 今、日本のスマホは高いですよね。しかし、技術はすごく進んでいまして、アフリカに行ってほしいのですけれども、今ではもう、発展途上国では2,800円スマートフォンっていうのが一般的になりつつあるのです。これは、今までのスマホとは違い、もっと軽いOSで最小限の機能が載っているのです。これ、Firefox OSという新しいOSなのですが、どんどん安くなっているのです。皆さんがこの話している間に、恐らく、もう2,000円を切るようなスマートデバイスが出てきます。
 それから、教室でやるということであれば、極端な話、別に電話回線をつながなくてもWi-Fiがつながればいいわけですよね。ということであれば、1人当たり2,000円、すなわち教科書の費用よりも、圧倒的に安いわけです。これ言うと、また文科省さんに怒られちゃうかもしれないけれども、毎年算数の同じ教科書を刷って、捨てて、廃棄して、環境的にも悪いです。どう考えてもプリンティングするより、スマートデバイスにした方が圧倒的に安いに決まっているのです。
 だから、そんなお金の話は、本当にやろうと思ったら幾らでもできるはずだと思います。教科書が有償なのか無償なのか別にして、技術の進歩は急速に進んでいて、圧倒的に紙より安くできるということだと思います。

【吉田主査】 ありがとうございます。
 はい、安河内委員。

【安河内委員】 その点に関してですけれども、今、教科書検定というのは、紙の教科書ができて、その紙の教科書を検定しているわけですよね。そこで、音が付いているかどうかというのは考慮されないわけですよ。紙の教科書を見て、この教科書がいいかどうか。音が付いているかどうかっていうのが、私、英語教育では一番大事なポイントだと思うのですけれども、これからは検定のときに音も供給しなければ認めないというぐらいのことはした方がいいのではないかと思います。入試が4技能化すると、そうでないと授業が成立しなくなるのではないかと思います。

【三木谷委員】 確か教科書って、今、紙じゃないと駄目なのですよね。

【吉田主査】 そうですね。

【三木谷委員】 文科省さんに聞きたいのですが、これは、変わらないのですか。

【前川局長】 デジタル教科書化というのは課題なのです。で、28年度中に結論を出して、方向性を出そうということになっているのですけれども、問題はコストなのです。

【三木谷委員】 コストは電子の方が、桁違いに安いです。申し訳ないですが、難しいことを何か日本のメーカーさんに頼んでやろうとするから高くなるのであって、もっとシンプルにして、ベンチャー企業などにやらせれば、圧倒的に、紙のプリンティングコストより安くなります。輪転機を回さなくていいのですから。

【前川局長】 よく検討します。要するに、もう一つは、学校の現場が、紙からデジタルに一遍に変えられるかという、そのメンタリティーの問題もあるし、これまでの指導方法の考え方があるということです。

【三木谷委員】 広尾高校というのは、御存じかもしれませんけれども、iPadの導入をして、一気に偏差値が30上がったのです。何をやったかというと、iPadのサポートが必要になってくるわけですが、そのサポートも、そういうのが好きな子供がたくさんいますから、生徒間同士で解決して、テクニカルサポート施設とか一切ないのです。だから、子供たちの方が私たちより進んでいるので、今までみたいな考え方、パソコンの考え方でやるべきではありません。タッチパッドも含めて新しいスマートデバイスを導入していくことによって、単純に効率化するだけではなくて、どうやってコストを圧倒的に下げるかということも考えて、教育の現場を充実させるべきだと思います。

【前川局長】 よく子供の話も聞いてみます。

【三木谷委員】 そうですね。

【安河内委員】 あと、ちょっと一つ、いいですか。スマートデバイスを使うとなると、紙の教科書をデジタルにするということに話が行ってしまう場合があるのですよ。そうではなくて、音を付けないと、私、意味がないと思っていますので、その点もよく検討していただければと思います。

【吉田主査】 今、デジタルの教科書の話ということで、教育現場の話がいろいろ出てきましたけれども、ただ、今の議論というのは、いわゆるテストの実施方法ということを考えても非常に重要な課題だと思います。iBT化あるいはCBT化していくと、ペーパーではできないいろんなテスト形式が実は可能になるのですね。ですから、そういうことも含めて、今後は多分テスト業界自体も変わっていくと思いますので、今の議論は非常に、この小委員会の議論としても大切な部分だと思います。それについては具体的に今後検討する必要があると思います。
 じゃあ、佐々木委員。

【佐々木委員】 少し戻りますけれども、コンピューターの活用というところでは、いずれそういう方向が理想となってくるのですけれども、学校の現場としても、高校に入ってきて、中学校までにそんなにパソコンを使ったことがない子、いるのですね。ただ、高校へ来て、情報という必修教科がありますけれども、やり出すと吸収力は非常に高いですね。だから、やっぱり、そうやって環境があって、触る時間が長くてというか、もう触らせれば、どんどん吸収していって、あっという間に使えるようになる。
 そういう環境をどれだけ設定するかということで、大学受験にそういう、コンピューターを使うとなれば、小学校、中学校、先ほどあったように、早い時期から是非コストを下げていただいて、触らせて、使いこなして、英語の中身というよりも操作能力とかそういったところは高校のときには当たり前にできるようにならないと、今後は英語でどうやるか、当然タイピングの力だとかそういったものを持っていて、どういう英語を打つかということを指導していくことになると思うのですね。だから、方向性としたら賛成ですし、現場とすれば、環境が整えば吸収力はあるかなという気がします。

【三木谷委員】 これだけは書いておいてほしいのですけれども、端末の値段は劇的に下がるということです。劇的に下がる。今、パッドみたいなやつがもう本当に数千円になるわけです。皆さんパッドは高いというイメージがあると思うのですけれども、中国のメーカーのパッドなんて、もう5,000円を切ってきているわけです。それと紙とどっちが安いですかという話だと思いますし、それから…。

【前川局長】 まだ圧倒的に紙の方が安いのです。

【三木谷委員】 いや、絶対そんなことないです。それは、我々、電子書籍やってますから、どれだけ安くできるか、全部分かっているわけです。世界中で今もう400万冊、電子にしてますから、それはもう圧倒的に電子の方が安くできるに決まってるわけです。電子書籍と普通の紙の方の値段を今比べてみてください。

【前川局長】 教科書は一つの本です。ですから、一つの本とデジタル機器とを比べなければならないですね、今はね。

【三木谷委員】 そのデジタル機器のコストがもう5,000円とか4,000円まで下がっており、それを単年度じゃなくて複数年にわたって使えるということです。

【安河内委員】 高校3年分を全部1個のパッドに入れるということですね。全教科。

【三木谷委員】 圧倒的に安いに決まってるのです。パブリックに議論してもいいですけど。

【前川局長】 これは議論しているのですよ。ですから、方向性ははっきりしています。問題は、義務教育の教科書無償給付という仕組みの中で、うまくそれをできるかという問題なのですけれども。

【三木谷委員】 今度、提案させてください。できると思ってます。簡単にできる。超簡単にできると思っています。

【吉田主査】 ある意味では、こういうような教育をやっていて、それをベースにしたテストというような話が先ほどありましたけれども、逆に、テストの波及効果ということでこういうIT化が可能だとかそういうものが教育現場を変えていくという、大きな一つの力にもなる可能性は十分あるかなと思いますね。
 山中さん、どうぞ。

【山中事務次官】 今の換算は非常に重要だと思うのですけれども、この5ページのところで、入試センター試験というのは一つの試験なので、換算をすればという気がするのですが、個別の大学の入試がやはり問題で、上智にしても、これを使っているものと使っていないものがあって、使っていないものは従来どおりの入試をやっているのだったら、選択肢が増えるというのはいいですけれども、センター入試というのをやっていても2次試験として個別大学試験があるので、そこでまた同じ入試をやっていたら、全く変わらない。私が言うのも何ですけれども、個別大学入試というものについての方向性というか、そういう、全部変えろというものだったら、個別大学入試でもそんなものやらずに、TOEFLとかそういうもので換算していくというものをやったらどうかと、そういうことを書いてというか、そういうようにしていかないと、結局、センター試験だけでやっているところはそれでいいかもしれないけれども、プラス個別試験が……。

【安河内委員】 まずセンター試験から始めましょうということですね。

【山中事務次官】 そっちの方のことも書いておいていただかないと。

【三木谷委員】 やりましょうよ、もう、ここまで来たのだから。

【山中事務次官】 スピード感という意味では、そっちも書いてないと。

【吉田主査】 そう、それをやるために。

【山中事務次官】 受験生が目指しているのは入試に合格することですから、その先にあるのが従来どおりだったら、変わらないなって思いますので。

【安河内委員】 うん、そう。簡単なことなのですよ。大学の先生方、なぜできないのか。

【松本委員】 入学者選抜GPと提案したのは、その点を含んでいるわけですね。どういう形での選抜をすべきなのかということを考えるべきです。現状では、センターが1次で、そのあと各国公立大学が自由に問題を出しているわけですね。高校のいわゆる上位校にとってはそちらの対策の方が重要なわけですから、そういうのも全部含めた入学者選抜の在り方を考えるということをしてもらわないと、全く変わらないでしょう。

【安河内委員】 単純に、センター試験というのは基礎力を測る試験ですから、この換算表でいいかもしれないのですけれども、TOEFLは70点よりももっと上があるわけですね。TEAPももっともっと上があるわけです。だから、やはり2次試験ではもう少し上を求めるという形でもいいのではないでしょうか。

【松本委員】 個別の試験をやる・やらないも含めて考えるべきです。現在のような学力だけの選抜からどうやって脱皮するのかという議論の枠組みの中で、英語の試験はどうあるべきかを考えないといけないと思います。そうしないと、結局は「点数競争で終わる」という同じパラダイムから抜け切れない。

【三木谷委員】 そのとおりだと思うのですけれども、本会のテーマは、そもそものところでいうと、日本人の英語のレベルが低過ぎるというところから始まっているのだと思うのです。アジアの中で下から2番目という屈辱的状況をどうやって脱出するか。2020年に来るべき東京オリンピックも含めた国際化というものに、どうやって対応するかという話です。おっしゃるとおり、何でそんな個別のテストがあるのかという論点はあるのだと思うのですけれども、少なくとも英語についてはテストを標準化しないと駄目ということにしましょう。余り議論を広げ過ぎると、結論が出なくなります。

【松本委員】 ですから、事務次官がおっしゃったように、個別試験をなくすという方式がひとつの案だと思います。

【安河内委員】 それには大賛成です。

【三木谷委員】 それはいいと思いますね。

【松本委員】 許されるのであれば、それは一つのオプションだと思います。

【三木谷委員】 選択肢はやめましょう。もう、試験は一つにしましょう。

【安河内委員】 英語を4技能試験で統一して、ほかは小論文であるとか現代文であるとか、場合によっては翻訳というのを入れてもいいと思うのですよ。外国語、英語に関しては、一つの4技能という枠組みで統一するのがよろしいのではないでしょうか。

【吉田主査】 今、皆さん御意見を頂きましたし、山中次官の話もございましたが、私としては、当然、ほかの、センター試験以外の個別の大学の入試ということもある程度考えながらやってきています。先ほどの、TEAPの活用に関しては、なぜ20%かというと、全部100%にしちゃうと受験生が減るからなのですね。単純にそういう理由が一つ、現在ありまして、もう少し広がって受け入れられた段階では、もう英語の試験は全てTEAP1本に絞るというような発想は、一応持っているわけですね。ですから、そういう意味でいうと、今おっしゃっているように、個別の大学の入試というものも、いわゆる英語能力判定試験の結果によって判定していこうという方向というものは、やっぱり何らかの形で盛り込む必要はあると私も思います。

【三木谷委員】 現実的にはやっぱり、やろうとすると、反対勢力がいるわけですか。

【安河内委員】 受験生が減ると思われるみたいですね。

【三木谷委員】 受験生が減る?

【吉田主査】 受験生はその準備……、要するに、そういう教え方をしてませんよね。ですから、そういうテストをやったときに、受験生は今までの旧来の受験対策しかしてませんから、従来型の試験をやらない大学は敬遠されてしまうとかいうような話がいろいろ言われたりするわけですね。

【安河内委員】 やった生徒が得をする仕組みを作ればいいのだと思います。今は、4技能試験をやらなきゃ基準点を得られない、ほかの科目に進めないという状況ですけれども、例えば、4技能試験をやって、4技能試験を頑張った子は得をするという仕組みがあれば、生徒もそっちに行くのではないかと思います。

【吉田主査】 はい。そういう意味で、提案いただいた協議会での内容について、今後、やはりできるだけ早いスピード感を持って、解決していく……。

【安河内委員】 できるだけ早い目標を。

【吉田主査】 目標をはっきりしてやっていく必要が当然あると思いますね。
 三木谷さん。

【三木谷委員】 基本的に競争力会議等のいろんな政府のイニシアティブの中で、国際化・日本人の英語競争力アップということがベースにありますので、現在の政府の力もかりて、こういう方針でやるのだというものを打ち出していただきたい。そういう方針を国として出すということは十分可能な状況にあると思っています。だから、ここは強く、いわゆる個別テストではなく、こういう統一テストをすると提言すべきです。このことはセンター試験を変えようという話ではなくて教育再生実行会議の提言にも書いてあるはずです。よって、センター試験だけを変えて個別テストは残るという想定で議論は始まっていないはずです。もし本当に推し進めるということであれば、総理も含めて強いコミットメントを頂いて、主要大学を中心に全部説得をするという話だと思います。

【安河内委員】 ここでちょっと疑問があるのですけれども、説得で変わる可能性はあるのでしょうか。今まで十何年間、説得を続けてきたわけですよね、大学の事務局、大学の英語科教授会に。大学の先生方に伺いたいのですけれども、大学というのは選抜に関しては自治権を持っていますし、その権利が法律で守られていると思うのですが、説得して変わってもらえるものなのでしょうか。

【吉田主査】 2人しかいない。
【松本委員】 ここに国公立大学の先生がいらっしゃらないので国公立についてはよく分かりませんが。先ほどGPと言ったのは、やはりニンジンが必要だということですね。それに向かって何か努力すると、資金を頂けて、大学入試を変えるための研究も人材もノウハウも蓄積していき、変えられることになる。
【安河内委員】 ということは、予算ですか。
【松本委員】 お金だと思いますね。
【吉田主査】 じゃあ、義本さん。
【義本審議官】 今の議論にちょっと参考まででございますけれども、この参考資料1-2の中の72ページ、これは英検さんの方で、大学入試に関する調査ということで大学の関係者に対してアンケート調査をしております。丸7というのがありますが、外部試験を活用して4技能を測定する試験に代替が可能かどうかということを聞いておりますけれども、全体としては、「そう思う」というのが53%、「どちらとも言えない」が32%ですが、「どちらとも言えない」の理由を見ますと、統一的な基準がないから入試への換算が困難だとかということを理由にされている方もいらっしゃるということが一つ。それから、先ほどお話がありました、入試によって生徒が減るかというようなことについてはまた丸7で聞いておりまして、下の方ですけれども、「そう思う」というのは32%ですから、3分の1ぐらいが、若干、大学の関係者はそれを恐れていると、そういうようなデータになっています。

【安河内委員】 やり方だと思います。4技能を導入して生徒が増えるやり方もあると思うのですね。4技能試験を受ければ満点取れるということになれば、生徒はそっちで早く満点を確保しようとします。だから、生徒を増やす方法として、また大学の偏差値を上げる方法として4技能試験を大学が戦略的に使うということもできると思います。
 もう一つは、やっぱり、換算表がちゃんとできていないことが、大学の先生も、何点で設定していいのか、どの試験を導入していいのか分からないということの理由になっていると思うので、早く協議会で換算表、それから明確なスコアの妥当性、信頼性を打ち出していかなければならないのではないかと思います。

【三木谷委員】 これ、逆なのではないのですか。つまり、4技能試験がマイノリティーのときは当該校を受験する生徒の数は減るかもしれないけれども、半数以上が4技能試験になったら、4技能試験じゃない大学を受ける生徒が逆に減ると僕は思うのですけど。

【安河内委員】 そうですね。一つの試験をいろんな大学で使えるわけですからね。

【吉田主査】 当然そうなるはずです。そうなるためには、しかし、裾野が広がっていかなきゃいけないというので、今現在やってるわけですね。

【三木谷委員】 やっぱり東大、京大などのトップ校がやるかどうかというところが現実的には重要ですね。

【安河内委員】 全くその通りだと思います。

【三木谷委員】 確認した方がいいと思います。

【安河内委員】 是非説得してください。

【吉田主査】 山中さん、どうぞ。

【山中事務次官】 恐らく、ここの報告の中の6ページと7ページのところに、奨励するという書き方をどこまで具体的に書くか。例えば、スーパーグローバル大学の取組で、入学者選抜で4技能をやるのだというような、この辺をもっと強く。まあ、これは提言ですが。有識者会議としてはこういう方法が望ましいというので、やれば、スーパーグローバルというのは世界のベスト10ぐらいに入るものと、いろんな、20ですから、ベスト10の中には恐らく東大とか京大とか入るでしょうから。あ、入るのかどうか、まだこれから決めるのですけれども、いずれにしても、そういうトップの方もやるのだということになっているので、国際的トップの大学ではもうそれぐらいのことをやってくれということを提言していただくというのは。奨励ですけれども。

【三木谷委員】 いいですね。やりましょう。

【安河内委員】 でも、その奨励にどのぐらい実行性があるのでしょうか。本当に従ってくれるのでしょうか、大学の事務局や教授会は。

【三木谷委員】 予算が付いてくると、やるでしょう。

【吉田主査】 スーパーグローバル大学に関しては、今、審査中ですが、その中の共通基準の一つとして外部試験の導入というのが入っています。ですから、申請してきている大学は何らかの形で必ず外部試験を活用すると書いてる。それがどういう形で書いているかは別です。例えば、さっきのAOだけに使おうとか、あるいは推薦だけ使おうとかね。一般入試まで使うっていうのはまだ少ないと思いますけれども、ただ、外部試験を活用するというのは、申請する一つの条件になっていますから、それは入ってきているというふうには一応考えられます。

【三木谷委員】 もう一方で、何で個別のテストが必要になるかというと、やっぱりセンター試験は簡単過ぎるというのがあると思うのです。満点取れてしまう。だから、例えば東大なんかだと、そこから上の差別化が分からないわけです。だから、やっぱり、センター試験をもっと難しくして、換算表を使うのであれば、要するに、TOEFLのあるいは英検のかなり上に行かないと満点が取れないというぐらいレベルを上げてしまうことによって、個別の試験をやる必要をなくす。別に、本題は、これは京大の話がありましたけれども、そういう特殊な技能を測ろうとしているのではなくて、センター試験ではもう全員、東大なんかみんなきっと多分200点にもうほとんど張り付いてるわけです。そこから上が測れないからということが多いのではないかなと思いますから、センター試験をもっと難しくして、そして、要するに差が出るようにして、それと換算表を合わせていくといいのではないかと思うのです。

【安河内委員】 ただ、センター試験って1技能プラスアルファなのですよ。4技能試験じゃないのですね。

【三木谷委員】 じゃあ、センター試験、やめましょう、もう。

【安河内委員】 それを目指して、案を練ってはいるのですが。

【三木谷委員】 換算表だけ作って、センター試験はやらない。

【安河内委員】 換算表が一般化すると、センター試験の本体は形骸化していくのではないかと思います。

【三木谷委員】 もうやめちゃったらいいじゃないですか、そもそも。

【安河内委員】 それが一番単純な解決策だと思うのですけれども。

【三木谷委員】 要するに、一般のマトリックスの計算式の中に入れたいわけですから、1個の試験に統一するのは難しいですが英語についてはこういうふうに換算しますよと決めておけばいいのです。しかし、センター試験自体はやらない。英語は外部で受けてくださいということにしてしまって、本体のセンター試験はやめちゃったらいいのではないでしょうか?

【安河内委員】 本当にそれができるのであれば…。

【吉田主査】 義本さん。

【義本審議官】 三木谷委員の話に関連して、大学入試センター試験については、今、中教審で到達度テストというような議論をしています。大学入試センター試験に代えて、基礎レベルと発展レベルの試験に変えていこうという議論もありますから、今のお話もその議論の中で、今後の在り方としてどうするかというのが出てくると思っております。

【安河内委員】 しかし、基礎レベル、発展レベルになったとしても、2技能・2技能、1技能・1技能、3技能・3技能だと、私たちが目指しているところと全く違う方向に行っちゃうのではないでしょうか。4技能の試験を今の大学入試センターで作るだけの体力があるのでしょうか。

【義本審議官】 ですから、外国語科目を発展レベルに入れるかどうかの問題も含めて議論になると思っています。

【安河内委員】 外国語をせっかく変えるのであれば、4技能試験で完全に代替すると、三木谷さんがおっしゃったようなことを今ここでやればいいのではないですか。

【三木谷委員】 もともとの議論はそうだったはずなのです。先生方の方から換算表というラインを出すから、話がややこしくなるのです。

【安河内委員】 いきなり変えようとするとなかなか進まないから、段階的にということです。

【三木谷委員】 でも、なくせるのだったらなくせる方がいいのでしょう?

【安河内委員】 それはもちろんそうです。

【三木谷委員】 その方向でいいのではないですか。

【安河内委員】 私は、現実的に、少しずつということで案を出しました。

【吉田主査】 換算表というのは、今現在あるものを一応ベースにしないとイメージが湧きませんから。

【安河内委員】 それが私の意図です。

【吉田主査】 そういう意味では、必要は必要なので。ただ、それの正確さ、妥当性というか信頼性という問題をきちんとした形で検証していかないと、換算表だけを先に出すだけでは、ちょっとやっぱり問題かなと思いますね。

【三木谷委員】 いや、もう一つ、重要なポイントなのですが、今までセンター試験を作ってきた人たちの英語観というのが曲がっているから、こういう点数配分になってるのだと思うのです。そういう人は少なくとも英語に関しては基本的に信頼できない。だから外部試験をしましょう。英検も含めた、TOEFL、実用試験に代えましょう。なぜならば、その人たちには実用試験を構築できるだけの能力がないからという話だと思うのです。だから、ここでそれを残しちゃうと、もともとの話がおかしくなってしまいます。私は最初、TOEFLがいいと思ったけれども、皆さんの話を聞いて、TEAPも入れて、ほかも入れたらいいなと、少し考え方が変わりましたが、少なくともセンター試験という国指導型の、日本の間違えた英語教育の集大成みたいな入試制度を打破するというのは、この会のポイントだと思うのです。よって、センター試験については、英語はもうやるべきではなくて、外部試験に代替するべきだという答申かレポートに、是非していただきたいと思います。

【安河内委員】 三木谷さんにちょっと説明したいのですけれども、十数年前から英語を検定試験に代替するっていう話はずーっと出てきてるわけですよ。で、なぜか全く一歩も進んでいない。

【三木谷委員】 だから私がここにいるのだと思うのです。私はどちらかというと競争力会議から送り込まれてきているわけですから。

【安河内委員】 そうでしょう。

【三木谷委員】 この問題に関して、それぐらい国は本気なのです。今までの13年とは違うのです。

【安河内委員】 是非やってください。私が出している換算とかみなし満点は、それが10年間何も進まないので、段階的に進めていかなければそれが実現できないのではないかという妥協案として出しているわけですね。一遍に変わるのであれば、それに越したことはないと思います。

【三木谷委員】 逆に、段階的では変わらないのではないかと思うのです。何年から一気に変えるというアナウンスメントをして進まないと、変わらないのではないかと思うのです。

【吉田主査】 今、いろんな議論が出ていますけれども、三木谷さんがおっしゃったとおり、外部試験を活用するということがこの小委員会の一つの大きなテーマになっていますので、今おっしゃったことが一つの大きな議題、ポイントになっていくと思います。ですから、名称的には資格・検定試験ということで、単なる外部試験という発想だけではない形で、新たな協議機関を作っていきたいという話になっているわけです。ただ、その中で、きょういろいろお話に出ているようなITの問題であるとか、あるいは4技能の換算の問題であるとか、議論された様々なものをより具体的にしていく。先ほど、山中事務次官からもありました個別大学の問題なども含めての提案というか、そういうものを具体的に検討していければ一番いいと思うのですね。
 きょうは、このまま話を続けても、新しいことが出てくるかちょっと分からないですけれども、一応、今まで伺ったものを少しこちらで取りまとめて、次回は、有識者会議の本会議の方にも報告ということで出していって、皆さんと議論をしていきたいと思います。基本的にはやはり、今の入試の在り方ではまずい、これをきちんと変えるためにはやはり4技能をきちんと測れるようなそういうテストを、既存のものを使うあるいは開発する、何らかの形でそっちに変えなきゃいけない。ただし、それは、何年も待ってるわけにいかないわけで、できるだけスピード感を持って、早い時点で、次期学習指導要領改定までには方針をきちんと出して提示するという形に持っていかないと意味がないと、私自身は思っています。
 そういう形で、協議会の中で具体的に何をどうしていいかは考えるということにさせていただきたいと思うのですね。この小委員会の提案としては、今皆さんから頂いたいろんな議論を基に、それを検討するための協議機関を実際に作るということで、報告書の中に入れていきたいなと思っていますが、いかがでしょうか。

【三木谷委員】 最後に一つだけ。

【吉田主査】 じゃあ安河内さん、まず。

【安河内委員】 まず私たちが今認識しなければならないのは、ボールが今どこにあるかということだと思うのですね。大学入試で生徒を選抜する権利は、今は大学の自治権としてほぼ聖域化していますね。で、大学の英語科教授会が決定権を持っていますよね、大学の事務局でもなく、学長さんでもなく。そうすると、大学入試選抜の権利に対して、こうしてくださいという強制力は、国にもなければ、この会議にもなければ、総理にも実業界にもなければ、どこにもないわけです。大学の英語科教授会というところが決定権を持っているわけですね。で、私たちは、この英語科教授会の皆さんをどういうふうに動かしていくか。これ、説得で動くものなのでしょうか、それとも法律を変える必要があるのでしょうか。そういう具体的な策を考える時期に来ているのではないかと思います。大目標や抽象論だけではなく。

【吉田主査】 法律を変えるところまでというのは難しいかもしれません。各大学の外国語の入試問題を作っているのは英語の教員が中心ですけれども、ただ、それぞれ学部の要望というのがあって、そういうものに沿った形で作っているところもあるわけですよね。ですから、必ずしも英語科の教員を説得しただけでものは変わるわけでもない。なかなか難しいと思われますけれども。

【安河内委員】 大学のどこを説得すればいいのですか。

【吉田主査】 今は教授会が非常に強い権限を持っている学部ってたくさんありますから。その辺を変えようというのがまた一つ、文科省も……。

【安河内委員】 大学の先生方に伺いたいのですけれども、なぜ変えたくないのでしょうか、多くの大学は。実際、この十数年間、これだけ検定試験を導入しなければという話になってきているのに、なぜこの十数年間、ほぼ全く変わってないのでしょうか。どなたが変えようとしてないのでしょうか。

【吉田主査】 個人的な見解でしかないですけれども、先ほど、アドミッション・ポリシーについてがありましたね。大学がどういう学生を求めているのか、どういうような英語力を持った学生を入学させようとしているのかという基本的ポリシーの問題がものすごく関わっていて、大学に入ってから特にオーラルやりませんよ、読み書きだけでいいですよって、一般外国語に関してはとにかく読んで訳せればそれで構わないっていう、専門の領域においてはほとんど英語を使いませんっていうような発想を持っていると、当然、入学試験に関しては、今までどおりの選抜でよろしいというふうになりますね。
 ですから、大学の在り方そのものをきちんと検討する。その上で、こういう学生が本当に欲しいのだ、大学に入ってからこういうような例えば勉強の仕方をするのだ、英語はこういう形で必要になってくるというようなポリシーが明確になるということが、まず一番大事かなと思います。

【安河内委員】 ということは、残念ながら、この十数年の間、国立大学の先生方は、英語を話せなくても訳せればいいというふうに考えてこられたということになるわけですね。

【吉田主査】 国立だけじゃなくて私立の大学も、かなり多くの人がそうだと思います。ただ、大学としては、変えようという努力はずっとここ10年の間、してきています。随分、個別のレベルでは変わってきてますね。

【安河内委員】 ありがとうございます。

【吉田主査】 三木谷さん。

【三木谷委員】 せっかくの機会でございますので、発言させていただきます。楽天は、御存じのように、3年前から社内公用語化、英語化という壮大な社会実験を行っておりまして、様々ないろんな発見と葛藤を繰り返しながら今でも続けているわけです。やはり、大体の人は英語化に適応していけるのですけれども、頭もいいのにどうしても英語は苦手な人がいます。そういう人は、きちんとした英語教育を子供のときに受けてないのだと思うのです。計算すると、中・高・大で普通の日本人で大体2,000時間ぐらい英語を勉強してるのですけれども、2,000時間英語を勉強させといて、英語はしゃべれないというのは、もうこれは、はっきり言って時間泥棒だと思っているのです。これはもう、国が国民の時間を盗んでいるというぐらいのものではないかと思っています。
 一方、社会的にいうと、グローバル化というのが進んでいます。日本も、ビジット・ジャパンということで、2020年に2,000万人の訪日外国人旅行客を受け入れようという中において、コンビニエンスストアでバイトするのも英語できないといけないし、タクシーの運転手するにでも、やっぱり英語をしゃべれないと話にならないわけです。そういう意味において、これは、こういうふうにした方がいいと、もう、とにかく文科省さんがイニシアティブをとって推し進めていただきたいと思っています。
 それこそが、日本人一人一人、子供たちの将来にも関わるし、それから、日本の国としての国際競争力という観点でも非常に大きな問題であると思っているので、いろいろ困難はあると思いますけれども、調整、調整、徐々に進めるのではなくて、ここについては一気に変えるのだという意気込みで是非やっていただきたいと思います。

【吉田主査】 ありがとうございます。

【山中事務次官】 あと、大学のマネジメントのアドミッション・ポリシーがありますけれども、大学がどういうアドミッション・ポリシーを作るか。で、作るのをどうやって実行するか。そういう、大学のマネジメントについては、今回、大学の中の教授会それから学長、大学全体の意思とそれぞれの教授会の役割分担というあたりは明確にしようという法改正を行っております。大学が大学として決めたことがそれぞれの大学で現実に実行されるようなという制度改革を今回やっているということを、言っておきます。また、教育委員会についても教育委員会制度という、マネジメントについての制度改革もやっています。

【吉田主査】 ありがとうございます。

【安河内委員】 ということは、大学のアドミッション・ポリシーは、大学の運営部が決められるようになっていくということですよね。私自身も換算方式とかみなし満点方式とかいろいろ出してはいるのですけれども、全部一遍に変えられるのだったら、それに越したことはないと思っています。だから、全部一遍に変えることを究極の目標として、様々な案を比較検討しながら進めていただければと思います。

【吉田主査】 ありがとうございました。
 石鍋さん。

【石鍋委員】 一つ、要望なのですけれども、次第がとじられている最後のページ、7ページに、(2)に、大学及び高等学校入学者選抜における学力検査等の在り方の改善。7ページの(2)のタイトルですね。きょうの議論は、これで、私自身、大変勉強になりました。大学入試に関わることってこういうことなのかと思いましたが、ここに示されているように、大学入試が変わるだけではなくて高校入試にもやはりメスを入れる必要はあろうと。ただ、なかなかそういう話になっていかないので、要望としては、そういう時間も少しとっていただいて、また、入試だけではなくて、当然小学校の英語教育、外国語活動への議論も必要になるのでしょうけれども、そのあたりの時間なんかも是非ともとって議論ができてくると、かなりトータルな議論になっていくのではないかなと思います。
 要望です。

【吉田主査】 ありがとうございます。
 非常に大切な点だと思います。大学入試を変えただけでは、それだけで変わるわけないので、高校入試もきちんと視野に入れた上で、英語教育全体を変えていくという、そういう視点で報告書はまとめていきたいと思います。
 松本さん。

【松本委員】 今の話に関連して言うと、中学入試も考える必要があります。小学校で英語が教科化されれば、私立の中学校入試に英語が入ってくると思います。それを阻止できないと思うのですね。となると、やっぱり、大学、高校の入試がどう変わるかということがものすごく重要なことになります。今のままだと東大や京大の問題を易しくしたものが中学校入試に出る可能性があるという点で、スピード感が必要だと思います。

【三木谷委員】 英検はうちの息子もこの間受けていたのですけれども、3級とか、一応点数もあるのでしたか。

【安河内委員】 それは説明後ほどさせていただきます。

【三木谷委員】 級しかないので、英検は入試で使うには粗過ぎるのだと思うのです。だから、「級数方式はやめて点数にしてほしい、そうでないと入試では使えないですよ。」と文科省からリクエストしていただけないでしょうか。1級じゃなくて48.5点だとかいうふうにしないと、受験で使うという話になってきたときに、これじゃ粗過ぎて使えないので、もっと細かくやってくれっていうのを文科省さんから是非リクエストしていただきたい。それは先ほど松本委員が…。

【安河内委員】 これは三木谷さんが来られる前にそういう議論になったのですけれども、私の方から、そして文科省さんの方から、英検の方に要請を出しています。それは4技能スコア化の要請です。上から下まで全部、4技能の細かいスコアで英検の判定を模試のように出していくようにするということを、もう既に英検の方に送っていますので、英検さん、今、検討中なので、きっと期待に応えてくれるのではないかと確信しております。

【三木谷委員】 それはエンカレッジされました。

【吉田主査】 最後にまた、本当に大事な高校入試あるいは中学校入試というところまで含めて、全体を通しての英語教育のきちんとした評価方法としての入試という観点が、最後に出てきたと思います。
 きょう、いろんな形で皆さんから御意見を頂きました。それを踏まえた上で、この審議のまとめを事務局の方でもう一回修正し、加筆して、次回の有識者会議の場で報告をさせていただきたいと思います。この小委員会におきましては、短期間ではありますけれども、英語力の評価及び入試における外部試験活用などを中心に、皆さんから非常に有意義な御議論を頂けたと思っています。この小委員会の議論は、有識者会議に報告して、引き続き、英語教育の在り方の全体の取りまとめの中で御意見を頂きたいと思います。最後の方に出てきた意見の中には、全体の会議の議題として議論しなきゃいけないものも入っていたと思いますので、その場で更に議論を深めていきたいと思います。
 それでは、小委員会に関しては、次やるかどうかという問題もあるのですが、これに関して、議論としてはほぼ出尽くしているように思うのですが、いかがですかね。大体、皆さん、きょう、かなり白熱して、いろんな観点が出てきたなと思いますので、それを一度まとめたものも皆さんに見ていただくということでいかがですか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、そういう形にさせていただきまして、今後のスケジュールについて事務局の方から御説明いただきたいと思います。

【圓入室長】 それでは、今主査から御提案いただきましたように、きょう、資料1-1で審議のまとめ(案)を配らせていただきましたけれども、本日頂いた御意見を反映させた形で、改めて各委員の皆様方に御相談させていただいて、一旦、まとめをさせていただければと思っております。それから、次回以降の有識者会議の方に報告をさせていただいて、引き続きの議論をお願いしたいと思っております。
 きょう、資料3ということで、議事次第の資料の最後のページに付けさせていただいております、今後のスケジュールでございますが、第6回が7月16日にございます。次回は、「小・中・高を通じた英語教育の在り方」という議題を挙げさせていただいておりますけれども、こういったところで本日の御議論を報告させていただき、秋頃に有識者会議全体の取りまとめということを予定しておりますが、そこまでにまとめさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【吉田主査】 どうもありがとうございました。
 この委員会、本当に具体的な問題がかなりたくさん出てきましたし、絞られた人数で、かなりいろんな形で皆さん御意見を頂けたと思います。皆さんから頂いた議論が反映できるような形で取りまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 きょう、本当にお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。これにてきょうの会は閉会といたします。ありがとうございました。

 

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

(初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室)