資料2-4 教員免許更新制度の改善に係る検討会議 第6回意見

1.免許状所有者・関係者による免許状情報の一元的把握と共有
1-1.カード化した「教員免許証」(仮称)の導入と携帯義務

(カード化した「教員免許証」の導入について)
・「教員免許証」の導入については、非常に合理的で良いと思うが、携帯義務を課すことは難しいのではないか。義務を課すと調査する必要が出てくるため、むしろ学校で保管する方がよいのではないか。

・免許状に関して本人若しくは管理職等がきちんと意識を持つという意味合いでは、カードや証明証は非常に有効であると思う。複数の免許状ではなく1枚で全ての免許状取得の状況が確認でき、有効期間や更新講習受講期間が明示されるようになれば、本人や管理職は理解しやすくなると思う。ただし、そこに行き着くまでには、例えば「免許証」に写真が必要であるのか等、事務的な手間と得られる効果等を考えて検討しなければならないと思う。
・携帯義務について、免許外教科担任制度や特別支援学校においては各学校種の免許状があれば教員となることができるが、この制度により教員となっている者への差別化が起こることを危惧する。

・カード化について、このカードを見れば、失効した免許状を返納していない教員かどうかが見分けられれば非常によいと思う。

(携帯義務について)
・携帯義務について 、どの程度強制することを想定しているのかわからないが、不携帯であれば教員としての仕事ができないとするのは非現実的。カード化自体には賛成だが、任用している学校で保管しておくのが現実的ではないか。教員には家庭訪問やプール指導等もあり、その時に携帯していないと指導できないとするのは問題が多い。

・学校で免許状を保管するという意見があったが、免許状の原本ではなくコピーを保管しておくことではいけないのか。管理職が免許状を保管すると、管理職に知られたくない情報、例えば就職活動のような情報についても知られることになるので、免許状所持者自身が使用でき、かつ学校でも使えるような方策を考えるべきではないのか。


1-2.教員免許状情報証明書(仮称)の発行と学校への備え付け

(保護者等の閲覧について)
・教員の所持する免許状の情報を、保護者等が閲覧可能とすることは問題があると思う。保護者等への情報提供は大事であるが、例えば教員の中で専修免許状を持つ者、一種免許状を持つ者、二種免許状を持つ者がいた場合、保護者から「どうしてうちのクラスは専修免許状をもつ教員が担当しないのか」という要求が出る可能性がある。
 二種免許については、上位免許状を取得する努力義務が規程されており、今でも、この規定を知る保護者等から学校・教育委員会に問合せがある。保護者等が閲覧可能になると教育現場に相当の混乱が起こる。

・保護者等への閲覧については、情報を出し過ぎると学校が授業ができる者として認めた者であっても、保護者から教員の変更要求が起こることが考えられる上、個人情報でもあるので、閲覧については慎重にするべきではないか。


2.免許状所有者の制度理解の促進策の充実

(教員養成課程における教員免許制度の説明・指導について)
・教員養成課程における教員免許制度の説明は、平成21年4月の制度導入時から、新入生オリエンテーションにおいて、授与される教員免許状は10年間の有効期間であるということは伝えている。2~4年生についても4月の授業開始前のオリエンテーションで伝えているが、オリエンテーションの時間は短いので東京都教育委員会から説明のあったような複雑な事例はなかなか説明できない。
 また、相手は教員免許状の授与も受けていない学生であり、働いているわけでもないため、実感がない印象である。
・大学としては、学生に対し教員免許状には有効期間があり教員になる際には注意しなければならないことや教員にならない場合も所有する教員免許状がどのような状況になるかという点に主眼を置いて指導することは可能である。

・本学では三つの方法で教員免許制度について理解を促している。一つは教職課程のガイダンスの中で、教員免許制度について説明している。二つ目は、「教職概論」という授業の中でガイドライン的な内容で扱っている。
・ただし、学生は免許取得が主眼であるので、免許状の更新制度までは十分に理解していない。学生の認識としては「10年で免許状が無くなる」という程度の認識である。
・学生が免許状更新を意識するのは卒業のとき、つまり教員として就職することを意識したときから関心を持ち始める。そのため、三つ目の方法として、昨年度から、卒業前に教員免許状を取得し就職する段階になった学生に対し、免許状更新等の制度について説明を行っている。ただし、細かいところまで説明はできない上に、大学側に詳細を説明できる人間も多くないため限界がある。

・昨年4名の採用取消し者を出したが、そのうち3名は現職教員ではなく、いずれも最近新たな免許状を取得しており、新免許状所持者であると誤解して免許状更新講習を受講していない者であった。その中には、大学から新免許状が授与されるので、10年間は更新する必要がないと言われた者もいた。教育委員会から大学へ、免許状一括申請の際に申請者が他の免許状を所持していないか確認をお願いしている。
・大学関係者は、旧免許状所持者が平成21年4月1日以降に新しい免許状の授与を受けた場合、旧免許状が授与されるということを十分認識していないことが多い。教育委員会としても重要な課題と考えており、説明する機会があれば周知を図っている。私立の教職課程の説明会に呼ばれた際も、できるだけ新免許状と旧免許状の制度上の複雑さについて説明することを考えている。

・旧免許状と新免許状の授与における問題は修士課程で起こってくる問題かと思う。免許状を渡すのは卒業式の場であるため、新免許状と旧免許状の違いについて説明する時間は無い。生年月日と名前に間違いがないか等の確認くらいしかできない。
・大学の事務職員は免許状の管理に関しては素人であり、教育委員会に申請して受け取った免許状を学生に渡すだけである。管理に関して教育委員会と話し合いは行っていないと思う。
・カリキュラムの中で指導できるのは新免許状のことだけで、旧免許状との違いや、権利の違いについて十分に説明できない。
・学生への指導を充実させるためには、大学の担当係がもう少し勉強しなければならないとは思うが、大学で免許状授与の業務を行う係が教員免許状更新講習の担当をしているとは限らない。部局間の意思疎通が不十分な場合、免許状更新講習を担当している者は理解していても、免許状の授与業務を行う者は十分に理解していないという状況が生まれる。部局間での意思疎通の状況を改善しないと、大学から学生への周知徹底は困難。
・大学の教職課程の事務職員に免許状の管理についての意識を持たせる場合は、かなりの研修が必要。大学の事務業務が混乱するのではないか。

・新免許状と旧免許状の制度の違いについて、大学関係者も理解しなければならないと考えていたところである。文部科学省のホームページで詳しく説明していれば、本学のホームページにリンクを張り学内に紹介し、学生や受講者が閲覧することも可能と考える。

(教員への制度の周知について)
・本県では1年間に4,000件程度の免許状更新講習の修了確認申請等がある。教育委員会でも教員が勘違い等により免許状を失効するケースについて防ぐ手立てを話し合っているが、制度が導入されて4年が経過しても未だに電話で申請方法等の初歩的な内容に関する問合せがあり、全ての方に周知させることが難しい。


3.非現職教員が免許状更新講習を受けやすい環境の充実

(証明書を持たない採用予定者の受講を認める運用について)
・おそらく、あまり抵抗はないと思う。定員が十分に余っている場合には大学側から断ることはない。免許状更新講習を開設するための認定を受けて開講しているので、定員が充足するまでは引き受ける。

・本学もまず問題ないと思う。受講したいという希望があれば定員までは確実に受け入れ可能。

・本学でも座席があれば問題ないと思う。ただ、大学側は受講申込者が本当に免許状を持っているかどうかの確認ができないので、なりすまし受講者を防げるのか等の心配はある。

・新免許状の授与を受ける場合、所要資格を得て10年以上経過すると、免許状更新講習を受講してからでないと免許状の授与を受けることができない制度となっている。この場合、本県では講師登録をした上で免許状更新講習を受講し、免許状の授与申請をしていただくが、免許状の授与を受けるために、免許状を持っていない者を講師登録するのはおかしいという意見がある。


4.修了確認期限や有効期間の満了日の変更

・本県では昨年4名の採用取消し者を出し、一昨年は4名の現職教員が修了確認期限の勘違い等により免許状が失効・失職したこともあり、任用者側で防止策を取っている。静岡県の例と同様に細かな管理をし、修了確認期限の勘違い等による失効を防ぐための取組を行っている。
・公立学校の教員については失効イコール失職ということが十分認識されており、どこの教育委員会においても、修了確認期限の勘違い等による失効が起こらないような対策を行っていると思う。私立は免許状が失効しても免許状が必要とされない職に就くなど、失効即失職とはならない。
・修了確認期限や有効期間を変更するという案はかなりの混乱が生じると思う。ようやく制度が定着し、修了確認期限の勘違い等による失効が起こらないよう、教育委員会は対策を講じているところなので、もし変更した場合は混乱の方が大きいのではないかと思う。

・デメリットとして挙げられているが、「定着しつつある制度や事務の運用に変更をもたらすため、混乱が予想される」という印象が大きいと思う。定着しつつある制度の中で、失効者を出さないように様々な手当てを行っていく方がよいのではないか。
・本務者も臨時的任用者も年度替わりの任用が通常。学期の節目で教員が変わることで混乱は少ないかもしれないが、生徒にとっては1学期と2学期でどうして先生が違うのかと混乱することに変わりはない。
・免許担当者としては任用手続は免許状の有効期間までしかできない。例えば、4月初めに1年間の任期で採用したくても、辞令上は免許状の期限までである1学期分しか任用期間にできないので、手続が煩雑になったり、2学期からの補充教員をどうするのか考えねばならず、不安定な中で1学期を始めなければいけないことに、問題があると思う。

・現在、運用面が落ち着いてきている状況なので、変更に混乱は生じると思うが、もし変えるのであれば今回がチャンスであるとも思う。しかし今は教育委員会も徹底して防止策を行っているので、それほど変える必要があるとも思わない。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課