資料6-3 教員免許更新制の運用について(報告)(抜粋)

平成19年12月25日

中央教育審議会教員養成部会

2.免許更新講習の在り方
(1)講習の開設認定要件
3 講習の内容
免許法第9条の3第1項第1号に規定する講習の内容は、次に掲げるものとする。
(別紙1参照)
1 教育の最新事情に関する事項(12時間以上)
2 教科指導、生徒指導その他教育内容の充実に関する事項(18時間以上)

  1 は「教職についての省察」「子どもの変化についての理解」「教育政策の動向についての理解」「学校の内外での連携協力についての理解」をその内容とし、その具体的内容については、文部科学大臣が示すこととする。(特に1 の具体的内容と時間数)
  先述のとおり、講習は全教員に共通に必要な課題を取り扱うものであることとなっているが、教員のニーズに合った講習を実施するためには、共通の課題を扱うこととしつつも、多様な講習が開設され、受講者である教員に幅広い選択肢が提供されることが望ましい。 
  また、30時間という限られた時間の中で、一定程度内容面で深みを持たせ、また、実益のある講習を実施するためには、全教員が受講する内容を全て統一することとするのは必ずしも効果的でない。むしろ、全教員が必ず受講すべき事項を明示しつつ、その他の必要な事項については、講習の内容についても教員が選択し受講することができるよう取り扱うことが適当である。 
  全教員が必ず受講すべき事項は、平成18年7月の答申を踏まえ、「教職についての省察」「子どもの変化についての理解」「教育政策の動向についての理解」「学校の内外での連携協力についての理解」とすることが適当である。
  学校種・教科種等に応じた内容を取り扱う「教科指導、生徒指導その他教育内容の充実に関する事項」として位置づけるべき事項は、全教員に共通の課題ではあるものの、教科種により具体的なニーズの異なる各教科の指導法やその背景となる専門的内容、生徒指導等、幼児・児童・生徒に対する指導力に係る各論的な内容を中心にを取り扱うこととすることが適当である。
  具体的な内容については、その時々に必要と認められるものについて、毎年検討を行うこととし、その都度周知を図ることとすべきである。
  また、30時間の講習の内訳として、全教員が必ず受講すべき事項である「教育の最新事情に関する事項」については12時間、また、学校種・教科種等に応じた内容を取り扱う「教科指導、生徒指導その他教育内容の充実に関する事項」については18時間とすることが適当である。
なお、講習の一部の開設を行う場合においても、講習が細分化され過ぎると受講生の便宜が図られないことから、「教育の最新事情に関する事項」については、12時間すべてを開設することとすることが適当であり、「教科指導、生徒指導その他教育内容の充実に関する事項」については、6時間以上を単位として開設を認めることが適当である。
  「教科指導、生徒指導その他教育内容の充実に関する事項」においては、教育内容の充実に関する幅広い事項を含めることが可能であることとする。(例:小学校教員を対象とした先端科学技術教室、高校生に対するカウンセリング技術入門、ミクロからマクロまで-物理学の最前線- 等)

(2)講習の実施の在り方
1 講習の実施方法
  免許状更新講習の実施方法については、修了認定試験を本人確認が確実に行うことができる方法によることとするほかは、特に制限を設けないこととする(通信、放送、インターネット等によることも可)。
  離島や山間部等のへき地に勤務する者をはじめとして、講習の受講に係る教員の負担をできるだけ軽減するとともに、様々な形態による講習の実施を促し、選択できる講習の幅を広げるため、講習の実施方法については、特に制限を設けないこととし、通信や放送、インターネット、ビデオ教材等を活用した講習の実施も妨げられないこととすることが適当である。
  放送等のメディアを活用した講習を実施する場合、30時間より修了認定試験に要する時間を除いた時間放送等講習が行われる必要がある。印刷教材を活用する場合、30時間の学習を必要とする教材の分量は現在の通信教育における教材の分量を参考にしつつ、各開設者において判断することとすることが適当である。
  各講習の課程の修了に当たっては、後述する修了認定試験が行われることが必要となるが、試験の適正性を確保するため、本人確認が確実に行われる方法によることが不可欠である。
現在の情報技術において、遠隔地にある教員の本人確認を確実に行い、修了認定試験を実施することができるかについては、なお調査研究が必要であると考える。
  また、講習の実施方法については、事例研究や場面指導、グループ討議のほか、指導案の作成や模擬授業を取り入れたりするなどの工夫を図ることが重要であり、奨励されるべきであるが、開設される講習の十分な確保の観点から、講義形式によるものも排除しないこととすることが適当である。ただし、講義形式による場合であっても、その内容や実施方法において、受講者の興味関心を喚起し、知識技能の修得に確実につながる工夫がなされることが必要である。
  なお、受講形態及び修了認定の方法については、受講者が効果的に最新の知識技能に刷新でき、修了認定試験における本人確認を確実に行い得ることを前提として、今後さらに受講者の便宜が図られるよう、国は、大学、教育委員会等と連携して、調査研究等必要な取組を積極的に推進すべきである。

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