教員免許更新制度の改善に係る検討会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成25年11月12日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省東館17階17F1会議室

3.議事要旨

【出席者】内田委員、◎小川委員、片平委員、中庭委員、橋本委員、原之園委員、本郷委員、松宮委員、森山委員 (欠席:濱本委員) ※◎印は主査
(文部科学省関係者)
藤原大臣官房審議官、髙口教職員課長、小谷教員免許企画室長 他

【議題】
・eラーニングの活用について
・免許状更新講習の改善の方向性について
・その他

【議事】
○これまでの3回の検討会議を終え、eラーニングについては更に議論が必要との意見があったことを受け、放送大学学務部長 松谷氏から事例発表を行った後、「eラーニングの活用について」について意見交換を行った。
その後、事務局から資料3の説明の後、免許状更新講習の改善の方向性として、「1.「必修領域」のあり方について」、「2.現職研修と免許状更新講習の関係の整理について」、「3.修了認定試験のあり方について」の3点について意見交換を行った。

各委員の事例発表及び主な発言は以下のとおり。

【eラーニングの活用について】
<事例発表>
●放送大学の免許状更新講習の取組(資料2)
・放送大学の簡単な概要を申し上げる。放送大学は昭和58年度に設置され、今年で30年を迎える。ラジオ、テレビ、インターネットによって学ぶことのできる通信制の大学として遠隔教育を行っている。本部は千葉県千葉市にあり、全国に学習センターが57か所ある。学生数は約90,000人、放送授業は約300科目、各学習センターで実施する対面の面接授業は年間で約3,000クラスを開設している。学部は教養学部6コース、大学院は文化科学研究科で修士課程を10年前に設置。博士課程は本年10月に設置認可を受け、来年4月に設置、10月から学生受入れとなっている。免許状更新講習は平成21年度から開設している。
・免許状更新講習のスケジュールであるが、本学では夏期と冬期の2回に分けて実施している。夏期について、受講期間は7月中旬から8月中旬、修了認定試験は8月下旬の土日のうちいずれかを選択して実施し、修了証明書は9月下旬に送付する。冬期は、受講期間が2月1日から2月中旬、修了認定試験を2月下旬の土日のうち、いずれかを選択して実施し、修了証明書は3月下旬に送付する。
・科目は必修科目1科目(15章)をテレビで、選択科目6科目(8章)をラジオで行っている。それぞれインターネットでも視聴できる。
・平成24年度の受講者の延べ人数は、夏期で15,056人、冬期で7,359人、実人数は夏期で4,277人、冬期で2,208人である。本年は夏期の実人数が4,898人であり、若干であるが増加している。
・受講の流れについて、本年度の冬期の場合、講習の視聴はテレビ,ラジオでは2月1日から2月18日、インターネットは修了認定試験の直前まで視聴可能であり、2月1日~2月23日までとなっている。受講確認は視聴の際に、章ごとに示されるパスワードを入力して行っている。全章のパスワードを入力すると受験票が印刷される。
・試験会場は放送大学の学習センターとサテライトスペース57か所で実施している。また都道府県教育委員会の依頼により、島しょ部では学外試験場を設置して実施している。
・本人確認は受講対象者証明書に、勤務先が証明した本人の写真を添付して行っている。
・修了認定試験の方法はマークシートによる択一式である。
・修了証明書の発行時期は修了認定試験から約1か月後としている。平成25年度の採点数(マークシート数)は、必修領域で4,417枚、選択領域で12,981枚である。全国の試験会場からマークシートを集め、一括して採点している。多数の試験を短期間で処理しなければならないため、択一式以外の試験の実施は難しい。
・講習の視聴については定員の上限はないが、修了認定試験は各学習センター等で行うため、年間10,000人程度を定員としている。ただし工夫次第では更に増やすことは可能である。
・放送大学の免許状更新講習の利点は、テレビ,ラジオ,インターネットで配信しているため、多忙な教員の方でも空き時間で講習の視聴が可能であり、パソコンを持っていれば外出先からでも可能である。試験会場も全国にあるので、帰省先から受講もできる。会場に出向くのは試験日の1日であるため、時間的・経済的な利便性がある。
・科目の制作スケジュールであるが、前々年度から内容や講師の検討を始め、テキスト作成に半年、放送教材(収録)制作に半年かかるため、1科目当たり約1年半の準備期間が必要である。そのため、制度改正に対応しなければならない場合であっても、ある程度の準備期間を設けてほしい。


【質疑応答】
・科目の制作に約1年半が必要とのことだが、修了認定試験の問題については、全て同じ問題を利用しているのか。また、幾つかの問題から選んで出題しているのか。
・修了認定試験は各期間それぞれ2日間実施しているが、問題の内容は違っている、試験問題の作成方法は、複数の問題を用意しておき、その中から抽出する。1年を通して同じ問題が出ないようにしている。

・免許状更新講習の開設時期は8月等の長期休業期間に集中しており、開設時期の分散が当検討会議の検討課題の1つになっている。通常の大学では講習の開設時期を年間を通じて分散するのは難しいため、桜美林大学や放送大学等のeラーニングの活用が期待されている。桜美林大学は年間を通じて開設時期を分散する等の工夫をしている。放送大学について、年間で夏期・冬期の開設となっている理由及び仮に年間を通じて開設するとなった場合、クリアすべき課題があれば教えてほしい。
・インターネットは特段問題ないが、テレビ,ラジオについては、免許状更新講習の配信時期は、放送大学の一般の講習配信期間の終了後としている。一般の講習配信期間中に免許状更新講習の配信を行う、となると放送枠の上限に引っかかる。インターネットによる講習でよいのであれば、開設時期の分散は可能である。また修了認定試験は土日を利用しているが、通常、土日は対面の面接授業を年間3,000科目実施しており、センターによっては教室が足りず面接授業を減らさなくてはならないこととなる。ただし、必要だということであれば、学内で検討は可能であると考えている。

・必修領域の「教育の最新事情」について、一般的には教員養成の担当講師が担当していると思うが、学校現場の課題を講習内容に組み込んでいくという作業を、科目の制作が1年半かかるという状況の中でどのように行っているのか。
・内容的にある程度改訂が必要であるときには順次改訂を行うが、毎年改訂するとなると、経費的にもスケジュール的にも難しい。
・受講者の要望、ニーズを吸い上げる仕組みはあるのか。
・特にない。

・私も20年ほど前に文部省放送教育開発センターにいたので、確認するのだが、一般に放送大学の授業では面接授業を行っているが、免許状更新講習のための授業では面接授業は行わず、修了認定試験のみ対面で行っているということでよいか。
・そうである。対面講習であれば他の教育大学でも受講できる。放送大学では、教員の方々が忙しい中でも自宅等で受講が可能である、という点を特色としている。
・放送教材の制作方法であるが、一般の放送大学の講義と同様、多くのスタッフが内容や中身等を検討・吟味した上で作成していると考えてよいか。
・そうである。内容も1章45分で同じであるし、準備や作成方法も同様である。
・制作に時間がかかるのは理解できる。新しい情報や変更点をどのように内容に反映するのかについて、早め早めに検討・吟味しないといけないことが課題であると考える。

・修了認定試験に定員があるが、受講申込みは先着順で行っているのか。また定員に達し、断るようなことはあるのか。
・先着順である。また修了認定試験は土日で実施しているが、土曜日の希望者が多く定員に達する場合もある。その場合は学習センターに定員を増やしてもらったり、日曜日に変えてもらったりする場合等もある。また、場合によってはお断りすることもある。

・冬期の講習は2月に開講しており、その年度末に修了確認期限を迎える方の申請期限を経過しているが、これは受講期間が1年目の方を対象としているということか。また、30時間を全て放送大学で受講している方はどれくらいいるのか。
・冬期は受講期間が1年目の方を対象としている。また、必修領域を1科目、選択領域を3科目、計30時間をセットで受講する方が多い。

・教育委員会からの依頼により、学外試験場を設置しているとのことだが、これに定員はあるのか。
・定員は特にない。修了認定試験の実施は各教育委員会で責任を持って行っていただき、放送大学まで答案用紙を送付してもらうという仕組みである。

【免許状更新講習の改善の方向性について】
・資料3のとおり、これまでの意見を整理し、免許状更新講習の改善の方向性について3つの柱に絞って議論を進めていきたい。

1.「必修領域」のあり方について
・必修領域の取扱いについて、教員免許状の更新は、いわゆる養成段階での教職課程が大前提となる。そう考えると例1・2が望ましい。教育に関する最新知識については、今後とも現代的課題の内容について改善を図りながら継続することが、教員の資質向上につながると考える。
・現在は非常勤講師も増えており、現時点ではこれらの方々とって、免許状更新講習が唯一公的な研修ではないかと思う。そういう意味でも例1・2が望ましい。

・全体の時間数が変わらないのであれば、例1・2でよいと思う。ただ、必修領域と選択必修領域との区別が付くのか。また、選択必修領域の時間数が多くなった場合、大学は講習を開設しやすいのかどうかお伺いしたい。

・例1・2、どちらかと言えば例2が良いと思う。
・選択必修領域は時宜に応じたものを、より深く学ぶということが求められるので、6時間だけで十分かと思う。
・必修領域は、文部科学省が全国的に示した共通内容を各大学が提供するものであり、選択領域は各大学に応じて提供できるものを実施するということになる。

・教員に学んでほしいことが多いので、選択領域を絞り、選択必修領域を増やしてほしいと思う。自ら学びたいと思うことは、各自で継続して学べばよい。例2が良いと思う。

・社会の要望や時事的な内容を盛り込みやすいという意味でも、選択必修領域を設けた方がよいと思う。ただし、大学からの観点で言うと、今の必修領域は教職課程の科目に沿った形で構成されている。教職課程を担当する教員しかいない中で、時代の要請に合った内容を実施するとなると、大学も色々と検討しないといけない。
・現状を大きく変更することに少し懸念があるため、まずは例1のように穏やかな変化から始めた方が対応しやすく、当初はうまくいくかなと思う。これがうまくいけば、例2に移行することも考えられる。

・必修領域の運営面からいうと、12時間の方がやりやすい。本学では「学校教育」という教室があり複数の講師が所属している。一貫して教職についての省察を担当してほしいとお願いしているが、これらの担当講師の専門は、教育方法学、教育哲学、教育史、視聴覚教育、特別活動、生徒指導等と分かれており、各々の専門を教えたいと言われる。そう考えると、選択必修領域の方が教員の専門性ともリンクできるため、講師も講習開設に協力してくれると思う。

・本学では資料3 3ページ目にある具体例のような内容を扱った講習は、実際に教員免許状講習の推進室が講習を企画する段階で取り上げている。例えば「教育におけるICT活用」について教育の専門教員がICTの活用について講習を行う場合もあるし、情報の専門教員が教育的な観点で講習を実施する場合もある。「特別支援教育」についても複数の講習が開設されているので、全学的な協力体制を築いている大学だと、選択必修領域が仮に6時間や12時間になったとしても開設は可能と考える。
・選択必修領域に関して、文部科学省が方針を出すと思うが、それぞれの大学の規模や、地域等の特性を生かした選択必修領域というものを開設できるような仕組みも考えていただきたい。

・選択必修領域を創設するのであれば、例1・2が良いと思う。
・現職教員ではない受講生もいるので、必修領域は残していただきたい。必ず必修領域を受講した上で、選択必修領域で校種別、免許別に講習を受講する。選択領域については必修・選択必修領域で学んだもの以外に興味があるもの、自身を向上させる講習を受講する。このような仕組みになれば、受講者の立場としても免許状更新講習が改善され、受講者のニーズに合っていくと思う。

・多くの委員から、必修・選択必修・選択領域の枠を設定することについて異論はないとの意見をいただいた。ただし、選択必修領域をどのような規模・時間数で設定するかは更に議論を深めていく必要がある。また、必修・選択必修領域をどのような内容にするかについて、事務局から提案のあった内容だけでよいのか、もう少し御意見を伺いたい。
・これまでの議論では、必修領域の内容は、資料 3ページ目の2つの・を軸にする方向でほぼ合意しているのではないかという印象である。また、選択必修領域について、具体例が幾つか挙げられているが、追加を検討すべき内容等があれば御意見を伺いたい。
 
・逆に必修領域はどうするのか。必修領域は現在4項目の内容で構成されているが、軸としては「教職についての省察」と「教育政策の動向についての理解」ではないのか。「子どもの変化についての理解」「学校の内外における連携協力についての理解」は選択領域・選択必修領域として組み込むことができるのではないか。「地域の課題」はそこに組み込まれる余地があると考える。
・受講生が増えても対応できるよう講習を開設する体制を整える必要があると考えている。

・eラーニングのような受講環境ができるのは重要なことだと思う。eラーニングで講習を行う場合、選択必修領域の開設について対応は可能であるのか。放送大学の説明でもあったが準備期間の事を考えると、今後どういった問題点があると考えるのかお伺いしたい。
・eラーニングはコンテンツを作成すること自体に時間がかかるが、その前に学内で検討してどのような取り組みができるかを話合わなければならない。半年から一年ほどはかかると思う。
・再来年度から実施するのであれば、今年度から準備を始めておかなければいけないと考えている。
・選択必修領域について、幾つかテーマが与えられるとのことであるが、幾つかの具体例を少し吟味していただき、どのテーマであればコンテンツにできるのか検討していくことは必要だと思う。
・第3回の検討会議で説明したが、本学では必修領域だけでは話し足りないという意見が講師から出てくるので、そのような内容が選択必修領域のテーマとなっていればすぐにコンテンツを作成することはできる。それぞれの大学で教員の取り組める分野があると思うので、各大学はそのような分野から選択必修領域をスタートすればよいのではないか。

・事務局から確認しておきたい点、委員への質問はないか。
・資料4-1で免許状更新講習の内容の告示が示されているが、必修領域については4項目8内容がある。必修領域選択必修領域、選択領域の関係をどう考えるかということについて、御意見を頂いている必修領域を6時間に減らすとした場合、単純に考えると4項目のうちの2項目を残し、内容も4内容が残るということになると考えられる。この場合、「より深めたもの」を講習として実施したいとなると、単純に項目を半分にしてしまっては、内容が半分になるだけで、学ぶ内容は深まらないのではないかという懸念がある。
・内容を減らすのではなく、4つの内容から2つ選ぶ、3つ選ぶといった考えもあるのではないかと考えるが、このような観点からも御議論いただきたい。

・いつ改正する予定であるのか。
・一番時間がかかるのはeラーニングを実施している大学であり、最低でも一年半以上の時間がかかると考えている。この会議である程度の方向性を示した上で、文部科学省として実施できると判断すれば、すぐにでも制度改正に入りたい。法改正ではないため着手することは容易であり、最短であれば来年3月ぐらいまでには改正できる。

・最短で実施するとなると、平成27年度からになるのか。
・平成26年10月の免許状更新講習の実施要項で改正点についてお示しし、平成27年度から実施するというのが最短となる。

・これまでの議論では、必修領域の内容は省察を軸にするということになると思うが、他の意見を伺いたい。

・必修領域について、6時間になれば「教職についての省察」の項目と内容も再度吟味する必要があると思う。
・選択必修領域について、大幅に多くの内容が設定されてしまうと、選ぶものが多くなり、何のための選択必修か分からなくなってしまう。選択必修領域はある程度内容を絞り込む必要がある。
・内容によってはICTや小学校外国語活動等のように、ある程度受入れ人数を制限する必要がある講習もある。選択必修領域の講習内容を絞り過ぎると、受講者が増加し講習の質が下がるという点も懸念される。
・現実的な部分を見極めた上で、選択必修領域については慎重に対応する必要がある。
・教職課程を担当する講師は、各自の専門分野を話したがっている、とのことであるが、この専門の内容が免許状の更新に役立つのかという議論もある。個人的にこれはできるだけ避けていただきたいと思う。学校現場から言えば、専門分野の話というのは、現場から遠く離れている印象を受ける。
・その通りだと考える。
・本学の免許状更新講習の運営方法とも関係があると思うが、必修領域の講習については学校教育や心理学の教員の比重が高い。担当する講師によっては専門が偏っているので、必修領域の内容と講師の専門分野が一致している場合はよいが、講師の専門分野から離れている場合は、選択領域であれば担当できるが、必修領域は担当できないということがある。


2.現職研修と免許状更新講習の関係の整理について
・現職研修と免許状更新講習の内容が重複しないよう調整を図るということについては1の議論とも関わっており、必修領域の時間数を多くする方が、現職研修との関係が明確になるのではないかと思う。
・大学としても、免許状更新講習が教員の生涯成長に資するという前提の下、良質の講習内容を提供し、実績を重ねていくことが必要であり、免許状更新講習が学校現場の教員と大学との関係を密にするというメリットがあることを示していくことが必要。その中で両者を考える必要がある。

・1については講習開設側、2については受講する教員側から考える必要がある。5ページ 2の5行目「現職教員については、受講者の負担感や重複感の解消を図るとともに、各々の制度・仕組みの利点・価値をより良く享受できるようにすることが望まれる。」という、お互いのプラス面をうまく引き出していこうという姿勢がとても重要。
・任命権者に実施義務のある10年経験者研修の実施時期の弾力化は非常に有り難い。受講生にとっても良いことだと思う。もっと具体的に言うと、法律の文面を変える等、対象者を10年目と決め打ちするのではなく、10年くらいの経験のある教員について研修をしなさい、というような幅のある規定にしてもらうと、任命権者の研修計画においても、本人の講習等の選択においても、教員の生涯成長に資するようなものになっていくと思う。是非進めていただきたい。
・eラーニング環境を整備し、充実・拡充を図っていただきたい。
・10年経験者研修をより弾力的にし、任命権者が教員のキャリアに応じた研修の整備を行うという主体性をより持たせるのであれば、10年経験者研修を法定研修そのものから外すという考え方もあるが、それについてはどう考えるか。
・私の所属する教育委員会であれば、法定研修から外していただいた方が現職研修の計画は立てやすくなる。仮に法定研修から外れたとしても、本県では今までと同様、現職研修は充実していく予定である。しかし文部科学省として全都道府県を見てどう考えるのかは別の問題だと思う。
・法定研修になる前から10年経験者研修は実施していたかと思う。都道府県教育委員会の委員の方はその辺りも踏まえて御意見いただきたい。

・10年経験者研修と免許状更新講習が創設された経緯を思い返しつつ、現状で両者の重複が負担になっているのであれば整理することが必要であるし、都道府県教育委員会側が免許状更新講習を有効に使っていこうと考えるのであれば、その方向で検討するのがよいと思う。

・実態として10年経験者研修が法定研修から外れると大きな動揺が走る。離島は東京に行くよりも運賃が高く莫大な旅費がかかる。10年経験者研修が法定研修から外れると予算確保が非常に厳しくなる。本県の固有事由かもしれないが、法定研修から外すにしても、文言の書き方を工夫してほしい。
・免許法認定講習を免許状更新講習としてカウントできることは喜ばしい。本県では上位免許状や特別支援教育関係の免許状取得を進めており、これが進めば教育の質も上がると思う。

・10年経験者研修が免許状更新講習を想定して創設されたものでないなら、そろそろ法定研修から外してもよいのではないか。教員の負担もあるが、都道府県教育委員会も、区分けをした方がやりやすいのではないか。10年経験者研修の方を見直すべき。
・10年経験者研修を法定研修から外す際に、財政面については10年経験者研修に限らず、全ての現職研修の財源が都道府県教育委員会の状況に応じて適切に確保できるように、法律の文言を加える等、対応を検討すればよいのではないか。

・本学も東京都教育委員会と協力して、免許法認定講習を実施している。東京都教育委員会も特別支援教育の免許状取得を主眼としてきているので、このような提案は良いのではないかと思う。
・任命権者の研修を免許状更新講習としてみなしたり、免許法認定講習を免許状更新講習として認定を行う場合等、現状では免許状更新講習の受講期間は2年間であるため、免許法認定講習とリンクをする場合には、2年間のうちに免許状授与のために必要な単位を全て取得しなければならないが、免許状更新講習の受講期間を広げてポイント制のようにすると受講者にとってもメリットになるのではないかと思う。

・10年経験者研修と免許状更新講習の受講期間を考慮し、単位・ポイントの互換ができればよいのではないかと思う。
・本学は6~8月期、10~12月期と講習を開講している。私も6月期、8月期の2回を担当している。講師によっては年に4回担当している方もいる。特に危機管理の講習は受講生が多いため、毎年講習数を増やしている。8月期以外も講師に相談すれば開講は可能だと思うが、土日に開講せざるを得ず、講師も土日に来ないといけない。この調整をうまく行う必要がある。
・本学では筑波地区と東京地区でそれぞれ3,000人強の先生を対象に講習を実施している。放送大学のeラーニングと本学の東京キャンパス(茗荷谷)の講習とをうまく協同させれば、新たな方向性が生まれるのではないかと思う。

・元受講生からの立場として、10年経験者研修と免許状更新講習が弾力的になってもらえると有り難い。
・本県でも初任者研修が終わった後に、フォローアップ研修として2年目、3年目の研修を行っているし、法定研修ではないが5年目研修等も行っている。各都道府県教育委員会で同様の研修を行っているため、法定研修をなくすのではなく、任命権者に任せた研修を実施できるようにした上で、免許状更新講習を全面に出せばうまくやっていけるのではないかと思う。
・免許法認定講習が免許状更新講習として認定されるのではあれば、免許状も取れるし更新もできるので、受講者側からすればメリットが大きいと思う。

・資料3 5ページの4つの・のうち、過去の議論を踏まえると、一番上の・については、特別な大学以外は現状を大きく変えることは難しいのではないか。そうであれば、下3つの・を充実・推進する方向を考えてもらいたい。
・10年経験者研修は法的裏付けができたので、各都道府県教育委員会はそれを踏まえ、これまで研修の整備を行ってきた。法的裏付けは、現在の研修システムを構築する効果があった。しかし今やその役目は終わったとも言える。よって、10年経験者研修が法定研修から外れたとしても、各都道府県教育委員会で行っている研修自体がなくなることはない。

・免許法認定講習を免許状更新講習として認定ができるとあるが、免許状更新講習を免許法認定講習として認定することも可能なのか。
・結果的には同じ内容の講習を、両方の観点から認定するので、可能である。
・単位互換ができるのであれば、免許状更新講習に免許法認定講習を組み込んでしまうということもできるのではないか。
・免許状更新講習は18時間であるが、免許法認定講習は15時間でよいため、免許状更新講習として実施する場合には、18時間分を確保していただく必要がある。
・それができると、受講者は明確に教職課程の科目に応じた講習を受けることができ、小学校の教員が中学校の内容を聞かないといけないというような不満はなくなり、よりシャープな内容の講習が提供できる。
・免許法認定講習と免許状更新講習の相互乗り入れについては、他種の免許状であれば考慮できると思うが、上位免許状になると、免許状更新講習の質や内容及び評価も付随的に検討課題となる。

・基本的には免許法認定講習は大学が主たる開設者であり、教育委員会が開設する場合は、大学の助言を得る必要がある。これは今後もクリアしてもらわないといけない。また、免許法認定講習と免許状更新講習は、文部科学省では同じ組織が審査を行っているが、審査の基準が違っており、免許法認定講習の方がより厳格に審査している。

・この点はもう少し慎重に整理が必要である。また、余り安易に相互乗り入れを考えると、免許状更新講習の存在意義が問われることになる。


3.修了認定試験のあり方について
・2の「eラーニング環境の充実」については私も必要なことだと考えており、修了認定試験のあり方もそれに関係してくると考える。本人確認が確実に行われているのか、各講習をクリアする基準がきちんと決められているのか、修了認定までの手順が決められているのか等について不明であるため、eラーニングの講習や修了認定試験の実態を調べる必要がある。
・受講者に考えさせるような問題も修了認定試験の出題範囲であると理解してほしい。講習で行った内容そのものの試験というのは、出題者からすると難しい。余りにも最小限の学習で合格を求めると弊害も出る。

・修了認定試験はなくてもよいと思っている。ただ、様々な側面を考えて修了認定試験が必要だということであれば、どの講習もその講習内容に合わせた試験が行われているため、択一式が記述式よりも下であるかのような意識は間違っている。どのような試験であれ、プラス面とマイナス面がある。択一式であってもきちんと問題内容を検討すれば、知識一辺倒の試験にはならない。修了認定試験は標準化できないため、各講習のやり方に沿った試験でよいと考えるのであれば、択一式でも全く問題ないと思う。ただし、修了認定試験の結果を受けて、問題形式や内容の妥当性について専門家等を交えた検証は必要。

・本学は、文部科学省にも相談しながらeラーニングによる講習を開設した。その基準と考える点が3つある。1つ目は確実に本人が受講しているかどうかをチェックする機能があるか。2つ目は授業をしっかり聞いているということを確認することができるか。3つ目は修了認定試験の解答者の本人確認を厳密に行うことができるか。これらを解決するために本学では、受講・試験ともログを管理するとともに、顔認証と声紋による音声認証を行うことにした。そのため、修了認定試験の解答も音声でないといけないということになり、記述式の解答では音声認証ができないため、択一式の試験にならざるを得なかった。
・資料3 7ページの一番下の・について、本学では1年間を通して、いつでも修了認定試験を受けられるようにするため、複数問題をランダムに出題する方法を採っている。その場合、もし問題内容が流出し、仲間同士で過去問題等を調べ上げていくと、どこかで同じ問題に遭遇する可能性があるため、現在は受講生に対し合否判定しか示していない。もし、理解が不足している内容を本人に示さなければならないこととなると、全員が同時に修了認定試験を受けなければならなくなる。

・本県では免許状更新講習を10年経験者研修の一部として読み替えているため、修了認定試験の答案を見る機会があるが、非常に採点が大変である。1人の答案を複数で採点する等、労力をかけている。いろいろな形の試験があってよいと思うが、レベルをある程度合わせていく必要がある。

・何らかの形で修了認定試験をしないと、研修の効果は問えないと言い続けてきた。択一式であれ記述式であれ、講習内容によって試験の形式は変わるのでどんな形式でもよいと思う。修了認定試験は大学教員が行うので、大学教員の今までの技量を信用してもらうしかないと思う。本学では講習後に受講者の意見を聞くが、試験の評判が悪いときには、協議会から該当教員に改善をお願いすることになっている。よって、試験によって研修の成果に不平等が生じるようなことはないかと思う。
・資料3 7ページの2つ目の・に、ノート・テキストの持込みを可とする、とあるが、例えば、考えさせる問題にする場合、ノートに書いてないことを、ある程度推測させて記述させる問題は、かえって問題を解く受講者の負担が増える。易しい問題や考えさせる問題をどのように構成するかは大学教員が考えることであり、日頃から鍛えた大学教員の評価手腕を信用してもらうしかないと思う。
・修了認定試験の基準を作ることは難しい。試験の結果を受けて、本人の理解が不足している箇所を示すことはできると思うが、本人がそれを望んでいるかは別として、それを実際に行うには少し抵抗があるかと思う。
・本人には認定か不認定かしか伝わらない。頑張って良い成績で認定されたとしても、本人には伝わらない。これは少しおかしいと思う。研修の成果を問うときに、認定・不認定しかない評語が妥当なのか考える必要がある。

・本学で実施するeラーニングは、内容に幾つかのハードルがあって、それをクリアしないと修了認定試験の受験資格が得られないこととなっている。受験資格を得ていない人も試験を受けに来ることがあるが、原則として不認定としている。試験の形式は択一式のマークシートであり、5問中3問で認定されるが、数人は不認定となってしまう。
・実際には、日程が合わない等の理由で、その講習が受けたくて受けているわけではない受講生もおり、講習と本人のレベルが合ってない受講生に対し、「基礎的な理解が得られていない」と言うことができるのか。
・本人へ認定・不認定しか伝わらないという点は、これで良いと思う。評価段階を示すと、受講生から問合せが殺到する恐れがあり、大学にはそれに対応できるスタッフがいない。

・eラーニングに関しては、初期のCAI(Computer Assisted Instruction:コンピュータ支援教育)で培われた、単純に○×をつけるだけではなく、KR情報(Knowledge of Response)といった、解答や次の学習につながるコメントのようなものを示す等の工夫がされていると思うので、効果的な学習が期待できるのではないかと思う。
・評価に関しては、本学では、それぞれの担当講師が採点をしており、不合格にならざるを得ない受講生は評価委員会にかけて、答案や採点基準等を吟味し、認定・不認定を判断している。そもそも免許状は大学で教職課程の単位を取って授与されているものなので、何らかの試験は必要だと考える。しっかり話を聞き、寝ている受講生が少ないのも、修了認定試験があるからという気もする。本学の修了認定試験は受講生を落とすためのものではない。さらに、教員の学習をより良く促進するような内容のものが多く、前年度、平均点が低い試験だった場合、次年度には改善を行っている。修了認定試験が改善され、講習がより良いものになり、また試験を行うという一つの循環の中で、修了認定試験のあり方を考えていくべきだと思う。

・修了認定試験はあった方が良いと思う。若しくは、修了認定試験を、「講習の振り返り」と捉えてはどうか。例えば講習の振り返りとしてレポートをまとめる等の方法があってもよい。そのような手段がないと、講習の途中で抜けている人がいるとか、昼休みが終わったのに戻って来ない人がいる、というようなことも確認できなくなってしまう。講習を受けたのであれば、きちんと振り返りを行うべきである。

・事務局に確認するが、資料3 7ページの1つ目の・について、これは全ての試験についてこのような考え方ではなく、あくまで国が学ぶべき内容やポイントを示している必修領域の修了認定試験に関する事であると理解してよいか。
・資料4-1の一番下に書いてあるが、従来修了認定の基準は、選択領域も含め、基礎的な知識技能を有する、という考え方をとっている。余りにも高度な内容を出題したり、複雑なものを求めたりすることは現状でもないとは思うが、従来の考え方を再確認する意味でお示しした。

・3.修了認定試験のあり方については、もう少し詰めた議論が必要かと思う。これまでの議論から踏み込んだ課題の整理ができたところ、もう少し議論が必要なところもあるが、引き続き残された課題について検討していきたいと思う。

(了

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