資料4 「 道徳教育の充実に関する懇談会 報告の骨子案」に対する意見(土井委員)

「道徳教育の充実に関する懇談会 報告の骨子案」に対する意見

土井真一 

 第9回道徳教育の充実に関する懇談会に出席することができませんので、「報告の骨子案」について、下記の通り意見を申し上げます。 

 


1. なぜ今道徳教育の充実が必要なのか

1 道徳教育の現状
第1の○(1頁)
 「社会で共通に求められるルールやマナー…」
→「人々が互いに尊重し、共に協働をして社会を形作っていく上で共通に求められるルールやマナー」
(理由)社会における共通性だけを強調するのではなく、何のために必要となるかを明確に示した方がよいと考えます。

2 今後の社会における道徳教育の重要性
第3の○(1頁)
 「人間としての根源的な理解を深めながら…」
→「人間の在り方に関する根源的な理解を深めながら…」

2. 道徳教育をどのような方向に改善することが求められるか

2 道徳教育の内容、指導方法、評価について
(1) 道徳教育の内容
第2の○(3頁)
 「いじめの防止や生命の尊重、社会を構成する一員としての主体的な生き方…」
→「いじめの防止や生命の尊重、多様な人々が共に生きていく上で必要な相互尊重のルールやマナー、社会を構成する一員としての主体的な生き方…」
(理由)冒頭の「なぜ今道徳教育の充実が必要なのか」で掲げられている事項であり、道徳教育の内容の充実に関する箇所においても、言及するのが適切であると考えます。

(2)  道徳教育の指導方法
 ア 児童生徒の発達段階をより重視した指導方法の確立・普及
第3の○(3頁)
 「その際、互いの人格や権利を尊重し合い、自らの義務や責任を果たし、安定した社会関係を形成することの重要性やそのための具体的方策について考えを深めさせる視点も重視すべき」
→「その際、法やルールの意義を理解して、互いの人格や権利を尊重し合い、自らの義務や責任を果たし、安定した社会関係を形成することの重要性やそのための具体的方策について考えを深めさせるなど、法に関する視点も重視すべき」
(理由)人格や権利の尊重、義務や責任を果たすことの重要性等を考えさせるためには、法やルールの意義を理解させることが必要です。また、教育再生実行会議「いじめの問題等への対応について(第一次提言)」においても、この点に関する言及があることから、本報告の骨子においても引き続き、明記するのが適切であると考えます。

 イ 振る舞い方など技法的な面も取り入れた指導や問題解決的な指導等の充実
第2の○(4頁)
 「例えば心のこもったあいさつや礼儀、コミュニケーションの方法など、自分が動き、他者と関わって…」
→「例えば心のこもったあいさつや礼儀、コミュニケーションの方法、きまりやルール作りなど、自分が動き、他者と関わって…」
(理由)法に関する教育の実践を通じて、多様な意見を聞き、議論を重ねて、きまりやルールを作っていくことが、相互理解と規範意識の向上につながるということが示されてきています。また、このような実践の中に、第3の○に記されているロールプレイを取り入れることもできますし、言語活動の指導にも生かすことができますので、例として書き加えることが適切であると考えます。

3. 道徳教育の充実のために求められる条件整備

1 教材・教科書について
(2)教科書について
第5の○(7頁)
 教科書検定について、子どもの多角的・批判的な思考力・判断力の発達に配慮すべき旨を記載していただきたい。
(理由)「多様な価値観を反映した教科書を認める」必要があるのは、最終的には、道徳教育が自律的で責任ある人格の育成を目指すからであると思います。そして、自律的人格といえるためには、多角的・批判的な思考力・判断力を持って自らの生き方を主体的に決めることができる存在でなければなりませんから、そのような人格を育てる教育において用いられる教科書がこの点に十分配慮したものとなるように、教科書検定においても留意すべきではないかと考えます。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第一係

電話番号:03-5253-4111(内線2903)