資料3 第1回会議における「心のノート」に関する各委員の発言要旨

(※ 本資料は事務局の責任において各委員の発言内容を要約したものです。)

【ノートの内容に関するもの】

○ 箇所によっては,もう少し字が少なくてもよいのではないか,想像力を養うというか,イメージアップするような,何かを考えさせるような工夫があってもいいのではないかという気がする。
○ 4冊それぞれの中で体系的にもう少し整理をすることで,読み手が理解しやすくなるのではないか。
○ 「心のノート」の内容は悪くないと思うが,バランスという観点からすると,人物主義的,読み物資料的な内容がやはり不足している。
○ 今の内容に加え,文部省が過去に作成していた資料等を組み込んでいくということが必要なのではないか。
○ 情報モラル教育の重要性が高まっている中で,道徳教育の役割は重要である。「心のノート」などでも,よりそこを想定した内容,部分があってもよいのでは。
○ 文科省の歴代の読み物資料には,すばらしい,不易なものが残っているので,これを掘り起こしたり,新しいものが入れば,また新しい突破口になるのではないか。
○ 「心のノートは」読み物資料ではなくキャッチコピー的なもの。子ども達の体験に根ざしてどこかとつながるかという点では,たたき台にあるように,読み物教材がプラスされることで,また違ってくるだろう。
○ 「心のノート」をさらに充実させるためには,書き込むだけではなく,読み物的な資料も大事だと思う。
○ 「心のノート」のよさは,色が綺麗で,写真や挿絵なども多く,低学年にとってはとても興味・関心を引きつけられるような内容になっていること。この平成22年度からはダウンロードをしなければならなかったが,率直に言って使い勝手が悪く,引き出すのが大変だったので,平成25年度から全児童に配付されるということは喜ばしい。
○ 東京都が25年度から全児童に配付する資料には,読み物資料や格言や故事成語も入っている。そういうようなものも織り込みながら,「心のノート」をつくっていくのがベターなのではないか。
○ 読み物教材だけではなくて,武道的な,日本文化を支える技術的なかかわりを通しながら,生徒がいろいろな課題に直面して,自分なりの1つの自信と,それから技術を習得しながら成長していくというような側面や,伝統文化というものの視点も入れていく必要がある。
○ これまでいろいろあった意見,議論等を踏まえて,新しい「心のノート」が道徳の授業でしっかり活用され,子供たちの心が育っていくようなものにしていく必要がある。そのためには文部省・文部科学省がこれまで作成してきた読み物資料の中から「子供たちに与えていきたい」というものを精選すべき。
○ 「心のノート」の内容には,内省的かつ自己チェック的なものが多い。現実にコミュニケーションをするにはどうしたらいいかというのは,一種の技術,アートだと思う。例えば,「挨拶をしましょう」とか,「挨拶しましたか?」というよりも,「じゃあ,隣の人に挨拶してみましょうね。挨拶したのに,挨拶してくれなかったらどういう気持ちがしましたか?」というように,いかにコミュニケーションをとるかということを,単に教材のみで教えるのではなく,オン・ザ・ジョブ・トレーニングでのコミュニケーションというものを中に取り入れてもらいたい。
○ 「心のノート」の改訂に当たっては,親と一緒に使えるものをつくっていく必要がある。現在の「心のノート」も,低学年では,おうちの方からの一言とか,そういう欄があるが,もっともっと親が一緒に,この「心のノート」なり,道徳の教材に参加できるようにする必要がある。
○ 生き方に関しては,いろんな人物等も取り上げたらよいと思うが,そういったものと具体的な日常生活における心の育成とを関わらせていけるような試みをしていくことが大切。
○ 「心のノート」の中に,あるいは別冊でもよいが,日本には「礼の文化」というのが脈々とありますよということをしっかりと子供たちに伝えていくべきで,それは家庭においてもしっかりと育んでいくべきものである。
○ 「心のノート」を2部構成くらいにして,その中で「礼の文化」を伝えていけるようにしたり,和文化をいかに現実生活の中へと生かしていくかなど,生活の知恵的なものを伝えられるようなものにして,それを家庭とも連携しながら使えるようなものになればよいのではないか。
○ 道徳教育は表面的にいい子を育てたり,あるいは模範的な回答をする子を育てようとするものではないし,何よりもまず大事なのは,先生方自身が悩まれることだと思う。先生方自身が悩んでいないのに,子供たちがそれをそのまま受け入れるということはないので,その意味では,教材で使い勝手がよいというのは大事だと思うが,しかし,これさえあればすぐに道徳教育ができるというようなものをあまり目指さないほうがよい。先生方自身が一生懸命取り組んで,自分なりの解釈,あるいは自分なりのものをぶつけていけるような,そういう教材を作るのがよいのではないか。

【ノートの活用方法に関するもの】

○ 道徳の時間においては,読み物資料を中心に授業が展開され,「心のノート」は,その際の補助的な資料として活用されてきた。また,道徳ばかりではなく,隣接の領域の中でも,「心のノート」の活用が推進されてきた。
○ 道徳の時間が学校経営の中でしっかりと定着していないような学校では,「心のノート」を子供に与えて,そしてそれだけで道徳の時間が完結したり,最悪の場合は「心のノート」が配付すらされないような実態もあった。
○ そのような現状を踏まえ,「心のノート」の実質的な改善をどのように行い,それが現場でうまく活用されるかということが非常に重要。
○ 小学校段階での「心のノート」の活用の仕方について,授業の際には,導入・展開・終末という学習過程の流れがあるのだが,「心のノート」は1時間を通して資料として使うのではなく,その中の終末とか,導入とか,展開の後段,いわゆる自分を見つめて振り返る部分に主に使われている。
○ ノートを見る限りにおいては,読み物中心で教授型というか,こちらの思いを込めた形で非常に立派に作っているけれども,では,それが本当に児童の立場に立っていて,どのように関与していけるか,主体的なかかわりで活用できるのか。そういう意味では,いかに学習型にして,どのように活用するかということが課題。
○ 自分は「心のノート」の開発等にかかわらせてもらったが,「心のノート」は道徳の時間だけで使うことを目的とするのではなく,全教育課程を通して活用できるように,そして同時に,学校,家庭,地域連携に活用いただけるように,ということが大きな意図としてあった。

【ノートの体裁に関するもの】

○ 「心のノート」に関しては,内容等々も含めて批判があったが,実際には使い勝手が悪かったという状況もあるだろう。道徳の資料の中心として使っていくのであれば,各学年ごとに作られなければ,ほとんど教育現場では対応できないのではないか。
○ 「吹き出し」部分など,いろいろ記述をする項目もあるが,例えば中学校の場合では3年間,その記述が目に入ってくるような状況では,学校としても使う方法に迷いが出てくるので,「心のノート」を軸にしながら構成していくということであれば,各学年ごとに作るという方向性も考えられていいのではないか。

【その他】

○ たたき台の方向性はいいと思う。
○ 授業で子ども達から「先生は,道徳の時間で何をしたいんですか」とよく聞かれたことがあるが,そのときに,この「心のノート」があれば,もう少しわかりやすく,子供たちに一つ一つ話ができたのではないかと思う。
○ 「心のノート」のアンケートには,自分の考えとも一致する部分があるし,「心のノート」の全面改訂の基本的な考え方も納得できる部分が多々ある。
○ たたき台資料の1(児童・生徒が道徳的価値や規範的意識について自ら考え,実際に行動できるようになる)に関しては,非常に重要。
○ 「総論では賛成だが,一部や各論では反対」という方がいる中では,やはり仕組みを変えないと,この「心のノート」を作って配ってもなかなか使ってもらえなければ意味がないのかなと思う。
○ 「心のノート」は子供たちが心の成長をしていくための糧になるものであってほしい。これまでも子供たちの心を育てていく上で重要な役割を担っていた。
○ 子供の育つ背景には格差があるので,いろいろな教材をつくるときには配慮していただきたい。この「心のノート」についても,いわゆる標準的な,モデル的な家庭を前提に作られているところが多少ある。
○ 「心のノート」が配付されているときはものすごく活用されていたが,ウェブ化されてからは,残念ながらその活用の頻度は少なくなってきている。心ある教員は,自分で「心のノート」に代わるプリントを刷って配付して授業をするというようなこともやってきていたが,配付が再開されるということで大いに期待をしているし,よりよいものを作らなければならない。
○ 自分が中学校に入ったとき,担任の先生が大きなノートを1冊全員に配った。これは「成長簿」と名づけられており,「3年間このノートを道徳の時間に使うんだ。」と言われた。ノートの左側にその日の教材を貼って,右側に感想を書くというスタイルで,我々にとっての「心のノート」であった。
○ 一番最初の授業は,「家に帰って,自分の生活信条を親と3つ約束してきなさい。」「それを次の時間に先生に出して,それが1年間終わったところで,約束した3つのことはどうだったかという感想を書きなさい。」というような授業だった。

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