資料6 学習指導要領(道徳関係抜粋)

小学校学習指導要領(平成20年3月告示)〔道徳教育関係抜粋〕

第1章 総則

第1 教育課程編成の一般方針

  2 学校における道徳教育は,道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。
   道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
   道徳教育を進めるに当たっては,教師と児童及び児童相互の人間関係を深めるとともに,児童が自己の生き方についての考えを深め,家庭や地域社会との連携を図りながら,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない。その際,特に児童が基本的な生活習慣,社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないようにすることなどに配慮しなければならない。

第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
  2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
    (3) 日ごろから学級経営の充実を図り,教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係を育てるとともに児童理解を深め,生徒指導の充実を図ること。
    (9) 各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

第2章 各教科

第1節 国語

  第3 指導計画の作成と内容の取扱い
 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (7) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。

第2節 社会

 第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。

第3節 算数

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,算数科の特質に応じて適切な指導をすること。

第4節 理科

 第3  指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。

第5節 生活

 第3 指導計画の作成と内容の取扱い            
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,生活科の特質に応じて適切な指導をすること。

第6節 音楽

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
    (5) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。

第7節 図画工作

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,図画工作科の特質に応じて適切な指導をすること。

第8節 家庭

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。

第9節 体育

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (5) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,体育科の特質に応じて適切な指導をすること。

第3章 道徳

第1 目標
  道徳教育の目標は,第1章総則の第1の2に示すところにより,学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。
  道徳の時間においては,以上の道徳教育の目標に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら,計画的,発展的な指導によってこれを補充,深化,統合し,道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深め,道徳的実践力を育成するものとする。

第2 内容
  道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,次のとおりとする。

  〔第1学年及び第2学年〕

  1 主として自分自身に関すること。
   (1) 健康や安全に気を付け,物や金銭を大切にし,身の回りを整え,わがままをしないで,規則正しい生活をする。
  (2) 自分がやらなければならない勉強や仕事は,しっかりと行う。
   (3) よいことと悪いことの区別をし,よいと思うことを進んで行う。
   (4) うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活する。

   2 主として他の人とのかかわりに関すること。
   (1) 気持ちのよいあいさつ,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接する。
   (2) 幼い人や高齢者など身近にいる人に温かい心で接し,親切にする。
   (3) 友達と仲よくし,助け合う。
   (4) 日ごろ世話になっている人々に感謝する。

  3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
   (1) 生きることを喜び,生命を大切にする心をもつ。
   (2) 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接する。
   (3) 美しいものに触れ,すがすがしい心をもつ。 

  4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
   (1) 約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にする。
   (2) 働くことのよさを感じて,みんなのために働く。
   (3) 父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つ喜びを知る。
   (4) 先生を敬愛し,学校の人々に親しんで,学級や学校の生活を楽しくする。
   (5) 郷土の文化や生活に親しみ,愛着をもつ。 

  〔第3学年及び第4学年〕

  1 主として自分自身に関すること。
   (1) 自分でできることは自分でやり,よく考えて行動し,節度のある生活をする。
   (2) 自分でやろうと決めたことは,粘り強くやり遂げる。
   (3) 正しいと判断したことは,勇気をもって行う。
   (4) 過ちは素直に改め,正直に明るい心で元気よく生活する。
   (5) 自分の特徴に気付き,よい所を伸ばす。

  2 主として他の人とのかかわりに関すること。
   (1) 礼儀の大切さを知り,だれに対しても真心をもって接する。
   (2) 相手のことを思いやり,進んで親切にする。
   (3) 友達と互いに理解し,信頼し,助け合う。
   (4) 生活を支えている人々や高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接する。

  3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
   (1) 生命の尊さを感じ取り,生命あるものを大切にする。
   (2) 自然のすばらしさや不思議さに感動し,自然や動植物を大切にする。
   (3) 美しいものや気高いものに感動する心をもつ。

  4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
   (1) 約束や社会のきまりを守り,公徳心をもつ。
   (2) 働くことの大切さを知り,進んでみんなのために働く。
   (3) 父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくる。
   (4) 先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合って楽しい学級をつくる。
   (5) 郷土の伝統と文化を大切にし,郷土を愛する心をもつ。
   (6) 我が国の伝統と文化に親しみ,国を愛する心をもつとともに,外国の人々や文化に関心をもつ。 

 〔第5学年及び第6学年〕

   1 主として自分自身に関すること。
   (1) 生活習慣の大切さを知り,自分の生活を見直し,節度を守り節制に心掛ける。
   (2) より高い目標を立て,希望と勇気をもってくじけないで努力する。
   (3) 自由を大切にし,自律的で責任のある行動をする。
   (4) 誠実に,明るい心で楽しく生活する。
   (5) 真理を大切にし,進んで新しいものを求め,工夫して生活をよりよくする。
   (6) 自分の特徴を知って,悪い所を改めよい所を積極的に伸ばす。

  2 主として他の人とのかかわりに関すること。
   (1) 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接する。
   (2) だれに対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にする。
   (3) 互いに信頼し,学び合って友情を深め,男女仲よく協力し助け合う。
   (4) 謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にする。
   (5) 日々の生活が人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それにこたえる。

  3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
   (1) 生命がかけがえのないものであることを知り,自他の生命を尊重する。
   (2) 自然の偉大さを知り,自然環境を大切にする。
   (3) 美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ。

  4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
   (1) 公徳心をもって法やきまりを守り,自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。
   (2) だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正,公平にし,正義の実現に努める。
   (3) 身近な集団に進んで参加し,自分の役割を自覚し,協力して主体的に責任を果たす。
   (4) 働くことの意義を理解し,社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つことをする。
   (5) 父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをする。
   (6) 先生や学校の人々への敬愛を深め,みんなで協力し合いよりよい校風をつくる。
   (7) 郷土や我が国の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,郷土や国を愛する心をもつ。
   (8) 外国の人々や文化を大切にする心をもち,日本人としての自覚をもって世界の人々と親善に努める。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 各学校においては,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開するため,次に示すところにより,道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成するものとする。 
  (1) 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,児童,学校及び地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえた各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示す必要があること。
  (2) 道徳の時間の年間指導計画の作成に当たっては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,計画的,発展的に授業がなされるよう工夫すること。その際,第2に示す各学年段階ごとの内容項目について,児童や学校の実態に応じ,2学年間を見通した重点的な指導や内容項目間の関連を密にした指導を行うよう工夫すること。ただし,第2に示す各学年段階ごとの内容項目は相当する各学年においてすべて取り上げること。なお,特に必要な場合には,他の学年段階の内容項目を加えることができること。 
  (3) 各学校においては,各学年を通じて自立心や自律性,自他の生命を尊重する心を育てることに配慮するとともに,児童の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。特に低学年ではあいさつなどの基本的な生活習慣,社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないこと,中学年では集団や社会のきまりを守り,身近な人々と協力し助け合う態度を身に付けること,高学年では法やきまりの意義を理解すること,相手の立場を理解し,支え合う態度を身に付けること,集団における役割と責任を果たすこと,国家・社会の一員としての自覚をもつことなどに配慮し,児童や学校の実態に応じた指導を行うよう工夫すること。また,高学年においては,悩みや葛藤(かっとう)等の心の揺れ,人間関係の理解等の課題を積極的に取り上げ,自己の生き方についての考えを一層深められるよう指導を工夫すること。

  2 第2に示す道徳の内容は,児童が自ら道徳性をはぐくむためのものであり,道徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動においてもそれぞれの特質に応じた適切な指導を行うものとする。その際,児童自らが成長を実感でき,これからの課題や目標が見付けられるよう工夫する必要がある。

  3 道徳の時間における指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
   (1) 校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
   (2) 集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動などの体験活動を生かすなど,児童の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
   (3) 先人の伝記,自然,伝統と文化,スポーツなどを題材とし,児童が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用を通して,児童の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
   (4) 自分の考えを基に,書いたり話し合ったりするなどの表現する機会を充実し,自分とは異なる考えに接する中で,自分の考えを深め,自らの成長を実感できるよう工夫すること。
   (5) 児童の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえ,情報モラルに関する指導に留意すること。

  4 道徳教育を進めるに当たっては,学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,学校の道徳教育の指導内容が児童の日常生活に生かされるようにする必要がある。また,道徳の時間の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに,保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図るよう配慮する必要がある。

  5 児童の道徳性については,常にその実態を把握して指導に生かすよう努める必要がある。ただし,道徳の時間に関して数値などによる評価は行わないものとする。

第4章 外国語活動

 第3 指導計画の作成と内容の取扱い

  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
   (7) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,外国語活動の特質に応じて適切な指導をすること。

第5章 総合的な学習の時間

第1 目標
      横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにする。

第2 各学校において定める目標及び内容

  1 目標
   各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。

  2 内容
   各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
 (4)育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
 (5)学習活動については,学校の実態に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,児童の興味・関心に基づく課題についての学習活動,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動などを行うこと。
 (6)各教科,道徳,外国語活動及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
  (9)第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。 

  2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
 (3)自然体験やボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。

第6章 特別活動

 第1 目標
 望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養う。

第2 各活動・学校行事の目標及び内容

〔学級活動〕
1 目標

  学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。

2 内容

〔第1学年及び第2学年〕
  学級を単位として,仲良く助け合い学級生活を楽しくするとともに,日常の生活や学習に進んで取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。

〔第3学年及び第4学年〕
  学級を単位として,協力し合って楽しい学級生活をつくるとともに,日常の生活や学習に意欲的に取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。

〔第5学年及び第6学年〕
  学級を単位として,信頼し支え合って楽しく豊かな学級や学校の生活をつくるとともに,日常の生活や学習に自主的に取り組もうとする態度の向上に資する活動を行うこと。 

〔共通事項〕
    (1) 学級や学校の生活づくり
      ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
      イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
      ウ  学校における多様な集団の生活の向上

   (2) 日常の生活や学習への適応及び健康安全
      ア 希望や目標をもって生きる態度の形成
      イ 基本的な生活習慣の形成
     ウ 望ましい人間関係の形成
      エ 清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解
      オ 学校図書館の利用
      カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成
      キ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成

〔児童会活動〕
1 目標

  児童会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

    学校の全児童をもって組織する児童会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。 
   (1) 児童会の計画や運営
   (2) 異年齢集団による交流
   (3) 学校行事への協力

〔クラブ活動〕
1 目標

  クラブ活動を通して,望ましい人間関係を形成し,個性の伸長を図り,集団の一員として協力してよりよいクラブづくりに参画しようとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

    学年や学級の所属を離れ,主として第4学年以上の同好の児童をもって組織するクラブにおいて,異年齢集団の交流を深め,共通の興味・関心を追求する活動を行うこと。
   (1) クラブの計画や運営
   (2) クラブを楽しむ活動
   (3) クラブの成果の発表

〔学校行事〕
1 目標

   学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

  全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

  (1) 儀式的行事
     学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。

  (2) 文化的行事
        平素の学習活動の成果を発表し,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。

  (3) 健康安全・体育的行事
        心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵(かん)養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。

  (4) 遠足・集団宿泊的行事
        自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,人間関係などの集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。

  (5) 勤労生産・奉仕的行事
        勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
 (1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学級や学校の実態や児童の発達の段階などを考慮し,児童による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳,外国語活動及び総合的な学習の時間などの指導との関連を図るとともに,家庭や地域の人々との連携,社会教育施設等の活用などを工夫すること。
 (2) 〔学級活動〕などにおいて,児童が自ら現在及び将来の生き方を考えることができるよう工夫すること。
 (3) 〔クラブ活動〕については,学校や地域の実態等を考慮しつつ児童の興味・関心を踏まえて計画し実施できるようにすること。
 (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。

  2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
 (1) 〔学級活動〕,〔児童会活動〕及び〔クラブ活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,児童の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるなどの話合い活動や自分たちできまりをつくって守る活動,人間関係を形成する力を養う活動などを充実するよう工夫すること。
 (2) 〔学級活動〕については,学級,学校及び児童の実態,学級集団の育成上の課題や発達の課題及び第3章道徳の第3の1の(3)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年段階において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,学級経営の充実を図り,個々の児童についての理解を深め,児童との信頼関係を基礎に指導を行うとともに,生徒指導との関連を図るようにすること。
 (3) 〔児童会活動〕の運営は,主として高学年の児童が行うこと。
 (4) 〔学校行事〕については,学校や地域及び児童の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,異年齢集団による交流,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験などの体験活動を充実するとともに,体験活動を通して気付いたことなどを振り返り,まとめたり,発表し合ったりするなどの活動を充実するよう工夫すること。

  3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。

中学校学習指導要領(平成20年3月告示)〔道徳教育関係抜粋〕

第1章 総則

第1 教育課程編成の一般方針
  2 学校における道徳教育は,道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。
   道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
   道徳教育を進めるに当たっては,教師と生徒及び生徒相互の人間関係を深めるとともに,生徒が道徳的価値に基づいた人間としての生き方についての自覚を深め,家庭や地域社会との連携を図りながら,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動などの豊かな体験を通して生徒の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない。その際,特に生徒が自他の生命を尊重し,規律ある生活ができ,自分の将来を考え,法やきまりの意義の理解を深め,主体的に社会の形成に参画し,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどに配慮しなければならない。

第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
  2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
    (3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が自主的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。                
    (4) 生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと。  
   (5) 生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,ガイダンスの機能の充実を図ること。          

第2章 各教科

第1節 国語

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。

第2節 社会

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。

第3節 数学

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (3)  第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導をすること。

第4節 理科

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。

第5節 音楽

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。

第6節 美術

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (5) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,美術科の特質に応じて適切な指導をすること。

第7節 保健体育

第3  指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (3) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,保健体育科の特質に応じて適切な指導をすること。

第8節 技術・家庭

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,技術・家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。

第9節 外国語

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  3 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,外国語科の特質に応じて適切な指導をすること。

第3章 道徳

第1 目標                                           
 道徳教育の目標は,第1章総則の第1の2に示すところにより,学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。
 道徳の時間においては,以上の道徳教育の目標に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら,計画的,発展的な指導によってこれを補充,深化,統合し,道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め,道徳的実践力を育成するものとする。

第2 内容  
 道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,次のとおりとする。
  1 主として自分自身に関すること。                      
    (1) 望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け調和のある生活をする。       
  (2) より高い目標を目指し,希望と勇気をもって着実にやり抜く強い意志をもつ。 
  (3) 自律の精神を重んじ,自主的に考え,誠実に実行してその結果に責任をもつ。 
  (4) 真理を愛し,真実を求め,理想の実現を目指して自己の人生を切り拓いていく。
  (5) 自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求する。

  2 主として他の人とのかかわりに関すること。           
  (1) 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとる。
  (2) 温かい人間愛の精神を深め,他の人々に対し思いやりの心をもつ。  
  (3) 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合う。
  (4) 男女は,互いに異性についての正しい理解を深め,相手の人格を尊重する。   
  (5) それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解して,寛容の心をもち謙虚に他に学ぶ。                   
  (6) 多くの人々の善意や支えにより,日々の生活や現在の自分があることに感謝し,それにこたえる。

  3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。 
  (1) 生命の尊さを理解し,かけがえのない自他の生命を尊重する。       
  (2) 自然を愛護し,美しいものに感動する豊かな心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深める。       
  (3) 人間には弱さや醜さを克服する強さや気高さがあることを信じて,人間として生きることに喜びを見いだすように努める。                  

  4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。       
  (1) 法やきまりの意義を理解し,遵(じゅん)守するとともに,自他の権利を重んじ義務を確実に果たして,社会の秩序と規律を高めるように努める。     
  (2) 公徳心及び社会連帯の自覚を高め,よりよい社会の実現に努める。   
  (3) 正義を重んじ,だれに対しても公正,公平にし,差別や偏見のない社会の実現に努める。                   
  (4) 自己が属する様々な集団の意義についての理解を深め,役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める。        
  (5) 勤労の尊さや意義を理解し,奉仕の精神をもって,公共の福祉と社会の発展に努める。                       
  (6) 父母,祖父母に敬愛の念を深め,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築く。                   
  (7) 学級や学校の一員としての自覚をもち,教師や学校の人々に敬愛の念を深め,協力してよりよい校風を樹立する。
  (8) 地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し,社会に尽くした先人や高齢者に尊敬と感謝の念を深め,郷土の発展に努める。           
  (9) 日本人としての自覚をもって国を愛し,国家の発展に努めるとともに,優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献する。                   
  (10) 世界の中の日本人としての自覚をもち,国際的視野に立って,世界の平和と人類の幸福に貢献する。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い                                     
  1 各学校においては,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開するため,次に示すところにより,道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成するものとする。 
    (1) 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,生徒,学校及び地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえた各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示す必要があること。
  (2) 道徳の時間の年間指導計画の作成に当たっては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,計画的,発展的に授業がなされるよう工夫すること。その際,第2に示す各内容項目の指導の充実を図る中で,生徒や学校の実態に応じ,3学年間を見通した重点的な指導や内容項目間の関連を密にした指導を行うよう工夫すること。ただし,第2に示す内容項目はいずれの学年においてもすべて取り上げること。        
  (3) 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。特に,自他の生命を尊重し,規律ある生活ができ,自分の将来を考え,法やきまりの意義の理解を深め,主体的に社会の形成に参画し,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどに配慮し,生徒や学校の実態に応じた指導を行うよう工夫すること。また,悩みや葛藤(かっとう)等の思春期の心の揺れ,人間関係の理解等の課題を積極的に取り上げ,道徳的価値に基づいた人間としての生き方について考えを深められるよう配慮すること。

  2 第2に示す道徳の内容は,生徒が自ら道徳性をはぐくむためのものであり,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動においてもそれぞれの特質に応じた適切な指導を行うものとする。その際,生徒自らが成長を実感でき,これからの課題や目標が見付けられるよう工夫する必要がある。

  3 道徳の時間における指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (1) 学級担任の教師が行うことを原則とするが,校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
  (2) 職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動などの体験活動を生かすなど,生徒の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
  (3) 先人の伝記,自然,伝統と文化,スポーツなどを題材とし,生徒が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用を通して,生徒の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。      
  (4) 自分の考えを基に,書いたり討論したりするなどの表現する機会を充実し,自分とは異なる考えに接する中で,自分の考えを深め,自らの成長を実感できるよう工夫すること。
  (5) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえて,情報モラルに関する指導に留意すること。

  4 道徳教育を進めるに当たっては,学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,学校の道徳教育の指導内容が生徒の日常生活に生かされるようにする必要がある。また,道徳の時間の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに,保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図るよう配慮する必要がある。

  5 生徒の道徳性については,常にその実態を把握して指導に生かすよう努める必要がある。ただし,道徳の時間に関して数値などによる評価は行わないものとする。

第4章 総合的な学習の時間

第1 目標
   横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにする。

第2 各学校において定める目標及び内容
  1 目標
   各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。

  2 内容
   各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4)育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
    (5)学習活動については,学校の実態に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,生徒の興味・関心に基づく課題についての学習活動,地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動,職業や自己の将来に関する学習活動などを行うこと。
    (6)各教科,道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
    (9)第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。 

  2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
    (3)自然体験や職場体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
    (7)職業や自己の将来に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,自己を理解し,将来の生き方を考えるなどの学習活動が行われるようにすること。 

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (6) 各教科,道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
  (7) 各教科,道徳及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
  (9) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。

第5章 特別活動

第1 目標
  望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。

第2 各活動・学校行事の目標及び内容

〔学級活動〕

1  目標

 学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。

2 内容

 学級を単位として,学級や学校の生活の充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応に資する活動を行うこと。

  (1) 学級や学校の生活づくり
   ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
   イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
   ウ 学校における多様な集団の生活の向上

  (2) 適応と成長及び健康安全
   ア 思春期の不安や悩みとその解決
   イ 自己及び他者の個性の理解と尊重
   ウ 社会の一員としての自覚と責任
   エ 男女相互の理解と協力
   オ 望ましい人間関係の確立
   カ ボランティア活動の意義の理解と参加
   キ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成
   ク 性的な発達への適応
   ケ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成

  (3) 学業と進路
       ア 学ぶことと働くことの意義の理解
   イ 自主的な学習態度の形成と学校図書館の利用
   ウ 進路適性の吟味と進路情報の活用
   エ 望ましい勤労観・職業観の形成
   オ 主体的な進路の選択と将来設計

〔生徒会活動〕

1 目標

 生徒会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団や社会の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

 学校の全生徒をもって組織する生徒会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。
  (1) 生徒会の計画や運営
  (2) 異年齢集団による交流
  (3) 生徒の諸活動についての連絡調整
  (4) 学校行事への協力
  (5) ボランティア活動などの社会参加

〔学校行事〕

1 目標

 学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

  全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

  (1) 儀式的行事
        学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。 

  (2)文化的行事
    平素の学習活動の成果を発表し,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。 

  (3) 健康安全・体育的行事
    心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵(かん)養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。 

  (4) 旅行・集団宿泊的行事
    平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。

  (5) 勤労生産・奉仕的行事
    勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職場体験などの職業や進路にかかわる啓発的な体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (1)特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達の段階などを考慮し,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳及び総合的な学習の時間などの指導との関連を図るとともに,家庭や地域の人々との連携,社会教育施設等の活用などを工夫すること。
  (2) 生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
  (3) 学校生活への適応や人間関係の形成,進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するよう〔学級活動〕等の指導を工夫すること。特に,中学校入学当初においては,個々の生徒が学校生活に適応するとともに,希望と目標をもって生活をできるよう工夫すること。
  (4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。

 2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
  (1) 〔学級活動〕及び〔生徒会活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,生徒の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるなどの話合い活動や自分たちできまりをつくって守る活動,人間関係を形成する力を養う活動などを充実するよう工夫すること。
  (2) 〔学級活動〕については,学校,生徒の実態及び第3章道徳の第3の1の(3)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,個々の生徒についての理解を深め,生徒との信頼関係を基礎に指導を行うとともに,生徒指導との関連を図るようにすること。
  (3) 〔学校行事〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験などの体験活動を充実するとともに,体験活動を通して気付いたことなどを振り返り,まとめたり,発表し合ったりするなどの活動を充実するよう工夫すること。

 3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。

高等学校学習指導要領(平成21年3月告示)〔道徳教育関係抜粋〕

第1章 総則

第1款 教育課程編成の一般方針
 2 学校における道徳教育は,生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達の段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより,その充実を図るものとし,各教科に属する科目,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,適切な指導を行わなければならない。
      道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
      道徳教育を進めるに当たっては,特に,道徳的実践力を高めるとともに,自他の生命を尊重する精神,自律の精神及び社会連帯の精神並びに義務を果たし責任を重んずる態度及び人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行われるよう配慮しなければならない。

第5款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
 3 指導計画の作成に当たって配慮すべき事項
   各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
    (4) 全教師が協力して道徳教育を展開するため,第1款の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,指導の方針や重点を明確にして,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について,その全体計画を作成すること。

 5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項
      以上のほか,次の事項について配慮するものとする。
    (3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が主体的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。
    (4) 生徒が自己の在り方生き方を考え,主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行い,キャリア教育を推進すること。
    (10) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ実践的,主体的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

第3節 公民

第1款 目標

 広い視野に立って,現代の社会について主体的に考察させ,理解を深めさせるとともに,人間としての在り方生き方についての自覚を育て,平和で民主的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。

第2款 各科目

第1 現代社会

  1 目標

   人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさせ,現代社会の基本的な問題について主体的に考察し公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考察する力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

  2 内容

  (1) 私たちの生きる社会
    現代社会における諸課題を扱う中で,社会の在り方を考察する基盤として,幸福,正義,公正などについて理解させるとともに,現代社会に対する関心を高め,いかに生きるかを主体的に考察することの大切さを自覚させる。

  (2) 現代社会と人間としての在り方生き方
    現代社会について,倫理,社会,文化,政治,法,経済,国際社会など多様な角度から理解させるとともに,自己とのかかわりに着目して,現代社会に生きる人間としての在り方生き方について考察させる。

   ア 青年期と自己の形成
      生涯における青年期の意義を理解させ,自己実現と職業生活,社会参加,伝統や文化に触れながら自己形成の課題を考察させ,現代社会における青年の生き方について自覚を深めさせる。

   イ 現代の民主政治と政治参加の意義
      基本的人権の保障,国民主権,平和主義と我が国の安全について理解を深めさせ,天皇の地位と役割,議会制民主主義と権力分立など日本国憲法に定める政治の在り方について国民生活とのかかわりから認識を深めさせるとともに,民主政治における個人と国家について考察させ,政治参加の重要性と民主社会において自ら生きる倫理について自覚を深めさせる。

   ウ 個人の尊重と法の支配
      個人の尊重を基礎として,国民の権利の保障,法の支配と法や規範の意義及び役割,司法制度の在り方について日本国憲法と関連させながら理解を深めさせるとともに,生命の尊重,自由・権利と責任・義務,人間の尊厳と平等などについて考察させ,他者と共に生きる倫理について自覚を深めさせる。

   エ 現代の経済社会と経済活動の在り方
      現代の経済社会の変容などに触れながら,市場経済の機能と限界,政府の役割と財政・租税,金融について理解を深めさせ,経済成長や景気変動と国民福祉の向上の関連について考察させる。また,雇用,労働問題,社会保障について理解を深めさせるとともに,個人や企業の経済活動における役割と責任について考察させる。

   オ 国際社会の動向と日本の果たすべき役割
      グローバル化が進展する国際社会における政治や経済の動向に触れながら,人権,国家主権,領土に関する国際法の意義,人種・民族問題,核兵器と軍縮問題,我が国の安全保障と防衛及び国際貢献,経済における相互依存関係の深まり,地域的経済統合,南北問題など国際社会における貧困や格差について理解させ,国際平和,国際協力や国際協調を推進する上での国際的な組織の役割について認識させるとともに,国際社会における日本の果たすべき役割及び日本人の生き方について考察させる。

  (3) 共に生きる社会を目指して
        持続可能な社会の形成に参画するという観点から課題を探究する活動を通して,現代社会に対する理解を深めさせるとともに,現代に生きる人間としての在り方生き方について考察を深めさせる。

  3 内容の取扱い

  (1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
   ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科,情報科及び特別活動などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
      イ 社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,社会的事象に対する関心をもって多様な角度から考察させるとともに,できるだけ総合的にとらえることができるようにすること。また,生徒が自己の生き方にかかわって主体的に考察できるよう学習指導の展開を工夫すること。
   ウ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
   エ 的確な資料に基づいて,社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに,学び方の習得を図ること。その際,統計などの資料の見方やその意味,情報の検索や処理の仕方,簡単な社会調査の方法などについて指導するよう留意すること。また,学習の過程で考察したことや学習の成果を適切に表現させるよう留意すること。

    (2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
   ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
    (ア) 内容の(1)は,この科目の導入として位置付けること。
    (イ) 「現代社会における諸課題」としては,生命,情報,環境などを扱うこと。
      イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
    (ア) 項目ごとに課題を設定し,内容の(1)で取り上げた幸福,正義,公正などを用いて考察させること。
    (イ) アの「生涯における青年期の意義」と「自己形成の課題」については,生涯にわたる学習の意義についても考察させること。また,男女が共同して社会に参画することの重要性にも触れること。
    (ウ) イについては,地方自治に触れながら政治と生活との関連について認識を深めさせること。「政治参加の重要性」については,世論の形成の意義についても理解させること。また,「民主社会において自ら生きる倫理」については,個人と社会との関係に着目して考察させること。
    (エ) ウについては,法に関する基本的な見方や考え方を身に付けさせるとともに裁判員制度についても扱うこと。
    (オ) エの「市場経済の機能と限界」については,経済活動を支える私法に関する基本的な考え方についても触れること。「金融」については,金融制度や資金の流れの変化などにも触れること。また,「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,公害の防止と環境保全,消費者に関する問題などについても触れること。
    (カ) オの「人種・民族問題」については,文化や宗教の多様性についても触れ,それぞれの固有の文化などを尊重する寛容の態度を養うこと。
   ウ 内容の(3)については,この科目のまとめとして位置付け,内容の(1)及び(2)で学習した成果を活用させること。地域や学校,生徒の実態等に応じて課題を設定し,個人と社会の関係,社会と社会の関係,現役世代と将来世代の関係のいずれかに着目させること。

第2 倫理

  1 目標

    人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,他者と共に生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

  2 内容

    (1) 現代に生きる自己の課題

    自らの体験や悩みを振り返ることを通して,青年期の意義と課題を理解させ,豊かな自己形成に向けて,他者と共に生きる自己の生き方について考えさせるとともに,自己の生き方が現代の倫理的課題と結び付いていることをとらえさせる。

  (2) 人間としての在り方生き方
    自己の生きる課題とのかかわりにおいて,先哲の基本的な考え方を手掛かりとして,人間の存在や価値について思索を深めさせる。

      ア 人間としての自覚
     人生における哲学,宗教,芸術のもつ意義などについて理解させ,人間の存在や価値にかかわる基本的な課題について思索させることを通して,人間としての在り方生き方について考えを深めさせる。

   イ 国際社会に生きる日本人としての自覚
     日本人にみられる人間観,自然観,宗教観などの特質について,我が国の風土や伝統,外来思想の受容に触れながら,自己とのかかわりにおいて理解させ,国際社会に生きる主体性のある日本人としての在り方生き方について自覚を深めさせる。

  (3) 現代と倫理
    現代に生きる人間の倫理的課題について思索を深めさせ,自己の生き方の確立を促すとともに,よりよい国家・社会を形成し,国際社会に主体的に貢献しようとする人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。

   ア 現代に生きる人間の倫理 
      人間の尊厳と生命への畏(い)敬,自然や科学技術と人間とのかかわり,民主社会における人間の在り方,社会参加と奉仕,自己実現と幸福などについて,倫理的な見方や考え方を身に付けさせ,他者と共に生きる自己の生き方にかかわる課題として考えを深めさせる。

   イ 現代の諸課題と倫理
      生命,環境,家族,地域社会,情報社会,文化と宗教,国際平和と人類の福祉などにおける倫理的課題を自己の課題とつなげて探究する活動を通して,論理的思考力や表現力を身に付けさせるとともに,現代に生きる人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。

  3 内容の取扱い

    (1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
      ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科,情報科及び特別活動などとの関連を図るとともに,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
      イ 先哲の基本的な考え方を取り上げるに当たっては,内容と関連が深く生徒の発達や学習段階に適した代表的な先哲の言説等を精選すること。また,生徒自らが人生観,世界観を確立するための手掛かりを得させるよう様々な工夫を行うこと。

    (2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
      ア 内容の(1)については,この科目の導入として位置付け,生徒自身の課題を他者,集団や社会,生命や自然などとのかかわりを視点として考えさせ,以後の学習への意欲を喚起すること。
      イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
        (ア) アについては,ギリシアの思想,キリスト教,イスラム教,仏教,儒教などの基本的な考え方を代表する先哲の思想,芸術家とその作品を,倫理的な観点を明確にして取り上げるなど工夫すること。
        (イ) イについては,古来の日本人の考え方や代表的な日本の先哲の思想を手掛かりにして,自己の課題として学習させること。
      ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
        (ア) アについては,倫理的な見方や考え方を身に付けさせ,自己の課題として考えを深めていく主体的な学習への意欲を喚起すること。
        (イ) イについては,アの学習を基礎として,学校や生徒の実態等に応じて課題を選択し,主体的に探究する学習を行うよう工夫すること。その際,イに示された倫理的課題が相互に関連していることを踏まえて,学習が効果的に展開するよう留意するとともに,論述したり討論したりするなどの活動を通して,自己の確立を促すよう留意すること。

第3款 各科目にわたる内容の取扱い

  1 各科目の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1) 情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに,作業的,体験的な学習を取り入れるよう配慮すること。そのため,各種の統計,年鑑,白書,新聞,読み物,地図その他の資料を収集,選択し,それらを読み取り解釈すること,観察,見学及び調査・研究したことを発表したり報告書にまとめたりすることなど様々な学習活動を取り入れること。
  (2) 資料の収集,処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するとともに,生徒が主体的に情報手段を活用できるようにすること。その際,情報モラルの指導にも留意すること。
  2 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。

第4章 総合的な学習の時間

第1 目標
   横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにする。

第2 各学校において定める目標及び内容

  1 目標

   各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。 

  2 内容

   各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
    (5) 学習活動については,地域や学校の特色,生徒の特性等に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について知識や技能の深化,総合化を図る学習活動,自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動などを行うこと。

   2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
    (3) 自然体験や就業体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験・実習,調査・研究,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。

第5章 特別活動

 第1 目標
   望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての在り方生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。

第2 各活動・学校行事の目標及び内容

〔ホームルーム活動〕

1 目標

  ホームルーム活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員としてホームルームや学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。

2 内容

  学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位として,ホームルームや学校の生活の充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応に資する活動を行うこと。

    (1) ホームルームや学校の生活づくり
       ア ホームルームや学校における生活上の諸問題の解決
   イ ホームルーム内の組織づくりと自主的な活動
   ウ 学校における多様な集団の生活の向上

  (2) 適応と成長及び健康安全
   ア 青年期の悩みや課題とその解決
   イ 自己及び他者の個性の理解と尊重
   ウ 社会生活における役割の自覚と自己責任
   エ 男女相互の理解と協力
   オ コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立
   カ ボランティア活動の意義の理解と参画
   キ 国際理解と国際交流
   ク 心身の健康と健全な生活態度や規律ある習慣の確立
   ケ 生命の尊重と安全な生活態度や規律ある習慣の確立

  (3) 学業と進路
   ア 学ぶことと働くことの意義の理解
   イ 主体的な学習態度の確立と学校図書館の利用
   ウ 教科・科目の適切な選択
   エ 進路適性の理解と進路情報の活用
   オ 望ましい勤労観・職業観の確立
   カ 主体的な進路の選択決定と将来設計

〔生徒会活動〕

1 目標

  生徒会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団や社会の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

  学校の全生徒をもって組織する生徒会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。

    (1) 生徒会の計画や運営
  (2) 異年齢集団による交流
  (3) 生徒の諸活動についての連絡調整
  (4) 学校行事への協力
  (5) ボランティア活動などの社会参画

〔学校行事〕

1 目標

  学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活や社会生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。

2 内容

  全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

  (1) 儀式的行事
        学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。

  (2)文化的行事
        平素の学習活動の成果を総合的に生かし,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。

  (3) 健康安全・体育的行事
        心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感

の涵(かん)養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。

  (4) 旅行・集団宿泊的行事
    平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。

  (5) 勤労生産・奉仕的行事
    勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,就業体験などの職業観の形成や進路の選択決定などに資する体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。 

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
  1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (1)特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達の段階及び特性等を考慮し,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科・科目や総合的な学習の時間などの指導との関連を図るとともに,家庭や地域の人々との連携,社会教育施設等の活用などを工夫すること。その際,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験的な活動や就業体験などの勤労にかかわる体験的な活動の機会をできるだけ取り入れること。
  (2) 生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
  (3) 学校生活への適応や人間関係の形成,教科・科目や進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するよう〔ホームルーム活動〕等の指導を工夫すること。特に,高等学校入学当初においては,個々の生徒が学校生活に適応するとともに,希望と目標をもって生活をできるよう工夫すること。
  (4) 〔ホームルーム活動〕を中心として特別活動の全体を通じて,特に社会において自立的に生きることができるようにするため,社会の一員としての自己の生き方を探求するなど,人間としての在り方生き方の指導が行われるようにすること。その際,他の教科,特に公民科や総合的な学習の時間との関連を図ること。

  2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
  (1) 〔ホームルーム活動〕及び〔生徒会活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,生徒の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるなどの話合い活動や自分たちできまりをつくって守る活動,人間関係を形成する力を養う活動などを充実するよう工夫すること。
  (2) 〔ホームルーム活動〕及び〔生徒会活動〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,入学から卒業までを見通して,必要に応じて内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,〔ホームルーム活動〕については,個々の生徒についての理解を深め,生徒との信頼関係を基礎に指導を行うとともに,生徒指導との関連を図るようにすること。
  (3) 〔学校行事〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,入学から卒業までを見通して,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験などの体験活動を充実するとともに,体験活動を通して気付いたことなどを振り返り,まとめたり,発表し合ったりするなどの活動を充実するよう工夫すること。
  (4) 特別活動の一環として学校給食を実施する場合には,食育の観点を踏まえた適切な指導を行うこと。

  3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。

  4 〔ホームルーム活動〕については,主としてホームルームごとにホームルーム担任の教師が指導することを原則とし,活動の内容によっては他の教師などの協力を得ることとする。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第一係

03-5253-4111(内線2903)