【参考資料3】外国語教育における「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標設定に関する検討会議(第9回)主な意見

平成26年1月10日


○ 国としてのCAN-DOリストをどのような形にするか、これからこの会議で検討していくことになるが、CAN-DOリストの形での学習到達目標の作成については、既に全国の中・高等学校取り組んでいるところだが、一種の大綱的な形のものを国として定めることを考えている。高等学校は学校によって英語の授業時間等に差があるので、かなり幅を持たせたものを作っていくということになると思う。

○ CAN-DOリストのレベル感が共有されておらず、リストだけを見て判断しようとすると、上下関係、難易度の判断が難しい。現在、CEFRはもう10年ぐらいヨーロッパでは使われているので、例えばA1というと大体あのぐらいだというレベル感が共有できている。そうすると、能力記述文は短くなっていく。日本においても、指導要領の枠を皆が共有・理解しているのであれば、CAN-DO文をCEFRほど詳細に書かなくてもいいのかもしれない。CAN-DO文を見たときに先生が、これがどういうレベルか分からないということがあると思うので、レベル感の共有が非常に重要になる。また、ヨーロッパでは、例えばA1レベルに到達するのにどの程度の時間がかかるかということや、A2レベルに到達するにはA1レベルに到達する時間の2倍ほどかかるといったことも分かってきている。

○ 「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」(平成25年12月13日公表)では、高等学校卒業段階での到達目標をB2としているが、これはかなりアカデミックなことにも対応できるような高い能力である。トップ10%程度は到達できるだろう。フィンランドなどでは、このような高い目標を設定しているが、これは教員の専門性が高く、教科教育に専念できる環境があるから実現できるのではないか。これに対して、日本の、特に義務教育学校の教員は、様々な業務を抱えており、多忙である。

○ フィンランドのように、他教科の内容を題材に外国語を学習するCLIL的な要素を取り入れたりするなどの工夫を加えれば、高い目標設定も可能ではないか。外国語の授業時数を増やすだけでなく、質を変える必要がある。

○ 各県立高校でCAN-DOリストの形での学習到達目標を設定したが、実際に使われていないことも多い。シラバスとの整理が必要など、まだ課題は多い。

○ CAN-DOリストについては、各学校や県で作成されており、そのこと自体は非常に意義深いことだった。しかし、これから国が大枠を示すということになると、今までのものが無駄にならないようにする必要がある。それにしても、到達目標のレベル感を共有するためには、国の枠組みが必要だろう。ただし、作るだけではなく、その活用のための研修等も重要である。
 現場の先生は忙し過ぎるという問題を何とかしないといけない。環境整備が必要だ。40人の生徒を相手に、特に中学の場合は英語力に差がある中で、どのレベルの生徒を念頭に授業をするのかという現実的な問題を踏まえた施策が必要である。
 また、次の学習指導要領について、外国語科だけ別の書き方(CAN-DO形式)をすることが可能かをしっかりと決めておかないと、この取組が学習指導要領や検定教科書と連動しないという結果になりかねない。現在の検定教科書には非常に問題があると考えている。 

○ どの生徒もグローバルリーダーとなり得る人材かと言われるとそうではないかもしれない。しかし、自分はこれから国の繁栄のために何らかの形で役に立てる人材なのだという自負を持って学校を卒業していけるような、そういうCAN-DOリスト作りというものを考えていかなければいけない。そのためには到達目標に生徒をいかに引き寄せていくかということ、そしてCAN-DOリストをいかに生徒に寄り添わせていくか、そういう視点が非常に大事になる。

○ 小中高大を通した1本の到達目標ができるのはいいことである。中学校ではまだCAN-DOリストの形での学習到達目標を設定しているところは少ない。各校でCAN-DOリストを作ることで、教員間のコミュニケーションが活発になり、同僚の先生が何を考えているのか、どういう教育を目指しているのかということが共有できるようにすることが大切。
 中学校では外国語の授業時数が増え、教科書も厚くなったが、ドリル練習が増えてもしょうがない。指導方法に焦点を当ててほしい。
CAN-DOリストを国として作ったとしても、作っただけではいけない。到達度を測るための指標も必要である。
 昨年度に作成したCAN-DOリストの手引きでは全員に到達させるべき目標としている。目標として高いものを掲げるのも絶対に必要なことだが、それを能力記述文としてどう表すかが課題である。

○ 国としてCAN-DOリストを作ったとき、各学校で作成した到達目標をボトムアップ的にどれぐらい残せるのかということが重要。国が作成したトップダウンのCAN-DOリストができたときに、うまくかみ合うような仕組み作りが必要。
 小学校へのCAN-DOリストの導入について、厳密にできる、できないということをしゅん別しようと思うとなじまないと思うが、だんだんできるようになる過程の中で、振り返りを行うという取組は小学校でよく行われている。CAN-DOリストの背後にあるポートフォリオ(児童生徒の学習の過程や成果などの記録や作品を計画的に集積したファイル等)や自己評価の考え方は小学校になじみやすいと思う。CAN-DOリストがあることによって、「あ、こういうことができるようになっていっているんだ。じゃあ、もっとやりたいな」というふうな感覚につながりやすくなる。それがうまくいってくると、中・高で目標意識を持った子が育っていくのではないか。そのような取組も同時に支援されていけば、CAN-DOリストは非常にうまく行くのではないか。また、CLIL的な取組も重要。

○ エビデンスを集積すれば、小中高大と続くレールができてくるのではないか。地元でもCAN-DOの効果が出てきている。教員研修は重要。

○ 今、各県の高校でCAN-DOリストを作っている。今後、国が、例えばCEFRのB1レベルというような大枠を示すのであればよいが、別の目標をディスクリプター(能力記述文)で出すとなると、大変ではないか。現場の教員のやる気をなくさないようにすることが必要。また、小学校及び大学での英語教育、及び中高の教科書について課題があると感じている。

○ 今まで各学校で先生たちが作ってきたものと国が作るものとにどう整合性を持たせるか、また世界的な標準に合わせたものをどうやって設定していくか、そのための教員研修をどうするか、評価の問題も含めて、これからじっくりと議論していく。

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