参考資料1 外国語教育における「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標設定に関する検討会議(第5回)主な意見(案)

平成24年11月26日

 単元の目標を意識して授業を実施することが重要とあるが,目標だけではなく,その評価も常に授業のときに意識されていることで,授業改善が具体的に進む。評価規準を意識して授業を実施することが重要ではないか。


自治体によって,CAN-DOに関する取組にもかなりばらつきがある。実際に自分たちのCAN-DOの骨組みが見えて,既存の枠組み等も参考になるということに気づくことが,現場にとっては大きなステップではないか。現場の状況に鑑みて,まずできる部分を固めていったほうがいい。


手引き案の中でも触れられている評価に関しては,特に面接,エッセー,スピーチによるパフォーマンス評価は,教育現場で不慣れな先生もいるので,手厚い指導が必要になってくるのではないか。


言語活動中心の授業に変わるためには,単元観が非常に大事になるが,今は単元イコール教科書のレッスンと捉えられてしまっている。教科書のレッスンごとに何か目標を立ててやるのもいいが,それだと,本当の意味での単元にならない。ここでの単元の意味について定義が必要ではないか。学校で,シラバスを見せてもらうと教科書会社が提示したシラバスであることが非常に多い。今後,教科書会社が指導書にCAN-DOを書くようになると,結局その教科書のレッスンにおけるCAN-DOは教科書会社が書いたものになり,授業の改善にはつながらない。
教科書のレッスンを教科書の順番どおりに扱うとして,1回では目標に到達できないこともあるので,方法を変えつつ,繰り返し,同じ目標が出てきてもいいのではないか。


観点別学習状況の評価との関係で,それぞれの中学校がそれぞれに目標を設定して評価をしているために,高等学校への受験に際しての内申に使われたりする場合に,全く異なった価値を持つものが上がってきてしまう。同じパフォーマンスをした時に,ある学校ではAと判断され,ある学校ではBと判断される。比較可能でない状況にある。CAN-DOがきっちりでき上がれば,そういった問題点を,完全にではないにしろ,ある程度,克服することが潜在的に可能であると思うが,各学校でそれぞれの教科書等に基づいて取り組むとなると,この状態は必ずしも解消されないのではないか。


CAN-DOリスト形式の学習到達目標は,全生徒が到達すべきものなのか,あるいは,ある程度のできる生徒が達成すればいいのかという議論があったが,基本的な考え方としては,特に中学校は義務教育であることもあり,全員に求められるものという立場だと思う。その際に,あまりにも客観的基準だけでやってしまうと,落ちこぼれが出てしまう,また今までと同じになってしまうという危険性はある。そこをどううまく兼ね合いを持たせるか,今後,具体的に考える必要がある。
この手引きは,各学校がとりあえず実施して作ってみてもらうためのものなので,それぞれの学校がそれぞれのCAN-DOリスト形式の学習到達目標を設定することになる。そうすると個別の評価には使えるが,全体を統一したものにはならない。ただ,その経験を経て,次のステップである国のCAN-DOはどうあるべきかという議論につなげていくことを考えるのではないか。


徐々に,活用にあたっての具体的な工夫等いろいろな事例が集まるに従って,手引きを改訂し,それらを反映したらよりよいものになっていくのではないか。また,スロー・ラーナーについては,学習過程でできるようになりつつあることを積極的に評価することも重要。
来年度から高校では英語で英語を学ぶことになるので,最も英語を使う場面は授業になる。英語で授業が行われる中で,例えば英語でノートをとるなど,何ができるようになるのかを想定することが重要。


こういう条件でこういうクオリティでこれができるという,パフォーマンスとコンディションとクオリティの要素を入れ込んでいくと,全ての生徒に対応できるのではないか。これらの要素を,例えば,単元の評価規準に入れ込んではどうか。


既に検証されている既存の能力記述文を核にしながらオリジナルのものを作っていくような仕組みが要るのかもしれない。その方が,能力記述文の使い方としては精度が高いのではないか。
CEFR等既存の能力記述文をそのまま写すのではなく,それぞれの学校での先生の独自性を出すことも必要。
能力記述文の具体性に関しては,この能力記述文を年間指導等,大きな目標の能力記述文と解釈すると,あまり具体的にしてしまうと,それを年間指導計画及び単元計画に反映させるのが難しくなるので,目標設定は大きくするということではないか。
能力記述文に条件等を含めるのはいいが,能力記述文の数があまり多くなりすぎると,対応し切れなくなると思う。
生徒が自己評価をすることにより,自ら目標を持って取り組むという姿勢ができ,自立的学習者へとつながる。
CAN-DOによりモチベーションが高まることも強調していい。
本県では県版の「CAN-DOリスト」を作って,2年目にはそれに合わせた具体的なタスクを研究し,3年目になってようやく評価の方法を検討している。まず作ってみて,実際に使いながら,このディスクリプターでは足りない,こういう基準が必要になってきたなど,見えてくる部分がかなりある。

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