参考資料 外国語教育における「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標設定に関する検討会議(第2回)

  • CAN-DOリストを本校で作成した目的は4つ。1生徒に本校の英語の授業を通してできるようになることを明示すること。2生徒が自己の目標を設けられるようにすること。3保護者に本校の英語の指導について理解をしてもらうこと。4教員が指導目標、指導内容を共有すること。達成度は生徒による自己評価で測ったが、これを教員による評価とどうリンクさせていくかが課題。自分の経験からは到達目標を一つでも作成すると授業改善に大いにつながった。
  • まずは実際にCAN-DOリストをつくる前に、「前提として教師側に必要なこと」を確認した。まずは、「育てたい生徒像の共有」と、「4技能統合型授業スタイルの共有」である。CAN-DOが何のために必要なのかということを現場の先生たちが理解するには時間を要することが多い。CAN-DOの必要性は4技能統合型の授業実践によって、初めて認識されてくる。ペーパーテストでは測れない技能を評価しなければならないという必要性を実感して初めて、CAN-DOは大事だという議論ができるようになる。文法訳読式の授業からの脱却がなければ、技能別行動記述がどのように授業とリンクするのかというコンセプトは生まれない。また、「到達目標・指導・評価の一体化」に向けて、指導観を英語科教員集団が共有できるかどうかが一番大事。CAN-DOを作成・活用したことで、生徒達には、英語で話したり書いたりすることへの抵抗がなくなり、4技能のバランスの取れた伸長が見られた。また、教員の変容も大きかった実感がある。CAN-DOによってどのような力をつけて、どのような授業をしたいかというビジョンを共有できるようになり、同じ教材を使って、同じ到達目標で授業を行うことで、次に授業力の向上にフォーカスが当てられる。その結果、お互いの授業を参観したり、また研修会に積極的に出向くという姿が多く見られるようになった。
  • 山梨県全域でCAN-DOの作成をしている中で現場からあがっている声としては次のようなものがある。まずは、「今やっていることをCAN-DOの形に整理していくほうが、運用しやすいように感じる」という声。今、いろいろなことをやっているので、CAN-DOが先にあるのではなくて、やっていることをCAN-DOの形に整理していくというのが、現場にとっては現実的ではないかというような声が、複数の学校からあがっている。また、教員全員の共通認識が必要であることが非常に大事であるという話もある。一人でCAN-DOを作成したある教員は、私一人がつくったCAN-DOリストで学校を代表していいのかということを非常に心配しており、何かヒントになるものが欲しいということが非常に強い意向としてある。
    また、現実問題としては、やはり大学入試ということが頭の片隅にある。本当にこのまま行って大丈夫なのかという確信が欲しいというところも本音の声としてはあるようだ。
    作成時のメリットには、次のようなものがある。1英語科全員で話し合いを持ったことで共通目標をつくることができたこと。2リーディングに偏らず、他の技能にも目を向けるよい機会となり4技能のバランスが取れるようになってきたこと。3パフォーマンス評価について考えるきっかけとなったこと。
       また、運用時のメリットとしては、1生徒が学習到達度をはかるよい機会となった、2過去の学習事項を振り返るよい機会となった、という意見があった。一方で課題としては、いざ授業が始まると、教科書を進めることに焦点が当たって、CAN-DOリストの存在自体を忘れてしまった、パフォーマンス・テストの実施が難しかった、等の意見があった。
  • CAN-DOを作ることで、今自分たちが大切にしているもの、目的としていることのためにはどういう工夫が必要なのだろうか、ということを考えるきっかけになり、教師が成長していくきっかけになる。最初から網羅的で完全なリストを作るということではなく、まずは一つでもいいので到達目標を作成して、授業改善につなげることが大切ではないか。
  • CEFRを最初につくった方の論文によると、CEFRのCAN-DOリストだけが一人歩きして、本来アセスメントだけでなく、それに伴う指導方法や教材にも反映してほしいにもかかわらず、評価の部分だけが一人歩きしていることについて反省しているとのことだった。CAN-DOリストをつくったのであれば、それを到達するためのアクティビティやマテリアルを考えなければならないことを強調されていた。教科書に載っているアクティビティだけでは、次のレベルにはいけないだろう。
  • 教科書の教材化というのは大きなテーマである。本当のシチュエーションで起こり得るようなパフォーマンス課題をさせようという研究が全校で取り組まれている。
  • CAN-DOリスト作成の手順の第一は、育てたい生徒像の共有である。しかし、生徒像というとすぐセンター試験で何点という話になったり、何々大学に何人みたいな話になったりしてしまうところに問題がある。そうではなくて、どういう生徒なのかということを考えてもらわなくてはいけない。
  • 各校でCAN-DOを作成する際に、まっさらから、リストをつくるというよりは、いろいろな既存に出ているような枠組みや、リストが既にあるものをどのように自分の学校の実態に合わせて加工して、そして目標を自分の学校なりにどう決めるか、またそれを使ってどういう実践につなげるかという部分も重要。参照するものはいくつかあっていいと思うが、そこにきちんと方針があり、それを崩すというふうにしないと、崩れたものばかり寄せ集めてつくることになってしまうのではないか。
  • 既存のCAN-DOについては、アレンジをしながら、自分の生徒たちにアジャストする際に、大いに参考にしている。リストを作る際に、教員の思いつきで作るのではなく、岩手県が作成したCAN-DOリスト、CEFR-Jで開発されたディスクリプタ、外部試験団体の作成されたCAN-DOリストなどの信頼できる枠を参考にしたことで、オリジナルのものに新しいディスクリプタを追加したり、尺度調整をしたりする際に軸がぶれずにすんだと思う。
       また、他の学校でつくられたものについては、その学校の生徒のためにつくられたものであるので、グローバルスタンダードでつくられているものの方が、普遍性、それから普及性、波及性というものを考えると良いと感じる。

  • また、現実問題としては、やはり大学入試ということが頭の片隅にある。本当にこのまま行って大丈夫なのかという確信が欲しいというところも本音の声としてはあるようだ。
    作成時のメリットには、次のようなものがある。1英語科全員で話し合いを持ったことで共通目標をつくることができたこと。2リーディングに偏らず、他の技能にも目を向けるよい機会となり4技能のバランスが取れるようになってきたこと。3パフォーマンス評価について考えるきっかけとなったこと。
      また、運用時のメリットとしては、1生徒が学習到達度をはかるよい機会となった、2過去の学習事項を振り返るよい機会となった、という意見があった。一方で課題としては、いざ授業が始まると、教科書を進めることに焦点が当たって、CAN-DOリストの存在自体を忘れてしまった、パフォーマンス・テストの実施が難しかった、等の意見があった。

お問合せ先

初等中等教育局国際教育課

外国語教育推進室