コミュニティ・スクール企画委員会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成24年6月21日(木曜日)17時~18時45分

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成24年度のコミュニティ・スクール等の指定状況について
  2. 平成23年度「コミュニティ・スクールの推進に関する教育委員会及び学校における取組の成果検証に係る調査研究に」について
  3. コミュニティ・スクール指定校からのヒアリング
  4. コミュニティ・スクールの推進方策について
  5. その他

4.出席者

委員

貝ノ瀬委員、小松委員、佐藤委員、西川委員、牧委員

文部科学省

高井文部科学副大臣(冒頭のみ)、布村初等中等教育局長、山下初等中等教育企画課長、奈良参事官、西田企画官、松浦学校運営支援企画官、錦参事官補佐 他

5.議事要旨

○議事要旨

 まず事務局から平成24年度のコミュニティ・スクール等の指定状況について説明があった。

続いて、平成23年度に行った文部科学省の委託調査研究の報告、コミュニティ・スクール指定校の取組についてのヒアリングを行い、その後、コミュニティ・スクールの推進方策について委員が意見交換を行った。

調査研究報告

平成23年度「コミュニティ・スクールの推進に関する教育委員会及び学校における取組の成果検証に係る調査研究」について

発表者 日本大学文理学部 教授 佐藤 晴雄

※資料5

○コミュニティ・スクールに対する満足度について、コミュニティ・スクールに指定された学校の校長(以下、「指定校校長」)のうち、「満足している」「ある程度満足している」と回答した割合は合計78%。同様に、学校運営協議会委員は79%、教育委員会は91.5%であった。これらの結果は前回調査(平成19年実施)とあまり変わらないが、「満足している」の回答数は増加している。

○コミュニティ・スクールの今後のゆくえについては、指定校校長・学校運営協議会委員の半分以上が「増えていく」と予測している。教育委員会になるとさらに10%程度多くなる。

○コミュニティ・スクールの指定までに要した準備期間については、半数以上の学校が1年未満で指定に至っている。

○学校運営協議会の大切な権限について、指定校校長の回答では、第1位に、校長が作成した基本的な方針(教育課程等)を承認すること、第2位に学校運営に関して校長や教育委員会に意見を述べること、第3位に教職員の採用等の任用に関して意見を述べることとなっている。大切な権限として任用に関する意見を挙げた数は前回調査より減少している。

○コミュニティ・スクールに指定されていて、かつ、学校支援地域本部を設置している学校の校長の満足度は高い。コミュニティ・スクール指定校のほうが、学校支援地域本部の設置率が7ポイント高い。

(以下、配付資料の中の図表をもとに説明)

○図3-1-1「コミュニティ・スクールの成果期待と成果認識(指定校)」は、肯定的な回答が多い項目をグラフ化してある。上位には地域連携に関する回答が続いている。「A 特色ある学校づくりが進む」、「I 学校関係者評価が効果的に行えるようになる」、「F 教職員の意識改革が進む」など、学校改革に関することも7割近い回答がある。「D 児童生徒の学力が向上する」「G 教職員が子どもと向き合う時間が増える」などの回答は比較的低い。

○図3-1-4「コミュニティ・スクールの成果認識(指定校―下位項目/年度別―)」について。コミュニティ・スクールに指定された年度が古い学校ほど、コミュニティ・スクールの成果認識が高い。また、成果認識が全体的に低かった項目については、指定年度が古い学校と新しい学校では、顕著な差がある。

○図2-4-3「『児童生徒の学力が高い』の回答(指定校)」にあるとおり、指定年度が古い学校ほど、学力に関する成果認識が高いことが分かる。平成18年度は例外的に低い値となっているが、これはデータのゆがみが出ているものである。同様に、図6-1-3「『学力が向上した』の指定年度別回答の平均値(指定校)-小学校-」についても、平成18年度だけイレギュラーだが、概ね右下がりとなっている。図6-1-4「『学力が向上した』の指定年度別回答の平均値(指定校)-中学校-」も概ね右下がりである。

○表3-4「『保護者や地域からの苦情が減った』とコミュニティ・スクールの指定年度の関係」については、肯定群を見ると、指定年度が最も古い学校と最も新しい学校のあいだで30ポイントのひらきがある。概ね、指定年度が古いほど成果認識が高いといえる。

○図4-8-1「学校運営協議会運営上の課題(指定校)―『はい』の回答―」に、様々な課題が挙げられているが、学校運営協議会の会議そのものについてはあまり問題になっていないことが分かる。

○図2「人事に関する意見の申出(指定年度別)」については、指定年度が古い学校ほど教員人事に関する意見を申し出ている。指定年度が長くなり、コミュニティ・スクールの運営に慣れてきたという面もあるだろう。

○図5-2「満足/不満の校長にとっての課題―指定校校長による「はい」の回答―」については、不満足な校長ほど課題感が強い。不満だから課題感を強く持っているのか、課題が多いから不満なのかは分からない。満足な校長と不満足な校長との間では、大半の項目で課題感に差があるものの、「委員謝礼や活動費などの資金が十分でない」の項目については差がない。

○図4-3-3「学校運営協議会で『よく取り上げられた』事項」について、中学校では生徒指導が突出していることが分かる。

○図7-1-1「コミュニティ・スクール指定の意向」については、この結果を見る限り、校長の意向どおりに指定されるようになっていけば、コミュニティ・スクールは増えていくのではないか。

○表7-1-4「コミュニティ・スクールの指定予定」については、2年以内に指定される予定の学校が約18%となっている。

○図「コミュニティ・スクールの実際の課題 -導入教委における導入前の留意点との比較-」については、「L 管理職や教職委員の勤務負担が増加する」との項目について、導入前は6割以上が「当てはまる」と回答しているが、指定済みの学校では10ポイント近く値が低い。「B 教職員の関心が低い」は同様に25ポイントの減となっている。「D 類似制度との重複が生じる」は10ポイント近くの減となっている。全体的に、導入前の懸念の多くは、導入してみると案外問題ではなかった、ということが多いように見受けられる。

○図5-10-1「指定校校長が教育委員会に期待するサポート」にあるとおり、予算措置を求める学校が9割以上にも及ぶことが分かる。

○表1「他の教育政策の実施状況」を見ると、学校評議員制度を実施しているかどうかについては、コミュニティ・スクールの導入が「なし」の自治体が「あり」を上回っているが、それ以外のすべての項目は「あり」が「なし」を上回っている。新しい教育施策に積極的な教育委員会ほどコミュニティ・スクールの導入率が高い傾向にある、と言えるのではなかろうか。

コミュニティ・スクール指定校からのヒアリング

発表者 大分県玖珠町立玖珠中学校 校長 梶原 敏明

※資料6

○玖珠町には、もともと玖珠地区コミュニティ運営協議会という組織があり、地域が予算をもらって活動していた。私が校長として赴任した平成23年4月、まずその会議に参加し、保護者や地域の人々、職員の意向を把握するよう努めた。学校の内部・外部の課題を把握することが重要であると考えたためである。

○本校の内部の課題としては、学力の問題、組織が保護者や地域の意見が反映されにくい仕組みであること、学校が閉鎖的であること、保護者の中に不満はたくさんあるが学校に意見することはないこと、などが挙げられる。

○外部の課題としては、地域の人々は学校に協力的だが、自分の子どもが学校を卒業すると学校に協力してくれなくなってしまうこと、学校や地域に対する当事者意識が薄れ、保護者が地域活動に参加してくれないこと、などがあると分かった。

○教職員には、コミュニティ・スクールを導入したら自分たちの仕事がやりづらくなるのではないか、人事に関する意見が出されるのではないかという先入観や、学校評価や人事評価が厳しくなることへの危機感などがあった。これらは、教職員に自信がないことが原因である。自信があれば、こうした危機感などは生まれないのではないか。

○結果的に、コミュニティ・スクールの活動を通じて地域の人が満足感を得ることにつながったが、実は、教職員の意識改革こそ重要である。

○導入にあたっては、文部科学省から講師を招いて開催した研修や、先行自治体である福岡県春日市への学校運営協議会委員の派遣等の研修を通じて、コミュニティ・スクールで取り組むべきことを少しずつ理解していった。本校では、公民館活動との密接な連携が重要であるとの理解に至った。コミュニティ・スクールを導入したことで、学校支援地域本部が一層活躍できるようになった。

○コミュニティ・スクールの成果としては、子どもが挨拶ができるようになったこと、学校に人が入ってくることで職員にも適度な緊張感が生まれ、教職員の意識改革ができたことなどが挙げられる。ミドルリーダーの育成にもつながった。また、学校運営協議会では、通学路の危険箇所の問題など、様々な意見が積極的に出されるようになった。

○地区のコミュニティ運営協議会は5、6月に10回行われたが、すべての会に学校から参加者を出した。それによって、自治会から学校に対して様々な要望が出てくるようになった。例えば、地域のお祭りへの吹奏楽部の出演依頼等で、吹奏楽部が定期的に学校の中庭に地域の人を呼び、コンサートを行うなどした。また、自治会の予算を使わせていただき、地域のボランティアの手によって緑のカーテンを設置した。このような取組も、コミュニティ・スクールになったことで、学校運営協議会委員のネットワークを用い、学校の経費を使わず行うことができた。

○校長が変われば教師が変わる。教師が変われば子どもが変わる。子どもが変われば保護者が変わる。保護者が変われば町が変わる。これが、コミュニティ・スクールによる地域活性化の循環システムである。

○こうした効果を踏まえ、玖珠町の教育長は市立学校全校にコミュニティ・スクールを導入しようとしている。

玖珠中学校の発表をもとに委員が意見交換を行った。

●=委員、○=発表者

●梶原校長が、大変困難な状況の中、果敢にコミュニティ・スクールの導入に取り組まれてきたということが分かった。どのような地域でも、コミュニティ・スクール導入の際は教職員の中に抵抗感が生じるが、学校の先生が導入に反対される主な理由は何か。また、その際に梶原先生はどのような指導をされたのか。

○学校運営協議会は教職員の人事に対して意見を述べることができるが、こうしたことについて詳細を知らないにも関わらず、先入観で危機感を持つようだ。このような不安に対しては、この先生を辞めさせようといったマイナスの意見ではなく、このような先生が欲しいといったプラスの意見を出す機関なのだと伝えていった。

○また、学校運営協議会が学校評価や教員評価に介入してくるのではないか、「学力が低いのはA先生が原因ではないか」などの指摘が出るのではないかという意見もあり、教職員が抵抗感を抱いている様子がうかがえた。しかし、教員が5名、学校運営協議会に入っているので、学校支援のために学校運営協議会があるということが徐々に理解されていった。導入初年度の3月の段階で、「寺子屋」を導入することになった際、教職員から反発があったが、今はそうしたことはない。

○学校運営協議会担当の教職員に仕事を任せるようにした。それによって、その教職員たちが学校をリードしてくれるようになった。今は私が何も言うことのないくらい、教職員が自発的に取り組んでくれている。

●私も、コミュニティ・スクールはまちづくりにつながる、ということをずっと言って取り組んできた。コミュニティ・スクールの導入によって、確かに地域は目に見えて変わる。しかし、地域が熱心に取り組むようになればなるほど、保護者の顔が見えなくなる。こうした問題についてどう考えるか。

○今まで学校支援を行う団体はPTAが中心だった。玖珠中学校でコミュニティ・スクールを導入する際、おやじの会を発足させた。おやじの会の会長はPTA副会長だった。また、おやじの会、PTAの会長は学校運営協議会の委員に入っている。学校運営協議会に何か提案する際には、事前にPTA会長に根回ししている。このように密接に連携・協働している。

○PTA役員の多くは女性であり、実際に学校支援のために行動するのはおやじの会が中心である。

●地域の方が学校活動に参加してくれるようになると、保護者は「地域任せ」になっていく懸念がある。PTAの役員は頑張ってくれても、その他の保護者はどうだろうか。地域の中での保護者の活動が見えなくなってくるのではないか。

○地区のコミュニティの会議は、ほとんど60歳以上の方がやってくださっているというのが実情。そのため、子どもを地域の活動に引き出すことで、若い保護者も一緒に地域へ引きだそうと努めている。

コミュニティ・スクールの推進方策について意見交換

○=委員

○コミュニティ・スクール企画委員会に総務省の課長が入っていることに意味がある。地域とともにある学校づくりは、「まちづくり」につながるものであるから、首長部局の職員にもできるだけコミュニティ・スクールの委員になってもらうとよい。広報する際も教育関係者だけでなく、首長部局にも行うとよい。

○東日本大震災においては、被災地(仙台市)へのアンケート調査で、学校支援地域本部が置かれている学校では、避難所運営の自治組織の立ち上げが円滑に行われたことが分かっている。

○例えば、習志野市の秋津小学校では、コミュニティ・ルーム(生涯学習推進ルーム)の鍵を地域住民(代表15名)が持っているため、教職員の手を煩わせず、コミュニティ・ルームを使うことができる。実際、東日本大震災では、高齢者20数名がコミュニティ・ルームに避難し地域住民によるサポートで無事に宿泊までできた。その間、教職員は保護者が帰宅難民となった40名ほどの子どもの面倒に集中できた。地域のことは地域で(=まちづくり)、学校のことは教職員が対応するということが実践できた。

○地域とともにある学校づくりは、防災拠点としての学校を含めた「まちづくり」の視点も強調し、各自治体において、教育委員会と首長部局との連携によって進められることが重要である。

 

○学校運営協議会で何をしたいのか、というビジョンが明らかにならないと、空回りする。子どもの実態をしっかり見て、こんな子どもに育てたい、というビジョンをもち、地域に投げかけていくべき。

○また、ビジョンの実現に向けては、学校には限界(できること、できないこと)があるということを示し、だからこそ地域に何を求めたいかということを明確に伝えるべき。

○PTAも一生懸命取り組んでいるが、参加者が少ないなど苦労している。地域の人々も地域事業を活性化したいが、苦労している。PTAや地域組織を学校運営協議会にドッキングすることで両者が活性化していく可能性がある。

○PTAは学校運営協議会に入ってもらう方法もある。学校運営協議会をどう運営していくかという組織化は重要な観点である。

 

○文部科学省の研究委託事業を受けると加配教員措置される仕組みがあるが、都道府県が加配措置できないという場合もある。加配措置についても、国と市町村が直接契約できる形が実現できないか。

○地域コーディネーターの存在は重要である。地域コーディネーターの育成には学校支援地域本部が大きな役割果たしている。国の取組として、コミュニティ・スクールと学校支援地域本部をセットで推進できないか。両者のコラボレーションを考えて欲しい。

 

○コミュニティ・スクールの認知度が低いという課題について。責任と権限のある学校運営協議会委員そのものが認知されていないのが課題。一つの方法として委員を公募することがある。公募するということは、地域に学校運営協議会を広く周知することが必要になる。これによって広く認知されるようになる。(応募してきた人のうちから、学校運営協議会の「地域部会」で候補を人選し、教育委員会に推薦する仕組み。)

 

○コミュニティ・スクールの認知度を上げるには、学校だよりなど、学校から発出する文書を学校運営協議会と連名にする方法もある。

○経費の課題について。津市の南が丘小学校では、別組織を立ち上げてファンド事業を行っている。保護者や地域住民等が行う教育支援活動などにかかる費用を確保している。コミュニティ・スクールに指定されている学校においては、公的に学校運営協議会が必要な20~30万程度の資金を確保できるよう、国として制度化してはどうか。

 

○地域にとって校長の異動は重要なポイント。校長の異動の際、コミュニティ・スクールについて理解を得ることが重要。特に他市町村からの異動の場合には、コミュニティ・スクールなど本市の教育の考え方、まちづくりの考え方などについて、地域の立場からよく伝えるようにしている。校長に知ってもらうことが重要である。今まで築いてきた進め方を伝えるのは苦労する面もあるが、楽しいことである。

 

○学校は教育活動を学校内で考える傾向が強いが、地域づくりの視点からも考える必要がある。全校をコミュニティ・スクールに指定している春日市では、学校教育目標の作り方が変わった。学校の目標は地域の目標でなければならないと、校長が気付いたからである。

○コミュニティ・スクールを広げる上では、首長部局が市町村の施策に位置付けることが有効である。また、具体的に進めていくときのポイントの一つとして、互いに汗を流すといった共汗関係が大切になってくる。学校と家庭と地域そして関係機関との共汗関係である。そういった意味で春日市では、教育委員会事務局も学校運営協議会委員になっている。そのため、委員会と学校運営協議会がスムーズな連携ができ、推進もしやすい環境となっている。

○小学校と中学校ではコミュニティ・スクールの仕掛け方に違いがある。中学校では子ども会との関連が薄くなるが、一方で、生徒会が活用しやすくなる。地域に生徒の活躍の場をつくると、保護者も自ずと関わりをもつようになる。

 

○総務省で地域振興を担当する立場から。多くの過疎地域では地域活性化の拠点として廃校を活用している。廃校活用は管理を地域に委託する場合が多い。

○コミュニティ・スクールについては、地域活動の拠点としての学校の役割に期待している。廃校ではない通常の学校においては、校長や教頭に管理負担・責任が生じることから、使いづらい面がある。施設を一部間仕切りして地域が使えるようにするなど、学校を地域活動の拠点として使えるような管理運用の仕組みを整備するといいのではないか。

○マンパワーについては、公務員の正規職員を雇うのはコストがかかる。総務省では、「地域おこし協力隊」(1人当たり報酬200万円+活動費150万円)、「集落支援員」(1人当たり350万円)という財政支援の仕組みをもっている。地域おこし協力隊が学校の活動に加わっている例もある。コミュニティ・スクールにおけるマンパワーは、学校の職員や常勤の自治体職員だけではなく、様々な人材を活用していくと良い。

 

○学校を拠点とした地域づくりという観点に対して、多くの教職員は、学校は誰のためのものか、子どものためのものではないのかという思いを抱くだろう。教師の専門性と地域の人々の思いをどうすりあわせていくかが重要である。

○コミュニティ・スクールの導入については、地域差を背景とする学校格差の拡大につながるのではないかという声を聞くことがある。学校にすぐに人材が集まる地域とそうでない地域がある。必ずしも地域づくりが上手く行われてこなかったところもある。だからこそ、これから地域をつくっていく発想が重要だとも言えるが、当事者の地方自治体行政からすると、まだ早いという認識になるのだろう。

 

○促進要因(成果)、阻害要因(人事、予算、多忙感等)があり、促進要因が優ったときに導入に踏み切るのだろう。

○コミュニティ・スクールは、学校運営協議会の協議機能だけでなく、周辺機能の学校支援なども含めて推進されている。コミュニティ・スクールになることで学校への支援が充実したり、地域が活性化したりしている。こうした周辺機能も含めて導入効果を広めていくと良い。このことは学校評議員と大きく異なる点であり、強調したいところである。

 

○日本の公立学校はイギリスなどと異なり、その成り立ちが「お上がつくった学校」という形であり、地域の人々が学校に入ってくるということへの抵抗感がある。

○公立学校の管理運営のシステムも、コミュニティ・スクールの阻害要因になっている面がある。例えば、制度を理解してくれた校長が3年程度で異動になってしまうことや、教育課程に地域の特色を出そうとしても行政から認められないなど難しい面がある。

○日本では、新しい公共型の学校をつくっていかねばならないのではないか。その観点では、三重県津市のスクールファンドの取組も制度としてつくっていくことが必要であろう。行政は金がないのだから、人も金も自分たちで集めるということも今後必要であり、その点で法規制を改善することも求められる。

○導入が少ない地域があるが、その背景として、一つには「行政主導型」の地域性がある。また、もともと地域と一緒に取り組んでいるので改めて導入する必要はないという声も。コミュニティ・スクールは多様性が出てきているので、地域にあった看板を掲げ、地域主権で取り組んでいくと良い。

○新しい公立学校の在り方として、20年、30年の長期的視野をもちながら議論していく必要があるだろう。

 

○コミュニティ・スクールには、様々な段階がある。本日ヒアリングした玖珠町立玖珠中学校のように非常に厳しい状況をまさに乗り越えてきた段階の取組もあれば、地域づくりまで進めているところもある。地域性に対応したアプローチの仕方がコミュニティ・スクール普及の鍵であろう。

○学校は誰のものなのかという点は共通理解する必要がある。今までは、学校は子どもたちのためのものであると言われてきた。しかし、学校は子どもたちだけのためにあるのではない。学校は地域の人たちのためにもある。

○教職員は学校づくりには関心があるが、地域づくりには関心が低い傾向がある。こういう状況の中で、普及啓発するには、将来展望をもってアプローチすることが必要。コミュニティ・スクールの先に何があるのかという展望を私たちがもつべきである。コミュニティ・スクールを増やしていって、どのような良い日本の教育の社会が出来るのかということまで展望をもって提案することで説得力が増すだろう。

○キーワードとしては、新しい公共や、学校のガバナンスを変えていくこと。教育委員会制度に関連するが、現場の学校において地域の皆さん方が汗をかいて、学校の課題や地域の課題もあわせて解決していくこと。そのような学校を拠点とした活動が地域立学校として行っていくことは、教育委員会の在り方がどうあればよいのかを見直すことにもつながるだろう。強い市民をつくっていくという流れの中で、教育委員会制度はどうあればよいのかということにもなる。今後こうしたことも検討していくと、実りあるコミュニティ・スクール論、取組になるだろう。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 運営支援企画係

電話番号:03-5253-4111(代表)内線3720

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 運営支援企画係)