コミュニティ・スクール企画委員会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成24年3月12日(月曜日)16時30分~17時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館(文部科学省)3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. コミュニティ・スクール企画委員会の趣旨等について
  2. コミュニティ・スクールの今後の推進方策等について
  3. コミュニティ・スクール推進員の委嘱について
  4. その他

4.出席者

委員

天笠委員、小松委員、貝ノ瀨委員、金子委員、佐藤委員、竹原委員、牧委員

文部科学省

森文部科学副大臣(冒頭のみ)、布村初等中等教育局長、尾崎審議官、下間参事官、松浦企画官、山下地域・学校支援推進室長 他

5.議事要旨

○冒頭挨拶 森文部科学副大臣

 コミュニティ・スクール企画委員会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げたい。皆様には、御多用の中ご参集いただき、また、コミュニティ・スクールの推進のために日頃からご協力を賜っており、改めて心からお礼申し上げたい。
 文部科学省では、地域とともにある学校づくりを促進する観点から、コミュニティ・スクールを今後5年間で全公立小中学校の1割の約3千校に拡大することを目標としている。そのため、各地域におけるコミュニティ・スクール導入の取組を更に加速させる必要があり、戦略的できめ細かな普及方策などについて皆様にご助言をいただきたいと考えて、このたび、この委員会を設置することとした。
 現在、私のもとに省内タスクフォースを設置して、今後の地方教育行政の在り方について課題の整理と改革方策を検討している。これまでの議論において、今後の基本的な方向性として、まず第一に、学校のことは学校自身が保護者や地域の皆さんの意向を踏まえながら決定することや、二番目は地域の意見や力を学校運営に生かすとともに学校を地域の活性化の拠点としていくとの方向性が確認されている。また、地域とともにある学校づくりを実現するためにはコミュニティ・スクールの推進が重要であるとの共通認識がある。
 私自身、平成5年から7年まで3年間、人口約1万の町で社会教育指導員を務めさせていただいた。社会教育の中で、学校における様々な課題の解決、そのための住民の参画というものを様々な講座や活動を通じて、推進してきたという経験があり、私自身の保護者、PTA役員としての経験、あるいは今申し上げた社会教育指導員としての体験からも、学校をよりよくしていくためには、やはり地域の皆さんの意見をしっかりと反映をする、そして意見を反映させていくだけでなく、学校を支える力になっていただく、そのことによって町が元気になっていく、このことは私の体験としても実感しているところである。そのような方向で、このコミュニティ・スクールを、制度がもう少し改善されればより多くのところでスタートができると思っており、そういう意味で、今後の地方教育行政の改革については、コミュニティ・スクールの設置が私は鍵になると思っている。そういう意味で、この委員会におけるご議論、今後のご提言に大変期待をしているところである。ぜひ推進方策について、幅広く御意見を賜りたいと考えている。

○議事要旨

 まず事務局からコミュニティ・スクール企画委員会の趣旨及び今後の推進方策、コミュニティ・スクール推進員の委嘱、今後の会議開催予定等について説明があり、意見交換を行った。

●:委員

● 全国コミュニティ・スクール連絡協議会の会員は教育長を中心にしてきたが、今後、それを拡大して、趣旨に賛同する元教育長や校長、学校運営協議会の委員、教育委員等の教育関係者も会員とする予定である。積極的な会員拡大を図りながら更なる活動の拡大・充実を図り、国の推進方策へも協力していきたい。
 震災復興対応については創造的復興教育協会においても支援に取り組んでいるが、被災地におけるニーズというものが少しずつ盛り上がってきている。例えば大槌町やいわき市では、大変な被害を受けたが、現在、21世紀、22世紀を見据えた東北の教育プランを打ち立てようと動き出している。大槌町では積極的にコミュニティ・スクールや小中一貫教育、ふるさと学園の構想など、新しい教育のプランを作って少しずつでも進めようとしている。そういうところが他にも出てきているので、今後国が進める全国展開の動きに被災地の方にも積極的にかかわっていただいて、盛り上げていただきたい。 

● これまで、コミュニティ・スクールと学校支援地域本部の両方に関わってきたが、検証の時期に来たと思う。今までは試行錯誤、無我夢中で進めてきたが、より確実なものにするために何ができるか、これまでの取組が一般化できるのかということについて考えていく必要がある。
 一つの学校区での取組であるが、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の取組にかかわる人が確実に増えるとともに、「自分の学校だ」と思う人が増えたということを実感しており、こういうことを拡大していきたいと思う。

 ● これまで、コミュニティ・スクールの導入に向けた調査研究を行ういくつかの学校に関わってきた。その中で、学校や市民の方がコミュニティ・スクールの指定を受けたいという意志を高めても、最終的に市区町村教育委員会が指定に踏み切らないという例が相当数見られた。今年度、文部科学省の委託調査を受け実施した学校へのアンケート調査でも、自由記述から同様の事例が何件か見られた。そうしたケースをどのように改善していくのかが一つの課題である。
 コミュニティ・スクールは一つのツールであるが、教育委員会にとって使いにくい面があるととらえられているのだろう。教育委員会に対して、効果的なツールの使い方というものを広げていくことが課題ではないかと感じている。

 ● コミュニティ・スクールを機能主義的に分類した場合、三つくらいのパターンが出てきていると思う。一つ目は「支援型」のコミュニティ・スクールである。この型の取組が圧倒的に多いのだが、地域が学校を支援しているというコミュニティ・スクールである。二つ目は「連携型」のコミュニティ・スクールである。これは、サポーター型からパートナーシップ型になってきていて、家庭は家庭、学校は学校でそれぞれのことをきちんとやりながら共通の目的に向かって連携していこうというものである。共に子どもたちを育てていこうという型である。これも相当数取り組まれている。三つ目は「協働型」のコミュニティ・スクールである。これは、コラボレーション型のコミュニティ・スクールであり、どのように地域の子どもたちを育てていこうか、私たちの子どもたちをどう育てていこうかということを、最初から協働で、熟議という言葉を使ってもいいが、議論した上でコラボレーションし、一つの教育の形、新しい教育の形をつくっていくというものである。こうした三つの型を仮説的にとらえているところである。
 もう一点、復興との関係であるが、岩手県、宮城県における新しい町の復興ということと同時に、福島県において原発事故の影響で全く違う地域に町民全体が移り住まなくてはいけなくなったときに、まちづくりと学校づくりをどうしていくのかということがある。これは新しいアイデアで考えていかなければいけないだろう。その際、コミュニティ・スクールのアイデアは非常に参考になると思う。そのことを復興の動きとともに見守っていきたいし、可能な限り支援していきたい。

 ● 文部科学省の推進方策については、教育委員をターゲットにした方策を鮮明にしてはどうか。教育委員会というと教育長をターゲットとしている面があるが、教育委員が力をもっているというところもある。教育委員のコミュニティ・スクールに対する理解というのが大きく左右するところがあるのではないか。教育委員にコミュニティ・スクールの有り様というものをしっかり理解していただき、教育委員会内における世論形成につなげていくことが、遠回りのようでいて実は近道になる可能性がある。
 裾野を広げるということも大切である。裾野が狭い場合には、コミュニティ・スクールの数が目標に達したものの、中身はずいぶん空虚なものになってしまうということも起こりうるのではないか。コミュニティ・スクールなのかどうなのか判然とは分からないものも裾野として含めて3000校という形になっていくのが意味のあることではないかと思う。
 教員養成に携わっている立場から言わせてもらうと、コミュニティ・スクールを教員養成とどのようにリンクさせるのかという観点もある。教員養成から人を育てることが始まるとすると、これまでの教員養成の様々なカリキュラムの中に本企画委員会で提起しようとすることをどのように組み入れていくべきなのか。カリキュラム開発等ということもしっかり位置付けてテーマにしていけばいいのではないか。

 ● 地域・自治体サイドの立場からコミュニティ・スクールに期待していることは大きく2点ある。一つは、都市部の地域コミュニティが希薄化している中で、子どもを介して地域がまとまるという観点である。農村部などでは自治会が比較的しっかりと機能しているが、都市部においても、例えば、兵庫県で起きた小学生の児童殺傷事件後、子どもの安心安全のためにみんなで立ち上がろうという動きが生まれ、特に若い世代のお父さんお母さんも含めたコミュニティ活動に発展し、地域がみんなでまとまっていった。
 過疎地域に行けば、小学校の運動会一つとっても、学校のみの行事ではなく、小学校に入学する前の児童から卒業生まで地域ぐるみで学校の運動会を応援するようなところもある。子どもを介して地域がまとまるという意味で、このコミュニティ・スクールに期待したい。
 もう一つは、学校という場所・施設の役割である。まさに今回の東日本大震災でも、阪神淡路大震災のときもそうだったが、学校はいざ災害が起こったときには避難所となるなど、いざというときに地域の皆さんが集まる場所である。今、少子化が進んで空き教室が増えており、地域の子供たちに休日も校庭を開放しようという積極的な取組をしている学校もある。こうした場所としての学校の活用という観点である。今まではどちらかというと社会教育は公民館を中心に進めるという傾向があったが、様々なコミュニティ活動をするときに、小学校区単位を一つのまとまりとした拠点施設として、学校という場所・施設というものが、今後は災害時以外のときにも地域コミュニティにおける中核的な役割を担っていくのではないかと思う。
 以上、大きく二つの面でこのコミュニティ・スクールに期待している。

 ● コミュニティ・スクールは目的ではなくツールである。一つ例を示すと、三つの小学校を合併して統廃合したある地域で、元の三つの地域の中に、小中一貫・コミュニティ・スクールをすぐにでも進めようという地域と、そうしたことは学校や教育委員会に任せるという地域が混在していて、なかなか話し合いが持てていないという事例がある。この事例では、熟議によって、三つの地域の人たちが話し合うということにつながっている。この事例における熟議はこれから開催するため、どうなるか分からないし、熟議ですべてが解決するということではないが、こうした動きが起こってくることによって、良い学校が増えるのではないかとも思う。
 もう一つは、ある国際会議でコミュニティ・スクールについて紹介したのだが、米国から出席していた方から、それはチャータースクールよりすごいとの感想をもらった。これは、国際的にもかなり誇れるということである。日本では、上から下への構造があると認識していたその方にすると、コミュニティ・スクールのように、地域から意見が上がっていくということについて非常に驚かれていた。そのようなこともあるので、目標を高く置いて地道にやっていくことが大切であると思う。

 

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