参考資料1 職員の心の健康づくりのための指針

勤職- 75
平成16年3月30日

   殿

                      人事院事務総局勤務条件局長

職員の心の健康づくりのための指針について(通知)

  職員の心の健康の保持増進等を図り、もって職員の福祉と公務の効率的運営に資するため、別添のとおり「職員の心の健康づくりのための指針」を定めたので、今後はこれに基づき、職員の心の健康づくりに取り組んでください。

                                    以上

(別添)職員の心の健康づくりのための指針

〔はじめに〕

  1. 職員の心の健康づくりは、職員やその家族にとって重要な問題であるばかりでなく、職員が高い志気を持って能力を十分に発揮し、国民に対して公務を効率的かつ的確に提供するという観点からも重要な問題である。
  2. 心の健康づくりのためには、心が不健康な状態(注1)になってから対応するのではなく、日頃から職員一人ひとりの心の健康の保持増進に努めることが、最も重要である。
  3. 心の健康の保持増進のためには、職場の有害なストレス要因の除去に努めるとともに、個々の職員のストレスに対する耐性を高めることが必要である。
  4. 心の健康づくりのためには、職場の管理監督者、同僚、家族、友人等の周囲の人々の支えが必要なこともある。職場において、そのための仕組みができていなければならない。

1  指針の目的

本指針の目的は、次のとおりとする。

  1. 職員の心の健康づくりにおける各省各庁の長(その指示を受けた健康管理者等を含む。)、管理監督者(職場の上司)及び職員本人の役割の重要性並びにこれらの者と職場の同僚、健康管理医、主治医、家族等との協力・連携の必要性を示し、それぞれが自覚を深め、心の健康づくりに積極的に取り組むことを促すこと。
  2. 職員の心の健康づくりのために、各省各庁の長、管理監督者、職員本人等が果たすべき役割等を明確にし、具体的な対応が速やかになされること。
  3. 人事院は各省各庁における心の健康づくりのための取組みを支援すること等を示し、各省各庁と人事院との協力を促進し、心の健康づくりを効果的に行うこと。

2  心の健康づくりの基本的考え方

(1) 心の健康づくりのための対策の三分類

心の健康づくりは、職員の心の状況に応じてなされるべきであり、次の三つの状況に応じてそれぞれ対策を実施することが必要である。

  1. 心の健康の保持増進
  2. 心の不健康な状態への早期対応
  3. 円滑な職場復帰と再発の防止

(2) 心の健康づくりの体制

職員の心の健康づくりは各省各庁の長が責任を持って推進し、人事院はその支援等を行う。

ア 各省各庁の長

組織全体の心の健康づくりに責任を持ち、次のことを行う。

  1. 心の健康づくりの組織的かつ計画的な対策を実施する。
  2. 職員本人、管理監督者、職場の健康管理者、健康管理担当者、健康管理医及び医療スタッフ等を指示し、体系的な対策を実施する。
  3. 職員本人、管理監督者、職場の健康管理担当者及び医療スタッフ等の協力・連携が円滑に行われるよう体制づくりを行う。
  4. 職員の家族、主治医及び職場の同僚も視野に入れた体制づくりを行う。
  5. 必要な場合は速やかに専門的な助言が得られるような医師等を確保する。また、医師等には職場の職務内容等を説明し、理解を得ておく。

イ 健康管理者、健康管理担当者、健康管理医及び医療スタッフ

健康管理の担当として各省各庁の長を補佐し、管理監督者等と協力・連携し、職員の心の健康づくりを積極的に推進する。

ウ 管理監督者

直接部下と接し、職務として部下の人事管理、健康管理に責任を持っており、部下の心の健康の状態について把握するとともに、心の健康づくりのために部下を支援し、部下の心が不健康な状態になった場合は、各省各庁の長に協力し、適切に対応する。

エ 職員(職員としての管理監督者等を含む。)

心の健康づくりの重要性を認識し、積極的に心身の健康の保持増進を図るとともに、ストレスへの対処、心が不健康な状態になるおそれがある場合の対応等を適切に行う。

オ 人事院

職員の健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進する立場から、各省各庁における心の健康づくりの支援等を行う。このため職員の心の健康の状況及び各省各庁の心の健康づくりの施策の状況を把握するとともに、心の健康づくりの調査研究を行う。

(3) 心の健康づくりのための教育

心の健康づくりのための教育は、すべての職員に対してなされなければならないが、その内容は職員の地位、職種、状況等によって異なってくるものであり、効果的に行うためには、各省各庁の長と人事院とが協力しながら分担して、体系的に実施する必要がある。

ア 各省各庁の長

  1. 職員の地位、職種等に応じて、心の健康づくりの体系的な研修カリキュラムを作成し実施する。
  2. 心の健康づくりのためには、職員が積極的に心の健康の保持増進を行い、ストレスに対処する姿勢が重要であり、このことに留意してカリキュラムを作成する。
  3. 部下の人事管理等を直接行う管理監督者に対する教育を特に重視して研修を実施する。
  4. 研修以外においても、ホームページの開設、パンフレットの配布等により、職員への心の健康づくりのための知識の普及等に努める。

イ 管理監督者

  1. 研修中の職務分担への配慮、積極的な勧奨等により、部下に研修を受講させる。
  2. 部下の心の健康づくりのための理解を深めるため、研修を積極的に受講するとともに、知識等の充実を図るなど、自己啓発に努める。

ウ 職員

心の健康づくりの重要性を認識し、研修を積極的に受講し、その内容の理解に努めるとともに、知識等の充実を図るなど、自己啓発に努める。

エ 人事院

  1. 健康管理担当者、管理監督者、職員等の教育に関し、到達水準、カリキュラム例、教材等を作成し、各省各庁へ提供する。
  2. 各省各庁の健康管理スタッフ及び医療スタッフの専門性を効率的に高めるため、これらの者を対象とした心の健康づくりの専門研修を実施する。
  3. 心の健康づくりのための教育を行う講師を確保し、これらの者が公務の実情を理解して講義等を行えるよう、必要な情報を提供する。

(4) その他

ア 継続的な把握、評価及び改善

心の健康づくりのためには、職員の心の健康の状況及び心の健康づくりのための施策の状況の定期的な把握、評価及び改善が必要である。

  1. 各省各庁の長
    職員の心の健康の状況及び心の健康づくりのための施策の状況について定期的に把握及び評価を行い、必要に応じ改善を行う。
  2. 人事院
    各省各庁の職員の心の健康の状況及び心の健康づくりのための施策の状況について定期的に把握及び評価を行い、必要に応じその改善のための支援等を行う。

イ 職場外の専門家からの支援

必要な専門家をすべて組織内に確保することは困難である場合もあり、必要に応じて組織外の心の健康づくりに関する専門家(注2 )に支援を依頼する。

  1. 各省各庁の長
    組織外の専門家に関する情報を把握し、心の健康づくりのために必要な場合は、それらの専門家に依頼する。
  2. 人事院
    組織外の専門家に関する情報やこれらの専門家の所属する相談機関、医療機関等に関する情報を各省各庁へ提供する。

ウ プライバシーの確保

  1. 職員の心が不健康な状態になる場合は、仕事の悩み、家庭の悩み等が原因となることが多い。心の健康づくりに当たっては、職員等のプライバシーや人権に十分な配慮がなされなければならない。また、関係者が協力・連携しなければならない場合においては、本人の了解を取るなど職員等のプライバシーや人権を尊重して対応しなければならない。
  2. 職場外の専門家に支援を依頼する場合は、職員等のプライバシーや人権を確保する措置を取らなければならない。

エ 相談窓口

  1. 相談窓口は職員等のプライバシーが守られ、職員等が安心して利用できるよう配慮しなければならない。また、この観点から職場外の専門家を活用できることとする。
  2. 心の健康づくりのための相談窓口を設ける場合は、利用対象者に職員、管理監督者等だけではなく、職員の家族を加え、また、職員等が相談しやすくするため、相談内容には精神面の不調だけではなく、精神面に関連する身体面の不調を含むことが望ましい。

3  心の健康の保持増進

  心の健康づくりは、心が不健康な状態になった場合にだけ行うのではなく、心が健康な状態のときに行うことが必要である。また、それは健康な心が不健康な状態になることを防ぐということだけでは不十分であり、心の健康を増進させるという視点が不可欠である。そして、そのためには、職場におけるストレス要因の軽減・除去や職場以外におけるストレス要因への配慮だけではなく、勤務環境の向上がなされ、更に個々の職員の心身の健康の増進が図られなければならない。また、現在の社会状況においては、ストレスへの対処方法を知るとともに、ストレスに対する耐性を高めることが必要である。

(1) 各省各庁の長

ア 勤務環境の整備

  1. 職員のストレス状況の把握に努め、職場におけるストレス要因の軽減・除去及び勤務環境の向上に努める。このため、ハード面の整備として、事務室内の採光、騒音、気温、机の配置等を適正に保ち、また、ソフト面の整備として、超過勤務の縮減を図り、人事配置、人事管理、仕事の進め方等を適切に行い、セクシュアルハラスメント問題等に適切に対処する。
  2. 採用直後、昇任直後、長時間勤務、交替制勤務、単身赴任、長期の在外勤務、定年直前などストレスが多くなりがちな職員の勤務環境等に配慮する。

イ 職員等への支援

  1. 職員及び家族に対し、ストレスに気づくことの重要性、ストレス対処方法等の健康な心の保持増進のために必要な基本的事項の周知を図る。
  2. 職員及び家族に対し、心の健康に関する相談窓口を設置し、また職場外で活用できる相談窓口に関する情報の提供に努める。
  3. 管理監督者に対し、管理監督者の役割、勤務環境の評価及び改善の方法、部下からの相談の受け方等に関する知識を提供する。
  4. 職員のストレス状況等から必要な場合は、管理監督者に勤務環境の改善方法を指示するとともに、管理監督者からの相談に応じ必要な措置を講ずる。
  5. 長時間勤務等により特にストレスが高まっている職員に対し、健康管理医等から意見を聴取し、仕事上や生活上の助言を行うなど健康な心の保持増進のための措置を講ずる。
  6. 育児介護の負担、妊娠等によりストレスが多くなりがちな職員の職務内容等に配慮する。

ウ 身体面の健康管理

長時間勤務等により特にストレスが多くなっている職員に対して健康管理医等による問診等を行い、健康管理医等の意見を踏まえ健康診断等の健康管理を行う。

(2) 管理監督者

  1. 部下のストレス状況、勤務環境等の評価・改善の方法、部下からの相談の受け方等の修得に努める。
  2. 部下のストレスの状況を把握し、部下のストレス要因の軽減・除去及び勤務環境の向上に努める。また、採用直後、昇任直後、定年直前等のストレスが多くなりがちな部下については、特に配慮する。管理監督者のみでは改善が困難な場合や広く情報提供する必要がある場合などは、必要に応じ各省各庁の長へ報告する。
  3. 人間関係は心の健康の保持増進のうえで重要であり、職場の良好な人間関係づくりに努める。
  4. 仕事の進め方等を工夫し、超過勤務の縮減を図る。長時間勤務等によりストレスが多いが、直ちにそれを軽減することが困難な部下に対しては、部下の状況の把握に特に留意するとともに、その状況を各省各庁の長へ報告する。

(3) 職員

ア 心身の健康の積極的な保持増進

  1. 心身の疲労を蓄積させないよう、睡眠、休養等により疲労回復に努める。
  2. スポーツ、レクリエーション等により適度な運動も取り入れて規則的な生活を送り、積極的に心身の健康の保持増進を図る。
  3. 良好な職場の人間関係を作るなど身近な勤務環境の改善等を行い、ストレス要因の軽減・除去に努める。

イ ストレスへの対処

  1. 自らのストレスに気づくことが重要であることを認識し、研修や自己啓発によりストレスに関する知識を修得する。また、職場内外の情報提供等を活用し、ストレス度チェック、ストレス対処法等によりストレスコントロールを行う。
  2. 職場内外の相談窓口、友人等の支援を得て、職場や家庭の悩みなどストレス要因の早期解決を図る。
  3. ストレスを蓄積させないため、趣味、スポーツ、娯楽等によりストレスを解消する。

(4) 人事院

  1. 各省各庁の職員の心の健康の状況及び心の健康づくりの施策の状況を把握し、必要に応じ勤務環境の改善等に関する支援等を行う。
  2. ストレス対処法を備えたストレスチェック表等を作成し各省各庁へ提供するとともに、心の健康の保持増進のために必要な情報を各省各庁へ提供する。
  3. 相談窓口のモデル例及び医師等の専門家の確保のモデル例を作成し、各省各庁の長へ提供する。
  4. 各省各庁の長からの依頼に応じ、専門家のあっせんを行う。
  5. 職員、家族、管理監督者等に対する心の健康づくり、職場の悩み等に関する相談窓口を設ける。

4  心の不健康な状態への早期対応

  心が不健康な状態になったときには、治療など専門家による適切な対応を早期に実施することにより、早期の回復を期待できることが多い。より早い回復は、仕事の遂行や同僚との関係等においても、よりよい結果をもたらし、また再発の頻度の可能性を低下させることとなる。

  心の不健康な状態については、本人自身に自覚がなかったり、自覚はあっても、そのことを隠したり、言いだせないでいることも多く、また、本人が受診等を行わないことも多い。このため、早期に対応するためには、本人が日頃から早期対応の重要性を認識するとともに、各省各庁の長、管理監督者、健康管理医、家族等による相互の連携・協力が重要である。

(1) 各省各庁の長

  1. 職員の心が不健康な状態にあり専門家による対応が必要である可能性があると感じたとき、職員本人はもとより、その身近にいる家族、管理監督者、同僚などが専門家に相談できるよう相談窓口等を定め、周知する。
  2. 専門家による対応が必要である可能性があると認められる職員がいる場合は、必要に応じ専門家の支援を得て対応する。
  3. 対応に当たっては、職員の心の状況の正確な把握、職員のストレス要因の除去・軽減等に関し、家族の協力が必要なことも多く、必要に応じ家族との連携を保ちつつ行う。
  4. 受診が必要であるにもかかわらず職員が受診しないときは、本人の人権の尊重を前提に、管理監督者、家族等と連携、協力し積極的に受診の勧奨を行う。また、本人自身や他の職員を傷つける等のおそれがある場合は、受診を命ずるものとする。

(2) 管理監督者

  1. 早期対応のためには、日常的に部下に接している職場の管理監督者が果たす役割は極めて大きいことを認識する。
  2. 心が不健康な状態になったときには、遅刻や早退が多くなる、仕事が手に付かない、単純なミスが目立つ等の言動等が見られることが多い。早期発見に関する知識等を深め、部下の言動等の変化を早期に把握する。
  3. 専門家による対応が必要である可能性がある部下がいる場合は、専門家の支援を求めるとともに、必要に応じ、各省各庁の長等と協力・連携しながら対応する。

(3) 職員

心の不健康な状態は早期に対応することが重要であり、専門家による支援が必要ではないかと感じた場合は積極的に職場内外の相談窓口等を活用して、早期の対応に努める。また、必要に応じ管理監督者等に心の状態を報告する。

(4) 人事院

  1. 各省各庁に対して、早期対応のための職場内の体制のモデル例を作成するとともに、具体的な早期対応の事例、本人が受診しない場合の具体的な受診勧奨方法等の情報提供を行う。
  2. 各省各庁の長からの依頼に応じ、専門家のあっせんを行う。
  3. 職員、家族、管理監督者等に対する具体的な対応方法等に関する相談窓口を設ける。

5  円滑な職場復帰と再発の防止

  職場復帰の時期及び復帰後の職務内容等の受入方針は、円滑な職場復帰及び再発の防止のために適切なものでなければならない。このため、専門の医師により職員の状態及び職務の内容等が正確に把握され、その意見を踏まえ慎重に決定されなければならない。また、療養中の職員は復帰に当たって、不安、緊張が高くなっている等の状況にあることが一般的である。事前に職員の意向を聴取し、できるだけ本人の了解の下に復帰後の受入方針を定め、それを実施することが、復帰前の本人の不安、緊張等を和らげるとともに、復帰に対する本人の意欲を高め、復帰後の順調な回復に資することとなる。

  また、復帰後は、受入方針を実施しながら、本人の状況に注意し、必要があると判断される場合は、当初の受入方針等を変更していくことが、順調な回復及び再発の防止のために必要である。

(1) 各省各庁の長

  1. 復帰前にあらかじめ職員本人、家族、主治医等と連携し、職場を離れている間の職員の回復状態、現在及び今後の治療の方法等の状況を把握する。
  2. 職員の職場復帰に当たっては、復職の時期、職務内容、勤務時間等に関し、事前に職員の意向及び主治医の意見を聴取し、また、必要に応じ家族及び管理監督者の意見を聴取した後に、健康管理医又は各省各庁の長が適当と認める医師の意見を聴取して具体的な受入方針を決定する。
  3. 復帰する職員の精神的負担等を考慮し、職員の復帰する職務は休む前と同じであることが望ましいが、職員の状態、職員が不健康な状態となった原因の状況等によっては、配置換等を行うものとする。
  4. 職員の復帰前に、管理監督者に対して受入方針及び本人の意向、回復状態等円滑な職場復帰のために管理監督者が知っておくべき情報を示す。
  5. 職員の職場復帰後は、受入方針を実施しながら、職員の勤務状況、同僚との人間関係、心の健康の状況等を、職員本人、管理監督者、主治医、家族等を通じ把握し、回復、再発の防止等に支障があると判断される場合は、必要に応じ、本人、主治医、健康管理医等の意見を聴取した後、受入方針の変更、管理監督者や同僚への指示等を行う。

(2) 管理監督者

  1. 円滑な職場復帰に当たって、職場で身近におり職員の仕事の管理等を行う管理監督者が果たす役割は重要であることを認識し、職場復帰の際の対応方法等の修得に努める。
  2. 職員の職場復帰に当たっての不安、緊張等を軽減、除去するため、復帰する職員に対し受入れに好意的であることを示すことは重要である。
  3. 職場の人間関係は職員の勤務環境の中でも重要なものであり、復帰した職員と同僚等の状況について把握し、職場のストレス要因となっている場合などは、調整等を行う。
  4. 復帰した職員への対応に関し、自分一人だけで判断することは避け、必要に応じ職員の職場の状況等を各省各庁の長へ報告し、対応方針を確認する。
  5. 復帰後の職員の状況等を把握し、必要に応じ仕事の内容等を調整する。また、本人の不安、緊張等を軽減、除去するため、積極的に復帰した職員の相談に対応する。

(3) 職員

  1. 職場の受入れが適切に行われるよう、事前に回復の状況、復帰後の職務内容の希望等について各省各庁の長等と十分な連絡を取る。
  2. 復帰後は治療と仕事とのバランス等が適切に行われるよう、回復状態、仕事の困難さ、職場の人間関係等について、管理監督者、健康管理医等へ報告する。
  3. 復帰後も治療を続ける場合は、服薬等について主治医の指示に従い、回復に努める。

(4) 人事院

  1. 各省各庁の長に対して、職場復帰の際の受入方針のモデル例を作成し、また円滑な職場復帰及び再発の防止に関する具体的事例等の情報提供を行う。
  2. 各省各庁の長からの依頼に応じ、専門家のあっせんを行う。
  3. 職員、家族、管理監督者等に対する相談窓口を設ける。

6  自殺防止

  職員の自殺を防止することは、心の健康づくりの重要な課題である。防止のためには、心の健康の保持増進、心の不健康な状態への早期対応、円滑な職場復帰と再発の防止等を着実に実施することが必要であるが、自殺の場合、うつ病等の状態から引き起こされることが多く、また、うつ病等の状態は、精神的肉体的に過重な職務や家庭の深刻な悩み等により生じる場合も見られるところである。したがって、自殺の防止のためには、自殺との関連がみられる状況に関し認識を深め、そのような状況にある職員の身近にいる管理監督者、同僚、家族等が、必要に応じ健康管理医、主治医等の助言を得ながら、各省各庁の長と協力・連携して対応することが必要である。

  自殺防止のため特に留意すべき点は次のとおりである。

(1) 各省各庁の長

  1. 職員、管理監督者、家族等に対し、うつ病等の状態、「世の中がいやになった」、「死にたい」等の自殺予告のサイン、自殺未遂の経験、仕事上や家庭内の深刻な悩みや大きな変化等の自殺との関連がみられる状況に関し、啓発を図る。
  2. 職員の変化には周囲の者が気づくことも多い。職員本人はもとより、家族、管理監督者、同僚等がいつでも相談できる窓口を設置するなどして、専門家の助言が得られる体制を整備し、その利用に関し周知する。
  3. 自殺との関連がみられる状況にある職員については、精神的肉体的に過重な職務から他の職務へ配置換することを考慮することも重要である。また、管理監督者等に対し、職員への対応等に関する指導・支援を行う。
  4. 自殺との関連がみられる状況にある職員への対応に当たっては、職場だけでなく家庭も重要であり、家族、管理監督者、同僚等が協力・連携して対応できるよう指導・支援を行う。
  5. 職員が自殺した場合は、遺族及び周囲の職員等が一人でその辛さを抱えること等により新たな心の不健康な状態を生ずるおそれがあることから、必要に応じこれらの者に心理的側面からのケアや相談窓口に関する情報提供等を行う。

(2) 管理監督者

  1. 自殺防止に当たっては、職員に日常的に接している職場の管理監督者が部下の言動等のわずかな変化をとらえることが重要であることを認識する。
  2. 自殺との関連がみられる状況にある部下の状況等に注意するとともに、仕事の内容、同僚との関係等に配慮する。また、部下が危険な状態ではないかと思えるときには、速やかに各省各庁の長と相談し適切に対応する。
  3. 自殺との関連がみられる状況にある部下からの相談等に真摯に対応し、部下が悩んでいる等の状況があるときは、積極的に話しかけ、悩み等を聴くなどし、必要に応じ仕事の分担の変更、勤務環境の改善等を行う。また、必要に応じ、専門家等の助言を得て対応する。

(3) 同僚

  1. 職員に日常的に接している職場の同僚は、職員が危険な状態ではないかと思える時には、速やかに管理監督者等と相談する。
  2. 自殺との関連がみられる状況にある職員に積極的に話しかけるなどして人間関係に配慮し、また、必要に応じ職員の仕事の分担の変更、勤務環境の改善等について管理監督者等と相談する。

(4) 職員

長時間勤務、緊急を要する勤務、私生活上の悩み等による精神的肉体的に過重な負担から心が不健康な状態になるおそれがあると感じた場合は、一人で悩むことなく、積極的に管理監督者、同僚、家族、友人、相談窓口等に悩みを打ち明けるなどして、精神的負担を軽くするとともに、改善のための支援、助言を得るように努める。

(5) 人事院

各省各庁の自殺の実態を把握し、各省各庁の長へ提供するとともに、自殺防止のための具体的対応例、自殺の徴候の具体例等を作成し、自殺の防止のための支援、情報提供等を行う。

7  職務遂行能力の計画的な回復

  心の健康の問題により長期間休んでいた職員が職場に復帰した際に、職務遂行能力が全面的に回復していることは少なく、当初は勤務時間の短縮、職務内容の変更等により勤務内容を軽減することが多い。

  この場合、職務遂行能力の順調な回復を図るためには、職務復帰後の一定期間計画的に職務内容等を決定していくこと(以下「計画」という。)が有効である。また、職務を行うことにより、職務遂行能力の回復が促進される面があることから、計画は、単に回復を待って職務内容等を決定するだけではなく、回復の促進という観点も入れて職務内容等を決定することが適当である。なお、回復の状況を注視しながら、柔軟に計画の変更を行うことも必要である。

  計画は、次のとおり行うものとする。

(1) 計画は、各省各庁の長が決定し、管理監督者等に実施させる。

(2) 計画の決定に当たっては、次のことを行わなければならない。

  1. 主治医の意見を聴取するとともに、計画についての理解を得るよう努めること。
  2. 職員本人の意向を聴取するとともに、計画について理解を得るよう努めること。
  3. 健康管理医又は各省各庁の長が適当と認める医師の意見を聴取するとともに計画の同意を得ること。
  4. 管理監督者の意見を聴取すること。
  5. 必要に応じ家族の意見を聴取し、計画について理解を得るよう努めること。

(3) 計画には、原則として次のことを定めるものとする。

  1. 計画の予定期間(おおむね3月以内とする。)
  2. 予定期間内における勤務内容(職務内容、勤務時間等)及び勤務内容ごとの期間
  3. 予定期間内における関係者間の連絡、意見交換等に関する事項

(4) 各省各庁の長は計画の変更が必要であると判断したときは、(2)及び(3)に準じて変更を行うものとする。

(注1) 「心が不健康な状態」とは、うつ病等の心の病の状態だけではなく、心が不安定になるなどして、心の健康のために専門家による支援が必要な状態をいう。

(注2) 「心の健康づくりに関する専門家」とは、心の健康づくりに関する専門的な知識、技能等を有する医師及び心理の専門家をいう。

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初等中等教育局初等中等教育企画課

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ファクシミリ番号:03-6734-3731

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