全国的な学力調査に関する専門家会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成23年12月28日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館 3F 1特別会議室

3.出席者

委員

梶田座長、大津委員、小川委員、久保田委員、柴山委員、清水(静)委員、清水(美)委員、田中委員、田村委員、土屋委員、福田委員、堀竹委員、耳塚委員、山崎委員

4.議事要旨

(1)平成24年度調査における質問紙調査の項目について意見交換を行った。
(具体的な調査内容に関する審議のため非公開)
(2)「きめ細かい調査」の基本的な枠組み案(資料2-1、2-2)について意見交換い、座長一任となった。委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 平成19年度に始まった学力調査はいくつかのステージに分けて捉えることができ、まず、第1ステージとして、悉皆調査の方式でスタートした。その後、第2ステージとして、抽出調査及び希望利用方式での実施、また、理科追加がある。平成25年度のきめ細かい調査の実施は、第3ステージであると位置づけている。この第3ステージでは、抽出調査にきめ細かい調査を数年に一度組み合わせて実施するものと考えている。
    今後の調査について検討するに当たり、同一内容、一斉調査からの脱却を図るとともに、単年度だけを視野に入れるのではなく、複数年度をセットにして再編していくという考え方が必要。今回示す基本的な枠組みが学力調査の完成形ということではなく、第4ステージに向けて学力の時系列的な変化をテスト理論等に基づいてきっちりととらえることのできる手法を導入するなど、より適切な方式の導入を可能にするような調査システムが構築できればと考えている。
     
  • きめ細かい調査について、第3ステージに入ったとして新しい調査方式になるということが学校現場や教育委員会にきちんと伝わるようにわかりやすく説明をするということが必要である。
     
  • 都道府県・市区町村、学校などで、調査結果を読み取って的確に対応するためには、現場に役に立つ情報を使いやすいものにして普及をするという観点が必要である。
     
  • 確かに、調査により測定できるのは学力の特定の一部だが、それは大事な一部であるため表現の工夫が必要。また、序列化や過度な競争につながらないようにする必要があるのは、一部の測定しかできないからではなく、エビデンスベースドで教育活動などを改善していくということ自体がゆがんでしまい、違う方向にいってしまうからであるので表現を工夫する必要がある。
     
  • 学年進行の連携がうまくいっているのか、教科間の壁による問題がないかを調査し、その方向性が出せるような調査ができないか。
     
  • 今回示された基本的な枠組み(案)で、指導を大切にしながら、かつ、調査をきちんとやっていくという、日本型の新しい学力調査の在り方が見えてきたと思う。目的に応じた幾つかのオプションを持ち、かつ、それらを組み合わせていくことで、学力が本来的に持っている多義性、多様性、それをある程度担保しながら、指導と検証のサイクルを構築していくということが見受けられる。
    調査設計が細かくなるほど、その方法論が複雑になるので、その分説明責任を果たすことが必要。
     
  • 「きめ細かい調査」が、新しい考え方に基づく第3ステージの調査であることをPRしていく必要がある。また、単なる現状把握だけではなく、新規の施策について、予め想定していた成果があがっているかを検証する観点もあっていいと考える。このような調査の方が現場としては、前向きに捉える調査だなという感覚が持てると思う。
     
  • きめ細かい調査を行って第3ステージに入った以上は、その後に続く抽出調査自体も、これまでの抽出調査とは違う、バージョンアップした抽出調査になっていかなければならないと考える。
     
  • 基本的な枠組み(案)には、中長期的な考え方が記載されているが、長い目で見て、この調査をいかに生かしていくか、そのためにどのような調査をすればいいのかということを検討するような組織づくりも必要であると考える。
     
  • 基本的な枠組み(案)にある、無回答の理由や誤答に至った考え方等の把握・分析について、特に中学校では無回答の割合が多い問題が幾つか出ているため、それについて詳しく調べるということは重要だと考える。 
     
  • 学力や学習状況を正しく把握するため、また、抽出調査では対象にならない学校や市町村もあり、全国の教育委員会、学校でより活用を図るためにも、全数で調査をすることは必要と考える。
     
  • 複雑な調査をやろうとした場合、成果を得るためには、何を検証するかといった論点を明確にしておく必要がある。そのためには、調査の設問や内容を考える際に、理論的なバックグラウンドを整理して実施に臨むことが必要。そのためには、長期的には人材と組織などの体制を整備しておくことが必要だと考える。
     
  • 学校においては、この調査の目的・趣旨の徹底とともに、調査結果を検証して教育課程の改善に結び付けるという意識をきちっと学校に持ってもらうということが、今後の調査に関する重要なことだと考える。
     
  • 学習指導要領の改訂のサイクルも目に入れながら、教育課程実施状況調査との役割分担も考える必要がある。23年度調査では、中学校国語と数学で共通問題が出題され、現場では非常にインパクトがあった。学力調査には、そのような新しい方向性を出すという役割もあると思う。
     
  • 同じ調査で何もかもやろうとするのは困難なため、全国学力・学習状況調査と教育課程実施状況調査を棲み分けたほうがよいと考える。

(3)平成22年度追加分析の結果について、早稲田大学から報告を行った。
(4)事務局より、平成23年度全国学力・学習状況調査の問題冊子等の活用状況に関するアンケートの結果(資料5)について報告を行った。
(5)事務局より、平成23年度全国学力・学習状況調査の調査問題を踏まえた授業アイディア例(資料6)について報告を行った。
(6)事務局より、平成24年度予算案(資料7)について報告を行った。
(7)事務局より、平成24年度全国学力・学習状況調査実施要領等(資料8-1、8-2)について報告を行った。

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