資料1-1:全国都道府県教育委員会連合会提出資料1 (平成25年度 国の施策並びに予算に関する要望(抜粋版))

平成24年7月
全国都道府県教育委員長協議会
全国都道府県教育長協議会

2 教育予算の充実及び教職員の定数確保

 近年、暴力行為、いじめ、不登校等の生徒指導上の課題の複雑・多様化や、特別支援教育、外国人児童生徒、学力向上、地域や保護者との連携など、教育に対する関心、期待が高まっている。

 こうした中、平成22年8月、文部科学省が「新・教職員定数改善計画(案)」を策定し、国の平成23年度予算編成において、小学校1年生の学級編制の基準を35人に引き下げたが、平成24年度予算編成においては、基礎定数化のための法改正を見送り、小学校2年生の36人以上学級への対応を加配措置で行うとされたところである。

 よって、国においては、次の事項について、実現、充実されたい。

1.教育予算の充実

 児童生徒一人一人の良さを見出し、それを一層伸長するとともに、互いがその存在を尊重し合い、よりよい社会づくりに貢献しようとする態度や能力の育成を重視した教育の実現に向け、十分な施策が実施できるよう、諸外国の公財政支出などの教育投資状況を参考にしつつ、総額の拡大を含めた教育予算の充実を図ること。

2.義務教育に必要な財源の完全保障

 義務教育の機会均等と教育水準の維持向上のため、国家公務員の給与削減に合わせて義務教育費国庫負担金の削減を行うことなく、今後とも必要な財源は国の責務としてこれを完全に保障すること。

 なお、就学前教育や初等中等教育の在り方、国、都道府県、市区町村の役割を検討するに当たっては、教育の機会均等と教育水準の確保に留意するとともに、国として確実に財源を保障すること。

3.公立高等学校の授業料無償制への対応

(1)公立高等学校の授業料無償制については、保護者の経済的負担を軽減し、教育の機会均等にも寄与するものであることから、今後も制度を継続していくこと。

 また、公立高等学校の授業料無償制の導入に伴い、地方に新たな財源負担が生じることのないよう、授業料減免相当分や地方公共団体において「授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由」がないと判断して不徴収とした分も含めた全額について国において交付金として確実な財政措置を講じること。

(2)経済的理由により修学が困難な生徒を対象とする「給付型奨学金」を創設すること。なお、制度創設に当たっては、次の事項について留意すること。

ア 地方公共団体に負担転嫁することなく、国の責務として必要な財源を確保するとともに、学校等関係機関に多大な事務負担の伴うことのない制度とすること。

イ 教科書等図書費だけではなく、入学料・学用品・制服・修学旅行等の費用についても対象とするよう財政措置を図ること。

4.新たな教職員定数改善計画の策定と着実な実施

 新学習指導要領の全面実施に伴う授業時数や指導内容の増加等への対応に加え、特別支援教育、外国人児童生徒への日本語指導の充実や、複雑・多様化する生徒指導への対応、主幹教諭の配置による学校の組織運営体制の強化、少人数学級(35人基準)の小学校第2学年以降の学年への拡大等により、教員が子どもと向き合う時間を十分確保できるよう、今後の少人数学級推進等に伴う、基礎定数や加配定数の見通しを盛り込んだ中長期的な教職員定数改善計画を早期に策定し、着実に実施すること。

 また、教職員定数改善計画の策定に当たっては、小学校と中学校における改善時期のバランスを配慮するとともに、地方の財政負担が増加しない方策を検討すること。

5.基礎定数化のための法改正による小学校第2学年以降における35人以下学級の早期実施

 平成23年度は、小学校第1学年においてのみ35人以下学級の実現が図られたものの、平成24年度においては、基礎定数化のための法改正を見送り、小学校第2年生の36人以上学級への対応を加配措置で行うとされたところであるが、教員が子どもと向き合う時間を確保し、子どもたちの学習・生活の両面の成長を図る観点から、小学校第2学年以降においても35人以下学級を基礎定数化のための法改正により早期に実現すること。

6.指導方法工夫改善等加配教員の継続的な措置

 教職員定数の改善に当たっては、学校・学級規模の大小にかかわらず指導方法の工夫改善のための加配を活用した、少人数指導や習熟度別指導などの取組が実施されており、新たな学級編制の標準に基づく教職員定数の増により、これらの取組が後退することのないよう、指導方法の工夫改善のための加配については継続すること。

 また、同様に、児童生徒支援をはじめとした各種加配についても、学級編制基準の見直しにより後退することがないよう措置すること。

7.指導主事制度の充実

 学習指導要領に基づく教育課程の適切な編成・実施、国際化・情報化等への対応など国民の学校教育に対する多様な要求に応える指導体制を充実するため、指導主事の果たすべき役割は極めて重要である。このため、都道府県及び市区町村教育委員会での指導主事の配置を充実できるよう、必要な財政措置を図ること。

 さらに、学習指導要領ではカリキュラムの開発のための各地域・学校における実践の工夫が期待されており、このための指導のほか、教育改革への対応、教職員の大量退職に伴う若手教職員への指導・研修の充実など、その業務はますます増大していく現状にあるので、充て指導主事制度の充実のための定数の確保と財政措置を図ること。

8.グローバル人材育成の推進

 グローバル化に対応しつつ新たな社会的・経済的価値を創出・主導することができる人材を育成するため、地方公共団体が、それぞれの特徴を生かし創意工夫して教育活動を展開していくことができるよう、国として財政措置を図ること。

9.新学習指導要領への適切な対応

 新学習指導要領の全面実施に伴う授業時数増に適切に対応するため、特に小規模校の教員定数を改善すること。

10.専門的知識を有する人員の配置

 学校教育に係る要望や苦情、法律相談への対応を図るため、弁護士等の専門的な知識を有する人員を配置すること。

 また、そのために必要な財政措置を講じること。

11.児童自立支援施設に併設する学校への定数措置

 児童自立支援施設に併設する学校に在籍する児童生徒の状況や年度中途で児童自立支援施設に併設する学校に在籍する児童生徒の状況や年度中途での児童生徒数の変動状況を踏まえ、定数措置の充実を図ること。

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