公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第17回) 議事録

1.日時

平成24年8月28日(火曜日) 9時~11時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議事録

【木村主査】  おはようございます。ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議を開催させていただきます。

 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。本日は、本会議の主催者でございます高井副大臣がお見えになっておりますので、冒頭一言御挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【高井副大臣】  おはようございます。朝早くから、ほんとうに連日いろいろ御協力をいただきまして、大変感謝を申し上げたいと思います。座って御挨拶申し上げます。

 委員の皆様におかれましては、少人数学級の推進や教職員定数の改善の在り方、それから精力的にこうしてヒアリングにご協力いただきまして、ほんとうに感謝を申し上げたいと思います。私も政務官をしておりましたときから少しあいて、また副大臣という形で本省に戻ってくるということになりましたけれども、まさに教職員の配置の問題について、大勢の方から、最もいろいろな要望が多いことの一つであり、やっぱり計画的にきちんとやっていかなければならないということを強い思いでおりましたので、委員の皆様とともにまたこうして議論に参加させていただくことができることをほんとうに感謝を申し上げたいと思っております。

 今年度予算におきまして、小学校2年生の35人学級の実現等のために、3,800人の必要な定数改善を確保することができました。そして今後なお少人数学級の推進、それから個別の課題の個別支援、教育格差の解消のための指導の充実などについて、この教職員定数について、効果の検証をしっかりやりながら、教育の質の向上につながるための教職員数配置の適正化について、計画的にしっかり行うことを検討しておる最中でございます。

 検討会議のメンバーの皆様には、まさに今必要とされている、子供たちに質の高い学びを提供するための最適な教職員配置の在り方、そして今後に向けた計画的な教職員定数改善の必要性や具体的な在り方について、大変厳しい財政状況ではありますけれども、しっかり活発な議論を積み重ねて、証拠に基づくしっかりした予算をつくっていくために、最大限、政務としても取り組みますので、ぜひ御指導、御支援をお願い申し上げたいと思います。

 ほんとうに昨年から、震災を含め、円高等いろんな社会的環境はより厳しくなっておりますが、この苦境を打開するためにこそ教育に投資することがまさに最大限必要だという思いで、政権もスタートから頑張っておるわけでありますけれども、なかなか100%十分な期待に応えられているわけではございませんけれど、しかしながら、我々政務三役としても来年度に向けて、最大限まさに人材を育成することこそ日本の再生の全てであるという思いで取り組んでおりますので、これからもよろしくお願いしたいと思います。

 9月7日が概算要求の締め切りの予定でございまして、作業を進めておるところであります。ぜひこれからもチルドレンファーストという思いで頑張りますので、先の見通しを持って教職員採用人事ができるよう、計画的な定数改善の実現に向けて一緒に頑張りますことをお誓い申し上げて主宰者としての御挨拶にかえさせていただきます。ありがとうございました。

【木村主査】  どうもありがとうございました。それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。

【日向調整官】  失礼します。それでは、資料の確認をさせていただきます。

 資料1、35人以下学級の割合について。資料2、平成24年度全国学力・学習状況調査の結果について(概要)。資料3、今後の学級編制及び教職員配置について(これまでの論点の整理)。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 この度、平成24年度の学校基本調査の速報結果が公表され、それに基づいて、小中学校の35人以下学級の割合について資料を準備していただきました。また、全国学力・学習状況調査の結果も公表されましたが、その結果については本検討会議にとっても重要なデータでありますので、まずは事務局から説明をお願いいたします。

【日向調整官】  失礼します。それでは資料1をごらんいただければと思います。

 資料の見方でございますが、水色の部分が国の標準に基づく理論値、つまり国の標準、小学校1年が35人、小学校2年生以上が40人により算定した場合、35人以下となる学級の割合でございます。また、青色の部分でございますが、これは都道府県実施分ということでございまして、都道府県が独自に学級編制の弾力化を実施した結果、35人以下となった学級の割合でございます。また、濃い青につきましては、平成24年度予算の36人以上学級解消のための加配などを活用した結果、平成24年度に35人以下学級が増加した割合ということでございます。

 順に小1から見ていきますと、小1は35人学級でございますので、ほぼ100%でございます。小2につきましては、これは7割が国の標準に基づく理論値でございますが、それに加え、都道府県実施分で、さらに今年度予算の36人以上学級解消分を足し合わせると、ほぼ100%となります。順次小3、小4とごらんいただきまして、若干特徴的なデータとしては、中1の部分でございますが、ここがかなり都道府県実施分の割合が多いという状況でございます。

 以上が資料1でございます。次に、資料2に移らせていただきます。

 これは今年度実施をいたしました全国学力・学習状況調査の結果についてでございます。本年4月に実施いたしまして、小6、中3を対象としております。今年度初めて理科を実施いたしました。また、生活習慣や学習環境等に関する調査もあわせて実施をしております。

 教科に関する調査結果につきまして、理科における主な結果でございますが、平均正答率が低いものということで、観察・実験の結果などを整理・分析した上で、解釈・考察し、説明することなどに課題が見られるという結果が見られました。この部分について平均正答率が低いということでございます。小学校、中学校理科それぞれの課題については、そこに挙げさせていただいているとおりでございます。また、平均正答率が高いものについても、その下に小学校、中学校理科それぞれ挙げさせていただいております。

 国語、算数・数学における主な結果でございますが、記述式問題を中心に課題が見られるということでございます。国語、算数・数学それぞれ課題が見られる部分について挙げさせていただいております。ごらんのとおりでございます。

 2ページをごらんいただければと思います。

 生活習慣や学習環境等に関する調査結果でございます。児童生徒に対する調査ということで、理科の勉強が好きな小中学生の割合は国語、算数・数学に比べて高いわけでございますが、理科の勉強は大切ですとか、理科の授業で学習したことは将来社会に出たときに役に立つと回答した小中学生の割合は、国語、算数・数学に比べて低いという結果が出ております。以下はごらんのとおりでございます。

 また、学校に対する調査も行いまして、理科の観察・実験に関する質問について、以下の3つの点について、これらの取り組みを前年度に行った小中学校のほうが、理科の平均正答率が高い傾向が見られるという結果が出ました。あと、以下ごらんのとおりでございます。

 次に3ページをごらんいただければと思います。これは全国学力・学習状況調査結果と少人数学級等の実施状況について、それぞれクロスして調べた結果でございます。全教科の平均正答率が全国平均を上回っている都道府県は、ごらんの小学校12都府県、中学校7県でございました。これら全県におきまして、平成23年度は、35人以下学級などの少人数学級が実施されております。小学校につきましては、12都府県のうち10府県、中学校は7県のうち5県で35人以下学級の割合が全国平均を上回っているという状況でございます。

 なお、35人以下学級の割合が全国平均を下回っている東京、富山、石川、香川におきましても、少人数学級と少人数指導を選択することを認めるなど、きめ細やかな教員配置を行っております。

 4ページにつきましては、今御説明させていただいたことを具体に表で整理させていただきました。以上で資料の説明を終わらせていただきます。

【木村主査】  ありがとうございました。いかがでございましょうか。ただいまの説明に対しまして、何か御質問あるいは御意見等ございますか。

 参考資料ですが、平均正答率が全国平均を上回っている都道府県が、小学校で12、中学校で7あるということですね。その次は、その中でという表現ですね。

【日向調整官】  はい。

【木村主査】  その中で、全県において平成23年度は35人以下学級などの少人数学級が実施されているわけですね。

【日向調整官】  はい。

【木村主査】  それで、小学校は12都府県のうち10府県、中学校は7県のうち5県で35人以下学級の割合が全国平均を上回っているということですね。

【日向調整官】  はい。

【木村主査】  小川委員、何かコメントをお願いします。

【小川副主査】  特にございません。

【木村主査】  難しいですよね。相川委員。

【相川委員】  申しわけないですが、35人以上の学級の多い県がその下位の部分に占める割合ですね、少人数学級の割合が多い上位の話でなくて。

【木村主査】  成績ですか?

【相川委員】  ええ。少人数学級が進んでいない事が成績に影響しているというのはデータになっているのでしょうか。いいほうは確かに載っていますが、悪い場合は、人数が多いから結果が悪いというようなことはないですか。

【木村主査】  どうでしょうか。

【日向調整官】  そのあたりについてはお示しできるようなデータが整いませんでしたので、今日はお示しできておりません。

【木村主査】  東京都での校長先生にアンケートをした結果は、圧倒的に少人数学級のほうが結果がよくなっていました。35人学級で結果が悪いと答えた校長はゼロでした。現実に成績がよくなっているし、生活面で非常に効果があるという回答が非常に多くありました。データを見て、先生方が少人数学級が実現したことによって随分エキサイトされているなという感を受けました。やっと自分たちの思いを少し聞いてもらえたのかな、これからやりますよというような感じが読み取れました。

 よろしゅうございますか。

 どうぞ、井上委員。

【井上委員】  学級というのはもともと、前からこの会議でも議論されているように、学習集団と生活集団ですから、学習状況についてはこういう結果が出たというのはよくわかるのですが、生活指導の上で、例えば不登校とかいじめとかいう状況が35人学級を実施しているこういう県とほかの県、全国平均と比べてどういう状況になっているのかというのも、学級規模を論じる場合にはどうしても必要なデータだと思いますので、その点についてもお調べいただきたいと思います。

【日向調整官】  すいません。今日はデータを持ち合わせていませんので、これから精査させていただきます。

【木村主査】  今、井上委員の御質問に関して、横並びといいますか、都道府県を横に見ていっての結果というのはなかなか出ないんです。一つの県で少人数学級を実施したことによって明らかに効果が出ているという例はかなりあるのですが、各自治体横断の比較はできていません。

【井上委員】  今までこの検討会議にも各県の実施状況について御報告いただいて、やはり不登校やいじめが減っているという県が今まで御報告があったと思いますので、そういうものも参考にしながら、一応どういう状況かは把握しておいたほうが説得力があるんではないかと思いますので、よろしくお願いします。

【木村主査】  できるだけ、各都道府県あるいは各市町村でも調査をやっていますから、そういうデータを洗いざらい文科省で集めて、検討していただくということが必要ではないでしょうか。

 どうぞ、藤崎委員。

【藤崎委員】  2ページ目で、一番最後の行に、理科以外の新規項目、自然の中での集団宿泊活動を長い日数行った小学校のほうが効果が出ているという項目なんですが、大体何日ぐらい宿泊研修を行っているか、あるいはこの県の中で、特にそういった自然体験が盛んな県の例などがありましたら教えてください。お願いいたします。

【木村主査】  わかりますか。

【田村室長】  学力調査室長の田村でございます。宿泊につきましては、1泊2日、2泊3日、3泊4日、それとやっていないという形で聞いておりまして、基本的に宿泊日数を増やすほど平均正答率が高くなっていくという傾向が出てきております。それは国語Bと算数B、応用、活用の問題についてだけでございますけれど、そういう相関性がございました。ちょっと、各県の状況については、ただいまデータを持ち合わせておりませんので、また精査させて、どういうふうに出るか、全国としての状況としてはそういうことだったということでございます。

【木村主査】  どうぞ。

【藤崎委員】  ありがとうございます。実は、藤沢市では市独自で八ヶ岳に自然体験教室を持っておりまして、特に火おこしなどを小学生に体験してもらうということに力を入れているんですが、地元の小学生と、藤沢市の小学生で火おこしを一緒にやってみたら、地元の小学生はわずかなまきで御飯を炊き上げ、藤沢市の小学生は一山全部使ってしまったというようなこともありまして、ほんとうに国語、算数というか、体験の中で伸びているなということを実感しています。

 ただ、八ヶ岳も前は2泊3日やっている学校があったのが、1泊2日などになっておりまして、その傾向として、担任の先生方の負担感がとても大きくなっております。そういう意味でも、少人数学級で先生方に余裕があれば、2泊3日でも3泊4日でも逆に八ヶ岳に行って授業をしてみようかとか、そういったことにつながるんではないかなと。実はきのうから八ヶ岳で不登校の子供がキャンプをしていまして、改めて感じていましたもので、この新規項目に着眼いたしました。ありがとうございます。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに。どうぞ、貞広委員。

【貞広委員】  申し上げるべきかどうか迷っていたのですが、相川委員がおっしゃったので敢えて申し上げます。

 こういう成果を示していただく場合に、平均を上回っている都道府県がこうでしたというお話をしていただくのであれば、その合わせ鏡として、実際の名前は出さないまでも、うまくいっていなかった都道府県では35人以下学級の割合が全国平均を上回っていて、または少人数学級と少人数指導を選択するような弾力的な運用がなされていないという比較対照がされてこそ説得性が出るものだと思いますので、もし可能であれば、ぜひあわせてお示しいただくという形にしていただければと思います。以上です。

【日向調整官】  数字の精査ですとか示し方も含めて、事務局のほうでよく検討させていただきたいと思います。

【木村主査】  くどいようですけど、データの量はまだ大したことはないと思いますけども、各都道府県、市町村で調査を相当やっていますので、そのデータを集めてぜひ精査をしていただきたいと思います。ほかにございませんか。

どうぞ、井上委員。

【井上委員】  先ほど言い足りなかったので、少なくとも生活指導の上で、小1プロブレムの解消状況というのははっきりわかると思いますので、その点についても補強的にデータがあったらお願いしたいと思います。

【木村主査】  よろしくお願いします。相当宿題が出ましたので、事務局よろしくお願いします。よろしゅうございますか。

 理科については、勉強が好きと答えてくれる子供たちが小学校については随分増えました。PISAを例にとりますと、初めて2009年に国際平均を超えました。しかし、生活との関連では、理科がどういう意味があるかということになると、日本ではよくわかっている子供たちが少ない。それに対してヨーロッパでは、生活との関連、算数などは生活との関連がつけやすい科目だと思いますが、理科についても将来の生活に役に立つとか、日本でも生活とどのように関連しているか等の点では、子ども達が良く理解しています。その辺は日本とは全然違います。日本でも随分理科の先生には頑張っていただいて、非常に高い数字を出していただいているのですが、理科の勉強は大切だとか、将来役に立つということになると肯定的な返事をする子どもが減ってしまいます。その辺を今後どうするか考えていく必要があろうかと思います。

 どうぞ。

【井上委員】  今、主査がおっしゃった点なんですが、私も教育課程部会に入っていて、従来は確かにおっしゃるとおり、生活とのかかわりが教育指導上欠けていたから、今後教育課程上、生活とのかかわりを十分指導上も生かしていこうというので、平成20年の答申の際には、十分そういう点を配慮したと思いますので、今後そういう点が学校現場で定着していけば、先ほど木村主査がおっしゃったような、従来の状況を解消していくんじゃないかと期待しているわけですが、実際の教科書とか、指導上どこまで生活とのかかわりが書かれてきているのかということについて、教えていただきたいと思いますが。

【木村主査】  どうですか。

 どうぞ、課長。

【伯井課長】  前職が教育課程課長でございましたので。

新学習指導要領の趣旨に則した教科書でございますので、内容的にも質、量ともに相当、新学習指導要領対応の教科書が充実しておりまして、ちょうどこの調査の2ページの、学校に対する調査の具体例のところにございますように、自ら考えた仮説をもとに観察・実験の計画を立てさせる指導であるとか、結果を推察して書かせる指導とか、あるいはグループで観察・実験の結果を討論させてそれを発表させるような指導とか、そういうのを具体的に展開しやすいような教科書の内容にかなり改善がされておりますので、井上委員がおっしゃられましたように新学習指導要領の趣旨、内容が定着していくにつれてこの辺のところが伸びてくるのではないかと我々としては期待しているところでございます。

【井上委員】  ありがとうございます。

【木村主査】  ちょっと話を飛ばして恐縮ですが、JABEE、日本技術教育認定機構という組織がありまして、私はその会長をしております。ワシントン・アコードという技術教育認定の国際的な組織がありますが、JABEEは有力メンバーの一つです。日本が2005年に初めてレビューを受けたときに、やはり日本は工学教育をきちんとやっているが、カリキュラムにデザインの要素が非常に少ないという指摘を受けました。先ほど藤崎委員が言われたことと一脈相通ずるところがあるのですが、実際に物をつくるための教育が、ほかの国と比べると足りないと言われました。

 日本では小学校、中学校での理科の教育がそのまま大学に上がってしまっている。つまりその昔、大学のいわゆるエンジニアリングがヨーロッパから入ってきたときにそれを工学と訳したので、それが学問になってしまったんですね。ほんとうはエンジニアリングというのは、実際の生活に必要ないろいろな道具をつくるものなのですが、それがないがしろにされてしまったのです。今度の学習指導要領は私も改定の議論に参加しましたが、あれがきちんといくと、学校の設計と実際の生活がつながってくるのではないかという気がします。

 いろいろ事務局に対して注文が出ましたので、よろしくお願いいたします。

 この件、よろしゅうございますか。それでは、この件については以上とさせていただきます。

 次に本検討会議のまとめに向けた議論を行いたいと思います。

 審議に入ります前に、今後の進め方について確認をさせていただきます。先ほど、高井副大臣の御挨拶にもございましたとおり、本検討会議として概算要求までに議論の取りまとめを行う必要があります。しかしながら、概算要求の締め切り期限である9月7日までにもう1度この会議を開催することは日程的に困難でありますため、本日、議論いただいた点を踏まえ、事務局でさらなる修正案を作成し、皆様方にメールで意見照会をさせていただくという方法をとりたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

 ありがとうございます。最終的な取りまとめにつきましては、この会議の主査を務めております私と副主査の小川委員、並びに事務局に一任していただくという形にしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 はい。ありがとうございました。それではそういう方向で取り進めさせていただきたいと存じます。

 本日はこれまでの論点整理について、前回の検討会議でお示ししました3番目の「教職員定数改善の内容・考え方」までの範囲で、委員の先生方からいただきましたご意見を反映したものを準備いたしております。事務局から、「教職員定数改善の内容・考え方」までのところについて修正いたしました箇所を中心に説明をお願いいたします。その後、それについて少し御意見をお伺いした上で、4番目の「計画的な教職員定数改善」の項について事務局から説明をいただき、再び質疑をお願いしたいと存じます。

 それでは、恐れ入りますが、3番目「教職員定数改善の内容・考え方」について、事務局から説明をお願いいたします。

【日向調整官】  失礼します。それでは、資料3の41ページまでについて、修正箇所を中心に御説明をさせていただきます。

 まず、1ページから2ページにかけまして、「はじめに」を追加させていただきました。ここは、この検討会議の設置の経緯、それからその後の検討過程、平成24年度予算における対応についての記述、また、この後も何箇所か触れられておりますが、総論として、社会の変化とこれから求められる教育の役割、今日の学校教育における諸課題について記述をさせていただき、それを踏まえ、教職員体制の整備の必要性、教職員定数改善計画の必要性について盛り込ませていただきました。

 すいません、次でございますが、6ページについてでございます。1番上の丸、二つ目の丸についてでございます。ここは、教職員定数改善の必要性について触れておるところでございますが、その背景となります社会の変化、それを踏まえた今後の学校教育のあり方について記述をするとともに、今後の学校教育に求められる役割に対応するためには、質の高い授業や生徒指導などをしっかり行うための教職員体制の整備が急務である旨追記をさせていただきました。

 また、同じページの下から二つ目の丸、「一方、近年の」と始まる部分でございますが、ここは、いじめ等の問題への対応について追記をするとともに、新しい学習指導要領で求められている新しい学びを展開する必要性、これを踏まえた学習活動・内容の充実や、授業時数の増加に対応する必要性について追記をしました。

 また、6ページの1番下の丸の部分ですが、世界最高水準の教育力を目指す必要性、そのためには定数改善が不可欠である旨も追記させていただいております。

 次に、8ページの部分でございますが、これは先ほど枠囲いで囲った部分をさらに具体的に追記をしたものでございます。

 それから10ページ、11ページについても枠囲いの記述をより詳しく記述させていただいたものでございます。

 12ページにつきましても同様でございます。

 次に、14ページでございます。14ページの部分は、教員に優秀な人材を得るため、教員は子供と正面から向き合って教育活動に取り組むことができるため、優秀で意欲のある人材が教職を目指せるよう、教員が魅力ある職であることを示したり、また、採用倍率向上を目指すなどの方策をあわせて検討することが必要である旨追記をさせていただいております。

 また、15ページ、18ページはいずれも同じでございますが、いじめ等の問題への対応について追記をさせていただいております。

 次に、飛んで24ページでございますが、ここにつきましては法律改正によりまして市町村教育委員会の裁量が拡大した旨の記述の追加、またこれは東京都の事例として、学級規模の縮小と、ティームティーチング等を選択できる取り組みを実施していると、以前当会議でも紹介をさせていただきましたが、その事例を追加させていただいております。

 大分飛んで恐縮でございますが、40ページ、41ページでございます。ここにつきましては、加配定数の措置がどのように教育機能の向上につながったかを検討すると記述を一部修正させていただきました。

 簡単ではございますが、以上変更点の説明でございます。よろしくお願いします。

【木村主査】  ありがとうございました。いかがでございましょうか。先ほど申し上げましたように、この資料は前回いただきました委員の皆様方の意見を勘案しまして修正したものでございます。どういう角度からでも結構です。意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【木村主査】  どうぞ。すみません。まず米田委員。

【米田委員】  この資料の32ページの真ん中あたりのことに関して、御質問みたいな形になると思いますが…。3番目のいじめ等の問題への対応等のところで、その下の矢印の後に、いじめ等の問題に対応するため、特別な指導に取り組む学校の体制整備を支援、そしてまたその後のところですが、主幹教諭の配置促進や、とあって、先導的取組を行う学校に対して体制整備を支援とあります。新たないろんな問題がでてきて、そういう面でいろいろ支援をすることはもちろん必要ですが、例えば現在の養護教諭の配置基準等を見ますと、小学校の場合は児童数が851名以上の場合、2名配置できる。逆に850名以下だと1名となりますが、中学校の場合も生徒数801名以上になると2名で、800名以下だと1名ということですが、その基準そのものがそれでいいのかどうかというあたりを改めて見直すというお考え等はないのでしょうか。

 といいますのは、いろんな課題が多くなってきて、1人でも問題を抱える生徒が出てくると、やはりそれに対応するために教諭が非常に多くの時間とエネルギーをそこに費やします。一方で養護教諭がそういう面で非常に大きな役割を果たしているということも確かに言えますが、養護教諭等の配置基準を法的な面で見直して一部改正するということを、踏み込んでいければ一番いいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

【木村主査】  いかがでしょうか。なかなか難しいところですね。何人に決めるかというのは。

【伯井課長】  確かに御指摘のとおり、養護教諭もそうでございますけれども、例えば教頭の複数配置とか、これは皆法定事由で、今、米田委員がおっしゃられたように801人以上の学校に、中学校ですと養護教諭をプラス1、今言っている加配とは別に、法定としての加算を行うような仕組みがございまして、理想としましてはそういうところを改善していくというのは確かに検討課題として、養護教諭もしかりですし、全体的に配置の基準をよくしていくというのがあるわけでございます。

 一方で、複数配置基準に各都道府県がしっかりついてきていただけるかというのも課題としてあるのですが、そういう全国的にというか、漏れなくやっていく政策とともに、加配という形で個別具体に問題が発生しているような学校に対してプラスアルファの措置をしていくのが加配措置になるわけですが、現状においては個々に抱える問題解決のために申請に応じて手当てをしていく、加配をトータルで考えて増やしていこうと、当面はそちらの方策をとっていこうと考えています。もちろん配置基準を見直していくということを捨てているわけではないですけれども、それはそれとして検討しつつ、当面、向こう中期的にはそういった形で加配の充実を図っていこうという趣旨でございます。

【米田委員】  はい。

【木村主査】  よろしゅうございますか。東京都では非常に荒れた高等学校を立て直すためにチャレンジスクールとかエンカレッジスクールに指定するという試みをやって、かなりうまくいっています。うまくいった要因の一つが、養護教諭を増やしたということです。立て直った高等学校では悩みを抱える子が多くて、養護教諭のところへ来る頻度が非常に高いそうです。私は東京都での経験から、養護教諭の配置は非常に有効だということを強く認識しています。

 ほかにございませんか。

【米田委員】  それで、私の経験からですが、児童生徒だけでなく、実は先生方も一番困ったときに最初に行くのが養護教諭というケースが非常に多いです。特に若い方々が、ある程度経験のある養護教諭のところに行って、いろいろ職務上のことだけではなくて、そのほかのことも相談するケースも多いということで、そういう意味で非常に大きな役割を果たしていると認識しておるということでございます。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。

 どうぞ、井上委員。

【井上委員】  この報告書案では、特に19ページ以下に少人数学級の効果検証で、学習状況と生徒指導上の不登校とかいじめなどのことも含めて、少人数学級の効果について、秋田県、山形県の実例を参考にして述べておられるわけで、そういうものが先ほどの全国学力・学習状況調査結果等と結びついて説得力を持つような報告書にしていただければと思います。

 それとともに、今回効果実証を踏まえた、学級規模と教職員配置の適正化について報告をまとめるに当たって、この会議でも従来から1番問題としているのは、やはり各県が先を見通した教員配置、教員の採用や配置ができるような計画的な改善をしてほしいという声はほぼこの会議でも一致していると思っているわけですが、そういう中で、ページで申しますと2ページの1番最後から2段目の文章においても、やはり各都道府県が先の見通しを持って計画的・安定的な採用・人事配置を行うことができるような計画的な教職員定数の改善が求められているとして、最後の4のところでそれらについて今後の、来年度概算要求に向けての教職員配置についての検証・改善システムの確立に伴う計画的な教職員定数改善計画が42ページ以下に書かれているわけでございますが、平成23年度と24年度、小1と小2の定数改善を行ってきて、来年度の概算要求がいよいよ3年目を迎えるわけでございまして、この中にも書いてあるように来年度から第2期の教育振興基本計画が新たにスタートするということもあって、ぜひそういう点では、法律改正によって第8次の教職員定数改善計画が、それを法律によって国会の承認を得ることがなかなか難しいという状況であれば、各都道府県が先の見通しを持って予見可能性を持った採用計画や、あるいは教職員配置ができるような計画が、やはり次善の策として考えられるんじゃないか。

 そういう場合には、今のタイミングからいうと、第2期の教育振興基本計画とあわせて、この定数改善計画をやればそれが閣議決定されるわけですから、文部科学省だけの計画ではなしに、それだけ実効性を持つんじゃないかと思いますので、今後そういう点について現在教育振興基本計画が審議されていると思いますので、連携して定数改善をし、予見可能性を持った計画にしていただくように御努力をお願いしたいと思います。

【木村主査】  よろしくお願いします。事務局、よろしいですか。

【伯井課長】  はい。

【木村主査】  ほかに御意見ございませんか。貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】  ありがとうございます。非常に細かいことを1点と、もう一つは自分への戒めも込めて1点、御意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、今般の教職員の配置の充実の最大の目的は、一つは新学習指導要領の定着、実施、そしてもう一つは特別な配慮が必要な子供への対応ということ、この二つの柱だったように私としては理解しておりました。また、まとめ自体も、内容的にはそうなっていますが、2ページ目の二つ目の丸のところに、学校教育への期待が増大しているというくだりで、学力の問題と、社会、子供たちの変化の問題が書かれている一方、特別な配慮や対応が必要となる子供が増加しているという文言がありません。ぜひそこには加えていただいたほうが、全体の中身とのバランスがとれるのではないかと思います。非常に細かいことで恐縮ですがそれが1点です。

 あと、もう1点はやはりお金を取ってこなければいけないということで、財政の配分についてです。ここにいる方は教育にたくさんお金を使ってくださいと思っている方ばかりであろうかと思いますが、実際財政の配分を現実面で規定しているのは効率主義という側面があります。端的に言えば教育を国民の税金で賄うのであれば、最も効率の上がる使い方が望ましいということです。それに際して、教育研究者や行政サイドが、公立学校や教職員配置を充実させた効果の測定に、利用可能な指標を今まで提供し切れてきていないのではないかということを、個人的な反省も含めて思います。その結果、学力だけがクローズアップされる、数値化されるものだけがクローズアップされていく側面があるのだと思います。ただ、現場の感覚としてはそうではない。学力には出てこないけれども、クラスサイズが小さくなれば非常に先生もやりやすくなるし効果が上がるという感覚があるわけです。ですから、今後安定的に教職員の配置を充実していくためには、学力と同様に全国的な分析に耐え得るようなデータの蓄積と、効果の指標開発がどうしても必要になってくると思います。

 それで、今般これを読ませていただくと、加配教員については、40ページのところの下から二つ目の丸に、この加配教員の措置にかかわっては、効果検証が不十分なのでという注のところに、統一的な指標等を示すなどの必要な助言を行い、適切にその検証が実施できる態勢整備を図る必要があると書かれているのですが、これはもちろん加配教員についても必要ですが、加配以外の少人数指導や少人数学級の検証についても同様のことが言えるのではないかと思います。

 ですから、読ませていただいたところ、16ページの1番目の丸に、学力・学習状況調査の「きめ細かい調査」を活用して、何が学力等に影響を及ぼしているか幅広く継続的に検証可能なデータを積み重ねることも必要と書いてありますが、これに加えて、こうしたものでは十分に効果検証できない公立学校の教育の効果の測定に利用可能な指標を開発していくというような姿勢をお示しいただくほうが、より今後充実した教員の配置につながっていくのではないかと意見を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。

【木村主査】  ありがとうございました。非常に難しい問題ですね。公教育のメリットといいますか、それをはかる指標は確かに必要だと思います。

【木村主査】  ほかにございませんか。いかがでございましょうか。どうぞ、米田委員。

【米田委員】  今の16ページで、上の丸のところですと、何が学力等に影響を及ぼしているかの、学力等の「等」についてです。普通学力というと数値的にあらわされるものをすぐ連想して、それをまず見るという方向に行きますが、実は今お話に出たように、ほかの面もいろいろまず見なければいけないというのは当然だと思うのですが、そういう意味で学力等の「等」にそこを含めたと理解してよろしいでしょうか。

【日向調整官】  はい、結構です。

【木村主査】  ほかにございませんでしょうか。どうぞ、藤崎委員。

【藤崎委員】  こちらのまとめ、ありがとうございました。今さらですけども、ちょっと藤沢市の臨時的任用教員に対しても調べさせていただきました。藤沢では、小中学校の生徒数が3万3,300人ほどおりまして、学校は小中特別支援学校を合わせて55校です。それで、臨時的任用教員が担任を行っているクラス数が、小学校では担任が単純に29クラス、臨時的任用教員です。中学校では25人ということで、それ以外に産休、育休の臨時的任用教員はまた別でして、産休の場合は小学校32人、中学校8人ということで、生徒のうち臨時的任用教員が担任をしている生徒が大体7%ぐらい、それから産休、育休を含めますと11%ぐらいの生徒が臨時的任用教員の先生が担任を持っているという状況です。

 いろいろな校長先生にお話をお聞きしたところ、臨時的任用教員だからといって教師として不足しているかというものではなく、個人の資質ですばらしい先生もたくさんいるということをおっしゃっていましたが、何よりも困るのが、計画性を持って学年が成長していくにつれ、この学年はこういったところに次の学年で力を入れたい、学年団の構成というものを計画的に考えていくときに、非常に臨時任用教員の率が高い学校ではそういった計画がうまくいかないということを嘆かれている先生が多かったということです。

 もう1点は、やはり研修です。藤沢の場合、ふじさわティーチャーズカレッジといいまして、将来教員を目指す大学生を対象とした、本来はそういったスクールを行ったのですが、今、臨時的任用教員の先生もその中に入って一緒に研修をしています。市民から、仕分けの会議でも、果たしてそういったこれから教師を目指す先生と、もう教壇に立って担任もしている先生方を一緒に研修を行っていくことが、子供たちにとって本当に利益につながるのだろうかというような疑問も寄せられています。ですから、ぜひ計画的に、いかに教員を採用していくかというところで、この適正配置は大事なのではないかというのを改めて考えました。

 このまとめに関して言えば、私個人の意見としては、2ページ目にいじめ等の問題への対応も必要であるということが入っておりますが、やはり不登校、引きこもり、いじめ等だけでは今の学校の先生方の悩みあるいは状況を表現していないのではないかということを強く感じました。もちろん発達障害、あるいは非行等言葉を増やせばいいというものではないのですが、今、特に大津の問題でいじめに注目が集まっていますが、全ていじめも非行も不登校も引きこもりも、私自身は担任の先生と児童生徒のつながりの希薄さが非常に強く出ていて、これは解決する方向で考えたいんですけれども、担任の先生の重要さというのが日本の学校教育の底力だと思っています。

 ちなみに、地域・家庭との連携促進ということで入っていますが、藤沢は55校のうち、現在15校が家庭訪問か面談に選択制、あるいは地域訪問といいまして、子供たちの通学路を確認するだけの方向に転換しています。これは、不登校の子供を18年間、引きこもりの子供と相対してきた自分にとって、担任の先生がその子供の家を知らない、あるいは家庭の中の状況を見に行かずに把握する、想像だけではできないものではないかと思いまして、非常に危機感を覚えています。そういった背景なども、大変難しいかと思うのですが、都内でも家庭訪問がどんどん減っているということは聞いておりますので、そういった表現をどこかで入れていただきたいと思います。

 14ページの表現の部分ですが、下の傍線のところに教員に優秀な人材を得るためにと書かれています。優秀といいますと、確かに人格、人間性、いろいろなものが含まれている言葉かもしれませんが、ちょっと冷たいような印象を受けまして、こういった書類にこの言葉というのがどの程度影響力を持つかというのが私もわからないところでありますが、子供たちにとって魅力のある人に先生になってもらいたいと考えています。ぜひ、優秀なだけではなく、魅力ある職ということで、魅力という言葉が出ていますが、魅力ある人を未来を担う子供たちを教育する先生に採用していくというような、明るい表現をしていただけたらありがたいと思います。

 39ページの学校サポート人材の活用ということで、確かに学校はいろいろな方々、スクールカウンセラーですとかスクールソーシャルワーカーですとか地域の学校コーディネーターですとか、そういった方々がたくさん入っていくことは、これからの学校にとって必要なことだと思いますが、今、学校現場を見ていますと、私自身は、周辺の人材のサポートももちろん大切ですが、本体の教職員の採用、そして研修、それから教育に重点を置いていただかないと、学校がどんどん、子供たちが楽しく学べるところではなくなっていっているような気がいたします。例えば周りの相談員や地域コーディネーターがどんなに子供と仲よくなっても、担任の先生と人間関係が築けていない子供はどんどんクラスからこぼれてしまいます。そのあらわれが不登校、引きこもりの問題につながっていると思うのですが、ぜひこの少人数学級実現ということは、イコール担任の教育力をもっと強く打ち出していただいたほうが、説得力が増すのではないかと思います。

 最後に、国への要望としては、もちろん計画的な教員の人数の確保というのもありますけれども、特に小学校の先生方を見ていますと、チームで教育を行っていくことが苦手というか、弱いと非常に感じます。各学校任せ、各教育委員会任せでは、例えば小学校の専科教員の推進などはなかなか進まないと思います。ですから、ぜひ国が、トップダウンというと教育現場はなかなか反発を受ける部分が多いですが、むしろ初等教育においては、子供たちの大事な柱を育てる時期に当たりますので、国が率先してこの専科指導を促進するような方向ではっきりと方針を打ち出して、実現に向けて言っていくような教員の採用、育成をお願いしたいと思います。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。

 さきほど貞広委員がおっしゃった学力のことですが、日本の親が子供に期待するのは学力が一番なんですね。スウェーデンとイギリスとアメリカ、それからタイと日本と韓国の6カ国について、両親の子供に対する満足度調査というのをやっています。横軸が年齢で、0、3、6、9、12才、そこまでですが、スウェーデン、アメリカ、イギリスは生まれたとき、つまり0-3歳児だと親の満足度は100%近いんです。子供ができたということで満足している。12歳ぐらいになって少し右肩下がりにはなるんですが、それでも80%以上になっています。日本は0-3歳児で既に親の子供に対する満足度が60%ぐらいしかなく、12歳になりますと20%ぐらいに下がってしまいます。

 生まれたときにこれだけ低いというのは理由がよくわからないのですが、12歳ぐらいになって20%ぐらいしかないということは、やはり子供に対する尺度がたぶん一つ、学力じゃないかということです。ヨーロッパの親は勉強ができなくてもこれができる、あれができると子供をエキサイトさせていますから、そういうカルチャーを育てないと、貞広委員の御指摘になったようなことの実現は非常に難しいのではないかという気がします。

 ほかにございませんか。

 それでは最後の議題に参ります。40ページからになりますか。

【日向調整官】  42ページ、43ページでございます。

【木村主査】  42ページです。失礼しました。そこについて、事務局に簡単に説明していただいて、議論をしたいと思います。よろしくお願いします。

【日向調整官】  失礼します。それでは、資料3の42ページ、43ページについてポイントを中心に御説明をさせていただきます。

 まず、計画改善の必要性の部分でございますが、平成18年度以降、教職員定数改善計画が策定されていないということ、また、国が計画的な定数改善を行うことにより、都道府県教育委員会に対して教職員定数についての将来にわたる予見可能性を持たせることが可能になり、それにより正規教員の計画的な採用・配置が可能となり、非正規教員の増加傾向に歯どめをかける結果につながるということです。

 それから、一定の計画期間があることにより、教職員定数の自然減ですとか教職員年齢構成の変化による給与減、こうした財源を活用して計画的に定数改善を行うことが可能となるということ、また、教育の機会均等と水準確保の観点から、国の責任において計画的な定数改善を行うことが必要であるということ、それから現在検討されている地方公務員に係る60歳定年後の再任用義務付け、これは教員の新規採用に大きな影響が出てくることが予想されるということなどが盛り込む内容として考えられるかと思います。

 次に、2番、計画改善の基本的な考え方の部分でございますが、35人以下学級の推進と、特別支援教育、小学校における専科指導、教育格差解消のための学習支援等の個別の教育課題にも対応するための教職員配置の改善、この二つを車の両輪として推進することが必要であるということ。また、35人以下学級を実施するために、小学校1年生への導入の際のように、既存の加配定数を振りかえて活用する対応には否定的な意見が多数ございました。

 また、35人以下学級の推進に当たっては、地方の判断で実施学年等を選択できるよう柔軟に対応すべきとの意見がございました。

 また、市町村教育委員会や学校の判断で、少人数学級か、ティームティーチング、少人数指導を選択できるような弾力的な仕組みが重要、こうした御意見がございました。このほかにも盛り込む内容が考えられるかと思います。

 次に、3番目、計画期間についてでございますが、計画期間につきましては、第2期教育振興基本計画に合わせて5年間とするべきという御意見がございました。

 次に、計画改善の内容についてでございますが、計画的・安定的な正規教員の採用・配置、非正規教員の抑制の観点から、計画期間中、既存の加配定数を可能な限り維持・保障した上で、35人以下学級のさらなる推進や、個別の教育課題に対応するための定数措置を講じる。

 また、現下の国・地方の厳しい財政状況、公務員全体の人件費抑制の取組を勘案し、教職員定数の自然減を活用して、可能な限り国・地方ともに追加財源を伴わない計画とするなどが内容として考えられるかと思います。

 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

【木村主査】  ありがとうございました。今のところこの程度しか書き込みがありませんが、計画改善の必要性については、たくさん御意見が出ておりますので、今後十分書込みができると思います。さらにこの4のところで追加すべきポイントがございましたら、お願いしたいと思います。あるいは感想でも結構です。

【小川副主査】  前回も教職員定数改善についての意見は述べたのですが、今回ちょっと不思議なのは、教職員定数改善のこうした考え方、ポイントを示しつつ、今までであれば必要財源の支出額とか、自然減の定数枠をどの程度活用していくことが可能かという実数と試算が必ず出てきていたのですが、今回はまだそうした資料データがあまり出されていないので、これについては4の計画的な教職員定数改善計画の内容にあわせて、ぜひそういう試算とデータを出してほしいと思います。

 例えば、私も第7次改善計画にはかかわりましたが、そのときにも試算をして、小学校1年から中学校3年まで35人学級をするとどれくらいかかるかという、義務標準法の改正ということで、国の標準を改正した場合に、第7次改善計画ではたしか数千億円ぐらいの試算が出て、国の財政状況が厳しいときに、そういう数字では、義務標準法を改正して小1から中3まで改善計画で35人学級をするというのはかなりしんどいということで、結局いろんな議論を経る中で、35人学級ではなくて少人数指導の拡充というような形で、第7次もたしか決着がついたと思います。ただ、それ以降生徒数も減っていますし、先ほどの最初のデータにもあったように、自然にできた35人以下学級の割合がかなり増えてきていますので、おそらく第7次の改善計画ほどには中3まで35人学級をやってもそれほど大きな財源は必要ないと思うんです。

 幻の第8次改善計画の最初の試算を数年前にやったときには、例えば小学校1年から中3までを、国の標準法を改正したときに、改正して35人をやった場合幾らかかるかを試算した記憶があって、そのときはたしか1,200億円ぐらいだったような気がするんです。ですから、それ以降小1、小2が35人学級を実現していますし、またここで書いているとおり、標準法改正ではなくて、加配方式でもって、35人学級をするとなるとおそらく600とか700億円ぐらいのところで収まるのではないかと考えます。ですから、例えばそういう数字を出せば、確かに国・地方の財政事情は非常に厳しいんですけども、毎年5年間改善計画を立てた場合に、大体1年当たりが百数十億円ぐらいで、5年間やれば、5年間で中3まで35というのは可能になるという、そういうメッセージを国民にきちっと示せれば、それほど大きな抵抗というか、むしろそれぐらいの金額で中3まで35人学級ができるのであればということで、国民というか、社会の支持も得られるのかなという印象、感想を持ちます。計画改善の内容として、教職員定数の自然減を活用するといった場合に、およそその教職員定数の自然減がどの程度、今後約5年間あって、それをベースにしてやった場合にどれだけの人件費の枠で、追加財源を伴うのか伴わないのか、伴った場合でもどの程度の財源なのかということをもう少しクリアに数字で出してもらえれば、4の議論はもっと説得性があるかと思いますので、ぜひ事務局のほうにその辺はよろしくお願いしたいと思います。

【木村主査】  いかがでしょうか。伯井課長、お願いします。

【伯井課長】  この検討会議におきましては、資料3にございますように、15ページ以下には少人数学級をさらに推進していこうと。その際、35人以下学級のみならず、小規模校のさまざまな課題、複式学級の改善も含めて、そういう学級規模をしっかり適正化していこうという内容と、25ページ以下にありますように、いわゆる格差の問題で、学力定着に課題を抱える学校への支援とか、特別支援教育への対応など、個別課題に対応するための教職員配置の充実という、大きく二つの内容の充実を盛り込むことについて、計画的な定数改善を、各県が先の見通しを持てるような形で示していこうという御提言であろうかと考えておりまして、その際今、小川委員がおっしゃられたように、具体的な数値的な試算がないと、なかなか国民に訴えていくという点でも不十分ではないかという御指摘もございますので、どれぐらいの自然減、今後の子供の数の減少に伴う教職員定数の減があって、それをどのぐらい有効に活用すれば、どうしたことができるのかということにつきまして、いろんな制約はありますが、できるだけ小川委員の御趣旨にかなうような形でまとめていければと考えております。

【木村主査】  ありがとうございます。制限があるというお話でしたが、その制限の範囲ぎりぎりのところまででも、ぜひお願いしたいと思います。どうぞ、貞広委員。

【貞広委員】  ありがとうございます。御質問ですが、中間取りまとめの段階では、東日本大震災によって被災した児童生徒のための学習支援についての書き込みがありましたが、今回は見送られたということなんでしょうか。

【木村主査】  どうぞ。

【日向調整官】  30ページに入れさせて頂いております。また、25ページの(2)個別の教育課題に対応するための教職員配置の箱の中の26ページの最後のところに、震災により被災した児童生徒のための学習支援の記述で、30ページ、31ページに詳細な記述を入れさせていただいております。

【貞広委員】  ありがとうございました。

【木村主査】  ほかにございませんか。どうぞ、長南委員。

【長南委員】  (2)の二つ目の丸の中の、35人以下学級を実施するために、小学校1年生への導入の際のように、既存の加配定数を振りかえて活用する対応には否定的な意見が多数という思い切った表現をしていますけども、これは具体的な調査はされたのでしょうか。

【木村主査】  どうですか。

【伯井課長】  この会議でも加配を削ることに対する不満の声が大分出ておりましたし、具体的には、加配定数を基礎定数に振り向けたことによって、35人以下学級で恩恵を受ける学校はそれでいいのですが、そうではない学校からも形として結果的には、指導方法工夫改善定数の減という形につながりましたので、学校によってはそういう恩恵がないにもかかわらず、ティームティーチングや習熟度別指導のための加配措置が減ぜられるという事態も発生いたしました。そういう背景からここに書いていることと、我々のほうに各県あるいは各自治体、教育関係団体からさまざまな要望書の形で来るわけでございまして、そういうところにも加配は減ずるなという趣旨のことが多数寄せられておりますので、そういったことも少しバックデータでつける必要があろうかと思っております。

【長南委員】  この多数という表現が果たして妥当なのかどうかですよね。この場所にこういう表現にされると、何となく過敏なような感じがいたします。私は、この際既存の加配定数を振りかえて活用するためには否定的な意見が多いという、外からの声が出たわけですけども、事務局ではどういうふうに思ったでしょうか。

【伯井課長】  確かに、多数というのはちょっとわかりにくい表現ですので、現実に各地方公共団体あるいは教育関係団体から、否定的な意見が寄せられたということだと思いますので、少し客観的な表現にしたいと思います。

【長南委員】  ここのところは、要するに国としての指導に対する方針を示すところだと思います。どういう考えかはまだよくわからないですけども、このような表現はあまり望ましくないのではないのかという感じを受けました。

【木村主査】  その辺は事務局で工夫をしていただきたいと思います。ほかにございませんか。

 どうぞ、井上委員。

【井上委員】  定数改善計画について、その裏づけとなる財源をどれだけ確保するかというのは、確かにこの計画を円滑に進める上では重要なので、先ほど小川委員がおっしゃった必要性は十分感じるのですが、ただ、政府全体が非常に財政上厳しくて、税と社会保障の一体改革やら、あるいは公務員全体の人件費抑制、特に10%程度の削減などいろいろな問題がある中で、新たな公務員の増を伴う教職員定数の改善について、財源がこれだけ必要だというのは、なかなか今の政府全体の財政事情の中では難しいのかなという率直な印象を受けました。従来も定数改善計画は自然減を活用して、その財源を活用した定数改善計画を実施してきたと思いますので、飛び出す部分をこれだけだというと、それは新たな財源要求になるわけで、今のシーリング等を見ても、前年度から新規要求はかなり難しい状況にあるように思いますので、そういう意味では従来同様に自然減を活用した、可能な限り国・地方とも追加財源を伴わない計画とするというのが43ページの最後に書いてありますが、そういう方法が一番今の予見可能な教員の確保という意味では実現の可能性があるのではないかと思います。

 そういう意味で、新たな財源がこれだけかと打って出るのはかえってマイナスになるのではないかという印象を持っていまして、第6次のとき、私も定数改善の責任者でやりましたが、そのときも自然減の範囲内ということで、財政当局にすれば自然減は当然減だから、それだけは新規財源と同じだという主張を絶えずしてきているわけですので、そういう意味では、ここの計画改善の内容というところが一番、従来の定数改善計画の実施段階における考え方もそうですし、今回は特に財政事情が非常に厳しいという中にありますと、こういう考え方でやっていただくことが一番実現性が高いのではないかと思いますので、そういう点についてもさらに十分、概算要求は9月7日だそうですから、それまでよく考えて検討していただきたいと思います。

【木村主査】  先ほど冒頭でお任せいただきたいと申し上げたのですが、本当のところはなかなかつらいものがあります。どっちをとるか、事務局とよく相談して、周りの状況を見ながら修文したいと思います。

 ほかにございませんか。どうぞ、米田委員。

【米田委員】  42ページの今の(2)のほうに関してですが、二つ目の丸の終わりか、あるいは三つ目の何々との意見があった、重要との意見があった、それから43ページの(3)のところで、5年間とするべきという意見があったという終わり方をしておりますが、このペーパーそのもので結局一つの大きな意思を伝えるという目的があるとするならば、ずっと前のページには非常に重要であるとか、必要であるとか、不可欠であるとかという言い方で終わっている部分が多いですが、ここの部分に来ると、こういうふうな意見がありましたとか、こういう意見も多数でしたという終わり方になっているので、トーンが大分ここでダウンしているような感じもしますが、それに関しては何かこの後検討していただける余地はあるのでしょうか。

【日向調整官】  本日、委員の皆様方からいただいた御意見、またこれから主査におまとめいただくわけでございますが、その過程の中で最終的に、もっとより踏み込んだ表現にするとか、別の表現にするなどしてまいりたいと思っておりますので、また必要があれば、今後御意見等をいただければと考えております。

【木村主査】  こういう客観的な書き方をすることもあるのですが、確かににひっかかることはひっかかりますね。

 ほかにございませんか。まだ4については章立てぐらいしか出ておりませんので、御意見もなかなか出にくいかと思います。よろしゅうございましょうか。

 前から1つ気になっていることがあります。PISAのデータが出ていましたね。どこでしたっけ。日本は成績下位層が多いという書き方になっていたと思いますが。読解力は確かににそうなんですが、ほかの科目は必ずしもそうではありません。フィンランドとの比較ですが、数学的リテラシーだったか、科学的リテラシーだったかはっきり覚えていませんが、それについては確かに日本は下位層は多いのですが、上位層もフィンランドに比べるとかなり多くなっています。確かに読解力についてはどうしようもないのですが、いつも読解力のデータだけが出るので少し自虐的かなという気がしています。

 フィンランドでは、上位層が少ないということが大きな問題になりつつあるようです。平均値はうまく上げたのですが、上が全然上がらない。日本の場合は、下位層も多いが、上位層も多いので、少し書き方を工夫したほうがいいのではないでしょうか。

 小川委員、よろしゅうございますか。それでは大体御意見も出尽くしたようですので、以上とさせていただきます。未だ少し時間の余裕がありますのでメール等で御意見をいただくということも可能です。いつごろまでなら良いですか。

【日向調整官】  今日の御意見を整理して、できるだけ早く委員の皆様方に、主査に御確認いただいた上でさせていただきたいと思いますが。

【木村主査】  一両日中にメールで何かありましたら、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、冒頭に御了解いただきましたように、あとは私と小川委員と事務局で意見をまとめることにいたします。最後に小川委員がおっしゃったことと、井上委員がおっしゃったこととは相入れないところもあるのですが、それをどういう書きぶりにするか、少し考えさせていただきます。まだ時間が30分ほどまだありますが、大体議論が尽きたと思いますので、本日は以上としたいと思います。

 事務局、今後の予定について何かありますか。

【日向調整官】  今日いただいた御意見を踏まえまして、資料等についてもう1回整理させていただき、主査と御相談させていただきながらまた必要に応じ、できるだけ早く委員の方に御照会させていただくなどのやりとりを経て最終的な形にしてまいりたいと思います。いつまでにどうするのかというのは、すぐ検討させていただいて主査と御相談させていただきたいと思います。

【木村主査】  はい、わかりました。そういうことでよろしくお願いいたします。

 本日は活発な議論をいただきましてありがとうございました。少し時間が早いですが、以上とさせていただきます。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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