公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第16回) 議事録

1.日時

平成24年8月3日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議事録

 【木村主査】  ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議、開催させていただきます。

 本日はお忙しい中、またお暑い中、足をお運びいただきましてありがとうございました。

 まず、議事に先立ちまして、事務局に異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

【日向調整官】  8月1日付の人事異動により、事務局に異動がございました。

 まず、尾崎審議官が国立教育政策研究所の所長に異動となり、後任として髙橋道和審議官が新たに着任いたしました。後ほど参ります。

 また、谷合初等中等教育局企画官が研究開発局に異動いたしました。業務については、教育改革調整官の私、日向が引き継がせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきます。まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。

【日向調整官】  それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず、資料1-1、これは全国都道府県教育委員会連合会様より御提出いただいた資料でございます、国の施策並びに予算に関する要望(抜粋版)。資料1-2、こちらも連合会様から御提出いただいた資料でございます、学級編制及び教職員定数の現状と課題、次期定数改善計画の着実な実施に向けて。資料2、自由討議のための論点メモ。資料3、今後の学級編制及び教職員配置について(これまでの議論の整理)。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 それでは、本日はまず、教職員定数や学級規模の在り方について、最も関わりが深く、また、給与の負担者でもあります都道府県の教育委員会の御意見を賜りたいと考えております。

 本日は、全国都道府県教育委員会連合会を代表いたしまして、中西正人大阪府教育長にお越しいただいております。議論に入ります前に、中西教育長から教職員配置の適正化に関して御意見を賜りたいと存じます。中西教育長、よろしくお願いいたします。

【中西氏】  皆さん、おはようございます。大阪府の教育長の中西でございます。

 私、全国都道府県教育長協議会におきまして、予算等の課題について担当しております第4部会の主査をやっておりますので、そういう立場から今日は意見を申し述べさせていただきたいと思っております。今日は、このような意見を聞いていただく場を設けていただきまして、本当にありがたく思っております。よろしくお願い申し上げます。

 教職員定数の改善につきましては、教育行政に携わる私どもにとりまして、全国的に今、最も関心の高い課題でございます。平成22年8月には文部科学省が、平成28年度までに小学校1年生から中学校3年生までを35人以下学級にするという新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)を公表されました。その後、義務標準法等の改正を経まして、平成23年度は、小学校1年生の学級編制の標準が35人に引き下げられまして、基礎定数が4,000人改善されましたが、そのうちの1,700人は既存の加配定数からの振りかえという形で実現いたしました。非常に厳しい国の財政状況のもと、工夫を凝らしていただいたとは思っておりますけれども、すべての定数改善により配置がされずに、一部、振りかえによる措置がなされたということについては、残念と申しますか、不十分であったと感じております。

 この点につきまして、今日、配付させていただいております資料1-2をごらんいただきたいと思います。資料1-2、平成23年度研究報告No.4の30ページのアンケート結果をごらんいただきたいと思います。

 30ページに問5ということで、小学校1年生の35人学級実現に伴う国の指導方法なり、工夫改善加配の振りかえによる影響についての地方のアンケート結果を載せております。「具体的な影響について」のところをごらんいただきますと、教育現場での裁量が狭くなった。あるいは、加配が減ったことにより、指導方法の工夫改善を行う体制が後退した等、「極めて影響が大きい」「影響がある」を合わせますと80%以上の都道府県がマイナスの影響があったというように回答いたしております。地方独自により実施されてまいりました少人数学級等の施策や学校現場への好ましくない影響があったというのが地方の受けとめであったかと思います。

 続きまして、31ページ、問6をごらんいただきたいと思います。このアンケートでは、あわせまして小学校2年生以上の学年につきまして、指導方法工夫改善加配の振りかえにより学級編制基準の改正が実施された場合の影響についても各県に聞いたところですが、それによりますと、県費負担での加配が困難であり、小規模校への加配がなくなる、あるいは、個別の課題を有する学校へのきめ細やかな対応が後退する可能性がある、振りかえが進めば、加配を措置できない市町村が出てくる等の指導体制の後退や財政的な負担増等、すべての都道府県がマイナスの影響があると回答をいたしております。

 そのような状況にもかかわらず、平成24年度は、基礎定数の改善ではなく、加配定数の改善により、小学校2年生の36人以上学級の解消という措置がなされました。基礎定数の改善がなされなかったことについては問題であり、地方の思いとも明らかに反しているというように思っております。加えまして、平成17年度までの第7次定数改善計画以降、7年間もの間、改善計画がなく、各都道府県が今後の見通しを持って、計画的・安定的な教員の採用・配置を行うことができない現状にございます。

 全国都道府県教育長協議会といたしましては、昨年度、学級編制及び教職員定数の現状と課題について調査・研究を行いまして、先ほどごらんいただきました資料とともに意見書を提出いたしました。また、昨年8月のこの第6回会議におきましても、研究の中心になりました京都府の代表が意見を申し述べさせていただきました。また、先月24日でございますが、今日、資料1-1として配付させていただいております、平成25年度の国の施策並びに予算に関する要望を提出させていただき、その中で教育予算の充実及び教職員の定数確保としてお願いをさせていただいているところでございます。

 今日は再度、このような機会をいただきまして、改めてお願いをさせていただきたいことは、早急に新たな教職員定数改善計画の策定を行っていただきたいということに尽きようかと思います。現在の国の政治状況のもとにおきまして、直ちに法改正を行うことが難しいということでございますならば、現在検討されております第2期の教育振興基本計画に根拠づけを明確にしていただきたいというように思っております。各都道府県におきましては、今、団塊の世代の大量退職により新規採用者の増加が進んでおりますが、教員配置の今後の見通しが持てずに、臨時的な任用職員の採用が増えているような現状がございます。体系的な研修を受けていない教員の割合が大きく増えますことは、教育内容の質の維持向上にかかわりまして問題が出てくるのではないかという懸念を、我々、非常に強く持っております。各都道府県が今後の見通しを持って、教職員定数の動向や後年に及ぼす財政負担等を十分に考慮いたしまして、計画的かつ安定的な教員の採用・配置を行いますためには教職員定数改善計画の策定は急務でございまして、切にお願いを申し上げたいと思っております。そして、計画の策定に当たりましては、小学校第3学年以降への35人学級の拡大と、多様化する課題に対応するための加配定数の拡充を盛り込んでいただきたいと思っております。

 今、かつてないほど、学校現場の負担と個々の教員に求められているものが増えていることに加えまして、大きな社会問題となっておりますいじめへの対応等もあり、子供たちにはなお一層きめ細やかな対応が求められております。また、子供たちの生きる力をはぐくむために、一斉指導の方法だけでなく、対話・討論型のグループ学習等を通じた言語活動や体験活動等、指導方法の工夫が必要であると思っております。さらに、さまざまな課題や支援を要する児童生徒への対応が求められております。

 私ども全国都道府県教育長協議会は先日、徳島で総会を行いまして、三つの分科会に分かれて議論をいたしましたが、そのテーマの一つが、発達障害のある児童生徒への取組でございました。私もその分科会に参加いたしましたけれども、発達障害の児童生徒の急激な増加や、一人一人の子供の実態と保護者のニーズ、それにこたえようと努力しております各都道府県の状況を意見交換いたしましたけれども、問題の深刻さを改めて認識いたしました。

 以上、申し上げてきたような状況は学校現場の課題の一部でございますが、その対応のために教員が安定的に配置されることが本当に必要不可欠でございます。ぜひ私ども、今後の見通しをしっかりと持てますように、計画の策定に一歩を踏み出していただきたいと思っております。

 重ねて申し上げますけれども、教職員定数改善の実現に必要な定数措置に当たりまして、加配の定数をきちんと確保した上で基礎定数を増加させるということで対応をお願いしたいと思っております。学校現場では、少人数学級の推進とともに、各学校が抱える課題を解決するために措置される加配定数の役割も大変重要でございます。少人数学級を進めることで加配が減らされるということでは本末転倒と言わざるを得ないと思っております。

 最後になりますが、地域の実情についての配慮もあわせてお願いしたいと思っております。大阪の状況で申し上げますと、要保護、準要保護の児童生徒数、あるいは日本語指導が必要な児童生徒数も大変多くおります。また、小学校以上に、中学校での学力の課題が非常に大きくなっております。そのような地域の実情に応じまして、例えば、35人以下学級を進めるに当たりまして中学校1年生から実施するということも可能とする等、柔軟な配慮もお願いしたいと思っております。

 それから、教職員定数改善の必要性をめぐります国のほうの議論を聞いておりますと、財政当局からは、厳しい国の財政状況のもとで、既に地方の取り組みの進展により少人数学級が進んでいる、あるいは少人数学級等に関して、一律ではなく、地方の自主的な取り組みを促進させることが重要であると、そのような主張があるようですが、それは国以上に今、厳しい財政状況のもとで懸命に努力しております地方に対して、国の責任を転嫁するものであるというように思います。

 ちなみに、私ども大阪府でも今、非常に財政状況、危機的でございますけれども、そういう財政状況のもとで非常に厳しい給与カットを継続いたしておりまして、いわゆるラスパイレス指数でも今、大阪は93.4という水準にございまして、まさに身を削って施策を進めているというのが各府県共通の思いだろうと思います。こういった地方の努力も何とぞ御理解を賜りまして、国としての責務を果たすべく御努力いただきたいということをお願い申し上げまして、私の意見表明とさせていただきます。

【木村主査】  中西教育長、ありがとうございました。

 大変よくおまとめいただいたと思います。我々と認識をほぼ共有することになっているとの印象を受けましたが、何か御意見ございましたらいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。

【小川副主査】  今の御発言の中には直接触れていなかったのですが、配付資料1-1の「国の施策並びに予算に関する要望(抜粋版)」の、下のページでは19ページと記載されているところの7に「指導主事制度の充実」という項目がありますね。これにかかわって都道府県教育長協議会の御意見というか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。私も、地方教育行政について、現状どうなっているのかということを把握するために、機会を見つけてはいろいろな県に出かけてヒアリングを重ねています。確かに、市町村合併が進展して、市町村合併によって基礎自治体の規模とか行政能力は一定程度拡充しているのですが、しかし、それでも市町村をいろいろ見ていきますと、いまだに未配置の基礎自治体はありますし、また、配置といっても、一人配置というところでぎりぎりやっているところが、市町村合併が進んだ現在でもやはり多いですね。

 今の新教育課程のいろいろな課題に取り組もうとする際に、専門職の指導主事がしっかり配置されるかどうかということが学校業務への支援のキーポイントだと思っていますので、私自身も、そういう指導主事の配置の拡充ということはすごく大きな今後の地方教育行政の課題だと思い、何とかこれを拡充する方策がないのかなと考えているのですが、ただ、都道府県も今、行財政改革が非常に厳しくて、例えば従来、派遣指導主事なんかをやっている県も、派遣指導主事をやめるとか、そういう県もありますし、また、充て指導主事等々の充実という課題ですけれども、充て指導主事すら、県として縮小するようなところも出てきています。

 この前、三重県に行った時、三重県も派遣指導主事なんていう制度は全くなく、市町村で指導主事を配置する場合には、100%市町村、財源自己負担でやるというような仕組みのようで、三重県でも基礎自治体で指導主事配置というのがなかなか進んでいないのが現状でした。

 そういう中で、都道府県教育長協議会とすれば、指導主事の配置の充実にかかわっては具体的にはどのような御提案というか、お考えなのでしょうか。例えば、充て指導主事の拡充だけでもいいということなのでしょうか。ほかに何かお考えというか、御要望があればお聞かせいただきたいと思います。

【中西氏】  具体の改善策というのは非常に難しい面があると思うのですが、現状という意味では、今、委員がおっしゃったとおりでございまして、小さな市町村では本当に一人でやっているようなところはたくさんありますし、私、自分の足元の指導主事の連中の仕事を見ていましても、本当に多忙化しております。特に、今の充て指導主事も、学校に籍を置いて、週何日間か学校で仕事をしながら教育委員会の仕事をやるというのは、肉体的にも精神的にも相当しんどい面がございまして、私自身の思いとしては、充て指導主事制度というのは本当にいいのかどうなのかという疑問を私個人は持っています。

 いずれにしても、そのあたりの量的配置がきちんとできるような面での充実がぜひ必要かなと思っています。

【小川副主査】  ありがとうございました。

【木村主査】  よろしいですか。ほかに。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  三鷹市長の清原と申します。

 本日は、大変論点を整理した意見を聞かせていただきましてどうもありがとうございます。

 資料1-1で、18ページの4に、「新たな教職員定数改善計画の策定と着実な実施」という項目の中に次のような記述があります。「教職員定数改善計画の策定に当たっては、小学校と中学校における改善時期のバランスを配慮するとともに、地方の財政負担が増加しない方策を検討すること」。この小学校と中学校における改善時期のバランスについてですが、先ほど中西教育長は、小学校のすべての定数改善が行われてから中学校ということではなく、中学校1年生を先行して改善するというようなことを提案されたような御趣旨の発言をされたように思いますので、小学校、中学校の定数改善の時期のバランスということについては、どのような思いを持っていらっしゃるか聞かせていただければと思います。

 と申しますのも、この定数改善計画を策定し、それを着実に実施してほしいという中西教育長の思いの中には、単純に量的な面での改善ではなくて、きめ細かく児童生徒に対応できるような、質の面を重視した定数改善計画をすべきだというような御発言と承りました。その際、小学校、中学校という校種は違いますけれども、それぞれきめ細かくするときに、どのような時間的なバランスやタイミング等を持っていけばより有効な定数改善につながるかというのを、現場の声として、もう1度教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

【中西氏】  今御指摘の点、非常に難しい議論でありまして、各府県によっても相当、そこの意見は必ずしも同じではないです。私、中学校のことを申しましたけれども、大阪の状況から申しますと、中学校での学力問題というのが今、非常に深刻でして、特に中1ギャップの問題というのが非常に大きくございます。今、我々大阪府自身でも中でいろいろ議論しているところですけれども、どこからやっていくかという、その順番というのは非常に議論する必要があるなと。大阪の現状から申し上げますと、小1、小2の後、小学校をずっと行って中学校というのではなくて、各府県が実情に応じて選択できるような、そこの柔軟性、弾力性はぜひいただきたいと思っていますし、そういう枠組みをつくっていただく中で、それぞれのところがそれぞれに見合ったやり方をしっかり考えていくということが私は、必要かなと思っています。

【清原委員】  ありがとうございます。

 実は三鷹市では、コミュニティ・スクール型の小中一貫教育の実践をさせていただいて、いわゆる小学校6年生から中学校1年生への大きな段差は解消されつつあり、中学校1年生の学力についても相対的な向上が見られるんですね。ですから、定数改善だけの働きで学力の問題が改善しないかもしれませんけれども、今、教育長が言ってくださったような、地域の実情に応じて考えていくというご提案は大変示唆あるものだと受けとめさせていただきました。ありがとうございました。

【木村主査】  どうもありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ。

【小川副主査】  せっかく教育長協議会の代表、大阪府の教育長がいらっしゃっているので、いろいろ県の実情とか府の実情をお聞かせいただきたいと思います。この検討会議では非常に今、大きな問題の一つとしているのが、非正規教員が特にこの数年間で急増していて、今、16%を超えて七人に一人ぐらいが非正規教員という現状を何とか改善できないかということを議論しています。議論の中では、何で非正規雇用の教員がこの数年間、特に急速に増えてきているのかということについては、我々もいろいろなデータを分析しながら、その主要な原因というのを探っているのですが、都道府県教育長協議会や、大阪府の現場を踏まえると、非正規の先生方が増えている原因や要因を、どのように考えられていますか。

【中西氏】  原因ですか。

【小川副主査】  はい。

【中西氏】  おそらく、都道府県の中でも非正規の教員が増えている問題、最も深刻な中の一つが大阪だろうというように思っていまして、私自身も議会でも毎回、毎回怒られているのですが、一つは、今まさに団塊の世代の大量退職の状況の中で、正規教員の確保が厳しくなっている状況ということははっきりあります。これまで、できるだけ正規を増やしたいという思いでやっているのですが、かなり人材確保が厳しくなっています。競争倍率も低下してきていまして、本当に優秀な教職員をきちんと確保するということがどうしても必要なのですが、なかなかそこができず、また、合格を出していても、大阪の場合、結構辞退していく数もございまして、そのような状況の中で非正規教員にある部分頼らざるを得ないような構造はございます。

 特にこの先々の生徒減少も見えてきていますので、将来の計画的な配置という意味でいきますと、すべてを正規にできない、そういう構造もありまして、もろもろの要因の中で、我々の正規教員を増やしたいという思いと、非正規教員に頼らざるを得ないという、現実が続いているような状況です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんか。米田委員、どうぞ。

【米田委員】  私も中西教育長さんのところのメンバーの一人ということで、今日、改めてお聞きしまして、非常によく整理してお話しされて頂いたということで感謝しております。ありがとうございます。

 非正規教員の確保が難しくなっているというのは、秋田県の場合も同じでございまして、目に見えてはっきりしているのは、児童生徒がどんどん減っていくということで、15年先にどのぐらいになるかというのはほぼ予想できるということもありまして、なかなか正規教員として採用に踏み切れないという現状がございます。倍率もだんだん下がっていくような採用試験の状況もございます。ある程度長期的な展望がこちらも持てるような定数等の計画を改めて示していただければ、大変ありがたいという気持ちを強く持っております。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。中西教育長、どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、まとめに向けた議論を行いたいと思います。前回までの検討会議のヒアリング及び自由討議をもとに、事務局で資料を準備していただいております。

 まず、事務局からこの資料の説明をお願いして、これに基づき議論をしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【後藤課長補佐】  それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。資料3は、今後の学級編制及び教職員配置についての、これまでの検討会議での御議論を整理させていただいたものでございます。

 まず1ページ目からの、これまでの経緯のところにおきましては、昨年9月の中間とりまとめ、その後の平成24年度予算編成における議論、本年2月の検討再開後のこれまでの経緯を中心にまとめさせていただいております。

 4ページ目から10ページ目にかけては、教職員定数改善の必要性についてまとめております。ポイントは4ページと5ページのところにまとめてありますけれども、ここでは定数改善の効果や必要性に対する疑問に答える形で、これまでの議論を整理しております。まず、これまでの定数改善の効果として、教員一人当たりの児童生徒数がOECD平均に接近してきたこと。学力調査でも国際的に高位をキープしている。都会とへき地の学力格差がほとんどない。習熟度別指導や小学校での専科指導など、指導方法の工夫改善が浸透してきたといったことを、6ページや7ページにありますように、具体的なデータもあわせてお示ししながら整理をさせていただいております。

 その一方で、学校現場では、8ページのところにありますように、子供たちの生活習慣、規範意識、学習意欲、そういったものに関する課題、また、指導困難な児童生徒の増加などによって負担がかつてないほどに増大しておりますし、さらに社会の変化に伴いまして、教育内容が高度化・複雑化しております。そういったことにも対応しなければならないといった状況を整理いたしまして、その上で、今後さらに教員が子供と正面から向き合い、質の高い教育を行えるように、定数改善を着実に推進して、これまでの効果を維持・発展していくことが必要であるといった内容を記述しております。

 また、10ページ目でございますが、定数改善は、これまで7次にわたる定数改善計画が策定されて実施されてきましたが、平成18年度以降は計画が策定されておりません。このことが、先ほどもお話にありましたけれども、非正規教員の増加の一つの要因ともなっておりますことから、見通しを持った正規教員の採用・配置を各都道府県が行えるようにするという観点からも計画的な定数改善が求められるということを記述しております。

 なお、この計画的な改善の必要性ということについては、後ろの38ページの部分では、さらにもっと詳しく、この部分について深めて整理をしていくようにしたいと考えております。

 次に11ページのところでは、関連する論点といたしまして、教員の大量退職に伴う採用倍率の低下の中で定数改善を行うと、新規採用者の質の確保が困難になるのではないかという指摘に対する考え方を整理しております。ここでは、教員の年齢構成や採用倍率は都道府県ごとに大きく異なっております。全国一様に定数改善をした場合、質の確保が困難になるような倍率の低下が起きるというわけではないということ。また、各都道府県でも、採用選考に当たりましてさまざまな工夫に取り組まれております。年齢制限の撤廃とか、教職経験者、社会人の採用、都道府県間での人事交流といったことに取り組んでおります。そういったことを整理いたしまして、定数改善を行うということが今後の教員の質の確保に困難を来すということは言えないということを整理しております。

 また、12ページから21ページにかけては、「少人数学級等の更なる推進」といった点についてまとめております。ポイントは12、13ページにまとめております。ここの部分では、まず、「少人数学級の必要性」について、14ページ、15ページにお示ししておりますけれども、国際的に見た我が国の教育環境の水準がまだ低いということ、保護者からの期待、小1の35人以下学級を導入した際のアンケートなどで示された、子供たちの学習意欲やきめ細かな指導面での大きな効果、さらに新学習指導要領が求める双方向・協働型の新しい学びに対応する必要があるといったことなどをお示しして、小3以降も、国の責任で着実に35人以下学級の推進が必要であるといった内容を整理して記述しております。

 また、16ページ以降になりますが、「少人数学級の効果検証」という側面については、この検討会議で行いましたヒアリングの内容なども踏まえまして、これまでの議論を整理しております。少人数学級が学力に与える影響についての調査結果にはさまざまなものがありまして、引き続き全国学力・学習状況調査なども活用して、さまざまな分析を積み重ねていくということが重要でありますが、その一方で、生徒指導、学級経営とか、教職員の実感とか、保護者の満足度とか、そういった側面での効果も重要でありまして、こうした面で効果があることを示すデータは多数存在しているということを整理して記載しております。

 また、20ページ以降でございますが、今後の推進の在り方については、教育の機会均等と水準確保の観点から、国の責任において、中3までの35人以下学級の実現に必要な教職員定数の改善を行うことが必要であるということ。その一方で、少人数学級についての地方での先行的な取組の状況は、それぞれの地域の実情を反映してまちまちでございますので、それら地方の自主的な取組をさらに促進するという視点も重要であるということ。さらに、児童生徒の実態に応じた効果的な学級編制とか教職員配置を可能とするということでは、市町村や学校など教育現場に近いところで判断できるような仕組みも重要であるといった点について整理しております。

 続きまして、22ページ以降でございます。22ページから34ページまでにかけては、「個別の教育課題に対応するための教職員配置」についてまとめております。この部分につきましては、第14回の検討会議におきまして、個別の教育課題に対応するための教職員配置の改善についての考え方の案を資料としてお示しいたしましたが、それに各委員の先生方からの御意見等を踏まえまして、内容を整理させていただいております。

 具体的には、まず22ページから28ページまでについては、学習支援が真に必要な児童生徒への手厚い支援という観点から、まず「学びのセーフティネット」という観点で、家庭環境等の要因によって学力定着等に課題を抱える学校への支援のための体制整備を支援するということ。特別支援教育への対応の観点から、通級による指導等のための教職員体制の充実。また、特別支援教育コーディネーターの配置促進。さらに、今後のインクルーシブ教育システムの構築に向けて、支援体制全体の在り方について引き続き検討が必要であるといった点についても整理しております。

 さらには、日本語指導が必要な外国人児童生徒の増加に対応するための教職員体制の充実ですとか、東日本大震災で被災した児童生徒に対する学習支援のための加配措置の引き続きの実施について整理して記述しております。

 続きまして、29ページから34ページにつきましては、きめ細やかで質の高い指導の充実や、学校運営の改善などの観点からまとめております。まず、小学校における専科指導につきまして、小中の間での教員の連携などの先導的な取組を行う学校に対して教職員体制の整備を支援するということ。

 それから、コミュニティ・スクールなどの地域連携を強化する取組や、また、ICTを活用した教育活動でありますとか、先導的な取組を行う学校に対しまして、その研究の推進とか、成果を周知するための体制整備を支援するということ。

 また、いじめ等の問題に対応するために特別な指導に取り組む学校の体制整備を支援するということや、主幹教諭の配置の促進、栄養教諭・学校栄養職員、養護教諭の活用について先導的な取組を行う学校に対して体制整備を支援するということ。

 さらには、小規模な学校における複式学級等の教育指導上の課題に対応するために、個別の学校の実情に即した複式学級の解消などの教職員配置の改善を図るといったこと。

 また、教員の資質能力の向上を支援するという観点から、教職大学院への教員派遣を推進していくといったことなどについて整理して記述させていただいております。

 また、35ページでございますが、ここまで整理して記載してまいりました、いわゆる義務標準法に基づいて措置されます教職員以外の多様な経験や専門性を持った人材を「学校サポート人材」として活用していくことの重要性についても内容を整理しております。

 36ページでは、加配措置による教職員配置の改善について、その効果の検証を全国学力・学習状況調査なども活用しながら適切に行って、今後さらに、それを踏まえて効果的な教職員配置の改善につなげていくといった視点が必要であるといったことについて記述をしております。

 なお、38ページ、39ページの最後の部分、「計画的な教職員定数改善」のところでございますが、本日の資料では、この部分についてはまだ柱立てと論点のみを記載しております。さらに今後、本日の議論なども踏まえまして、計画改善の必要性でありますとか、基本的な考え方、期間をどうするか、改善の具体的な内容をどうしていくかといったことなどについて議論を整理して記述してまいりたいと考えております。

 事務局からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【木村主査】  ありがとうございました。

 大分まとまってまいりましたが、以下、御議論をお願いしたいと思います。どういう観点からでも結構でございますので、お気づきの点、あるいは主張なさりたい点等ございましたらお願いしたいと思います。よろしくお願いします。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  三鷹市長、清原です。

 事務局におかれましては、文字どおり、これまでの議論をきめ細かく、配慮深くまとめていただきましてありがとうございます。

 特に私から1点だけ申し上げたいと思います。今後さらに深めるべき点として、38ページ以降に「計画的な教職員定数改善」についても含めてくださいました。(2)の計画改善の基本的な考え方について、このような点を含めていただければということで発言いたします。冒頭に、「計画改善を進めるにあたって、地方での取組状況の進展や地域主権、現場主義の観点をどのように反映するか」とお書きくださいました。これはまさに私は、今後新たに教職員の定数改善計画をつくるときには不可欠な視点だと思っています。それは先ほどの中西教育長の発言からも確認されたところです。

 そこで既に、今日おまとめいただいたものの中の13ページの「少人数学級の推進の在り方」の丸の2つ目にも、「児童生徒の実態や学校・地域の実情に応じた最も効果的な学級編制・教職員配置が可能となるよう、より教育現場に近いところの裁量で教職員配置の判断ができるような仕組みが重要」というふうに記述してくださっています。

 また、21ページのところでも、最初の丸のところで、「児童生徒の実態や地域・学校の実情に応じて、最も効果的な学習・生活指導を行うための適切な学級編制や教職員配置を可能とするため、市町村教育委員会や学校など現場にできるだけ近いところの判断で、例えば、配分された定数を活用して少人数学級に取り組むか、ティームティーチングや少人数指導等に取り組むかを選択できるような仕組みも重要である」と、このように書いていただいています。

 さらに、29ページの2番目の項目で、「きめ細やかで質の高い指導の充実、学校運営の改善等」において「地域連携等による質の高い教育の充実」というふうにまとめてくださっておりまして、地域社会と学校教育との調整等に係る地域連携のコーディネートの強化により、質の高いコミュニティ・スクールの取り組み等々が今後重要であるというふうに記述していただいています。

 したがいまして、既に4の「計画的な教職員定数改善」の柱立てと論点につながる、地域の実情に応じ、また、学校の状況に応じ、何よりも児童生徒の状況に応じた柔軟な対応ができるような仕組みというようなところが潮流として流れておりますので、それを引き続き堅持した報告書におまとめいただければと思います。

 ただ、言うまでもなく、都道府県の教育委員会のみならず、市町村の教育委員会の主体性とか、責任を持った判断能力とかがより一層重要になってくると思いますので、教育長、教育委員長の役割をはじめ、先ほど小川委員がおっしゃってくださったような、指導主事の力量アップとかそういうことはもちろん関連してくると思いますが、潮流として今のような流れを報告書で含めていただければ、自治体の立場としてはありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。いかがでしょう。どうぞ。

【小川副主査】  質問ですが、35ページに、「学校サポート人材」の活用というところで、ここに書かれていることは、まさに私もそのとおりだと思うのですが、義務標準法に措置されている教職員、専門教職員の範囲というのはかなり限定されていて、学校現場が必要としている、さまざまな専門性を持ったいわゆる専門的・支援的スタッフが今の義務標準法に措置されていない現状の中で、義務標準法という枠組み以外で、スクールソーシャルワーカーなど、さまざまな専門支援スタッフを拡充していくということは非常に大きな課題だと思うのですが、ここでは国の支援措置が必要だということで書かれているのですが、具体的にもう少し、どういう仕組みが想定されているのかということを、現在考えていることがあれば教えていただきたいと思います。確かに、35ページの48ですか、欄外に、平成20年から22年の3年間、「退職教員等外部人材活用事業」に触れられており、可能な方策の一例として書かれていますが、特に平成25年度から、御存じのとおり、再任用の義務化の法律が先日通りましたよね。平成25年から再雇用義務化の話に対応して、こういう制度設計も考えていく必要があると思いますので、今の時点でどういうことが想定されているのかということを教えていただきたいと思います。

【木村主査】  どうぞ、伯井課長。

【伯井課長】  財務課長の伯井でございます。

 35ページの記述につきましては、まず、総論として、標準法で規定されている教員とか、事務職員とか、学校栄養職員とか、それをしっかりと確保した上で、さらに上乗せするような形でいろいろな専門人材、サポート人材が学校現場には必要であろうという趣旨で、そういったことを促進していくような国としての取組も必要だということですが、現状におきましては、スクールカウンセラーとか、スクールソーシャルワーカーを補助金の形で、それに特化した形ではないのですが、地方がいろいろメニューを選択できるような対応の一つとしてございます。

 それから、特別支援教育支援員につきましては、地方財政措置、地方交付税の各自治体の基準財政需要の中に積算するという形で、交付税による対応がなされております。

 ICT支援員も、明確ではないのですが、一応ふわっとした形で地方交付税の対応ということがなされているのですが、さらに、そのような取組をもう少し進めるような形で何らかの支援ができないかと思っておりますが、先生に御指摘いただいた「退職教員等外部人材活用事業」は、退職された先生方の力をより一層活用しようとすることという趣旨で、平成20年度から22年度、3年間補助金がございましたが、その間の教職員定数の改善、本体のほうの正規の教職員定数の改善といわばトレードオフの関係で、補助金がなくなっていったという経緯もまた一方にございます。その辺も含めて、標準法以外の専門的職員、あるいは地域人材によって学校をサポートするような促進方策をさらに考えていくべきではないかという趣旨でございます。

【木村主査】  なかなかはっきりとは書きにくいですね。

【小川副主査】  ここの課題だと思うのですが、ただ、交付税措置だけではなかなか難しいところがあり、自治体間格差が非常にありますので、そこを何とか、次の一手をぜひ考えていっていただければと思っています。

 今回の定数改善には直接、ある意味では関係ないのかもしれないのですが、先ほど、大阪府の中西教育長に質問した件に関わって、指導主事とか社会教育主事の配置状況については、地方に入っていろいろ調査していると、なかなかしんどい状況にあるなということをすごく今、肌身に感じています。

 私は、今、2000年以降の地方分権改革とか行財政改革の下で、地方教育行政がどういうふうに変化しているかということを、いろいろな自治体にも入ってヒアリング調査もしているのですが、指導主事の問題にかかわって言えば、確かに、市町村合併で三千幾らあった基礎自治体が1,700台になって、基礎自治体の単位というか、人口、行財政能力というのは、従来と比べれば拡充した面があるのですが、その分、都道府県が、都道府県全体で市町村に対する支援が全体的に後退してきているのも、もう一方の事実としてあります。その背景には、都道府県の行財政改革が、かなりこの間に取り組まれて、その一環として教育事務所を廃止する県が増えてきていますし、廃止までいかなくても教育事務所の縮小ということで、これまで事務所にいた指導主事の多くを本庁のほうに引き揚げていくという流れが大体できています。

 そういう流れの中で、財源的な問題のある基礎自治体というのは、なかなか自前で指導主事とか社会教育主事を配置できないというような状況が生まれていまして、分権改革の流れの中で、基礎自治体として、従来と比べれば指導主事の配置をしているところも増えてきているのですが、なかなか配置できないところもあるし、配置しても一人というのが、特に小さな自治体においてはいまだ続いているということがあります。都道府県にお願いして、訪問研修などをやっていただくというようなこともそういう自治体ではやっていますが、都道府県から来ていただくというのが年1回とか年数回にとどまっているということで、新教育課程のいろいろな取組を考えていく際に、そのような町村はいろいろな問題を抱えているなということを、この間、見てまいりました。

 さらに、もっと深刻なのは、社会教育主事の方で、これまで派遣社会教育主事ということで基礎自治体に都道府県が派遣していたところが多いのですが、今回の市町村合併や、都道府県の行財政改革の流れの中で、教育事務所を廃止しているようなところは、そういう派遣指導主事も全部本庁に引き揚げて、市町村にそのような社会教育主事がいないという基礎自治体も非常に多くなっています。学校教育の分野では、おそらく、学習指導要領があり、ある一定の制度的な仕組みがある中で、基礎自治体としても何とか指導主事を可能な限り配置するというような努力をやっているのですが、こと社会教育主事に関しては、これまでかなり大幅に都道府県の派遣社会教育主事のほうに依存している自治体が多いので、それも事務所廃止とか事務所縮小で本庁に引き揚げられる中で、さすが社会教育主事を自前で配置する市町村というのは多くないと思います。

 そういう中で、今まで、例えば教育事務所があるところでは、教育事務所のもとに、地域のいろいろなスポーツの団体の事務局があって、事務局が管轄の市町村のいろいろなスポーツを含めた社会教育の支援ということをやっていたのですが、事務所廃止や事務所縮小ということで社会教育主事がいなくなってからは、ほとんど社会教育の事業というのは各基礎自治体の自前でやらざるを得なくなっています。そこになかなか都道府県の支援というのがない中で、学校教育以上に、社会教育分野の格差というのが、市町村合併とか行財政改革の流れの中で非常に大きくなっていると思います。

 そういう状況なので、都道府県がやってくださいというだけではなかなか事態が改善しないので、国としても何らかの指導主事にかかわる体制整備というのを考えざるを得ないのかなと考えています。できれば定数改善などで指導主事のそうした問題も今後考えていっていただければと思います。今回の定数改善には直接関係ないのですが、ただ、この10年間ぐらいの分権改革の中でそういうふうな状況も、新しく出てきていますので、ぜひそれを文科省のほうに受けとめていただければなと思います。ちょっと今日のこのテーマと関係ないのですが、すみませんでした。

【木村主査】  いろいろな影響が出てくることも考えられますから。

 いかがでしょうか、今の件、お答えをお願いできますか。

【伯井課長】  先生の御指摘のとおりのような状況でございますが、指導主事につきましては、平成19年の地教行法の改正で、置くよう努めることとするという努力義務を課しました。努力義務ですが、市町村合併が進む中で、指導主事が配置されている市町村ということでは若干増えているのですが、おそらく全体の状況、とりわけ社会教育主事に至りましては先生の御指摘のとおりだと思っております。そこをトータルでどう教育委員会の指導体制の充実を図っていくかということですが、全体的な傾向としては、我々のこのテーマであります教職員定数は、比較的このような形で計画改善のような議論ができるという状態ですけれども、一般行政職員になりますと、国家公務員もそうですが、全体的に数を抑制していこうということになっています。指導主事、社会教育主事も、教育委員会の行政職員の、教育的専門職員ではございますけれども、教育委員会事務局の職員ということになりますので、どうしても行財政改革の中に取り込まれてしまうということがございます。

 いずれにせよ、全体的に教育委員会制度の在り方ということは、今、別途検討しておりますので、そういった中で先生の御指摘も踏まえていきたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。

 いかがでございましょうか。ほかに何かお気づきの点がありましたら、ぜひお願いしたいと思いますが。米田委員、どうぞ。

【米田委員】  秋田県の現状を見ますと、特に山間部の学校は非常に小規模化が進んでおります。1学年1学級という学校がかなり多く出てきているということから、結局、教員の配置におきまして、すべての人が、教頭、校長以外がすべて担任を持ち、ほかに担任を持たないで、何かのときに応援できるような教員が全くいないというケースが出てきます。そうなると、担任を持っている先生が何かの事情で休まなければいけなくなったとき、もちろん教頭先生、あるいは場合によっては校長先生も授業をやったり、その他子供たちの面倒を見るということをいたします。教頭先生あたりは、日ごとに担当する学年が違うということで、結果的にすべての児童を覚えるというようなことになるのですが、そういうことで、なかなか先生たちの心のゆとりもない、何かあっても休めないという心理的なプレッシャーというのが非常にあるということも現実であります。

 1日ずっと授業をやって、子供たちの面倒を見て、いわゆる空き時間は全然ないということになります。それでも放課後、幾らか時間を編み出してということもないわけではないのですが、基本的に、朝登校してから子供たちが帰るまではとにかく教室にずっといて、そして職員室に戻る余裕も全くないということであります。非常に規模の小さな学校に対しての何か格別な措置ができるような、全体的な加配の中で、小規模校にも、県として、あるいは町として、うまく配置できるような状況を少しつくっていただければありがたいという気がします。

 中学校の場合は、1日に1コマぐらい、あるいは多い人は2コマぐらいの空き時間はあるようですが、放課後、部活動の指導に当たって、それがある時間まで続いて、それが終わってからまた次の日の準備、あるいは事務的な処理等の仕事を行うということで、どういう観点から見ても、先生たちにとにかく余裕がない、心理的な面でも、それから肉体的な面でもかなりの負担がかかっているという感じがいたします。その辺、どの仕事の世界でもいろいろあるということはもちろんわかるのですが、特に先生方については、保護者も、あるいは一般の方々もいろいろな要求を多く出してきている中で、やや苦しい状況にあるなという印象を持っております。

【木村主査】  ありがとうございました。兵馬委員。

【兵馬委員】  特別支援学校のことについて記述を入れていただきまして、それから、障害者制度改革の共生社会の実現という部分も入りまして、ありがたく思っています。

 ただ、幾つか加配で対応するという方向性は出ているのですが、学校現場の校長としては、それが一体何人になるかというところが問題になりますので、現時点では、こちらの文部科学省から出すものとしては、このような報告になるのかなと思っています。

 それから、今、数のことを議論している場ですので、今後のこととしては、やはり採用の段階で教職員の希望者が今、少ないということで、なかなか優秀な人材が集まらないということや、それから、主幹や管理職の充実ということがあるのですが、なかなかなり手がいない。これも今、米田委員もおっしゃったように、学校の教職員の仕事が、子供たちに向かう仕事として自分は教員を目指しているのだけれど、それ以外も非常に仕事が出てきている、いじめのこともそうですけれども、そういったことに対して責任を持って仕事をしていく、もしくはモチベーションということもなかなか高まっていかないということで、教員にとっていろいろ環境が整っていかないと、そういう組織を運営するという役割を担う職員もなかなか出てこないといったこともございます。そういった部分もどこかに記述していただけるとありがたいと思っています。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。では、長南委員。

【長南委員】  最近、山形県内の話ですけれども、知事部局からのいろいろな意見など、調整が進みつつあります。というのは、35人という基礎定数の基準が下がって、今2年生まで実際になっているわけですが、「さんさん」プランはどうなのかと、21人から33人の配置の学級編制を中学3年まで山形県は実施しているわけですけれども、国の動きに比べて山形県の少人数学級編制はどうなのかという問いかけが来ているらしいのです。というのは、国が35人になったら、「さんさん」プランをやめてもいいのではないかという発想が出ているわけです。うちは、それは違うと。まだ国は実際には1年生までしか進んでいないのです。中学3年まで、すべて学級編制の基準が下がったら、何とかまず聞こうかというところはあるのですが、今の段階ではまだそんな話じゃないということです。

 山形県というのは、少人数学級編制の話題は出てきます。ところが、少人数指導と言われる、一般的に加配定数を活用した指導方法の問題についてはあまり県レベルまでには出てきません。山形県というのは、少人数学級で教職員の指導力向上を図ると。生活集団で子供たちの指導がしっかりできない教員が、少人数指導を果たしてどこまでできるのかなと考えています。ですから、山形県の場合には、前回のこの会でもお話ししたとおり、国のレベルでまず小学校、中学校、小学校1年生が終わって、2年生、3年生、4年生、5年生と進む方法もあると思いますが、先ほど中西教育長さんから発言があったような、中学校からやってもいいのではないのかという話も前に言ったことがありますが、国レベルで学級編制をまずきっちりと形づくるというのが私は一番の方法でないのかなと思います。

 少人数指導というのは、これは学校が、子供に一番近いところにいる方が判断することであって、それが国レベルでああだこうだと言うのはやっぱり控えるべきでないのかなという感じがします。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。では、新庄委員。

【新庄委員】  これまでの議論の整理ということで、よくおまとめいただきまして、大変感謝を申し上げます。

 先ほどからも何度も出ていましたが、教職員定数改善計画を策定して、計画的に教育の質的向上を図っていただきたいということや、35人以下学級の対象学年の幅を広げる過程で、地方の事情や中学校の実情に柔軟に対応できるようにしていただきたいということがあります。中学校としては、いわゆる中1ギャップの課題もありますので、中学校1年生で35人以下学級を実現することが望ましいと思いますが、ただ、それは、地域とか学校の実情によって柔軟に対応できるようにということで考えていただければ良いと感じています。

 それから、特別支援教育の充実や、通常学級に在籍する特別な支援を必要とする子供たちへの学習支援、学力定着の取組が必要な中学校への支援、複式学級の解消等について十分な手当てが必要であるということを、全日本中学校長会としても要望としてお願いしているところでございます。

 学習指導要領の円滑な実施や、生徒指導面の課題等への対応、教職員が子供と向き合う時間を十分に確保するなどの観点から、授業時数や学習内容の増加に見合う条件整備並びに、教職員定数の改善について計画的に進めていただきたいと考えております。

 それから、特に学校をサポートするということへの国としての支援措置というのはぜひお願いしたいと思っています。いじめの問題への対応など、豊かな心を育て、健やかな体を育てることが大切だと思います。特に中学校は心身ともに著しく成長する時期です。そういった面で、部活動は、教育指導の一環として、その重要性も学習指導要領の中にうたわれております。そういう意味で、教職員が子供たちに部活動を通して育てていく面というのはとても大きいものがあると思います。学習だけでなく、精神的や健康面でも、体力的にも大変大きな意味合いを持っていると思います。放課後や休日、部活動にあたっている教職員、そこに対する支援が十分必要ではないかと思います。

 そして、心を支えるという面では、スクールカウンセラーの役割が大きいと考えます。現在、多くの中学校には配置されておりますが、週に1日だけというところでは非常に不十分な面もあります。スクールカウンセラーだけではなく、福祉的な面から支えていくスクールソーシャルワーカーの必要性も非常に大きくなってきます。自治体によっては、国からの措置ではなくスクールソーシャルワーカーを配置しているところもあります。そのような意味から、学校をサポートする国としての支援措置ということについてもぜひお願いしたいと考えます。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。では、貞広委員。

【貞広委員】  二つ意見と一つ御質問をさせていただければと思います。

 まず、非常に多面的な人的配置の在り方お示しいただいて、実際にこういう姿が近い将来の学校にもたらされたら、とても学校としてはパワーになるであろうと思います。関連して、小川委員から非正規教員の増大についての御指摘がありましたが、まさに質の高い正規教員の確保のためにも、学校が苦行や徒労ではない、子供との触れ合いの中で先生方が達成感を得られるような魅力的な職場になるためにも、こういう配置が必要だと思います。こうした人的配置がなされているという姿が、これから教員になろうとしている学生たちにとっても非常にパワーになり、少しでも優秀な学生が教員を実際に目指してくれることになると思います。私自身、教員養成学部に籍を置き、熱意のある学生が、大変そうな職場に腰が引けてしまうケースを見ておりますので、ぜひこうした多面的な人的配置によって、先生方が達成感を得て働いていただけるような職場になればと思います。

 それともう1点、21ページのところです。先ほど清原委員もおっしゃっていたのですが、市町村教育委員会や学校など現場にできるだけ近いところの判断で、配分された定数を活用して云々ということです。過去にこちらの会議でも発言したことがあるように記憶しているのですが、数年来、いろいろな地域の学校にインタビュー調査などに行っておりまして、もし仮に、もう少し人材が配置されるとするならば、どういう人がいいですかという学校に質問をしたところ、非常に多くの学校が、目的がない加配を望んでいるのですね。自分の学校の実情に応じてどういうふうにその人材を使うか、少人数に使うかとか、専科に使うかとか、学校が決められるような加配です。また、場合によっては、年度の途中でその人の役割を変えるぐらい、柔軟な加配の活用の仕方というのを望んでいるという実情が強く浮き上がっています。

 それを考えると、今回、こうしたローカル・オプティマムのような取組を書き込んでいただいたということは非常にパワーになると思います。その場合、それを活かすことができる学校と、残念ながらそれが難しい学校が存在することになります。市町村の教育委員会にも同様かと思います。経験と政策立案能力のある教育委員会と、そうした経験知を持たない教育委員会というのがあると思いますので、そのサポートという意味でも、小川委員がおっしゃっていた、例えば指導主事の充実というのは、今回のおまとめいただいたものに魂を入れるためにも非常に重要なものではないかと感じております。これが2点、意見です。

 質問ですけれども、21ページの、目的なし加配に相当するようなものですけれども、この加配に対応して、36ページの下から2番目の丸のところで、「この加配定数の措置について、教育現場の課題に対応するために特別に措置されるものであるにもかかわらず、成果の把握が十分に行われておらず、効果検証が不十分なまま措置されている」ということで、今後、効果検証ができる態勢を整えていくということですけれども、例えば、目的がない形で加配を措置して、その効果検証をするというのはどういうイメージを持たれているのか。例えば、効果検証の仕方も相手にゆだねるのか、それともある程度こちらでフォーマットをつくった形での効果検証の態勢をつくるということをイメージされているのか。効果検証のフォーマットがある状態だと、なかなか柔軟な活用というのも難しくなるのではないかと危惧いたしますので、1点御質問させていただきます。

【木村主査】  ありがとうございました。いかがでしょうか。伯井課長どうぞ。

【伯井課長】  できるだけ現場に近いところの判断で、児童生徒の実態であるとか、先生方の特性というのがそれぞれ現場、現場で違いますので、配当された先生を有効に活用できるような仕組みをつくっていこうということなのですが、実際の運用としては、加配定数については、それを配分する立場からすると無目的で配分するというのはなかなか難しゅうございます。実際は、例えば京都府の例も書いておりますけれども、少人数学級の実施分ということで市町村教委に配当した上で、その選択を認める。選択してどのように使ったかというのは、しっかり検証していただいて報告をいただくという形であるとか、あるいは、現状においてもかなり柔軟にやっているわけですけれども、例えば、少人数指導で配当した加配について、何らかの事情で生徒指導上の問題でこれがより必要になったような場合に、振りかえをより柔軟に認めていくといった、一たん配当した上での用途変更といいましょうか、目的変更による振りかえ措置を、現状でも国と都道府県の関係では相当程度柔軟にやりつつあるのですが、そういった手続面での柔軟性をより高めていくようなイメージで考えているところでございます。

【木村主査】  よろしゅうございますか。では、相川委員。

【相川委員】  私は保護者の立場ですので、この定数改善というのは非常に興味を持っています。

 それと、先ほど小川委員から言われたように、非正規の教職員が増えていくということはやはり保護者としても非常に不安になる。正規の教職員の定数改善を計画的に進めていただいて、その場、その場の教育ではありませんので、子供たちが経験ある先生の指導を受けるということは気持ちの上でも安定してくる。学ぶ側の心の受けとめ方、そういうものを含めた計画的な教育、職員の確保をしてほしい。

 ここにもデータがありますが、学力的には高い、地方とも均質化して格差が少ないというようには言われていますが、学力の低い層が多くなっているという現状があります。ですから、そういうものを考えると、「学びのセーフティネット」の充実を図る必要があるだろうと思います。そういうところも含めた教職員の確保ということが必要ではないかと思います。

 今、各家庭が本当に複雑化しています。それは、所得の格差のほかに複雑な家庭環境があるために、一たん落ちこぼれたという子供たちがなかなか復帰できないような状況が広がりつつあります。学校なり、教育委員会が本当に慎重に扱わなければいけないことだと思います。

 先生の質の問題ですが、大津のいじめの問題もそうですが、多くの保護者・先生は、経済成長下の恵まれた環境で育ってきました。子供たちの心の動きに気づくことが、経験ある先生から見ると少なくなってきている。そういう面でも、少人数で先生が指導に当たる、早くに気づく、対応するということが必要ではないかと思っております。ぜひ計画的な教職員の配置を進めていただきたいと思っています。

【木村主査】  ありがとうございます。小川委員、どうぞ。

【小川副主査】  1点は、基本的には資料3の方向でよろしいかと思うのですが、4ページから「教職員定数改善の必要性」が書かれているのですが、ここにもう少し新教育課程の課題との関係を整理しておいたほうがいいのではないかと思っています。

 確かに、12ページの「少人数学級等の更なる推進」の中では、新教育課程の課題にかかわって、一層きめ細やかな指導を充実させるために学級規模の縮小が必要だというようなことが書かれていますけれども、例の2010年の幻の第8次改善計画の基本的なトーンは、新教育課程に対応した、つまり新教育課程の取組をしっかり支える教職員定数改善というトーンで書かれていたと思います。その趣旨は今回も変わらないと思うのですが、2の「教職員定数改善の必要性」のところに一言も新教育課程の問題については触れていないので、大きな前段のところでまず一つ押さえておいていただければと思います。それが1点です。

 二つ目は、これはいろいろな議論があるのかと思うのですが、38ページの「計画的な教職員定数改善」にかかわっては、幾つかの基本的な考え方を整理していますし、また、計画期間についてはどう考えるかということで、まだ空白というか、白紙になっているのですが、これまでのいろいろな議論を聞くと、基本的には改善計画の策定をしっかり行うということが、この検討会議の最大の使命なのかなということを感じます。平成17年度の第7次定数改善計画以降、国による改善計画がない中で、定数問題というのは毎年度の予算の折衝事項になっているので、これは、将来の見通しを持って地方の教職員人事をあずかる都道府県にとっては非常に不透明な状況が続くということですので、ぜひこの機会に定数改善計画をしっかり策定することが、本検討会議の基本的な立場ではないのかなと思っています。

 その際、今ちょうど第2期の教育振興基本計画が策定されていますので、この第2期の教育振興基本計画にしっかり改善計画を書き込むということがタイミングとしてもベストだと思います。38ページの(3)計画期間ですが、確かに、小学校3年生から中学校3年を順次、35ということでやると、7年間という考え方もあるかと思うのですが、第2期の教育振興基本計画に合わせて改善計画をこのタイミングで策定すると、7年ということではなくて、第2期の教育振興基本計画の期間に合わせて5年ぐらいで設定するというのが適切ではないのかなと考えます。

 教職員改善計画の大きな柱は少人数学級の推進という点では、これまでのヒアリングや、この検討会議の議論でもほぼ確認されていると思っています。基本的には、少人数学級の推進を標準法改正という手続でやるのか、去年の小学校2年生の時のように加配措置でやるのかということですが、筋論とすれば、義務標準法の改正でもって35人学級を導入していくということは一つの考え方だと思うのですが、去年の状況と変わらない厳しい財政事情等々を考えますと、加配方式のような弾力的な措置による少人数学級化というのが現実的ではないのかと思います。おそらく、標準法改正で35人学級を進めた場合、自然減の数を大幅に上回る定数増ということを図らなくてはいけないと思うのですが、それは今の財政事情を考えるとほぼ不可能ではないかと思います。そういう点で、おおよそ自然減の枠を使って5年計画の少人数学級というのを現実的に考えたときには、標準法改正ではなく、加配方式という柔軟な措置による少人数学級化を進めていくというのが現実的ではないのかと思います。これもまたいろいろ議論があるかと思いますけれども、一応、一つの意見として述べておきます。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにつけ加える御意見おありの方はいらっしゃいますか。どうぞ、長南委員。

【長南委員】  今、資料3に沿って話をしているわけですけれども、こういった文章を書くときの書き方だと思うのですが、すべてに対応できるような、多様なものに仕上げるのか、それとも、国の責任、都道府県教育委員会の責任、市町村教育委員会の責任、それぞれ役割分担を見きわめた上で書いていくのかということは、やはり大事なことだと思います。国の責任で、国の書いたことで、国が責任をとれないようなことで載せていくというのはやはり非常に問題があるのではないのかと思います。ですから、すべてに対応できるものでなくても私は結構だと思います。

 今、この35人学級を何年間でというような議論もありましたけれども、これは早い時期に私は実現すべきだと思います。そのためには、文部科学省としての方針を、何をまず最初の課題にするのか。やっぱり私は少人数学級編制だと思います。その次に少人数指導が来るのかなと思います。その順番をわきまえた上で書いていくということが、今後、責任のとれるものになっていくのではないのかと思います。

 すべて国が対応できるとなると、都道府県教育委員会も市町村教育委員会も上から来るのを待つという、待ちの姿勢になってしまいます。ですから、今度、学校の多忙化に関係してきます。学校がなぜ多忙なのかというのは、自分たちの学校の課題が何であるか、その課題を解決するためにどういう目標を持って、どういう仕組みをつくって、そして、それを年間ごとにPDCAサイクルに乗せて評価して、改善を図っていくと、そういう過程が今ほとんどなくなってきています。すべて上から来るものを待って、待ち望んで、そして要望して、通らなかったら通らなかったという対応が毎年続いていくという感じがします。ですから、そういうことを今の時期に改めて、改めてはちょっと大げさかもしれませんけれども、そういう時期なのかなと思います。

 したがって、この資料3も、少人数学級編制に焦点を絞って書き上げるということが大事なことでないのかなと思います。

【木村主査】  ただ今の御意見、大事な御意見だと思います。いずれにしても、ある程度まとまりましたら、皆さんの御意見をいただく機会を設けたいと思います。例えば、長南委員のような御意見がありましたら、皆さんの賛成が得られればですけれども、その方向で書いていくということもできると思います。国はこうやるから地方にはこうやってもらいたいという書き方は避けられないでしょう。そういう意味で言うと、長南委員のおっしゃったようなことでいいのかなと思います。国は絶対これをやるぞというのが最初に来て、その次にそのほかのことを持ってくるというようなプライオリティーをつける必要があると思います。ほかに。よろしゅうございますか。どうぞ。

【長南委員】  先ほど貞広委員から指摘された点ですけれども、36ページの四角の中のポイント、二つ丸のところ、「この加配定数について効果の検証が不十分であるとの指摘がある」という、ここですが、私もちょっと違和感を感じます。その後に態勢を整えていく必要があるというように書いてあるわけですね。ですから、一つ目の丸のところに、「加配定数は、学校や地域の課題へのきめ細やかな対応に資するものであり」という、その学校、学校ごとによって違うものだというとらえ方があるわけですね。ですから、それに対して、次の二つ目の「検証が不十分であるとの指摘がある」と、これは指摘はあっていいです、当然ですよね。その後のところの書きぶりがどうなのかなという感じがします。以上です。

【木村主査】  具体的に言うとどういうことですか。

【長南委員】  下の3行は必要ないのではないのかなという感じがします。

【木村主査】  どこからどこまでですか。

【長南委員】  二つ目の丸の「この加配定数について効果の検証が不十分であるとの指摘がある」。もし、その後の3行をカットするならば、これもカットしてもいいのではないのかと思います。役割が1番目に書いてあるわけですからね。

【木村主査】  わかりました。その点につきましてはちょっと事務局と私とで考えさせていただきます。

 国の財政状況を考えると非常に難しいことだとは思いますが、加配定数を犠牲にして定数を改善するというのは、私は非常にまずいのではないかと思っています。

 都立学校における経験ですが、ほぼ廃潰していた高校を、エンカレッジスクール、あるいはチャレンジスクールとして抜本的に改革することに成功しています。大幅な加配、特段の加配を措置しました。もし、少人数クラスがいいんだということでクラス編制を小さくしていたら、どうなったかというと、私は、それほどうまくはいかなかったのではないかと思います。やはり加配をすることによって、問題ごとに対応できたからあそこまで改革できたのではないかと思います。ただ、私は、少人数クラスを否定するものでは絶対なくて、少人数クラスへの移行はマストだと思っていますが、加配をうまく使うということも非常に効果があるということです。

 それからもう一つ、これは毎回同じことを申し上げているのですが、先ほど小川委員が御指摘になりましたサポートスタッフのことです。日本の教育システムの最大の欠点は、教員の数はある程度いるのですが、サポースタッフの数が圧倒的に少ないということ、しかもその中でプロが少ないということです。

 フィンランドでは、三者面談というのを小学校から中学校にかけて定期的に行っていますが、小学校のときは先生が三者面談のうちの一人です。しかし中学校になりますと、三者面談のうちの一人は、進路相談員という専門の学位を持った、もちろん修士号ですが、そういう人が当たっています。進路についていろいろなアドバイスをするのは先生ではないんですね。どうしてそんなシステムにしたのかと聞きましたら、中学校になると問題が難しくなるので、先生方にそういうものにコミットしてもらうと、肝心の教えるということがおろそかになるという返事が返ってきました。先生たちは全然関係せず、親と本人と、進路相談員という専門家が定期的に会合を持って、その子の将来について、どういう道が良いのかということの見出しをやっているようです。

 大学レベルについては、英国もそうですし、アメリカもそうですが、サポーティングスタッフの数が日本に比べると圧倒的に多い。日本の場合は、先生方が、私共の言葉で言うと雑用ですね、それに追われる時間が非常に多くて、研究あるいは教育に専念できないという状況がありました。私はこのような点で、日本の教育システムは先進国の教育システムではないと思っています。

 来週、栄養教諭・栄養職員の皆さんの大きな大会があるのですが、そこで祝辞を述べろという話が来ていまして、その関係で少し調べてみました。サッチャーさんが首相になって猛烈な行政改革をやりました。それがその後の英国社会のダイナミズムの回復に結びついたところもあるのですが、非常にまずいところもたくさんでました。そのまずいところの一つが、スクールミール、つまり給食の問題に出ました。ちょうど、そのときに英国におりましたので、よく知っていますが、子供たちが、給食がまずい、まずいと言い、給食と言わないでドッグスミールと言っていました。それはどうしてかというと、あのころファストフードが急に出回りましたので、それを学校に入れたようです。その結果、まずいだけならよかったのですが、メディカル・リサーチ・カウンシルという大先生方の集まりがあるのですが、そこが調査した結果、子供たちの健康状態が非常に悪くなって、病気の発症状況が急激に増えつつあることがわかりました。その結果、正式な名前は覚えていませんが、スクールフード・トラストか、スクールミール・トラストか、そういうトラスト運動が国民運動として起こって、それで抜本的な改革がなされました。いまだに英国で心配されておりますのは、そのころの給食を食べた子が、もう大人になっているんですが、50歳とか60歳になったときにどうなるかということが大きな心配事になっています。行政改革は今の日本には必要だとは思いますが、そういうネガティブな面も持つということで気をつけないといけないと思います。小川委員、よろしいですか。

【小川副主査】  はい。

【木村主査】  それでは、本日はここまでにしたいと存じます。

 何か事務局から連絡事項がありましたら、よろしくお願いします。

【日向調整官】  連絡事項の前に、冒頭にも御紹介させていただきましたが、8月1日付で髙橋審議官が新たに着任いたしましたので、紹介させていただきます。

【髙橋審議官】  8月1日付で、会計課長から、今度、初中局担当の審議官に参りました髙橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【木村主査】  よろしくお願いします。

【日向調整官】  それから、次回の日程につきましては、正式に決まり次第、議題等について改めて御連絡させていただきます。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 それでは、本日は以上とさせていただきます。ありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。

 

―― 了 ――

 

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