公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第15回) 議事録

1.日時

平成24年7月9日(月曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議事録

 【木村主査】  ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議を開催させていただきます。本日で15回になります。本日は、皆様方お忙しい中、またお暑い中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 本日は、後で御紹介申し上げますが、論点メモの4番目、地方での自主的な取り組みを支援する視点、5番目、国として教職員定数改善を計画的に行うことの必要性、在り方、この二つについて主として御議論をお願いしたいと考えております。

 まずは、事務局から本日の資料についての確認をお願いいたします。

【谷合企画官】  それでは、資料の確認をさせていただきます。

 議事次第に続きまして、資料1-1というのが特別支援教育関係の資料でございます。1-1が3種類、3点ございます。1-1と振ってあるものと、報告の抜粋のものと、右肩に図1とあるもの、3点ございます。そして、その下に資料1-2が、中教審の教員の資質能力向上特別部会のまとめ案でございます。そして資料1-3が、全国学力・学習状況調査の関連でございまして、1-3は2点の資料がございます。資料2が、前回のこの検討会議での主な御発言をまとめた資料でございます。資料3が自由討議のための論点メモです。参考資料が2点ございまして、まず参考資料1が教員採用等の現状について、最後に色刷りの大判でございますが、東京都教育委員会の実施した調査結果の資料でございます。以上でございます。

【木村主査】  よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

 それでは、早速でございますが、会議を始めたいと存じます。まず、先ほど申し上げました論点メモの4番目と5番目について御議論いただきます前に、検討するための資料という形で中教審の報告等を出していただいておりますので、それについて御説明をいただきたいと存じます。

 また、教職員配置改善の議論に資する資料として、中教審の議論の途中経過が準備されておりまして、これが参考になりますので、それについてまず御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【谷合企画官】  それでは、資料の御説明をさせていただきます。まず、資料1-1でございます。特別支援教育関係でございますが、最初に色刷りの図1という資料をお手元に御用意をお願いいたします。まず、特別支援教育の実態でございますけれども、右肩にございますように、義務教育段階の全児童生徒数というのは1,054万人おりますけれども、このうちの特別支援教育の対象となっている児童生徒数がどれくらいかということでございますが、特別支援学校に入学、通学されている方が0.62%、約6万5,000人。小・中学校の特別支援学級が1.47%、約15万5,000人。小・中学校の通常の学級に在籍して、通級による指導を受けているお子さんが0.62%、約6万5,000人となってございまして、合わせると2.71%、約28万5,000人となっております。このほか、その通級の下にございますが、※2と書いてありますけれども、LD、ADHD、高機能自閉症等、通常学級の中に約6.1%程度の特別な支援を要する子供が在籍をしている。これは平成14年の調査でございますけれども、そういったデータがございます。

 そして、この数が一体最近どういう動きになっているかということが、次のページからでございます。1枚おめくりいただいて、図2が特別支援学校の現状でございますが、折れ線グラフのうち、1番上のブルーのひし形の折れ線が、特別支援学校の在籍者総数でございます。近年、右肩上がりで増加していることがわかります。

 次のページ図3でございますが、これが小・中学校の特別支援学級の状況でございます。赤い棒グラフが在籍者数、ブルーの棒グラフが特別支援学級数ということでございます。いずれも増加をしており、在籍数で言えば、この10年間で約2倍近くになっているという状況が見られます。

 最後、図4でございますけれども、通級による指導を受けている児童生徒数についても、近年増加しており、とりわけ増加しているのが注意欠陥多動性障害(ADHD)、それから学習障害(LD)、自閉症等のお子さんの増加が近年著しいという状況がございます。

 こういった中で、今般、中教審の初等中等教育分科会のもとに設置されております、特別支援教育の在り方に関する特別委員会の報告の案が取りまとまった状況にありますので、概略を御説明いたします。資料1-1と右肩に打ってある資料の御用意をお願いいたします。これが、その報告案のダイジェスト版でございますので、これに基づいて御説明します。1の部分ですけれども、(1)共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築ということでございます。インクルーシブ教育システムについては、その二つ目のポツに書いてございますけれども、障害者の権利に関する条約第24条によれば、「インクルーシブ教育システム」とは、人間の多様性の尊重、障害者の精神的・身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に教育を受ける仕組みであるとされております。

 そして、障害のある者が「general education system」(教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされております。こういったインクルーシブ教育システムの構築というのが求められているということが触れられてございます。

 そして、次の2ページからでございますけれども、そうしたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進、あるいは共生社会の形成に向けた今後の進め方について、述べられているところでございます。

 4ページをお開きいただきたいと思うのですけれども、4ページの3でございます。障害のある子供が十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備とございます。ここで重要な概念として「合理的配慮」について記載されています。特別委員会における「合理的配慮」とは、「障害のある子供が、他の子供と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子供に対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」である、そして「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義をしています。

 そして、その次のポツにございますが、障害のある子供に対する支援については、法令に基づき又は財政措置により、国は全国規模で、都道府県は各都道府県内で、市町村は各市町村内で、教育環境の整備をそれぞれ行う。これらは、「合理的配慮」の基礎となる環境整備であり、それを「基礎的環境整備」と呼ぶこととする。これらの環境整備は、その整備の状況により異なるところではあるが、これらを基に、設置者及び学校が、各学校において、障害のある子供に対し、その状況に応じて「合理的配慮」を提供するとしてございます。

 したがって、簡単に言えば、国及び各都道府県、市町村が基礎的な環境を整備し、それに基づいて各学校あるいは設置者が「合理的配慮」を行う、こういったような構図になっていると思います。

 そして、以下「合理的配慮」あるいは「基礎的環境整備」の充実について述べられているわけですけれども、特に本検討会議とかかわりの深い部分といたしまして、6ページをお開きいただきたいと思います。6ページの4でございます。多様な学びの場の整備と学校間連携等の推進ということで、(1)多様な学びの場の整備と教職員の確保とされております。多様な学びの場として、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校それぞれの環境整備の充実を図っていくことが必要です。

 通常の学級においては、少人数学級の実現に向けた取り組みや複数教員による指導など、指導方法の工夫改善を進めるべきである。

 そして、特別支援教育により多様な子供のニーズに的確に応えていくためには、教員だけの対応では限界がある。具体的には4行目からございますように、特別支援教育支援員の充実、さらにはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ST、OT、PT等の専門家の活用を図ることにより、障害のある子供への支援を充実させることが必要であるとしています。

 そして、医療的ケアの観点からの看護師等の専門家についても、必要に応じ確保していく必要がある。

 通級による指導を行うための教職員体制の充実が必要である。

 そして、幼稚園、高等学校における環境整備の充実のため、特別支援学校のセンター的機能の活用等により教員の研修を行うなど、各都道府県教育委員会が環境を整えていくことが重要であると指摘をしてございます。

 この部分について、これはあくまで抜粋版でございまして、本文はもう1点お配りしている報告(抄)という部分に本文が抜粋してございますので、適宜御参照をお願いいたします。

 なお、この特別委員会の報告については、今後、中教審初等中等教育分科会に報告され、取りまとめられる運びとなっております。なお、本特別委員会については、今日御欠席でございますけれども、この検討会議の宮﨑委員が座長を務められるとともに、清原委員が委員として参加をされていらっしゃると思いますので、後ほどコメント等をいただければ幸いでございます。

 以上が、資料1-1でございました。続きまして、資料1-2にまいります。資料1-2の御準備をお願いいたします。これは中教審の教員の資質能力向上特別部会の審議の最終まとめ(案)でございます。この特別部会においては、6月25日に審議の最終まとめ案について審議が行われ、答申案の取りまとめについて部会長に一任をされたという状況でございます。

 内容でございますけれども、表紙をおめくりいただいた裏に目次がございまして、大きく三つの柱からなっています。1現状と課題、2改革の方向性、3当面の改善方策となってございます。まず、現状と課題でございますが、1ページ、四角の中にダイジェストがございます。少し読み上げは省略しますけれども、その四角の中の最後のマルにございますように、これらを踏まえ、教育委員会と大学との連携・協働により、教職生活全体を通じて学び続ける教員を継続的に支援するための一体的な改革を行う必要がある。この今回の報告のキーワード、「学び続ける教員像」というのが本報告全体を貫く理念となっています。こうした「学び続ける教員像」を、どう支援をするかという観点で提言がなされております。

 次の2ページをごらんください。2で、これからの教員に求められる資質能力とございます。二つ目のマルにございますように、教職生活全体を通じて、実践的指導力等を高めるとともに、社会の急速な進展の中で、知識・技能の絶えざる刷新が必要であることから、教員が探究力を持ち、学び続ける存在であることが不可欠である(「学び続ける教員像」の確立)としております。

 こうした「学び続ける教員像」を確立し、また支援していくために、どうすればいいかというのが、次の3ページの下の部分、2改革の方向性以降に書いてございます。具体的には4ページからになりまして、4ページの1.教員養成の改革の方向性でございます。教員養成を修士レベル化し、教員を高度専門職業人として明確に位置付けるとしてございます。以下、修士レベル化が必要な理由について述べております。

 1つだけ御紹介をしますと、6ページの五つ目のマルのところをごらんいただきたいのですが、こうした学びを学部レベルで行えないかとの考えもあるが、学部においては、教養教育と専門分野の基礎・基本を重視した教育が展開されている。教科の専門的知識の不足や、学校現場での体験機会の充実、ICTの活用など新たな分野への対応が指摘される中で、こうした応用的な学びは、量的な面から考えても、また学びの質的な深まりから考えても学部段階で行うことは困難であり、むしろ、大学院レベルがふさわしいと考えられるとしてございます。

 こうしたことから、次の7ページの二つ目のマルにありますように、以上を踏まえ、教員の高度専門職業人としての位置付けを確立するため、教員養成を修士レベル化することが必要であるとしております。

 同じ7ページの2.教員免許制度の改革の方向性につきましては、ごらんのような形で「一般免許状(仮称)」、そして「基礎免許状(仮称)」の創設。そして「一般免許状」については、二つ目のマルにありますように、「一般免許状(仮称)」は学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程での学修を標準とし、「基礎免許状(仮称)」は、学士課程修了レベルとするとしてございます。そしてさらに「専門免許状(仮称)」の創設ということも提言をされてございます。

 そして8ページ以降は、それぞれの免許状の創設の意義、あるいは内容等が述べられています。

 そして、11ページ目からが当面の改善方策ということでございます。具体的には12ページから教員養成、採用から初任者の段階における改善方策が述べられております。

 そして19ページ以降では、現職段階及び管理職段階の研修等の改善方策について述べられているということでございます。

 資料の1番最後の24ページでございますけれども、8.その他の三つ目のマルにございますように、本検討会議との1番かかわりの深い部分でございますけれども、また、当面の改善方策の取組を推進するため、国として大学や学校・教育委員会等に対し、先導的な取組に対する支援、大学院への派遣の促進や初任者研修の実施体制の充実を図るための研修等定数の効果的な活用等の支援を行う必要があるとしてございます。

 本報告でございますが、今後、中教審に答申案が報告され、最終的に答申として取りまとめられる予定となっておるところでございます。なお、この特別委員会には、やはり本検討会議の委員が参画されていて、具体的には小川副主査、相川委員、清原委員、長南委員が参加されてございますので、また後ほどコメントがありましたら、お願いしたいと思います。

 続きまして、三つ目ですが、資料1-3でございます。1-3、2種類資料がございますが、1枚紙の色刷りの資料で御説明をしたいと思います。これは平成25年度の全国学力・学習状況調査、いわゆるきめ細かい調査の設計概要でございます。本検討会議では、かねてから少人数学級等の効果検証というのが大きな検討テーマになってございます。それとのかかわりで、このきめ細かい調査は非常に重要と考えますので、御説明をいたします。

 文部科学省では、全国学力調査については当面は抽出調査及び希望利用方式で実施をすることとして、数年に1度はきめ細かい調査を行うということで進めております。平成25年度につきましては、きめ細かい調査を実施することとし、本年1月に専門家会議が取りまとめましたきめ細かい調査の基本的な枠組みを踏まえまして、調査の設計を検討してきております。そして、去る7月4日、先週でございますが、専門家会議で議論をしていただいた設計案が資料1-3でございます。

 それによりますと、平成25年度調査におけるきめ細かい調査におきましては、左の黄色い部分にございますように、小学校第6学年、中学校第3学年の全児童生徒を対象とした本体調査により、すべての市町村・学校等の状況を把握する。それとともに、真ん中にあるオレンジの部分でございます、追加調査による更にきめ細かい把握・分析でございますが、経年変化分析、そして経済的な面も含めた家庭の状況と学力の状況、教育委員会における、効果のある施策を把握するための調査、これを新たに実施して、本体調査と追加調査の関係を分析することにより、右側にあります緑の部分ですけれども、きめ細かい把握分析を行うということを検討してございます。

 きめ細かい把握・分析、右側の部分ですけれども、具体的には学力の把握・分析、地域の状況の把握・分析、あるいは経年変化分析、無解答の理由等の把握・分析、こういったことを可能としたい。それから、学力に影響を与える要因の把握・分析、家庭状況等による教育格差と学力等の状況の把握・分析、そして、これまでこの検討会議でも議論してまいりましたけれども、教育施策の検証ということで、国・教育委員会における教育施策の検証等(少人数学級等)。そして、効果的な指導方法の把握・分析ということで、学校における効果的な指導方法の把握・分析、こういったものが可能となるようなきめ細かい調査を実施したいと考えてございます。

 これまでの全国学力・学習状況調査の結果では、全国規模で各教科の平均正答率と学級規模、これは単純に比較しても、なかなか規模の違いと正答率には相関が見出せないという状況にございました。これは、おそらく学力と学級規模の関係については、それ以外にも地域や学校、あるいは児童生徒の状況によるさまざまな要因も関係していたからと考えられます。

 したがって、今回のきめ細かい調査におきましては、先ほど御説明いたしましたような全都道府県、市町村教育委員会に対して、少人数学級等の教育施策に関する調査を実施したり、あるいは質問紙調査も複数化し、質問内容を充実する、あるいは指導方法の工夫なんかについても聞くことによって、こういった調査を組み合わせて少人数学級の効果分析をきめ細かくできるようにしたいと考えているところでございます。

 なお、具体的な調査項目、内容につきましては、今後、専門家会議の意見も踏まえまして検討していきたいと思っています。本検討会議で昨年来、随分ヒアリングもやっていただき、また議論していただいた少人数学級と学力の相関、あるいは教員の増員と学力の相関、こういったようなことについては、きめ細かい調査というのが非常にまたとない機会と思いますので、ぜひこの機会にきめ細かい調査の設計につきまして、委員の皆様から御意見を賜れれば幸いでございます。

 なお、専門家会議に相川委員も参画されているということでございます。

 それでは、概略説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【木村主査】  ありがとうございました。

 説明していただいた資料の内容が、大変多岐にわたっておりますが、本日の議論のポイントは、先ほどの論点メモの4と5ということを押さえていただきまして、ただいまの説明について、御質問等ございましたらお願いいたします。御意見でも結構でございます。いかがでございましょうか。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  ありがとうございます。三鷹市長の清原です。今日、御報告をまずいただきました二つの検討にかかわっていた立場として、本会議と関連して幾つか論点を発言させていただければと思います。

 まず、特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告でございますが、私自身、実は中央障害者施策推進協議会という組織が前政権からございまして、その中の、市長としてはただ一人の委員を務めておりました。2年前の平成22年の1月から障がい者制度改革推進会議というのが内閣府に置かれまして、障害者に関する政策の総合的な見直しが、障害者の権利に関する条約との連動性を高める中で進められてきました。その中で昨年、障害者基本法が改正されまして、明確にインクルーシブ教育というのが努力義務として位置づけられる中で、文部科学省の皆様におかれましては、早くからその趣旨に沿った対応をすべく、この検討会を位置づけられ、私も加わってまいりました。

 その中で、まず1点目ですが、資料1-1の3ページ目の早期からの教育相談・支援の黒ポツの二つ目に、乳児期から幼児期にかけて、子どもが専門的な教育相談・支援が受けられる体制を医療、保健、福祉等との連携の下に早急に確立することが必要であり、それにより、高い教育効果が期待できるとありますように、教育委員会のみが障害のある子供たちの教育に、あるいは支援にかかわるというだけではなくて、いわゆる自治体で言えば市長部局が乳幼児の健診等から始まって、一貫してかかわることによって、切れ目のない支援を子供たちにしていくという認識の中で、この議論がなされているというポイントをまず申し上げたいと思います。

 その上で、大変難しい課題を検討してきたわけですが、それは合理的配慮ということについてです。この合理的配慮というのは、必ずしも教職員の面だけで保障されるものではなく、市長部局的に申し上げますと、やはり学校の施設ですとか、設備ですとか、そういうところにおいても求められますし、教員以外の、6ページにありますようなスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーやST、OT、PT、看護師といったところにまで話が及ぶわけです。

 ただ、私、この会議でかなり強調して言い続けてきたのが、やはり、こうしたインクルーシブ教育や合理的配慮の条件整備の中で、子供たち中心に活躍できる教職員の専門性の確保と適切な研修ということについての保障がなければいけませんので、これは文部科学省としては前向きに報告書をまとめてくださいましたけれども、これを内閣府が中心となって進めている障害者制度改革の一環の中で、文部科学省が担当する部分について、かなり精緻な検討がなされたわけでございますので、国の障害者制度改革の中に、文部科学省がこのように現状の特別支援学校や特別支援学級の実践を含めて、しかも一般学級でも障害児を受け入れてしてきた実践をもとにしての提案ですので、ぜひこれをまた内閣府等に戻しながら、国として文部科学省の取り組みに対して裏づけをつけていただく方向性を、この検討会の動きも含めて提示できればと感じているところです。

 2点目、簡潔に申し上げます。中央教育審議会の教員の資質能力の総合的な向上方策についてのまとめの中では、何と言っても、24ページ最後の8.その他の、マルの三つ目が重要だと認識をしております。この会議との関係で申し上げますと、教職課程のいわゆる修士化というのが提言されておりますし、今後、質の向上のためには、ここにありますように大学院への派遣の促進や初任者研修の実施体制の充実を図るための研修等定数というものが効果的に活用されなければなりません。私もこの会議で繰り返しこのポイントを発言させていただいたのですが、本会議と関連づけまして、いわゆる少人数教育であるとか、特別支援教育とあわせて、今後の教員の資質能力向上にかかわる制度の変更に伴って、必要とされる部分については早目に提案をしていく必要があると思います。

 その意味で、モデル的な取り組みについては、後ほど議論されます自由討議のための論点メモ資料3の6ページの部分で、先導的な取り組みについての国の支援が必要となると考えますし、7ページ以降、国として教職員定数改善を計画的に行うことの必要性・在り方の中に、先ほどポイントを申し上げました、特別支援教育のインクルーシブ教育への動きであるとか、あわせて教員の資質能力の総合的な向上方策の中で提案されております研修等定数を含めた、まさに総合的な定数の見直しをすることでなければ、間もなく初等中等教育部会で二つの報告について、一定の取りまとめがされると思いますので、それの受け皿が求められていくのではないかと感じました。

 したがいまして、今日二つ報告されましたものは、今日、後ほど自由討議されます論点の二つに大きくかかわる提案がされているものであり、ぜひそれを受けとめた総合的な提案を、この会議からまとめ上げていければ幸いであると感じております。

 以上です。ありがとうございました。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかに、御意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ、井上委員。

【井上委員】  これはインクルーシブ教育については、特に教育基本法の改正のところからいろいろ国会でも議論が行われたことであり、特に特別支援学校教員の免許状の取得を促進させる必要があるという点については、当時から文科省も精力的に取り組んできていただいたと思いますが、資料1-1の8ページによりますと、最初の黒ポツの後にあるように、その取得率がまだ7割となっているということがありまして、教員について、より専門性を高く求めるということであれば、やはり特別支援学校教員免許状をできるだけ早く取得させるような条件整備をして、特に都道府県の教育委員会などで研修を十分充実させることによって、免許状取得の条件整備をしていただきたいというのが1点でございまして、もう一つはそれに関連して、これから通常学級においても、先ほど御説明があったような現状から言うと、通常学校でも特別支援学校免許状取得者を増やしていくというのが必要で、それは特別支援学校と通常学校との人事交流等が行われることを考えますと、そういう点で、できるだけ多くの教員にそういう専門性を持った教育を展開していただくという上からは、それが当面は非常に重要なことではないかと思いますが、それらについてどういう取り組みをしているのか教えていただきたいと思います。

【木村主査】  いかがでしょうか。

【藤原課長】  教職員課長の藤原でございます。御指摘の点は、全くそのとおりでございまして、特別支援の学校のほうで申し上げれば、取得率が7割ということでございますので、これはいろいろな要素がございまして、大学の段階で取っていないというようなこと、それから採用の段階で必ずしもそこの入り口が分かれていないものですから、どういう形で取得率を向上させていくのかという入り口の問題が一つございます。

 もう一つは、採用された後の特別支援免許の取得の促進という側面があるわけでございますが、現行でも特別支援免許を既存の小中学校の先生などが取得をしようというときは、例えば3年の在職年数があれば6単位の取得をもって免許が上申できるといった制度が一応あるわけでございますけれども、これが必ずしも十分活用されていないという状況にあろうかと思ってございます。これは条件整備という面もあろうかと思いますけれども、これだけ重要性が指摘をされているわけでございますので、さらに意識の啓発を図って、取得率が向上されるように努めていきたいと思ってございます。

【木村主査】  ありがとうございました。いかがでしょうか。いずれにしても、今日御説明いただいた資料が広範囲にわたっておりますので、特にグルーピングはいたしませんので、本日の論点メモの4、5に関すること、それから先ほど御説明いただいた資料もひっくるめて結構でございます。御討議をお願いをしたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ、中川委員。

【中川委員】  特別支援教育のことでございますけども、まず学校現場においては、今こういう現状がある。特別支援学校の教員を希望する教員がある。免許状がないとだめだから、免許を取得しなさいということで希望者は免許の取得をする。ところが見ていますと、その者にどうも二通りの種類分けができるような感じがします。非常に現実的な話なのですが、本当に特別支援教育がやりたくて向かう者と、そうではなくて、現場のいろいろな教育問題に疲れて、特別支援学校であれば何とか務まるのではないかということで、半分逃げというような気持ちで取る、こういうふうに分かれております。

 年度末等で人事異動を希望するときに、特にその辺を見極めて十分精査するわけですけど、そういう現状がある。

 それから今、インクルーシブ教育ということで、どの学校でも、どの教員でもこういう教育に当たらなければいけなくなったという現状を考えれば、教員免許状の中に特別支援に関する領域を増やして、小学校の教員、中学校の教員、特別支援学校の教員ということではなしに、全ての教員がそういう教養は身につけているのだという免許状体制にすると非常にいいという、それが望まれることではないかと思います。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ごもっともな御意見だと思います。いかがでしょうか、ただいまの中川委員の御意見に賛同、あるいは何かコメント等ありましたらお願いをしたいと思いますけども、いかがでしょうか。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  三鷹市長、清原です。先ほど図1の資料を御説明いただきましたときに、特別支援教育の現状で、義務教育段階でも特別支援学校のみならず、特別支援学級及び通常の学級に多くの児童生徒が学んでいるという状況が紹介されました。今、中川委員おっしゃったように、通級による指導の中には、※2でもありますように、現状LD、ADHDや高機能自閉症等がいて、その子供たちと同じクラスをともにする児童生徒に対しても、対象の子供たちに対しても、同じように毎日の日常の学級での取り組みがあるわけです。

 そうであるならば一般の教員に、今御指摘されましたように、特別支援教育で求められる教育指導方法でありますとか、まずは気持ち、態度の面で子供たちへの接し方でありますとか、教材の工夫でありますとか、そうしたことについて身についていることは本当に望ましいと思いますし、特別支援教育の在り方に関する特別委員会でも、そのような御意見も多く出されたと記憶しております。

 したがいまして、一般的な教員の資質能力の中に、これからはインクルーシブ教育の時代ともなり、今求められるカリキュラムの中に一定程度はきちんと入っているとともに、より専門的な免許状の中に、そういうものがあるということが重要ではないかと思いました。

 あわせて、この資料1-1の7ページのところに、5として特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等の(2)に、学校全体としての専門性を確保していく上で、校長等の管理職のリーダーシップは欠かせない。また、各学校を支援する教育委員会の指導主事等の役割も大きい。このことから、校長等の管理職や教育委員会の指導主事等を対象とした研修を実施していく必要があるとまとめました。

 私は、このことはあえて申し上げますが、教員免許の中に必ずしも特別支援の教員であるからといって、上下関係も優劣関係もないと思うのですが、私はやはり教育長であるとか、指導主事であるとか、教育委員であるとか、そうした皆さんがまさに率先してインクルーシブ教育、あるいは特別支援教育の必要性というものを認識していただいて、総合的な教育の質の向上の中で位置づけていただくことによって、教員の中でもきちんと意識を持ってそれに取り組む教員も増えていくでしょうし、やはり管理職の持つ意識が与える影響は大きいとも感じますので、その点についても教員の確保というときに、理解の高い、質の高い、子供たちとともに生きる教員の確保という面で、この部分についても強調して報告書にはまとめてあるという点も、私からもう一度指摘させていただきたいと思います。以上です。ありがとうございます。

【木村主査】  ありがとうございました。そのとおりだと、私も思います。そういうメカニズムをつくれますかね。文科省だけではなく、地方自治体も関係してくると思うのですが、私もやはりトップのほうが関心を持たないと、笛吹けど踊らずということになるのではないかと思います。その辺はどうでしょうか。どういう仕組みが、考えられますでしょうか。

【横井企画官】  失礼いたします。特別支援教育課の企画官をしております横井と申しますが、特別委員会で御提言いただいたのは、先ほど清原委員からも御発言いただいたように、まずは管理職それから指導主事のリーダーシップを果たしていただこうということで、そのための研修をやっていただこうということでございます。その際に、全員が専門性を高めるということでございますが、繰り返しになりますが、学校全体として専門性を確保していくというところを強調しながら研修をやっていただくことが必要かと考えております。以上です。

【木村主査】  わかりました。他にございませんでしょうか。どうぞ、小澤委員。

【小澤委員】  全国連合小学校長会の小澤でございます。管理職ないしは一般教員の資質を、教員免許状ないしは研修体制の中で高めるということは、もちろん重要だと思っていますし、管理職等の研修、実際にどれだけ受講したかというのは、文科省にデータがあるかと思います。私も担当課からせんだって拝見をさせていただきましたけれども、それはそれとして、私は非常に重要なことだと思いますが、小学校の現場の状況から、ちょっとお話しさせていただきます。

 平成14年の、今日の資料の中にもございますけれども、いわゆるLD、ADHD、高機能自閉症等、このお子さんの医師によるアセスの結果ではございませんけれども6.3%、平成14年度。今、このデータについては文科省のほうで調査中だと思います。別のデータが近々出てくるかと思います。

 私の実際勤務している状態、それから全国の校長のいろいろな話を聞く中で言うと、おそらくこの6.3%より高いのではないかと思っています。一つの学級の定員が40ないし35、そこに1割近いそういうお子さんがいた場合、教員がとらなければいけない教育方法は大きく二つあるのです。

 一つは、学習指導要領のいわゆる各教科領域の内容に合わせて、授業を決められた時数の中で1年間で推進しなければいけない。これは至上命題です。これをしなければ評価評定、いわゆる通知表でその内容について保護者に説明する義務を果たせません。それから教科内容の達成について、達成しなければならないという職務上の義務も達成することはできないという状況になります。これが一つの大きな小学校の学級担任、学級担任制ですから、仕事です。

 それに、東京都で言えば、いわゆる配慮を要する子の指導を同時並行的に行っていくということを、各区市教育委員会、都道府県教育委員会が対応している場合もありますけれども、その限られた人的な配置の中で、この両方を推進していくというのは、かなり困難な教員の営みだと思いますし、学校体制で各学級の在籍率もそうですけど、学校全体でも同様の在籍率があるわけですから、各学年の中の学級にも同様に在籍していると考えると、それが何クラスにもわたって、校長、管理職、それから学校内の各職責を担っている職階の者たち、主幹とか主任とかそういう者がコーディネートしながらやっていかなければいけない。これはある意味、神技に近い教員の力量を求められるかと思います。

 根本的な解決というのは、私は定数改善しかないと思っています。つまり、40人学級から35人学級、35人から30人とやはり学級規模を縮小することによって、全体の子供に対する教員の指導の側面が軽くなるわけですから、その中で特別支援の配慮を要するお子さんに対する指導を重厚にできると私は思うので、なかなかそうは至らなかったのですけれども、文科省が平成22年度で出された、いわゆる教職員の定数改善計画、年次計画、やっぱりこれが非常に今後の基本的な大きな指針になるのではないかと思っています。

 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ、藤崎委員。

【藤崎委員】  今の御意見を受けて、少人数学級によって、私もそういった面で少人数学級を目指すことはすごく大切なことだと思っているのですが、その一方で、やはりまだ発達障害について、あまりにも現職教員の方の中で勉強が不足しているという現状が、正直民間の相談員として多々あってしまいます。

 本当に基礎的な知識も持っていない、それから例えば病院でアスペルガーですとか診断を受けたその瞬間に、もう指導はできませんというような、そう思ってしまう先生方も中にはおられることは現実だと思うのです。

 やはり少人数学級を目指すとともに、教職員の研修の充実というのは必須で、また研修がそれほど専門的高度にわたらなくても、例えば、中には発達障害の子どもの指導が、免許がなくても非常にうまい先生がいらっしゃって、その先生は確実にほかの生徒の指導もやっぱりうまくやっていらっしゃる。その先生方の行動を見ていますと、やっぱり非常に保護者とのコミュニケーションの能力が高い。お母さんが家の中で、その子供をどう育ててきたかとか、そういった中から、学校の中の教育の部分で生かせるものを抜き出していける。それとともに、また子供が何を理解していないかということを非常にうまく見破っていくというか。

 ですから、専門性の研修も必要ですが、そういった現実の問題もきちんと把握していかないと、人数を増やすだけでは。すみません、ここで逆の結論を言っているような感じになってしまいますが、とにかく質、研修を充実させていかなければ、せっかくの少人数学級が無駄になってしまうのではないかと思います。

 もう1点、教育委員会と大学との連携で研修を充実させていくということですが、やはり先ほど出ました、校長のリーダーシップというのが非常に重要だと感じています。学校を見ていますと、やっぱり学級担任によって支えられている学校で、必ずしも校長がリーダーシップを発揮していない学校というのが見受けられますが、そうなってくると、そこに進歩がないのです。充実した研修が、まず取り組まれないという傾向があります。ぜひ教頭、校長になる先生方のための養成課程というのは国として取り組んでいって、よりすばらしいリーダーシップを発揮できるような、管理職の人材を育てるという面にも力を置いていただいてこそ、少人数学級が生きてくるのではないか。

 それがなければ、逆に密室化が進んでしまうという、そういった危険性も持っていると思います。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ、中川委員。

【中川委員】  この図1の後ろのページの図4、通級による指導を受けている児童生徒数の推移という表で、平成17年から平成18年のところで、18年に一気に分類が増えています。それまでは情緒障害というくくりで結ばれていたと思うのですけども、ここで注意欠陥多動性障害とか学習障害、自閉症というような分類が増えた。以降、これは非常に急速に増えている。

 さっき小澤委員からもありましたけども、6.3%というのだけども、実感としてはもっと多いような感じがするということですけども、確かにそうでして、こういう中で教員が日夜努力している。

 それともう一つは、ここには出ていないですが、おそらくこれと同数あるいはそれに近い数の保護者が後ろにいると思うのです。今いろいろ学校で問題が大きくなっている保護者等を見ると、保護者自身がこういう障害を持った保護者が多いんではないかと。どうもお父さん、お母さん、こういう傾向があるぞと。そういう中で、学校は右往左往しているわけです。

 したがって、どう対応するかということで、今度は法律的な知識も教育現場には求められてくる。そういうことですので、いかに学校が大変か、それを少しでも救う道というのは、もう決まったことではないかという気がいたします。以上です。

【木村主査】  先ほど中川委員がおっしゃった、先生方の中に、特別支援学校で教えたいという人ばかりではないという話があったのですが、私ども東京都教育委員会は、相当たくさんの特別支援学校、その他永福学園みたいな特別なところ、就職を目指しているとか、よく見に行っているのですが、先生方にお目にかかって、あまりそういう感じは持ったことがないです。

 本当に頭が下がるしかないぐらい、みんな頑張っておられますので、楽をしようというと、ちょっと語弊がありますけれど、そういうことであまり知識がなくてそっちへ希望されるという先生方も多いわけですか。

【中川委員】  割合はどうかわかりませんけども、そういう者も現実におります。

【木村主査】  ありがとうございました。他にご意見は。どうぞ、新庄委員。

【新庄委員】  今のことに関連して、少し意見を言わせていただこうと思います。実際、勤務校の教員も、特別支援教育について学びたいということで、東京都で今年度からできた、期限つきで通常学級にいる先生が特別支援学校に行って3年間学んで、また通常学級に戻り特別な配慮を要する子どもたちの教育に携わるという制度を利用し、希望して、自分が学んできたいという人もいました。

 特別な配慮を要する子供たちの教育を、通常の学級の中で一緒にしていくということは難しい面もありますが、専門的なことを学んできて、それを通常学級で生かしたいと希望している者もいます。参考までにお話ししました。それから、論点メモのところで、意見を言っていいですか。

【木村主査】  結構です。お願いします。

【新庄委員】  そうですか。4番の、地方での取組とかにかかわってのところなのですが、中学校では本年度から学習指導要領が全面実施になりました。指導内容が増えたり、授業時数の増加、週当たりの時間数を1時間増やすなどの対応をとったり、夏季休業日を短くするとか、開校記念日等を授業日に変えるなど、授業時数の確保に努めている現状があります。

 それから生徒の主体的な活動、例えば生徒会活動とか委員会活動、生徒の自主性をはぐくむことも必要なことであり、その時間の確保につきましては、指導の工夫などにより教員が何とか対応しています。各都道府県によっても状況が違うと思いますが、そのような中で、教師が生徒一人一人と向き合う時間や、心のゆとりを持つというということがとても重要だと思います。そのために教員加配または定数改善、そういうものが必要になってくると考えております。

 前回のときにもお話が出ましたが、特別な支援を必要とする子供への支援体制の充実の面とか、中学校では特に不登校や学校不適応の対応、学力の定着が必要な子供たちの対応、生活習慣の確立など、いわゆる中1ギャップと言われているものへの対応として、やはり中1からの整備、定数改善が必要ではないかと考えております。

 また、特に小学校と違う部分では中学校では部活動があります。教科学習だけではなくて、豊かな心や健康な体を育てることなどでは、やはりバランスのとれた教育活動が必要になってきます。部活動は学習指導要領の中でも、学校教育の一環として教育課程と関連づけることが位置づけられていますけれども、子どもたちが十分に活動できる環境になっているかどうか、また指導する教師が十分にかかわることができているかどうかということが課題です。現状では十分ではないと言わざるを得ないと思います。

 そのような意味から、部活動についても学校教育の一環として位置づいている以上、例えば顧問教員の服務や処遇の問題、指導者の確保など、まだまだ解決しなければいけない課題があると思います。そういう意味でも、教員の加配等の措置ということがとても必要になってくると思います。

 現在、指導法の工夫、改善の加配、少人数指導では、中学校では特に習熟度別の指導や課題別の指導等で、一人一人にきめ細かい指導を行い、子供のつまずきを解消するために大変効果が出ているということを実感しています。そういう意味では、やはり教員の加配措置というのは、ぜひお願いしていきたいと思います。

 ただし、この4番のところにも書いてありますように、各都道府県でもその取組は違うと思います。それぞれ、もう既に少人数学級等を行っているところもあります。先ほどお話ししましたように、中1からの対応ということが、やはり望ましいとは思いますが、各自治体、都道府県等の実施状況等も踏まえて、状況に応じて弾力的に運用できる加配措置が必要だと思います。それを計画的に進めていただければと思います。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 参考資料の2をごらんください。これはごく新しい、平成24年6月28日にできた東京都の資料です。東京都は小学校については国に1年先駆けて特別加配のための大きな予算を措置致しました。同時に、東京都の場合中1ギャップが非常に深刻でありますので、それもあわせて関係部局に加配措置をお願いしました。その過程で絶えず評価をやるということを委員長として発言しており、実施しました結果がこのデータです。これはかなりサンプル数が多いので、相当信頼性のあるデータではないかと私は思います。標本数のところを見ていただきますと、区市町村立中学校の校長先生622名にアンケートしております。そのうち、加配校が94校、未加配校が528校です。大体1対5ぐらいのプロポーションになっております。

 いろいろな質問項目があるのですが、その中で、私自身が注目するところは、例えばマル2「問題行動等の状況」というところです。その下から二つの欄、全般的な生活指導上の問題行動が減少したというのと、全般的な基本的生活習慣が定着したという回答が、加配校は未加配校に比べて倍近くになっています。大変なことだと思います。

 そのほか私が注目しておりますのは、一番最後の10番、11番です。右側の二つ、今1学年しか加配を実施していませんが、第1学年の教員と生徒との関係がよくなったという回答が70%もあります。それから、担任の指示に従って行動できるようになった、これも70%近い。11番、これが一番大事だと思うのですが、家庭との連携、教員と保護者との連携が密になったというのが、倍とはいきませんが、50%を超えています。それから、保護者会等への出席者が増加したということについても倍の回答となっています。

 新庄委員がおっしゃったように、これまで各地方自治体で加配をおやりになって、その効果が報告されていますが、これだけはっきりその効果が出てきたという回答データは、今までなかったのではないかと思います。

 このデータを見て、それだけ東京の状態が悪かったのだと言った人もいますが、そうばかりではないと思います。未加配校でも、よくなったと答えている校長先生方がいるわけですから。

 新庄委員がおっしゃったとおり、やはり加配は目に見えた効果を生むということです。

 いかがでございましょうか、論点4は、やって当たり前のことですが、今の財政の状況から言うと、簡単には認めてくれないので、何とか工夫をしていかなければいけないということです。5も含めて、御意見をいただければと思います。

【谷合企画官】  論点4、5は、また説明を後ほどいたします。

【木村主査】  わかりました。では、今の最初の話題について、もう少し御意見があったらいただきたいと思います。どうぞ、相川委員。

【相川委員】  先ほど、インクルーシブ教育のことを聞いていたのですが、小澤委員が言うように、現状では学級運営にかなり苦労しています。私も実はそういう学級に自分の子どももいましたし、つきっきりで見に行った経緯があります。その先生は非常にベテランの先生ですけども、やはり限度がある。

 先ほど、確かにその教育も必要だと、理解も必要だと思っておりますけども、それをもってもこなせない状態。そういう意味では、やはり少人数の学級できめ細やかに指導していくということが必要だと思います。教育というのは学力を向上させるということはもちろんですけども、あくまでも学校は、あわせて心、人格形成が非常に大事だと、その辺を進める上でも、少人数の学級を運営していくというのが必要ではないかと思っております。

【木村主査】  それでは、資料3の自由討議のための論点メモをごらんになって御意見をいただくことにします。この資料は先生方からいただいた意見を加えて、毎回手直ししております。今日御議論いただきたいのは、先ほど申し上げた4と5でありますが、これについて、事務局から簡単に説明していただいてから議論をしたいと思います。よろしくお願いします。

【谷合企画官】  失礼します。その前に、資料2というのがございまして、資料2は、前回6月19日の検討会議でいただいた意見を、項目別に整理をしたものでございます。また、もし不十分な点などありましたら、事務局に後ほどでもお申しつけいただきたいと思いますけれども、今後、報告のまとめ作業に入っていく中で、こうした御意見なども踏まえた形でまとめていくことになると考えてございます。

 それでは、資料3をごらんください。自由討議のための論点メモでございまして、これはかねてから配付している資料でございますが、前回の会議でいただいた意見については、下線を付して追加をしております。そして、本日特に御議論いただきたいのが、6ページからでございます。6ページの論点4.「地方での取組の進展や公務員人件費改革を十分踏まえ、地方での自主的な取組を支援するという視点が必要ではないか。」という指摘についてどう考えるべきか。

 討議のポイントに書いてございますけれども、少人数学級あるいは少人数指導等の進展状況、それから対象学年の選び方、学級規模の設定の仕方というのは、実は、もう地方によって区々である。かなりいろいろな形で、実態に応じた形で、もう既に進行中であるということでございます。こういったことを踏まえて、どのような教員配置の改善を推進していくことが必要か。

 そして、マル2でございますように、地方においては学校の実情に応じて少人数学級か少人数指導等か、その選択を認めている事例もあります。例えば京都府などが、この方式をしておりました。こうした、より教育現場に近いところの裁量で教員配置できるような仕組みの促進についてどう考えるか。

 マル3については、先日人件費抑制が求められる財政状況についてヒアリング等もありました。

 そして、こういった状況ですけど、マル4にありますように、片や地方でかなり自主的な取り組みが、もう進行中である。進行中であるけれども、一方、教育の機会均等の観点からは、やはり国としても、これを推進していくということが求められる、そういう定数改善の必要性です。国の責任による定数改善の必要性について、どう考えるかということでございます。

 そして論点の5、次のページ、7ページをごらんください。国として教職員定数改善を計画的に行うことの必要性・在り方についてでございます。先ほど4のところで申し上げたように、地方でも取り組みがもちろん進んでいるし、国としても、それはやるべきことがあるであろう。そのときに、計画的に行うことが必要なのではないか。計画的というところがキーワードでございます。

 討議のポイントのマル1にありますように、計画の必要性についての理由は以下のような考え方でよいか、任命権者である教育委員会に、教職員定数についての将来にわたる予見可能性を持ってもらい、計画的な採用・人事配置を行いやすくするためには、国による計画的な定数改善が必要ではないか。前の検討会議でも、非正規教員の増加について御説明したことがあると思います。そういった非正規教員についての抑制という観点からも、こういった計画的な改善というのが求められているのではないかと考えております。

 マル3の、また、計画改善を進めるに当たり、以下についてどう考えるかの三つ目のマルですけれども、団塊の世代の大量退職により、新規採用者の増加が進む中で、教員の質確保の観点から、臨時的任用職員等の任用の在り方も含め、人事施策をどう考えるか。

 すなわち、団塊の世代の教員が大量に退職するということは、それだけ新たに新規採用教員を採用するわけでございまして、普通に考えれば競争率が低下して、質も低下するのではないかということが懸念される中で、それでも定数改善をさらにするのかということの論拠を立てなければいけないのではないかと考えてございます。これについて、後ほど採用の状況について、御説明する予定にしています。

 そして最後は、再任用の義務づけの関係など、こういったところが討議のポイントと存じます。

 本日は、この論点の4と5について議論をお願いしたいと思っております。そして、参考資料1というのがございます。これが先ほど申し上げた、採用と教員の質の関係の資料でございます。参考資料の表紙をおめくりいただきまして、最初の1ページからでございます。まず、公立小・中学校教員の採用者数の推移でございます。1番上の合計というのが、小中合計の採用者数でございまして、平成15年度の1万3,657人から、平成25年度の予定かと思いますけれども、2万1,894ということで、大幅に増えている状況があります。これは下のグラフでございますけれども、退職者数の増加に、ある意味比例をしていく形で増えているという状況がございます。

 そして、次の2ページ目が競争率でございます。2ページ目の上のグラフのオレンジ色の折れ線グラフが中学校、青い折れ線グラフが小学校です。中学校は、かなり下がってきている。小学校も低下傾向で、近年は横ばいという状況になっています。したがって、確かに近年、倍率という意味では下がってきていますけれども、ごらんのように8倍あるいは4.49倍という倍率ですので、そう簡単な採用試験ではないという状況は依然としてあると思っております。

 ここで重要なのは、同じ2ページの下の棒グラフでございますが、これが各県ごとの倍率でございます。ごらんをいただきますと、青い棒グラフが小学校、赤い棒グラフが中学校でございますが、かなり県によってばらつきがあります。その棒グラフの右肩のところに表を載せておりますけれども、例えば小学校で言えば、岩手県、青森県というのは32.4倍、あるいは18.5倍という倍率があります。一方で、富山県が2.6倍、岐阜県が2.8倍と、2倍台のところもあるという、県によるばらつきが非常に大きい状況が見てとれます。大まかに言えば地方部ほど倍率が高く、都市部や、あるいは大都市の周辺の県は倍率が低い傾向が見てとれるかと思います。

 それで、これに関連しまして、1ページ飛ばして4ページをごらんいただきたいのですけれども、これは各都道府県の年齢別教員数です。いわば人口ピラミッドでございますけれども、全国平均で見ますと、いわゆる団塊の世代といいますか、50代がピークで、なだらかに若くなるほど少なくなっているという形ですけれども、これも非常に県によって形がさまざまです。その下に東京と大阪を並べておりますけれども、団塊の世代が多く、40代が少なく、そしてまた30前後のところが多くという、この2こぶの形になっています。大阪はかなり極端な形で、中堅どころが非常に少ない形になっている。だから、やめた方の分を、また普通に採用していくと、これが繰り返されるということになるわけでございます。

 一方、次の5ページですけれども、高知県、秋田県の例を挙げていますが、団塊の世代が圧倒的に多くて、若い層が非常に少ない。したがって、こういった県では依然として採用倍率が非常に高くて、それはつまりやめた分を埋めたいけれども、それ以上に少子化の勢いが激しくて、定員が減ってしまうから採れないということになるわけです。だから、いくら近年倍率が下がっているとはいえ、県ごとに見ていけば、やはり何らかの定数改善がないと、若い人を採れないという状況が発生する懸念があります。

 こういったような現状があります。そして、ちょっとお戻りいただいて3ページでございますけども、3ページは小・中学校の採用時における教員の状況でございます。上の棒グラフが採用者数に占める新規学卒者の比率でございまして、このところ新採の率が上昇してきておりますけれども、小学校で45.5%ぐらいが新規学卒者が教員になるという形でございます。ただし、その下のグラフですけども、平均年齢を見てみますと、最近は28歳前後という形になっています。だから大学を出て、すぐ先生というイメージとはちょっと違う年齢層になっているのではないかと思います。もちろん22歳、23歳で先生になる方も中にはいるけれども、これだけの平均年齢でございますので、かなりの方が臨時的任用、あるいは非常勤講師等を経て正式採用されているということが推測されるわけであります。したがって、かなり団塊の世代の大量退職を迎えていますけれども、そう簡単に先生に採用されているということでもないと考えるところでございます。

 最後に、6ページからなのでございますが、先ほど来、教員の質を高めるにはどうするかという話が出ておりますけれども、採用あるいは人事上の工夫も最近は進んでおります。例えば、採用に関しては人物重視の採用選考ということで、例えば模擬授業等を選考に取り入れるといったような県が増えております。例えば面接官を児童生徒に見立てて、授業や学級活動を数分間行わせるといったような形で、模擬授業を取り入れたりしてございます。

 また、専門性等や人材の多様性に考慮した採用試験の実施ということで、例えば教職経験や民間企業等での勤務経験を持つ者、あるいは英語に関する資格を持つ者、スポーツや芸能での技能、実績を持つ者等を対象にした専攻などとして、試験を一部免除するといったような形で、そういった多様な人材を採用しやすいという形にしている県もかなり見られているところでございます。

 最後の7ページ目は、都道府県の間での人事交流ということで、現在ごらんのような形で都道府県をまたがる教員の人事交流が行われており、近年増加する傾向にございます。ちょっと年度は古いですけれども、近年はこうした形で増えているということでございます。こういったような形で教員の質向上という観点から、取り組みは進んでおるところでございます。

 最後、参考資料2につきましては、先ほど木村主査から御説明いただきましたけれども、東京都の調査でございます。今日のテーマとは直接関わらないのですけれども、少人数学級等の効果検証にかかわるデータとして参考資料2をお配りしております。

 私からの説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。ただいまのデータ等をごらんになって、論点4、5について御意見をいただきたいと思います。どうぞ、長南委員。

【長南委員】  ただいま御説明いただきました、6ページの討議のポイントのところに、マル1、少人数学級・少人数指導等の進展状況や、とか、マル2のところには、少人数学級か少人数指導等かと、こういう並びで記述されているわけです。私が基本的に考えていることなのですけども、小中学校の教育の基盤というのは何なのかということを考えたときには、私は学級ではないのかなと。指導ではなくて、まず学級が最優先ではないのかなと思うのです。だとすると、少人数学級。少人数指導というのは、少人数学級の中に含まれる一つの指導方法論なのかなと思います。

 ですので、これからの国レベルでの議論の中心というのは、やっぱり少人数学級編制という、このことに焦点を当てて議論していかないと、TTとか、習熟度別指導とか、そういった少人数指導も議論しながら、少人数学級もあわせてという、そういう議論の仕方では、やっぱりどちらもうまくいかなくなるのではないかと思います。

 したがって、これからの議論というのは少人数学級を、まず最優先にして、少人数指導、要するに加配教員、今、東京都の例も挙げられましたけれども、こういった具体的ないい結果が出ているのを前にして、やっぱり少人数学級を中心とした指導が小中学校の教育の基本ではないのかなと。少人数指導がどうしても必要な場合には、限定的に短期間とか、そういうのは各学級での学級担任、または中学校の教科指導担任がやれることであるわけです。ですから、そういうふうにして変えていかないと、定数改善の議論はうまく進まないのではないかと思うのです。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。確かにそういう証拠がありますね。うまく切り分けていかないといけないかもしれません。小川委員、どうぞ。

【小川副主査】  意見と、事務局に質問があるのですが、質問からですけども、一つは加配とか定数の運用等々については、できる限り学校現場に近いところで運用できるように、そういう視点、ポイントがあって、私もそうだと思うのですが、一つは、それでちょっとお聞きしたいのですけれども、学校現場でどういう加配の先生が1番使い勝手がいいのかというか、今1番欲しい、今までの運用でなかなかできない定数とか加配の運用で、最も切実なものは何ですかといろいろなところで聞くと、やっぱり教育委員会で遊軍的な加配がいれば、すごく助かるというのが結構多いのです。

 遊軍的な加配というのは、いわゆる各学校や地域である事件が起こったり、問題を抱えた学校に対して、その問題が発生して、その支援にある時期一定期間入って進める際に、やはり事務局のてこ入れに、学期の途中からでも、そういう問題を抱える学校に配置できるような弾力的な教員がいると、非常に助かると思います。

 確かに問題が起きたときには、当然指導主事なんかがその問題を抱えた学校に入っていくわけですけども、ただ、ずっと張りついて一緒に支援するというのがなかなか難しいので、そうした教育委員会の、問題ある学校への支援というのを弾力的にできる遊軍的な加配というのがあれば、教育委員会の学校支援の在り方というのを、もう少しいろいろな形で弾力的にできるという話はするのですが、例えば生徒指導の加配とか、教科の授業の加配等々で、その枠で、今言ったような遊軍的な加配のような運用というのはできないのでしょうか。

 それとも、実際そういうようなことをやっている学校とか教育委員会というのは、ないのですか。

【伯井課長】  遊軍的なというのが当てはまるかどうかは別として、加配事由のうち、指導方法工夫改善加配というのは、加配ですから特定の事由に対して、申請に応じて配当するという性質のものですけれども、指導方法工夫改善というのは法令で習熟度別指導とか、あるいは複数の教員による指導とか、直近では小学校における専科指導、こういう事由が法定化されていまして、したがって、そういう意味ではそれをやっていただくための加配ですけれども、一方では児童生徒支援加配というのも、平成24年度でいうと震災復興を含めて7,777人措置しているわけですが、児童生徒支援加配というのは、特別学習指導上あるいは生徒指導上に特別の指導支援が必要な子どもに着目して加配をするということですので、ある意味、わりと使い勝手がいいと言いましょうか、特定の指導形態にとらわれない、学校で特別な子どもに対する指導支援が必要な、そういう子どもに着目した加配ですので、それを活用していただくというのはあると思いますけど、総数が7,000ぐらいでして、指導方法工夫改善は少人数学級に使っているような部分を含めて4万1,000以上います。総数の違いはあるのですが、事由としては、そのようにになります。

【小川副主査】  今の定数というのは、そういう申請があって、申請があった学校に4月から1年間配置するということで、年度途中で引き揚げたりするというのは、学校の計画にとって、やはり困るわけですよね。そういう点では、なかなか弾力的というか、遊軍的にそういう加配を活用するというのは、かなり難しいですよね。

【伯井課長】  そこは運用の仕方と言いましょうか、我々、国と都道府県の関係では、それぞれの県に加配ベースを配当して、県から市町村に配当するときに県の申請に応じて小中学校別の総数を配当していますので、運用の仕方で、いろいろな工夫改善の余地はあると思います。できるだけ配当された教員を学校現場のニーズに応じて使いやすいような加配措置のあり方というのは当然求められると思いますし、運用次第ではやれることであります。

【小川副主査】  ありがとうございました。

 今の問題も含めて、学校現場に近い裁量で活用できる加配とか定数の在り方というのは、学校現場で聞くといろいろなニーズがあるので、少しその辺、もう少し踏み込んでいろいろアイデアを考えたほうがいいかなというのが1つです。

 もう一つ、5のところで、前回私は欠席してしまったのですが、前回は確か非正規の先生方の実情を踏まえて、国による計画的な定数改善が必要だという話をされたかと思うのですが、それにかかわって、私もこの間、前回文科省の事務局から提出された非正規教員の数が、各都道府県でいろいろなばらつきがあるのですけれども、非正規教員が増えてきた原因というのは何だろうかというのを、他の研究者といろいろ力を合わせて分析しているのです。

 ただ、できれば手元には県単費の非常勤と、総額裁量制の定数崩しで生まれた非常勤の数というのが、きちっと分けられて、それぞれに把握するデータがないので、一括してそれを県単費の非常勤と総額裁量制の定数崩し、それを合わせた非正規教員の数で、いろいろ都道府県の財政指標とか、そうした幾つかの指標とクロスするというか、相関を調べてやってみているのですけれども、当初は私は都道府県の財政力の厳しさ、財政力の指数が非常に厳しい県ほど非正規の先生方が多いのだろうという、非常に単純に考えていたのですけれども、実はいろいろ分析してみたら、決してそういう結果が出てこなくて、むしろ非正規教員の数が多いというのは、財政力が豊かな県のほうが、意外と非正規の先生方の数を非常に抱えているというのは、いろいろな分析から出てきて、ちょっと自分の仮説と違うのが、今分析をやっていて見えてきているのですけれども。

 ですから、やはり非正規の先生方が増えてきているというのは、決して地方財政が厳しくなって、各都道府県の財政状況が非常に悪化して、だから頭数を増やすために非正規の先生方を、ただ定数崩し等々で増やしているという、そういう財政力の厳しさだけで非正規教員の数の増加というのは説明できないのだというのを、幾つかのデータ分析をやっていてわかりました。

 非正規の先生方が増えているというのは、決して財政力の厳しさというだけではなくて、地方の教育ニーズが多様化して、国の配当定数だけでは対応できないということで、非常勤を増やして頭数を増やしていくとか、あと、子供の数の増減に対応して、国の計画的な定数改善の見通しがない中で、どうやって子供の数の増減に対応して教員を安定的に確保するかと考えたときに、非常勤の先生方がそういう調整弁としての役割が非常に大きくなっている。

 あと、年齢構成も非常にアンバランスで、先ほどのデータにありましたけれども、採用数の非常に少ない県については、将来の退職者数を見越して、事前に非常勤の先生方を確保して、そこで非常勤の先生を現場で働いてもらいながら、退職された先生方を補充していく。そこでも非正規の先生方というのが調整弁的な役割を果たしていて、非正規の先生方も増えているというのは、経年的にも見ると、国が計画的な定数の改善計画をしなくなってきているのと対応しているというのも事実です。そういうことを見ると、単純に地方財政が厳しくなったというだけではなくて、今言ったようないろいろな要因でもって非正規教員は調整の役割として非常に大きな、従来と比べるとそういう機能を果たすように都道府県に期待されて、そういうのが増えてきているというのが見えてきている。ここの5で言っているような、国による計画的な定数改善がなければ、そういう非正規教員の数というのは抑制できないし、きちっとした研修等々含めた教員の資質向上というのは図れないのかなということをすごく今回は感じましたので、できればこの辺のところはきちっと強調して、計画的な定数改善をきちっとやるような方向で検討してもらえればと思います。

 できれば今の分析でさらに深めたいので、県単費で非常勤と定数崩しの非常勤の数を各都道府県に教えていただければと思いますけど。これは最後はお願いですが、よろしくお願いします。

【木村主査】  理詰めでいかないと、なかなか事は運ばないと思いますので、よろしくお願いします。どうぞ、中川委員。

【中川委員】  今の小川委員の関連になりますけども、義務教育費国庫負担金を2分の1から3分の1にした。2分の1の負担金で、後の2分の1を交付税措置、それから3分の1を負担金で、3分の2で交付税措置をした。よくよく聞いてみますと、今、小川委員がおっしゃっていたような定数崩しをやると。すなわち3分の2の部分も交付税措置した部分を教員の給与でなしに、自由に使うために定数返しをする。その辺がどうも非正規の教員の増える原因にもなっているのではないかという議論が非常に不思議に思いますし、それから実際にそういう定数崩しをしている都道府県がどうかというのは、公表するということは、これは難しいのですか。無理でしょうか。我々は、そこをばっと知って、何だ、うちの県はやっているのではないか、もっと正規教員増やしてくれというような力にはならないのかな、そんな感じはするんですけど。

 それから、国庫負担金を2分の1から3分の1にしたということでは、国の財政というものはプラスになるのですか。残りの3分の2を交付税措置するということによって、国の財政はプラスになるのですか。その辺がよくわからない。そんなに変わらなかったら、向こうの2分の1に返せば、定数崩しや何かもなくなるのかなと単純には思うのですが、そんな単純なものではないと思うけど、どうでしょうか。

【木村主査】  お願いします。

【伯井課長】  まず最初の質問ですけど、前回か前々回に非正規教員の任用状況について、資料をお配りいたしました。そのときに、各県別に教職員定数に占める臨時的任用教員の割合という資料を出しておりまして、そこで定数崩しによる非常勤講師の数の現状も、これは実質的に定数に占める非常勤講師ですので、基本的には定数崩しによるものですけれども、それについてもデータを示しておりまして、我々としては、今、中川委員がおっしゃったように、各県別のデータを示していくことによって、それぞれ県で議論をしていただいて、現実、沖縄県なんかは臨時的任用教員の割合が16.5%と、全国平均の倍以上あるので、県議会でしっかり是正しなければならないという議論になって、今徐々に減りつつあるということもあるのですが、それは今後もやっていきたいと思っております。

 その場合、先ほどの小川委員の話でもある、非常勤講師と臨時的任用教員というのは峻別して考えなければならないと分析しておりまして、非常勤講師そのものは、少なくても定数内の非常勤講師というのは、そんなに実は割合が増えているわけではなくて、臨時的任用教員が増えておる。その要因は国庫負担金が3分の1になったということより、むしろ最近増加状況が多いので、いろいろな面があるのですけれども、一つの要因としては、国による計画的な定数改善がない状態がずっと続いておりますので、それが一つの要因ではないかという分析を前回はしたところでございまして、したがって、各県が将来の見通しを持った計画人事ができるような、国による定数改善措置というのが重要なのではないかというご議論をいただいているところでございます。

 それから、国庫負担金については、国の補助負担金は3分の1に減ることによって少なくなりますけれども、交付税にその分措置されているといっても、地方交付税交付金の総額というのは、一定の税のうちの何パーセントということで、もともと決まっていますので、その中で基準財政需要として3分の2を入れ込むという作業でございますので、いずれにせよ国から出るのだったら、お父さんの財布からお母さんの財布に変わっただけじゃないかという議論も我々は主張していたのですけれども、結果的に国、地方の役割分担ということで、そんなことになりました。そういう結論になったということでございます。

 以上です。

【木村主査】  中川委員、よろしゅうございますか。どうぞ、小澤委員。

【小澤委員】  今、お話ございましたけれども、いわゆる非正規教員の配置比率が高いというのは、前回もお話ししましたけれども、今日の前半のお話にもあったように、研修体制に乗っていないのではないかと私は思うのです。正規教員のような研修体制に乗っていない。前半の議論の中では、教員の免許制度について話がありました。もちろんスタートラインで教員の免許、そのための資質能力を培ってきた者が免許を持つ、それで教員をスタートする。

 しかしながら、教員をスタートしてから現場での研修を踏まえて、教員の指導力というのは伸びると思うのです。そういう部分で言うと、非常に非正規教員が多いという問題は、そこにも乗っていないということです。特に特別支援教育等にかかわっては、現実の子供の状況を見て、どう指導、手当てをするかということもありますので、ぜひその辺のことは、単なる量の多さの問題ではなくて、定数改善をきちっと予見性のあるような、計画性のある定数改善の計画がないということだと思います。

 基本的には、小学校の校長会としては標準法をぜひ変えていただきたい。これがない限り、将来2年生でもどういう状態になるかというのはわからないわけですから、法によっての少人数学級の実現しか、各都道府県の教育委員会も、財政当局も、それから学校のそれぞれの現場、地教委も、非常に今後の人事配置をどうしていくかという具体的な施策と人的措置との関係で、ジレンマを伴うのではないかと思います。以上です。

【木村主査】  ありがとうございます。どうぞ、清原委員。

【清原委員】  ありがとうございます。三鷹市長、清原です。

 1点目、小川委員の発言とも関連するんですが、地域によって子供数の増加傾向あるいは減少傾向、あるいは増加し、また減少する傾向という人口予測というのは、かなり違いがありますし、また困難もあります。東京都にあります三鷹市の場合は、東京都の教育長が教育委員会と連携しながら、三鷹市としても人口予測を考えているわけですけれども、大変この最近でも、ある学校区で急速な住宅の建設があり、私たちはまちづくり条例によっていろいろな都市計画上の規制などをしていますが、それでも一定程度、人口が急増する地域が出てくる。

 したがいまして、私も教育としては、あくまでも学級は少人数のほうが望ましいなと思っている者の一人でありますけれども、地域の実情によっては、学校を建設しなければ少人数学級に対応できない場合、そうは言っても学校はすぐには建たないわけですし、増築もなかなか困難なわけですから、予見可能性というときに、必ずしも教職員定数の将来にわたる予見可能性だけではなくて、児童生徒数の正しい予測に基づく教職員定数の予見可能性でなければいけないし、あわせて教職員定数の見通しが立つならば、それに合わせて学級規模はもちろん先行するわけでしょうから、学校施設の要否というか、あるいは、もしそれがかなわないときには学校区の見直しとか、そういうことについても都道府県と市町村の教育委員会が連携しながら、正しい予測をしていかなければいけないということを、改めて今日の御説明を聞いて確認しました。

 2点目に、教員の皆様には多忙感というのがやはり多いということが、最近顕著に問題提起されています。私は教員の皆さんが、やはりまず児童生徒本位の教育に専念していただくとともに、今はやはり保護者もいろいろ悩みを抱えていらっしゃるケースもありますので、保護者の皆様にも適切な対応をお願いしたいし、三鷹市はコミュニティ・スクールを基盤とする小中一貫教育を進めておりますので、その中で、小学校の教員は中学校との連携を、中学校の教員は小学校との連携をお願いしていますから、そういう時間がそれなりに確保できるように、地域の皆様との交流も豊かになるようにするためには、いわゆる教育事務というのでしょうか、あるいは教員が課せられているような業務のスリム化というか、そういう業革的な面もしていただかないと、加配の教員が教育に向くだけではなくて、その他の事務的な業務のために加配の教員が活躍するようでは、児童生徒本位の加配のはずなのに、そういうことがあるかないかも見きわめないまま、ちょっと不穏当な発言ならごめんなさいでございますけれども、私はやはり教員の加配を要請していく場合には、別の場所でスクラップ・アンド・ビルド、あるいは業革というのが裏づけされていて、その上での教員の加配確保の方向性に持っていかないと、なかなか今の厳しい財政状況の中で、国に求めていくのも困難かなと思いまして、バランスというのでしょうか、そういうことを、この論点の中の議論の中に含めていくことが有用ではないかと思います。

 3点目に、今回、参考資料1という最新の採用の状況についての資料をいただきまして、ありがとうございます。それで疑問が生じたのですけれども、2ページのところに、全体として倍率が低下傾向にあるということはわかったのですが、あわせて、都道府県によってかなり差があるということもわかりました。これは競争率が相対的に高いと、質の高い教員が採用されるのではないかという言い方もされますが、それだけではなくて、私は単純に、ひょっとしたら採用数が少ないので、希望者とのギャップがあまりにも顕著になっているということではないかと思いまして、そうであるのならばと思いましたら、今日、貴重な資料で全国の平均と東京都、大阪府、高知県、秋田県、沖縄県の年齢別の教員数をいただきまして、これだけ年齢の高い方がいらっしゃるのでは、少子化の中で人数が減ったら新規の採用は困難で、だからこその倍率の高さかと感じたりして、これは構造的な問題であるかもしれませんので、この参考資料を見る限り、やはりこれを見たら、ほんとうに教員に適性を持ち、意欲のある教員が、自分のなれ親しんだ土地を離れ、競争率の低いところで応募していただくのも、これは私はありだと思うのですが、しかしながら、それにしても大きなアンバランスでございまして、こういう現状を踏まえた、やはり適正な見通しある国としての教職員定数改善の計画的な取り組みというのは、適正な教員確保と、望ましい地域の個性を生かした、しかし地域格差ない取り組みのためにも必要かなと思いまして、これはかなり難しい課題だと思いますけれども、やはり志ある教員志望者が教員として活躍していただきたいと思いますし、そのために教員志望者が見通しを持っていただくということが有用かと感じました。時間がきているので、もう一つだけ、すみません。

【木村主査】  どうぞ。

【清原委員】  参考資料1の6ページに、教員採用選考の取組事例ということで、人物重視や専門性等や人材の多様性に考慮した採用試験の実施というのがありまして、各都道府県がそれぞれ、また政令市が努力されていること、ほんとうに心強く思ったのですが、ただし、このようなユニークな取り組みというのは、全体の採用された教員の中で、どのくらいの比率の人数で行われているのかということを、今日でなくて結構ですので、お知らせいただければ、本当に社会経験のある多彩な方が、やはり教員として活躍していただくということも、多様な課題がある中で、児童生徒が職業に対するイメージを持ったり、あるいは自分の才能、タレントに気づく上でも有用だと思うのですが、手法は多様になっているようですけど、それが全体の採用された教員のどのぐらいの比率になって、今後どのような展開をしていくことを私たちとしては見通したらよいのかというヒントになると思いまして。これは、いずれそんな情報をいただければと思います。以上です。ありがとうございました。

【木村主査】  ありがとうございました。

 清原委員が御指摘になった、教員採用の場所による偏りといいますか、これはものすごい状況になっているように思います。それによっていろいろな混乱も起きています。市長も御承知のように、東京都は秋田県を始め他の県の方を採用させて頂いています。何年か東京にいていただいて、いずれお帰りになっても結構ですという条件を出しています。少しでも全国的な偏りの解消に貢献でき、それでなおかつ優秀な方を採用できればということでやっています。

 この偏りの問題が簡単に解決する問題ではないですね。自分の地元でお教えになれれればコストパフォーマンスは、ものすごくいい。だからなかなか外へお出にならないという点は、日本の大きな問題ではないでしょうか。どうぞ、井上委員。

【井上委員】  今回の4と5の観点から、ちょっと簡単に申し上げますと、4は、やはり従来から中教審でも、できるだけ身近なところで実態に応じた定数の活用をしていくという方向で、都道府県教育委員会なり、市町村教育委員会が自由度を高めるという方向でやってきたわけですから、そういう点で少人数学級等、少人数指導について、今度の改正では都道府県に選択制を認めるというのは、そういう流れの中だと思うのです。

 国として教職員定数改善を行う場合の考え方は、特に今回中教審で提案された定数改善の必要性としては、新しい学習指導要領を円滑に実施して、一人一人の教員の多忙性に絡んで、教員が一人一人の子どもに向き合うようにする条件整備と、それから、先ほどから御説明があったインクルーシブ教育の実施と、それから前回の説明でありましたICT等の現代的課題に対応するためには、やはりできるだけ子供たちがその授業に参加し、意見を発表するような協働学習等ができるように、学級規模を40人から35人学級にすることがどうしても必要であるという前回の一致した意見だったと思うのですが、そういうような基本的な基礎定数のところを、児童生徒数に応じた学級数に基づく基礎定数のところを要求しないと、国として抽象的な指導方法の改善、当面の教育課題に対応するような指導や、問題行動に対する生徒指導とか、そういうことだけでは定数改善に結びついていかないと思いますので、国としては、基礎定数、学級規模を中心とした基礎定数についての改善要求をし、その上で、先ほどからもお話しのような小1プロブレムに対する加配措置がどうしても必要であれば、さらに検討を加えていくというようにしていかないと、全て都道府県いろいろ事情が違いますから、それに応じて学級編制とか、あるいは少人数指導の重視をしたりする県が、ほぼ半数ずつになっていると認識しております。

 そういう実態は実態として、ただ、そういうことを説明していると、なかなか定数改善が進まないのではないかと思うわけですから、来年度要求にしては、小学校については3年生について35人学級を実現するのは、こういう理由があるという明確な説明責任が、この調査研究会にも、また文部科学省にも課せられていると思いますので、それを理論づけるような意見をまとめていくべきではないかと思っています。

【木村主査】  先ほど長南委員がおっしゃったことと、問題のもとは同じですよね。

【長南委員】  私も井上委員の意見に大賛成です。学級編制という制度の面です。少人数指導というのは方法論です。ですので、制度のところからしっかりと踏み込まないと、計画的な定数改善はできないのではないかということで、文部科学省としてはつらい判断になるかもしれませんけども、ここで思い切って学級編制にシフトして、35人、標準を下げるという、これを的確にやっていくことがいろいろな面につながっていくのではないかと思います。

 教員の資質能力の低下が始まったのは、もしかすると、私は少人数指導が入ってからではないのかなという感じがします。どうしても対処的な指導になってしまいますので、基本的なところは学級編制による指導だと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。事務局ではその辺の基本線はちゃんと押さえておられると思いますので、それがあいまいにならないような報告書にするということですね。ありがとうございました。

 それでは、本日は以上で終了したいと思いますが、藤原課長、一つ質問があるのですが、今、教職大学院の定数は全部でどのぐらいありますか。

【藤原課長】  いわゆる教職大学院という大学院レベルの教員の入学定員は830でございます。

【木村主査】  全国で830ですね。

【藤原課長】  はい。そうです。

【木村主査】  教職大学院をどうしていくかというのも、また大問題なので、1度議論しなければいけないのではないかと思います。ありがとうございました。

 事務局、よろしくお願いします。

【谷合企画官】  本日はありがとうございました。次回の検討会議については、現在日程調整中でございます。正式に決まった後に、議題も含めて御連絡を差し上げたいと思います。以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 

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