公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第7回) 議事録

1.日時

平成23年9月12日(月曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省東館16階 特別会議室

3.議事録

 【木村主査】  それでは、ほぼ時間になりましたので、ただいまから公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中、やや時間が遅いにもかかわらず、また、お暑い中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 本日はこれまでのヒアリングや議論を整理した資料を事務局が準備してくれておりますので、それに基づいてご審議をいただきたいと考えております。

 それでは、事務局から本日の資料についての確認をお願いいたしますが、きょうは米田委員が議会のためにご出席不可能ということで、次長の白山さんがお見えになっております。ご紹介申し上げます。

【白山氏】  はい。よろしくお願いします。

【木村主査】  それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

【谷合企画官】  資料の確認をいたします。まず、議事次第がございまして、資料1は委員の名簿でございます。資料2は今後の日程でございます。資料3は、本日の中心的な資料でございまして、本検討会議でのこれまでの議論をまとめた資料でございます。そして、資料4は、今の資料3のデータ集に当たるものでございまして、本検討会でのヒアリング資料から主なものを抜粋、加工したものでございます。そして、最後、資料5は、小1から小2への進級時のクラスがえの状況でございまして、全国連合小学校長会でまとめていただいた資料になっております。

 資料は以上でございますが、不足等ございましたらお申しつけください。以上です。

【木村主査】  よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

 それでは、審議に入ります前に、小澤委員のほうから、前回ご発表がありましたデータの追加資料が配付をされておりますので、これについてご紹介をお願いしたいと存じます。これはクラスがえに関する資料で、1年生から2年生というのを各都道府県でクラスがえの状況がどうなっているかということを調査していただいたものでございます。それでは、よろしくお願いいたします。

【小澤委員】  では、説明させていただきます。全国連合小学校長会の小澤でございます。資料5に基づいてお話をさせていただきたいと思います。

 過日、全国連合小学校長会を代表して2年生以降の35人以下学級の実施についてご要望申し上げたところでございますけれども、その話の中で、小学校1年生から2年生への進級時のクラスがえの状況についてというようなこともございました。質問もございましたので、全国連合小学校長会として調査した結果について何点かお話ししたいと思っております。

 資料5でございます。この調査につきましては、全小学校、2万校を超えるわけでございますけれども、その中の34.5パーセントに当たる7,383校を対象に、任意で校長から聴取した調査結果であります。内容はお目通しいただければと思っておりますけれども、各都道府県の学校総数、それから、今回の調査学校数がBであります。1年生から2年生へのクラスがえがあり、なし、CとDでございます。そして、最後にEとして、なしの割合でございます。この状況、今年度4月1日にかかわって実施した結果でございますけれども、全体の状況から言えることは、1年生から2年生のクラスがえのあるなし、これについてはほぼ半々という結果でございました。したがいまして、小学校2年生で、もし万が一、35人以下学級が実施されない場合、クラスがえを余儀なくされる学校、学級が半数程度見込まれるという結果でございます。

 したがいまして、全国連合小学校長会としては、こういう状況でございますので、保護者等からのさまざまな要望、それから学校がそのことによって非常に困難な状況になるということもあるかというように思います。ぜひとも小学校2年生において、今年度の小学校1年生と同様に35人以下学級を実施していただきたいという思いでございます。

 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 いかがでございましょうか。何かご質問等ございますか。

 ほぼ半分ぐらいがクラスがえしているということですね。よろしゅうございますか。

 それでは、引き続きまして審議に入らせていただきます。本日は2つの点についてご審議賜りたいと考えております。1つ目は少人数学級の効果についてです。この点につきましては、これまでのヒアリング等を踏まえて整理をしておりますので、本日はこれをもとにして議論をしていただきたいと思います。もう一つは、我々の最終プロダクトとなるものでありますが、学級規模及び教職員適正化に関する論点と考え方についてであります。こちらについては、本日は時間があればということで、まだ項目だけということでございますので、基本的には次回以降ご意見を伺うことになるかと思います。しかし、もし時間が余りましたら、少し議論してもいいかなと考えております。

 それでは、まず1つ目の少人数学級の効果について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

【谷合企画官】  それでは、資料の3のご用意をお願いいたします。資料3は、これまで6回にわたりまして開催された本検討会議の議論を事務局で整理をしました資料でございます。まず、これまでの経緯についてでございますが、この部分は事務局から資料として配付をしたものを時系列で整理をしてございます。

 まず(1)学級編制及び教職員定数の改善経緯といたしましては、昭和33年にいわゆる義務標準法が制定されまして、これまで7次にわたる教職員定数改善計画により学級編制の標準の引き下げや教職員定数の改善が実施されております。なお、現在の40人学級は昭和55年度からの第5次改善計画により実現したものでございまして、その後の第6次及び第7次改善計画により、加配定数等の充実をメインに教職員定数の改善を実施してきたところでございます。

 学級編制については、平成13年度以降、国の標準を下回る学級編制基準の設定が可能となるなど、制度の弾力化が図られてきて、その結果、平成22年度以降は既にすべての都道府県において何らかの学級編制の弾力化が実施されております。

 (2)新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)の策定、23年度予算案の閣議決定及び法案の国会提出です。このような中、文部科学省では、昨年、平成22年1月から23年度以降の学級編制あるいは教職員定数のあり方について検討を開始し、国民各層からの意見募集等を実施しました。また、中教審初中分科会では、昨年、7月26日に今後の学級編制及び教職員定数の改善について提言を取りまとめていただいたところでございます。

 文部科学省では、この提言等を踏まえ、平成22年8月27日、公立小中学校等における35人以下学級を順次推進すること等を柱とする「新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)」を策定いたしました。

 次のページを見ていただきたいと思います。その後、予算編成過程での議論を経まして、最終的に平成22年12月17日、いわゆる三大臣合意がなされまして、平成23年度に小学校第1学年の35人以下学級を実現するなど、4点についての合意がなされました。こうした経緯を経まして、平成23年2月4日、義務標準法改正法案が提出されました。なお、同法案の附則におきましては、公立の小学校の第2学年から第6学年及び中学校にかかる学級編制の標準を順次に改定すること等について検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置、その他の必要な措置を講ずることが規定をされ、こうしたことを受けて本検討会議の設置に至ったということでございます。

 (3)法案に対する国会での修正等でございます。国会審議の場でさまざまな指摘がございましたが、主な論点は次のとおりでございます。例えば、少人数学級の推進により、期待される効果は何か。期待される教育効果と少人数学級の推進に相関関係はあるのか。2つ飛ばしまして、基礎定数と加配定数の効果的な組み合わせについてどう考えるか。加配定数の確保充実を図る必要があるのではないか。そういった指摘がなされたところでございます。

 同法案については、国会審議で前述のような論点について議論が行われた結果、小学校における専門的な指導や特別支援教育にかかる新たな加配事由を創設すること等の議員修正が行われた上で、平成23年4月15日に全会一致で可決成立し、同年4月22日に交付されたところでございます。

 そして(4)改正法成立後の対応でございます。これを受け、文部科学省においては、新たな加配事由を創設するため、義務標準法の施行令の所要の改正を行いました。また、地方公共団体において今回の法改正の趣旨を十分に踏まえた対応が図られるよう、通知を発出しております。

 通知の主な内容は次のとおりでございますが、例えば最初のポツで書いてございますが、いわゆる基礎定数が増加したことによりまして、将来にわたる教職員定数の見通しが立てやすくなることを踏まえ、今後、各都道府県教育委員会等において正規教員の採用や人事配置をより一層適切に行うことが求められること。あるいは、都道府県において既に小学校第1学年において35人以下学級を実施している場合においても、各都道府県において今回の改正により増加する教職員定数を活用して他の学年の少人数学級やその他の教職員配置の改善に努めることが重要であるといった通知を発出しているところでございます。

 次のページをお願いします。本検討会議についてでございますが、今後、学級規模及び教職員配置の適正化を図るに当たっては、今回の法改正の内容が各地方公共団体、あるいは各学校に着実に実施されるようにするとともに、平成23年度の予算編成過程や法案の国会審議等を通じて指摘のあった事項に関してさらに検討を深めることが肝要ではないかとされ、このため、本検討会議においては、これまで地方における少人数学級の取り組み状況や教職員配置の実態、学級規模・教職員配置に関する研究成果等について精力的にヒアリングを行い、可能な限りデータを収集しながら検討をしました。これらを踏まえて、今回、検討会議として、まず改めて少人数学級の推進、及び期待される教育効果等について現段階における整理を行うとともに、これまで国会審議等を通じて指摘のあった学級規模や教職員配置の適正化に関する論点や、それに対する考え方についてまとめるものであるというようにしてございます。

 それでは、5ページでございます。少人数学級の効果でございます。この部分が今回の検討会議における一つの大きなテーマであると考えております。この部分は、ヒアリング結果等から主なものを取り出して整理をさせていただきました。

 まず(1)各地における取り組みの検証や学校現場の声から見られる教育効果でございます。ポイントの部分は、後ほどご説明いたします本文の内容をダイジェストしたもので、内容が本文と重複をしておりますが、簡単にご説明いたしますと、まず、少人数学級については、学習行動、欠席者率、不登校について、学級規模との相関を示す検証結果が出ています。そして、学力との関係についても、各地の取り組みから、学級規模を縮小した結果、学習指導の面で効果があったという事実を示すデータが数多くあります。また、全連小のアンケート等で見られるように、少人数学級の推進というのが学習指導面、生徒指導面、両面で効果があるという意見が大勢を占めています。特に小学校低学年に少人数学級を導入し、落ち着いて学級生活に順応させることは、その後の学習、生活指導面にもよい効果があると考えられます。そして、コミュニケーション能力など、これからの子供たちに求められる力をはぐくむために必要な発表の機会の増加や観察・討議等のグループ学習など、授業改善を行う上で少人数学級というのは効果があるのではないか。また、学習基盤としての少人数学級の推進とあわせて児童生徒の個々に応じた指導方法の工夫改善を積極的に進めることも必要であると。

 以上を踏まえ、少人数学級の効果を整理しますと、次の3点ではないかと思われます。一つは、子供たち一人一人に目が行き届き、学習のつまずきの発見や個々の学習進度等に応じた指導が可能となること。子供たちの発言する機会が増え、自分の考えを発表したり、話し合ったりすることで思考を深める授業づくりが可能となり、子供が抱える悩みや相談に親身に答える時間が確保できると思われます。

 今のがポイントでございますけれども、内容についてご説明します。まず、5ページの一番下の部分ですが、マルイチ少人数学級と教育効果の相関関係でありますが、学習行動、不登校、欠席者率といった点については、学級規模との相関を示す検証結果が見られます。

 ページをめくっていただきまして6ページでございます。まず、検証結果1でございます。これは山形県のデータを活用して国立教育政策研究所が調べたものでございます。山形県では、平成14年度以降、段階的に小中学校の33人以下学級を実施しておられますけれども、県内の中学校34校を対象に、33人以下学級の導入前後の同一学年間の比較、中学2年生の比較、導入前の中学2年生と導入後の中学2年生を比較しました。そのときに、学級規模が小さくなった場合と、それほど変わらない場合とで何が変わったかということでございます。学級規模が7人以上小さくなった学校において、特に少人数学級導入後のほうが授業中集中するようになった生徒が多い。あるいは、授業に積極的に参加するようになった生徒が多いという結果が得られております。

 検証結果2は、大阪府の調査でございます。大阪府では、平成16年度に小学1年生の少人数学級を導入して以来、段階的に小学2年生まで35人以下学級を実施しているところでございますが、一つは1学期の欠席者率の比較で見ますと、欠席者率が低下をしていること。そして、7ページのほうに行っていただきますと、30日以上長期欠席者率の推移を見ると、ごらんのように低下が見られる。この30日以上長期欠席者率のグラフでは、特に小学1年生、2年生、太い線で書いてございますが、この部分の改善率が特に高くなっているということが見られます。

 そして、検証結果3でございます。こちら、また山形県の小学校のデータでございますが、少人数学級、平成14年度から導入して以降、不登校の出現率が、導入前は全国平均と同じ0.36パーセントであったところが、導入後に下がって、その後も低い水準を維持しているという結果が出ております。これらは少人数学級との相関が一定程度あるのではないかと考えられるものであると思います。

 そして、次のページ、8ページをお願いいたします。8ページも各地における取り組みの検証やアンケートの結果でございますが、少人数学級と学力との関係です。学力との関係につきましては、ヒアリングの中でも、学力に影響を及ぼす要素というのは非常に多いために、なかなか少人数学級との直接的な因果関係を証明するのは容易ではないというご発言もあったところでございますが、アンケート等を見ますと、少なくとも学級規模を縮小した結果、学習指導面で一定程度の効果があったという事実を示すデータは数多く存在しております。

 例えば、検証結果4です。これもまた山形県のデータになるのですが、少人数学級導入学年の児童生徒を追跡調査したものでございます。少人数学級導入前と比較しまして、学力の平均点が向上し、その後も高い水準を維持し続けたとの結果が得られております。

 9ページに行っていただきますと、これは全連小から前回ご発表いただいたデータでございますが、今回の法改正により、今年から新たに小学校第1学年で35人以下学級を導入した学校に対してアンケートをした結果でございます。新規で35人学級を導入した学校です。それによれば、当該導入校の校長先生、あるいは担任教員は、きめ細かい指導の充実や学習意欲の向上、授業の活発化など、学習指導全般に効果があるという意見が多く、とりわけ個別指導の充実、あるいは提出物の丁寧な添削評価について効果が大きいと回答しております。

 そして、次が10ページでございます。検証結果6も、今と同じ全連小の調査でございますが、同じ調査で生活指導面について聞いたものでございます。生活指導全般に効果が見られて、とりわけきめ細かい指導の充実や教員と児童の関係緊密化に効果が大きいという数字が出ております。

 11ページに進みます。今の検証結果5、6のアンケートは、先ほど申し上げましたように、今年の春から小学校第1学年で35人以下学級を新たに導入した学校へのアンケートでありまして、その結果から少人数学級というものが学習指導、生活指導の両面にわたる効果が見られたという結果になっています。また、小学校低学年におきまして、少人数学級を導入し、落ち着いて学級生活に順応させることは、その後の学年での学校生活への波及効果への観点からも重要であると考えられるのではないかということでございます。

 そして、次、3でございますが、新しい学びへの対応でございます。コミュニケーション能力など、今後の子供たちに求められる力というものを学校教育においてはぐくむためには、発表の機会の増加、観察・討議等のグループ学習などの活動を授業の中で意図的、計画的に設定することが必要であると考えられます。少人数学級の推進というのは、このような共同的な学びや双方向型の学びなど、新しい学びへの対応を可能とするものであり、求められる授業改善に取り組みやすくなるという効果があると考えられます。

 また、角度を変えて申し上げれば、少人数学級の推進というのは、きめ細やかで質の高い指導のための基本的な教育環境の整備であるわけですが、それと相まって、具体的な授業改善など、指導方法が変わらなければ、十分な効果を期待することができないのではないか。指導方法が変わらない方法で授業をしていればあまり効果は出ないのではないかという意見がございました。

 少人数であることで教員の目が行き届き、児童生徒の発言の機会を増やせるなどのメリットを生かして、教員が指導上の創意工夫を図り、児童生徒一人一人により丁寧な指導を行うという、指導の質的充実を伴って初めて少人数学級の効果が最大限に発揮されるのではないか。

 例えば、秋田県でございます。秋田県はご承知のように、全国学力・学習状況調査で4年連続上位でございますが、秋田県では、平成13年度より他県にさきがけて少人数学級に取り組んでいます。23年度現在では、小1から小3、中1の30人程度学級を実施しておりますが、それだけではなく、授業の中で子供たちに自分の考えを発表する機会を与えたり、学級の友達の間で話し合う活動を行うことに積極的に取り組んでおり、これらの取り組みを通じて学習成果を上げていると考えられます。

 次のページをごらんください。平成22年度の全国学力・学習状況調査の結果でございます。白い棒グラフが全国平均、青い棒グラフが秋田県の平均ということでございます。いずれも秋田県は高い正答率となっております。下の棒グラフでございますが、これは同じ調査の質問紙調査からでございますが、「自分の考えを発表する機会が与えられている」、あるいは「学級の友達の間で話し合う活動をよく行っている」という問いに対して肯定的な回答をした子供が、青いグラフでございますが、秋田県の児童生徒の回答の率が高くなっています。

 こうしたことをまとめますと、少人数学級の教育効果を最大限発揮させるためにも、学習活動の基盤としての少人数学級の推進とあわせて児童生徒の個々に応じた指導方法の工夫改善を積極的に進めることが必要ではないか。

 13ページでございますが、4、少人数学級の教育効果ということで、1から3までに示したことを踏まえると、少人数学級の効果としては次のように整理できるのではないか。

 まず1つ目が、子供たち一人一人に目が行き届いた学習指導。全連小のアンケート結果に見られますように、学習指導面で、例えばきめ細かい指導の充実等について効果があったという調査結果が出ております。

 2つ目は、共同的な学びや思考力を深める授業づくりということでございます。2つ目のパラグラフで、「そのためには」というところでございますが、従来のような一方向一斉授業による学びのみならず、子供たち一人一人の能力や特性に応じた学び、子供たち同士が教え合い、学び合う共同的な学びを推進することが必要であって、少人数学級の実施というのは、授業の中で子供たちの発言する機会を増やし、自分の考えを発表したり、双方向に話し合ったりすることを助長するものであって、思考を深める授業づくりが行いやすくなると考えられるのではないかということでございます。

 そして、最後3つ目が、きめ細やかな生活指導ということでございます。具体的には、次のページをごらんいただきますと、最後のパラグラフで、これらを踏まえると、少人数学級の実施によりまして、一人一人の教員が見る子供の数が減少し、その分、子供が抱える悩みや相談に親身に答える時間が確保できることが期待されるのではないかということでございます。

 15ページでございますが、少人数学級の効果の大きな2つ目として、(2)基礎定数の充実による計画的・安定的な人事配置でございます。この部分はポイントのところでご説明をいたしますと、国の学級編制の標準を引き下げることによって、各学校・学年の児童生徒数に基づく学級数等の客観的な指標に基づいて算定される基礎定数が増加することになります。このことにより、各都道府県教育委員会において、将来にわたる教職員定数の見通しが立てやすくなり、計画的、安定的な人事配置の拡充にも資するのではないか。

 また、配分の予見可能性が高い基礎定数が増加することによって、公立小中学校の設置者であり、学級編制権を有する市町村教育委員会や学校現場にとっても、見通しを持った教育活動を展開しやすくなる効果があるのではないかと考えられます。

 以上、ここまでが少人数学級の効果について整理をした部分でございます。

 私からの説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 冒頭申し上げましたように、これが、今後も含めて、2つの論点になってまいります。1つ目は、ただいまお話がありましたように、少人数学級の効果についてということで、いろいろな考え方がある中で、積極的に効果のあった例を出していこうということでつくっていただいております。

 とりあえずは、今、谷合さんからご説明いただきました15ページまでについてご意見等をいただきたいと存じます。質問でも構いませんので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。お気づきになった点や質問でも結構です。

【井上委員】  よろしいですか。

【木村主査】  どうぞ。井上委員。

【井上委員】  今までの本検討会議の議論を大変よく整理していただいていると思います。教育効果をいかに実証的に説明していくかというのは、その調査の仕方とか、いろいろ難しい問題があると思うのですが、今回の場合は、実際に少人数学級を実施している山形県や秋田県などの実証的な成果、あるいは国立教育研究所の実証的な研究成果というのが、この教育効果の上であらわされていると思うわけでして、特にそういう意味では、授業方法、指導方法の工夫、改善ということで、第6次の定数改善から行われて平成元年の改定による学習指導要領の結果、きめ細かい多様な教育指導を行うということで、ティームティーチングとか少人数指導とか、そういうことが定着してきて現在に至っているのではないかと思うわけでございます。それが実際の教育効果の上でもわかってきていると思います。

 それから、一斉指導方式がティームティーチングなどを行うことによって、個々の生徒の能力・適性に応じた指導や少人数指導によって習熟度別の指導がかなり現場で徹底してきた成果がここにあらわれていると私は思います。そういう意味では、今回の教職員定数改善計画は、ある意味で、平成20年に告示された新しい学習指導要領が教育内容を充実し、また、それが基礎・基本の充実や、それらを応用して活用するという指導方法の充実、それと、探求型の学習指導要領と従来言われているような指導方法のさらなる充実を目指した、学習指導要領に応じた定数改善を必要としているわけですので、そういう意味で、23年度から新しい学習指導要領が本格的にスタートして、今まで移行措置で行われた、そういうものの中で実際に先導的に各県が行ってきた少人数学級の成果というものがここにあらわれていると思うわけです。

 そういう意味では、やはり国として各都道府県の実績というのを適正に評価することによって、定数改善計画を計画的に推進するという必要性が訴えられている内容になっているのではないかと思うわけで、これらについてさらに議論を進めて、より政策推進のためのエビデンスとしての実証的な成果というものを整理すれば、十分、国民に対する説明責任を果たせるのではないかなと、このように思っています。

【木村主査】  ありがとうございます。そのとおりだと思います。

 長南委員。

【長南委員】  山形県のデータが幾つか活用されておりますけれども、7ページの小学校不登校児童数の出現率のグラフですが、ここで平成12年が0.3で、平成13年で下がっていますね。このときには「やまびこプラン」というプランがスタートした年なのです。ですから、このときの少人数指導を重視するということでこの効果が出たものです。14年度に「さんさんプラン」に変わったという、そういう流れがあります。

 山形県の平成14年からの「さんさんプラン」がスタートしてからの様子を伺ってみると、確かに学級を構成する基準が変わって、少なくなって、学習環境も変わる。変わることによって、教員の意識が変わったのではないか。やっぱり人数が少なくて、1学級38人とか36人、40人近い学級の場合と、33で編制すると27人、28人の学級になりますので、一気に少なくなるわけですね。それで、先生たちの意識が急にゆったりしたものになって、一人一人の子供たちがよく見えるようになってくる。見えることによって授業を改善するという、そういう意識が出てきたのではないでしょうか。

 ですから、ここでは表立ったハードの面だけの議論が優先されますけれども、実は教職員の意識の内面のところも重視していかないと、やっぱりだめなんじゃないかなというように思うのですね。ですから、こういう効果が出たということは、一人一人の教師が授業を改善できたという、その効果ではないのかと思いました。

【木村主査】  その点については、小川先生がいつもおっしゃっている、プロセスがどう変わったかということが問題だと思います。私は、これはこれでよろしいんですが、もう少しデータが欲しいなという思いもあります。また今、長南委員が言われたように、なかなか調査しにくいところですが、その辺を何とか出来ないかという思いもあります。今回は時間的には無理ですが、今後、少人数学級を実施したところの先生方がどう変わっていくのか、その辺の調査を相当詳しくやる必要があるのではないかという気がします。

 ありがとうございました。

 ほかにございませんか。

【井上委員】  もう1点ちょっと申し上げたいのは、指導方法の改善、充実というところで、今回の学習指導要領にもあるように、ICT等を活用した情報化教育というので、電子黒板とかタブレット型のパソコンとか、そういうのを組み合わせて、ICT教育はかなり普及してきているわけで、それはまさに小川先生もおっしゃっているように、協働学習とかグループ学習の場として、自分たちが課題に対して適正に考え、それを判断し、表現するというような、そういう力を授業方法の改善として、電子黒板等ICTを活用した中で行われている実態というのはかなり現在、進んでいると思うので、そういうことをやると、ある意味では授業方法のイノベーションにもなるというように私は思っているわけでございます。

 そうすれば、子供たちがおのずから授業時間を楽しく、自分が参加して自分の意見が言えるという時間が増えるのではないかと思います。その場合に、やはり学級規模が大きいとなかなか自分たちのグループが発表する時間が足りないとか、限られた時間の中でやるには、やはり学級規模を小さくしたほうが、そういう協働学習、グループ学習などをし、また、ICTを活用した学習をする場合に、時間的にそういうものを子供たちが十分授業に参加したという思いを強められるのではないか、このように思います。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。どうぞ、久保田委員。

【久保田委員】  今回のこの論点整理で最初の検証結果のところに、中学校の事例を持ってきていただいて、大変ありがたく思っております。どうしても小学校のほうに入りましたので、中学校のほうは薄くなってしまうこともあるのかもしれませんけれども、効果としては中学校においても同様の効果があるということになっていると思います。特に検証の難しい教育活動の基盤としての学級の役割といいますか、学習面と生活指導面の複合的な部分といいますか、そのあたり、教員の感じ方ということになるのかもしれませんけれども、その辺の検証が出てくるとすごくいいなという感じがしております。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。相川委員。

【相川委員】  7ページの不登校と長期の欠席者が減っているというところを見ているのですが、減ってきた理由が少人数学級で、学力が上がったために減ってきたのか、いろいろ理由があるとは思うのですが、先生方の先ほどの指導、見方も違ってきたと、方法が違ってきたから減ってきたということ等、いろいろこの問題が絡んでいると思うんですね。学校では今、子供たちが、学力だけではなくて、家庭の環境の問題があったり、いじめの問題があったりという、精神的な問題があるのだけれども、それについての指導の効果によって出てきているというのがちょっと読みにくい。その辺がなかなか数字的には出てきにくいところなんですが、その辺が私なんかは大事ではないかと思っています。

【木村主査】  その辺は、相当細かい分析をしてみないと分からないですね。確かに、現在は少人数学級という、一つの側面でしかつかまえていない。数が減ったからこうなったということなんですが、今おっしゃったように、少人数学級になったことによって、各児童に先生の目が行き届くようになったとありますが、それが、家庭の問題から来ているような不登校の子にまでいい影響を与え得るのか、その辺の問題がありますね。最終的にはその辺もきちんと分析しないといけないと思いますが、私はとりあえずは一つの切り口で見て、それでやっていくより、今は方法がないのではないかと思います。研究者の方がその辺まで踏み込んでいただくといいなと思います。

【小川副主査】  今の問題はまさにそうで、今までのこういう都道府県の少人数学級とそういう問題行動、欠席者とか不登校の減少というのは、確かにデータを見ると相関はありそうだというのは指摘できるんですけれども、じゃあ、どういうふうな因果関係で少人数学級が問題行動を減少させるのかという、その因果関係のプロセスの研究というのは、やはりなかなか難しくて、それはきちんとした定性的な事例研究を積み重ねないと、そういう因果関係の明確なプロセスが明らかにならないんですよ。ですから、それは今後の研究課題というようなことでよろしいのではないかなと思います。それは、個人の研究者に対する要望とともに、国研といった組織的な研究で対応していただけないと、なかなか取り組めないのかなと思いますけれども。

 もう一つ、先ほど、学力の効果のいろいろな調査データが示されているのですけれども、今の段階ではこういうようなことでいいと思うのですが、ただ、この作業部会では、少人数学級と学力向上の効果に関しては、慶應の赤林さんですか、何らかの量的な分析の結果も報告されていますので、そうしたことに全く触れないというのもやはりこの検討会議の報告書としてはちょっと問題かなと思います。そうした量的な分析の調査研究にもある程度触れた上で、ただ、赤林さんの量的分析の調査でも、少人数学級と学力は全く相関がないということではなくて、ありそうだけれども、その影響は小さいし、分析の手法等でさらなる検討が必要だというようなことだったと思うので、必ずしも相関を否定しているわけでもないので。

 ただ、学力の向上にかかわる変数とか、そのプロセスというのはかなり複雑なので、こういう、大規模な量的な分析ではそうしたプロセス等は丁寧に見えてこないというのも事実なので、現段階での量的な研究、分析の手法ではその辺りのところはまだ十分に見えてこないということで、留保をつけながら、そうしたものにも少し言及しておいたほうが、これまでの検討会議やヒアリング等とのプロセスからすると、やはりフェアなのかなというようにも感じました。

 それと、先ほどの少人数学級と学力の向上のところで、座長のほうからも指摘があったのですけれども、こういうデータ以外に、できれば少人数学級でもって先生方の授業の工夫とか改善というのはどのように広がったのかという、何かそういうデータがないのかなというように思いました。

 というのは、私も少人数学級に見合った教材開発とか授業づくりを積極的にやった幾つかの学校を見てきたのですけれども、少人数学級でそのように意識的に、少人数学級に見合った教材開発とか授業づくりをやっているところは、明らかに40分とか45分の短い授業でも、子供の学びの形態というのが非常に多様化し、なおかつ、子供の学習活動量が増え、一斉授業とは比較にならないぐらいアクティブな学習行動をとっているんですよね。

 そういうふうに少人数学級とそれに見合った教材開発とか授業づくりを適切にやると、子供の学びの質の変化とともに、学習活動の量は増えるんですよね。そのように少人数学級というのは、授業づくりでいろいろな面での可能性を持っているということに関する実証ですよね。少人数学級とそれに見合った教材開発と授業づくりをやると、これぐらい授業が変わるんだということを、おそらく山形県あたりではそのような調査研究があると思うんですけれども。

【木村主査】  私も同じことを考えていました。

【小川副主査】  できればそういう調査研究やデータを少し探していただければ。

【木村主査】  たくさんでなくていいと思いますので、今からでも少し調査をして、加えることができれば、相当インパクトが大きくなるのではないでしょうか。

 長南委員、どうぞ。

【長南委員】  山形県では少人数学級の効果を何で確認しようとしているかということなのですけれども、山形県の中学生は日本一、休まない子供が多いのですよ。全国一なのです。小学校は第2位です。ですから、今、不登校とか欠席率の高さというのは、義務教育の段階ではやっぱりこれは絶対に落とさなければならない。子供たちが学校に、楽しくて、休まないで来れるというのが最低のまず条件でないのかということで、学力はもちろん気にはしていますけれども、欠席率とか長期欠席をいかに減らすかということを今、取り組んでいます。

 ですから、結局は、少人数学級になったことによって、学力まで具体的に上がったとかね、それよりも欠席とか不登校というのは、より近い位置にあるのではないかというように思うのです。ですから、まず義務教育の段階では、学校が楽しくて休まないという子供たちを増やすということが大事であると。

【木村主査】  7ページのデータは不登校についてのものですね。今、出席、欠席のお話がありましたが、そのデータがあると、非常におもしろいのではないかと思いますが、長南委員ありますか。

【長南委員】  ええ、あります。山形県にはありますね。

【木村主査】  不登校というのは、さきほど相川委員がおっしゃったようにいろいろな状況を含んでいますが、欠席というのはそれと比べると比較的軽い。長期にならないという。そういうデータも人を説得する材料になると思いますので、よろしくお願いします。

 ほかにご意見ございませんか。どうぞ、白山さん。

【白山氏】  9ページに全国連合小学校長会から校長及び担任のアンケート調査結果が載っておりますが、前回のこの会議で配付されました資料の中には、保護者からのアンケート調査もちょうだいしております。このアンケート調査からは少人数学級の推進について学校側だけではない、保護者側からの期待や評価も読み取ることができたと思っています。そういった資料、あるいはこれまでのこの会議の中でのいろいろなご発表の中の積み上げの中で、今年度、開始していただきました小学校1年生に対する少人数学級ということの効果は、その前から取り組んできていた各都道府県におけるその取組と相まって、そういったアンケート結果から見ましても、大きく国民から期待されているところであり、また、そういったことは学校現場における立場の者も含めて、非常に大切にしていきたいというようなあらわれであったと思います。

 ただいま、長南先生から不登校とか欠席のお話がございましたが、こういったことと、少人数学級とが非常に連動するというお話は私どももそのように認識しております。やはり子供が安心して学校に来て、また、楽しく授業も、あるいは友達とも交われる、そんな背景には、やはり先生とのかかわりというふうなものがあって、クラスの雰囲気であるとか、授業のあり方とか、そういったものが成り立っていくものであると思います。そういう意味におきましても、少人数学級の実施というものは、この後も継続していくことが必要であることを示しているのではないかと思っています。

 また、少人数学級の実施とあわせて、教職員の指導法の改善ということも先ほどお話がございましたが、これも単に少人数化したから成績が上がるわけではなくて、それに応じた、いわゆる教員の研修、あるいは個人ではもちろんでありますけれども、総合教育センター等においての研修、そういった指導法の重ねての研修の成果、そういったものが相まって効果があらわれるものと思っていまして、これは各都道府県で今、この少人数学級と、そして学力、そして生活面でのいろいろな諸問題等を解決するためにも力を入れているところであると考えています。

 どうか、こういったことを、小学1年生で今回実施していただきましたが、やはり低学年であればあるほど、子供たちが学校、あるいは教師、そして学び、そういったもののスタートに立っていく、その低学年の1年生、さらには、継続して次の学年へも少人数学級を拡大していっていただければと思うところであります。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 保護者の件については、ちょっと覚えていたのですが、資料4にちょっとだけ出ていますね。資料4の6ページの大阪府のデータ。6ページの一番下ですね。これも確かにおっしゃるように、保護者からのサポートというのは、非常に大きな味方になりますので、そうたくさん要らないと思いますけど、問い合わせていただいて、あるところを集めてみたらどうでしょうかね。

 どうぞ、宮﨑委員。

【宮﨑委員】  今、白山先生、それから先ほど長南委員からお話があったことと関係するのですが、検証結果4の学力向上、その後も高い水準を維持という中身のこと、それから検証3とのかかわりなんですけれども、先ほど長南委員から、教員の意識が変わったと。そして、それについては子供一人一人を見る目が変わってきたんだというようなお話があって、ここはなかなか難しいというご意見等があったのですが、なかなか難しいところなんですけれども、4のかかわりで、子供たちがどんなふうに少人数学級になって自分が教わっている中身を見ているかというあたりを、何か具体的に出すというのも一つの手なのかなと思いながら見ていたんですが。

 これまでの論点整理案の参考資料の13ページには京都の少人数学級、少人数指導ともに児童からも高い評価があるんだというようなところが出ているのですが、保護者とともに子供たちの意識も少人数学級で変わってきているんじゃないか。先生方の指導が子供たちの中にどんどん入ってきているんだというあたりも、学力が向上するという背景の一つとして整理をするというのも大事なことかもしれないと思いながら見せていただいたんです。子供たちの意識をどう変えるかということは、先生方の指導力に加えて、少人数学級によってしっかりと子供たちを見る目ができてきているというような、そんなような点も少し加えてもられるといいのかなと思いながら見させていただきました。

【木村主査】  ありがとうございました。

 どうぞ、貞広委員。

【貞広委員】  ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。

 まず、先ほど来、少人数の効果があらわれる構造がいま一つまだわからないということでしたが、例えば、本日提出していただいた資料の中でも、メタ分析というか、2つないし3つの検証結果をあわせることで仮説的な枠組みだけでも提示できる部分とはあろうかと思います。

 例えば、先ほど相川委員さんがおっしゃった、長欠の減少に関わって、それはどのように起きるのかという問題に関しては、検証結果2と検証結果5、これらを合わせることで仮説的な枠組みが提示できるのではないかと思います。例えば、授業がおもしろくなって長欠が減ったのかという問題に関しては、きめ細かい指導が充実できるようになったというデータや、個別指導の充実ができるようになったというふうに答えていらっしゃる先生方がたくさんいらっしゃることを対応させられると存じます。更にこの結果に、検証結果6で提示された「家庭との緊密な連携とか教員と児童の関係が密にできるようになった」という点を考え併せると、長欠は、授業がおもしろくなることで減少した部分もあろうし、家庭との連携が深まることによって学校に来るようになった子もあろうしというような枠組みを導出できるかと思います。

 それをさらに補強するには、例えばそれは可能かわかりませんけれども、今回この検証の対象になってくださった先生方に、具体的にどんな指導の改善があったのかということをヒアリングさせていただくことでデータを集め、今回の論点整理を読んだ人たちが具体的なイメージを持って、なるほどと思うような書き方がなされると、どのような形で家庭との連携が緊密になったのかという点がより補強されて、仮説的な枠組みであってもかなりリアリティーのある形で提示できるのではないかということが1点です。

 それともう1点は、次の全体の議論の整理のところで申し上げるべきかとも思ったのですが、この35人という数についてです。35人で十分であるのかという問題がどこにも出ないというのでいいのかどうかということです。もちろん、公共政策であるからには実現可能性というのが必須でして、そういう意味では、現時点では35人であるということがあるのかもしれませんけれども、それは政治的課題であって、ここの会議の役割ではありませんので、35人でよしとするのではないということをどこかで明示しておいていただきたいなという気持ちがございます。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 その辺は私もちょっと気にしていて、今のようなね、例えば40人に比べて35人、このぐらい上がったと。仮に35人が全国的な標準になったと。次、30人に持っていったときにね、ほんとうに上がるのかという問題があるんですよね。ちょっとしか上がらなかったら、これなら同じじゃないかというようになってしまうので、そうしたことは私の目の黒いうちに起きないでしょうが、その辺りもある程度視野に入れて記述しておかないといけないと思います。今、貞広先生がおっしゃったことは、ちょっとその辺りのところも目配りをして入れておくということかもしれませんね。

 ほかに。どうぞ。

【小澤委員】  少人数の学級で学習方法云々という話がありましたけれども、基本的にはいわゆるスキルトレーニング、ドリル的な学習から問題解決的、課題解決的な学習、そういう方向に持っていけるか、持っていけないかというふうに思います。その場合について、やはり少人数であるということはやはり必須な事項だというふうに思っております。

 それから、今日の資料全体を通して、私は、欠けていることがあるんじゃないかなという思いがあります。というのはどういうことかというと、小学校の教員、小学校の校長、小学校というのは、ナショナルカリキュラムである学習指導要領の中身を追求していって、それを基盤にして学習活動を構成するということは非常に大きなファクターなわけですね。そうなった場合に、国研の角屋先生がご提起なさいましたけれども、いわゆる新学習指導要領の趣旨を達成する、徹底するためには、具体的に課題解決的な学習とか、言語によるコミュニケーションをより活発にした授業、そういうものを構成しない限り達成できないわけですね。そういう、やっぱり国としての意思の上で、そういう授業形態を達成するためには少人数の学習の環境構成がぜひとも必要であるということは先般の理科の実験観察授業ですか、これを例にして挙げておられますけれども、そういうのはやはり一つ説得力があるんじゃないかなと思っておりますし、まず全体を通して国としての新学習指導要領を実施する理念、これを達成するためにはぜひ必要だということを前回の理科・科学的な実験観察のデータから持ってくることもできるんじゃないかと私は思っています。

【木村主査】  そうですね。言語だとかコミュニケーション能力だとか、そういうことはやはり大きなグループではなかなか指導が難しいですからね。その辺りの記述は確かに可能ですね。それを実際に示すデータをつけることも必要ですが、まずはその辺りの前提から入るということもできるような気がします。

 ほかに。いかがでしょうか。

 ここで、私がおもしろいなと思ったのは、検証結果6で35人学級にしたら家庭との緊密な連携ができるというように出ている点です。

 どうぞ。

【相川委員】  私どもは保護者の立場ですから、その辺りが非常に微妙で、実は、私が先ほど不登校だとかそういう話をちょっとしたのは、やはり減っているとデータに出ているのですが、増えているという話も聞くんですね。それは、私なんかの聞いている範囲内ですけれども、学力が落ちたから学校に行きづらくなっているということとちょっと違う子も多いと。非常に学力も高い、普通の子で非常に社会性もあったりするのですが、何だか学校に行きづらい。こういう、なかなかわかりにくい現状があるわけですね。私はそれは35人学級、少数にして、要は先生が相談に乗るんじゃなくて、先生が見つけられるかどうかの、これは質の問題になってくるかもしれませんけれども、そういう子はなかなか自分から相談はできないんですね。ですから、行動だとか反応を見て、これはどういう子供というか、どういうことを指導していけばいいかという質の問題になるのでしょうけれども、それがさっき貞広先生の言うように、35人よりもさらに低ければそういう余裕があって、経験のある先生がそういうものを見つけられるか。

 今、自殺が多かったり、自傷行為が多かったりするので、そういう不幸な子をどうやって救っていくかということを、ちょっと保護者としては心配をしています。ですから、そういう面ではこれは先生が来ていただければ、そういうものが減っていくのではないかなと。

【木村主査】  ほかにございませんでしょうか。

 どうぞ、兵馬委員。

【兵馬委員】  子供の側からの少人数学級の話と、それから、我々は学校長ですので、校長側のことから考えると、35人で例えば2クラスになる学年があれば、教師はそこの学年に2人いるということになりますよね。この中でも、メリットを生かして教員が指導上の創意工夫を図るというのも、1人の教員で工夫するのではなくて、その学年の中で複数の教員がいる中で相互にOJTなりいろいろなことですることができるのかなと。すべての学校が全部35人にすれば2クラスになって教員が増えるわけではないですけれども、教員の集団が増えるということは、それだけ教員の学ぶ機会も増えるのではないかと思います。

【木村主査】  その辺の表現が、今の兵馬委員の表現と違って、いろいろ計画を立てやすいというような表現になっていますので、表現を少し工夫する必要があるかもしれませんね。

 ありがとうございました。

 ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 山形の8ページのデータですが、下のアスタリスクの部分を読むと、3番目のグラフはまだ実施していないときですからいいのですが、2番目のグラフは平成14年の小3ですから、少人数クラスを実施した結果ですね、長南委員。

【長南委員】  そうです。

【木村主査】  平成16年にまた大きな変化がありましたが、15年はないんですね。14年を引き継いでいるということでしょう。

【長南委員】  そうです。

【木村主査】  その辺りをもう少し気をつけてデータを足さないと、誤解を招きますね。14年と15年は実際にシステム的には変わっていないのに変化が来ている。これはどうしてだと聞かれると困りますね。16年に変わっているのですから。

 よろしゅうございましょうか。それでは、大体この件についてはご意見が尽きたようでございますので、以上にしたいと思います。随分いろいろ宿題が出ましたけど、事務局、対応できますか。

【谷合企画官】  はい。可能な範囲でやらせていただきます。

【木村主査】  こういうレポートは難しくて、データをたくさん並べると、見る方は嫌になってしまいます。要は、ポイントになるデータをいかにうまく入れるかということだと思いますので、データを集めていただいたとき少し相談しましょう。

 ありがとうございました。それでは、先ほど、申し上げたように、次へ参りたいと思います。入り口だけでも議論しておくのがいいかなと思いますので、2点目の今後の学級規模及び教職員配置の適正化に関する論点及び考え方についてというところに関して、まず事務局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【谷合企画官】  それでは、資料3の16ページをごらんください。学級規模及び教職員配置の適正化に関する論点と考え方でございます。

 まず最初、(1)少人数学級の推進についてですが、先ほど、少人数学級の効果について議論いただきました。また、少人数学級については、今年度から小学校第1学年で35人学級を導入したところであります。そういった中で、今後もきめ細やかで質の高い教育を実現していくため、35人以下学級について教育効果の検証を引き続き十分行いながら、順次その取り組みを進めることが必要ではないかという点でございます。また後ほどご意見等を伺いたいと思います。

 (2)は基礎定数と加配定数の効果的な組み合わせについてであります。まず1、基礎定数と加配定数です。少人数学級を導入いたしますと、基礎定数が充実して、各自治体における計画的・安定的な教職員配置に資する効果があるというお話を先ほどさせていただきました。一方で、個別の教育課題にきめ細かく対応していくためには加配という方式が効果的ではないかと考えられることから、まず1つ目は、基礎定数の充実とともに、加配定数も市町村教育委員会や学校現場の意向を踏まえて、必要な定数の確保が重要ではないか。そして、加配定数の中で、加配定数にも幾つか種類がありますけれども、全国の学校で行われるべき指導上の工夫に関するものについては、安定的・計画的配置が可能となるよう、申請、配分の仕組みのあり方について検討することが必要である。

 そして2でございます。学校現場の意向を反映した柔軟な学級編制、教職員配置についてであります。今回の法改正では、教職員定数の決定に当たって市町村の行う学級編制に配慮するとなどといった規定が新たに義務標準法あるいは地教行法に盛り込まれたところであります。こうした法改正を踏まえ、都道府県教育委員会は市町村教育委員会、あるいは学校現場の意向を反映した支援を行うことが必要ではないか。また、ヒアリングで京都府の例がございましたが、学校現場の状況に応じて少人数学級あるいは少人数指導等を選択して実施できるような先進的な取り組みを十分な効果検証を行いつつ促進することも必要ではないか。

 続いて(3)加配定数の充実でございます。今後の加配定数の充実ということでございますが、大きく2つに分類、整理をしてございます。まず1、学習支援等が真に必要な児童生徒への手厚い支援でございます。

 足立区からの発表でもございましたが、経済格差と学力との関係が指摘されてございました。そうした中で補充学習等を、学習上のつまずき解消のための取り組みによる学習支援が必要ではないか。とりわけ学習内容が高度化していく中学校への対応が必要ではないかということを提起しておきます。

 それから、続いて、今回の法改正事項にもございますが、障害のある児童生徒が増加傾向にある中で、例えば発達障害の児童生徒のための通級指導の充実など、特別支援教育への対応が必要ではないかということでございます。

 次のページに行っていただきまして、17ページでございます。前回会議で被災三県からヒアリングをいたしましたが、そうしたものを踏まえて、東日本大震災により被災した児童生徒のための学習支援等が必要ではないのかということでございます。

 続いて加配の2でございますけれども、きめ細やかで質の高い指導の充実という観点でございます。

 1つ目は、これも法改正事項でございますが、小中連携の推進や複数教員の指導等による小学校における専科指導の充実が必要ではないかという論点でございます。

 もう一つは、地域連携でございますが、コミュニティースクールが着実に増加していて、地域の教育力を学校教育に生かすということをさらに進めるといった観点からも、地域連携による質の高い教育の充実のための体制整備が必要ではないかという論点でございます。三鷹市等の取り組みがこの会議では発表されています。

 そして最後、(4)でございます。全体を通して共通でございますが、現下の厳しい財政事情の中で、今後の計画的な教職員定数改善を進めていくに当たって、どういった点について留意をして進めるべきなのか、どうかという論点でございます。

 今回は論点として考えられることを項目として整理をさせていただきましたので、こういったことを踏まえていただいて、多様な観点からご意見をいただけましたら幸いだと思います。説明は以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 私、少しわからなくなったのですが、この論点と考え方と、その前の部分、最終的な姿はどのようになるのですか。レポートの姿としてはどうなるんでしょう。

【谷合企画官】  私たちが考えたのは、一応このまま、こういう順番でくっつく感じになると思っていて、先ほどまでの少人数学級の成果を踏まえて、今後の具体的な対応というのにつながると。そのときに、少人数学級だけではなくて、そういった加配定数、これも当然必要なものであるので、そういったものも具体的にどういうものが必要かという話になってくると思います。

【木村主査】  わかりました。最初のほうでは、少人数クラスの効果について実際のデータをつけて述べて、ここでは具体的にどうしてそう考えたか、あるいは今後どうすればいいかということを主張していくということですね。わかりました。

 ということで、まだ項目だけを挙げたということになっていますが、何かご意見がございましたらいただきたいと思います。どうぞ。

【小澤委員】  何点かお願いいたします。まず、加配定数のことなんですけれども、今回、ほんとうに大英断といいますか、30年ぶりに学級編制の定数が35人になったということで、減ったということで、それについては本当に感謝申し上げるところでございますけれども、加配定数も、いわゆる指導加配等、1,700人、そこに編入されたわけですね。これは各都道府県の教育委員会、校長会、ある意味、悲鳴を上げております。これ以上この部分が減った場合、本会での議論の中でも、いわゆる学級編制を35人に小さくするとともに、少人数の指導、これについての教育効果ありというふうな議論高かったと思うんですね。そういう中からすると、いわゆる基礎定数と加配定数を同時に議論していただきたい。加配定数については、これ以上減らすことがないようにぜひご配慮いただければと思っているところでございます。

 2点目でございます。通常学級に在籍する、いわゆる配慮を要する児童、この数の増加、これは非常な増加傾向があります。今、データをここに提示できませんけれども、これは文科省もお持ちじゃないかと思っております。通級、指導学級を含めて、このお子さんに対する学級担任の指導に、非常に多くのその部分での力を入れざるを得ない状況があります。ぜひそういう部分から含めて、学習支援等が必要な配慮を要する児童に対して手厚い指導ができるような教職員の人的配置が可能な状況をぜひ現出していただければと思っています。

 3点目でございます。東日本大震災によって被災した児童等への対応でございます。今回、文科省は総数で900名の震災加配をしていただきました。これは全国連合小学校長会としても、この8月下旬に岩手県と福島県を訪問いたしまして、小学校の現在の状況、それから各県の小学校校長会から意見をお聞きしました。もし今回のこの加配がなかったら、とんでもない状況が被災県の小学校現場で起きていたという状況を目の当たりにしました。

 具体的にどういうことかというと、幾つかの小学校、被災を受けた小学校が集まって、現存している、残っている小学校の施設を使って、その中で授業をしているわけです。2つのパターンがありまして、被災した小学校がそれぞれ別に、1つの施設の中で授業をやっているパターンと、統合して、学年ごとに複数の小学校が集まって授業をしている授業パターンとありました。いずれにしろ、子供たちの心的な、津波等によって受けた状況、そして幾つかの小学校が集まっていて新しい学習集団ができたという状況、それからもっと言えば、広域にわたって避難所、これが設定されていて、今までの地域が全く崩壊している。そして、通学には避難所から1時間ないしは1時間半かかって登校している。こういう子供たちの状況を見たら、ぜひ、この東日本大震災により被災した児童のための学習支援、継続いただきたいと思います。

 しかし、ここには矛盾といいますか、私としましては、要するに東日本の加配措置の継続と、それから、いわゆる指導加配と、これを同時に行うということは文科省としても極めてシビアな部分かなと思う部分もあります。しかし、この今の国難の時期であるから何とかそのことを達成できるように、今回の予算要望等を含めて行っていただけないかという強い期待でございます。

 以上でございます。

【木村主査】  なかなか難しい問題ですね。財政的なことを考えると難しいなという気がします。

 ほかにございませんか。前の部分でも構いません。どうぞ。

【久保田委員】  繰り返しの話になりますが、この(1)少人数学級の推進の文言の中で、順次取り組みをという、その順次ということが、小学校1年生からずっというイメージで語られているのか、そうでないかということ。中学校の立場からすると、来年度、学習指導要領が変わって、全面的に実施されます。その機会でさらに質的な中学校教育の向上を目指さなければならない。しかも時数が増加する状況の中でということになって、この少人数学級に対する期待というのがものすごく大きいですね。順番というのも一つの考え方ですけれども、やはりそうすると6年間待たねばならないというようなことがあって、若干、気持ちが下がるという部分もあるので、ぜひ、難しい部分もあろうかとも思いますが、中1段階も同じ状況があるということで、35人以下学級を入れていただけるとかなり教育効果が上がるのではないかと思っておりますので、中学校に対してもというスタンスを入れていただければありがたいと思っています。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかに。

 英国で聞いたのですが、15歳というのが、英国では最も難しい年齢だそうです。そういうことが一般的に言われていますから、英国の場合は多分、日本でいうと15歳というのは中3ですか、そのあたりで何か特別なことをやっているのではないかと思います。私は、小1ももちろん大事ですが、中学校の、いわゆる思春期に入ってくる子供たちのところこそ、相当気をつけてやらなければいけないのではないかと思っています。コミュニケーション能力などは、この時代が一番大切な時期ですよね。コミュニケーション能力をきちんと身につけさせようと思ったら、やはり40人クラスでは相当難しいのではないでしょうか。この点については一刻も早くやるべきだなとかねがね考えています。

 ほかにございませんか。前に戻っても結構です。前の部分でも構いません。

【白山氏】  この部分につきましては、ただいまのご発言もありましたけれども、ぜひお願いしたいということでお話し申し上げたいと思います。

 少人数学級の推進により教員が子供と向き合う時間が確保できるということが今回のさまざまな調査の中から、あるいは発表の中からも出てまいりました。そうした子供たちの安定した学校生活と基礎学力の定着、向上を図るため、ぜひ小学校2学年以降におきましても35人以下学級を着実に実現していただきますよう、順次、その取組をすることに大きく期待を申し上げ、お願いしたいと思います。

 また、指導方法工夫改善のための加配につきまして、それを活用してティームティーチング等の少人数授業や、習熟に応じた取組が成果を上げているということも多く発表されております。こうした現状を踏まえまして、何とぞ加配定数を減らすことなく拡充していただきたいというお願いをしたいと思います。

 特に、小規模校への加配定数についてですが、小規模校にとっての頼みは、加配定数によるところが多い部分もございます。大規模校への恩恵ということだけではなく、やはり小規模校にとっていかにこの加配定数が重要な役割を果たしているかということにつきましても、改めて強調してお願い申し上げたいと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

【小澤委員】  教職員の勤務時間の問題です。これは文科省でこれまでご調査なさったように、ゆゆしき勤務時間外の勤務が恒常的に続いているわけでございます。そのために、全国ではメンタルヘルスにかかわる教員、それから過労の教員も非常に多く現出しているわけでして、これはデータとして出ているかと思っております。

 それから、もう一方の調査で言えば、いわゆる教科の指導時間以外の指導を要する時間帯、これも文科省のほうで過日発表されたかと思いますけれども、2時間以上の時間が必要という状況があります。物理的に子供の数が少なくなれば、それに伴う実際の教務事務等を含めまして、減少するわけでありまして、ぜひそのことについてご配慮いただきたいと思います。

 全国の小学校、私の今、所属している学校の教職員もそうであると思いますけれども、勤務時間が終わって、この時間にも採点、それから保護者への連絡、電話連絡、それから勤務時間中にはほとんど低学年では休み時間、子供と遊んでいるか、子供の保護者から来た連絡帳。今、幼稚園とか保育園で、いわゆる保護者が連絡帳に書いて、そのことを保母さんとか幼稚園教諭が答えるという、一つの体制があって、それがそのまま小学校に来ます。中休み、昼休み、子供と遊ばない以外、ほとんど1年生、2年生の教員というのは連絡帳に回答することに追われます。そういう状況の中で、やはり保護者と連携を深めるとか、保護者と理解し合うとか、保護者と会って話すとか、そういう時間帯を保障するためには、どうしても物理的な量を、子供の量も減らすということは、逆に言えば、教員の数も増えるということですから、そういうことでぜひご対応いただいて、教職員の全体としての、トータルとしての勤務時間の減、それに伴って結果として保護者と教員、保護者と学校、地域と学校との信頼の醸成、それに向かっていけるような体制づくりをぜひよろしくお願いしたいなと思っております。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかには。

 検証結果6のところに、少人数クラス実施の結果、担任教諭が家庭との緊密な連絡ができるようになったとあったのですが、日本ではまだコンピューターで学校と家庭をつなぐというのをやっているところはないのですか。今、日本が先生方と家庭を近づける方法としてやっているのは、従来型の方法で、先生方の数を増やしていくという方法ですよね。これに対してイギリスが新しい試みとしてやっているのは、アカデミーという学校の設立です。全国に500つくると宣言して、今、着々と進行しています。この新しい学校は主として教育困難地域に新しくつくられています。古い学校をつぶして新しい学校をつくる場合もあります。ここでまずやることは、学校と家庭をコンピューターでつなぐことです。コンピューターは家庭に買わせます。貧困地域の家庭が多いですからそう簡単には買えない。ですからまず貯金させるんですね。月々いくらでもいいようですが。で、2年ぐらいたって、幾らかたまると、国が補助するのかどうか、詳しいことはわかりませんけれども、さらにそのお金にトップアップしてコンピューターを買って、学校のサーバーとつないでいます。

 例えば、今、小澤委員がおっしゃいましたが、学校から家庭への報告、そういうのは全部コンピューターで流しています。家庭に全くコンピューターのなかった地域ですが、私どもが3年か4年前かに行ったときは92パーセントの家庭とつながっていました。そのコンピューターを通して、親は子供の成績も全部見られる。またきょう子供が何時に学校に行ったかとか、そういうところまで全部わかるようにもなっています。そのようなやり方の結果、革命的にいい学校になったところもあるそうです。

 ですから、今、システムと、小澤委員がおっしゃったような気がしたのですが、数を増やすというのは、日本の財政状況からすると限界があります。コンピューターを買うのも、コンピューターのシステムをつくるのもお金がかかるかもしれませんが、多分、人を増やすよりは安いのではないかという気がします。その辺についても将来は考えていかなければいけないのではないでしょうか。

 日本でもそういう試みをやってもいいんじゃないでしょうね。1つか2つの学校でも良いと思います。

 ほかに。よろしゅうございますか。まだ時間は大分残っていますが。

 後半の部分はこの資料だと議論ができないということで、ご意見があまり出ませんでしたが、項目については大体こんなところでよろしいですね。この項目に従って事務局でまた前半のような文章をつくっていただいて、議論をすることにしましょう。

 しかしこの資料、はっきり申し上げて、概算要求といいますか、予算を意識しての資料です。ですから、あまり時間をかけられません。その辺については予めご了解いただきたいと思います。先生方が、少人数になってどういうふうにビヘイビアが変わったか、どのように教え方を変えようとしているのか、どういう工夫があるのか、そういうことも調べなければいけないのですが、時間的に無理ですので、その点はご容赦いただきたいと思います。

 小川委員、何かございますか。よろしゅうございますか。

 まだ20分ぐらいありますけれども、事務局、いいですか。

 どうぞ、課長。

【伯井課長】  どうもありがとうございました。

 今後の進め方でございますが、本会議としては、きょういろいろご意見が出ましたように、少し時間をかけて議論をしていく部分と、今、主査からもありましたように、来年度の概算要求というのは9月末を締め切りに作業をしております。それに向けて中間的なまとめといいましょうか、これまで議論をしていたもののうち、きょう提示させていただいたような少人数学級等の現段階での効果の取りまとめを行いつつ、少人数学級の今後の推進方策、さらにはきょうもいろいろご議論が出ましたけれども、加配定数をどのような考え方で充実させていくかというようなことについて、今月中に中間的なまとめができれば、それをバックボーンとして概算要求、それから、それ以降の財政当局との予算編成作業に臨んでいきたいと思っております。本日いただいたご意見を少人数学級等の効果の部分でさらに充実させるとともに、そういう意味では、当面の施策ということを整理させていただいて、なおかつ中期的に今後のあり方というところを議論しなければならないのですけれども、今日いただいたご意見をもとに、少人数学級の効果についてさらに精査するとともに、当面取り組むべき、優先して行うべき施策ということで整理をさせていただき、また、会議に次回以降提出させていただければと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

【木村主査】  要するに二面あるということだけご理解いただきたいと思います。現実世界に対応しなければいけないということが一つと、やはり教育の理想を実現するにはどうするかという議論の二つがあると思います。これは、このような議論の場の宿命ですのでご理解いただきたいと。

 それから、小川先生に質問が1つあるのですが、さきほど、研究者が研究してくれるだろうとおっしゃいました。ほんとうに研究してくれますかね。私、長いこと評価をやっていて、評価が始まったときには、評価の研究者はぞろぞろ出てくるだろうなと思ったのですが、全然出てこない。今の若い人って、そういう新しいことにあまり食いつかないんのではないかという気がするのですが、どうなんでしょう。

【小川副主査】  少人数関係の調査研究については、国の施策に対応するものなので、一つは組織的にやるんだったらやっぱり国研が。

【木村主査】  国研には当然やってもらわなければ困りますね。

【小川副主査】  それにプラスして、やはり、科研費の他に、少人数学級の教育効果という特定研究のテーマに対して文部科学省が調査研究を出して研究者を組織していくとか……。

【木村主査】  そうです。私が言ったのはそこなんです。前にも申し上げたかと思いますが、英国は今、格差是正に取り組んでいます。財政的にハンディキャップのある家庭からの大学進学率を増やそうとしています。ということが最近はここに非常に多くの研究費が集中して出ています。

 ですから、文科省も、やはりそういう資金誘導みたいなことをする必要があるのではないかと思います。評価の研究なんかやったって、全然金にもならないから、だれもやってくれません。その辺の配慮、ひとつよろしくお願いします。

 それでは、本日は以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

【谷合企画官】  今後の日程でございます。資料の2にございますけれども、次回、第8回会合は9月20日、火曜日、10時から12時、会場は同じ建物の3階の特別会議室でございます。よろしくお願いいたします。

【木村主査】  どうもありがとうございました。

 

── 了 ──

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