公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議(第1回) 議事録

1.日時

平成23年6月8日(水曜日) 15時~17時30分

2.場所

文部科学省東館16F特別会議室

3.議事録

 

(冒頭、人事案件のため省略)

 

【木村主査】   それでは、本懇談会の発足に当たりまして、まず、鈴木文部科学副大臣からごあいさつをいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】  鈴木でございます。委員の皆様方におかれましては、ほんとうにお忙しいところ、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆様方の大変なご協力、ご指導を賜りまして、今年の4月の15日に35人以下学級を小学校1年生で導入すること、あるいは市町村が地域や学校の実情に応じて柔軟に学級を編制できる仕組みを構築することを内容といたします、義務標準法及び地教行法の一部を改正する法律が成立をいたしたところでございます。昭和55年に40人学級のための法律改正が行われてから、実に学級規模縮小の法改正は30年ぶりとなります。審議の過程では、新たな加配事由の新設でありますとか、東日本大震災に係る教職員定数の特別措置法を講ずること等の修正が加えられた後に、全会一致で本改正が行われました。大変意義深いものだと感謝をいたしております。

 ただ、この改正法では、小学校1年生につきまして、35人以下学級が制度化をされましたが、この改正法の附則の第2項におきまして、学級規模及び教職員配置の適正化に関して、学級編制の標準を順次改定すること等についての検討を行い、その結果に基づいて、法律上その他必要な措置を講ずることとされております。また、附則第4項におきまして、学級編制及び定数の在り方につきましては、改正法の施行状況等を勘案し、所要の措置を講ずることとされました。さらに、国会審議におきまして、学級数等に基づく基礎定数のみならず、個別のニーズに応じた加配定数の充実、東日本大震災に係る教職員定数の特別措置、計画的・安定的な教職員配置などのさまざまなご指摘をいただいたところでございます。これらを踏まえまして、今般の検討会議を開催することといたしまして、皆様方にお集まりをいただいた次第でございます。

 この会議におきましては、小中学校における35人以下学級推進のねらい、あるいはよりきめ細やかで質の高い教育を目指した少人数学級の推進、あるいは指導方法工夫改善の在り方について、各地方における取り組みを分析しつつ、ご検討をいただきたいと思います。また、小学校における専門的な指導や特別支援教育等、今回の法改正において新たに追加をされました加配措置に係る教職員配置の在り方でありますとか、東日本大震災への対応のための加配措置の在り方を検討していただきますとともに、学級数に基づく基礎定数と加配措置に係る定数の適切な組み合わせによる教職員配置等の在り方についてご議論をいただきたいと思います。

 さらに、今回の法改正を踏まえまして、設置者や学校の意向を反映した学級編制や教職員配置の在り方についてもご検討を賜ればと思います。加えまして、小学校2年生から中学校3年生までの学級編制の標準の順次改定に係る考え方、今後に向けた計画的・安定的な学級規模、教職員配置の適正化方策についても幅広くご意見を賜りたいと存じます。こうした論点につきまして、学校現場、教育行政、地方行財政、さまざまな観点から幅広いご意見をいただきたいと思っております。

 議論を進めるに当たりましては、国立教育政策研究所の協力を得て、地方における少人数学級の導入等の状況やその教育効果について、可能な限り分析を行いたいと考えております。公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化は、子どもたち一人一人に対してきめ細かで質の高い教育を行っていくための基盤でもございます。積極的なご議論をいただいて、その計画的、そして、安定的な教育現場の充実というものを図ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

【木村主査】  どうも副大臣、ありがとうございました。

 それでは、まず、本日の配付資料につきまして、事務局からご説明いただきますが、その前に、ちょっと一言だけおわびをしておきたいと思います。

 おわびといいますか、エクスキューズですね。この年になって、5月に3回海外出張しまして、まず寝られないんですね。で、ご経験のある方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、3時、5時というのは最悪なんですね。今、心、この辺にあって、ひょっとすると、司会の不手際等があるかもしれませんので、その点よろしくお願いをしたいと存じます。

 それでは、まず、事務局のほうから、配付資料につきましてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【伯井課長】  それでは、配付資料の説明をさせていただきます。

 まず、基礎的な資料ということで、資料5-1をごらんいただきたいと思います。これまでの経緯についての資料でございます。学級編制・教職員定数改善に関する経緯についてということで、3ページをごらんいただきたいと思います。昭和33年にその標準に関する法律ができて以来、これまで7次にわたる教職員定数の改善というのを行ってきまして、第1次、第2次、第5次というふうに学級規模の縮小、あるいはその他定数の改善を行ってきたわけでございます。現在の40人学級は、先ほど副大臣からありましたように、昭和55年度からの第5次計画で実現されたというものでございます。その後、6次、7次と加配、少人数指導等の加配定数が拡充されるなどの改善が推進され、その後は毎年、計画改善というわけじゃなくて、逐次改善を行ってきたというものでございます。

 資料の1ページに戻っていただきまして、平成13年度以降、国のその40人標準を下回る学級編制基準を各県で設定していくことを可能とするような制度の弾力化を行いまして、その後、現在ではすべての県で何らかの学級編制の弾力化、少人数学級の推進が実施されているというものでございます。そうした状況を受けて、昨年の7月に、今日も黄色の冊子で資料の中にお配りをしておりますが、中央教育審議会の初等中等教育分科会から、少人数学級の推進等を求める提言をおまとめいただきました。

 その提言を踏まえて、昨年の8月27日に少人数学級を計画的に推進することを柱とする新教職員定数改善計画(案)を文部科学省として策定したというものでございます。それが5ページ以下に記載しております。平成23年度から28年度にかけて小学校1年から中3までを35人にと、そして、29年度、30年度で小学校低学年を30人にしていくということなどを柱とする計画でございます。文部科学省といたしましては、それを踏まえまして、昨年の概算要求で小学校1年生と2年生についての35人学級を実現することを目指して、所要経費を盛り込み、去年行われました政策コンテスト、元気な日本復活特別枠も活用しながら要望したわけでございます。結果は、多くの教育関係者、国民の賛同を得られ、そうしたパブリックコメントの結果も得られましたが、B評価という形になりまして、後年度負担の問題も含めた検討が必要だと指摘もあわせてなされたというものでございます。

 そうしたことも踏まえて、昨年の12月に、9ページにもございますが、年末の予算編成の前に、国家戦略担当大臣・財務大臣・文科大臣の3大臣合意がなされました。そこで、小学校1年生の35人以下学級を実現すると。そのため、4,000人の教職員定数を措置すると。具体的には、2,300人の定数増、改善を行うとともに、残る1,700人については、加配定数の一部を活用すると。その加配定数は、少人数学級に現に活用されているようなもののカウントであるということでございます。それから、このことを義務標準法改正によって措置すると。そして、24年度以降の定数改善については、諸状況を勘案しつつ、引き続き、来年度以降の予算編成において検討すると、こういう合意がなされまして、このことを踏まえて、2ページに戻っていただきますと、予算案の閣議決定がなされ、法律案を翌年の2月に国会に提出し、そして、4月15日に全会一致の形で法律案が成立、公布されたというものでございます。国会審議の過程では、我々、政府として出しておった政府案に対して、新たな加配事由の追加であるとか、定数配分に当たって、県教委に対して市町村教委の意見を十分尊重するというような修正がなされたということでございます。以上が大まかな経緯でございます。

 法案の内容につきまして、資料5-2-1、法案そのものにつきましては、資料5-2-2でございますが、あわせてごらんいただければと思いますが、法案の内容でございます。資料5-2-1の1ページで、義務標準法の3条で国の学級編制の標準を規定しておりますが、そこにつきまして、小学校1年生を35人にするという内容でございます。さらに、附則といたしまして、政府は、学級編制の標準を順次改定すること等について検討を行い、その結果に基づき、法制上その他必要な措置を講ずると。それとともに、必要な安定財源の確保に努めるという附則が設けられたわけでございます。本会議は、この附則も受けまして、文科省として検討していくという位置づけでもございます。

 さらに、市町村が柔軟に学級編制できる仕組みといたしまして、従来都道府県教委が定める学級編制の基準に市町村教委が従うべきとされていた、その拘束性を緩和いたしまして、標準としての基準とするとともに、同意協議が必要な仕組みを改めまして、事後届出にかえるというふうに大幅に弾力化を図ったものでございます。そのことについて、その弾力化したものの定数配分の観点から、市町村教委の主体性を担保することが必要だということで、議員修正がなされまして、1ページの一番下の部分でございますが、都道府県教委に対して、市町村教委の意見を十分尊重することを地教行法で義務づけるというような修正もなされております。

 2ページでございますが、(3)部分も議員修正に係る部分でございまして、教職員定数の加配措置に係る数を政府が定めるに当たっては、学校長、あるいは地方公共団体の教育委員会の意向を踏まえて、必要かつ十分なものとなるように努めるということ。あるいは小学校の専科的な指導、障害を有する児童生徒に対する指導に係る加配事由を追加措置するということが、これも法案審議過程の議員修正によって追加されました。

 それから、(4)でございますが、その他の検討事項として、教職員の任免とか、定数の在り方についての全般的な検討を施すこと、あるいは東日本大震災に係る教職員定数に関する特別な措置を講ずるといったことが、これも議員修正でされまして、この結果、法律が成立して、学級編制の弾力化の部分については、準備が要りますので、来年の4月からの施行ということになっておりますが、35人の部分については、公布日施行ということとなっております。

 それに係る施行通知、副大臣通知でございます。3ページですけれども、今回学級数をベースとした4,000人の基礎定数が措置されることになりましたので、各県において正規教員の採用や人事配置をより一層適切に行うということ。それから、後ほど少し説明いたしますが、既にその35人以下学級を実施している県につきましては、今回の増加定数を活用して、他の学年の少人数学級やその他の教職員配置の改善に努め、その状況をしっかり情報公開をするなど説明責任を果たすことと。

 それから、2でございますが、今回の学級編制の弾力化措置によりまして、原則は、学級編制基準によって各市町村教委で学級編制をするというのが原則でございますが、個別の学校の事情に応じて以下のような弾力的運用を例外的に許容していこうと。その場合も、都道府県教委はしっかりとその部分の定数を措置しようということを通知で言っております。具体的には、次の4ページにございますような、例えば小学校1年生の児童数が18人、18人という、36人の場合、原則は2クラスでやるわけですけれども、例外的に36人にしたまま別途の先生、TTで措置するとか、あるいは中学校におきましても、県の基準が40人を下回っているような基準を設定している場合に、特定の学年の学級経営上困難が生じている場合、それに少し厚目にできるような学級編制を行うといったような事柄を通知で示しているところでございます。

 以上が法律案の内容でございます。詳細には、資料5-2-2に具体の条文がございますので、適宜ご参照いただければと思います。

 それから、資料の5-3が今後ご審議いただくに当たっての基礎的なデータでございます。基礎的な統計、あるいは説明資料の束ねたものでございます。資料5-3でございます。最初の4枚目までが、全体を集約した基本データでございまして、おおむねのデータがこの4枚目までに出ておりますので、適宜、ご参照いただきたいと思います。

 主要なものだけかいつまんでご説明いたしますと、5ページが今後の児童生徒の推計でございます。小学校、中学校ともに子どもが減少していくという状況の中で、特別支援学級、あるいは特別支援学校の子どもは、増加傾向にあるという状況がうかがえるわけでございます。

 それから、9ページを見ていただきますと、35人以下学級に在籍している児童の割合でございます。小学校でいいますと、全国平均で82%、限定しますと、平成22年度まで、昨年度までのデータでございますが、およそ93%の在籍数ということでございます。この図の見方は、薄いブルーの部分が国の標準で40人どおりやった場合このぐらいで、それに対して都道府県などが独自の措置、あるいは加配を使いながらということで上乗せしていったのがこの濃いブルーの部分で、既に平成22年度で15県が小1、既に100%の35人以下の状況であったということでございます。

 以下、各学年ごとの学級規模別在籍児童数がございまして、13ページを見ていただきますと、公立小中学校の1学級当たり、いわゆる普通学級の1学級当たりの平均児童生徒数で、小学校は27.8人、中学校は32.5人でございます。それぞれ県によって大規模校、へき地校の割合なんかが違いますので、当然変わってくる、あるいは県独自の施策というのもこれに加味されますので、当然ばらつきがあるわけでございますが、一番多いところで言えば、神奈川県が小中ともに31.9、35.0と。逆に一番少ないところで言えば、高知県が20.9、26.0と、こういった状況になっております。

 以下、学級規模の国際比較等のデータを入れております。

 18ページが正規教員・非正規教員の割合の係るデータでございまして、一番直近のデータ、平成22年度でいいますと、5月1日現在の非常勤、臨時教員等の割合が全体の15.6%を占めるという状況でございます。その各県別内訳が19ページでございます。21ページは、公立小中学校教員の年齢別の内訳でございます。50代に多くシフトしているというのがうかがえるわけでございます。

 それから、その他、ずっとちょっと飛んでいただきまして、27ページが今年度、平成23年度において学級編制の弾力化、独自の少人数学級等を行っている県の状況でございます。小1は国の標準自体が35人になりましたので、35人以下で編制しているのが13県、3県と、こういう状況でございます。そのほか記載のような状況ですけれども、見ていただきますと、一番純計というところが、実際弾力化を行っている県の数ですので、小学校2年生であるとか、中学校1年生の取り組みが多くなっているという現状でございます。

 それをその県別に見たのが28ページ以下の資料でございますが、具体に見ていきますと、弾力化の状況は各県によってさまざまな取り組みをしております。例えば宮城県なんかは、小1に足して、小2と中1を35人以下学級ということで、国の学級編制標準の考え方と同じような仕組みでやっているわけですけれども、山形県を見ていただきますと、学年の児童生徒数が67人以上で、そして、2学級以上の学校で33人学級をやると。一定の下限を設けてそういう仕組みを設定しておったり、あるいは福島県のように、福島県の小学校3年生以上のように、30人程度を基準として個別の学校の実情に応じた弾力的編制を行うと、30人程度学級と県では言っていますけれども、そういう仕組みをとっているところもあるということでございます。

 そういう仕組みの中で、30ページでございますが、具体的に今回国が定数措置をしたことに伴いまして、既に小1をやっていた県も多くあったわけでございますので、ほかの学年に具体的に拡充したという県が18県ございます。具体的に学年を拡充したというものでございます。このほかにも、先ほど言いました詳細な弾力化の状況、取り組みの仕方をしていますので、詳細にはさらに少人数指導を行ったり、その弾力化のやり方を変えたり、さまざまな形で教員配置の改善を各県ともに行っておるということで、現在分析中でございますが、目に見える形で学年を拡大したのが18県あるというのが30ページでございます。

 あと、35ページ以下に各県の効果の検証といいましょうか、取り組みのデータでございます。先行して少人数学級を導入している秋田県であるとか、山形県の学力調査、あるいは独自調査における学力の伸びに関する資料が35ページでございます。

 36ページは、生徒指導面で学級規模といじめの件数の相関であるとか、山形とか、大阪では、不登校の出現率、欠席率が一定程度の低下が見られるというデータでございます。

 その他、38ページのデータを見ていただきますと、習熟度別少人数指導等の実施校の割合というので、文科省が隔年で調べておりますデータでは、38ページのところでございますけれども、近年ちょっと習熟度別少人数指導等の実施校が減少しておりまして、これはおそらく指導要領で先行実施に伴う授業時数等への対応を優先して、そこに教員を使うということが原因かなと思われますが、そういう状況にあるということでございます。

 40ページ以降が加配の定数に関する基礎データを記載しております。42ページを見ていただきますと、現状の加配の教職員定数の一覧が出ております。加配というのは、ご案内のように、学級数に応じて決定する基礎定数に加えまして、個々の課題に対して、各県からの申請に応じて措置するというのが加配でございます。指導方法工夫改善定数からこういった加配メニューで、総計5万8,805人を予算定数として措置しているというものでございます。

 以上が資料5-3でございます。

 資料6は、これまで去年の検討の際、あるいは政策コンテストの結果であるとか、今年の1月に義務標準法改正のイメージを各教育関係団体に意見募集したときの結果であるとか、これまでの各団体等の意見を資料6として束ねておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。

 資料4をごらんいただきたいと思います。そうしたことを背景に法案を提出いたしまして、この義務標準法改正案を国会で審議していただく過程でご指摘をいただいた主な指摘事項でございます。1ページ目は、加配の十分な確保の重要性ということで、修正にもなっておりますけれども、加配教員について、必要かつ十分な数を確保すべきとか、特に特別支援、小学校専科教員の必要性についてのご指摘でございます。

 2ページ目が、基礎定数と加配定数のバランスということで、今回加配定数の一部振りかえというのを行っておりますけれども、それに対するご指摘であるとか、それをやはり基礎と加配をバランスよく措置していくべきではないかと。あるいは新しい基礎定数の算定方式に切りかえる必要があるのではないかというご指摘でございます。答弁は右に記載しているとおりでございます。

 それから、3ページ目が少人数学級を独自に行っている都道府県が、もう小1でいうと既に93%が35人以下で学んでいるのに、これを今出す必然性は何かというようなご指摘。あるいは弾力化した後、しっかり都道府県教委が市町村教委に定数配分上の法的担保ができるかということに対するご指摘が3ページでございます。

 4ページ目が、計画的な定数改善ということでございますので、年次計画の見通しということについてのご質問、ご指摘でございます。それに対して政府答弁にあるように、今後検討していくという答弁をしているところでございます。

 5ページ目が教育効果と、少人数学級の教育効果であるとか、その具体的な評価、検証の仕方を示していく必要があるのではないかというようなご指摘をいただいております。それから、6ページ目も同じく、秋田県なんかでは、少人数学級と少人数指導、あるいは家庭、地域との連携で学力を向上させていく。そうしたのをしっかり分析していくべきではないかというようなご指摘でございます。

 7ページは、財源、財政上の後年度負担に耐えられるのかという、財源の問題、これについては自然減であるとか、今後の定年退職者の増加に伴う平均年齢の低下による教員の給与が下がると、そうしたことで見込まれるということとかいうことでございます。あるいは公務員人件費削減との関係。

 さらには、8ページでございますが、望ましい学級規模というようなご指摘をいただき、これらのご指摘も踏まえまして、今回、本会議でさまざまな角度からご検討いただくということでございまして、資料2が、先ほど副大臣からのご説明にもございましたが、本会議において、具体的に今後検討していただきたい事項の(案)でございます。

 繰り返しになりますが、参考にございますように、この法律では、附則におきまして、小2から中学校に至るまでの学級編制の標準を順次に改定すること等の検討を行って、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされております。あるいは教職員の任免等定数の在り方について、法の施行状況を勘案しながら検討していくというような規定がございますので、そうしたことを踏まえ、あるいは先ほどあったような国会のご指摘を踏まえて、資料2にございますような検討の観点で具体的に検討を今後進めていっていただければなと思っております。

 私からは以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ただいまの資料の説明によって、この検討会に課せられた宿題は大変大きなものであると考えます。きょうは、第1回ということで、ただいまの資料の説明をお聞きなった上でも結構ですし、あるいはまた、この問題に対するご自分のそれぞれのご意見でも結構ですから、しばらくの間、自由討議をしたいと思います。よろしくお願いしたいと存じます。

 どなたからでも結構ですから、ご発言をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。どなたか口火を切っていただければ、あとはスムーズに流れると思いますので、よろしくお願いします。じゃあ、中川さん、よろしくお願いします。

【中川委員】  私は、このたびの学級編制の改定ですけれども、これは一連の教育改革が始まったときにもう既に始まっているんじゃないかと思っております。教育基本法が改正され、それから、学校教育法が改正され、そして、学習指導要領が改正された。学習指導要領の主なその改正点が何点か挙げてありますけれども、その中で言語活動の充実とか、それから、体験活動の充実とかということが具体的に挙げられております、数項目。で、これは従来の40人の一斉授業を想定した、そういう形態を想定したことではないと。もう既に学級規模を変えて対応するというような前提があるのではないか、そうしないとできないと思っております。既に、したがいまして、今の質の高い教育とか、何とか言われておりますけれども、子どもたちの思考力とか、判断力、あるいは言語能力の充実のところで言われておりますような説明する力とか、批評する力、論述する力、討論する力、これらを充実させようと思ったら、もう当然今の学級サイズでは対応できないと。したがいまして、これは、新指導要領の実施と同時にこれは対応すべき課題だと思っております。したがいまして、中学1年は来年から、中学校は来年から新指導要領実施になりますけれども、少なくとも中学校は1年生から、これも来年から入れるべきだと、そういうふうなことを現場に見るにつけ強く思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。

 確かにそういう側面ありますね。従来にも増して熱い教育をやろうというフィロソフィーが打ち出されていますから、新学習指導要領では。確かにそういう解釈もできると思います。

 ほかにございませんか。どうぞ小澤さん。

【小澤委員】  今の中川委員の基本的な理念にはもちろん賛成なんですけど、ちょっと何点か質問させていただいてよろしいでしょうか。

 まず1点目なんですが、来年度新1年生を今年度と同様に、もし実施した場合、35人以下学級。で、2年生に継続すると、その場合、財政的な負担増というのはどのぐらいの規模になるのか、ちょっとお聞きしたいなと思っています。

 それから、2点目ですけれども、先ほどの資料5-3にあった資料をちょっとクロスで資料を見ると、35人以下学級している実施している都道府県と、それと、正規教員数のその割合と相関関係がない部分があるんですね。極端に言えば、35人以下学級、30以下学級を実施している県、それらの県の中で正規教員数の割合が9割を切っているということについて、このことについては正規教員数以外は非常勤講師等の対応かということでちょっとご質問したいと思います。

【木村主査】  伯井さん、いいですか。

【伯井課長】  まず1点目でございますが、資料5-1の5ページのほうにございます。もともと小学校1年と2年を昨年改善しようとしたわけですが、結果、小1だけですので、8,300人のところも4,000人の基礎定数を措置したということですので、細かい推計はちょっと置いて、小2を行うためには4,300人ぐらい増が一方で必要でございます。24年度の場合は自然減が、この資料にございますように、4,900人と、23年度より多く自然減が出ます。それを、自然減をどう見るかという見方はございますが、その分を引いて4,300人が増えることに伴う国庫負担増というのは約93億でございます。それが1点目でございます。

 それから、先ほどの35人以下学級を既にかなり到達しているところでも、資料5-3の19ページにございますように、非正規の教員の割合が高い県というのが幾つか見られるということ。これは、事情は、非正規教員の採用というのはさまざまな事情がありますので、特に育休やら、産休やら、あるいは非常勤講師やら、あるいは定数内のさまざまな条件をよくしていくという、いろんな事情、一概には言えないんですけれども、期限つきの常勤のような、そういうのをすべて入っていますので、一概には言えないんですけれども、既に達成しているところは非正規教員の割合が高いというわけでもなく、そこはその各県の事情でさまざまである。

 ただ、一方で、基礎定数化を図っていこうという以上は、先ほどの通知にもございましたように、正規教員の確保などできるだけ計画的な人事に努めてもらいたいというような指導を、先ほど紹介した指導通知でもしているというところでございます。

【木村主査】  よろしいですか。ほかに。どうぞ、井上先生。

【井上委員】  先ほど副大臣からご説明がありました義務教育標準法改正につきましては、これは大変国会状況が厳しい状況で、ねじれ現象という中で全会一致で成立したご努力に対しては感謝を申し上げたいと思います。

 この改正には、この中教審の議論において、新しい学習指導要領の円滑な実施を目指した条件整備として、学級規模の適正化と教職員配置の適正化を図ったものと理解しておりますが、特に小学校1年の35人学級が実現したということで、次は、附則等の規定ももちろんございますが、資料5-1の5ページで拝見しますと、年度別改善数・自然減ということで、24年度は自然減が4,900人ということでございますので、その自然減を十分活用していただいて、学年進行で第2学年の35人学級をぜひ実現していただきたいと、このように考えているところでございます。

 それから、新学習指導要領で、新しい分野として外国語活動が新設されたわけでございますが、これについての特に教職員配置上の措置というのが明確には出ていないわけで、中教審審議で特に私がお願いしたのは、オーラルコミュニケーションを増進するためには、やはりネイティブスピーカーであるALTの増員をし、それをできるだけ各学校に配置できるようなご努力をお願いしたいということと、それから、従来小学校の教員は、やはり英語教育とは直接かかわっていなかったということもあって、研修だけではかなり不十分な英語教育しかできないのではないかという危惧がありますので、小中連携によって、中学校の英語教員を小学校のほうに併任発令して英語教育に従事させていただくことも必要ではないかと思っていたわけでございまして、そういう点を今後、さらに進めていただけたらと思っている次第でございます。

 それから、もう1点は、指導方法の改善について、種々先ほどからご説明があるわけでございますが、特に新しい学習指導要領の総則で、電子黒板等のICTの活用による子どもたちにわかりやすい、また、子どもたちの授業への参加できるような、そういう指導方法の改善についての指摘もございますので、実は、私、教育ICT活用普及促進協議会の会長として、実は昨年度、22年度に全国132校でそのICT活用の教育実践をしていただきまして、その発表会も文科省のほうでやっていただいたわけでございますが、その教育実践事例集を先般発行しまして、公表しておりますので、そういうものもぜひ活用していただきまして、実際の指導方法の改善にICTをさらに活用していただけたらということをお願いしたいと思うわけでございます。

 それから、東日本大震災関係については、国会の審議で、議員修正で特に教員の加配措置も講じていただいているというのが、先ほど附則6項で拝見したわけですが、特に私ども、考えておりますのは、阪神・淡路のときの経験からして、被災を受けた地域の子どもたちはかなり大きな精神的ストレスを受けているということから、心のケアをかなり長期間にわたってやっていく必要があるのではないかと思っておりますので、そういう意味で、臨床心理士等のスクールカウンセラーの配置を被災地域の学校にはぜひこれを進めていただきたいということをお願いしておきたいと思うわけでございます。

 それから、もう1点は、実は、被災地域では、かなり農業、水産業、それから、製造業等の中小企業等、その基盤をかなり大津波によって失われたということもあって、これは復興にはかなり長期間かかるのではないかと思うわけでございます。そういう場合に地域産業の担い手としては、やはり専門高校生とか、あるいは専修学校の生徒というのが地域経済を支える担い手になるのではないかと思っておりますので、そういう人たちに対する支援策というものもぜひお考えいただけたらというように考えております。

【木村主査】  ありがとうございました。幾つかについてご返事いただけますか。

 外国語教員の問題、その他ご質問が出ていますけど、コメントが出てますけども、もしお答えになれるのであれば。

【山中局長】  外国語教育につきましては、今年の4月から始まっておりますので、ALTの活用、それから、あと、今、小学校、中学校の連携、あと、民間でやっている場合もありますけれども、これもぜひ進めていただきたいと思っておりまして、一般にもう中1プロブレムといいますか、小学校から中学校に進学すると不登校、校内暴力、いろいろ増えるということもあって、そういう意味でも連携をしっかり進めなきゃならないということだと思うんですけれども、特に英語教育の場合は新しい学習指導要領で小・中・高を通じてコミュニケーション能力の育成を目標としていますので、小中がうまく連携するような形で、ご指摘のように中学校の先生をもっと小学校で活用するとか、小中が連携して指導計画を作成とかといったことが重要ですし、それから、あと、ネイティブのスピーカーの方を活用するというやり方についても、ちょっとそれぞれの学校、市町村によって雇用形態が違ったりしている面がありまして、その辺も隘路になっている面はぜひ制度的な面で解決され、文部科学省、厚労省とちょっと連携して解決していきながら、もっとネイティブの方を授業で活用する在り方ということについても進めていけたらと思っております。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ALTの中で、JETとずっとコミュニケーションしているんですが、当初に比べると随分、ちょっと、これ、言いにくいんですけど、クオリティーが下がっているような気がしてしようがないんですけどね。その辺の問題はないんでしょうか。

【山中局長】  今、英語教育、外国語教育の改善のための検討会もやっているんですけれども、JETのほうできている人についても、もっと自分たちの能力を使ってほしいと。ある特定の学校に行ってあるクラスだけ、その時間だけに何か手伝って、それで帰ってくるということだけではなくて、もう少しほかのクラブ活動であるとか、ほかの課外活動であるとか、いろんな能力を持っているので、そういう能力も使ってほしいし、また、もっと事前の研修についても、JETについては、普通の英語の先生をやっている人でない人たちが来ますから、授業を一体どういう形でやるのかというあたりについて、初め、中間というふうな適当な時期に実施している研修をさらに充実させていく。もうJETプログラムやり始めて、今でも4,000人近い外国人が来ているんですが、もう26年目を迎えておりまして、26年、それでやってきて、どれだけの日本人の中学生、高校生の英語が改善されたかと。ほんとうであればすばらしいと、最近の子はということになってなきゃと思うんですが、ちょっとそうなってどうもいないというのは、今までやっぱり学校教育の中で、特に中、高のこういう教育の中で、そういうALT、あるいはJETプログラムで来てもらった、そのネイティブスピーカーを授業の中でほんとうにうまく活用していたのかということについては反省の余地があるし、では、今後、どういうふうな形で、活用していくのかということについては改めて考えて、新しい学習指導要領がちょうど始まりますから、そういうものに合わせた形で、一体どういう英語の授業を組み立てるのかということを真剣に取り組んでいかなきゃならないと思っております。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございますか、どうぞ。相川さん。

【相川委員】  私、PTAの代表でして、実は、この定数改善というのは非常に興味のあることで、これは積極的に進めてもらいたいと、保護者からの強い要望があります。今回小学校1年生だけだったんですが、非常に残念に思っているんです。1、2年生というのは、幼稚園からほんとうに学ぶという場所にくる。そのときに1、2年生が学び取る、習熟していくということを粗末にしますとね、3、4年と、5年生と、こういうふうに先々の学力に対する意欲も落ちてくるし、今でいうおくれを生じてくる。ですから、早いうちにやはり丁寧に子どもたちに教え込むということが必要だろうと。それが中学1年生にも言えるわけですね。中学1年生も、各小学校から、いろんな人が集まると。そのときになかなか場になじめないことと、教科内容が、変わりますので、そのときにどうもおくれを生じると。それがもう中学生の場合2年、3年生と短い期間ですので、なかなか追いつけないと。それで、親が心配して塾にやる。現況は学校の教育に不安を持っているから塾にやるんだと、こういう親もおりますので、その辺は早目に少数の人数で習熟度を上げていくということが大事じゃないかなと思っています。

 それと、今の所得の問題も非常にありまして、まだ塾にやれる家庭は補えていいわけですが、やはり所得格差が生じている今、そういう面の学力の格差も生じているというのが現状です。学校現場を見てもらえばわかりますけれども、いろんな子どもがおります。小学校1、2年生、3年生ぐらいの教室へ行きますと、とてもじゃないけども、35人でも1人の先生では教えていくにも大変だという現況がありますので、その辺はいち早く進めていただきたいと、このように思っております。よろしくお願いします。

【木村主査】  ありがとうございました。

 どうぞ。久保田先生。

【久保田委員】  私は、全日本中学校長会の予算対策部長もしておりまして、全国の中学校の校長たちにアンケートをとりますと、やはり学級の教職員定数の改善が上位に上がってまいります。大変期待が大きく、今回小1だけでも入ったということはありがたく思っておりますけれども、中学校に入ってくるのは一体いつなんだということで、期待感はあったんだけれども、ちょっとしぼんでしまったような感じがしております。来年度新学習指導要領、全面実施になりますので、この機会にぜひ中学校のほうに順次、1年ずつじゃなくて、中学校のほうにも重ねて入れていくような取り組みをしていただけると、中学校の現場としては大変ありがたく感じているところでございます。よろしくお願いします。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【貞広委員】  ありがとうございます。まず、35人学級の導入が実現したということに、関係者の皆様のご努力に感謝したいと思います。

 その上で、ご意見として申し上げます。

まず、第1点は、新しい学習指導要領と35人学級との関連についてです。これから学年進行で35人学級を拡大し、より多くのお金を使っていくのであれば、なおのこと、今の新しい学習指導要領が目指している教育が35人学級を基礎とした教員定数でほんとうに実現できるのかということを、もう一度考え直すということをしていただきたいと思います。確かに理想値を実現できるかどうかということは、財政的に支弁できる可能性との関係がありますが、それはそれとして、すべての子どもに今の学習指導要領で求めているような教育を保障するにはどういう条件整備がいいのかということをもう一度基礎に立ち返って検証していただきたいと考えます。加配の在り方というのは、その基礎定数では不十分な点を補うという考え方から、こういう加配必要だという考えることが論理的であると思います。従って、財政的に現実的ではないからこそ検証は行わないというのではなく、ぜひこの機会にすべての子どもに教育を受ける権利を保障するにはどういう環境が必要かということの再検証していただきたい思います。

 もう1点は、より長期的視点からみた学校のダウンサイジングを視点に入れていただきたいということです。今回、学級規模の予想値が平成30年まで出ていますが、私のシミュレーションによりますと、更に20年後ぐらいでは、単学級の、それも15人とか、16人ぐらいの学級規模の学校というのが平均的な学校の姿になると予測されます。これはも都市部も入れての数値ですので、田舎のほうはもっと小規模になる訳です。学校の定数の改善というものも、そうした長期的な将来も見据えた上で、考える姿勢を持ちたいと思います。見

更に、こういう小規模化と同時に、学校に権限をもろもろ与えて分権化していこうというような考え方も同時並行で入りますと、今のように学級に応じて教員を配置するというのではなくて、学級編制を拘束しないためにも、パーヘッド、つまり、1人の子どもに対してどう幾ら払うかというような考え方を導入するかどうかという議論に、我々は、将来立たされると思います。引き続き、学級を基礎とした配分を行うのか、それとも一人あたり換算での配分を行うのか、その点をどちらを選択するのかということも見据えた上で議論していきたいと思います。

 現在の小規模の学校というのは、基本的に今の基礎定数の中では、基礎定数はもちろん少ないです。そして、加配教員もなかなか来ない。ですから、プラスアルファの余裕の先生がいなくて、特別支援の子どもなどがいると非常に大変なわけですね。こうした小規模の学校の姿というのが平均的な姿になる将来、今のような定数の考え方と人の配置の仕方でいいのかということを考慮に入れていただければと思います。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。

 ほかに、どうぞ、土居先生。

【土居委員】  資料2に検討会議における検討事項ということで書かれておりまして、私自身も、こういう内容についてさらに深く議論されることは大変期待したいところでありまして、それぞれ私も勉強させていただきながら、私の考えも述べさせてだきだいと思っています。その中で、私の専門は財政なので、特に4番目のところ中で定数改善に要する経費の推計及び公務員人件費への影響とか、あと、学級規模・教職員配置の適正化に関する国と地方の役割分担というところは、私としては、専門とも非常に関連深いところでありまして、ぜひとも事務局にはさまざまな検討に資する資料を出していただいて、それでよりよい議論が促されることを期待したいと思います。

 特に私が思いますのは、先ほど来何人かの委員の方も述べておられるように、さらに少人数学級の推進をしたときにどのぐらいの財政的な経費がかかるのかというところは、ある程度一つの定まったシナリオだけではなくて、幾つかの可能性をシナリオとして用意しながら、こういうケースではこれぐらいかかる、こういうケースではこれぐらいかかるというような、幾つかの可能性というものを、少なくともこの会議の議論の場ではご提示いただいて、こういうのがより妥当なシナリオだろうとか、ないしはそれが必ずしも理想を追求できない場合には、こういうセカンドベストの可能性というのは考えられるだろうとかいう、そういうようなものがある程度教育の姿と財源とがマッチした形で議論がなされると、より説得的になるんではないかと。

 さらに、ご承知のように、我が国の財政、非常に厳しい状況ですので、そう考えますと、いかに少人数学級の推進ということが、他の予算よりも優先されるものなのかということをあわせもって説得していかなければならないだろうと。場合によっては、増税もやむなしということになるのかもしれませんけれども、そこまではちょっとこの検討会議の範囲を超えているかもしれませんが、少なくとも他の予算よりも優先されるという、それぐらいの価値があるということについての理論武装というものがこの検討会議でもいろいろな形で必要なのではないかと思います。

 それで、あと1点だけちょっと具体的なお願いと申しますか、事務局に資料を後日ご提示いただければありがたいと思うのは、資料5-3の30ページに、先ほどご説明がありましたけれども、平成23年度において既に国の予算でも措置された上で、さらに各都道府県でどういう少人数学級の拡充状況が行われたかと、先ほどご説明ありましたけれども、私の印象で言うと、これは多分各県で既に予算がある程度見込まれていて、国費で、国庫負担で幾らきて、で、自前の財源もいろいろ用意しながら、こういう形で教員配置をして、幾ら予算措置するというようなことを裏づけをもって取り組まれているのではないかと。ないしは、もちろんこの結果としては増減なしということになるのかもしれませんけれども、ある程度予算の積算根拠をプラスマイナスありながら、こういう拡充に取り組まれているのではないかと思いますので、もし可能ならば、どういう予算的な裏づけをもってこういう拡充をなされたのかということですね。それをできれば18都府県全部知りたいんですが、もしそれが無理ならば、例示として幾つかの都府県でこういう形の予算配分を変えたので、こういう少人数学級の拡充が実現したという、そういう少人数学級の拡充状況の裏側にある予算の動きがどうなっているかということを資料としてご提示いただければありがたいと思います。

 以上です。

【木村主査】  今の点、どうですか。

【伯井課長】  今、土居先生のご指摘のようなことも含めて、今、どういうふうに各県が今回の国の定数増、予算増で教員配置の改善を図っているのかをちょっと子細に分析をしておりまして、それも含めてでき次第、会議でもご報告をしたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ、宮﨑先生。

【宮﨑委員】  2点お話をさせていただきます。

 まず、今回の義務標準法の改正に当たってはほんとうにご努力をいただいたことに敬意を表したいと思います。

 その上で、私、特別支援教育をこれまで進めてきた者の立場としてお話をさせていただきます。今回の検討事項の2と4にかかわることだと思いますが、まず、貞広委員がおっしゃられた基礎定数と加配定数のことに関連しますが、これまで中教審でのこの検討の中では、35人以下学級ということよりは、むしろ、30人学級というようなことも想定した検討をしてきたという経緯もあるということがあると思うんですね。その際、具体的には学級集団と学習集団の機能といったような問題をどう整理していくかということなども、検討会議の中ではかなり論議をしてきたと思います。このあたりのかかわりを改めて、生活集団としての学級、学習集団としての学級、といった学級の機能という視点から整理していただき、この学級規模の実態から基礎定数をどういうふうに考えていくか。学級の編制の在り方を少し検討していただくとありがたいなというふうなのが1点です。

 その上で、特にインクルーシブ教育システムの世界的な動向などで、現在、中教審でも検討しているところでございますが、この観点から考えたときに、発達障害等を中心にさまざまなお子さんが学級の中へ入っている実態があります。この子たちは、集団になじむまで相当時間がかかる。小1プロブレムの問題は、2年、3年とやっぱり継続をしてくることです。集団生活の中で安定してくるのが大体3年生、4年生ぐらいかなと思うんです。このあたりまでを考えたときに、いわゆる加配として障害のある子どもたちが、通常の学級で障害児が学ぶという仕組みの中で教員配置をどのように考えるかということ、在籍している学級への柔軟な対応の仕組みというのを考えていかなければいけないんじゃないか。このあたりはいろんな教育団体からの要望、あるいは教育長さん方からの要望もかなり強いところですし、私もこのところ小学校に随分入らせていただいているんですが、さまざま各学校で工夫をされながらこういった対処をされているというのを見ております。その点では今回の附帯決議の中に出た意見というのは非常に重要だというふうには考えているところでございます。

 あわせて、通級指導教室などが増えている。東京などもかなり増やしたんですが、全国的にそういったような考え方というのがとられつつあります。このあたりについての教員の配置についても検討していく必要があるのでないかと思っております。

 2点目は、特別支援学校に関係することなんですが、今回の資料5-3の5ページのところで、公立の小中学校の生徒の推移の中で、特別支援学級と学校の人数というか、児童生徒数がほとんど、通常の学校のお子さんが減っていく中では変わっていない。おそらく知的障害や肢体不自由が主にここを占めるんだろうと思いますが、おそらく特別支援学校の教員のノウハウを、通常の学校の先生方にぜひ理解してもらうという仕組みがどうしても必要になってくる。これは学校教育法の74条にかかわる問題でございますけれども、そういったようなことを考えると、特別支援学校のコーディネーターの整備の必要性ですが、ここが今のところ、ごくまだ配置は小規模にとどまっている。このあたりのところの整備もしていく必要がある。日本の小学校、中学校の教員の質を高めていくためにも、その点の配慮というのが必要になってくるのではないかなと。ぜひ今回の中で少し検討していただくとありがたいことだと思っております。

 以上2点です。ありがとうございました。

【木村主査】  ありがとうございました。じゃあ、兵馬さん、どうぞ。

【兵馬委員】  私は、今、宮﨑先生がお話しされた特別支援学校の校長という立場でこの会に参加させていただいています。従来ですと、なかなか特別支援学校の校長の代表がこういう会議に招かれることが少なかったんですが、インクルーシブな教育を、国でも考えている中でお招きいただいているのかなと思って、ありがたく思っています。

 それでは、今、お配りされている資料の中で、この資料5-1の3ページと、それから、この提言の黄色の86ページ、これを比較しますと、学級編制の改善の経緯、これが第5次で40人になった。では、特別支援学校のほうはどうかというと、ここで10人規模から7人というふうに変わってきているんですが、その後は6人に減って、今回の中では35人ということがあります。ですので、特別支援学校も同様にお子さんの多様化、障害の多様化ということもありますので、定数の改善をやはり推し進めていただけるとありがたいなと思っています。

 また、会議の中で、別のところで細かい話をできるのかもしれないですけれども、少し各論の話もさせていただくと、特別支援学校、従前は盲学校、聾学校、それから、養護学校という区分でしたけれども、特別支援教育が平成19年から始まる中で総合的な特別支援学校ができてきています。ということは、今までの障害種別の学校がくっついて一つになっている。ですが、子どもの実情は変わらないわけですから、従前であれば、盲学校の学級、聾学校の学級、もしくは知的障害の学級の3つがあっていいのが一つになって、子どもの人数で割ると1学級になってしまうということで、1人の教員が対応するお子さんの実情が違いますので、非常にその辺が職員が少なくなったなという感じを持っています。

 それから、一方、小中学校ではなかなかあり得ないことなんですが、学級数40学級、50学級、60学級という大きな学校があります。何でこんなになるのかといいますと、1学級の子どもの人数が6人ですから、7人になれば2学級になるということで、40人になれば2クラスになるという規模ではなく、特別支援学校は小さい規模で学級数が増えるということで、教員の動きも非常に激しくなります。ですので、いろんなところで臨採の先生を雇っていかないといけない。また、東京都も新規採用の教員で特別支援教育の採用枠では充足できないということで、他校種、高等学校、中学校、小学校の試験を受けて受かった方が教員になるということで、数は満たされても質の問題がやはり課題になろうかと思います。

 それから、あわせて、一つの学校に校長が1人、それから、養護教諭もおおむね1人、ただ、学級数が多くなると2人ということになりますが、今言った40、50、60学級で養護教諭がもし2名となると、一般の小学校、単学級の6学年のところにも養護教諭が1人いると。その数で割り返すと相当の子どもの数、学級数を一定の養護教諭で見るといったことで、その上限がない──上限がないというか、あるところから表がとまってしまって、あとはその他ということになりますので、学級の一人一人の数だけではなくて、1校配置の職員というものもどう見るか考えていただきたい。

 それから、今言った障害種の多い学校ができますと、副校長の配置もある程度都道府県によっては工夫をしているんですけれども、やはり複数配置がないと、なかなかその職員の管理といいますかね、これも非常に大変なことになりまして、今、人事考課制度というものが実現されますと、一人一人の職員から面接をするという、私もするんですが、70人の職員を校長が一人で面接すると。小学校ですと20人ぐらいの先生ですので、校長先生もその範囲で対応できるんですが、やはりマネジメントからも副校長の配置も2人いただいていますけれども、もう一歩考えることがあるのかなと思います。

 それから、先ほど宮﨑先生もおっしゃったように、仮にそのインクルーシブな教育を一般の小中学校でも実現するとなると、ますます特別支援学校のセンター的機能、これが充実していかないと、すぐに子どもたちを小中学校に入れるだけでは、非常にそのダンピングですかね、教育の内容の低下ということも予測されますので、特別支援学校は子どもがいなくなったので、じゃあ、教員を減らしていいかということになると、それは非常に課題があるのかなと思っております。

 以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【生田オブザーバー】  京都市といたしまして、門川市長が教育長時代から、いろいろな場で教職員の定数の改善をお願いし、また、独自にも少人数学級をやってきた立場としては、今回この法改正で、一歩も二歩も踏み込んでいただいたことは、ほんとうにうれしく思っております。

 その中で、1点は、まずは、今後の進展、小学校2年生であり、あるいは中学校、単年度の予算編成にかかわってということではなしに、計画的、継続的に展望をもって進捗していく。そのことが展望できるような形でお願いできたらということです。

 それと、基礎定数、加配定数との関係でいいますと、生徒指導加配であり、先ほどの特別支援であり、あるいはまた京都市では、小学校高学年の教科担任制、スクールサポーターを独自に配置しています。基礎的な定数はもちろんですけれども、そうした教育課題に対応した部分の充実、支えられる定数改善も重要になってまいります。今年度の措置ということで、加配定数の活用の中で基礎定数、純増が300人にとどまっています。最大限の措置であったというのは十分理解するところなんですけれども、定数総枠の拡大、純増の部分の拡大につながることが現場の教員、あるいは学校にとっては非常に重要かと。ただ、それらを現状の枠組みの中で前提の上で考えるのか。あるいはまた新たな配分の算定の仕方をどうしていくのかと。そういった議論し今後、知恵を出し合うことが必要になってこようかと思いますし、新たな考え方等もお聞かせいただければと思っております。

【木村主査】  ありがとうございました。じゃあ、小川先生。

【小川副主査】  では、皆さんがお話しされた内容とあまり重複しないところで。1つは、この検討会議に求められるのは、35人以下の学級推進のために、その教育効果をどう検証していくかというふうなことにあるかと思います。ただ、なかなか少人数学級がどういうふうな教育効果をもたらしているのかといった実証的な検証は、それ自体大変ですけれども、国立教育政策研究所等を中心に、最近、一定の検証の作業が着実に進んできていますが、35人学級とか、少人数をやったらこういう効果があったということだけを指摘するだけでは、次のステップを踏むときにはなかなかもう一つ説得力に欠けるところがあります。少人数学級をした場合に学力の面でも、生活態度や社会性の育成という点でも効果があったとした場合に、なぜそうした教育効果が上がったのかということの因果関係をある程度説明し切れるようにできないかなと。ちょっと難しいのですけれども、これはもう国立教育政策研究所に少し頑張ってもらうというようなことで、いろいろ工夫してやっていただければなと思います。

 それと、もう一つ、今、京都の生田さんはじめ、何人かの委員からも出されていたんですけれども、これまでの加配の手法等はこのままでいいのかなという話がありましたけれども、私も、国会の審議なんかを聞いていて、新しい時代にふさわしい加配の在り方ということをもう一回検討する必要があるのかなというようなことを感じています。例えば、最近、学力向上の取り組みの中で、最近の学力低下論争の議論の中で一つ明確になってきたのは、日本の子どもの学力低下の原因は、学力の二極分解であって、底辺層の子どもが非常に増えて、なおかつそれが固定しているというふうなことが非常に明確になってきていますよね。

 そういう状況の中で、最近、市町村のいろいろな取り組みを見ていますけれども、新しい政策の目というか、新しい取り組みの目として、そういう底辺層の子どもたちに明確にターゲットを絞り込んださまざまな学習支援策というのを、市町村が独自財源を使って取り組み始めているんです。日常の授業等々では、少人数とか、習熟度等々でそれはカバーしていますけれども、それでもカバーし切れない部分がありますので、そういう子どもたちについては、放課後補習教室とか、土曜日、月に2回ぐらい、こういう子どもを集めて土曜補習教室をやったり、さらには、夏休み、冬休みの長期休業期間に、大体1週間から10日ぐらいそういう子どもを集めて補習等々の授業をやる。特に、中学校3年生については、自治体主催で高校受験のための補習等、そういう底辺層の子どもとか、生活保護世帯、就学援助等々を受けている子どもたちを集めてやっているところが、今、徐々に広がっています。

 自治体が独自で数億円単位でそうした底辺層の子どもとか、経済困窮家庭の子どもにターゲットを絞った取り組みというのをやっていますので、例えば、そういうところへの加配とかなんかというのを思いきって考えてみるとかいうこともあるんじゃないかなと思っています。確かに今の加配の指導方法工夫改善や児童生徒支援の加配ではそういう教育困難校への重点的な加配とか、現在でも配慮されているんですけれども、さらに今の自治体の取り組みの重点的な動きを見ると、思い切って、就学援助受給率が20~25%の地域や学校には思い切ってそうした児童生徒への学習支援に特化した、或いは関係する加配を増やすとか、私もちょっとまだ具体案を詰めている訳ではないのですが、そういうふうな今の自治体のいろんな取り組みとか、ニーズも大分変わってきていますので、そういうことも含めて少し加配の在り方を、もう一度再検討してみることも必要なのかなということを少し感じています。

 さらに、加配の配り方等々ですけれども、これもこれまでいろいろなところで議論されてきていますけれども、目的を限定してきちっとその目的に沿った加配を配るということも非常に効果があるし、意味がありますけれども、もう一方では、そういう目的限定の加配ではなくて、少し一括して市町村に加配し、市町村のニーズに応じてもう少し弾力的に加配を活用できるようにすることもあったよいのではないかと思います。目的限定でやるか、一括でやって市町村に自由に活用してもらうか、それぞれ一長一短ありますけれども、そのことについても市町村への権限移譲の課題とも絡めながら、もう一回その辺の加配の効率的な運用の仕方ということを検討されてもいいのかなということは少し感じています。

 最初は、とりあえず、これ位で。

【木村主査】  ありがとうございました。

 一通りご意見を伺いましたが、私は、もともと大学人で、エンジニアの研究をしていましたから、初中の専門家ではないんですけれども、この間の教員数増の議論を見て、それから、附帯条件がついたことなど考えると、ややもすると、クラスサイズを小さくすればいいじゃないかという議論に終わっちゃう可能性が非常にあるんですね。おそらくそれでは日本の経済状態を考えてみると、とてもそれは世の中を説得できないだろうと。

 それで、私、英国、それから、フィンランド、シンガポールと幾つかの学校を見て回ったんですが、例えばこの資料5-3の国際比較がありますけれども、英国は日本とほとんど同じなんですね、教員一人当たりの児童生徒数は。で、その英国でクラスサイズ云々という議論はほとんど聞いたことがないんですね。どういうことかというと、むしろいかに効率的に教えるかということのほうがはるかに大事だと彼らは受け取っているようで、私が、ロンドンにサザークという最貧地帯があるんですけれども、ここに英国国教会の学校であって、500年の歴史を持っているんです。昔は名門校だったんですが、時代の波についていけなくてがったがたになっちゃったんですね。もちろんその経済的に周りの環境も悪いということもあるんですけれども。そこへ43歳で若い校長が手を挙げて、女性の校長です。赴任してわずか6年でこの学校をOFSTED、OFSTEDって、教育査察のオフィスですね。そこからもう英国でも有数の公立学校だというお墨つきをもらうまでになったんです。

 どうしてそうなったかというと、決して先生の数は増やしてないんですね。まず、その彼女がやったのは、先生方の個性をまず見抜くということ、どういう仕事をやらせたら一番フィットするかということを一生懸命2年ぐらい考えた。それができてから、じゃあ、この学校の子どもたちにどういう教え方をすれば一番生徒たちが吸収してくれるかということをやっぱり二、三年考えたと。そういうことで全体のプログラムを組んで、それで、やっていったところ、非常にうまくいったという驚くべき効果を上げているんですね。で、先生の数は多少は増えましたけれども、それほど増えてない。英国というのはある意味では残酷なところで、450人しか生徒がいなかったんですが、うまくいくからというんで、その学校、非常にいい学校になったからというんで、スクールディストリクトを増やしたんですね。で、750人、450人から750人まで増やしたんですけれども、依然としていい学校に変わりない。ですから、ただ単にクラスサイズだけの問題ではなくて、教える側の問題、教える側の取り組み方の問題ですね。それがやっぱり非常に大きいんじゃないかということをその学校を見て痛感しました。

 それから、これは日本ではなかなかできにくいんでしょうけども、英国の場合には、校長が非常に大きな権限を持っていますから、アライアンスを組む。つまり、近くの学校と連携して、先生方を、ある科目について非常に得意な先生がいたら、それを連れてきて教えてもらうと。こういうことすらやっているんですね。一つそれができるのは何でかということをちょっと考えてみたんですけれども、この国際比較で見ると、教員一人当たりの児童生徒数は日本とイギリスでは変わりませんけれども、何が変わるかというと、アシスタント、つまり、事務局の、事務の人の数が全然違うんですね。一つの学校、小中レベルの学校に7人、8人いるわけです。先生方が、いわゆる雑用といいますかね、雑用と言っちゃいけないんですけれども、そういうことに時間をとられる頻度が非常に少ないということで、教育に専念できると、そういうことがあるんですね。しかも、そのアシスタントの人たち、非常に優秀な人たちが多いものですから、任しておけば何でもできるという。この辺の違いがあるんですけれども、申し上げたいのは、ともすると、小さければいいだろうという議論ですね、これはよほど気をつけないと、足元をすくわれてしまうというふうな気がします。

 それから、シンガポールが、シンガポールはいろいろ特殊な裏の事情があって申し上げにくいんですけれども、シンガポールがIATでしたっけ、あれで非常にいい成績を上げているのは、徹底した習熟度別学習を導入したんですね。で、教育大臣の言うことと、ほんとうかどうかわかりませんけど、それで子どもたちが非常にハッピーになったと。それでおくれている子どもたちも勉強するようになったからこうなったんだという表現していますけど、そういう一つのやり方もあるのかなと。日本でも徐々に始まっていますけど、いろんな側面があって、今、小川先生、まとめていただきましたように、さまざまな側面からやっぱり議論する必要があろうかなというふうなことをいつも感じております。

 それから、フィンランドについては、申し上げるまでもなく、フィンランドは希望すればみんな若者は大学へ入れるんですけれども、唯一非常に競争率が激しいのは小学校の先生になるコースですね。これは大体5倍から6倍という競争率、これを突破しないと入れない。優秀な若者が来て、しかも、徹底的にもう入ったときから、いかに教えるか、いかに効率的に教えたらいいか、子どもたちの特質をつかむかというようなことを徹底的にやっていますから。人口530万の国だからできるんだろうという見方もありますけども、やっぱり見習うべき点はあるのかなと思います。

 さて、それで、まだ時間もありますので、どうぞ第2ラウンド目、ご意見、どうぞ、小澤さん。

【小澤委員】  全国連合小学校長会に関係しているものですから、各県の代表の校長にいろんな話を聞きます。国の加配もありますけれども、県単、都単の加配もあるわけですね。これは国の加配に足りない部分、それから、各県との状況に応じて加配の状況がそこにあらわれていると思っています。これはばらばらです。その内容については、また詳細、ぜひ文科省でも把握いただきたいと思いますが、さらにばらばらのもの、校長の裁量権限、人的配置の裁量権限が、これはばらばらです。隣にいらっしゃって、きょうの資料にもありますけど、京都市の人的な対応の校長の裁量権限ばらばら、非常に全国の中ではこういうのもあるのかなというような柔軟性に富んだものだというふうに私どもは思っておりますが、例えば都道府県の加配についても、国の加配についても同様なんですけれども、一年、年度始めに決めた加配の教員の担当職務というのは1年間一緒なんですよ。子どもの状況によってはその年度の中で変わるわけですよね。そのときに柔軟に、要するに、職務内容を変えてその教員を充てること、そういう可塑性が学校現場で非常に足りないんじゃないかな、実現できないんじゃないかなと。その実現できないのは、校長はわかるんです。こういうふうにしたいって、経営理念ありますから。今の子どもの状態がこういうふうにベクトル上がってきたから、そこでこういうような人的な対応すれば、さらにベクトル上がる。あるいはこの部分がベクトル下がっているから、この部分に人的対応を移せば、この部分がさらにベクトルが上がる可能性があると。そういう何か柔軟な人的な対応ができるような校長裁量、これをぜひ今回認めていただけければと思っています。したがって、私は、3点セット、基礎定数、加配、校長裁量、この3点セットで検討する必要があるんじゃないかなと思います。

 それから、2点目です。子どもと向き合う時間の確保、これは文科省が調査したことで、もうご案内のとおりでございますけれども、昭和41年から平成18年比較して残業時間が5倍です。こういう職場の実態というのは、この我が国のほかの事例であるんでしょうか。しかも、小学校の場合、女子教員、しかも、都道府県によっては新規採用教員が毎年2,000名以上採用する。今後、女子教員はどういう状態になるかというと、いわゆる妊娠、育児休暇、こういう状況になってくるわけですよね。そういう状態の中で、残業時間が5倍もこれだけの年数の間で増えた状態をこのまま放置するということ自体は非常に問題があるんじゃないかと私、思っています。ぜひ全体の総量の人的配置を増やしていただきながら、そして、その中の人的配置を、可塑性が富むような人的配置、今までの一つの枠に決まった人的な配置じゃなくて、できるような中で一人当たりの残業時間の減少も、そして、子ども一人一人の指導の、要するに、重点的な指導の体制をつくり上げるということですね。そういうことについても、ぜひしていきたいなと、取り組んでいただければというふうな思いがあります。

 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに。どうぞ、井上さん。

【井上委員】  私も今の意見に関連して思うのですが、平成18年度の文部科学省の教員の勤務実態調査というのが、非常に現場の多忙性というのを如実にあらわしているわけでございまして、これで年間ベースでは、18年度で平日のみ考えた場合でも34時間の超過勤務実態が1月当たりあるということは、先般の中教審答申に先立つ審議においても、子どもと向き合う時間の確保というのが中教審全体のコンセンサスだったと思うわけで、そういうのを、実際に勤務実態が非常に多忙であると、子ども一人一人と向き合う時間が事実上とれないという現場からの意見もあったと思うわけでございます。そういう意味から、教職員の定数の改善というのは、いずれにしても、これを進めなければいけないというのは、教育界としてはコンセンサスを得たものだったと思うわけでございます。

 そういう意味で、先ほど加配の話がございましたが、加配の話は指導方法の工夫とか、そちらのプラスアルファのところで、学習指導と、それから、生活指導を実際に行うのは学級でございますので、そういう意味で、今回はどうしても学級規模を40人から35人に小1から下げていただくというのが、現場の実態から言っても、国民のご理解をいただく上でもやはり必要なことだということから、定数改善について文部科学省でご決断をいただいたと思っているわけでございます。

 したがって、それによって勤務実態が、少しでもこの教員の多忙性を減らすことができればよろしいのですが、それには学校現場のいろいろな業務の整理縮小というのが、これが絶対必要でございまして、そこのところを現場の実態を踏まえた調査研究会を設けて、学校現場の業務の整理縮小をぜひ進めていただきたいと私は思ってるわけでございます。

 学校は今、ある意味では、少子化が進んで、今の女性の特殊出生率が1.36ぐらいで少子化が進んできたというのも、非常にそれは夫婦共働き、男女共同参画型社会で両親が社会参加しているということから、子どもに対する生活指導等もどうしても不足しているという実態が出てきたために、学校のいろいろな業務を見ると、生徒指導に関する生活上の課題というのが多くなってきているわけでございますが、それはやはり子どもの教育を学校、家庭、地域社会でそれぞれ連携して対応するとか、そういうようなことも必要ではないか。そうしないと、教員数を増やしても、教員の勤務実態が変わらないのではないかと思いますので、その辺をぜひ勤務実態の見直しをすることによって、教員がほんとうに子どもと向き合う時間がとれるような実態にしていただくことをお願いしておきたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。どうぞ、土居先生。

【土居委員】  先ほどの木村主査のお話は非常に私としても感銘を受けまして、まさに教育の質、効率化というところは非常に重要だと思います。それで、既にご指摘がありましたように、もう文科省の教員勤務実態調査、私も、これまでにも何度も関係しておりますけれども、特に今回の教職員の配置の関係で、仮に35人学級を小学校2年生、ないしは中学に広げるということになったときに、どれほど教員の職務の負担が減るのかというところをある程度客観的に示していただかないといけないのかなと。

 私も、義務教育ではありませんが、大学で40人のゼミを持っております。学生が40人おります。別に人数を合わせたわけじゃありませんが、35人に減らしたらどうなるだろうかと簡単に、とても小中学校の先生とやっている内容は違いますけれども、人数を減らしたことによって、職務の負担が減る部分もあれば、基本的に変わらないという部分も、またこれ多分にあるというところはあろうかと思います。そこはやはり虚心坦懐にどうなるのかということは、きめ細かく見ていく必要があるんじゃないか。場合によっては、先ほど木村主査もおっしゃったように、アシスタントのような方をおつけになったほうが、そこの部分の職務負担の軽減につながるということもあるかもしれないという。そういう教職員配置の工夫の余地というものがもっとあれば、その35人学級にする、ないしは30人学級にするということによって、より効果的な教育ができるというようなものになるんだという姿を示せるということはあるのかと思いますので、もし、何か今後そういうものに資するような資料があれば出していただきたいと思います。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに、どうぞ、中川さん。

【中川委員】  鈴木副大臣がよくおっしゃっております、この少人数学級については、地方からのエビデンスが必要だということはよくおっしゃっておりまして、今の土居さんのこととも関連します。ちょっと資料を配らしてもらってよろしいでしょうか。30部ほどしか持ってきておりませんので、これは、鳥取市が不登校対策に取り組んだ状況でして、もしもこの少人数学級をやめてしまったら、こういう可能性が起こるぞというような、ひょっとしたら、そういう数字になるかなと思ってあえてきょう持ってきました。よろしいでしょうか。ちょっと説明させてください。

 鳥取市は、小学校1年生、2年生を30人学級にしております。で、3年生からは40人学級でございます。それから、中学校1年生は33人学級です。2年生からは40人学級です。そういう前提で見ますと、平成22年の不登校の出現率、平成21年の不登校の出現率、これは実数でございますけれども、3年生になったときに急に増えておりますね。これは非常に大きなことではないかと思っております。それから、平成20年の2年生の4名、これは21年では、斜めの矢印しておりますけれども、3年生になるんですけれども、この4名は実はゼロになっております。ゼロになって、この6というのは、21年度3年生になって新しく増えた数字でございます。こうして見ますと、この少人数学級の効果というのはもう歴然としているんじゃないかなと思っております。それから、じゃあ、18年、19年ですけれどもね、4年生になってから増えております。この出現の時期を見てみますと、6月、7月あたりから出てきているんですね。これは小学校の3年生ぐらいまでは何とかもったけれども、4年生になってからもう耐え切れなくなったというような解釈はできないでしょうか。

 それから、中学校を見てください。中学校の1年と2年ですね。1年から2年で大体1.5倍ぐらいに不登校が増えております。2年から3年はそうは変わっておりません。まさにこの今の我々が中学校を33人学級にしていますけれども、これを2年、3年に拡大しようというふうなことを今、もくろんでおります。したがって、今、全国で35人小学校1年生がなったけども、これを2年生でストップしてしまったら、こんなふうになる可能性があるというようなエビデンスになりませんでしょうか。

 ということで持ってこさせていただきました。以上です。

【木村主査】  ありがとうございました。大変貴重なデータだと思います。それぞれの府県で同じようなデータがあったら、ぜひ今後ともお出しいただきたいと思います。殊にこういう、総称してこういう行動を生徒の問題行動というんですけれども、問題行動に関しては、明らかにクラスサイズが小さいほうが、先生方、一つの学校でいいますと、先生方が多いほうが少なくなる。これはもう東京都の例でももうはっきりしております。東京都でもこれに近いようなデータが簡単に出せると思います。

 どうぞ、土居先生。

【土居委員】  先ほどの中川委員のお話を伺ってて、非常に興味深いデータだと思います。私、先ほど申し上げた話とちょっと関連で申し上げると、純粋に教育効果という、対生徒、対児童ということでどういう効果があるかという面と、教職員ご本人の勤務実態といいますか、勤務における負担軽減なり何なりという効果、ないしはそれほど負担軽減にならないのかどうなのかというのとは多少次元が違う話であろうと思いますので、そこはなかなか不可分なものではあるんですけれども、それぞれ個別に効果を見るというのがいいのではないかというふうな、今、拝見していて思いました。

【木村主査】  これはあれですよね。生活指導の範疇ですね。学習指導の点でどうかというのはまた別の問題だと思いますので、両方要りますね。おそらく小川先生がおっしゃった学習指導のほうが一番難しい、エビデンスを出すのは難しいんじゃないですかね。

【小川副主査】  やっぱりその因果関係をどうやって説明するかというのは……。

【木村主査】  そうそう。どうやって説明するかですね。

 ほかにございませんでしょうか。どうぞ、宮﨑先生。

【宮﨑委員】  私が先ほど申し上げましたことにつきまして、舌足らずだったこと反省をしています。現在、学級を基準にして教員定数配置を考えているわけです。前回の平成17年の検討のときにあったことは、学級集団の質的な変化が起きているのではないかというご意見が多かったように記憶しています。学習集団と生活集団の一体化している日本の基本的な学級集団の構造というように言われています。前回の会議では、そうではなくなっているよという見解が随分出てきたんですね。それで、少しクラスサイズそのものの検討をこの視点からもしなければいけないのではないかという話があったものですから、そのことのトーンで申し上げたわけです。一番基本になっているのは、学級を根拠にして教員配置をしたときの問題、今、出ている生活指導と学習指導の両方にかかわる学級機能ということなんですけど、ここをうまくあんばいした教員配置をしていかなければいけないというのが言いたかったことなんです。

 そういった点では、自由にフレキシブルに動ける学年の集団指導体制といったことを考えてもいいのではないか。例えば今、クラスを根拠にして教員配置していることをもう少し幅広に考えて、学年に、例えば遊軍になるような教員を1名配置するなどして、学びの弱い子に対応するような仕組みをつくれば随分違うと思います。例えば単学級の場合には単学級のクラス何人とかというような、その積算の根拠を少し検討する必要があるのではないかと。

 そこをしていって、小川先生おっしゃったような、確かに教育効果の検証、特に学習効果の検証ってなかなか難しいところなので、ここはもう一度整理をする必要があるんですけど、私も一番心配しているのが、学力の二極分解化、特に底辺層が拡大をしているところをどうするか。つまり、子どもが学習についていけなくなった時にサポートに入る教員をどんなふうに確保していくかという仕組みをつくっていかなければいけないんじゃないか。そういう点では、木村先生おっしゃったように、フィンランドあたりはリメディアル教育というのが徹底していて、学習に遅れが生じた時にサポートに入る教員がいるわけですよね。そのあたりの仕組みというのをどうつくっていくかというのは、日本の小学校の学力向上の基本になるようなことなので、そのことは貞広先生がおっしゃったようなことと関係するのかなと思いながら、私は話を聞いていたんです。教員定数配置の仕組みの中で、こうした点の検討もあわせていくしていく必要があるのではないか。ちょっとくどくなりましたけど、そんな思いでおりました。

【木村主査】  ありがとうございました。生田さん。

【生田オブザーバー】  先ほどもお話がございましたけども、新しい学校の姿をえがき、そのためにどういう教員体制、またそれを支援する体制をつくるんのか。あるべき姿と先ほどおっしゃいましたけども、今まではともすれば、現実の教員定数の配置があって、それを補うために教育内容の加配があり、さらに周辺をサポートするためにいろいろな手だてがあった。それを基本的には見直すといいますか、プロパーな教育活動、あるいは教育内容にかかわるものの配分の基礎定数をどうするのか。それと同時に、先ほどから出ましたスクールカウンセラーであるとか、スクールソーシャルワーカーであるとか、また、特別支援、あるいはまた理科支援も削減にはなりましたけれども、学校現場ではほんとうに非常にありがたがられている。また、コミュニティースクールに関連しては1名の加配をいただいている。そういうことが非常に学校にとってのプラスになっています。そういうのを見たときに、学校としてどう動くのかというプロパーな教育内容にかかわる部分の定数の積算、配当の仕方とともに、それをきちっと支えていく周辺部分を含め、全体像を描いた上でその配分の仕方を考えていく。結果としては、そう変わらないかもしれませんが、そういうことも必要じゃないかと考えます。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかに、どうぞ。

【久保田委員】  中学校も小学校と同様に、やはり学級がベースになって教育活動が現在行われているんですね。そういう生徒との関係においては、ますます一人一人を丁寧に見ていかなきゃいけない状況が増えてきているということで、例えば朝の読書、あるいは朝の学習の時間から始まって、給食指導、あるいは帰りの学活、もうずうっとつきっきりで教員は中学校も見ているという状況なんですね。体験的に言うと、やはり39人の学級よりも34人の学級、ちょうど区切り目でいろいろその年によって違いますけれども、明らかに違うということで、基礎定数の35人以下というのはかなりインパクトがあるんじゃないかなと。加配というバランスも大切だけれども、35人以下の学級をベースにということを中3まで広げていくということがまずあってということを、やっぱり中学校の現場としてはしみじみ思っているところであります。

【木村主査】  どうぞ、井上さん。

【井上委員】  今回の定数改善というのが30年ぶりに40人から35人に小1からスタートしているわけで、これをいかに学年進行でそれを実現していくかというのが、当面の課題だと思っているわけでございます。そこで、先ほどの勤務実態の上からいうと、35人にしても、果たして勤務実態から、子ども一人一人に向き合うようなきめ細かい対応ができるような状況になるかどうかというのは、これは必ずしも明確ではないわけですが、それを補充するものとして、学習指導の上では、第6次からチームティーチングとか、あるいは学習集団を小さくするような少人数教育、習熟度別の少人数教育を行うとか、そういうことでかなり学習の効果というのは、私は上がってきたのではないかと思うわけでございます。

 というのは、先ほどの各県の教員配置の状況を見ても、秋田県とか、山形県などでもそういう取り組みをすることによって、学力の向上が見られるというような報告も先ほど資料で拝見しているわけでございまして、そういう意味で、学級規模、クラスサイズを下げるというのも、生活指導の面まで含めて効果はあると思うのですが、学習効果を上げる上では、やはり一斉授業というのはかなり一人一人の子どもたちの能力にも差があるわけで、そういう点で、先ほど二極化で非常に学力がつかない層があると小川委員もおっしゃいましたが、そういうものに対しては、チームティーチングなどが対応していけば、かなりそれば取り返しがつくようなこともできるのではないかと思っているわけでございまして、そういう意味で、学習指導は今後もそういうチームティーチングや習熟度別の少人数教育とか、あるいは場合によって学習集団スケールを小さくするような少人数教育の推進、そういうことで子どもたちに学習上行き届いた教育ができるようなあり方というのは、加配によってしかできないのではないかと思いますので、加配についてもやはり今後継続して配置をすべきであると思っているわけでございます。

 まあ、地域によってかなり違うという小川委員の指摘もあって、確かに市町村段階で違いが出てくるかもしれませんが、そういうのは、やはり市町村の教育委員会段階で十分実情を踏まえた教員配置も今は可能になっていると思うので、そういう点に配慮すればと思っております。

【木村主査】  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。小川先生、何か補足、よろしゅうございますか。大体ご意見、本日の自由討議でご意見が出尽くしたように思いますが、一応この会議の予定時間は5時半までとなっていますが、事務局から議論がもう尽きたら5時で終わってもいいと。あっ、どうぞ。

【中川委員】  今後の持ち方なんですけれどもね、あれですか。毎年毎年これをするんですか。確かに財政状況を考えながらというような附帯事項がついてましてね、今年やらなきゃいけないという状況はわかるんですけれども、何か見通した計画というのを今年度中につくってしまって、毎年毎年これはエネルギー使いますね。何か何とかならないかなというような気がするんですけれども。

【木村主査】  その点については、この後、事務局から今後の予定について説明がありますので、気のもめるところでありますけれども、それでは、ご意見、ほぼ出尽くしたようでありますので、議論については以上としたいと思います。

 先ほどちょっとフィンランドの例、私も出しましたし、ほかの委員からも出ましたけれども、フィンランドは、徹底したその、何というんでしょうね、学力の平均化を目指しているんですね。10年前に習熟度別学習クラスの編制をやめているんですね。国の歴史からエリートはつくらないという徹底した方針がありますから、それでもいいんですけれども、やはりフィンランドの識者に聞くと、将来はそう明るくないと。確かに底上げはできたと。だけど、エリートが全然出てないということについては、相当心配している向きもありますね。ですから、教育というのはほんとう難しいなと思います。

 それから、おもしろいのは、フィンランドは日本を非常に意識しておりましてね、ヘルシンキから200キロぐらい北に行ったところにユバスキュラって、非常に優秀な教員養成の大学があるんですけれども、ここにはPISAの研究所というのがあって、日本との対比データをふんだんにつくっていますね。ですから、やっぱり日本の教育を相当意識しているということで、ある意味では愉快な気持ちになって帰ってきましたけども、相当意識していますね。日本は成績の高いところは高いんですね、非常にね。そういう学校、多くないんですけど、ところが、フィンランドは大体同じような横並びの学校になっているということで、そういう点で有識者は心配しているというところもあるようです。

 それじゃあ、伯井さん、今後の予定等も今、議題に出ましたので、よろしくお願いします。

【伯井課長】  今後の会議の進め方でございますが、先ほど中川先生からご指摘いただいた点につきましては、検討事項にも小2から中3までの学級編制の標準をどのように改善していくかということも含めた今後に向けての計画的・安定的な教職員定数の適正化の在り方というのをまさにこの会議でご議論いただいて、それを、その結果を踏まえて我々としては全力で努力していくということで、とりあえずはそういう形で進めていきたいということでございます。

 当面の今後の進め方といたしまして、資料3をご覧いただきたいと思います。今日もさまざまな各自治体の取り組みのお話も披露していただきました。また、今回委員にも各自治体の方にも入っていただいておりますが、例えば今後の検討の参考とするために、地方における少人数学級や柔軟な学級編制の取り組み、その中で校長や教育委員会にいかに裁量権限を与えているかといった取り組みとか、そういう、いわば先進的な取り組みを行っている自治体からのヒアリングであるとか、また、さまざまな分析、検証というようなご議論もございましたけれども、少人数学級、あるいは少人数指導等の意義や効果について、研究機関、あるいは学識経験者などからヒアリングをとりあえず6月下旬から7月上旬にかけて行いまして、そして、そうしたものに参考にしながら、この会議の議論、検討事項をさらに煮詰めていくことができればなと思っております。したがいまして、今後は、そういったヒアリングを実施したいというのが提案でございます。

 さらに、教育関係のさまざまな団体、これまでも、資料6にもございますように、折を見てご意見を賜りながら、それを参考に議論に反映して施策に生かしてきたわけでございますけれども、それについて文書で意見照会を教育関係団体に対して、地方団体も含めて文書で意見照会をして、その結果を事務局で取りまとめてこの会議に報告をさせていただいて、検討会議の議論に資すると。そういう扱いで進めていきたいと考えておりますので、どうかよろしくご議論いただきたい思います。

 以上でございます。

【木村主査】  ありがとうございました。従来は、ただいまも伯井課長のほうからご説明ありましたが、教育団体、そういうところからのヒアリングがほとんどだったんですが、もう今回はそれは書面でご意見を伺うということにして、先ほど鳥取県からデータが出ましたけれども、そういうグッドプラクティスをやっておられるようなところを中心にヒアリングをしたいと思っております。

 それで、どういうところからヒアリングするかということに関しては、まだ調査の必要がありますので、事務局と私、それから、小川先生にご一任いただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【木村主査】  それでは、そのたびにお諮りいたしますけれども、そういうことで取り進めさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、次回の検討会の日程等について、伯井課長、よろしくお願いいたします。

【伯井課長】  次回の本会議の日程でございますが、それぞれ先生方お忙しいところでございますが、6月下旬ごろを予定しております。できるだけ座長、副座長と日程の調整を図りまして、近々にご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【木村主査】  ということで、6月下旬になる予定でございます。よろしくお願いいたします。

 本日はどうもありがとうございました。また、次回以降、よろしくお願いいたします。

―― 了 ――

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