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キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成23年5月19日(木曜日)15時30分~18時30分

2.場所

中央合同庁舎7号館西館9階903号室

3.出席者

委員

鹿嶋委員、渡辺委員、生重委員、岩田委員、江川委員、清川委員、下村委員、竹花委員、西山委員、野上委員、廣田委員、星野委員

文部科学省

山中初等中等教育局長、德久大臣官房審議官、白間児童生徒課長、春山児童生徒課課長補佐、藤田生徒指導調査官、堀江指導調査係長、酒井指導調査係専門職

オブザーバー

厚生労働省 浅野室長、経済産業省 林企画官、文部科学省 山下生涯学習企画官

4.議事要旨

(座長の御発言-□ 委員の御発言-○ 事務局(オブザーバー・発表者)の発言-●)

(1)  キャリア教育に関する厚生労働省についての施策説明

  • 資料1をもとにオブザーバーである厚生労働省・浅野室長と発表者として御参加の株式会社インテリジェンス柳沢氏から、キャリア教育に関する厚生労働省についての施策説明について発表がなされた。

質疑応答の概要は以下の通り。

□この教材を使って講習をされたのか。
●しかり。

□この教材の作成はどこが責任を持って作成したのか。
●インテリジェンスに委託をしたが、厚生労働省もシステムを管理し、有識者、大学教授にもオブザーバーになってもらい、様々な専門家の意見を入れて作成した。

□文部科学省児童生徒課にも照会された上で作成されたのか。
●文部科学省ともやりとりをしながら作成した。テキスト準備委員会に参画した方の詳細は、テキストの最後のページに掲載されている。

○二つ質問がある。一つはこの事業の成果について。講習の参加者から非常に肯定的な評価があったと伺ったが、その評価の一番大きな理由は、グループワークを通して教員が他の分野の人と接したということが一番大きかったということか。
●そのように聞いている。

○良いこととは思うが、実際に教師が学校でキャリア教育をどのように進めたらいいかについての知識は、どの程度獲得できたかということは把握しているか。
●1日の短い講習だったので、すべての内容を網羅的に講習するというのは難しかったが、講習の内容も工夫して設計しており、また多くの資料を情報提供しているので、参考になったのでは、と考えている。実際に学校の先生方にどこまで知識が身についたかという点は、アンケートでは検証はしていない。あくまでも参加してどうだったかという感想のアンケートとなっている。

○もう一つ。テキストの20ページだが、自己理解のツールの中にGATBやVRTが掲載されているが、これは適切である。VPIが掲載されているが、これは大学生向けのもの。またYGやクレペリン、東大式エコグラムは、どのようにキャリア教育に使うのか。
●このツールを掲載している理由は、自己理解のツールとして活用できるもののリストということで掲載している。講習の中では、それぞれのテストについて詳細な説明はできていない。

○本事業は高校向けの実践。そのテキストの中に大学生向けの検査が掲載されているという点について、しっかりと検討していただきたい。また性格検査を、どのようにキャリア教育に活用するのか。自己理解には非常に大きな問題を含んでおり、再度しっかりと検証していただきたい。高校生向けという意味をもう一度考えてもらいたい。
●この事業自体、まずはテキストを作り、それからカリキュラムを作っており、試行的に実施をしているところ。その意味では、実施した結果をもとにテキストなども改善し、ホームページにも掲載し、今後利用できるようにしていくことを考えている。

○資料1の3ページにアンケート結果があるが、参加者同士、講習終了後に29%は「交流があった」、71%は「交流がなかった」と回答している。また2ページのアンケート結果から、全体の感想として、「大変よかった」と「よかった」をあわせると92%になる。「交流がなかった」の理由は追及しているか。
●アンケートをとった時期が、講習が終わってから1か月から2か月。その期間内で、「交流がなかった」ということだと考えている。検証はできていない。

○委託者のニーズは満足度調査ではなく、なぜ「交流が進まないのか」という点。次回以降の課題をやはり受託者は求めないと、「交流が進まなかった」という事実だけで終わってしまう。もし今後やるのであれば、「交流がなかった」という理由が、「学校へ持ち帰ったが同僚とか組織が全然聞く耳を持たなかった」のか、何だったのか。「熱心な先生がいらっしゃって、どのようにやったのか」が分かれば、次の仕組みや取り組み方ができてくる。だから、アンケートは満足度調査ではなく、むしろ進捗のために何が必要かという点が重要。次回以降の調査に反映していただければ有り難い。
●了解した。

□この事業は、全国41都道府県で48回開催して、受講人数が1,557人の実績。単純計算では、会場30名程度とのことか。
●当初の計画では20名の定員だったが、希望者が多いということで、定員50名に増やした。

□講師の方は、共通の方がされたかのか、それとも会場ごとに違う方がされたのか。
●同日に開催するケースもあり、この講習では7名の講師に協力いただいた。エリアごとに講師を立てて実施した。

□その講師の方は、テキストについての活用の仕方などを共有する機会があったのか。
●事前に講師への説明会、研修会を行った。またマニュアルも作成した。

 

(2)  全国高等学校長協会 平成22年度教育課題研究協議会<基調報告>からキャリア教育に関連する内容について御発表

  • 資料2をもとに星野委員から、全国高等学校校長協会 平成22年度教育課題研究協議会<基調報告>からキャリア教育に関連する内容について発表がなされた。

質疑応答の概要は以下の通り。

○弊社は高卒の採用がないので、大卒の採用経験しかないが、質問は10ページから記載のある授業改善について。「検定試験へのチャレンジを通じて教育のレベルを高めたい」と考えている校長先生が42%、また特に専門学科とか進路多様校だと、その傾向が強いという説明があった。ただ、大卒を採用するときに、企業はTOEICなどの英語能力は見ているが、それ以外の資格は一切見ていない。

 高卒で生徒が就職するとき、あるいは高卒で資格を取って、大学の教育を受けて就職する場合、いずれの場合も、学校教育側から見て、検定試験や資格取得が有効に見えるのか、また有効だとすると、例えばどんな資格が有効だと感じているか、このあたりをちょっと教えていただきたい。

○専門学科、商業や工業やその分野にかかわる更に細かい学科もあるが、そこに必要な資格取得については非常に積極的に行われている。しかしながら普通科、特に進学校については、それよりも大学受験の方が優先される。実際にそのような時間をとれないというのが実情。それぞれの学科で必要に応じて資格取得を目指している。また一般的に漢検、数検、英検、これらは普通課程の中でも学習の意欲づけのために行っているケースもあるが、受験校では敬遠されるという傾向がある。

○英語検定はアンケート上だと別項目立てとなっているので、各種検定の中に、英語検定は含まれていないが、語学検定以外の検定を高校生に取得させるということが、本当に就職にとって有利なのか。企業の立場から見ると、これほど重視されているということに違和感がある。

○地方では中小企業が多い。中小企業が高校の卒業生に求めるのは、高校時代に何か勉強してきたものがあるのかどうか。簿記であれば1級、2級、3級、その他にも情報処理をしっかりとこなせるのかということ。例えば、エクセルやワードというような処理ができるのかということを企業側が求めているきらいがある。

 大学生ではなく、高校生に対して、何も勉強してこなかったのか、一生懸命それにチャレンジしてきたのか。簿記1級を取得するというのは大変だが、そのようなものにチャレンジしたのかというような、技術というより、むしろチャレンジ意欲などを検証する手段として聞いていることがある。

□私も元商業高校の教員だったので事情はわかるが、専門学科で検定をやるのは学習の動機づけという意味合いが強い。決してそれが良いこととは思わないが、どちらかというと高校生で専門学科に入ってくる学生は、やむなく専門学科に来たという学生が少なからずいる。そのような生徒たちにどうやって学習意欲を持たせるかというのは、それぞれの専門学科が抱えた大きな課題。

 実際に教員もそれがストレートに就職に役立つとは必ずしも思っていないが、頑張って勉強して、例えば全国商業高等学校長協会の1級の簿記検定に合格すれば、就職も有利だということで励ましつつ、その勉強をさせる。

 それから、もう一つの動機は、例えば全国商業高等学校長協会の1級などの検定合格をしていると、商業高校から大学への推薦の基準になるということ。進学に有利だという動機づけはある。そのような理由で、昔からこれらの検定へのチャレンジは、職業に関する専門学科でかなり行われてきたと思う。

□御発表の中で、結論として、学科だとか進路状況などによって、キャリア教育に関する個々のニーズは少し違っているという点は、今後高等学校におけるキャリア教育を推進する上では、我々が考えていかなければいけない重要なポイントだと感じた。

 

(3)  最近のキャリア教育推進施策について

  • 資料3をもとに藤田生徒指導調査官から、最近のキャリア教育推進施策について発表がなされた。

 

(4)  自由討議

○今の子供たちが勉強を面白くないと感じているのではないか、という指摘があった。今の日本の子供たちに、勉強をなぜするのかということの受けとめられ方が他国と違ったところがあるのではないか。
 端的に言うと、いい成績をとって、いい大学に行くということを目標に、子供たちは勉強させられている。首都圏などの場合でいうと、小学校4、5年生から塾に行く、それはいい私立中学校に行くため。そこで落ちた子が公立中学校に行くというイメージから、今の子供たちの勉強についてのイメージはでき上がっているのではないか。

 このような現状でキャリア教育のような話を持ち込んで、一体子供たちはどう受けとめるのか。勉強のできる子は耳をかさないだろうし、勉強のできない子は勉強に対する敗北感があるので、どんなにこのキャリア教育についてこれが大事だよと言われても、勉強の意欲は起こってこないのではないか。何かそこで欠けているもの、欠けているメッセージがあるのではないか。

●個人的な見解も含めてお話しする。いい大学に行くことが価値化されていたということは、日本の社会の中では長年続いてきた。また、現在においても、大企業を中心として、大学を卒業していることが前提であったりする。

 また、企業が求める能力は、専門性の高い能力ではなく、どこででも活用できるような能力であり、いろいろな配置替えなども前提とした中での能力。そういった中でいい大学に行きたいという意欲、思いが完全になくなっていない状況であることは事実。

 ただ、その一方で、かつての強固な学校歴・学歴社会は一部揺らいでいることも事実。その揺らぎの中で、様々なニッチも生じ、そのニッチの中で新たな分野を見いだして活動されている方もたくさんいる。そういった、いわゆる凝り固まった、学歴・学校歴社会と、更に実際の揺らぎをも、ちゃんと子供たちに伝えていく、それこそが学校と地域社会の、あるいは外部人材の皆様方との連携の一つの課題であり、目標なのではないか、ということを感じている。

 つまり、子供たちがいい大学に行きたい、いい会社に行きたいということは価値として揺らいではいないが、それ以外の道もちゃんとあって、それ以外の道で生き生きと輝いて生きている方がいる。そういう現実をきちんと子供たちに伝えていくということが、大きな目標となるのではないか。

 その一つの例として、仙台で、子供たちが職場体験の中でどういった感想が一番多いか、選択肢がいろいろある中で、最も多く選ばれたのが、「勉強を頑張りたいと思った」という選択肢。つまり、大人が大人でありながら、様々な状況の中で学習を繰り返し、研さんを重ねている姿に自分たちを重ね、大人になっても頑張っている、といことを子供たちが感じ、だったら我々も頑張ろうという気づきがある。そういう気づきというのは、学校の中でどれだけ言っても伝わらないもの。

 確かに、我々が形成しているキャリア教育が十分ではないこと、それは当然としながらも、今の方策でもある程度の光は見えてくるのではないか、そのようなことを感じる。

○おっしゃるとおりと思うが、今、時代が大きく変化してきている。今までは社会に出れば、それがどんな学歴であれ、それなりの職業が見つけられて、ある意味でやさしく受け入れてくれる社会があった。しかし、今は選別される時代になった。どんな学歴であれ、選別される時代になって、役に立たない人は捨て去られ、また必要な範囲で使われるという時代になってしまったのではないか。そこに、残念ながら、親も含めた多くの大人社会がまだ気がつかずに、なお勉強しろ、勉強しろと言っているという背景が、いまだに子供たちを取り囲んでいるのではないか。今の引きこもりの若者やフリーターの若者たちのかなりの部分が、そのようなことが原因であると感じる。

 そうだとすると、もっと直接的なメッセージを大人社会が子供たちに発しなければいけない。それは親も学校も役割を担う。また、それを先生が言うのが大変だったら、だれか外部の人に言わせるというのも一つの考え方だと思う。

 そのメッセージは、世の中のためにおまえの能力を発揮してほしい、というメッセージなのではないか。そこがないと勉強ができなくなった途端に、世の中で役に立たない人間だというふうになってしまう。勉強するのは、社会で自分の力を生かすためだ、と。勉強の得意な人もいるけれども、不得手な人もいる。不得手な人は不得手な人なりに自分に合った職業を選んで、そこで社会のためにやっていく必要がある、というメッセージが必要。どこか日本の社会が子供たちに対しておき忘れているメッセージだと思う。お示しいただいた資料の中に、そのようなメッセージは記載されているか。

●中央教育審議会答申の21ページを参照してほしい。「『働くこと』とは、広くとらえれば、人が果たす多様な役割の中で、『自分の力を発揮して社会(あるいはそれを構成する個人や集団)に貢献すること』と考えることができる。それは、家庭生活の中での役割や、地域の中で市民として社会参加する役割等も含まれている。その中で、本審議会では、学校から社会・職業への移行の課題を踏まえ、特に職業生活において『仕事をすること』に焦点を当てた」としている。

 この中央教育審議会の基本方針に従って、特にその中で働くことを考えた場合、やはり他人の役に立って自分の存在価値をもう一回再認識する、そういう営みというのは、人間として基本的なことだと思うので、それを前提に置いているということは、是非御確認いただきたい。

○仕事と社会とのつながりという点ではそのとおりである。ただ僕が求めているのは、自分の勉強する目的や、勉強する目的を何に置くのかということ。いい大学のために勉強しようというのは悪いわけではない。しかし、なぜいい大学に行くのか、広く社会のためになるような仕事・役割を担っていくために、一つ有利な条件をつくるため、という発想はすごく肯定できる。自分の果たす社会的役割を高めるという観点が、勉強のために努力するという一つの目的を果たすというような、そのようなことはもう少しきちんと書いてある箇所はないか。

 少なくとも、たとえ学校の成績はよくなくても、ここまでは勉強できないと社会人として困る、というようなことの観点で記載がなされているところはあるか。

●現在、「高等学校キャリア教育の手引き」を作成している。その中で、特に意識を持って見ているのが、「現在の大学生が職業選択を先延ばしする傾向が見られる」というデータ。しかも職業あるいは将来について考える時期が遅ければ遅いほど、先延ばしの傾向が強まるという結果が出ている。ある調査では、大学1年生の36.6%が全く卒業後のことを考えていないという調査がある。そういったデータを使いながら、やはり大学で学ぶということと将来を展望することが相関関係にあり、それぞれがいい影響を及ぼすということは、「高等学校キャリア教育の手引き」の中で書き示していければと考えているところ。

○先ほど発表にあったが、進学校の校長は、専門学科の校長に比して、余りキャリア教育の必要性を感じていないという結果が出ていた。

 私もそうだが、中小企業にとって優秀な人材が欲しいというのは本音。

 ただ、実際は福井でもそうだが、進学校に通う生徒の約8割は県外の大学に進学する。県外の大学に進学した学生の8割は県外に就職する。勉強が得意な子はほとんど福井に帰ってこないという現状がある。一方で、専門学科の高等学校に通った生徒については、ほとんどが福井に就職をする。

 結果的に中小企業は、一生懸命勉強して、専門性を持った学生は採用できるが、知恵を生かしてもらう学生を採用できない。そのような中で、中小企業が社会や世界で勝負していこうと考えると、知恵を持った学生、生徒と手を動かすことにたけた学生、生徒が一体となって戦わなければならない。それが地方の中小企業だと、難しいところがある。

 それゆえ、キャリア教育は、中学、高校、特に高校の進学校で、地元の企業を知る、あるいは地元の技術力を知る、地元の地域の産業にとって世界でどういう役割を果たしているかということを知るということが非常に重要になってくると考えている。

 人口が減っていく中で、どんどん子供たちが減り、一極集中してしまうと、地方はどんどん疲弊してしまう。どんなに優秀な子供であっても、親にとってみれば跡継ぎであり、地域を支える人材。

ただ、そういう子供たちが首都圏へ行ったら帰ってこないのが現実であり、進学校こそ進学校に合ったキャリア教育を分けて考えていかないと、地域経済自体が成り立っていかないことになってしまう。

 だから、専門学科の高校に関しては、実際に体を動かして技能を習得してもらうことは重要だと思うが、進学校においてなかなかそういう時間がとれないのであれば、やはり情報や知恵、つまり地域を愛する心や地域を愛する中小企業で働いている方の情報や知恵を習得してもらう必要がある。すみ分けのような考え方があっても良いのではないかと思う。

 そういう意味で言うと、今回は「外部人材」ということだが、「外部人材」という言葉を使用すると、学校とそれ以外の人たちというイメージが残る。ただ、内容を見ていると、キャリア教育における地域人材の協働というように意識を変えていかないと、地域の経済は沈んでしまうと感じている。

○今日の藤田調査官の発表にもあったとおり、学習指導要領の理解がすごく大切だというのがあって、更に大きな枠組みの中で、学校外教育からの人材活用とか支援も視野に入れて、統合的にというような発言があったかと思う。学校だけに責任を負わせてしまって、「学校の先生がなぜできないのか」と言い続けることが大事なのではなく、学校がやらなければいけない役割と地域社会における学校の様々な機能が統合的に合わさっていくことが大変重要だと考えている。

 だから、キャリア教育は、自分が努力して生きていくという、あきらめない気持ちが「生きる力」と表現され、一人一人がその力を身につけていくことだということであれば、どこかだけがやるのではなくて、学校を支援していこうと考えている全国の人たちを、緩やかにまとめ上げ、コンソーシアムのようなものができ上がっていくのが大切であると感じている。さっき発言があったように学力というのは国を動かす学力と、村を支え活力を与える学力、学校教育においてはそこの二つがバランスよく整って、地方経済の活性化と日本の全体方向も含めて、様々な人材を生み出していく必要があると考えている。

 そのすべてに寄与できるのがキャリア教育であるならば、今、ここの議論のそ上にのぼっていない、例えば発達障害の方々のキャリア教育、様々な状況における子供たちのキャリア教育も、このような冊子で示していただきたい。また、学校外部の人材もそうだが、学校教育の中心を先生たちに置いて、そこでできる相談者やパートナーや支援者となって学校教育を支えていくことの重要性と、全般に多様な体験活動を入れていくことが重要であるということを全部意識して、すべての子供たちに向けて外部が緩やかなネットワーク化を果たしながら、それぞれにできることがもう少し明確に一覧になって示されていけばいいと感じている。

○キャリア教育における労働行政の役割について話をしてみたい。

 本会議のテーマはキャリア教育における外部人材の活用ということだが、それを議論するときには、やはり何を教える必要があるのかという議論があり、またそのことを教えるのは、だれが教えることが一番適切なのかというのがあって、それが学校の先生ではない場合もあると考える。

 私が労働行政の役割として教える必要があると感じているのは、社会や経済の仕組みということについて。

 一つは、正規雇用と非正規雇用の問題。今、20代の若者の非正規雇用が非常に増えているが、問題の本質は、本人たちも親もそれでいいと思っているということ。職業人生を非正規雇用でスタートするということがいかに問題か、ということを、しっかり教えていただきたい。時給が安いということが問題ではないと私は思っている。

 非正規雇用は何が一番問題かというと、キャリアの天井が低いこと。幾ら本人が頑張っても、キャリアが上につながっていかない、キャリアアップしないというのが問題。企業は今、中途採用も随分増やしている。多分、採用の二、三割は中途採用で、残りは学卒の定期採用というように変わっていっている企業が多いと思うが、中途採用が増えているといっても、それは高度な専門能力を持つ即戦力になるような人を中途採用として求めているのであって、アルバイトで定型的な仕事をずっとしてきた人は、応募しても採用まで行き着かない現状にある。だから、非正規雇用、正規雇用の問題、学卒採用、中途採用の問題、このあたりの日本の労働市場とか、企業の採用、雇用慣行がどうなっているかということを学生の理解力に応じて、生徒の理解力に応じて教える必要がある。

 二つ目の例は女性特有の問題だが、今、出産の前後で約3分の2が労働市場から離れている。育児休業して復帰するという人はこれに入っていないが、3分の2は仕事を一旦やめてしまう。何年間か育児に従事して、再び労働市場に復帰するが、そのときに数年間、場合によっては十数年間ブランクがあると、先ほど言った企業の中途採用の市場では闘えない。

中途採用は、専門性の高い即戦力を求めているので、十数年間ブランクのある人は労働市場で競争できない。そこで結果として、出産のために一旦仕事をやめてしまうと、再就職するときにはアルバイトとかパートとか派遣とか契約社員とか、いわゆる非正規雇用になるという結果になっている。

 その結果、生涯正社員で継続して働く場合と、出産・育児のために仕事を辞め、その後パートで再就職する場合とでは、女性の生涯でどのくらい生涯所得の格差が生まれているか。内閣府の調査結果があるが、短大卒の場合で、1億8,000万、大卒だと2億を超える生涯所得の差がある。その大きさにまず驚くし、お金の問題だけではなくて、再就職するときに非正規雇用でしかチャンスがないということは、若い出産前のキャリアが生かされない。そして、再就職した後の非正規雇用ではキャリアの天井が低くて、その後、10年、20年、30年と、再就職後の働く年数は長いが、キャリアアップがないという問題は残る。

 だから、今、二つの事例を申し上げたが、今、日本の労働市場はどうなっているのか、企業の採用慣行がどうなっているのか、ということを教えていかなければならない。このことを一番教えることができるのはハローワークの方や、各都道府県にある労働局雇用均等室であると思う。

○私が産業界にいて、なぜキャリア教育というところに関心を持っているかというと、教育界が手塩にかけて育てられたお子さんを受け入れるがわの産業界が、その責任を果たしているのかというと、ここが非常にぜい弱だと思う。

 キャリア教育というとすぐ職業、就職というところにつながるという点を危惧しているが、PISAの報告にもあったとおり、日本は、成績では国際的に見ても高位にあるのに、将来との関連性が見えなかったり、興味関心が希薄だったりする。この原因の一端が産業界側にもあると思う。

 やはり本物に触れる機会が重要。本物か偽物かというところをしゅん別できない若者にならないために、インターンシップや職場体験で本物に触れさせる機会を提供したくて、埼玉県では埼玉県庁とか経済界と図って、我が協会が一括してインターンシップを預かっている。

 例えばハップル望遠鏡のレンズを磨いたら、世界一の技能者だという人がいるが、そういう人がインターンシップなどをやると、話は朴とつで下手だけど、子供たちは感じるものがある。知識を持たなくては駄目だ、勉強しないで社会に出ても駄目だと教えられる。本物に会って感動するから知識欲も湧く。最後にはそれが学力につながっていく。だから本物に触れさせることが重要。

 もともとニート・フリーター問題があってキャリア教育が叫ばれるようになったが、もう一つのキャリア教育、今後の日本社会、日本経済を支えるリーダーを育てること、進学校にキャリア教育が定着しない限りは、我が国の将来はないと思う。

○この委員会で、一般教員の方々、又は生徒さん、保護者の方でもいいが、どこに行けば、学校外部からの支援を受けられるのか、協働できるのか、ということをお示しできるものがあればいいと考えている。

□いろいろな視点からお話を頂いたが、最初の御意見は、要はキャリア教育として最も根幹にかかわるようなメッセージ性をどうするのかという点。今の人と社会とのかかわりの中で、様々な現実があるけれども、それにかかわってこのキャリア教育として、外部人材の活用ということだけではなくて、キャリア教育としてどういうメッセージを発信していくのか、かなり根本的な問題を提起されたように思う。実は、この御意見は、キャリア教育だけではなく、教育全体にかかわる非常に難しい問題も含んでいるかと思うが、避けては通れない。

 私の理解で言い換えると、例えば日本や国際社会の将来を担うことを目指すような子供たちには、一生懸命勉強し、活躍する場所を指し示す。一方で、そうではない子供たちに対しても、君が持っている個性はこんなところでも発揮できるじゃないかと導き、君の持っている個性を社会で発揮するためには、最低限ここまでは勉強するべきだと示す。そして、それぞれ持っている能力、個性があって、それは社会の様々なところで役立ち得るじゃないかと、そのことを一人一人の子供たちに理解してもらえるようなキャリア教育でもあるべきだ。このようなメッセージを発信していくべきだということ。

 その一方で、それは具体的に言うと、地域の問題でもあるということの御意見もあった。

 私の受けとめ方が間違っていなければ、これらのメッセージは何らかの形で、まとめの段階でやはり出していく必要があるのではないか。これまでキャリア教育でそれを文科省は出していなかったわけではないけれど、文科省は今のようなメッセージはなかなか言いにくいところもある。しかし、やはりきちんと出していく必要があるのではないだろうか。

 それから、そういうメッセージに基づいて、一体だれが何をやるのかということについて御意見があった。学校教育の中で特に社会経済の仕組みに関することについて、具体的な学校教育の中のメッセージとしても弱いのではないか、余り提供されていないのではないかとのお話もあった。

 また一方では、社会とのかかわりの中で、やはり本物を示しながら、ゴールを導いていくということも非常に大事な点ではないかとの御意見もあった。

 是非、今出た御意見も踏まえつつ、更に様々な御意見を頂きたいが、まずキャリア教育で示していきたいメッセージについてはいかがか。

○議論を伺っていて、日本における教育事情の特徴があると思う。それは、PISAの調査の中で、日本ではリテラシー若しくは知識、科学的な専門知識は高いのに、進路との関連が見えないというのが一番印象的な結果だったかと思うが、日本においては海外と比べて、普通教育と職業教育のバランスが著しく偏っていることがある。日本では、普通教育と職業教育の割合が、7対3か8対2ぐらいと聞く。こういった状況では、学力というものはつくかもしれないが、職業との関連性が見えにくいといった調査結果になるのは、納得のいく結果。普通科教育に偏重している状況では、望ましくはもっと職業教育的なものをどんどん学校教育なりに復活させて入れていくべきだと思うし、それが様々な事情でかなわなければ、やはりその分、職業であるとかキャリアであるとか、そうしたものが重要であるというメッセージを含んだような教育内容といったものが実施される必要があるというように感じた。

 特に、何か職業教育的なものを取り入れてキャリアの指導をしよう、例えば基礎学力についても職業的な科目を通じて伸ばしていこうじゃないか、というスタンスが出ている。こうしたものをどんどん取り入れていく必要があるだろう。それが遠回しにメッセージということになるのではないか。

 また、もっとテクニカルな話になるが、外部人材の活用といったときには、一般の人たちがもっとわかりやすい形で学校のキャリア教育に参画できる仕組みづくりを議論してもいいのかなと思う。

 例えば、何らかの中間団体(コーディネーター機関)にかかわっている、若しくは所属している形でないとキャリア教育に参画できないような感じがある。本当はもっと個人で、ボランティア的に協力したいけど、どこに連絡をとれば参画できるのか、と思っている方は多いし、我々の研究所で調査したときにも、気持ちはあるけれども、どうしたら良いのかよく分からないという回答が多かった。そういった一般の人たちのキャリア教育に参画したいという希望を吸い上げるような仕組みを何かつくれれば面白い。

 例えば、ネット上に登録すれば、いつか声がかかって協力できるとか、そういった普通の人たちの声を吸い上げる仕組みができると、もっとすそ野も広がり、キャリア教育、外部人材の活用も進むのではないかという印象を持った。

 労働行政におけるキャリア教育という課題だが、学校教育を離れてしまうとキャリア教育を受けられる機会が本当に限定されてしまうので、どこかでやらなければならないということを我々も考えている。

 特に、高校を中退していると、中学校段階でのキャリア教育で終わっているので、お話のあったような、最低限の知識も持たないまま社会に出ているということがあって、そのまま20代を使いつぶされてしまう。

 この段階でどこかの主体が何らかの形で、追加的に足りないリテラシーを補足するような形で、学校以外の機関がキャリア教育を提供できれば、もっといい形での支援、サービスが提供できると思う。そこにもやはりキャリア教育、外部人材を活用する余地があるということを感じた。

○我々がキャリア教育をするときに、その視点として、いい職業を、いい生活を送るために必要な教育だというメッセージではないと思う。社会に役立つ人間になるためのキャリア教育だという視点が必要。

 また、勉強ができる子は一生懸命勉強しろと、できない子も一生懸命勉強しろと。それはそれぞれ自分の人生で重要ではないかというようなメッセージを出すことがキャリア教育の上で大事だという理由は、要するに、キャリア教育というのは、この議論になっている外部人材というのは、要するに勉強ができて、成功した人ばかりによるものではない。いろいろな職業の中で、いろいろな苦労がありながら、自分の能力をうまく発揮してきて、それなりの人生を歩んでいる人たちが加わってこないと、子供たち全体に対するメッセージ性は持たないのではないかという意味で、僕は申し上げている。具体的にキャリア教育をどう進めるかということとの非常に深いかかわりのある話として、僕は考えているのだということを補足して申し上げたい。

○私がキャリア教育としてやっている理由は1点だけで、働く喜びを伝えたいということだけ。働くというのは職業以外にもいっぱいあって、庭の草むしりも仕事だし、町内会の仕事も仕事だし、PTAの仕事も仕事だし、全部仕事。結局それをやってだれかのためになって、その働いた喜びを知っていくこと。その一つが職業でしかない。

 それをいろいろな働き方、いろいろな働くスタイルがあって、仕事をやったことによって喜びがいっぱい得られるということ。そのために知識なり経験が必要であって、経験とか知識があるとそれを利用できる。だから、いろいろな職業につくということだけに観点を絞ってしまうと、自分勝手な人間が逆に生まれてしまって、自分のことだけやっていればいいという話になってしまうと思うので、キャリア教育の視点というのは、働く喜びという観点でやった方がシンプルではないかというように考えている。

○委員の先生方の御意見をお聞きし、もっとシンプルなことではないかという感想をもった。

キャリア教育は学校教育だけではなく、社会人である我々も日々キャリア教育を受けていると感じている。つまり、キャリア教育は生涯教育でもあり、学校教育、生涯教育と分けて考える必要はないと思う。

 私どもは、キャリア教育は、学びと仕事、そして生きることを結びつける教育である。

と考えている。学ぶことと生きることがつながっているという、本当にシンプルで根源的な話であると思う。それを子供たちに伝えるためのキーワードのひとつが「自己有用感」である。自己有用感をもち、社会の一員として生きていくという自覚をもってほしい。そして、社会に役立つために自分に何ができるのか、社会の一員として果たすべき役割は何か、さらには今、学んでいることが社会とどうつながっているのかを考えてほしい、といつもお話している。

 一方、学校現場の先生にも、講師として学校へ派遣される企業の方にも同じことお話しており、自分が子供たちに対して何ができるのか、それをすることによって自分のキャリアにどう返ってくるのかを考える、つまりその場にいる一人一人が自身のキャリア形成において、今何をすべきか、何が最適かを考え実践するのがキャリア教育ではないかと考えている。

 初等、中等教育でキャリア教育の基本的な考え方や見方を身につければ、以後はそれぞれの発達段階で実践できると思う。

 それぞれの分野でキャリア教育に携わっている委員の我々が、「子供たち一人一人が生きる力を身につける」という共通の目的のために、それぞれの立場でそれぞれの強みを生かして取り組む、そのためにどういう体制を構築すれば良いのかを考えるのがこの会議の目的だと認識している。キャリア教育は社会総がかりの教育であるが、基本になるのはやはり教育現場である。教育現場のニーズをくんだ上で、我々外部の人間がどのようにサポートするかをこの会議で整理する必要がある。

 そのためにも、まずは教育現場でどういうシステムを組めば外部人材と協働しやすいのかを教えていただき、我々に何ができるのか、どんな仕組みが最適なのかを考えることが必要である。

 もっとシンプルに考え、実効が上がる絵を早く描きたいと考えている。

□星野委員に質問。星野委員の感触で結構だが、先ほどいろいろな方からお話が出ている中で、学校で現在、外部の方が教科教育、進路指導でもいいが、どのくらいかかわりがあるか。例えば、就職に関する指導でいろいろな企業の人事に方に来てもらって様々な話をしてもらうなどというのは、かなりの高校で実施されていると思う。だけど、私の経験で言うと、外部の方を学校教育の中で積極的に取り込んでいくというか、御協力いただくというのは意外と少ないようなイメージがあるが、いかがか。

○キャリア教育という観点だけではなく、外部の方々を学校にお招きしたり、あるいは逆に学校から外部の方へ出たりという観点からすれば、学習指導の中でも、生活指導の中でも、進路指導の中でも、特別活動の中でも、あらゆる場面で何らかの形でやっているのが現状。中学校であっても、小学校であっても、高等学校であってもそれはいろいろな形でやっている。

□その際、今、話があったように、何かシステム的に構築してあればもちろんやりやすいと思うが、現状は、例えばある先生の意欲でもって属人的な世界で行われているのか、あるいは学校としてシステムをもってやっているのか。またどっちがやりやすいのかという問題もある。現状はどうなっているのか。

○各学校によって違うとは思うが、両方だと思う。既にスケジュールの中に組まれていて、外部の方をお招きしてという方法と、それから、先生個人がこういう授業をやるためにこういう方をお呼びするのと。

またあるいはその施設へ行って学んでくるとか、介護体験とか保育実習とか、そういうこともやっているわけで、その決まった形と同時に先生方の必要に応じてといういろいろな場面がある。

□職業教育の分野で、地域の人材育成の事業が経産省との共同事業であって、従来どおり生徒をインターンシップに送り出すと同時に、地域の産業人に学校に来て授業をやっていただくという事業を行った経験がある。

この相互交流でやって行こうというのが一つの特徴の事業だったが、やっていて驚いたことがある。

確かに外部の人に来ていただき、それでいろいろ実際の知識、技術の指導をしていただくのだが、驚いたことに、それが例えば工業高校で旋盤の授業をやるのに、旋盤の授業に入れればいいが、外部の人がやるときは旋盤の授業に入れない。いろいろな入れ方があると思うが、総合的な学習の時間に入れたり、特別活動の勤労体験に入れたり、甚だしいのは教育課程外だという位置づけでやったりしている。

 学校がこれから外部との連携の中で教育を進めていく上で、そのときに感じた課題は、教育課程のどこかに位置づけられるはずなのに位置づけないでやっているということ。これこそ学校の閉鎖性だと感じた。

 先ほどの御意見のあった、事は比較的単純だとの意見もあるが、ところがそういうことでさえ構築できない。そこも視野に入れてメッセージを発していかないと、なかなか受け入れてくれないというところも教育界にはある。こういうシステムをつくりましょう、このようにしていきましょう、だけではなかなかうまくいかない。

 それから星野委員にもう一つ聞きたいが、今、経済界の委員の方の御意見にもあったように、経済界の方が積極的に学校教育に対して、キャリア教育に対して、メッセージを発している。校長先生方もやはり必要だというのもわかっている。でも、何かかみ合わないところがあると思う。経済界の方がかなり積極的、学校がちょっと受け身という、ここは学校教育の抱えている問題。学校教育はキャリア教育だけではないという話になるのか。

○ ○○教育というのは非常に多い。今、キャリア教育を議論しているからキャリア教育という観点から、じゃあ、あれもこれもと言われたときにそれはできないよねということもある。実際に教育課程の中でやっているわけだから、それはこういうふうに見方を変えればキャリア教育だよね、自己理解だよねということはいろいろな場面でやっている。人間関係形成を一つ捉えても、体育祭などいろいろな行事の中でも、見方を変えればキャリア教育でもある。だから、全部整理し直してという御指摘であれば、それはできると思う。先生方にこれはこのようにキャリア教育での意味がありますよという説明であれば、それはできると思う。

 今、ここで議論になっているのは体験的な、もう少し実体験を伴うものをやって行こうということだと思う。特にできる子にとっても学習だけではなくて、しっかり身近な社会をよく知って、いろいろな仕事を知って、何のために自分は仕事をやるのかということをしっかり体験的に学ばせたいということだと思うが、今の入試制度の中では厳しい。

 受験校になればなるほど、大学受験というのがあって、それがまた重箱の隅をつつくような試験問題であって、それを突破するためには相当な勉強をしなければならない。だからこそ、普通科で進学校であればあるほど、そういう体験的なものは捨象して、いろいろな資料を使って仕事はどうか、自己理解はどうか、ということは行っている。

 ただ、ここで今求められているのは、どの学校にも体験的な教育活動をやりなさいということだと思うが、それは今の制度の中でできるのか。だから、御指摘のようにPISAの結果を見ても、これだけ多くの子を抱えて、学力を維持しているというのは大変なことだと思う。にもかかわらず、興味関心指標や自信指標などが低いと言うけれど、あれだけの人数の中で教育をするということが条件的に厳しい、更にいろいろな○○教育が入ってきて、あれやれこれやれということで、先生方は実際に疲弊している。このあたりはもうちょっと整理をしていただき、何かを入れるのであれば、何かを緩やかにするとか、逆に必要性があるのだとすれば、はっきりと打ち出したらいい。

 学校の中で必要性を見いだせと言われても、必要な学校はやっている。あるいはそうでない学校はそのレベルに応じたキャリア教育をやっている。実体験は伴わないけど、それに近づけるような教育は行っている。それでは駄目だというのであれば、国の施策として体験的な活動を入れなさいとはっきり言われた方がいい。入れる場合にはいろいろな条件整備をしていただかないと、学校としてはできないと思う。

○私がずっと小学校、中学校におけるキャリア教育を念頭に置いて話をしているのは、高等学校の段階においては、その学校によって余りにもキャリア教育にとっての意義が違い過ぎて、一般的には語れないということ。例えば東京都の進学重点校では、勉強も部活も一生懸命やっている、両立させろといってハッパをかけている。

 そういうことから、今のこのキャリア教育を、高校の段階で、すべての高校でこれだけのことをやれとは、僕としてはなかなか言いづらい。僕の意識はどうしても小学校、中学校で、働くということについての原型みたいなものを教えていくことの方が大事ではないかということを感じて、小中のことに偏りがちになる。

 星野先生の弁護をするわけではないが、この間、東京都内の中学校長先生10人ぐらいと議論したが、結構キャリア教育をやっているという。そのやっているというのは、別にキャリア教育と位置づけているわけじゃないが、特別活動という時間に位置付けて様々な活動をやっていたり、課外の放課後プランでやっていたりと、いろいろたくさんやっていると。文科省はこの間にいろいろ地域に開かれた学校づくりを随分努力をしてきて、それについてきている学校も結構あるなというのが僕の印象。

 でも、それは職場教育と同じでばらばら。均一じゃない。全部そうしているわけじゃない。そこが今の学校の中で一つ問題だから、ここはもう少しみんなで同じようなことをやっていけるようにすることが大事だ、というふうに僕は感じて、そう言うけれども、やっていない学校もある、という話になる。

 それが全体像として全然やっていないわけじゃない、いろいろやっていると。僕らが今、議論している意義のあるようなこともやっている学校も結構あるのだということを前提にして議論しないと、現場から受け入れられないということは認識しておかねばならない。

 もう一つは、先ほど座長が受け身だとおっしゃった。中学校の校長先生たちと話をしていて、いろいろな企業がいろいろなことを教えている、面白い授業をする人がいると言ったら、どんなことを教えてくれるのか、どんなことを教えてくれるかということを書いたものがあるかという話になる。これは生重さんや江川さんがよく御存じだと思うが、学校は学校の外の人たちがどんなことをしてくれるかということについて想像がつかない。だから、受け身だとか受け身でないとか言われても、どんなことを教えてくれるのかわからないのに、やってくれとは言えない。

そうすると、こういう人がこんな授業をしてくれるということを、メニューとしてそろえれば、学校の方は、これは面白そうだなと、乗ってくる可能性は大きい。

 だから、もちろん文科省の方で、このキャリア教育を、例えば年に1回は受けられるようにしろと言ってもらうことも大事だが、他方で、やってくれる人がどんなことをやってくれるのかということをそろえる作業をやらないと、幾らキャリア教育が大事だと言っても、現場の先生たちは困るのではないかという気がしてならない。

 先生が努力してやられる分には良いが、外部の人たちを呼んできてやりなさいという限りにおいては、どんな外部の人がどんなことを教えてくれるのか、授業に耐えうる内容をある程度用意して示してあげないと、やはりそれは学校のがわでもやり切れないのではないかと思う。

 だから、教えたい企業はたくさんあるが、何を教えられるのかといったら、いろいろなことを言うけれども、それは授業としては無理だということではしようがない。そういう営みも大きな障害としてあって、それが一つ、受け身に見える原因ではないかなという感じを僕は持っている。だから、キャリア教育の話をするときに、どうしてでもやってくれる人たちを大量にそろえないと、ニーズは満たせないと思う。

 でも、どれだけそろえられるか。そんなに大企業の社員を何百人もこのことだけに専従させるわけにいかない。中小企業の方々も地域の方々も含めて、自分たちはこんなことができるという人たちを、恐らく全国でいえば万という数をそろえないと、この話は前に進まないと思う。

□野上委員、具体的に埼玉県で経営者協議会に、何社ぐらい参加されているのか。

○埼玉では、我が協会が800社の会員数。

キャリア教育に何かの基準があれば良いが、実際は進学校である浦高をはじめとして、全部の職業高校でも普通高校でも、キャリア教育は行われている。

 埼玉では、公立学校に通っている児童数が70万人いるが、そこへ全部の学校に学校応援団というのが組み込まれていて、学校応援団の中にはあらゆる人がかかわっている。中学校の9割で職場体験活動が行われて、実際に、多くの地域の一般人も含めて、産業界がかかわっている。

 その中で、子供たちに興味関心を持たせるような体験をさせてほしい、それは学習意欲に通じるんだと申し上げている。皆さんが日ごろ言っている若者は基礎基本がなってないというところに、その興味関心を持てば、逆に理科でも数学でも、うちへ来たときには、これは全部計算だ、数学だ、そういう話をしてほしいということで、再三にわたってやっている。

 それから、キャリア教育とは、私は人生教育だと思う。だから、最終目的は就職ではない。その過程でそこへいくためにはどんな高校を選ぶのか、それから、大学へ行くときも学部は何なのか、というようなところを君の興味、関心を成就させるためには、というような進路指導が、そのきっかけに我々産業界が一緒にやるときに、それだったらまずこういうことをやらなくてはいけない、というようなことをアドバイスしてほしい、と。

 だから、50人生徒が来たら、50人に満足させられるようなことはとても無理だけど、3人の子供がものすごく関心を持ったとしても、それを何回も繰り返してくれれば、いろいろの機会に興味関心を持つ子が出てきて、それで学習意欲も、それで、最終的には知識もつくようになるというようなことをやってほしいということで、これは各学校、進学校も含めて埼玉では、全部の学校が参加している。

 そういうことを各学校に知ってもらうために、日本機械学会と私の協会で県や教育局を相手に説明会等を開いている。そうすると進学校でも、そのような話ができる方だったら、ちょっと理科の講義をしに来てくださいませんか、ということになる。その場面、場面は、実は全部の学校にあって、キャリア教育がないわけではない。既に全部の学校が取り組んでいる。だから、そこにちょっとしたエキスを注入してあげて、助長させるような仕組みが今必要なのではないか。キャリア教育がないわけでは決してない。

○委員の皆さんが今日お話になっていることで、皆さんが自らの範ちゅうのところだけの御発言を少しずつされているような気がする。

 やはりキャリア教育は、人が生きる力をつけるということであるならば、多くの人にそこをわかってもらうためには、もっとわかりやすい言葉で表現されなければいけない。先ほど校長先生がおっしゃっていた通り、私も高校で様々なことをやっていると思う。それが進路指導という名で先生が頑張っていたり、東京都だったら奉仕活動という中で頑張っていたりしている。キャリア教育は、どの課題からでも生きざまとか、その先にある仕事とか、そういうものが見えてくるものだとするならば、進路指導でやっているから、別のものでやっているからというように切っていくのではなく、包括される概念だと思う。そのような包括した考え方の中で、学校にできている部分について、外から意見をして、外部の人たちがやると言う必要はない。

 だけど、それが途絶えてしまうときがある。そのときに学校が相談できるシステムが必要だと思う。本日お話のあった、もっと明確な概念を示すということと、今日それぞれの切り口で御発言のあったものすべてがキャリア教育だと私は思うので、そこがわかるような打ち出し方をしていただきたい。

 小中の段階から自分のキャリアについて考えさせる、感じてもらう機会を持つのは一番大事なこととも思う。でも、高校に行ったら、御発言のあったとおり、いろいろな高校でおかれている高校の立場が違うのもおっしゃるとおりと思うが、それでも、実際にやってみて、現場の先生方は、御興味をもって私の話を聞いてくださって、一緒になってやってくれる。別の視点が必要なのではなくて、一緒になって、同じ視点で物事を動かしていくことが必要なのではないか。

○確かに学校の先生はいろいろやっている。私も小中高や特別支援学校にお邪魔してみて、先生方は一生懸命やっている。時々それを別の視点から客観的に見て、キャリア教育というのは、正にこのことだと意味づけをしてあげるというのは、もしかしたら外部の人の役割かもしれない。

 実は、私自身は外部の人間として行くので、先生方がこれをやっているのは、それこそ今、文科省が言うキャリア教育のこの部分を指しているのではないか、だから、そこをもうちょっとほかの先生にも理解していただいて広げませんか、あんまりやり過ぎないで、一つでもいいのではないか、というようなかかわり方をしている。私が現場の先生方と代わって実際に出張っていくことはやならいし、できない。

 ただ、一つ重要なことは、子供たちの発達を促すということが学校教育の責務であるということ。特に、教育基本法にも書かれている全人格の成長、発達にかかわるのが学校教育だと思う。そのときに今までの学校教育の中で、職業かどうかではなくて、生きていくとか、この不安な社会の中で生きていくことに焦点を当てて何かやってきたかと立ちどまって考えてみる、そういう思いを感じさせるということがキャリア教育を入れた理由ではないかなと思っている。

学ぶということも、カリキュラムは段階を追って発達させるように、社会性の発達というような面でも段階を追って育てていくというのは学校教育の基本だと思っている。

外部の方々がいろいろかかわってくださるのはとても重要なことで、とても有り難い。でも、それを子供の発達につなげるのは教師の役割だとも思っている。

 だから、体験をさせることが重要だと言うことになる。学校では足りない、むしろ学校外の方が子供たちは新しいものに触れるいいチャンスだから、もっとチャンスをつくっていただきたいし、教員以外の方と触れることも、子供たちにとっては新しい目で触れられるからいいと思う。

 でも、それを知的発達、情緒的発達、社会性の発達につなげていくのは教師の役割。そのような視点で、キャリア教育を見てみる必要がある。そうすれば、本当に学校に足りないものが見えてくるし、また皆様に知識、知見等を出していただく、本当にそれは有り難いが、それで終わってしまってはならない。

 つまり、今までの学校教育は教える、知識を与えれば覚えたと思うけれども、とんでもないというのが現状。知識や経験や情報を身にする、自分の身につける、コンピテンスにするためには、体験が意味を持つし、それを促すのが教師の役割。だから、私たち外部の人間のかかわり方というのは、それぞれの立場でいろいろなかかわり方があるけれども、やっぱり教師の役割を育てていく必要もあるのかなと思う。子供に直接かかわるより教師を育てるのにもちょっと手伝わなきゃいけないし、発達させるという概念があってもいいのかなと、そんなふうに思う。

□これにて、本日の議事を全て終了する。

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-- 登録:平成23年08月 --