学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議(平成23年度)(第1回) 議事要旨

1.日時

平成23年8月30日(火曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省 旧庁舎第1会議室

3.議題

  1. 学校ネットパトロールを実施する上で必要となる知識等について
  2. その他

4.出席者

委員

大久保委員、角田委員、竹内委員、藤川委員、水谷委員

文部科学省

白間児童生徒課長、郷治生徒指導室長、鈴木生徒指導調査官 他

オブザーバー

城戸国立教育政策研究所生徒指導研究センター総括研究官、藤平国立教育政策研究所生徒指導研究センター総括研究官、三谷生涯学習政策局参事官付企画官

5.議事要旨

開会

議事

(1)本年度の会議運営・進め方について事務局案の説明がなされ、了承された。
(2)学校ネットパトロールを実施する上で必要となる知識等について討議が行われた。

                                      

(1)会議運営等について

 本会議は原則として公開とする。ただし、座長の選任その他人事に関する事項を議決する場合、その他、座長が、会議を公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合その他正当な理由があると認める場合は非公開とする。会議を傍聴しようとする者は、あらかじめ、事務局の定める手続きにより登録を受けなければならない。


 会議において配付した資料については、第三者から提供の希望がある場合は原則提供するものとする。ただし、座長は、提供することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときその他正当な理由があると認めるときは、会議資料の全部又は一部を提供しないことができる。また、座長は議事要旨を作成し、公開することとする。

(2)学校ネットパトロールを実施する上で必要となる知識等について

【委員】それでは、平成23年度学校ネットパトロールに関する調査研究協力者会議の第1回をはじめたい。本年度は、昨年度行ってきた審議の成果を生かし、また、今後も必要な審議を加えながら、ネットパトロールに関する基礎知識をまとめた資料集の作成を目標にしていきたい。まず、委員の皆様から、最新の状況などもお話いただきたい。

【委員】昨年度に続き、インターネット関係の相談を受けているが、最近はブログに関わるトラブルが多くなってきている傾向があるように感じている。その他、全国の講演と併せて、その場で参加者からの相談を受け、生の声を聞くことを続けてきた。資料集については、インターネットの仕組みや、子どもにとっても知っておくべき知識などを分かりやすく示せるようにしていきたい。

【委員】最近は、スマートフォンを持つ子どもが多くなってきており、スマートフォンではフィルタリングができないという課題が出てきている。アプリを利用する中での個人情報の流出などのトラブルがあるが、子どもはそういった知識をあまり持っていないことなど、今後の対策について課題を感じているところである。

【委員】市内の学校においては、問題事例の発生は減ってきているように感じるが、スマートフォンのフィルタリングについては同じく課題を感じている。また、特別な支援を必要とする子どもが被害に遭う事例が増えてきているように感じている。

【委員】県の特性であるが、部活動に関する中傷が非常に多い状況である。例えば、外部の第三者が在校生になりすまして書いた書き込みが炎上し、学校に対応が求められるような事例が起き、思わぬ被害を受けることもあった。

【委員】いくつか重要な点を指摘いただいた。スマートフォン対策については、総務省の研究会の報告にも課題として挙げられており、必要なことは議論していきたい。特別な支援を要する子どもに関する対応は、潜在的なリスクがあるのだろうが、実態がつかめていないところもあり、可能であれば情報収集をしていきたい。また、学校名を背負って部活動を行っているような場合、仮に虚偽の書き込みであっても、学校に絡んだ問題に発展するリスクがあることを念頭に考えて、今後深めていきたい。
それでは、ここで、今年度の本会議における検討事項について事務局から説明をお願いしたい。

【事務局】本年度は、昨年度の議論を踏まえて、学校ネットパトロールに関する資料集をまとめていただきたい。この資料集は、ネットパトロールを実施する上での基礎となる知識やネットパトロールの実施体制の実例などを紹介するとともに、ネット上のトラブルに関する専門の相談窓口等の情報を紹介することを考えている。また、資料集の中では、ネットパトロールの実施に関連する法的知識についても含めて記載していただきたいと思っている。

 昨年度の審議内容をもとに、資料集の構成案をお示ししている。大きく3つの項目に分かれるが、1つ目は「インターネットの基礎知識」である。インターネットの構造やフィルタリングの仕組み、インターネット上でネットパトロールで監視できる部分とそれが難しい部分はどこなのか、などに言及いただきたい。SNSや掲示板等におけるネットパトロールの在り方についても言及していただきたい。

 1つ目は「学校ネットパトロールの位置づけ」である。インターネット対策の中で、学校ネットパトロールがどのような位置づけになるのか、行政、学校、PTA、地域、携帯会社等の役割分担、といった内容について、更に議論していただきおまとめいただきたい。

 3つ目は「学校ネットパトロールの実践」である。教育委員会や学校によるネットパトロールの取組事例を紹介したい。具体的には、民間企業にネットパトロール業務を委託する場合、ネットパトロール専従の人員を教育委員会に配置する場合、ボランティアを活用してネットパトロールを実施する場合など外部資源を活用する場合と、教育委員会や学校が自主的にネットパトロールを実施する場合に分けて、事例を紹介していきたい。加えて、個別のトラブルが起きた際の対応方法を例示として、対応のフローを示すような形でまとめていただきたい。

 最後に、参考資料として、ネット上のトラブルが発生した際の通報先や相談先のリスト、ネットパトロールを実施する際に活用できるような検索用語の一覧、ネット・メール用語集などの情報を掲載することも考えている。

【委員】ありがとうございました。本日配られている参考資料についても簡単に補足すると、都道府県レベルでも、小学校・中学校・高等学校別の不適切なサイトの書き込み事例や相談事例、技術的な検索方法や削除要請の方法・手順などを示した手引きが作成されている。既にある資料からも、有用なものは転載するなどして、資料集を作成していけばよいのではないか。

 また、総務省の研究会の報告書については、青少年インターネット環境整備法に基づき、携帯電話事業者にフィルタリングの提供義務が課されていること、プロバイダの関身についての議論、スマートフォンに関わる議論が盛り込まれている。また、青少年に新たなサービスや機器を提供する場合には、その設計段階で青少年保護の仕組みを組み込んで欲しいという視点を入れた提案を行っているので、ご紹介する。

【委員】それでは、ここから資料集に関する議論に入りたい。まず、関連の法的知識についてだが、法的な知識について十分にご存じない学校の先生方や教育委員会の方々向けに、リストアップした形で紹介する必要があるのではないか。例えば、人の悪口をインターネット上に書くことは法的にどのような問題があるのか、インターネット上での誹謗中傷などがあった場合に、プロバイダ責任制限法の中で、インターネットのサービス提供事業者が一定の責任を持って情報を開示あるいは削除するといった対応が求められることなど、法的根拠を紹介してみてはどうか。

【委員】事例ごとに法律関係の内容を書いたとしても、実際上、警察に被害届を出しても検挙できないケースが多い実態があり、書き方に工夫が必要である。

【委員】罪に問われる可能性がある、という一般論を示した上で、別途、実際に検挙された事例を紹介するような構成にすれば良いのではないか。

【委員】実践的に役に立つものでないと意味がないので、学校が対応する際に、法律に訴えたほうが良い場合と、違う形の対応をしたほうがいい場合について示唆できるような書き方にしたい。また、全ての法律について記載することは不可能だが、関係のある法律的な知識を幅広く挙げ、そこから取捨選択していく方針として考えたい。

【委員】法律問題とは異なるが、違法ではなくとも、学校の校則上は懲戒の対象になるため、トラブルになるケースもある。

【委員】まず、インターネットの利用自体や、書き込みに際しての法的な事柄については、法律問題としてまとめて欲しい。その上で、ネット上の炎上や校則上の懲戒を含め、不適切な行為が書き込まれたことから発生する問題への対応については、資料集の中ではネットパトロールの実践の部分で紹介できると思う。

【委員】次に、行政、学校、PTA、地域、携帯会社等の役割分担についても、検討を加えたい。これまで、議論を深めてきていない部分であるが、前提として保護者の役割があり、さらに学校や行政、企業等の役割があり、それぞれが連携をしていくという段階を提示した上で、可能であれば、具体的な地域における役割分担や連携の仕方について紹介したり、注意事項を挙げていただくような内容としてまとめられないか。

【委員】役割分担や連携の在り方は地域ごとに様々な形態があるため、例を挙げることはできても、すべてに当てはまるとは限らない。一般論を示すということでいいのか。ネットパトロールの位置づけという意味では、学校における生徒指導や家庭における指導に活かすための一つの情報源であると捉えている。

【委員】この部分では、様々なネット対策の中におけるネットパトロールの位置づけを中心に据え、学校、家庭等のそれぞれの立場の役割にも触れてほしい。ネット対策においては、フィルタリングの普及を中心とした予防策を取ること、情報モラル教育などの教育啓発を進めていくことが前提であるが、それでもなお発生してしまう問題に対応するため、ネットパトロールを組織的に実施し、発見した問題について連携して対応していく、という筋になると思う。このような一連の流れの中において、学校、家庭、企業等、それぞれが果たすべき役割について触れていただけるとよい。

【委員】ネットパトロールが様々なネット対策の中でどのような位置づけにあり、ネットパトロールで発見した問題を、学校における生徒指導や家庭での指導にどう役立ててもらうかという内容であれば書けると思う。ただし、各家庭における取組の在り方についてどこまで踏み込んで書けるかは、検討が必要である。

【委員】次に、事案対応方法の例示について検討したい。この部分では典型的な例を挙げる必要があるが、具体的にどのような例について書けばよいか。1,児童生徒間の誹謗中傷のような学校内のトラブル、2,異なる学校の生徒同士のけんかをはじめとする学校間のトラブル、3,福祉犯といわれる悪い大人とのトラブル、4,未成年の飲酒や喫煙等を自ら暴露するような適切な書き込みをすることで大きな騒ぎとなる炎上系トラブル、などが典型例ではないかと思うが、ご意見をいただきたい。

【委員】実際には、学校内のトラブル、特に、クラスや部活動の中での人間関係に関する問題がとても多い。

【委員】自殺予告についてはどうか。そういった書き込みがあった場合に、警察などとどのように連携すべきかについても書けるのではないか。

【委員】自殺予告については、重要な課題であり、取り上げていきたい。トラブルのパターンだけではなく、対応の在り方についても、学校内部で対応すれば良い場合もあれば、複数の学校が連携して対応に当たらなくてはいけない場合、警察と連動して動かなければいけない場合、緊急に何かしなければいけないという場合など、対応する者が幾つかのパターンに分かれると考えられる。

【委員】教育機関として学校が対応する際は、当然教育上の配慮が必要であり、一律に警察に通報したり、削除したりすればいいというわけではない。何が正解ということを示すのは難しいが、教育的な配慮をよくやった例を掲載して、学校現場の先生方に参考にしていただけるようにすることもあり得る。

【委員】具体的な対応については、都道府県レベルで作成された手引きにも使える例がある。児童生徒に対する指導だけではなく、保護者やマスコミへの対応を含めて書かれているため、参考になる部分がある。

【委員】ネット上のトラブルは、ネットパトロールによって発見する場合だけではなく、学校において教師が生徒から相談を受けたり、噂を小耳に挟んだりしたことから発見する場合もあるのだろうか。

【委員】そのような場合が多い自治体もあるが、日頃のネットパトロールにより、検索情報を多く持っている自治体もある。

【委員】では、トラブルの発見については2つの出発点があり、その後の対応はフローチャートで示す形になろうかと思う。実際の学校現場では、教師が生徒から話を聞くことでトラブルを把握しているケースも多いので、先生方が小さなことを見逃さず、背景にネット上のトラブルがある可能性も考えながら生徒に向き合ってほしい、ということも資料集の中で強調しておくべきかと思う。

【委員】「学校ネットパトロールの位置づけ」については、ネット対策における学校、家庭、地域等という大きな枠組みの中での連携の話だけでなく、学校の内部における取組についても触れることが必要なのか。

【委員】学校の中で、どのような立場の方がどのようなことを担当するのかを示すことも一定程度は必要ではないかと思う。

【委員】学校内での対応の在り方については、生徒指導担当者が担当したり、人権教育の担当者が担当したりと学校によって様々であり、一概に書くことは難しい。緊急を要する場合については書けるかもしれないが、一般的な対応は各学校ごとに違う気がする。

【委員】この会議の趣旨から考えて、生徒指導担当の教師が中心的な役割を担って対応する例を典型的な例として示すということで良いだろう。

【委員】フローチャートというのは、ネットパトロールの位置づけの部分で書くということで良かったのか。事案対応方法の例示の部分では必要ないか。

【事務局】ネットパトロールの位置づけの部分では、ネットパトロールとそれ以外の様々なネット関係施策との関係や、ネットパトロールの取組と学校における生徒指導のつながり方の図示をイメージしている。事案への対応方法の例示の部分では、個別のトラブルへの具体的な対応の在り方についての図示になると考えている。

【委員】校内での具体的対応のフローチャートと、行政とPTA、地域の関係図は、それぞれ別々に作ることとしたい。

【委員】ネットパトロールの実施体制の事例を紹介する部分においても、トラブルへの対応事例を示した方がわかりやすいと思っていたが、事案対応方法の例示の部分と重複してしまう可能性がある。

【委員】ネットパトロールの実施体制の事例については、あくまでも体制を中心に書いていただきたい。例えば、各教育委員会はどのような水準を求めているのか、費用はどの水準か、ネットパトロール業務を民間企業に委託する際にどのような折衝をして契約をしていくのか、といった内容を重点的に取り上げて欲しい。取り上げる事例については、事務局でも補っていただきたい。一般通報窓口を設置する場合は、今後の検討としたい。

【オブザーバー】資料集を作成したら、学校に配布し、学校の先生に読んでいただくということでよいのか。また、学校に何冊ずつ配布され、どのような形で学校の先生方が手に取ることを想定しているのか。

【事務局】各教育委員会と各学校に数冊お届けし、教育委員会に研修の材料として使っていただけるようなものをイメージしている。学校ネットパトロールの実施を検討している教育委員会や学校に、ネットパトロールに関する基礎的な知識を持っていただき、メリットとデメリットの分析をして自ら施策を立てていただきたいというところから検討を開始したところなので、管理職や教育委員会職員はこの資料集の対象から外せないと考えている。一般の教員の方にも使っていただければ有用だと思うが、それだけをねらいとしたものではない。

【委員】次回の会議に先だって、各委員が作成した案をあらかじめ共有し、一通り目を通した段階で次回の会議を開催したい。それでは、本日はこれで閉会としたい。ありがとうございました。

閉会

 

 

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初等中等教育局児童生徒課生徒指導室