生徒指導に関する教員研修の在り方研究会(平成22年度)(第7回) 議事要旨

1.日時

平成23年3月30日(水曜日)15時から17時

2.場所

文部科学省旧庁舎2階 第1会議室

3.議題

  1. 協議

4.出席者

委員

森田座長、市川委員、栗原委員、嶋﨑委員、相馬委員、野田委員、本間委員、若田委員

文部科学省

德久審議官、磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、井上児童生徒課長補佐 ほか

5.議事要旨

開会

議事

【委員】2ページの「必要なもの(ニーズ)」については、子どもの側からのニーズ、あるいは組織としてのニーズといった様々なレベルの使い方があるのでよいと思うのだが、いかがか。

【委員】前回の議論で、教員が判断した子どものニーズではなく、子ども自身が必要としているというニュアンスがあるといいという話が出ていた。

【委員】最近、支援の分野では、ニーズというとアセスメントの結果本人に必要なものと、本人が表明している要求との両方が混在する。なので、例えば、特別支援の分野では、本人に自覚はないが、周囲の人からニーズがあるとされることもあるので、本人から表明されるほうをデマンドという流れがある。それを踏まえると、この文脈では、表明されているニーズだけにとどまらないと思うので、「ニーズ」としておき、表明されているというニュアンスを持たす必要のある場合には付け加えが要るかと思う。

【委員】主観的なニーズと客観的なニーズの両方を入れ込まなければならないと思う。子どもの主観的なニーズをとらえないと支援にならない、という趣旨なので、デマンドの部分をできれば入れたい。

【委員】ただ、スクールソーシャルワーク的な視点からは、非行などの場合に本人が表明しないものをどう扱うかが重点となり、本人の意向が重視される場合には本人の表明する何々とつけ加えることが多い。

【委員】7ページの「国における研修等教職員の資質向上のための取組」について、ここには、教員研修センターでの研修と文科省がやっている生徒指導主事を集めたような協議会とが、どのような関係にあるのかなどを書く必要はないのだろうか。国における研修の在り方なので、それぞれのねらいを含めて、研修の仕組みの互いの関係にも触れるのがいいのではないか。

【委員】独立行政法人教員研修センターで、実際に研修をやっていると、ここに書かれるような要請に基づいた人が、都道府県教委からうまく選抜されて研修に来ているのか疑わしいと思うことがある。研修後も、現場に研修内容を還元できるような立場の人にならない場合があるし、研修後のフォローをしている都道府県を見ても、そういった立場についていないと感じる。この趣旨に沿った形で派遣されるよう文科省からも周知をお願いしたい。

【委員】校内研修のカリキュラム作成の留意点に評価の項目がこれほど必要だろうか。

【委員】学校には、評価という観点自体があまりないので、校内研修の留意点のところで評価について1項目だけでは、何を評価していいかわからないし、評価の必要性を理解してもらうためには、観点をいくつか示した方がよいのではないか。ただ、観点は共通理解系とスキル系の2つぐらいにまとめるのは可能だと思う。

【委員】校内研修の結果として、校内で生徒指導がきっちり機能しているかということも最後に点検する必要があるだろう。

【事務局】見出しも「評価」ではなく、例えば、「研修のねらいが達成され、生徒指導につながっているかという観点からの評価」とか。評価は何のためにやるのかを表題に入れておくと、よりよくなるだろう。

【委員】教育委員会における研修のカリキュラム作成の留意点についてだが、ある市教委では、1年前の研修受講者が2年目の研修のスタッフをやって、フォローアップ講座のような意味合いを持たせながら、教員間のネットワークをつくることを仕掛けており、非常にすぐれた実践だと思うので、1つのサンプルとしてこういう観点もあるということを入れ込んだほうがおもしろいと思っている。また、「休業日の研修と有料の研修の開催の可能性」については、報告書で示すことによって、教育委員会はそういう可能性もあるのか、と検討できると思う。

【委員】おっしゃるとおりだと思うが、休業日の研修と有料の研修の2つだけが書かれるとあまりにも特化されているので、もしこの項目を残すならば、多様な可能性などとして、例として出すぐらいのほうがいい。

【事務局】しかし、休業日や有料の研修をお勧めするように受けとめられるのはよくないと考える。事務局で検討することとしたい。

【委員】「関連した書籍等を紹介する」という部分は、具体的には書籍の販売などを想定している。ある教育センターでは研修時、講師の書籍を後ろに並べるなど、いろいろな取組をしている。一般化すると、研修内容に関連したデータ、資料、政府刊行物等さまざまな情報を紹介する、という趣旨。

【事務局】では、「書籍・資料等を紹介するなど自己研鑽により研修効果を高める工夫をしているか」ということにしたい。

【委員】アの「国における取組」のところでは、環境づくり、つまり側面的なサポートについて書いていると思うが、「生徒指導提要」やこの報告書の作成という生徒指導の指針を示していくということも必要ではないか。

【委員】「連携担当者の配置」のところで、「教育委員会としてスクールソーシャルワーカーなど」と出ているが、「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなど」と両方並べたほうがいいのではないか。

【委員】ここは、コーディネーター的人材にかかる言葉なので、スクールカウンセラーもそういう役割を担うことを強調することになってしまうのではないか。

【委員】臨床心理士の中には「臨床的地域支援」という言葉があるが、スクールカウンセラーの業務としてコーディネートのことは重視されていない。一方、スクールカウンセラーも相談室にとどまらずに、外に向かっていくことの重要性は言われているところであり、現場のスクールカウンセラーの中では、そういう方向性がなければ、役に立たないのではないかという認識は増えている。ただ、スクールソーシャルワーカーとの差別化がないと、同じだったら2つ入れる必要はないだろう。

【委員】今、スクールカウンセラーが、学校現場だけではなく、適応指導教室などに所属しているところもあり、多様な関わりが行われていると思う。なので、連携担当者の配置、学校がチーム支援できる体制を整えるという部分でスクールカウンセラーと言う言葉を入れておいたほうがよいという気はする。

【委員】現実に学校では、名称はさまざまだが、教員が連携担当者となっていることが多い。なので、特定の職種だけ挙げると、学校では「うちにそういった人はいない」とか「現実にはそこまでやってもらえない」ということになってしまう。

【委員】コーディネーター的人材は、教員の場合も専門家の場合もあり、連携担当者の配置は教育委員会が考えるべきことと思う。ただ、ここで、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを並べてしまうと、スクールカウンセラーの業務がここまで広がるのかという議論が出てくるのではないか。だから、例えば、コーディネーター的人材の配置とスクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーを並列にして、学校がチーム支援できる体制として、専門家とコーディネーター的人材の配置を教育委員会が考える、という流れにするのはいかがか。また、見出しに「連携担当者」と書いてしまうと、限定されてしまうように思う。

【委員】コーディネーター的な人材の配置という議論のほかに、スクールカウンセラーを筆頭にするようなチーム体制の中での、外部人材的なものへの配慮、実際現場に入っている多様な支援人材へのバックアップということも必要だろう。

【委員】コーディネーター的な人材の配置を行う際に、コーディネーター的な人材とは、例えばスクールソーシャルワーカーになる。だから、むしろ(オ)として、外部人材の話を別にして、そこにスクールカウンセラーなどを入れるか、もしくは、この(エ)の中に書くなら、「スクールソーシャルワーカーなどがコーディネーター的人材の配置を行うなど、学校がスクールカウンセラー等の外部人材と」というようにすればおさまりはよいのではないか。要するに、学校としては、スクールカウンセラーなら今でもいるからいいということではなく、それとは違う視点を持った人がいるということの話にならないと、生きてこないと思う。

【委員】チーム支援体制をつくることは、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーではできない。これは、学校の課題。スクールカウンセラー等活用事業で、活用する主体は学校で、スクールカウンセラーは活用される側。だから、チーム支援体制となると、実は学校側がどうするかという話だと思う。分けて書くなら、チーム支援体制の話を別にして、そういう外部人材を学校側がどう活用するかを書き、あえて一つにするならば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを教育委員会は導入し、チーム支援体制を学校側が強化するような仕組みをつくっていくという話を加えることになると思う。いずれにしても、外部人材自体がチーム支援体制をつくることはできないのであり、チーム支援体制をつくるのは学校であって、チーム支援体制をつくるために教育委員会がすることは、学校の担当者を対象に研修するようなことである、となるのではないか。

【委員】見出しの「連携担当者の配置」を「チーム体制支援の整備」として、「スクールソーシャルワーカーなど」の中にカウンセラーも含めるという解釈をして、各機関をつなぐ人材を配置するのは教育委員会の役割なので、「人材の配置など、学校がチーム支援体制できる体制を整えることも有効と考える」と整理する。もう一つ、「校内の支援体制」については、次の「学校における取組」の中へ入れて書き改めて、先ほどの外部人材の例示に挙がっていないスクールカウンセラーなどを含めて書くのもやり方かと思う。つまり、「学校における取組」の中にもチーム支援という観点をしっかり立てて、様々な人材を活用してチーム支援をやることを書いておく。一つにまとめるのは議論が無理だと思う。

【委員】日本の生徒指導がうまく回ってこなかった大きな理由は、生徒指導が問題行動等への対応にとどまる場合があったことと、もう一つ、生徒指導と教育相談の乖離という問題があると思う。それが指摘されなくてよいのか。「生徒指導提要」でも、文科省の教育相談の報告書でも、教育相談は生徒指導の中核的な役割を果たすとことが指摘されているが、現実には乖離しており、両者の融合、統一を図ることが必要だという文面が必要ではないかと思った。

【委員】おっしゃることはよくわかるが、ここは重要な問題提起の部分なので、それを受けてどうするかということが報告書の中にないことになってしまう。

【委員】「教育相談」という言葉そのものは、報告書にはあまり書かれていないが内容的には含まれているので、生徒指導をいわゆる問題行動対応的なものとしてとらえるだけではなく、相談的な視点、発達的な視点も踏まえてやっていく必要があることを入れたほうがよい気はする。

【委員】従来の生徒指導は、狭い意味での生徒指導と言われる問題行動対応的なものと教育相談との乖離があった。しかし、これまで、生徒指導とは問題対応だけではないことをさんざん繰り返してきた。ここで生徒指導と教育相談の乖離と言うときに、狭い意味での生徒指導と教育相談をくっつけないまま生徒指導と教育相談と言うと、やはり生徒指導と教育相談は別ものということになってしまう。せっかく生徒指導の概念そのものが発達的なものも含んで、生徒指導と教育相談が本当は表裏一体であると言うのであれば、生徒指導一本で押していかないと。生徒指導は、教育相談的なものも発達的なものも含めたもので、自己指導能力の育成と言われてきたのはそれだった。ここでその議論を蒸し返すようなことは避けたほうがよいのではないか。むしろ、先生方が読んだとき、生徒指導を教育相談として読み換えても通じてしまうとしたら、実はそれこそが古い意味での生徒指導のイメージではなく、両方が融合したものということになる。

【委員】現場では、教育相談担当と生徒指導担当がうまく融合できてない例があり、教育相談系の先生が、この報告書を自分に関係ないとしてしまう可能性を危惧している。そういう意味で、教育相談がうたわれてないと、狭い意味での生徒指導しか念頭に置いてない方の手にとってもらえない可能性が出てきてしまうと思う。

【委員】それは、「生徒指導提要」そのものをもう一回広げていく中で乗り越えるべきであり、それでも書くのであれば、狭い意味で生徒指導をとらえ、教育相談的なものとそれとは別だと考えるような風潮があったという文章にする。生徒指導・教育相談と並べてしまうのはよくない。生徒指導担当の指導主事会議で、実は生徒指導主事と言っているけど教育相談関係の人来てもいいんだ、と言うくらい根本的にやっていかない限り難しいだろう。

【委員】つまり、この報告書は、「生徒指導提要」につなげていくための、導くためのきっかけになると思うので、生徒指導が教育相談を含み込んだ広いものであることが、前段のところで読み取れるとよいと思う。

【委員】では単純に、「教育相談との乖離という問題も指摘されてきた」と加えてはいかがか。

閉会

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室