生徒指導に関する教員研修の在り方研究会(平成22年度)(第6回) 議事要旨

1.日時

平成23年3月7日(月曜日)14時から16時

2.場所

文部科学省5階 5F1会議室

3.議題

  1. 協議

4.出席者

委員

森田座長、嶋﨑委員、相馬委員、花輪委員、本間委員、柳田委員、若田委員

文部科学省

磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、井上児童生徒課長補佐 ほか

5.議事要旨

開会

議事

【委員】「ニーズを特定する」という表現は、例えば「ニーズ」を「児童生徒の要求」とか「必要とする中身」とか砕いた表現にするのがよいのではないか。

【委員】生徒指導の必要上中核教員という位置づけはあるが、教職員構成が今後非常にいびつになっていくので、次世代を担うリーダーの能力を生徒指導体制の中で培っていくことは大事なポイントだろう。よって具体的に中核教員の必要性も言っておく必要がある。学校の教員構成の必要性をどう考えればよいか、また、そういった観点から中核教員の位置づけができないか。

【事務局】中教審で言われているような年齢構成のいびつなところについては、ベテラン教員からのノウハウや技術が伝承しづらいということか。

【委員】制度として、教員採用において社会人からの中途採用を進めることでいびつな構成を修正するという観点がある。その辺を生徒指導の研修でうたうべきかうたわざるべきか。

【事務局】ほかの分野でも、伝承するところがちょうど真ん中で切れてしまっていて、県別に見るとぞっとするような状況があったりする。

【委員】そういったことを最初の目的に書き込むと収まりがいいと思う。あとがきでもいい。リーダー養成というような名称はあっても、わざわざ「中核教員」というカテゴリーを設けたことは、これまでにはなかった、初めてのことなので。

【委員】「コミュニケーションを図れる力量」とあるが、これは前段の5つの力量を発揮するための手法であり、力量であれば生徒指導主事以前の一般教員や中核を担う教員に必要な力量であって、生徒指導主事はだれとでもコミュニケーションを図っていく必要があるということではないか。また、「特別支援コーディネーター」というのは高等学校にはいない。「欠かせない」ということになると、小・中と支援学校が主になるということを加えておく必要があるだろう。

【委員】ガイダンスプログラムの作成についてはすでに文章中に含まれているということで、特に記載はしなかった。また、「コミュニケーション」の記載については、各力量をうまくいかせるために「図る必要がある」という意味合いで書いたので、「図れる」ではなく、「図る必要がある」くらいにしたい。「生徒指導主事に求められる専門的で高度な力量」という表題については、今の「生徒指導提要」の流れが、生徒指導主事はみずから先頭に立って引っ張っていくというよりも、いろいろな人の力を集めて調整するコーディネーターという力がより前面に出てくると思う。「高度な」というと敷居が高くなって、だれでもやれるものではなく、特別な人しかやらなくなってしまう。そうすると、いつまでもスーパーティーチャーの存在という話になってくるので、調整してコーディネートするというのは専門であるとは思うが「高度」とまで言っていいのか、と思う。

【委員】あるべき姿はどうか。現実はおっしゃるとおりだが、中堅もミドルリーダーも含め、一般教員も含め、そしてその上で生徒指導主事という職務分掌を考えた場合にコーディネートだけでは・・・。しかも、学習課程と連動しながら、一定のカリキュラムなりを生徒指導の観点から入れなければならない。アセスメントにしても、いろいろな方の意見を立てながらしなければならないし、個別対応にしても、方針、見立てをアセスメントしていかなければならない。それから、調査分析についても、単に子どもだけではなく、学級や学校の中で抱えた子ども、あるいは地域、家庭についての調査分析能力も必要になってくる。そういうものを踏まえた上で、連携、調整というコーディネート力が発揮されていく循環の中で、生徒指導は動いていかなければいけない。

【委員】そういったことはもちろん必要だと思うが、それを「高度」と言うと、例えば、来年から生徒指導主事をやってくれと校長先生に言われたときに、「私には高度な力量というのは厳しいですよ」となりかねない。もちろん、アセスメントや調査分析というのは、優れた人がいたらその人にお願いするけれども、自分もわかっていないと頼めないので必要だと思うが、それは「高度」というより「専門的」な力かと思う。

【委員】文章の中で「専門的」と入るのであれば、特出しではないと思う。ただ、表題では、いきなり「専門的で高度な力量」と出さずに、生徒指導を進めていく上で、専門的な視点に立って求められる生徒指導主事の力量というように、書き方を考えて、専門的なものは要るけれども、あまり突出しないような表現にするということでいかがか。

【委員】「高度な」を外して「専門的な」でもいいような気がする。2つ言葉を並べるときつくなるので。

【委員】最後の中教審答申の経過報告の部分が何を言わんとしているか。ここは、生徒指導だけの専門性で言うわけではなく、いろいろな分野についての話だと思うのだが。ほかは「こういう力量が必要だ」と書いてあるところに、ここだけ、中教審答申の経過報告において「こういうところが期待される」という書き方で、果たしてこの意味がどのようなところにあるのか。それから、最後の段落については、むしろ大いに活用されたいぐらいのほうがいいかと思う。

【委員】中教審答申のことについては、生徒指導区分の専門免許状の問題の話の中で出てきたと思うので、前置きは省略して、専門的な力量というものの重要性が指摘されているという感じで押さえておけばいいのかなという気はする。

【委員】まだ固まったわけではないが、これまでの提言や中間経過の中で、例示に書いてあると、これからの検討課題の中心になっていくという位置づけではあるので、それを活用しない手はないと思ったところ。今後、生徒指導は、一般教員が明日からお願いしますよというものでは済まなくなる、ということは現場の中では確かで、専門免許状ができるかできないかにかかわらず、それに等しいものになっていくだろう。ただ、生徒指導主事の場合、単に4年間の免許で、学部で出せるような仕事柄ではないということも確か。それなりの現場経験も踏まえながら習得していく部分と、いろいろな知識、技術を身につけていくことも同時に必要になってくる。だから、それが免許状として、これから区分の中でほんとうに確立するかどうかということは念頭に置きつつも、しかし、それほど重要だということでもある。

【事務局】今のご指摘を踏まえると、生徒指導主事に求められる今後の専門性なり資質向上の何かに関してはとういうような言葉が最初に入って、ちなみにみという感じにしたほうがいいかもしれない。

【事務局】力量について、例えば「5つ」と特定している記載があるが、「次のような」という表現にするとか、「6点」という記載も「主なものを挙げれば」という表現のほうが自由かと思う。

【委員】求められる力量は「主として次のようなことが挙げられる」というような表現にするとやわらかくなるだろう。だから、「次の6つの力量」というところも「主な」というような表現にしたほうがいい。というのは、この6つで集約できるのかどうかということはここで本格的に議論していないので。

【委員】個人的には、生徒指導主事に求められる力量というのは教員として広くあるものなので、表記の仕方を工夫すれば、これだけではないということは当然わかると思う。校長先生が「生徒指導提要」をはじからはじまで読むかというと、現実的ではないので、そうしたときに、ここだけは管理職として押さえてくださいという意味で、ポイントを絞って「生徒指導に関しては」ということで示されていると、研修を行う上では非常に取り出しやすい。

【委員】非常によくわかるのだが、先ほどおっしゃっていたように、そうしたら校長に必要な力量はこれだけかと。もうちょっと幅広いものになってくるので、もう少し固まりで3つか4つぐらいにした形のほうがいいのかなと思う。「コーディネート力」であったり「コンサルテーション力」というのは生徒指導主事とも重なるので、そういうことを考えて、最低校長にはこういうことが必要だという3つぐらいのパラグラフで包括した表現のほうがよいのでは、とも思う。どちらがいいかというのは判断に迷うところだが。

【委員】私はいつも管理職に必要な力量を10個挙げているのだが、今回は6個に絞った。絞ったのだが、今おっしゃるように重なる部分がある。ただ、コンサルテーションなどは、まさに管理職にお願いしたい気もする。コーディネートは確かに、管理職のマネジメントの中に入る。

【委員】例えば、「危機管理」と「法的知識」あたりのところを1つぐらいにして、「組織開発力」と「コンサルテーション力」のところで人材育成的に書いて、「カリキュラム・マネジメント力」というのを日本語に替えて事後の教育課程をつくり上げていくというようにする。そして、人材の育成、それから事件が起きたときの危機管理と法的処置という形でいかがか。

【事務局】確認だが、「第一」のところでポイントになるのがカリキュラム・マネジメント力、要するに教育課程全体に生徒指導を行き渡らせるという意味合い。2番目のところは、マネジメントといった意味合い。そこにはコーディネーターとかコンサルタントが入るかもしれない。3番目に危機管理ということで法的な知識も入れてという3つのくくり。

【委員】内容的にはいいが表現の仕方の問題として、読み手からすると、こういうことを国はしていますという表現で書かれているので、研修の役割ごとの在り方ということでは、例えば、そういう全国レベルの人材育成が国としては必要なんだということが書かれて、こういうことをしていますという表現のほうがいいのではないか。どういうことが必要だということが文章の中に入ってしまっているので、「在り方」というタイトルで読むとずれがあるように感じる。

【委員】だれがだれに言っている、というところにかかわるのだが、例えば国が、必要なことでこういうことをやっています、というのはいい。まず、それを前文に持ってきて、研修に出てくる教員はどうすべきで、送り出す側の教育委員会はどういうことが求められるというように、地方の教育委員会なり、研修に出てくる一般教員に対する書きぶりにすると、研修へ結びついていく気がする。こういうことをやっていますというところだけでは、少し弱い気がする。地方教育委員会に研修をどのように活用しなさいと、それから出てくる教職員にはどのように活用しなさいという書きぶりもありかと思う。そうすると、より必要性が浮かび上がるだろう。

【委員】「学校の管理職への生徒指導の推進を図ることが重要である」という一文がどうしても理解できないのだが、どう理解すればよろしいか。

【委員】今まで管理職研修の中に、生徒指導プログラムが入っていないことはなかったのだが、「生徒指導提要」の意義を十分踏まえて組み込まれていなかったというところがあるので、管理職研修においても学校教育の重要な1つの柱としてこの生徒指導を推進していくという意味で、管理職の中央研修に盛り込んでほしいということが骨子だろう。

【委員】だから、下から4行目の最後のほうの「管理職の養成を通じて学校の生徒指導の推進を図る」でいいのではないか。管理職研修を通して各学校の生徒指導が推進されていくという趣旨だと思うので。

【委員】ここは教員研修センターでの研修内容だけでよいのか。つまり、生徒指導関係のところを広くとらえると、国の研修というのはいろいろな角度からある気がする。例えば、センターで管理職マネジメント中央研修や生徒指導研修等があるが、それ以外は載せる必要はないか。

【委員】ここにはもう1つ都道府県の生徒指導の研究協議会が入っている。

【委員】今までいろいろな形でやっている例えば不登校問題や、いじめ問題だとか自殺予防教育だとか、それらのこともある程度出していったほうがいいのかなと思う。教員研修センターが絶対に必要だということを言い過ぎると、逆に、ほかはどうなのということになる気がした。「また」として、幾つかさらに並べておくことも必要なのかなと思う。

【事務局】国の研修は教員研修センターでやるという大名目があったので、それに引きずられたが、実態としては、ご指摘があったように、さまざまな協議会とかアドホックな研修会もやっているので、それらも踏まえて書き込んでみる。

【委員】いくつか並べて書くのであれば国研の会議も含めていただければいいと思う。

【委員】現場からすれば、名称だけでもあったほうが、国でこういうことをやっているんだということがわかっていいだろう。

【委員】生徒指導に関連するさまざまな研修や協議会、そのほかこんなのもあります、という文章が入ってもいいかもしれない。

【委員】「国における研修」というタイトルだが、国でやっている情報交換とか協議会を研修と言ってしまっていいのか。タイトルを工夫する必要があるだろう。指導主事は研修に来ているということになると、大丈夫かなという気がするので。

【事務局】確かに「研修等」とかにしてもいいかもしれない。あるいは「研修など教員の資質向上のためのさまざまな仕掛け」とか「仕組み」とかにしたほうが思い切り書ける。

【委員】教育委員会における研修の留意点と学校における研修の留意点とでは記述のスタイルが全く違うので、このあたりどう整理するか。しかし、片方は学校における研修、片方は教育委員会というところで、観点が違うので異なっていても悪くはないとは思うが。

【委員】できれば、教育委員会における研修の記載も4つぐらいにまとめていただいたほうがわかりやすいとは思う。羅列するとわかりにくい。

【委員】ただ、教育委員会の方の記載のメリットは、チェックポイントになっている。だから、これが自分たちはできているかを検討しながら改めてもう一遍プログラムを考え直すことがしやすい。そういう意味で、教育委員会と校内とは少し違っていて、校内のほうは、地域や学校の事情がかなりあるので、一般化されたチェックポイントのような観点では評価しにくいというか、プログラムの開発がやりにくい面があると思う。

【委員】大前提として同じカリキュラム作成の留意点ということであれば、表記はそろえたほうがいいのかなと思う。ただ、読み手側として、教育委員会の方は、見たときにチェックしやすい。校内研修の方を見たときにも、やはりまとまっていて、それはそれでいい感じはする。どちらもよさがあるので思案中。

【委員】それぞれ一長一短だと。具体的なのはチェックポイント形式のほうがわかりやすいのかなという気はするが。

【事務局】教育委員会の方の記載は、カテゴライズ、分類していただければいいのではないかと、事務局的にはそう思った。

【委員】校内研修の方の記載も文末をちょっと変えて「いるか」とかそういう形にすれば同じような感じになると思う。

【委員】言葉の使い方の中で、「予防的・開発的生徒指導」や「開発的・積極的生徒指導」という言葉についてはどうするか。

【委員】一番当たりさわりがなくて無難なのは、「生徒指導提要」の1ページに書いてある役割のところでの「成長・発達を促進する」という表現で、すべての子どもにわたる生徒指導という観点を表現しているのだろうと思う。大きく「成長・発達を促進する」というところへ集約したほうがいいだろう。いろいろと立場や主張があるところなので、特定のところへ偏らないほうがいいような気がする。

【委員】評価の部分について、このとおりでいいと思うのだが、読み方によっては、最終的には、具体的な個別課題の解決なり数値での評価につなげたい、ということで、単に「数値」の減少、例えば、いじめなどの数値の減少というふうに読まれないか。いじめなどは件数が少なければいいかというと、そういう問題ではない部分があるので、数値を下げればいいのか、ととらえられないか危惧がある。なので、こういったことでやっていけば、最終的には数値が下がる、というような書き方のほうがいいのかなと思った。ただ、そうだと研修効果の評価にはならないのかとも思う。

【委員】趣旨はよくわかるのだが、例えば、予防的生徒指導の観点がこれは重要だということを最初からうたっている中で、やはり誤解を受けるのかなと。例えば、スモールゴールを設定するというところが、間に、そういう取組がどれだけなされたかということが評価につながって、今おっしゃったように、その上で、これが結果的に学校で問題行動にもいい影響が出るし、子どもたちが必要な能力を身につけていくということにもなるのかなと。だから、「最終的に」というとちょっと誤解を受けるかなと思う。

【委員】ということは、「最終的には」の前に、1つは、すべての子どもたちの成長促進につながるものであったかどうか。具体的な個別課題の解決であるとか数値の減少は例として挙げていただいていいが、減少の数値や課題の克服につながるものであったかどうか、という評価につなげたい。少し抽象化していただいたほうがいいのではないか。

【委員】小学校における生徒指導、生徒指導体制に少しウエートを置いた記載が、国と教育委員会にも少し必要な気がする。

【事務局】「生徒指導提要」も小学校における生徒指導も重要だと、そこから始まっているので、そのあたりを書き加えるようにしたい。

【委員】国として、小学校からの生徒指導には特にこういったことが望まれるとか、何かないといけないだろう。

【委員】教科にわたる学習課程と一体化しながらやっていくというのも国の1つの取組の方針だし、小学校というのも1つの方針になる。だから、そういう強調点のようなものを頭へ入れておいたほうがいいような気がする。あるいは「今後」という形で最後にいってもいい。それから、教育委員会の取組についても、最初、小学校における生徒指導の明確な位置づけというのが入っているが、その中に、生徒指導体制の話が要ると思う。少し工夫していただいて、生徒指導体制の中でこういう担当の問題が出てくるという位置づけのほうがいいかもしれない。

【委員】生徒指導主任のところで、「行政的支援や人的配置の工夫により」というのは、教育委員会の立場ではちょっと厳しいものがあると思う。「置くなどの支援が求められ」の「支援」が「配慮」くらいだといい。

【委員】教育委員会の取組の中で、教育委員会が大学とか国、あるいは企業と組んで研修を行うという視点が必要だというご意見もあったので、これも少し加えていただいたほうがよい。後の例示の中にも、大学との連携の中で研修を進める事例が入っているので。教員研修は今後、免許更新にしても何にしても、大学と教育委員会との連携・協働というのは非常に大事になってくる。

閉会

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初等中等教育局児童生徒課生徒指導室