生徒指導に関する教員研修の在り方研究会(平成22年度)(第5回) 議事要旨

1.日時

平成23年2月2日(水曜日)10時から12時

2.場所

文部科学省旧庁舎2階 第1会議室

3.議題

  1. 協議

4.出席者

委員

森田座長、市川委員、栗原委員、嶋﨑委員、相馬委員、野田委員、花輪委員、本間委員、柳田委員、若田委員

文部科学省

磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、井上児童生徒課長補佐 ほか

5.議事要旨

開会

議事

【委員】本研究の目的の書き方について、後半の「一般」、「中核」、「生徒指導主事」、「管理職」という順に沿ったほうがいいかと思う。

【委員】後半の柱立ては、研修の具体的な中身で、一般的、基礎的な広がりから専門性へ高めていくという記述になっている。一方、職位からいくと管理職、生徒指導主事という順になる。この報告書の目的は、研修を広く基礎的な部分から専門性へ高めることだと思う。「生徒指導提要」の趣旨を踏まえて目的の部分も一般教員から中核という順番にする考え方もある。

【事務局】一般の教員すべてに、というところから始まり、その後職位に応じて専門性を身につけ、管理職に至るという流れにする。

【委員】「中核教員」について、この文章を素直に読むと「生徒指導を主として担当し、生徒指導の中核となる教員」を中核教員にしているが、現場では、これは生徒指導主事だと思われたり、学年主任や学習指導主任、生徒指導専門主事ではないが当然中核となるべき人が、生徒指導は主ではないから一般教員に入ると思われたりする可能性がある。学年主任など他の言葉に代えるなど、とらえ方をそろえておいたほうがわかりやすい。

【委員】生徒指導主事と誤解することはないと思うが、「中核教員」のニュアンスが伝わる示し方をして、学校現場で一般の先生方の中にいる明らかなベテラン層や、知恵、経験を積んでいる人と入ったばかりの人とを二分しておくことは意味があると思う。やはり幾つか想定できる例示を示していただけたらと思う。ベテランの先生が自分のことだと思うための、リアリティーが伝わる工夫が要ると思うので。

【事務局】生徒指導主事は、施行規則にも書いてあり、ポジションもある。「中核教員」とは学校の中で生徒指導主事と協力しながら、生徒指導を支えるグループをつくれるような教員。学校によっては学年主任などの役職のある人が生徒指導部を形成し、生徒指導主事プラス中核教員というところもあれば、教科担任だけしているベテランの方が、学校教育活動に適宜加わっているところもある。あるいは、生徒指導主事に二、三年後になるような予備軍のような人かもしれない。要するに生徒指導主事を取り巻くベテラン集団や、役職を問わずいつでも生徒指導主事になれるような人や、生徒指導主事に必ずしもならないが、かなり生徒指導については力を持っている人という理解でよろしいか。

【委員】確かに学年主任担当は中核教員に位置づけられる気がするが、「生徒指導を主として担当し、生徒指導の中核となる教員」とは一般教員。つまり、普通の教員が日常的に行うことを大事にしなければならないと考えると、やはり言葉として違う感じがした。中核教員と一般教員は同じ立場。ただ、中核教員のほうがよりリーダーシップがある。

【委員】私のイメージは、ちょっと困っている先生がいて、生徒指導主事が出るほどでもないときに、自分のことだけではなく、周辺も目配りして支援できるような人。生徒指導のときにグループを構成して対応するという文化を「生徒指導提要」では求めているが、学校現場にはまだそれが息づいていないので。そうなるとベテラン教員などになるが、「生徒指導を主として担当し」という表現があると逆に、生徒指導上の校務分掌的なものを持たざるを得ないという方向へ引っ張ってしまっているような印象がある。

【委員】中核教員の説明を簡単な用語で例示されたらいいかと思う。

【委員】星で示した表は非常にわかりやすいが、横軸、つまり一般教員としてどこにウエートをかけるかという視点で見るのか、縦で、この人はここを中心に担うためにウエートをかけている、と見るのかによって、この表の読み取りがかなり違ってくる。この読み方をクリアにしていただけるとよい。

【委員】いわゆる職位内比較なのか、職位間比較なのかという話だが、横軸と縦軸どちらを優先するか。それとも、統合する方法があるのか。

【委員】表の取り扱いについては、職位間、職位内、それぞれの問題もあるので検討することとしたい。

【委員】報告書本文は、「生徒指導提要」と独立して、こちらの意図を伝えることに主眼を置いたほうがよいと思う。

【委員】「生徒指導提要」自体が相当大部なものなので、研修を組んだりするときにはもう少し詳細な対応関係が見えたほうがいいだろう。それは、先ほどの表があるなら、そこを参照するのでもよいかもしれないし、脚注ないし、注のイメージで「生徒指導提要」との接続が見られると、使いやすい気がする。

【委員】本文の中に1対1対応させると、非常にかたくなってリジットになってしまう。それ以外はやらないとか、必須感みたいなものが出てきてしまう。例えば、「一般教員の視点で確認しておく」というような、研修の意味、意義に結びつけながら解説を加えるのが表現としてよいかと思う。対応関係ではなく、研修と結びつけながら少し書き加えていただくことにしたい。

【委員】生徒指導の趣旨も、「生徒指導提要」の趣旨も生かして、通常カリキュラムにどう生徒指導を溶かし込んでいくかという視点は、「生徒指導提要」の大きな特徴で、これからの生徒指導にとって大事な視点なので、皆さん共通の視点として置いていただければと思う。問題対応だけではなくて、今後大事な視点になってくると思っている。

【委員】生徒指導主事に求められる力量について、ガイダンスプログラムを学校の中に入れ込んでいくという色が欲しい。それから、特別支援への目配りというようなことは実際には重要だが、生徒指導主事が動かなければならないことなので、そういった記載があるといいのではないかと思った。

【委員】生徒指導主事が積極的にプログラム開発し、連携・協働の体制をつくらなければならない。それから、特別支援については、「生徒指導提要」でも全体を特別支援の観点から改めて見直し、完成させた。この2つの視点は大変重要だろうと思っている。

【事務局】特別支援教育への目配りとは、具体的には、特別支援教育のコーディネーターやいろいろな職、立場の人たちとうまく連携するとか、発達障害を含めた特別支援に対する指導や対応の仕方について、生徒指導の方針をつくったり、研修をしたりというときに、必ずそういった視点を入れていくとか、そういう意味。

【委員】今、特別支援のコーディネーターに丸投げしたり、生徒指導と別物になって、学校としての動きになっていないということが実際に生じていてまずいと思う。

【事務局】特別支援を取り込むことについて常に意識して、率先して取り込んでいくという役割を生徒指導主事が果たさなければならないということ。

【委員】実態は、普通学級の中で一緒にやっているので、それにどう対応していくか。これは生徒指導の観点からも、特別支援の観点からも、あるいは担任、教科、教務主任、進路指導、全部がかかわらなければならない。

【委員】小学校のように生徒指導主事を職務上置いていない構造のときに、どう想定するのか。規定上は置く必要はなく、むしろ置いているところは厳しい状況でよっぽど加配が多いところ。事実上は教頭などの管理職が対応して、ポストとして置いていないところのほうが多いし、規模が圧縮され、置いていたところが引き揚げられている例もよく見る。

【委員】東はほとんど置いていると思う。ただ、手当があるかないかは別。

【委員】生徒指導担当者として置いても、それが例えば教務主任であったり、兼任していることが多いと思う。だから学校の中で分掌として生徒指導という位置づけの名前にはなっていない学校も多々あると思う。

【委員】生徒指導担当とか、主幹とか、主担とか、そういう言葉を一緒に重ねた書き方をしないと実態に合わない。

【委員】学校によっては、新任の先生をまず生徒指導担当にして、そこで勉強させる場合も小学校は結構ある。

【委員】その辺は体制を固めていかないと。今回もせっかく「生徒指導提要」で小学校の課程にウエートを置いたわけなので。

【委員】そうであれば、これは主事だけではなく、担当も含めなければならない。

【委員】予算措置等々もかかわるが、後の「研修の在り方」の国、教育委員会、そのあたりで小学校へ少しウエートをかけるような文言を入れたほうがいいだろう。

【委員】「研修の在り方」の国における取組について、今までの議論を踏まえると、もう少し今後こうあるべきであるとか、根本的な概念でもいいと思う。

【委員】むしろ、eラーニング等の研修プログラムや、教員養成を行う大学なども、ここに書いたほうがすっきりするのではないか。ただ、免許状更新講習については、やっている当事者として非常にやりにくいというのが現実。大学に対し、ある程度こういう形でやってという内容を出さないと難しい気がする。

【委員】「カウンセリングマインド」という言葉は、今回の「生徒指導提要」等の中でも用語としては使っていない。学術用語ではないので、むしろ「カウンセリングスキル」などのほうがいいのかと思う。場合によっては具体的に書いていくのも1つの方法かと思うが。

【委員】カウンセリングマインドというと、もっと広く心構え、態度みたいなものも全部入ってくる。だから、マインドをスキルとは考えない。

【委員】とすれば、むしろ日本語の共感的な態度とか、尊重的態度とか。

【委員】いろいろなものがそこへ入ってくるので、言葉としてはいいのではないかと逆に思う。ここはあまりスキルに特化しないほうがいいだろう。

【委員】気をつけなければならいのは、カウンセリングマインドだけ一生懸命言っていれば、いわゆるカウンセリングが理解されるというような風潮があったと思う。そういう意味でカウンセリングマインドの中身が問われるので、例えばグループアプローチの諸技法や、共感的な態度や信頼関係が必要であるといった言葉を入れたほうがいいと思った。

【委員】研修効果や評価は議論するといろいろなポイントが出てくるので、こういう視点は必要だというところ、趣旨や意義でとどめておき、具体的な評価ポイントは触れない方がよいかと思う。

【委員】エビデンス・ベースト・プラクティスという言葉があり、評価をして、それを次の実践に、あるいは次の研修につなげていくということも入れ込んでもらったほうがいいかと思う。

【委員】それから、日ごろからの評価、あるいは点検も必要だということを書いていただくとよい。

【委員】国の取り組みでは教員養成大学というのが前提になっているが、小学校だと6割ぐらいが教員養成大学出身だが、中・高と進んでいくと逆転していく。だからとりわけ開放制の場合には、生徒指導に関して若干問題があるところがあるので、教員の意識、大学の先生の意識を高める仕掛けとして何か国ができないか、何か言えないかなという気はしている。

【委員】それから、課程認可の問題や事後評価の観点もあり、教員免許更新講習とも絡んでくるので、その辺を少しにらみながら書いていただきたい。併せて、生徒指導主事に求められる力量について、中教審において教員の資質向上のところで専門免許の例示に生徒指導も入っているので、それをにらんだ書き込みも必要かと思う。

【委員】先ほど議論にあった小学校における生徒指導主事の明確な位置づけというのは非常に大切なので教育委員会で仕掛けをしなければならないだろう。ただ、小・中においては、小・中学校の教育委員会規則は、各市町村教育委員会規則に入れなければならない。本県は児童指導主任として全小学校に生徒指導の担当者を配置して手当をつけている。手当の額は中学校の生徒指導主事と同額。このことが逆に珍しいということを、本県の先生はだれも知らず、全国でついていると思っている。また、教育委員会で何をすればいいのか、県と国と市町村と学校が役割を分けて、この部分をやるという研修計画がないと、学校もやれと言われてもできないだろう。教育委員会というのは学校を指導する立場にあるので、訪問して現場へ行ってちゃんと指導しなければならない。また、チーム支援として、教育委員会はスクールソーシャルワーカー等、つなぐ人を配置しなければならないだろう。

【委員】「教育委員会には各小学校に生徒指導主任を置き手当を確保するなど」という文言を書いてしまうと、手当を確保しないといけなってしまう。

【事務局】気持ちとしては、そのとおりですべきだと思うが、実際には難しいところがある。

【委員】国の役割だと、小学校にも中学校と同じように生徒指導主任を置くということに、いつか変えてもらわないと。その方向で行けるといいなという感じはする。

【事務局】まずは実態調査から始めている。

【委員】当然、教育3法も変えなければならない部分があり、しかも児童・生徒何人あたりという割り当てになっているので。ただ、その制度は大変結構なことだと思う。

【委員】国の取り組みで、現職教員研修のカリキュラムモデルの開発等について、国は大学と連携して教員研修プログラムを開発するということが書いてあるが、教育委員会がそれを受けるということはどこにも書かれていない。大学で教員研修センターから委託されてプログラム開発をやったが、やって終わり。教育委員会におろすチャンスがない。教育委員会は日常業務におわれて、大学と組むとか、教員研修センターで開発されたプログラムを引っ張ってくるとか、企業と手を組んでその研修プログラムをつくるというところがなく、研修は指導主事が今までのノウハウで一生懸命やっているのが現実だと思う。特に市町村レベルになると、指導主事も苦労しながらやっている現実があるので、国や大学と組んで、こういう研修プログラムだったら回りますよというようなものを提示して、それをやっていくようにしないと、研修プログラム開発まで全部教育委員会の指導主事がやれるはずがないと思う。だからそこのつなぎを教育委員会は記述の中で入れ込んだほうがいいのではないかと思う。例えば「研修計画の提示」というところに、大学等々の連携とか、あるいは国やそういうところで開発したものを活用するみたいなことが書かれていると、そうかということになっていくと思う。

【委員】また、制度的にも問題があると思う。国、独立行政法人教員研修センターから委託されてやっても、報告書を書いて終わり。だから、教育委員会と連携しながら開発すればいい。やれるはず。そこに企業も組ませればよりよい。そういう発想をしていかないと、これからは苦しいのではないか。

【委員】今、中教審の特別部会で、教員の資質向上のところでこれを考えている。大学と、しかも4年間だけではなくて、今後、生涯にわたる研修課程の中で、教育委員会、大学、これが一緒に連携していかなければならないし、場合によっては企業も加わるという仕組みを考えていこうという議論まで来ている。そこから先、具体的にどうするかというのはまだこれからだが、その必要性は十分ある。

【委員】今、教育委員会からやりましょうと言える雰囲気はまずない。教育委員会と連携してやることによってお金がおりるといったようなシステムを作ると多分できと思う。ところが、今、こういう課題があるから、自主的に大学と連携して、という一からスタートするという雰囲気は全くないし、教育委員会でも私たちがいる事務局と研修を中心にやっているセンターとの関係もある。また、人事をやるのは別に置いているので、どこがやるのかという主導権の問題もある。

【委員】逆に言うと、国のところに、例えば国と都道府県が協力できるような施策を打つ必要があるとか、何かそういうのが入り込んでくると、都道府県はうれしいだろう。

【委員】多分、国は国で要ると思う。もう一方で、今の話のように、大学との連携を幾つかで実践したり、研修のときに大学が単発で呼ばれて行っているわけで、その辺をもうちょっと骨太にしていく形で、主体的に双方が歩み寄れるような文言が一、二行入っていると、大学もそのことをてこにしながら物を言える。

【委員】研修プログラムは多分、指導主事が考えていると思うが、そこに大学の教員が入って、プログラム全体を一緒に考えるということができれば、随分違う。

【委員】そういう意味で産官学みたいな枠組みというか、視点を1つ書いてらう。

【事務局】その視点はぜひ必要だ。中教審の中でも特に教育委員会と大学との連携ということを強調して議論しているので、その辺の考え方を入れて、できれば教育委員会側でも、大学との連携という考え方を入れたほうがよい。 

閉会

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初等中等教育局児童生徒課生徒指導室