生徒指導に関する教員研修の在り方研究会(平成22年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

平成23年12月22日(水曜日)10時から12時

2.場所

文部科学省旧庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 協議

4.出席者

委員

森田座長、栗原委員、嶋﨑委員、相馬委員、花輪委員、本間委員、柳田委員、若田委員

文部科学省

磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、井上児童生徒課長補佐、安彦教職員課長補佐 他

5.議事要旨

開会

議事

  • 生徒指導提要では、学校の教育の機能として生徒指導を組織的にいかに進めていくかが大事であるが、今までは、全体でまとめ上げマネジメントしていく点が欠けていたように思う。管理職のマネジメント能力の重要性がいろいろなところで指摘されている中で、生徒指導においても、組織として全体のマネジメントをいかに行うかという観点は非常に大事である。
     
  • 報告書にもかかわってくることだが、各県を比べると、生徒指導に関する指針等について、非常に細かいところまで網羅した県と、比較的大きな方向性を示すだけにとどめた県とでは、網羅した県は大体失敗していると感じる。よって、大事なことを本当に実践しているかという提示の仕方をして、実践やチェックの方法に関しては、県や学校で考えさせるのがよいだろう。学校現場に示したときの落としどころ、バランスがいると思う。
     
  • 生徒指導主事については、生徒指導提要の最初から最後まで全部大事だが、学校組織として生徒指導に取り組むための力量として考え、各職位において重要な点を示すと、もう少し整理できるだろう。
     
  • 本研究会の目的は、生徒指導体制をいかに効果的、組織的に回し、その効果を高めるかにあり、その観点で力量や各職位に求められる資質などを考えることが必要だろう。
     
  • 何を研修のキーコンセプトにするかによって優先順位を考えていくのがよいだろう。校内研修の場合、キーコンセプトは学校の持つニーズだと思うが、それでは優先順位を立てられない。よって、何を考え方の中心に置いて優先順位を立てていくかが、今日の議論の中心になるかと思う。
     
  • とらえ方が問題行動にシフトし過ぎているのではないか。世界の標準は、パーソナリティーの発達を支えるようなプログラム実践などを通して、計画的に子どもたちを育て上げていくことが生徒指導の中核になっているにもかかわらず、それが前面に出ていない。生徒指導の力量と言っても、カリキュラムを作成して計画的に育てていくようなことに焦点を当てた生徒指導を想定するなら、考えられる力量は違ってくると思う。
     
  • やはり未然防止の観点や、教育課程上の観点も重視すべきだろう。学校によっては、問題対応でそれどころではないという意見を聞くが、問題対応と計画的に育てることは並行してできることで、それを今までしていなかっただけであり、その部分をもっと出していくことが必要かと思う。
     
  • 生徒指導の研修となると、従来、問題対応が中心で未然防止や社会性の育成といった点は弱かった感じがある。学習指導と生徒指導は裏表一体だと思うが、授業中に子どもたちの様子を見取っていくような能力が今までの生徒指導の中ではあまり語られず、子どもを見取るときはカウンセリングであるとか、授業の発言の中で子どもたちの集団を形成したりできるはずなのに、集団形成はエンカウンターであるという話がされていて、一番重要な授業の場面を生徒指導がいかに支えてきたかというところが弱過ぎる。問題対応に引きずられずに、日常的な生徒指導力、自己指導能力の育成といったことを積極的に出せればよいと思う。
  • 積極的、開発的なところに焦点を当ると同時に、それは問題対応もするということが見える報告書である必要があるだろう。
     
  • 本来の生徒指導へ立ち戻って研修をやっていただきたいという意味合いは込めたい。
     
  • 積極的生徒指導と消極的生徒指導とか、問題対応と開発的というような二分法的な言い方が80年代ぐらいから随分言われてきたと思うが、なぜそれが今も学校現場で定着していないのかを考えながら、校内研修等のレベルにおいては、具体的な問題対応的なことを含めた学校のニーズのようなものを窓口にする視点はいると思う。そして、それをそこにとどめずに、より積極的なところに結び付け、機能的な発想をしていくのが生徒指導主事や管理職であると思う。理念として書き込んで必要性を強く訴えると同時に、問題対応がそれだけで終わらず積極的なものに結びつき、そのことがまた個別の問題への支援になっていくという、循環的なものを示していく必要があるかと思う。
     
  • 生徒指導提要は学習指導と生徒指導を一体化しようと訴えているので、それを明らかにやっていく必要があるし、その動きは徐々に出てきている。よって、本研究会では、現状の実態の上に乗るのではなく、その先一歩を進めていく必要があと思う。そのためには生徒指導主事だけではなくて、一般教員、中核教員など全校を巻き込んでいかなければできない。また、全校的、包括的という2点が生徒指導でも何にしても欠けている。主役、対象は子どもたちであるから、子どもを一人の人間として包括的にとらえ、成長させていくという視点は、生徒指導を学校教育の機能とする場合に必要だろう。本研究会の中でもそれを基本にしながら、一般教員や中核教員に求められる力量を組み立てるときのベースを力説しておく必要があるのではないか。
     
  • 本研究の目的のところで、学校教育は学習指導から生徒指導まであるということを論理展開し、その上で、どういうことが必要なのかを訴えるべきと思う。
     
  • 教育とはもともと予防であり開発であるのに、治療的なものが生徒指導になっている。よって、例えば、日々の授業において、社会的リテラシーの育成も意識する必要がある、といったような基本的な大きな方向を報告書では示していくべきだろうし、そうした大きい生徒指導とは何かを、研修では何よりも理解してもらわなければならない。そこで、報告書の書きぶりは、初任者から管理職まで、問題対応の細かいカリキュラムというより、そうしたことを中心にしていく。
     
  • 最前線には経験の少ない若い人からベテランまでがいて、問題行動の対応も学級経営もしなければならないとなると、一般教員に求められる力量はかなりあって、それ以外にリードするような力量が求められることとなる。また、今後の生徒指導の方向としてどのような子どもを育てるかをこの報告書がしっかり出すべきで、今までの流れを変えるぐらいのインパクトを与える必要がある。そこで、問題行動への対応だけではなくて、カリキュラムに位置づけて計画的に育てていくことも生徒指導であることを、研修プログラムのモデルとして出していけばよいのではないか。例えば、研修以外の仕掛けのあり方で、学級経営や特別支援など他の研修としっかり関連づけるということがあるだろう。積極的な生徒指導については、具体的に提示しないと現場は問題行動に振り回されてしまう。どんなに問題行動があったとしても、両方必要であることが伝わるようなものにしなければならないと思う。
     
  • 生徒指導は限られた先生だけではなく、皆で取り組まなければ効果が上がらないというメッセージを伝える。生徒指導主事の研修とは、極端に言うと知識がなくても、知っている人にお願いして、うまく先生を動かす視点が大事だと思う。問題行動対応であっても、積極的生徒指導であっても、皆を動かすという点では同じなので、動かすという点を強調するような工夫をすればよいと思う。また、コラムや事例も入れたりするとよいだろう。
     
  • 例えば一般教員の場合には、生徒指導提要の第1章や第2章について、学級経営の研修などで話題にしてほしいという書き方をすれば、何もかも生徒指導に持っていくことにはならないだろう。それから、プログラムは、学校全体として取り組む体制や日々の授業があって、それにプラスアルファで初めて動くのだから、日常的な授業の中でトータルに子どもをいかに育てるかというメッセージや、枝葉末節よりも大きな部分で取り組むということをはっきり出しておかなければならないのではないか。
     
  • 全体の構成として、まず一つは、生徒指導提要を受けて生徒指導を学校教育の機能とし、積極的、開発的生徒指導といった観点を強調した研修のあり方へ持っていくこと。また、もう一点は、研修のための研修のプログラムではなく、生徒指導をいかに実効性あらしめて、子どもたちをいかに成長させていくかという視点から、生徒指導の回し方、全体のマネジメントをどうしていくのかということ。その場合、考慮するのは、全学校的、組織的な取り組み、それから包括的な取り組みという、今までの日本の生徒指導には欠けていた、薄かった部分を強調しながら研修を進めるということだろう。さらに、個別のニーズや、問題行動への対応は、教育委員会の研修のあり方の中で改めて議論を展開することになるだろう。その強調点を、まず報告書の第1、第2の前文のところで掲げ、力量のところでそれを砕いて示し、それを前提にした上で一般教員のところから4段階に分けて示すという形になろう。
     
  • 先ほど問題行動対応の話が出たが、当然、問題行動を起こした子に対しても開発的な生徒指導もする。しかし、現場の先生方は、いわゆる積極的、開発的な生徒指導は結果が非常に見えにくいので、最終的に自分が何をやったかを考えたときには、問題行動対応が非常に達成感があるため、それが残ってしまう。本県の場合、問題行動対応に偏っていたので、10年間ずっと言い続け、研修でも初任研から20年目研まで、すべてそういった考えを入れて行っているが、現場はいまだに生徒指導イコール問題行動対応で動いている。しかし、なかなか実行されていないからと言って、問題行動対応を取り除くようなことを極端に言うと、現場は国が言っているほど甘くない、と取られかねないので、両方並びでいかなければならない。この報告書については対象を全教職員向けなのか、それとも研修を企画する側向けなのかもう少し明確にしなければならない。また、理念的なものが前に書かれ過ぎると報告書が生かされない可能性があるので、そこはスリムにしたほうがよいのではないか。

閉会 

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初等中等教育局長児童生徒生徒指導室