生徒指導に関する教員研修の在り方研究会(平成22年度)(第3回) 議事要旨

1.日時

平成22年11月17日(水曜日)14時から16時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. ヒアリング(生徒指導に関する校内研修について)
  2. 協議

4.出席者

委員

森田座長、栗原委員、嶋﨑委員、相馬委員、花輪委員、本間委員、若田委員

文部科学省

磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、井上児童生徒課長補佐、安彦教職員課長補佐 他

5.議事要旨

開会

議事

(1)各学校から、生徒指導に関する校内研修の取組についてヒアリングを実施した。

(2)ヒアリング結果を踏まえ、協議を行った。協議の概要は次のとおり。

  • 報告書について、トピックを軸にするのか、力量形成を軸にするのかということについては、前回の流れを受けて、力量・資質向上に焦点を当てながら、個別のものを盛り込み、また、盛り込めないものをどうするかという観点になってくるかと思う。
     
  • 幼小中合同研修をする中で地域連携ができたり、生徒指導担当教員等のブロック会などで校外連携機関が出てくるので、こうした仕掛けがあれば、トピック的な力量もつくと思う。一般教員に対するベーシックな力量は出てくると思う。生徒指導主事等が、トピック的な内容を、いかにからめながら力量をつけていくかが課題になると思う。
     
  • 中心的な学校内の担い手である生徒指導主事や、教育委員会の主事たちを具体的にいかに養成していくか。一般の先生方、そこからステップアップし、校内の生徒指導主事を取り巻き、サポートしていくチームの中核的な担い手、そして、それをまとめるコーディネーターという形を1つの組織としながら、いかに職員の資質を高め、生徒指導の機能を学校の中に行き渡らせ、子どもたちの発達をどのように担っていくか。個別の問題はあると思うが、研修のねらいを力量に置くのは1つの考え方である。
     
  • 校内研修での力量形成は、演繹的というよりも帰納的なやり方をせざるを得ないのではないか。しかし、そうすると、トピック中心になってしまい全体的な力量がつきにくい。そこを補う意味で、生徒指導主事や管理職が、直接ニーズに基づくようなボトムアップ的な研修に足りないものや、直接的なニーズではないが長期的には学んでおいたほうがよいことを校内研修に挿入していくため、生徒指導主事や管理職に対してマネジメント力を養成するような研修を入れてカバーしていくしかない。学校にいきなり、演繹的に体系的なものを入れることは難しいので、課題や直接ニーズに基づくものをベースにすべきと思った。
     
  • 例えば、生徒指導のコーディネート力つまり、管理運営能力やマネジメント能力、教員を開発していく能力や、意気消沈、焦り、徒労感などをどう癒していくかというような支援能力などは、生徒指導にとって大変重要になってくるので、提要には入っていないが指導主事に必要な能力になってくると思う。教育委員会レベルの研修と校内研修とでは、また違ったあり方が出てくるだろう。
     
  • 小学校と高等学校とでは学校として取り組まねばならないことが、かなり異なる。また、高等学校といっても様々である。ところが、例えば、発達障害というトピックについては各学校共通性の部分として意識しなければならない。小中連携の話があったが、高等学校で言えば中高連携である。管理職からすれば、共通部分の研修のあり方を全職員に、そして、そこへ持っていくための生徒指導部長、主事の役割をもう少し強力に示していただいてもよいのではないかという印象を持つ。私たち教職員の場合、理論については勉強してわかるが、それを個々の生徒に当てはめたときに、その子に対して次にどうすればよいかという議論ができていないことが多い。
     
  • 横の連携はかなりできるようになってきたが、縦の連携ができていないので、発達段階に応じ、この部分ではこれというのを明らかにしたほうがよいだろう。生徒指導主事の力量について、ベースになるものを引き出し、それを分野や発達段階にも当てはめていくと何か構造的なものができないかと考えている。
     
  • 知識的なことは研修である程度理解できると思う。しかし、子どもとどう接するか、子どもとの距離感やアプローチの仕方など総合的なものが先生の力になっていると思う。よって、その感性を磨けば力量が上がると思うのだが、現場ではどうすればよいかわからない。能力を上げていくための、いろいろな感性やアプローチの仕方とか、距離感の持ち方などを高められる研修があればありがたいと思う。
     
  • 教員の場合、研究授業はやるけれども、例えば、実際に生徒と直面したときにどう対応するかというトレーニングがあまりないと感じる。
     
  • 学校ごとの課題に取り組まなければならないが、研修としては、演習や事例検討が盛り込まれているものがよいと思う。ただし、いろいろな方法があるので、ケーススタディメソッドの知識がリーダーには必要であり、そういう意味で、全体で必要な研修と、立場で必要な研修とがある。学校では演習などを盛り込んだ研修を多く取り入れ、それをリードできるようにするため生徒指導主事等に対して、市町村や県の教育委員会ではどのような研修をするか。
     
  • ここでは4層、ベーシックとアドバンス、生徒指導、管理職となっているが、キャリア教育の中の4領域8能力のイメージがよいのではないか。生徒指導のベーシック版があり、その上にアドバンスがあり、4層で縦に貫けるというような構造がよいのではないか。アドバンスやリーダーレベルに指導力まで求めると、かなりの実技研修的なものを入れないと難しい。よって、モデルを出すときに、時間的な目安などもある程度出さなければならないと思うし、海外の事例なども提示できたらよいのではないか。
     
  • 生徒指導主事は、いわゆるOFF-JTなので、外で体系的なことをやり、校内研修では現実のニーズに合わせて課題的なもの、学年会では現実的ニーズに応じたもの、というような構造を組めればうまく回るのではないか。体系的な研修、課題別研修、現実的ニーズに即する研修それぞれの位置づけを提示できるとよいのではないか。また、例えば、生徒指導主事、一般教員が、それぞれ備えるべきある程度コアな能力があって、それを縦糸とすると、縦糸だけやっていても布にはならないので、横糸も組み合わせるとよいのではないか。
     
  • この研究会における理解では、研修とは大きく言えば二通りあると思う。1つは、教師のキャリア形成の中で縦断的に行う研修。その中で、ある段階になれば、あるレベルの研修をするという発想があると思う。ベーシックとアドバンスという発想は、縦断的に考えた場合に出てくるのではないか。また、縦断的研修の弱さとして知識が陳腐化してしまう問題があるので、絶えず横断的に研修を組み、その中で生徒指導主事を中心とした校内の研修体制をどのように行うか。この2つを考えていかなければならないと思う。生徒指導提要の前半は、原理や方法、児童生徒理解や発達的なもので、後半が、より実践に近い、連携や具体的課題になっている。学校現場は、どちらかと言うと後者に行かざるを得ないので、後者を大事にしながら前者の、提要の前半部分をどう生かしていくか。そのときに、中心となるのは、生徒指導主事が、前半部分の原理、方法等と、後半の連携や具体的課題などのよりプラクティカルなものをやり、そして、メタ研修のような形でマネジメント力をつけることが必要だろう。現場の先生は、原理や方法、生徒理解などについては現実の現場のニーズに即して触れていき、ただしいつ何時、予想外に突然学校危機が起きるかもしれないので、生徒指導主事や管理職が何年かに1回、例えば3年ぐらいのパッケージで、後半を中にしながら前半の原理、方法など基礎的なものを学習していくというイメージをもった。

閉会

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初等中等教育局児童生徒課生徒指導室