暴力行為のない学校づくり研究会(平成22年度)(第3回) 議事要旨

1.日時

平成22年10月12日(火曜日) 13時30分から15時30分

2.場所

文部科学省5階5会議室

3.議題

  1. ヒアリング
  2. 協議

4.出席者

委員

尾木座長、石橋委員、桶谷委員、木村委員、佐々木委員、筒井委員、中村委員、西山委員、三坂委員

文部科学省

磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、井上児童生徒課課長補佐 他

5.議事要旨

開会

議事

(1)副座長に木村委員(東京都台東区立駒形中学校長)が選任された。

(2)議事の取扱いについて了承された。

(3)ヒアリング

  • A中学校における生徒指導に関する取組について(県総合教育センター 研究員)
  • 本校での生徒理解と地域・関係機関との連携について(公立中学校校長)
  • 「荒れ」の克服に向けた取組(公立中学校校長)

(4)協議

  • A中学校における生徒指導に関する取組について(県総合教育センター 研究員)
  • 本校での生徒理解と地域・関係機関との連携について(公立中学校校長)
  • 「荒れ」の克服に向けた取組(公立中学校校長)

【委員】荒れている状況から一歩踏み出すきっかけは何か。例えば、最初のA中学校のところだと、指導研究指定事業をきっかけに加配、あるいは生徒指導主事14年間の方の異動がきっかけかと考えられるのだが、それまで対応し切れてこなかったのが、あるときをきっかけに踏み出す。踏み出せない学校が結構荒れ続けているという気がするが、その踏み出すきっかけになったところを教えていただきたい。

【委員】生徒の立場に立っての指導と毅然とした対応が成立するようになったとの話があったが、どうやってそれを両立させるかというところが決め手になると考えるが、どのようにとらえているかお聴きしたい。

【ヒアリング対象者A】学校の教職員だけで抱え続けてきていた受け皿から、もうあふれてきたという状況がある。また、教職員全体に、一人の生徒指導の教員に任せておけばなんとかなる、自分の任期中の立て直しは困難だろうという感覚があったのではないかと感じている。その状況で、指導研究指定事業を受け、校長も代わり、体制を総がえしたことである。

【ヒアリング対象者B】対教師暴力に対して毅然とした対応をとるきっかけは、生徒がナイフを出した事件があったからである。また、ふだんの授業ではあまり目立たない生徒が、部活動で活躍するのを見て他の生徒が影響を受けたことが転機だったと思う。

【ヒアリング対象者C】管理職のリーダーシップである。

【ヒアリング対象者D】職員のやる気である。やる気をどう引き出すかということが重要である。例えば、教職員が他の生徒のお手本であることを意識させて、学校に来校する業者の方などにきちんとあいさつができると、生徒もあいさつがきちんとできる。さらに、ここ2年ぐらいは立ちどまってあいさつする生徒も増えた。常にステップアップだと考えている。また、先生方の協力体制ができてくると、授業もしやすい環境にもなる。そうすると授業が充実し、生徒も授業に集中し、学力も維持できてくる。

【委員】やはり外圧しかないのか。学校が内発的に変わっていかないのかと残念な気もする。

【ヒアリング対象者B】先生方がこのままではいけないという意識を持ったから動き始められたと思う。

【委員】この研究会としては、先生方の意識に働きかけるためには何が必要かということ、それから、ミドルクラスの先生方が機能するための組織マネジメントが重要だということを全国の学校に向かって発信できればよいと思う。

【委員】中学生はいきなり中学校に行くわけではない。小学校で経験をして、中学校に進学するわけだが、小中での連携の中で、非常に大事な点、あるいは、こういう成果があったという点について、事例があったら教えていただきたい。

【ヒアリング対象者A】小中の連携という部分では、幾つかの部会、組織の中でラインを設けた。1つは管理職の部会、学力という部分で教務主任、学力向上の部会。生徒指導担当者の部会、そして教育相談担当者の部会。教育相談担当者の部会には養護教諭も入ってもらった。月に1度は中学校のほうに出向き、そこで会議をする。その結果、形式上でつながってきた関係から、非常に顔が見える関係になった。

【ヒアリング対象者B】細かなことになるが、中学校の学級編制をそれぞれの小学校にしてもらう。それから、小学校、中学校の生活の決まりをできるだけすり合わせをしていく。研究授業も年に3回、お互い交流しながら行い、教務主任等との打ち合わせは少なくとも月に1回ぐらいは持って、進め方を確認をしている。

【ヒアリング対象者C】まず、毎学期1回ずつ、小中交流で授業参観と研修会をしている。それから、幾つか部会に分かれているが、生活の部会というのがあって、特に厳しい児童生徒が兄弟でいるので、小中学校で連携をとりながらやっているところがある。また、小学校5年生と中学校1年生がセットになって地域清掃に行くという取組もやっている。

【委員】共通したところの感想だが、環境整備にそれぞれ非常に力を入れたというところ。例えば掃除、ドアの補修、携帯電話の問題を徹底して行った。きちんとした学習環境を整備したというところが共通したところであり、今後のヒントがあるのではないか。もう1点は、問題行動の生徒だけではなくて、9割の子供たちの、より全体を向上させていくということである。これも共通していた。生徒全体の開発的な、例えばあいさつとか、それぞれ課題を持って取り組んでいったということである。

【委員】子ども自身が行事を企画し、運営するような機会が育っていったという話を聞いたが、子どもたちが自分たちの問題を考えて、その学校をよくしていこうという取組がそれぞれの学校でされていて、そのことに影響を受けて、子どもたちの心がどんどん変わっていった。これは自分たちの問題だから、自分たちでこの学校をよくしていこう、そうしたらこういうものを伝統的にこの学校で取り組んでいこうという子供自身がする中核的取り組みというのはあるのか。

【ヒアリング対象者B】例えば、携帯電話を持ち込んではいけない、携帯電話のトラブルを避けようという立て看板をつくって、生徒会の子どもたちが朝のあいさつ運動に立つ。それで少しずつ携帯を減らしていこうという取り組みをする。自分たちの行事、自分たちのものは自分たちで作った方が楽しいよというところから、取組を始めている。

【ヒアリング対象者D】生徒会の活性化というのを一番に挙げているが、基本的に教師がレールは敷かなくてはいけないと思っている。そうしないと、力がある者の言いなりになってだめになっていく。教師がレールは敷きながら、子供たちの意見をどんどん聞いていく。例えば、朝の掃除を子供たちはどんどんやっているが、その筋道をきちんと教師が計画的に、行事案を出すときに答えられなかったら、私は「もう一回考え直しなさい」ということを手厳しく言う。

【委員】厳しい状態の学校では、1人が頑張っても後に続いてくれない苦しさを共通して聞くが、多分校長先生のリーダーシップという部分や管理職の先生が後支えをしている部分と、現場の先生たちがコミットメントというか、思い入れが形成されるというのが、どこの学校でもあったと思う。そのあたりについて何か工夫されたことがあったら教えていただきたい。

【ヒアリング対象者A】ミドルリーダーのやる気というのが非常に大きかったと思う。ミドルリーダーがやる気を持って機能してくることで、すべての教職員に浸透がしやすかった。例えば、わかりやすいキーワードをつけていく。あいさつ、時間、元気、きれいな学校、これを目指すんだという目標を掲げ、ミドルリーダーが常にこれを具体化して提案する。あいさつを意識した生徒会活動は何か、体育祭なら元気を表現する種目は何か、文化祭の発表だったら何かなど。わかりやすい目標を示すことで、先生方は非常に実践がしやすく、結果的に教育活動に主体的に参加したという実感を持つことにつながった 。

【ヒアリング対象者B】教員が分掌で担当していることについては、基本的に任せている。後は責任をとるというスタンスである。あわせて、それぞれの先生の持ち味で勝負をしてくださいという。お互いにフォローをしていきましょうと話をしている。

【ヒアリング対象者C】人間関係の輪というふうに考えている。管理職及びミドルクラスのメンバーはどんどん若手の教員とコミュニケーションをとっているので、あの先生が今苦しんでいるというときに、必ず誰かのフォローが入ってくるという人間関係ができている。

【委員】問題を抱えている子たちへのグループ対応のほかに、生活集団づくりもあると思う。日常のクラス経営でどんなふうにてこ入れをして、クラスの共同性を高めていったのかということを、聞かせていただきたい。

【ヒアリング対象者A】基盤になるのはやはり学級経営の部分だと思う。しかし、中学校は9教科、いろいろな教員が入り込むので、本校では授業をしっかりやることによって、クラスの共同性を高めていた。

【ヒアリング対象者B】的確な言葉ではないと思うが、競争である。体育祭をやれば学級旗を競い合うとか、学級の得点を競い合うとか、その中でお互いに意識が共有できることが、全体の学校行事の成功にかかわっていくのではないかと思う。それぞれの学級担任のかかわりだが、それだけに任せると、学級担任がいなくなると取り返しがつかないことになるので、それは学年として、学年の職員がフォローをするという形で、学年主任を中心としたフォローの体制をとるようにしている。

【ヒアリング対象者D】元気過ぎる子や粗暴的な子をどのようにリーダーに育てるかがポイントだと思う。子どもたちの中は、力が強い者が抜群の力を持っている。だから、そういう子たちを、正しいリーダーに育てるのが一番早い。その代わり努力が必要である。

閉会

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

(文部科学省初等中等教育局児童生徒課)