資料1-5 平成23年度都立日比谷高等学校(全日制課程)学校経営計画

平成23年4月1日

平成23年度都立日比谷高等学校(全日制課程)学校経営計画

東京都立日比谷高等学校長
石坂康倫

目指す学校像

良き伝統と自主・自律の校風を継承・発展させ、生徒一人一人のもつ個性や能力の十分な伸長を図り、二十一世紀を逞しく切り拓くリーダーを育てる。
また、東京都教育委員会「進学指導重点校」として、意欲と活力に満ち、使命感のある教職員の一致協力した学校運営に努め、都立高校を代表する骨太で重厚な進学校としての充実を図る。

  1. 今後の都立高校のあるべき姿を見いだし、保護者・都民の期待に応えることができる魅力ある質の高い進学校として、生徒・保護者・地域・都民等、広く社会に開かれた教育活動を実践する。
  2. 学校週5日制のもと、自校の課題を明確にし、全人教育の視点に立った進学重視の教育課程を編成し、実践する。
  3. 生徒と保護者、都民への信頼に応えるための教職員の意識変革を一層進める。

中期的目標と方策

学問の本質の探究と自主・自律の精神の涵養

学問をすることの本質的なおもしろさや楽しさを味わわせ、物事や現象の本質を探究する姿勢を培うとともに、自主・自律の精神の涵養を図る。特に理数教科においては、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)  事業の趣旨を生かし、平成24年度からの二期目の指定を視野に入れながら、創造力を育む授業力の  一層の向上に努める。

3年間を見通した進学マネージメントシステムの構築

入試結果、定期考査、実力テスト、外部模試等の結果を分析して実施する計画的・組織的な進学指導検討会や系統的な進路調査、二者・三者面談等の個別指導、さらに、3年間の到達度を明確にしたシラバスに基づく授業等を通して、生徒一人一人の興味・関心や能力・適性等に応じた進路実現を図る。

数年先を見通した進学実績の数値目標の設定

「骨太で重厚な進学校」を目指した改革第1ステージでは、平成16年度の卒業生(平成17年3月卒)が現役受験をした平成17年度大学入試から数値目標が達成され、その後、平成20年度の卒業生(平成21年3月卒)である平成21年度大学入試の進学実績まで、数値目標はほぼ達成することができた。さらに、平成21年度から、改革第2ステージを進行させたことにより、平成22年度大学入試では東京大学の現役合格者数が19人(前年度9人)と上昇し、平成23年度大学入試では東京大学の現役合格者が22人となることをはじめとし、医学部医学科を含む難関国公立大学の現役合格者が49人となるなど、確実に東京大学を中心とする難関国公立大学への合格者と進学者が増加している。その他、私立大学医学部医学科・難関私立大学現役合格者数も高水準にある。
平成23年度までの文部科学省SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校期間及び平成24年度までの進学指導重点校第二指定期間において、「学問の本質を見極める力を培う」ことを目的とした改革第2ステージでは、現役合格者の数値目標を設定する中で、生徒一人一人の進路実現を図る。具体的には、授業改善や一人一人に対する個別の補修指導を行うとともに、組織的な土曜講習・夏期講習等による学習指導の一層の充実と学校行事・部活動との両立を図ることにより、学年の三分の二程度(約200人)以上の生徒が、現役で国公立大学及び難関私立大学へ進学することができるようにする。

教員公募制を活用した進学指導を重視した教員配置と教員の資質向上への取組

熱意があり、意欲あふれる教員や進学指導に実績のある教員の計画的・段階的な配置を通して、組織的な進学指導体制を構築するとともに、全教員の資質向上に向けた授業観察の活用と教員間の授業研究の強化を図る。

進学指導重点校としての教育環境整備

自律経営推進予算の有効活用や海外派遣「ハワイ島研修」などのSSH(スーパーサイエンスハイスクール)支援事業の取組を進め、進学指導重点校としてのハード面、ソフト面での教育環境整備の一層の充実を図る。

ICTを活用した授業力の向上

ICT環境の整備、ICT機器の整備に伴い、教員のICT活用能力の向上を図るとともに、ICTを活用した授業力を向上する。

今年度の取組目標と方策

教育活動の目標と方策 

国公立大学への進学希望が高まる中で、志望大学への現役合格を実現できる教育活動を展開する。

  1. 学問の本質を見極める力を培う授業の創造・構築と進学重視の教育課程の推進
    授業改善のための生徒による授業評価や教科単位での授業研究を実施し、各教科・科目の指導内容と指導方法を向上する。
    新学習指導要領を見据えながら、難関国立大学の5~6教科7科目型の大学入試センター試験及び4教科6科目型の二次試験に対応できるよう、柔軟な教育課程を構築する。
    国公立大学に合格するための学習到達度を見定め、各教科のシラバスの改訂を進める。
  2. 学習と生活指導・保健指導及び部活動・行事との両立
    進学校としての学習規律を視野に入れた生活指導を確立する。
    進学校としての保健指導の在り方を検討し、確立する。
    部活動の指導計画の作成・点検・改善を一層進める。
    学校行事の指導体制の点検・改善を進める。

進学指導マネージメントシステムの構築

長期休業日の講習などについては学年と進路指導部との連携をさらに強化し、校内実力テスト、校外模試の定期的・経年比較の活用に基づく進学指導検討会を通した目標管理型の進路指導を一層充実する。
全国大学入試関係の資料を基に入試分析を行い、進路指導方法の研究を進める。

意図的広域的な広報・募集活動の実施

学校経営方針や教科指導内容が端的に分かる学校案内を作成・配布する。
ホームページを活用し、より具体的な内容の濃い情報をタイムリーに提供できるよう努めるとともに、毎月平均3~4回の更新を行う。
総務部と経営企画室とが連携し、体育館改築・改修工事を踏まえながら、学校見学会、学校説明会等の全教職員の協力による組織的な取組を推進する。

経営企画室との連携による学校運営の推進

経営企画室と主幹教諭層を中心とした分掌や学年が連携した学校運営を構築する。
経営企画室の参画による全教職員での組織的な広報・募集活動を推進する。

業務達成目標

総務部

経営企画室と連携した学校見学会や学校説明会等を全教職員が協力し合い、計画的・組織的に運営する。学校案内やホームページの活用による広報・募集活動を推進する。
学校要覧、校内規定等の改編を進め、校内規定についてはホームページ上において公開する。

教務部

『学習と進路』(=シラバス)研究委員会を後期に開催し、生徒による授業評価を分析して学習到達度を明確にし、シラバスの改善を行う。
教育課程委員会においては、教科「奉仕」の内容構成や指導体制について一層の検討を行う。
教育課程委員会を開催し、キャリアガイダンスを主体とした「総合的な学習の時間」の充実を図る。
新学習指導要領に基づく教育課程編成を行う。

生活指導部

教職員自らが挨拶の励行に努め、明るく活気のある雰囲気づくりを行うとともに、学年と連携を密に取りながら、服装や挨拶、通用門の利用、近隣施設の利用の際の基本的なマナーを   主体的にしっかり守ることができる生活指導を行う。
星陵祭をはじめ、全ての生徒会行事や生徒会の活動が質的に充実し、成功するよう、生徒会が定める生徒会規約及び各会議団体相互関係図を考慮に入れ、全教職員で組織的に指導にあ   たる。
生徒会の主体性を重視して、生徒の意見をとりまとめることのできる生徒会活動の充実を図る。
校内美化の推進を図る。

進路指導部

3年間を見通した組織的な進学指導体制を構築するために、進学指導検討会を確実に実施し、進学指導のための各学年及び教科指導資料の開発・提供と分析・研究を進める。
各学年ともに月1回程度の「進路指導通信」を発行するとともに、二者・三者面談等の個別面談(年4回)を充実させ、きめ細かい進路指導を行う。
生徒の学力や志望校にあった外部模試を適宜実施し、本校の実態を全国レベルで把握し、適切かつ有効な進学指導の資料として活用する。

図書部

生徒の利用に適した上質の図書選定及び図書館環境の整備を図るとともに、図書委員会の活動を一層充実させる。
調べ学習や自習室としての活用をフル稼働するとともに、長期休業日の活用を一層推進する。
創立百周年記念資料館の担当者と連携し、本校の教育に関わる各種資料の収集・整理を行う。

重点目標と方策

教育課程の管理と学校運営

シラバスを学校の内・外に示して、開かれた授業を実施し、常に点検・改善を図る。
本校同窓会との協力のもと、キャリアガイダンスの視点に立った「総合的な学習の時間」の在り方について研究を進め、特に2学年においては、日比谷高校の伝統を生かした「星陵セミナー-ようこそ先輩-」の一層の充実に努め、将来の進路を見通した志の高い大学進学の実現に繋げる。
教務に関する生徒個人フアイルの整備を進め、個人情報の保護と情報管理をより一層徹底すると ともに、諸票簿の適正管理の強化を図る。
学校運営連絡協議会と評価委員会による評価に基づき、保護者、地域の願いや期待に適切に対応するとともに、学校経営上の自己診断と評価に関連させ、課題の解決の見通しや具体策を構築する。
都立高校を代表する学校に勤務している責務を自覚し、教職員一人一人がそれぞれの職務の遂行に努め、教職員全体のモラールの向上を図る。
校内規定の整理を行い、更新する。

学習指導

各教科の授業研究を進め、特に、理科・数学においては、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業との連携を図りながら内容を充実させる。
校内実力テストの内容の研究と3年間を見通した実施計画を構築するとともに、生徒による授業評価結果を踏まえたシラバスの改訂に努め、各教科の連携による授業改善に、より一層の指導効果をあげる。
生徒による授業評価(年2回)や教員相互による授業評価を確実に実施し、教科研修会をもち、改善策を生徒に示すとともに、各教科のチームとしての授業力を向上する。教科間においても、進学指導検討会を契機として、なお一層の連携を強化する。
45分連続90分授業の一層の充実を図り、特に数学・英語においては、到達目標別(習熟度別)多展開授業により生徒一人一人の能力の一層の向上を図るとともに、その成果について研究する。なお、到達目標別授業は、発展及び標準型のクラス展開とし、前後期においてクラス編成の組み換えを行うことを原則とする。
授業に対する予習・復習を含め、幅広い教養を身に付けるために、一日、学年+2時間以上の自学・自習の習慣づけを図る。なお、実現状況を生徒による授業評価等により自己点検させる。
2学年については、部活動・学校行事等との両立をメリハリを付けて教科・科目の学習に取り組ませる。3学年については、自勉・自習を確立する。
土曜日の1・2学年3教科(国語・数学・英語)及び3学年の5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の組織的・計画的な講習の充実を図る。特に、1学年については、基礎・基本の徹底を図る。
長期休業日の講習は、SSH発展講座、海外派遣「ハワイ島研修」などの諸事業とのバランスを考えながら、進路指導部中心に組織的・計画的に実施する。

進路指導

3年間を見通した進路指導部と学年の連携による組織的な進学体制の一層の構築を図る。1学年については、早期から高い志を持たせる。2学年については、高い志を堅持させる。特に、3学年の進学指導においては、生徒一人一人の広い視野に立った進路実現を目指し、生徒自身の第一志望を大切にし、基礎基本の基盤をしっかりと身に付けた上で志望校別の進学指導対策を立て、現役合格を達成する。
また、浪人生に対しても、学力伸長の状況を一層きめ細かく把握し、進路実現を支援する。
以下の数値目標は、各学年生徒数320人全体の指標として、本年度の目安とする。
難関大学の現役合格者数の向上を目指す。
平成22年度現役実績・達成率
難関国立大学及び国公立医学部医学科50人以上目標40人以上(49人)[123パーセント]
難関3私立大学200人以上目標250人以上(186人)[ 74パーセント]国公立大学の現役合格者100人以上目標100人以上(104人)[104パーセント]
大学入試センター試験(5教科)受験者数270人以上目標270人以上 (314人)[116パーセント]
大学入試センター試験5教科の各教科得点率80パーセント以上者の延べ人数目標700人以上(1294人)[185パーセント]
大学現役進学率は、60パーセント程度を維持する。目標60パーセント(55パーセント)

生活指導

人としてのマナーを心得た態度や行動が自然にとれ、明るく、すがすがしく、生き生きした生徒の人格、品性を涵養するよう、教科指導や部活動、学校行事を通して、進学校としてのけじめのある生活規律を確立するため、生活指導に教職員全員であたる。
生徒の心のケアなどの健康管理や学校施設の安全管理や危機管理対応について、生活指導部と保健部とが連携し、地域の関係機関との連絡を密にして生徒の緊急対応などへの校内体制の充実を図る。
生徒の生活時間の把握と指導を通して、学習と部活動・行事との両立を図る。
体育館の改築・改修工事に伴い校内の整備環境が厳しくなっている。そのために、これまで以上に校内美化の徹底を図る。木曜日はNoゴミデーとなるよう、さらに、ゴミの分別を徹底できるよう、技能職員との連携を密に図る。

保健指導

本校生徒の健康上の課題に対応した学校保健安全計画を作成する。保健部と学年及び生活指導部とが連携し、朝の健康観察及び健康相談などを行うなどして、生活習慣や心の健康問題等についての指導の充実を図る。
健康について、生徒に自らが考え行動する力を身に付けさせるため、学校保健安全委員会及び生徒保健委員会を通して支援し、生き生きとした学校生活を送ることができるようにする。
特別支援教育コーディネーターを中心とし、校内研修等を通して発達障害等に関する理解を深め、該当生徒への組織的な支援体制をつくる。 

特別活動

ホームルーム活動や学校行事、委員会活動を充実させることにより、学校生活の満足度を上げると  ともに、自主性と自律性を高める。
生徒会や委員会活動の充実を図り、自主・自律の伝統的校風を発展的に継承する。
他校との交流戦や発表会等を通して、良き伝統と校風を自覚させ、部活動の一層の充実を図り、部活動加入率90パーセント以上を維持する。
年間活動計画に基づく部活動の振興に努め、都大会ベスト8以上の実績を挙げられるよう努める。

研究・研修

授業観察及びその後の個別面接による反省研修会などでの指導・助言を通して、授業力の向上を図る。
生徒による授業評価を基に、教科会を充実させるとともに、授業改善のための校内研修を年2回実 施する。また、他の進学校研究や授業研究、シラバス研究等の研修会を実施する。進学指導検討会の実施を通して、本校の学年指導や教科指導、生徒相談の在り方について考究し、  組織的・具体的な進学指導対策を構築する。
東京都教育委員会主催の「進学対策の教科研修会」には、いわゆる5教科8科目について進んで参 加(未修者は必ず参加)し、教科全体の進学指導力を高める。さらに、進学指導重点校等における 進学対策の取組について、大学入試問題分析集の作成及び学力向上の教材集の作成に貢献する。

広報・募集活動

総務部が担当し、月3~4回程度ホームページを更新するとともに、より見やすく分かりやすい状態にし、保護者をはじめ、都民のニーズに即した学校の最新情報を提供する。
在校生や教職員による中学校訪問や学校見学・説明会、授業公開を通して、本校の教育活動について都民の理解を図る。
入学者選抜においては、「本校の期待する生徒の姿」に基づき、本校にふさわしい生徒が応募してくれるよう努めた結果として、推薦選抜応募倍率4.0倍程度、学力選抜実質倍率2.0倍程度を目指す。

施設・設備

中長期的視点に立った体育館増築及び改修工事を計画通りに進め、今年中(12月末まで)の体育館の引き渡しを実現してもらう。
グランドの整備に努め、より一層の安全管理と近隣への砂塵防止対策等を構築する。
各学年担任及び学年間の連携を図り生徒相談等にも応じる場として、学年職員室を活用する。
体育館増改築及び改修工事(平成23年度)を滞りなく終了するとともに、平成25年度行われる本校舎大規模改修に向けた調査計画設計(平成20年度)、実施設計(平成21年度)、及び実施(平成22年度より開始)が決定した。「施設整備検討委員会」を中心にその対応にあたり、東京都教育委員会及び財務局とよく連携し、これまで以上に安全で学習しやすい教育環境を築き上げる。
体育館増築・改修工事に伴い、体育の授業は勿論のこと、集会、学校説明会、卒業式、入学式などが滞りなく行うことができるよう、施設・設備の充実を図る。そのために、東京都教育委員会や学校経営支援センターともよく連携を取る。
夏季休業日中の図書館の開館日を20日間は確保する。

予算

自律経営推進予算の有効活用を図り、図書館図書の充実、自習室等の学習環境の整備、進路・学習に関するセミナー等に関する講師費用の充実、校内美化、安全性の向上、引率等旅費の適正な配分を重点項目として、進学指導重点校としての一層の充実を図る予算配分を行う。
最小経費で最大効果を上げるため、予算の効率的執行、物品の有効活用、私費会計の適正運用に努める。

ICT活用

ICT環境の整備、ICT機器の整備に伴い、教員のICT活用の効率化を図る。

SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業 

分掌組織としてSSH事業推進部を新設し、自主探究活動の充実と海外研究機関との交流及び共同研究の実現を目指しながら、平成24年度からの二期指定に向けた準備を推進する。

災害対策

東日本大震災による被災地への支援を行うとともに、予知されている東京での大震災に備えて防災計画を見直し、生徒・保護者・教職員の防災意識の向上を図る。

教職員自身の姿勢

生徒の学力向上を目指して、教職員の団結力を強化する。 
学校としての組織力を強化する。
教職員の意識向上と教職員の判断力を強化する。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)