資料2 「学校運営の改善の在り方等に関する調査研究協力者会議」におけるこれまでの主な意見

1.コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)について

  • コミュニティ・スクールの指定は着実に広がりを見せている。一方、自治体によっては、学校運営や教職員の任用について意見を述べるという学校運営協議会の役割への理解不足から、未だ抵抗感がみられる。
  • 学校支援ボランティアの活動等により学校と地域との関係が一定程度つくられていないと、学校運営協議会を設置しても活動が形骸化しがちである。
  • 制度としてのコミュニティ・スクールを設置することが、教職員、保護者や地域に、組織的な学校と地域の連携の必要性を説明するよい機会となることがある。

2.中学校区単位のコミュニティの在り方について

  • 中学校は小学校と比較して地域との関わりが薄く、保護者は学校に関わる時間的、経済的余裕が少ない。このため、中学校区を1つのコミュニティとして捉えるシステムが必要。
  • 中学校区を1つのコミュニティとして考えると、校長には、自分の学校だけでなく地域社会を良くするという視点や、ネットワークを作るためのコミュニケーション能力が求められる。
  • 中学校段階での生徒指導上や学力の問題は、小学校でどのような生活習慣を身につけさせるかによる。その意味でも小中連携は大切。

3.学校教育と社会教育の融合について

  • 学校教育と社会教育を融合させることが重要。学校という場で地域の大人と子どもが一緒に学ぶことにより、授業に参加した大人が学校に関心を持ち、学校を支援しようというモチベーションを持つようになる。
  • さらに、子どもたちが、教員や親ではない利害関係の無い第三者と、いわゆる「ナナメの関係」を構築することにより人間関係の在り方を身につけることができる。
  • 学校支援地域本部やコミュニティ・スクールを設置する場合、若手のスタッフ、退職して地域に戻ってきた団塊世代の人を学校に取り込まなければ人材が枯渇する。これを防ぐためには、例えば、学校で魅力ある授業を公開で行うなど、大人と子どもが一緒に学び、学校を支援する人材をリクルーティングする仕掛け作りが必要。
  • 学校を良くしていくためには、学校・家庭・地域の三者が子どもと共に育つという価値観を共有することが重要。
  • 地域の子どもたちを育てることについては、学校だけでなく、保護者、地域住民がそれぞれ当事者意識を持ち、それぞれの役割を認識しながら三者が関わることが必要。

4.校長のマネジメント能力の育成について

  • 校長は管理だけではなく、マネジメントの域まで指導力を高めなければならない。また、民間企業のようなスピード感が必要。
  • 地域社会との共同経営を学校マネジメントの基本とし、団塊世代、学生、塾の講師など地域社会の教育資源を学校に取り込むことが不可欠。
  • 校長のマネジメント能力を強化するには、ケースメソッドで議論するワークショップ型の研修を行うことが必要。
  • 教職員がマネジメント能力を身につけるには、校長や教頭になってから研修を受けるのでは遅い。教務主任等のミドルリーダーや指導主事のマネジメント能力の育成が課題。
  • 学校・家庭・地域の連携のため、主幹教諭、事務職員などの新しい職を活用したマネジメントモデルを構築することが有効。

5.成果を上げている取組の普及について

  • 教育界には、成果をあげている良い取組が広まりにくいという傾向がある。校長は「子どものため」という視点を常に持つ必要があり、保護者の側にも何もかも学校任せにしないという意識が必要。
  • 良い取組を普及するためには、教育課程の編成権を持つ校長のマネジメント能力を強化することが必要。
  • これまで分散していたモデル校をパッケージ化し、総合的な経営モデルを集中して作ることが必要。
  • 1つの取組をさらに展開させていくには、緊張感や危機感を自生的に生み出す仕組みが必要。
  • 学校と地域の連携の取組を普及するためには、地域コーディネーターやボランティアの責任や権限を明確化することが必要。
  • 成功している取組だけでなく、うまくいかなかったケースも検証することが必要。

6.教育委員会の役割について

  • 生涯学習施策を首長部局が担当している場合、教育行政を担う教育委員会との分担関係が論点。
  • 教育委員会は、学校の自主的な取組を尊重し、支援することが必要。

7.その他、学校・家庭・地域の連携について

  • 地域が自主的にどのような子どもたちを育てるべきかについて意見を言うようになった時、初めて地域と学校の関係が成熟したといえる。
  • 学校の目標が地域を意識していること、教育課程の編成に地域の意見が反映されていることが、学校と地域の関係が成熟しているかどうかを計る指標となる。
  • 保護者、地域住民がそれぞれの専門性を活かし、学校に関わることに喜びや楽しみを感じることで、学校づくりと地域づくりの好循環が生まれる。
  • 保護者と地域が学校の実態を理解し、コミュニケーションを取ることにより、当初、防衛的だった学校の意識が変わり、相互理解が進むことがある。
  • 地域づくりを中心的に担う団塊世代があまり学校に関わっていない。団塊世代をいかに学校に取り込むかが課題。
  • 児童生徒数が減少する一方、軽度発達障害や家庭の事情の複雑化により、子どもは非常に多様化しているため、学校現場には大きな負担がかかっている。
  • ベテラン教員が定年退職などで多く辞め、特に都市部では校長を志望する人材が減少する傾向にあるため、今後の学校運営には地域の協力が不可欠。
  • コミュニティ・スクール、学校支援地域本部、学校評議員、学校評価など、これまで行われてきた様々な施策を、学校・家庭・地域の連携やまちづくりの観点から再整理することが必要。
  • デジタル教材やモバイル端末を導入し、英単語、漢字、計算等の反復学習を行うことが不可欠。また、これらを活用した授業技術を若手教員に身につけさせることが急務。
  • 学校現場が多忙化している中で新しい取組を始める場合、学校現場から受け入れられるためには、教師を助ける、教師に希望を持たせるという意味合いを持たせることが必要。
  • 社会全体で子どもを育てると一言で言われることがあるが、そのためには学校運営や学校の教育活動について新しい視点で取り組む必要がある。
  • 総合的な学習の時間を魅力的にすることで、地域と学校をつなぐことができる。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)