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学校運営の改善の在り方等に関する調査研究協力者会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成22年11月8日(月曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館(金融庁)9階 共用会議室-1(903)

3.議題

  1. 有識者へのヒアリング(静岡県富士宮市教育長 佐野敬祥氏、大阪府特別顧問 藤原和博氏)(五十音順)
  2. その他

4.出席者

委員

天笠座長、小松副座長、奥村委員、貝ノ瀨委員、勝方委員、木岡委員、小林委員、竹原委員、松尾委員

文部科学省

山中初等中等教育局長、尾崎大臣官房審議官、中岡初等中等教育企画課長、下間参事官、田中主任視学官、板東生涯学習政策局長、伊藤大臣官房審議官、作花生涯学習総括官、上月政策課長、塩見社会教育課長 他

5.議事要旨

 (1) 静岡県富士宮市教育委員会の佐野敬祥教育長から、学校・家庭・地域の連携促進に関して意見を聴取した。主な意見は次のとおり。
 (●は佐野教育長からの発言、○は委員からの発言)

● 富士宮市では、「富士宮の学校力育成会議」というものを平成20年に立ち上げ、「望ましい学校の姿に関すること」、「子どもたちに身につけさせたいこと」、「学校・家庭・地域の連携・協力に関すること」、「教職員の資質の向上に関すること」の4つについて議論してもらい、提言を得たところ。座長は天笠先生にお願いし、学校関係者、企業関係者、PTA関係者、地区代表の方々に委員になってもらった。

● 富士宮市では、「富士山を心に夢を持って生きる子ども」という子ども像を掲げ、その具現化に向けて学校力を高める取組をしている。ここで言う学校力とは、個々の教職員の指導力が組織化された力や、家庭や地域の支援によって生まれる総合化された力ととらえている。学校力を高めるためには、学校の組織力の活性化、教職員の資質の向上とともに学校を支えてくれる家庭・地域の理解と協力が必要である。

● 今の社会状況の中で学校力を発揮するにはどうしても家庭・地域の理解と連携・協力が必要であるが、このことは同時に、学校を応援してもらうだけでなく、その中で家庭・地域の役割を認識してもらい、家庭や地域の活性化を図ることも狙っている。例えば、富士宮市では、保護者を中心に学校の図書室にボランティアとして入ってもらっているが、図書館ボランティアをすることによって学校や子どもの様子がよくわかるので、親としての自覚が高まっている。学校・家庭・地域の連携・協力は学校だけではなく、協力してくれる家庭や地域の方にも大変良い影響を与えていると思う。

● 子どもは学校の子どもであるとともに、家庭の子ども、地域の子どもであり、それぞれの役割を認識し、三者がかかわりを持って子どもを育てることが重要である。学校力を高めるためには、この三者が子どもとともに育つという価値観を共有することが大切である。互いに協力し合うことによって双方向の活性化が図られる。学校教育については、三者連携の意義も含めて、教育方針や教育活動等について、家庭・地域に積極的に情報提供し、意見等も受けとめて共通理解を図ることが肝要である。

● 富士宮の学校力育成会議の提言を受けて、富士宮市では具体的なアクションプランを作成し、3年間の計画で実施しているところ。例えば、中学校区単位で、総合的な学習の時間を活用した小中連携カリキュラムを作成し、「富士山学習」と呼称して取り組んでいるほか、企業からの資金援助を受け、芸術家等を学校に派遣し、講話をしてもらう取組も進めている。

● 家庭や地域に関しては、PTCAの推進や朝食コンクール、退職教員ボランティアによる学習が遅れがちな子どもへの指導などを進めている。教育委員会としては、「教育の日」を設定し、市内一斉参加型授業参観会を開催するなど、教育の市民化という観点から全市民が教育に関心を持ってもらうように取り組んでいる。

● 富士宮市は財政健全化の都市のため、ゼロ予算事業が多い。キャリア教育でも、協力してもらえる事業所が市内に427あり、中学生の体験活動を受け入れてもらっている。

● 課題としては、アクションプランの実施に関して財政支出が困難なものがあるので、予算を使わずに実施していくための工夫と知恵が必要である。また、家庭、地域の理解・協力を得るための啓発や参加の機会が少ないため、取組のレベルで学校間に差が生じている。

● 校長のビジョンとリーダーシップ、マネジメント力、それに対する行政の個別的な支援が必要である。特に、家庭と地域の関係をどのようにマネジメントしていくかが重要な課題である。

● これまでの取組の結果、市民や保護者からの教育委員会、学校への苦情は減少している。平成20年度に79件あったものが、平成21年度には50件に減少し、今年度は10月現在で21件である。開かれた学校と言われて久しいが、これまでは市民や保護者からは開かれていると思われていなかったのではないかと考えている。

<質疑応答>
○ アクションプランの中で幼保・小・中・高の連携とあるが、設置者の違いについてどのような配慮をしているのか。特に市立中学校と県立高校との連携をどのように行っているのか。
  また、教育行政を進める際に、例えば福祉行政との連携など、市の行政全体との連携をどのように行っているのか。

● 現実にはまだ中高の連携は進んでおらず、今後の検討課題であると思っている。幼保・小・中については行っている。私立の幼稚園に関しては、幼稚園協会会長と話をして、連携を図るようにしている。
 他の行政分野との連携としては、例えば福祉関係者、特別支援学校、市の福祉担当課から成る特別支援教育の協議会を設け、横断的な取組をしている。

○ 子どもとともに育つという理念は大変素晴らしいと思う。この点について具体的にどのような取組をしているのか教えてほしい。
 また、教育の市民化という話があったが、それについても、もう少し詳しく教えてほしい。
 アクションプランの中に「家庭、地域との連携強化の組織づくり」というものがあるが、具体的な取組内容を教えてほしい。

● 子どもとともに育つということについては、先ほど述べた図書館ボランティアの他にも、例えば道徳の授業に父母も参加してもらい、子どもと一緒に考える機会をつくるなど、子どもの立場に立って考える機会を作るようにしている。
 教育の市民化については、例えば、総合学習として実施している富士山学習の成果を市民に公開する形で子どもたちが発表する機会を作り、学校では結果だけでなくプロセスも大切なんだということを知ってもらうようにしている。また、学校の取組を積極的に広報していくことにも力を入れている。
 家庭・地域との連携強化の組織作りについては、これまでのPTAではなく、コミュニティを含めたPTCAというものを組織的に機能させ、地域住民にも学校のことを考えてもらえるように取り組んでいる。
 

(2) 藤原和博大阪府特別顧問氏及び全国「よのなか」科ネットワークの若江眞紀事務局長から、意見を聴取した。主な意見は次のとおり。
 (●は藤原特別顧問からの発言、◎は若江事務局長からの発言、○は委員からの発言)

● 10年以内に起こる2つの「不都合な真実」がある。一つ目は、児童生徒数が減少するが、子どもの状況の多様化や家庭の事情が複雑化のため、逆に手間がかかるようになるということ。同時に、児童生徒の後ろには親はもちろん、祖父、祖母も控えており、教職員は実際の子どもの大体3倍から7倍くらいを相手にしなければならない状態である。よって、児童生徒の数が減ったからといって人頭税的に予算を減らすことはとんでもない愚挙である。

● 二つ目は、50代のベテラン教員の退職と校長不足である。都市部は既に校長になりたがる人材がいないという傾向が出てきた。これは教頭の仕事が大変過ぎるからである。逆に、救いとなる好都合な現実は、団塊世代が大量に企業から地域社会に輩出されているということである。これを活用せずに予算だけよこせというのは間違いである。

● 結論として、課題は3つある。一つ目は、学校の問題は教員だけで対処できなくなっているということ。

● 二つ目は、校長のリソースを教員だけに求めていると破綻するということ。現在の多くの校長は事務の得意な人か体育会系の生活指導屋であるが、このような校長はもはや通用しなくなっている。校長に求められるのは    マネジメントの力であるが、ほとんどの校長は管理とマネジメントの違いも理解していない。

● 三つ目は、20代、30代の若手教員ばかりになってしまい、ベテラン教員のノウハウが継承されず、授業の質が低下するということである。

● その解決法は、3つある。一つ目は、地域社会との共同経営を学校マネジメントの基本とすること。団塊世代、大学生や高校生、塾の講師など地域社会に散らばった教育資源を取り込むマネジメントが必要である。

● 二つ目は、教員だけでなく、広く民間から校長もしくは学園長を登用すること。学園とは1つの中学校、2つの小学校を連携の基本とし、3校で1つのグループを形成する考え方。ここで言う民間人はビジネスパーソンだけでなく、まだ通用する退職校長・教員も含まれる。  また、学園長は非常勤で年齢制限を設けず、場合によっては無償とするような登用が考えられる。

● 三つ目は、若手教員のデジタル教材とモバイル端末を使った授業技術の養成。英単語、漢字、計算練習についてはモバイル端末を導入しなければ、若手教員だけで反復学習をマネジメントすることはできない。反復学習から始め、後々はワークショップ型の授業技術を導入し、思考力・判断力・表現力を養成するような高度な学習に移行する。

● 未来、すなわち10年後の現実は、既に現在300校程度の学校で現実化している。これをパッケージして普及させればよいが、なかなか広まらない。

● 和田中では、私が赴任したときと比較して、来年には生徒数が約3倍になる。一般的に生徒数が増えると学力が下がる傾向にあるが、和田中では私が離れた後も含めて5年間連続して学力が向上し、杉並区においてもトップになった。このように結果が出ているものをまねしないことが教育界の一番の問題点である。

● 波及させるにはどうしたらよいか。一つ目は、校長のマネジメントを強化することである。校長には教育課程の編成権という非常に強大な権限があるが、やらなくても責任を問われないので、やらない校長が多い。

● 二つ目は、総合的な経営モデルを作ること。今までモデル校は機能的に分散していたため、どれをまねして良いか分からなかった。ある意味全部のことをパッケージで実践するようなモデルを作る必要がある。

● 三つ目は、教育委員会のガバナンスを改善することである。今は人事権は都道府県、予算編成権は市町村、教育課程の編成権は校長にあるというばらばらの状態であり、責任の所在が不明確である。

● 「新しい公共」型学校に期待されるポイントとしては、まずコミュニティ・スクール型運営が挙げられる。現在、学校支援地域本部やコミュニティ・スクールの取組をしている学校を見ると、和田中を10段階評価で8とした場合、コミュニティのマネジメントという意味では、大体2か3程度に止まっているので、これを上げていく必要がある。

● 他には、小中一貫や連携教育を推進すること、公募校長や学園長構想など新しい学校マネジメント体制であること、「よのなか科」のような公開授業の取組で学校教育と社会教育を融合させること、学校支援地域本部の取組をしていること、ICTの積極的な活用を図ることが挙げられる。
 なお、「よのなか科」の最大の特色は、地域の大人と子どもが一緒に学ぶことである。学校の最大の価値は授業をすることであり、そこに大人を入れることに意味がある。子どもにとっても「斜めの関係」が刺激となる。この参加者の中から、地域のコミュニティ・エリートや学校への協力者が出てくる。

● 誰が「新しい公共」型学校を主導的に担うかについては、当然校長や学園長が中心になるが、退職校長・教員やPTA会長などがコーディネートするタイプや、著名人が非常勤の学園長としてプロデュースするタイプ、文科省からの出向者がディレクションするタイプなどが考えられる。  

◎ 全国「よのなか」科ネットワーク事務局では、文部科学省が新規に打ち出した「新しい公共」型学校創造事業について、独自に全国15程度の教育委員会に対して感触を聞いてみたところ、意外にも非常に前向きな反応があった。中には、1つのモデル校ではなく全体で進めたいというところもあった。また、学園長構想については皆さん新しい構想だと好意的であった。

● このような取組を進めるために新たに法律を策定したり制度を変える必要はない。既に芽は出ており、それをいかに波及させるかである。そのときに重要なのは、誰が校長、学園長をやるか、誰がその校長、学園長を助けるか、そしてその動きを教育委員会が邪魔しないことである。

<質疑応答>
○ マネジメント強化のため、筑波の教員研修センターを中心に全国で様々な研修がなされているが、これについてどう考えているか。

● 関係者の多くは学校における管理、マネジメント、リーダーシップを混同している。校長研修で扱われていることは服務のことがほとんどであり、マネジメントとはずれていると思う。
 また、PDCAという考え方が学校でも使われるようになったが、普通の校長はPDCAの各段階ををそれぞれ1年ずつ、全体を4年で実現するというスピード感覚でやっている。民間企業のようなスピード感が全く教えられていないと思う。
 マネジメント型の校長は、ハーバード・ビジネススクールのようなケースメソッドを使ったワークショップ型の方法でなければ養成されないと思う。
 なお、リーダーシップは教えて身につくものではなく、仕事の中で養われるもの。それに対してマネジメントは技術であり、教えて身につけられるものである。

○ 藤原特別顧問が和田中学校にいた間、目覚ましい改革が行われていたことは承知しているが、杉並区内になぜ広がらなかったのか。

● 教育委員会、特に教育長が開明派であるかどうかは大きいと思う。また、学校は行政の末端機関である、あるいは教育は放送型で分け与えるものという感覚が校長の中にあることも大きいのではないか。教育界全体において、まねしようとする風土が非常に弱いことは残念。リスクを怖れてチャレンジしない校長が多いが、保護者はチャレンジする校長を望んでいるのではないか。

○ 例えば、京都市においては全国のコミュニティ・スクールの25%近くが集まっていて、積極的な活動をしており、学校、家庭、地域の三者の連携も強化されたという話を聞く。その一方、全国の中ではコミュニティ・スクールという言葉すら知らないPTA会長もおり、認知度に差があると思う。PTAも学校に関わる機会を与えられることを待つのではなく、積極的に提案していく時代に来ているのではないか。取組に温度差があるのは、周りの状況を見てから取り入れようとするところが多いためではないか。子どものためになることは先頭に立ってやっていくという意識が必要である。

● 校長が子どもの方を見ていない。子どものためにやるという視点が欠けていることが問題である。

○ 企業にとっては、良い取組は即まねるのが当然であり、教育界ではなぜ同じことが起きないのか非常に不思議であった。しかし、親の側にも今まで何もかも学校任せにし、委ねている感覚があったのではないか。
 

(3) (1)、(2)に関して、質疑・自由討議が行われた。その概要は以下のとおり。
 ( ○は委員からの発言 )

○ 富士宮市においては、家庭や地域の理解・協力について、今後、目標を打って何か取り組まれるのか。
  藤原特別顧問の配布資料には、様々な地域のパターンが示されているが、こういう地域・環境であれば、このパターンという、何か規則的なものはあるのか。

【佐野教育長】 就学指導や交通安全母の会の会合など、保護者が集まる機会をできるだけとらえて働きかけていくことが今後の課題である。

【藤原特別顧問】 校長を助けるコーディネーターには様々なパターンがあってよい。小学校では、PTAなどが支えるのが一番自然だと思う。中学校では、中学生は親が学校にいるのをあまり好まないので、学校支援地域本部を作って、親でも先生でもない第三者を組織化することが大事。地域社会が色濃く残る島嶼部や山間部では、このような仕組みは要らないかもしれないが、地域社会が後退してる都市部では必要。
 学園長構想については、小中連携や小中一貫ということを進める場合には親和性が高いと思う。
 なお、大阪市では、今年から元校長、元教員、自治体の地域振興の経験者をコーディネーターとして指名し、全中学校の職員室の中に席を置いて配置している。このような取組がこれからどういう効果を生むか、今後注目したい。

○ 学校教育と社会教育の融合は大変重要。ただ、大人の学びの中で、教職員の変化が緩やかだと感じている。トップダウンではなくNPOや地域がリードする地域でやれることには何があるか。

【藤原特別顧問】 即効性のある処方箋はなく、やはり校長がポイントとなる。PTA会長や地域コーディネーターがいくら熱心でも、校長に門前払いされているのが大多数の学校の状況。逆に、校長の問題を解決すれば、地域社会から計り知れない力を得ることができる。
 団塊世代を味方に付けることが第一歩で、そういう人の中から5人くらいを味方に付けられれば学校や教員は変わっていく。

○ 校長になってからマネジメントを学ばせても遅いので、いかに早くから体系的なマネジメント研修プログラムを組んでいくかが重要。私の大学でも、ミドル層をターゲットとしている研究科を設けているが、ミドル層は忙しくて出てこれないという問題の克服が課題である。
 家庭・地域との関係づくりにおいては、主幹教諭を始めとする新しい職を活用したマネジメントモデルが有効であると思う。
 新しい公共という考え方は伝統的な地域のまとまりを活かそうとするものだと思うが、そうしたものが機能低下を起こしている。町内会とPTA、あるいは保護者と保護者の親の考え方にずれがあり、それを調整するような働きが不可欠ではないか。
 また、和田中学校でも当初は保護者の間でさえも対立があり、その緊張感が和田中の地域の結束力を高めていったというプロセスがあると思う。しかし、現在はその緊張感がなくなってきているのではないのか。まねればいいということだが、それをさらに展開させていくためには常に緊張感や危機感を自生的に生み出していく仕組みが必要ではないか。

【藤原特別顧問】 校長はもちろん、副校長、教頭でも遅いと思う。私が一番期待するのは、40代の教務主任である。和田中学校では、教務主任を地域本部兼務とし、地域本部の会議にも教務主任だけは出てもらった。また、全主任が参加する学校の運営委員会には地域本部の本部長に参加してもらった。
 和田中学校の地域本部も当然、沈滞すると思う。ポイントはスタッフが今後どう入れ替わっていくかである。学校支援地域本部やコミュニティ・スクールを作るとき、安易に地域のお世話役にお願いするところが多いが、そういうところは恐らく破綻していくと思う。若手のスタッフと退職して地域に戻ってきた団塊世代の人たちを主軸にしながら、大学生などを集めていくことが重要。そういうスタッフは広告をしても集まらない。「よのなか科」のような、大人と子どもが一緒に議論する授業を行うことで皆感激して学校のファンになる。そういうリクルーティングの装置が学校にないと、スタッフが枯渇して破綻する。ボランティアはお金で雇うわけではないので、子どもたちと一緒に授業を受けるという学校の魅力で引っ張ることが唯一の動機づけとなる。

○ 和田中学校は何度か行ったが、特別なことをやっているわけではない。魅力的な授業があり、その魅力に引かれて学校のファンが増える。そのファンが学校の応援団になっていく。私自身も「よのなか科」の授業に参加して子どもたちと一緒に考え討論したが、大変面白かった。面白いから、バックアップしたいという気持ちになる。良い地域だから良い取組が行われ、良い学校だから応援団が集まってくるという堂々巡りになっていく。この堂々巡りに入れないところをどうするのかという仕掛けづくりがひとつのポイントだと思う。

【藤原特別顧問】 私が生まれた昭和30年代、学校は、天体望遠鏡や顕微鏡など、新しいものが最初に学校に入っていてとても輝いて見えていた。だから、人が集まってきたのだと思う。ところが、今は、学校には一番古い機種のパソコンしかなく、学校にあって家庭にないものはほとんどない。学校の魅力が減っているのでガバナンスも弱くなる。
 「新しい公共」などの理念以前に、授業がおもしろくなければ学校に人は寄ってこない。いくら開かれた学校づくりをしたつもりでも授業がつまらなければ人は来ない。週一回でもいいから面白い授業をみんなで作り上げようとすることから、学校は変わると思う。 

○ 中学校では携帯電話が大きな問題と言われているが、小学校で保護者が安易に買い与えるため、中学校で様々な対策を行っても対症療法でしかなくなってしまう。小学校では問題が起こらずに中学校に入って問題が起きるため、小学校での危機意識が少ないことが背景にあると思われる。このような問題に対処するためには、小学校と中学校は連携を強化するだけではなく、一体化を進めなければならないと思うが、どのようにすれば一体化が進むと考えるか。

【藤原特別顧問】 携帯電話とテレビをどれぐらい制圧できるかが、学力が上がるか否かを決める重要なポイントである。和田中学校の学力が上がった裏側には、携帯とテレビを徹底的に制圧したことがある。絶対学校に持ち込ませないのはもちろん、買い与えないように保護者に言い続けてきた。例えば、テレビを2時間以上つけっぱなしで見せている家庭のお子さんの学力は保証しないということを、毎年入学式で言っていた。このため、テレビを子どもに見せない工夫について、保護者の中で自然と話し合われていた。  生活習慣ということについては小中連携の一番大事なところだと思う。
 もう一つ大事なことは、算数と英語。算数と英語は一度分からなくなると、あとは全然理解できなくなる。分からなくなると逃げたくなり、中には学校を荒らす生徒が出てくる。中学校で数学が不得意な生徒の半分は小学校の算数でつまずいている。小学校三、四年生の算数から、モバイル端末を使って徹底的に反復学習をすべき。
 英語については、小学校からやるのであれば文法からきちんとやるべきである。自動化したデジタル教材を使って、小学校五年生から中学校三年生まで文法からきっちり教えることが必要。

○ 民間人のマネジメント能力を活用した改革といった話について、佐野教育長はどのように考えるか。

【佐野教育長】 管理とマネジメントの違いなどについては同じように考えるところもあるが、現在の先生方は頼りにならないので、民間の方々に学校に入っていただいて学校を立て直さなければならないとまでは考えていない。やはり、先生方を何とかしていくことが第一である。
 私が課題と思っていることは、フォーマルな研修だけでなく、日常的な校長による指導という形の研修をどうしていくのかということ。また、校長がいかに教頭、学年主任や教務主任を動かすかということも課題である。すばらしい学年主任がいても一人だけでは学年を動かしていくことは難しいので、複数体制で人事を行うなど、学校の組織体制を強化していくことが重要。
 民間の方を学校に入れることや新しい公共ということも大事だと思うが、子どもが好きで先生になった教師をどう育てていくかということが大切だと思う。

○ これまでの2回のヒアリングを通じて、学校運営の改善の在り方等について我々に課せられた課題は大きく2つに整理できると思う。一つは法制度等のシステムや、マネジメント、あるいは教育委員会のガバナンスといいった仕組みづくりの問題。
 もう一つは、教育の魅力、あるいは授業の魅力を作ることを通して学校運営の改善や、新しい公共、あるいは新しい公教育の在り方を作る必要があるということ。これは基本的には教員の仕事ではあるが、保護者や地域住民という、教育界の外からの知恵を結集させることを通して、新しい公共や新しい教育の問題が展開できると考える。

○ 富士山学習もよのなか科も、授業を大切にする、授業の魅力をアップすることが学校にとって大変重要ということを示唆している。総合的な学習の時間は、扱いにくいものと思われている現状があるが、これが魅力的であれば、地域と学校とつないでいく存在として位置づけられると思う。このような考えを多くの人が共有することが大切である。
 また、リーダーとしての校長の養成をどう考えていくのかも大変重要である。今の世代に頑張ってもらうと同時に、次の世代の養成をどのように考えるか。現実的には教育委員会の指導主事が、一番の担い手になり得ると思うが、そこはまだ注目されていない状況なので、今後さらに意見交換をしたい。

・事務局から今後の会議の予定日時について説明があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

電話番号:03-5253-4111(内線3705)

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)

-- 登録:平成22年11月 --