コミュニケーション教育推進会議(第2回) 議事要旨

1.日時

平成22年6月18日金曜日14時~15時

2.場所

杉並区立富士見丘小学校視聴覚室

3.議題

  1. ワーキンググループの設置について
  2. 検討事項について
  3. 自由討議

4.議事要旨

(会議前に杉並区立富士見丘小学校にて5年生を対象に平田座長による模擬授業を開催)

【平田座長】  どうも、今日はありがとうございました。授業の内容についてはまたいろいろ後でお話をさせていただければと思いますが、ちょっと座長の場に帰って司会を務めさせていただきます。

 それでは、ただいまより第2回コミュニケーション教育推進会議を開催させていただきます。どうも本日はお忙しいところをありがとうございました。

 それで、5月26日に行われました第1回の会議で検討事項がいろいろありますので、今後専門的な事柄についてはワーキンググループで審議をしていきたいということをご提案させていただきました。

 まず最初に、ワーキンググループの人選に関する事案を審議したいと思いますので、この件に関しましては、人事のことでもございますので、非公開とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                            (「異議なし」の声あり)

【平田座長】  それでは、配付資料のコミュニケーション教育推進会議のワーキンググループのメンバーの表を見ていただければと思います。

 教育ワーキンググループ、これが内容面、プログラム面と、それから教える側の資質、どんなものが要求されるか。できれば、その資質を担保するための制度設計までをこちらのワーキンググループでお願いしたいということです。

 一方で、連携・普及に関しては、制度設計──どんなスキームにしたらいいのか、それから、学校側とするとどういうスキームならば出しやすいか、これは書類等の面も含めてです。これは、教育委員会にもご協力いただくので、教育委員会としてのご意見。それから派遣する側の劇場やNPOにとってはどんなスキームが使いやすいのかといったところをご議論いただきます。

 ちょっと文言には残しにくいことなんですけれども、特に予算の使い方で、間接経費あるいは今は何か機材費等として認めていただいているものを、できるだけプロデューサーやコーディネーターにもちゃんとお金が回っていくようにするには、その方たちの仕事が非常に大事になってくるので、どうすればいいのかというところまで、できれば踏み込んでご議論いただきたいと思います。

 皆さんからご推薦いただいた方を含めまして、委員の名前がこのようになっております。学校現場の先生方には一応両方に入っていただいていて、そのために教育のワーキンググループのほうがちょっと人数が多くなっているんですけれども、地方の方もいらっしゃいますし、各回全部出ていただけないかもしれないので、少し多目にして、その分、ワーキンググループについては回数を多く行っていただいて、実質的な議論をきちんと進めていただく。それから、どちらのグループの方も、そして、親会議の委員の方にもそれぞれに出ていただいても構わないというような、ある程度柔軟性のある構成で進めてまいりたいと思います。

 本日ご欠席なんですが、親会議の髙木委員に教育ワーキンググループの主査を、それから吉本委員に連携・普及ワーキンググループの主査をお願いしたいと思っております。このような形で進めてまいりたいと思いますが、何かご意見、ご質問などございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。

 ちょっと1点だけ、連携・普及の側にちょっと予定していた方が、ご都合が悪いということで、公共ホールの人が結局1人もいなくなってしまったので、後からどなたかちょっと私や髙木さんでちょっと相談して入れるなりして、多分、地方の公共ホールの特に事務系の方とかがいいかなと思うんですね。実際に取り付けで携わった方、ちょっと後で話をさせてください。それでは、よろしいでしょうか。

【高萩委員】  どれくらいの頻度で、最初にどこら辺に、グループからの報告が上がってくるということでしたっけ。

【平田座長】  これは結局、タイムテーブルはまだできていない?

【倉見学校教育官】  はい、そうですね。

【平田座長】  近日中に事務方にタイムテーブルをつくっていただいて、これは全くの私の私案ですけれども、特に連携・普及グループに関しては、要するに3年後とかを、完成を目指してあるべき姿と、今のスキームに対して来年度からもうすぐにでも、ここは改善点として変えられますよというのと両方を出していただきたいと思うんです。

 そうすると、おそらく来年度の募集が12月とか1月になるんではないか。そこから逆算すると、11月ぐらいまでには、第1次答申みたいなものを出していただかないといけないし、教育ワーキングのほうはもうちょっと来年度からの制度設計になりますから、もう少し後でもいいかなと思うんです。そうすると今からですと結構な頻度で開いていただいて、具体的な答申を出していただいて、それに合わせて親会議もそれを議論するものをつくらなきゃいけないと、そういう感じです。

【高萩委員】  わかりました。

【平田座長】  よろしいですか。ほかにはよろしいですか。

 それでは、ここから、公開で審議をいたしますので、報道関係の方に入室していただければと思います。

 なお、今回会場が学校ですので安全管理上の観点から事前に登録のあった報道関係者のみの傍聴とさせていただいております。一般の傍聴はお断りしております。このため、後日会議の模様を録画したものをインターネットで配信するとともに議事録を公開させていただきたいと思います。よろしいですか。

                            (「異議なし」の声あり)

【平田座長】  続けてしまっていいんですか。待たないとだめですか。はい、待たないとだめですね。

                                (報道陣入室)

【倉見学校教育官】  では、よろしいかと思いますので。

【平田座長】  それでは、続きまして事務局から出席者のご紹介があります。

【倉見学校教育官】  それでは、本日の出席者の方々につきましては、座席表をもってかえさせていただきたいと思います。門川委員、髙木委員、中村委員、吉本委員、鷲田委員につきましては、この会議につきましてはご欠席ということになります。ちょっと手違いで座席表にはありませんけれども、高萩委員にはご出席していただいているところでございます。

 また、けさ申し上げましたが、田中委員におかれましては、ご都合により、西条市教育委員会学校教育課の青野主幹に代理で出席していただいております。よろしくお願いしたいと思います。平田先生、お願いします。

【平田座長】  それでは、続きまして、本日の2つ目の議題であります検討事項について説明をお願いします。

【伯井課長】  それでは、私のほうから検討事項、及び先ほど座長から少しお話がございました検討体制について説明させていただきます。

 資料1でございますが、前回の第1回会議における主な意見をまとめております。学校教育におけるコミュニケーション教育の趣旨や意義ということで、コミュニケーション教育を通じて一人一人の国際競争力を高めるとともに、異文化理解の能力を育むことを目指したいといった趣旨の明確化について。あるいは各教科等の学力や学習意欲等との関係で学習意欲をかきたてるというコミュニケーション教育の意義を発信したいなどの意見。

 さらには、2のコミュニケーション教育の推進方策について、学校教育におけるコミュニケーション教育推進のあり方、あるいは各教科における具体的な推進方策についての意見をちょうだいしております。特にその際、2ページにありますように、学校の受け入れ体制についてのご意見も出たところでございます。

 (3)が演劇・ダンス等の芸術表現を用いたコミュニケーション教育推進のための学習プログラムの開発ということで、地方こそそうした能力の育成が求められるということから、地域の実情に応じてプログラムを柔軟に変えられるような工夫が考えられるとした意見。

 それから、(4)の劇場等との連携・協力の推進方策ということで学校のニーズと指導者、講師のできることを効果的にマッチングすることができるようなコーディネーターの能力や資質向上も重要であるといった意見などが出ております。

 その他コミュニケーション教育の推進方策として学校に派遣される講師の資質、あるいは講師養成のあり方といったことについてのご意見がございます。

 また、コミュニケーション教育の普及方策ということで、コミュニケーション教育に対する学校や保護者等への理解の促進が一層必要であるといったご意見をちょうだいしたところでございます。3ページ目ですけれども、こうしたものに取り組んだことのない学校にも理解されて普及するような方策を考えていくべきであるというようなご意見をちょうだいしたところでございます。

 そうしたものを踏まえまして、資料2でございますけれども、検討事項、前回出したものに修正を施したものでございます。字句の修正以外の大きなところとしては、下線で引っ張っておりますが、2の(4)のところで、学校・教育委員会との連携・協力の推進方策、それから、(5)で先ほど言いました教員の資質向上や、あるいは学校に派遣される指導者の養成・研修の方策というのを新たに追加しております。

 また、3のところで、より効果的なPR手法といったことも具体的な検討事項として入れさせていただいたところでございます。

 資料3はコミュニケーション教育推進会議の検討の体制についてでありますが、これは、先ほど座長からお話がございました。親会議のほうはコミュニケーション教育の趣旨であるとか、それをいかに効果的に推進していくかといった基本的なことをここで議論していただきまして、ワーキングで具体的な検討を進めていく。ワーキングにつきましては、教育ワーキングと連携・普及ワーキングを設けておりまして、教育ワーキングのほうは、教育の内容の話であるとか、教員の資質といったようなことについて具体策を検討していただく。連携・普及ワーキングでは、先ほどお話がございましたように、指導者等を派遣を行いやすく、あるいは学校が受け入れやすくするような具体的な方策、連携・協力のあり方と、あるいは指導者の養成・研修のあり方とか、さらには、こうした事業の具体的な展開方策であるとか、保護者等への理解の求め方といったことについてご議論を進めていただこうと。議論に当たっては、今年度からスタートしております「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」の授業を具体的に検証しながら進めていこうということでございます。以上でございます。

【平田座長】  ありがとうございました。この件に関して何かご質問、ご意見などございますでしょうか。よろしいですか。

 この後、いろいろご議論出ると思いますので、それでは、続きまして、本日私が、非常に僭越ながら自分で授業をさせていただきまして、ごらんいただきましたが、この授業の感想等も含めて、ご意見をいただきたいと思います。おそくなりましたが、まず鈴木副大臣に、ごあいさつも兼ねてお願いいたしたいと思います。

【鈴木副大臣】  今日もお忙しいところ、ありがとうございました。それから、浅川先生、今日はどうもほんとうにお世話になりました。ありがとうございました。

 百聞は一見にしかずということで、第2回で平田座長に我々が目指しているコミュニケーション教育の一つの類型、別にこれを全部広げるつもりはありませんけれども、何をしていきたいのかというようなことについて、実践をしていただいて、いろいろなことをくどくど言うよりも、もう今日の4時間前の子どもと今とが非常にもう見るからに変わっているということを私も今日改めて感じました。

 それからもう一つ思いましたのは、やっぱりすべての生徒・児童がものすごく楽しくというか、積極的に授業に参加している。なかなかほかの教科で一人残らず目をらんらんと輝かせて授業に参画するというのは、なかなかやっぱり教科ごとにいろいろなばらつきがあろうかと思いますけれども、そういう意味で、学びに向かう、そしてみんなと知恵を出し合うという、そういう意義も改めて確認できたのではないかと思います。これをいかに効果的に広げていくのか。今日は田中委員の代理で西条からも来ていただきましたけれども、こういうことも含めて大勢の人たちにどういうふうに広げていくかなということを、皆さんと一緒にお知恵を出していきたいなと思っています。

 これ、また浅川委員とご相談ですけれども、今日は映像をされていますので、これを全部出すわけにはいかないと思いますけれども、最初と途中とエッセンスみたいなので百聞は一見にしかずのところを、またうまく皆さんとお知恵を出させていただきたいと思います。どうぞ今日もよろしくお願いします。

【平田座長】  一応、もう保護者の方には許可をいただいていて映像化はできますので、これの短縮版を考えていただいております。

 では、浅川先生、まずちょっとご感想をいただければ。

【浅川委員】  今日はありがとうございました。どんなふうに展開するのかなというふうに思っていたんですが、おっしゃるとおり、最初の3時間目でも初めてああいうふうにやったにしては、非常に5年生の子どもたちが一生懸命前向きに取り組んで、すぐに取り組んだという子どもたちのよさを改めて実感いたしました。ただ、やっていく途中の中で、当然あれをやると、何でしょうね、ふだんすごくいろいろな力を発揮する子でも、照れてしまって笑ってしまうとか、そのあたりをきちんと平田先生が的確にアドバイスするということで、後半戦でそれがまた挽回できたとか、いろいろな子どもたちの努力の跡が見られたなと思います。それから、演技のよさだとか、その辺きちんとご指摘いただいたので、子どもたちのよさが十分発揮できたかなというふうに思います。

 私は改めて今日、一人一人の子どもたちの新たな面を発見したというか、結構わんぱくで担任が手を焼くような子でも、その子が非常に今日は生き生きと中心になって動いていたというところ、やはりちゃんと相手を意識して自分の演技をしているというところ、ふだんから相手を意識して発信する、受けとめるということは本校のどの学年でも力を入れているところがきちんとできたんだなというのがすごく感じて、非常に充実した3時間であり、それから次につながる3時間だなということをつくづく感じました。ほんとうに今日はいい機会を与えてくださいまして、ありがとうございました。

【平田座長】  ありがとうございました。今日は人数も少なくて時間もまだありますので、では、各委員に一人ずつご発言をいただければと思います。じゃ、どうぞ。

【青野主幹】  それでは、失礼します。田中の代理で参りました青野です。よろしくお願いします。今日、授業を見せていただいて、非常に子どもたちが意欲的に動いているのでほんとうに一人一人が活躍しているなということを思いました。子どもたちが取り上げる材料が、生活にすごく近いところで、昼から見せてもらったのは自分たちの生活をそのまま再現しているような、何ていうんですかね、自分たちの文化を再構築して皆に紹介していると、そういう力が知らぬ間に育っているような、そういう何か感動的なものを私は感じました。

 それから、ちょうどいい機会ですので、西条の様子もお話させていただければと思うんですが、西条では7校がこの事業に参加させていただいておるんですが、今のところ4校が実践をしております。中学校が3校、小学校が1校です。中学校のほうで、川柳を使ったワークショップをしたときの感想を何本かピックアップしてきておりますのでご紹介したらと思います。

 まず私が一番ハッと思ったのは、「自分が思っている以上に相手は自分の意思をわかってくれないということがわかった」と。「一生懸命伝えているつもりなんだけど、ほんとうはわかってくれていないんだということに気がついた」と。私は、これはすばらしい発見であるなと思うわけです。結局自分とは何かということ、伝えたいことは何かということを見つめ直す作業が必要になってくるんですが、同じときにある子はこんなふうな感想を寄せています。「以前より素直になれました」。これは、確実に自分を見つめているんだなと。それから、「圧倒的に優しくなれました」。相手のことを思い、自分のことを思いと、そういうふうに自分を見つめるチャンスになっている。こんな感想もありました。「自分のことを発表することは恥ずかしいことではないと思えるようになりました」と。これは中学生の感想なんですけれども、こういう気づき、それから意欲というのをやはり小さいころから、小学校の段階から教育として与えていくことというのは大変に大事なことではないか。今、7校なんですが、西条市には学校が35校ございます。ぜひこういうチャンスをすべての学校に与えていければなというふうに考えているところです。今日はどうもありがとうございました。

【平田座長】  では、高萩委員、お願いします。

【高萩委員】  僕、今日の授業は見られなかったので、一般的な表現・コミュニケーション教育を学校でやったときのことで言わせていただきます。教える側がアシスタントなど含めて人数がたくさん来たりして、うまくいく場合が多いと思うんですけれども、今後ますます学校での授業の中で行うことが普及していった場合、どこの時間をどのくらい使うかということと、評価の問題が出てくるだろうと思うんです。表現・コミュニケーション教育を使った時間について何らかの評価をしていく必要が出てくると思いますが、難しい問題だと思います。

 ただ、評価と結びつかないと、遊びの時間みたいになってしまうかもしれないです。どこかで評価は導入していかなきゃいけない。今回の教育ワーキンググループの方たちが、芸術系の授業と考えるのか、総合の時間と考えるのか、国語の時間と考えるのか、ほんとうに社会的な、いろいろな時間を使えると思うんですけれども、どこかでは評価のことを考えなきゃいけないだろうと思います。それができてくると、ほんとうにカリキュラムの中にきっちり入っていけるでしょう。表現コミュニケーション教育は絶対必要なものだと思いますので、ぜひそのことも考えながらやっていただければと思います。

【米屋委員】  今日は、朝からずっと拝見させていただきまして、とてもすばらしいなとただただ感動していたんです。もちろん平田座長のこういった活動については前々からわかっていたので、そこはさすがだなだったんですけれども、まず富士見丘小学校の子どもたちがすばらしいなと。5年生のこの時期で、ここまでできるのだというのは、ちょっと驚いたぐらいでして、それはどういうことかといいますと、おそらく大人は多分最後の発表のところで、ユニークな発表が出てきたとか、そういうところを評価しがちなんですけれども、私が一番驚きましたのは、給食の後の休み時間と、それと最後の発表前のあの活発なグループワークなんですね。だれ一人としてしらけて引いている子がいなくて、もう熱中してグループの中で盛んに相談をし合っている。

 最後の発表というのは、グループの中で子どもたちが相互の意見を聞き合って調整をしないと絶対成り立たないんですね。ですので、あの時間が一番すばらしいといいますか、そこでのグループ内コミュニケーションがものすごく充実していて、それが、ここの5年生の段階で、ここまでできるというのは、多分日ごろの下の学年の段階での積み上げというのもあったでしょうし、クラスの状態がとても落ちついている、友達同士の関係がとても良好だから、ここまですっといけるんだろうなというのを拝見して思いました。

 あとは、一番最初の与えられたスキットをちょっとやってみるといったときに、最初のアドリブで、わっとクラスでリアクションが出て、あ、こういうのがおもしろいんだというのがあそこで一遍にクラス中で了解事項になっているんですね。だから、こういう工夫をすると、皆でおもしろがれるぞっていうのが一瞬にして子どもたちの中でわかって、それでどんどん工夫を重ねていくというようなことが進行していたので、これはほんとうに理想的な進みぐあいだったなというふうに思います。先ほどおっしゃられましたようにやはり子どもたちの身近な題材というこの仕掛けをうまく使われているので、さすがすぐれた教材だなというので、改めて感服いたしました。

【平田座長】  ありがとうございました。私のほうから少し説明をさせていただきますと、まず米谷さんにおっしゃっていただいたように、これは大体中学校向けに最初50分6班でつくったので、今日は8班あったんですけど、50分で6班だとぎりぎり50分で終わるんですけど、今日はさすがに無理なんで、1時間目をちょっと伸ばしてやったわけです。もうご指摘のとおり、最初に見る見られるという関係をつくると、子どもたちが非常にもうこちらが教えなくても無意識に獲得目標というものをわかって、そこに向かって進んでいきます。

 当然大人というか、教員の側からすれば、2時間目の台本をつくる過程が最も学習にとっては大事であって、これは国語科の授業なので、あそこに「読む、書く、聞く、話す」という国語の4つの目標がすべて集約されているんです。しかも、「読む、書く、聞く、話す」を細分化しないで、実は「読む、書く、聞く、話す」をそれぞれ個別に学ぶ能力ももちろん大事なんですが、ここは、読む場面なのか、ここは書く場面なのか、ここは聞く場面なのか、ここは話す場面なのかをちゃんとプライオリティーをつけられなければ現実生活のコミュニケーションには結びつかないわけですね。それを、子どもたちが自然に学べること。

 それから、僕はよく先生方にはこういう説明をします。大人になるっていうことは、何か物事をじゃんけんで決めていいことと、話し合わなきゃいけないことを区別することが大人になることなんじゃないか。日本の学校教育というのは全部話し合わせるんだけれども、話し合わなくていいこともあるはずなんです。じゃんけんで決めていいこともある。

 それから、あとはやっぱり交渉がうまくなります。これは繰り返し、演劇の授業を幾つも幾つもこういうパターンをやっていくと、やっぱり相手が何にこだわっているのか。あるいは自分が何にこだわっているのか。だから、5つぐらいポイントがあったときの2番目のポイントについて相手がこだわっているんだったら、それだけは受け入れればほかのおれが思っている4つのポイントは全部相手を説得できるぞみたいな、それが大人の交渉事ですね。要するに、ディベートだとオール・オア・ナッシングになってしまうんだけれども、そうじゃなくて、相手のことも受け入れてそのかわりという、そういうのというのは、日本的な感覚だとずるいって言われちゃうんですけれども、本来はそういう交渉能力を子どもたちに身につけさせていくべきであって、そういうことというのは非常に学べるんじゃないか。

 高萩さんからもご指摘があった部分というのは、この授業でもやっぱり1つあって、これが芸術教育なのか、コミュニケーション教育なのかっていうことは、僕はもちろん両方だし、ここにいるメンバーは両方ということをご了解ただいて集まっているとは思うんですけれども、やはりもう少し整理した説明というのは必要だろうと。やっぱり最後の発表があって、あの表現というのがあるからコミュニケーションが育つというのが基本的に私たちの考えです。そこをどういうふうに文言として落とし込んでいくかというのが、特にこの親会議のほうでも、1つ課題になるかなと思っております。

 ちょっと戻りますが、今日やった授業は、最初にもご説明させていただいたのですが、2002年から中学校の国語教科書で採択された三省堂の国語教科書に載っている教材のもとになっているものです。ですから、教材づくりを始めたのは、98年か99年からだったと思います。当時は「コミュニケーション教育」というような言葉はほとんどなかったので、私たち演劇人は国語教育の枠組みの中でどうにかしてやってもらえる授業、それからこれは、国語の能力としては比較的評価が楽なんです。ですから、ずっと国語学者のあるいは国語教育学の先生方と一緒にこの教材を開発して、非常に子どもたちの学習のポイントが明確になり、そして現場の先生方にも一応受け入れていただける、そういう授業を開発してきました。

 当然これからやっていくものの中には、これは明らかにいいけど説明が難しいなみたいなものも出てくると思います。それをどうやってバックアップしてあげるかのほうがよくて、今日のは一番説明がしやすいものをちょっとごらんいただいたので、全部がこれを基準にされると、ちょっとまたこれも困るなということはぜひご理解いただきたいと思っております。

 あとは、ちょっとまだもう少し時間がありますので、ざっくばらんにご議論いただければと思います。もし、何か事務方からでもご質問などあれば、いかがでしょうか。

【鈴木副大臣】  ちょっといいですか。

【平田座長】  どうぞ、どうぞ。

【鈴木副大臣】  評価の話ですけれども、今の話でいいんですけれども、加えてやっぱりもう少し鳥瞰してみると、今の日本の、特に初中等教育の問題点は何かといったらやっぱり学ぶ意欲をどう掘り起こすかということなんですね。

 そのことにおいて、やっぱり日本は決定的に問題を抱えていて、このプログラムが、要するにコミュニケーションとか表現とかあるいは文化とか芸術というのは、そもそも人間を自発させるというところにあるわけで、当たり前のことを言っているんですけれども、例えばこれをやることによって学校が好きになるとか、学校にもっと行きたくなるとか、そういうことも少し何ていうんでしょうか、若干数値化は、わかりやすくできたりすると、あるいは授業が好きになるとか、楽しくなるとか、いわゆる能力評価のところは今の議論でもう尽きていますが、加えてそういうことができていくと、そうなれば当然それに付随する調べ学習も自分でもっと調べたくなると、こういうことにつながっていって、結果としては、それはいわゆる今言っている評価できる学力にもつながると思います。それだけでもこの学校コミュニティーの受身的存在とされていた児童・生徒たちがむしろ学校というコミュニティーの主体になっていくということはすごく大事で。

 それと、米谷さんがおっしゃったように僕も思ったのは、この学校は友達同士が仲がいいっていうのがすごくわかりました。それはまさに今まで演劇ということを取り入れていったことをはじめ、そういうことにものすごく浅川先生がいい学校をつくっておられるんだと思うんですが、逆も真なりかどうかということに挑戦してみたい。

 要するに、ここのようにうまくいっていない、若干子ども同士の溝があるというのはやっぱり地域によってそうならざるを得ない学校というのはあるんですね。そういうところにこういうプログラムを入れると、むしろ仲よくなるということが、逆は真なりなのかどうなのかというところを挑戦してみて、それがそうであるということであれば、これはこれで非常にとっても大事なことだし、これを推進していく大きなインセンティブというか、理由になっていくと思うんですね。

【平田座長】  そうなんですが、これはもう不確定性原理みたいなもので、要するに私たちを呼んでくれるような学校はもういい学校なんです。(笑)だけど効果が測定しにくいという常にその矛盾を抱える。だから、例えば、西条市のように全市で、私も富士見市で芸術監督をやっていたときは全市でやっていたので、そうすると多少わかってくるというところはあります、それが1つと。

 それから、やっぱり特にイギリス系はこういうのの評価とかもちょっと私たちから見ると、そんなことまでやっていいのかっていうぐらいはっきりさせるんです。だから、僕がカナダで出た学会のときには、フランス語教育でしたけれども、フランス語教育で、同じ教科書を使って、同じ先生がやっているのかな、要するに全くきちんと比較研究で演劇を導入した場合と導入しない場合、それで、これは高校、ハイスクールですけれども、ハイスクールの生徒たちでモチベーションが2倍、それから、1年後の成績で1.5倍、もうはっきり差が出る。演劇的な授業をやったほうが、明らかに成績がいい。そういうものを日本の場合、やっぱり子どもを実験台に使うっていうことはなかなかしにくいところがあるので、どこまでやるかっていうことはあると思う。

 それともう一つは、副大臣が言われたことでやりやすいものというか、私が今までやってきた実感で言うと、もちろん不登校とか、子どものモチベーションみたいなものもあるんですけれども、1つ僕が自分に課している評価の基準としては今おっしゃっていただいたような休み時間も続けるかどうかとかいうのはあるんです。それはただ、ちょっとはかりにくいところなんですけれども、あとはかりやすいものとしては、家に帰ってからそのことを親に話しているかどうかというのは非常に大きいです。やっぱり演劇の授業は圧倒的に帰ってから親に話すんです。今日こんなことをやった。もうよく保護者の方からふだん全然学校のことをしゃべらないのに、帰ってきたらもう演劇の授業の話ずっとするんですよみたいなことを言われると私たちもうれしいですし、学校としても非常にやってよかったなっていう気になってくるので、こういったところも評価の指標に、今までなかった指標だと思うんですけど、そういったものを入れていただくと、ちょっとわかりやすくなるかなと思います。ほかいかがでしょうか。

【高萩委員】  この授業は、今、何の時間を使っていらっしゃるんですか。

【浅川委員】  総合の時間。

【高萩委員】  じゃ、個々人の評価なしですね。

【浅川委員】  はい。記述式で。

【高萩委員】  ここは、低学年から少しずつ、総合の時間を使って表現教育は入れていらっしゃる?

【浅川委員】  国語の中で、対話とか会話を取り入れた効果的な単元をピックアップしながら全学年、コミュニケーション専科が1人おりますので、TT指導でずっとやっています。

【高萩委員】  じゃ、一応今5年生の方たちというのは、1年のときから少しずつやっている?

【浅川委員】  そうですね。そのほかに、年間に1回は演劇にかかわるワークショップも1年生から体験して現在に至っています。

【平田座長】  まあ、杉並区はちょっと極端に恵まれているというか、まず専属の方が、学校にもいらっしゃるんですね。

【浅川委員】  はい。

【平田座長】  区にもいらっしゃって、学校にもいらっしゃる?

【浅川委員】  担任を持たないコミュニケーション専科が1人おります。それから、あと……。

【高萩委員】  杉並区全部でですか、それともこの学校だけ。

【浅川委員】  うちの学校だけです。はい、それは。

【高萩委員】  杉並区の教育委員会の中にもだれかいるんですか。コミュニケーション教育系の人が。

【浅川委員】  そういうのはいませんけれども、ただ、本校は区のチーフコーディネーターというのを1人もう全力的にいろいろバックアップしてくれておりますので、そういう意味では、学校としてもうまく機能できるのかなと見ています。

【高萩委員】  さっき平田さんがおっしゃったので言うと、ここの成果と比べるとのひきるような表現コミュニケーション教育をここまでやってない、ここと似た学校というのは、近くにはないんですか。

【平田座長】  それは、どこかだめなところはないですかって聞くわけにはいかない。

【高萩委員】  別によし悪しじゃなくて、コミュニケーション教育を取り入れて1年生からずっとやった場合と、取り入れてないところの場合っていうのが比較できたほうが  いいかと思いまして。【平田座長】  どうですか。せっかくですから、ちょっと。いいですよね、別にね。

【平田コーディネーター】  比較はなかなか難しいと思うんですが、例えば、中学校に行ったときに3つ4つの小学校から来た子どもは同じ中学校にというところで、もしかしたら中学校の先生からお伺いすると出身校によって違いますという言葉がいただけるのかもしれませんが、そういったところを調べたことはございません。

【高萩委員】  世田谷でやっているところがあるんです。演劇ワークショップをずっと続けていたところがあると、さっき米谷さんがおっしゃったように、1年生からずっとやっていると、4年生5年生になってくると、グループ学習とかやってもすごく早くなる。だから、何かあるとぱっと集まってやっていたり、休み時間とかに何か演劇ごっこみたいなことをやっている。何か問題があっても演劇ごっこで解決しちゃうみたいなことをやり始めるというのを聞いたとき、すごいなと思ったんですね。なれてないと、なかなかそういうことやらないんじゃないかなと思ったんで、ちょっと聞いてみたんですけれども。

【鈴木調査官】  小学校の段階ではなくて、高校から大学、私は高校で教えていた経験があるので、私が教えていたところでは高校の段階で2年生から3年生クラスがえなしで、文化祭に向けて演劇をつくると。1年かけていると相当けんかをするわけです。それを乗り越えて上演までいくという経験をしていることが、大学に入ってから卒業した子どもに聞くと、教授だけではなくて、友達なり先輩から物事を話し合いの場で全くほかの高校から来た子と違うというふうに言われると。物をまとめるまとめ方をよく知っているというふうに非常によく言われるというのを、卒業生の全般的な感想として、経験としてよく聞いていますので、やはり差は出るようです。

【平田座長】  筑波大付属駒場の先生や海城中高の先生の学会報告で、たしか、こういったものを導入することによって、ディスカッションを導入した学習の効果が相当上がっているという報告があったと思います。後でちょっと調べておきますけれども。

 それから、フィンランド・メソッドなんかでも、これはもう小学校から今まさに、鈴木さんがおっしゃっていただいたように、学習評価をする場合にはだれがまとめたかを評価するようですね。ユニークな意見を言った人間が評価されるんではなくて、だれがその意見をまとめたのかということで、フィンランドは、成績までは小学校の場合つけないみたいですけれども、それでも評価の基準をそこに置いているようです。だから、そこはもう明らかにコミュニケーション教育としてこれを取り扱っているということだと思います。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、ちょっと今後のこともあるので少しまとめに入らさせていただきます。1つは、次回、後でご案内がありますけれども、少し芸団協さんの人材育成のことをやはりちょっと詰めてここでも話しておかないと、ワーキンググループでやっていただくんですが、理念的なことも入ってくるので、ちょっと芸団協さんが今までやってきたようなことを少しご紹介いただくということと、それから、吉本さんから引き続き海外での事例を少し紹介していただくというのを次回行いたいと思っております。

 それから、ワーキンググループについても、始めるんですが、次回は、これ合同でやるということです。もうどんどん今日資料が出てきておりますけれども、それぞれ成果が上がってきております。

 西条市に関しては今日も何人か共通のアシスタントが来てくださっていたのですけれども、東京の演劇協会をやっているののエース級が大体行っておりますので、相当よく、僕ちょっと今、目を通させていただいた段階でも事前の打ち合わせなんかをきちんとやってくれて、いい授業をしてもらっているんじゃないかと思います。

 それから、いわき市のほうも今日も来ていたイトウ君というのがやっておりまして、これは、特別支援クラスでやっているものです。ぜひちょっと目を通しておいていただければ。大体ここら辺の内容を一つの基準にして、今後こういったものが全国でもできればなと思っております。

 逆にちょっと全国で、今回、これはあまり言っちゃいけないんですけれども、もう応募が来て、心配なところもあるので、ちょっと鈴木さんにも見に行っていただいて、問題点があれば率直にこういうところはちょっとこれじゃまずいんじゃないかとか、ここはもうちょっとこう指導していかなきゃいけないとかということも含めて今後お話をさせていただければと思います。

 それでは、鈴木副大臣から最後、ご感想をいただければ。お願いします。

【鈴木副大臣】  私はもう先ほどお話を申し上げましたので、繰り返しませんけれども、私の立場から言うと、これはやっぱりわかっている人はわかっているけど、そうでない人はそうでないという、ここのギャップをどう埋めるかということですね。中身についてはもうお任せをいたします。しかしまあということだし。

 私もさっき、鈴木調査官がおっしゃったように、慶応で助教授をしていましたけれども、あの学校はグループワークってものすごくやるんですけれども、やっぱり高校時代にそういうことをやってきた学生がやっぱり引っ張ってくれると、すごくそれが早く乗ると。一方でどこの学校と言いませんけれども、駒場のところにある大学は、個々の学力は高いんですけれども、なかなかグループワークに非常に乗る学生と、そうでない学生とがかなり二分されていて、これでは日本の、過去においては、その大学はリーダーを輩出していた、我々も関係大学でありますが、だったんですけれども、その危機感というのは実は僕なんかはもう体感しているので、こういうことをぜひと思っているんです。それをほんとうにどういう形で、多分、この1つだけのシナリオじゃなくて、いろいろなシナリオを、ぜひ皆さんと一緒に用意しながらやっていくということだと思います。

 ただ、やっぱり大事なことは、校長先生なり教育委員会のご担当が、「よし、これをやろう」と。少なくともこのことについては現政権下における文部省はぜひやろうと、こういうことになっているわけですから、その勢いをぜひ活用していただいて。現場に携わってしまえばもうやめられなくなるというか、保護者の皆さんも逆にいうと、これは続けてくれという声がここにい合わせた人はそういうふうになっていくと思いますので、今日は鷲田阪大総長、さっきまでいらっしゃって、ちょっと帰られましたけれども、ぜひそこのところは、この親会議のちょっとずっと共通のテーマとしてさらに皆さんと、お知恵をいただきたいなと思いますのでよろしくお願いします。それぞれのワーキンググループの方々には、あるいはそれをリードしていただく委員の皆様方には、ぜひよろしくお願い申したいと思います。ありがとうございました。

【平田座長】  はい、ありがとうございました。

 それでは、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。

【倉見学校教育官】  はい、次回第3回目の会議でございますが、7月14日水曜日の午後1時から3時まで竹橋にあります学術総合センターでの開催を予定しております。また、次回の会議につきましては、この親会議であります推進会議とワーキンググループの合同の会議にさせていただきたいと今のところ考えておるところでございます。

 本日ご了解いただきましたワーキンググループにつきましては、正式な委嘱の手続を進めますとともに、主査と相談しつつ日程調整の上、適宜会議を開催していきたいと思っております。

 冒頭、座長からもありましたように、ワーキンググループにはどなたでもご自由に議論に加わっていただく趣旨でございますので、会議の日程が決まりましたら、推進会議及びワーキンググループの委員の皆様全員にお知らせしていきたいと思っております。ご都合の許す限りご参加いただきますようよろしくお願いいたします。

【高萩委員】  ちょっとワーキンググループのボリューム感を教えていただけますか。さっき、平田さんがおっしゃったこと、どのくらいにどういうふうに詰めていかれるかというのはまだわからないですか。

【倉見学校教育官】  ええ、先ほど座長のほうからお話しいただいたように普及・連携ワーキングのほうは、この夏休みから秋にかけて頻繁に開いて、冬のちょっと前ぐらいまでには何らか成果を出せればと、成果というか、答申を出せればいいなと思っています。普及のほうは若干時間をかけてという形になります。

【平田座長】  まあ、2週間か、3週間に1回はやっていただいて、とにかく11月までに結論が出なければ、その頻度をどんどん高めていただくというつもりでやっていただかないとだめだと思います。

【高萩委員】  先生方多いから、夏休み頑張るなら頑張ったほうがいいですけれども、大変だと思いますけれども。

【倉見学校教育官】  そうですね。ちょっと日程調整させていただいて。

【平田座長】  ワーキンググループができたら、それぞれのメーリングリストをちょっとつくっていただいて、親会議の先生方には、希望によってメーリングリストに、僕は両方入りますから、入っていただくという形がいいんじゃないかなと思いますので。

【倉見学校教育官】  はい。

【平田座長】  それでは、ワーキンググループのほうでとにかくきちんと詰めていただいて相当突っ込んだところまで制度設計を事務方と一緒に細かいところまでやっていただければと思いますので、ほんとうに事務方の皆さんに大変お仕事を、汗をかいていただくことになるかと思いますが、副大臣からもお話あったように、これはぜひ進めたい政策ですので、よろしくお願いいたします。

 本日は、浅川委員はじめ、富士見丘小学校の先生方にほんとうにお世話になりました。また、視察にご協力いただきまして、ありがとうございました。皆さんもお忙しいところ、ありがとうございました。本日は、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

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