【資料2】無藤委員発表資料

小学校以上の教育の基盤を作る幼児教育とは

 無藤 隆(白梅学園大学)

1)幼児教育の原理は無自覚の学びにある

楽しいこと。
身の回りのすべてについて知ること。
作り出すこと。
集中すること。

2)幼児教育の方法は環境を通しての保育にある

安心していられる。居場所を作ること。保育者との信頼関係。
やってみせる。保育者の振る舞いが重要。
ものを置いて、誘発する。環境設定が基本。
仲間同士で高め合う。子ども集団の持つ教育力。

3)小学校教育の原理は自覚的な学びにある

集中性:時間が来たら、気持ちを切り替え、集中する。
課題性:与えられた課題を自分の課題として取り組む。
目的志向性:目当てを持って、追究する。
言語性:いろいろな発言を結びつけて言葉にして考える。
自覚性:自分の学んでいることを自覚して、計画的に学習活動を行う。

4)小学校に向けて「学びの基礎力」を育てる

興味:何についても興味を持って関わろうとする態度。
自己統制:集中を持続する力。
 目的を持って行動するために、気持ちを調整する力。
 粘り強く取り組み、つまずいたら工夫する力。
気付き:関わるところから面白いことや不思議なことに気付き、言葉にしていく力。
協同:仲間と協同して目的を達成する力。

5)幼児期の終わりまでに可能としたい主な活動とは

身体のどの部位も柔軟に動かす活動。運動遊び。
共通の目的を持って協力する活動。協同的学び。
思いやりを抱いて、助け合う活動。道徳性の芽生え。
決まりを守り、気持ちを調整する。規範意識の芽生え。
物事に好奇心・探求心を持ち、気づきを言葉にすること。思考力の芽生え。
言葉を使って話し合う活動。言葉による伝え合い。
感じたこと・思ったことを表現し、それを見直すこと。表現力の芽生え。

6)5領域に根を張って教科へと育っていく

国語  : 体験を元に言葉でやりとりする。絵本を見る・読む。言葉遊びをする。考えや感じを言葉にする。
算数  : 遊びや生活の中で数える。積み木などを通して立体的図形感覚を養う。
生活科  : 目当てを持って活動に取り組み、気づいたことを言葉にする。
体育  : 運動遊びを通して、身体諸部位を柔軟にバランスよく動かせる。
音楽  : 好きな歌を歌う。楽器を体験する。音に敏感になる。
図工  : 絵を描いたり、造形活動を行う。遊びのためにものを作り、組み立てる。作ろうと思うものを構想し、工夫する。
道徳  : 決まりを分かり、それに合わせて、自分のやりたいことを回り道して実現する。他の人の困った様子が分かり、思いやりを抱き、助け合う。
特別活動: いろいろな人に関わり、一緒に活動する。

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初等中等教育局幼児教育課