幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成22年4月23日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階 第1特別会議室

3.議題

  1. 幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について

4.出席者

委員

無藤座長、秋田副座長、岩立委員、太田委員、押谷委員、神長委員、神村委員、岸本委員、木下委員、河野委員、嶋田委員、角田委員、奈須委員、北條委員、向山委員、山本委員、湯川委員、若盛委員

文部科学省

金森初等中等教育局長、德久大臣官房審議官、濵谷幼児教育課長、先﨑幼児教育企画官、梶山教育課程企画室長、湯川幼児教育調査官、津金幼児教育課教科調査官 他

オブザーバー

丸山保育指導専門官(オブザーバー)

5.議事要旨

  • 事務局から配付資料の確認があった後、幼児期の教育と小学校教育との接続に関して、委員からプレゼンテーションが行われた。その概要は以下のとおり。

(1)秋田委員から、幼児期の教育と小学校教育との接続に関して意見発表があった。その後、質疑応答が行われた。

(○は委員の質問、●は発表者からの回答)

○ 韓国での幼小連携の取組について発表があったが、特にローカル・オフィスが計画・実施する内容についてモデルや具体的な動きが分かれば教えてほしい。
● 今回の発表資料は、2009年3月のOECDの調査で、「自国が幼小連携で何をしたか」という調査結果を引用している。ご質問の韓国のローカル・オフィスが具体的に計画・実施している詳細な内容まではこの調査では把握していない。
○ 現場では、幼小連携について実際に何をやればよいか、多少戸惑うところもある。教員養成の段階からも意識して取り組むことが大切ではないか。
● 海外では、保護者支援プログラムを国レベルで大事にしている国もある。日本ではそこまで体系立っては行われていない。
○ 幼小のカリキュラムをどのようにつなぐかという議論は、個別の教科内容レベルではなされているとのことだが、どのようなことが取り組まれているのか。
● 数量概念や自然科学について、幼稚園から小学校にかけてカリキュラムをどう組むか、幼稚園と小学校でどのような概念を育てていくかなど、個別の研究については報告がある。
  シンガポール、オーストリア、アメリカにおいても、日本とは言葉のリテラシーの体系は異なるが、日本と同様に、幼稚園と小学校のカリキュラムの円滑な接続について取り組まれている。

(2)木下委員から、幼児期の教育と小学校教育との接続に関して意見発表があった。その後、質疑応答が行われた。

(○は委員の質問、●は発表者からの回答)

○ 幼稚園の遊びの中で数や言葉を扱うことと、数や言葉について系統的な位置付けをもって指導する小学校の教科とは大きく異なり、小学校段階で求められる学習にならないのではないか。例えば活動の後に「みんなに紹介できたよ」など、子どもが自分の活動をふりかえることにより、学びの質をより高めることができるのではないか。
● 学習のきっかけとして、楽しんで取り組める活動や遊びを取り入れており、学習のふりかえりの場面では教科書を使用して学習を進めている。

(3)北條委員から、幼児期の教育と小学校教育との接続に関して意見発表があった。その後、質疑応答の時間を設けたが、特に質問はでなかった。

(4)向山委員から、幼児期の教育と小学校教育との接続に関して意見発表があった。その後、質疑応答の時間を設けたが、特に質問はでなかった。

(5)各委員からの意見発表及び質疑応答の後、全体を通じた意見交換が行われた。その概要は以下のとおり。

(○は委員の発言(発表者への質問を含む)、●は発表者からの回答)

○ 資料1のp3で、オーストリアでは小学校低学年教育をより柔軟にしていくとあるが、これは、内容は学校独自で設定しているということか。
● これは、1・2年で複式学級を組むような形で子どもが自分で課題を選んでやっているケースである。
○ 資料2のp2に、接続・連携のレベルとあるが、カリキュラムを柔軟にすることにより、学びの質を確保することも考えられるがどうか。
● 生活科で幼児と遊ぶという単元で、幼児と遊んであげようと思い、おもちゃ持って行ったが、みんないなくなってしまい、1年生も幼児と一緒に行ってしまった失敗の経験がある。幼児も児童も両方が夢中になれるものを中心にカリキュラムづくりをすることが大切である。
○ 幼小の開きとして、指導観、指導法の違いがある。接続のカリキュラムは幼小が歩み寄って作成することが必要。幼稚園での遊びの中での具体の活動は、小学校での教科書に入る前の段階の学習として、思考の共有、認知などの面でつながっている。幼小接続のカリキュラムは、幼児期の教育で子どもがどういう環境の中で学んでいるのか、小学校でどういう指導を行っているかなどを互いに共有し、意識することから具体の活動が見つかってくる。これまではあまり意識されていなかった。指導法の意識が大切である。
○ 学びの連続性は子どもの発達の連続性の観点から捉えるべき。例えば、手の発達で言えば、6歳の就学までにはさみが使えるようにということを言われると、はさみがうまく使えない子どもの自己肯定観にはどうつながるのか。子ども一人一人の育ちの連続性を担保するためには、保育士と幼稚園教諭の資格の併有も課題ではないか。
○ 小学校は○○教育が多いということだが、幼小接続のカリキュラムは、質の高い教育を幼稚園から小学校につないでいくものであり、合同交流の回数は問題ではなく、自然につながっていくことが望ましい。どういう内容ならうまく小学校につながっていくか。
● 幼小接続の大切さは分かるが小学校の教育現場は多忙感との葛藤があり、幼小連携のメリットの自覚と時間をかけなくても実践できるといったようなことを小学校の教員に明確に伝えることが重要である。
○ 幼稚園と小学校との合同活動について、幼稚園と小学校で指導計画レベルでの調整はされておられるようだが、学習指導案又は活動案レベルでの調整は行っているのか。
● 指導案レベルでも調整を行っている。
○ 資料1のp6に、小学校入門期の生活週案が添付されているが、幼稚園ではどのような形で指導計画を作成しているのか。
● 小学校の運動会だと種目から考えるが、幼稚園だと子どもの普段の遊びから秋の運動会の内容を考えていく。子どもの経験からカリキュラムを構成していく。4・5歳児の5月から子どもの活動の記録をし、それを運動会の構成に生かすなど、幼稚園の運動会の構成の可視化をする取組もされている。
○ 小学校ではねらいは一つだが、幼稚園では30人いれば30通りある。そうした発想を取り入れることは小学校でも必要だと考える。
○ 小学校1年生で親子面談をすると、子どもからは「早くお勉強やろうよ」という声も出る。1年生の担任はスタートカリキュラムなどいろいろなことを工夫するが、こうした子どもの率直な声も視野に入れて考えることが必要ではないか。
○ 小学校の校長のご苦労や率直な思いを聞くと、保育所と小学校の間の敷居の高さを感じる。

  • 座長から次回の会議も引き続き各委員から幼児期の教育と小学校教育との接続についてのプレゼンテーションをお願いする旨、発言があった。
  • 事務局から次回の会議の開催日時について説明があり、閉会した。

 

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