今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する意見(中核市教育長会)

今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する意見

 これからの義務教育において,国はその根幹保障の責任を,都道府県は域内の広域調整の責任を,より住民に身近な基礎的自治体である市区町村や学校は,義務教育の実施主体として今以上に大きな権限と責任を担っていく必要があり,それぞれが十分に役割を果たした上で,相互に連携・協力をしていくことが,義務教育制度の根幹の維持はもとより,地域主権を推進する観点から大変重要なことである。

 昨年9月の新政権誕生以降,新たに地域主権戦略会議を発足し,「中央集権から地域主権へ」の実現に向けた取組を進めている。本会としては,長年取組んできた中核市等への県費負担教職員の人事権等の移譲をはじめとする基礎的自治体へのより一層の権限移譲が実現されるものと期待しているところである。

 今後,地域の創意工夫を生かした特色ある質の高い義務教育の実現や地域に根ざした優秀な人材の育成・確保のため,義務教育費国庫負担による教職員人件費の国の全額負担,基礎的自治体への県費負担教職員の人事権等を含めた権限の移譲などを総括的に検討することが重要であることから,下記のとおり,中核市教育長会としての意見を述べる。

1 権限と責任の一体的な基礎的自治体への移譲

 地域の実情に応じた教育を実現するためには,それを実施する基礎的自治体に対し,権限と責任を一体化して付与することが不可欠であり,今後の学級編制及び教職員定数の在り方について検討するにあたっては,これらと密接に関わる県費負担教職員の人事権等の移譲についても,併せて論議すべきである。

 当面は,まずは一定の行政規模をもち,受入れ可能である中核市へ権限を移譲し,最終的には全ての市町村へ移譲すべきである。

 なお,その財源については,「教育一括交付金」の導入を検討する。

  

2 国の学級編制の標準の今後の在り方について

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)の運用の弾力化により,都道府県の裁量は拡大されたが,都道府県と市町村との間では運用の弾力化が進んでいない状況である。

 地域主権推進の観点からも,より一層地域の実情に応じたきめ細かな教育を実現するために,教職員の給与負担等を含めた財源を保障しつつ,市町村さらには学校において,弾力的な学級編制が実施できるよう,裁量の拡大,権限の移譲を行うべきである。

 また,少子化や自治体規模の質の違いなどを踏まえ,義務標準法を見直すにあたっては,これまで同様学級数を基準とするのか,児童生徒数を基準とするのか,その他の方法を導入するのかなど十分論議すべきである。

  ◇ 「児童生徒数による学級編制」など地域の実情に応じた弾力的な学級編制が可能となる市町村等への権限移譲

 ◇ 教室の確保等学校施設の整備

  

3 計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的要望事項について

 学級編制と教職員定数は,表裏一体の関係にある。

 教職員定数の算定については,「市町村別の定数算定」など学級編制と教職員定数が一対である現行の仕組みについて見直しを行い,市町村が学校の実情に応じた弾力的な運用ができるよう,学級編制の権限と併せて教職員の配置を工夫できる仕組みを構築するべきである。

 その際,すでに定数として算定されている管理職や養護教諭,栄養教諭などの取扱いや,スクールカウンセラーなどの新しい職種など,定数で管理すべき職種や加配教員の在り方などについて,併せて論議すべきである。

 ◇ 義務標準法における教職員定数の算出方法の見直し

 ◇ 「(仮称)多目的加配教員」の配置

 ◇ スクールカウンセラーなど新たな職種の義務標準法への規定と適正な配置

 ◇ 教職員の資質の確保

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