高等学校段階における拡大教科書標準規格等検討会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成21年12月11日(金曜日)16時~18時30分

2.場所

文部科学省東館特別会議室(3階 3F2特別会議室)

3.議題

  1. 文部科学省挨拶
  2. 委員紹介
  3. 座長・座長代理の選出
  4. 議事の運営について
  5. 拡大教科書の現状等の報告について
  6. 自由討議
  7. その他

4.出席者

委員

宇野委員、大賀委員、太田委員、大旗委員、香川委員、工藤委員、澤田委員、髙瀬委員、土屋委員、中野委員、松浦委員、三谷委員、渡辺委員

文部科学省

森教科書課長、斎藤特別支援教育課長、美濃特別支援教育課専門官、吉田特別支援教育調査官、新津教科書課課長補佐

5.議事要旨

議事         

(1)座長・座長代理の選出 (主な意見は次のとおり。(委員:○、事務局:●))

座長に香川委員、座長代理に三谷委員が選出された。

○ 昨年、「高校における弱視生徒への教育方法・教材のあり方ワーキンググループ」が開かれ、年度末まで結論が出なかった。今年は、迅速に標準規格等々を議事進行し、教科書出版社の製作時間が確保できるようお願いしたい。

(2)議事の運営について

「高等学校段階における拡大教科書標準規格等検討会の運営について(資料2)」が了承された。

○ 会議資料の公開について、座長が資料を公開することができるとある。実態調査などは、特別支援教育を考える上で非常に重要な基礎データであるため、いろいろなところで提示したいと考えるが、こうした資料の公開も、座長の判断によるのか。

● 弱視等の実態の調査の結果は、12月4日の時点でプレスに対して公表しており、文部科学省ホームページ等でも周知を図っている。

○ 会議資料の公表について、プライバシーに関わる内容や企業秘密に関わる内容であるため、非公開とした方がよいものは、委員の意見を踏まえて、座長が判断するが、可能な限り公開することを原則とする。

(3)「拡大教科書の普及充実に関する取組(資料3)」、「小・中・高等学校等に在籍する弱視等児童生徒に係る調査の結果(資料4)」について、事務局による資料説明の後、質疑応答が行われた。

○  この実態調査は、特別支援教育の基礎的な第一歩のデータである。こうした調査は、例えば学校基本調査等に組み入れて、毎年実施するという対応ができないのか。また、調査の回答の中には拡大教科書の存在を知らなかったとか、給与手続がわからなかったとかといった自由記述がみられたようであるが、特別支援学校が支援しているとか、認定就学児としてきちんと教育委員会がケアをしているということであれば、こうした自由記述は出てこないと思われる。このような特別支援教育そのもののあり方も議論することはこの会議でできないのか。

○  一つは、毎年このような調査ができないかという質問と、もう一つは、拡大教科書の存在を知らない、あるいは手続もよくわからないという問題をどのように解決していくかということであるが、昨年「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」が制定されて以来、急激なスピードで拡大教科書に関する情報が拡大していることを感じており、徐々に御指摘のような点は改善されていくものと思われるが、現段階ではまだまだ十分ではないということも事実である。

● 第1点目の質問について、基礎データをきちんと取ることは、施策を計画する上で重要なことであるが、他方で、学校現場には多大な負担をかけることになる。また、拡大教科書についての理解が進んできたことから調査できた面もある。そのため、今後の実施のあり方については、改めて検討したい。第2点目の質問について、非常に大きな問題提起であり、この会の視点である高等学校の標準規格についての検討から外れる面もあるので、例えば「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」の場で機会があれば議論することも考えられる。

○ 今回の調査は、特別支援学校のいわゆる盲・聾・養護学校がすべて入っていると思うが、いわゆる視覚障害に関する特別支援学校の割合はわかるのか。

● 今回の調査では、特別支援学校をひとくくりで調査をしているため、障害種別の割合は、調査結果からは導き出せない。

○ 文部科学省において、各教科書発行者が発行する拡大教科書のサンプル集をつくって都道府県教育委員会へ配付するなど、拡大教科書の普及のための取組を実施しているにも関わらず、今回の調査で、拡大教科書を知らないという学校の先生や、いまだにどのように拡大教科書を注文すればいいのかわからない教育委員会もあるとなると、この検討会で標準規格を策定し、教科書発行者がいくら頑張ったとしても、生徒の手前で情報伝達にブレーキがかかっている可能性が非常に高い。そのため、如何にして先生方に情報を明確に伝達したらいいか、その方途も検討してほしい。

○ サンプル集はどの範囲まで配られたのか。

● サンプル集は、教育委員会及び全国800を超える教科書センターにも配布している。また特別支援学校には予算上の問題から、配布していない。

○ サンプル集に関して、特別支援学校のセンター的機能の役割の中で小中学校等に周知することができると思うので、今後はこの点を考慮していただけたらと思う。

○ 教科書以前の問題として、小・中学校の中では障害のある児童生徒のことやその指導方法について十分に知られていない状況がある。そのため、特別支援学校のセンター的機能を発揮したり、東京都の副籍制度などを活用したりして拡大教科書の存在とその必要性等の周知を行っていきたいと思う。

○ 昨年の会議の提言では特別支援学校(視覚障害)と教科書センターにサンプル集を配ることになっていたはず。教科書センターよりは特別支援学校(視覚障害)の方が、障害のある児童生徒と出会うことが多いので、教科書センターより優先して配布するようお願いしたい。また、小・中学校に在籍している弱視児の実態等をどのように把握していくのかは、特別支援学校(視覚障害)だけでは限界がある。そのため、就学指導委員会や、東京都の副籍制度などを活用し、情報の共有がなされるようにすべき。教科書は障害のある子どもに必要な支援の一部であり、その他の支援も含めた対策をお願いしたい。

○ 今回の議論は高等学校段階を対象にした議論であるが、子どもたちにとっては、小・中学校の段階で拡大教科書に出会えるかどうかが重要である。今後、別の会議となるかもしれないが、弱視の特別支援学級のセンター的役割も踏まえて検討すべき。

○ 今回の会議は、高等学校段階における拡大教科書の標準規格の策定が当面のテーマになる。差し当たっては、その点から議論をお願いしたい。

(4)「特別支援学校(視覚障害)高等部の生徒を対象にした拡大教科書の在り方に関する調査結果(資料5)」について、中野委員による資料説明の後、質疑応答が行われた。

○ 資料5の図21(文字サイズに関する好みとパフォーマンスの関係)について、18~21ポイントの読書効率が最大である人数が0人となっているが、これにはどのような理由が考えられるか。

○ 中間集計であるのでサンプル数が少なく、たまたまこのサイズが一番いいという回答が0人となっているだけとお考えいただきたい。

○ MNREADで調べた場合の条件は、視距離は30cmで固定したのか、それともいわゆる弱視の人が見えやすい距離(視距離変動)からはかったのか。

○ 条件については、1.視距離自由、2.視距離30cm固定、3.視覚補助具を使った場合、の3条件でテストし、最も効率のよかったものを集計した。

○ 普通科の生徒と本科保健理療科の生徒を分けて集計したデータはあるか。

○ クロス集計は現時点で実施途上である。今後、御指摘の点に関しては、分析した上で紹介していきたい。

○ 資料5の図11(給与された単純拡大の使用状況)について、単純拡大教科書を給与されながら「まったく使用していない」又は「ほとんど使用していない」生徒の理由は調べているのか。

○ 理由については調査をしていない。

○ 資料5の図10(単純拡大教科書を保有している生徒の割合)について、単純拡大教科書を持っていないのは、本人が必要としないから持っていないのか。また、単純拡大教科書をどのように特別支援学校へ配付したのか。

● 単純拡大教科書の配布については、特別支援学校(視覚障害)の生徒に希望するかどうか調査を行い、希望のあった生徒に配布した。

○ そうであればなおさら、単純拡大教科書を配布されながら使用していない生徒を分析することは必要ではないか。

○ 集計はまだしていないが、自由記述で理由を聞いており、その中には、「どんなものか分からないがとりあえず配布してもらったが、実物を見ると自分には合わないものと分かった」などの理由が見られた。

○ 昨年の会議では、今年の4月から生徒のニーズに応じた教科書を配付してほしいと主張したが、3月30日まで拡大教科書普及推進会議第二次報告がまとめられなかったこともあり、実際の供給にはつながらなかった。そこで検証という名目のもとでも、生徒にとってよい環境を整えてほしいと申し上げた。その中で、特別支援学校(視覚障害)で採択している46点すべてについて、単純拡大教科書及びレイアウト変更した拡大教科書を配付してほしかったが、レイアウト変更版に関しては、作成の手間などから限定された教科の調査になってしまった。一方で、単純拡大教科書は、比較的に製作の手間も少ないのだから何とかしてほしいとお願いした経緯があり、46点を今年の7月に配付してもらった。しかしながら、調査結果に示されているとおり、障害が軽度な生徒は単純拡大で何とか対応できるのだが、障害が重度な生徒は対応できなかった。また、配られるから、ないよりましと思い使ってみたが、B4判、A3判は大き過ぎて鞄に入らないので、あまり使えないと言う生徒もいた。

(5)議題について自由討議が行われた。概要は以下のとおり。

○ 教科書発行者に聞きたいが、来年4月にレイアウト変更の拡大教科書を間に合わせるためには、どのくらいの製作期間を確保する必要があるのか。

○ 小・中学校の拡大教科書から考えた場合、小学校と中学校では製作に要する時間が格段に違っている。その中学校の教科書よりも内容(情報)が多い高等学校は、実績がないこともあり、どのくらいかかるのかは一概に言えない。仮に製作にあたって人員を集中すれば、1冊製作するのに約3ヶ月あれば可能であるが、問題は、製作期間だけでなく、人員の確保によって違ってくると思う。

○ 本校の場合、教科書バリアフリー法に基づき、今年の4月に拡大教科書がもらえるものだと期待していたが、もらえなかった。そして今年は、来年に向けてこのような会議が設置されたわけだ。この会議の開催時期は研究等もあってやむを得なかったかもしれないが、教科書出版社のスケジュールとしては標準規格を策定してから実際に拡大教科書の製作を開始するため、ぎりぎりの日程になっている。また、各学校や教育委員会の需要数の集計作業も時間がかかる。こう考えると、1日でも早く標準規格を策定するようにするとともに、このような検討を行っていることを教科書発行者に対し周知すべき。もう一方で、特別支援学校(視覚障害)で採択している46点の教科書については拡大教科書の製作にすぐに取りかかれるよう、文部科学省から教科書発行者に対してお願いできないか。

● 来年4月に拡大教科書が発行できるよう、この会議でまとめるとともに、教科書発行者には拡大教科書を発行してもらうよう要請するなど、取り組んでいきたいと思う。

○ 標準規格の策定にあたっては中野委員の調査が元になると思うが、この調査対象の生徒の最大数はいくらになるか。また、フィールド調査はどの程度の人数であれば、調査の精度は上がるのか。

○ アンケートは2校回答がきていないところがあり、30から20名の幅で数字が変わるかもしれない。またフィールド調査は、現在51名回答が集まっているが、倍くらいのデータの収集を考えている。ただ、全体の傾向としては、生徒の好みの文字サイズと読書効率が最大化する文字サイズには乖離があるとの結果があるので、これを踏まえた対応をしていくことになる。

○ 視力と文字サイズに関しては相関関係があると考えられるので、特に視力0.1未満の生徒及び0.3以上の生徒が選んだ文字サイズに関するデータを分析することは可能か。

○ 現在集計中である。様々なタイプの拡大教科書を作成するには、どのくらいの母数があるかを把握することが重要である。今回の調査では、概ね文字ポイントが18ポイントの拡大教科書を必要とする生徒が多かった。ただ14から17ポイントの拡大教科書を必要とする生徒の層もある。また、判の大きさや書体に何らか配慮することによって、一部の子どもについては単純拡大教科書でも対応可能であることが分かった。生徒の好みの文字サイズが教科によって異なることも分かったので、今後調査を続けていき、将来的には、生徒ごとに最適な文字サイズとなる拡大教科書の需要数の見通しが事前に立つ体制ができれば、教科書会社も発行しやすくなるのではないか。

○ 通常の学校と特別支援学校(視覚障害)との最大の違いは、費用負担の問題である。この問題を解決しないと、一部の地域を除けば、費用負担のことがネックになって拡大教科書が供給できないということもあり得る。やはりできることを考えると、統一採択によって教科書がしぼられること、多くの弱視が集中して在籍していること、就学奨励費などの費用負担のある特別支援学校(視覚障害)に対する拡大教科書の供給を第一ステップとすべき。本当に拡大教科書が必要となるのは視力0.1未満の児童生徒であり、最終的には色々な選択肢を広げて対応していくしかないのではないか。

○ 小・中学校と特別支援学校は、無償給与制度や就学奨励費など国が費用負担する制度が用意されているのでよいが、拡大教科書の場合、需要数がわずかに変わるだけで価格も大きく変動するため、需要数の見通しが立たなければ事業として成立しない。今後標準規格が策定されると、教科書発行者としては、努力義務であっても発行する義務が発生することになるので、費用負担の問題が解決されない限り取組は進まない。

○ 点字教科書の場合、需要数が1,2冊しかない教科の作成には70万円から80万円かかると聞いている。拡大教科書の場合、色や全体のレイアウトの問題もあるので、もっと費用がかかる。無制限にお金を出すことはできないので、需要数が少ない教科について、レイアウトを変更した拡大教科書の製作費はどの程度かかるのか。

○ 資料はないが、義務教育段階の拡大教科書を作成した際には、非常に莫大な費用がかかった。今後、レイアウト変更に係る作業のノウハウの蓄積を踏まえ、製作コストは安くなっていくものと思うが、最終的にいくらになるのか示すのは難しい。なお、小・中学校における拡大教科書の作成にかかった費用を示すことは可能である。

● 拡大教科書について、今年の二次報告も踏まえ、少なくとも特別支援学校を優先して給与するようニーズがあることは認識している。ただ、児童生徒の実態については今回の調査で始めて把握したところ。差し当たり、来年4月以降に、少なくとも特別支援学校(視覚障害)高等部を優先して対応していきたいと思っている。特別支援学校高等部については、就学奨励費の積算に含め概算要求中であるが、実際何点ほどの教科書が、単純拡大版あるいはレイアウト変更版で、それぞれどのくらいの発行可能なのか、需要があるのかなど実態が不明な中での概算であるので、国が負担する金額は未定である。

○ 拡大教科書の作成経費の大半は人手(人件費)であるが、費用があれば必ず人を確保できるというものではなく、人手をどう確保するかの方が深刻な問題である。

○ 費用がかかるという意見について、確かに点字教科書の一部の教科は70から80万円かかることがあるが、逆に言えば点字教科書であれば費用が高額でも確実に保証されているということ。点字教科書であれば手に入り、拡大教科書であれば手に入らないというのは子どもに説明できない。高等学校段階における標準規格は、小・中学校段階のものと共通に配慮できる内容が多い。また、文字は適切な書体や大きさにし、図表は原本の図表をそのまま使用するという対処であれば、作成の手間暇はあまりかからず、コストもかからないのでは。それから将来的には、検定教科書そのものが、ワンソース・マルチユースしやすい形で作成することができれば、拡大教科書であっても自動編集でできる。実際にこのことについて研究をされている方もいる。いかに手間暇をかけずに作成するかを検討する必要がある。

○ 東京都でも高等学校に弱視の生徒がおり、デジタルデータの提供を受けて試行的に取り組んだところである。やはりデジタルデータが提供されればすぐに対応ができるということもあるので、学校への提供についても検討してほしい。現在の提供されているデジタルデータについての実績も示してもらいたい。また、必要であれば今後、東京都の事例も紹介したい。弱視生徒のうち2割は高等学校に在籍している。特別支援学校(視覚障害)と異なり、高等学校の生徒は視覚補助具などの環境が整っていない中で学習しているので、特別支援学校(視覚障害)と通常学校とを分けて検討するという方法もあるのではないか。

○ 中野委員の調査の中で、読書効率が最大となる文字サイズと子どもの好みの文字サイズが異なるとの報告があったが、通常、ボランティアは子どもの好みに合わせて拡大教科書を作っている。調査結果は、ボランティアが今まで有効でない拡大教科書を提供してきたということを意味しているのか。正しい文字サイズの見分け方についても検討してほしい。

○ 調査結果の図は、文字が小さくても対応可能な児童生徒がいるということを示しているのであって、最適文字サイズを示したものではない。おそらく、好みの文字サイズと読書効率が最大となる文字サイズの間に最適文字サイズが存在すると考えられる。今後、弱視の児童生徒が適切な教科書を選ぶための研究が重要となってくると思う。また、このような適切な教科書を選ぶための評価方法は、生徒及び教科書発行者にとって確実で見通しのきくものとなるものであることが必要である。なお、ボランティアのよい点は、年度途中でも使い勝手に応じて柔軟に文字サイズの違う教科書を作れるということである。

○ 大事なのは、適切なアセスメントを専門的な機関が行うことである。そのために、特別支援学校(視覚障害)がセンター的機能を発揮して、最適文字サイズ、好み等々のアセスメントを行っていくことが必要である。標準規格については、中野委員の研究において、概ね方向性が出ていると思うので、それをベースに考えていくのはどうか。

すなわち、許容できる版がA4版までの大きさであること、文字サイズは、18~22ポイントのニーズが多いことがわかったが、26ポイントも引き続き必要な子どもがいるので、単純拡大教科書のサイズである14ポイントも含め、14、18、22、26ポイントを文字サイズとする。文字サイズが14ポイントの単純拡大教科書については、書体を変えることができるかどうかの検討が必要である。

供給に関しては、製作コストを下げて効率よく提供していくかということになるが、単純拡大教科書については、教科書デジタルデータの収集を文部科学省が行っているので、一括して処理する。その他の18~26ポイントのものは、教科書発行者が対応する。作成する拡大教科書は、特別支援学校(視覚障害)が共同採択している46点とする。高等学校については費用負担の問題があり、単純拡大のみの対応とするのが現実的ではないか。

○ 調査結果では、単純拡大教科書はA4版のニーズが高かったこともあり、文字サイズが14ポイントであっても効率よく読める生徒の層がある。また、文字サイズが26ポイントの教科書については、小・中学校に比べるとニーズが少ないので、高校では若干、文字サイズが小さいものにシフトしていることがわかる。これは、視力の問題というよりも図書の操作性の問題と考えられる。

○ 先ほど本文は拡大し、図表は原本のままでよいとのご意見に関して、本当に図表は小さいままでよいのか。教科書を作成する側としては迅速な作業ができるが、図表に関して検証がされていない状況で、標準規格の要素としてよいか。当面はそのようにしたとしても、改めて検証していく必要があるのではないか。

○ 弱視生徒にとって、図表をどのように見えやすくするかは、拡大教科書作成の要である。文字だけ拡大すればいいというような単純なものではない。したがって、図表はそのままでいいというような安易な考え方は避けなければならない。今回の調査の中にも図表の見えにくさに関するコメント等があるのではないか。

○ 今回の調査の中にも、見えにくさに関する生徒のコメントに、図表に特定したものが幾つかみられた。

○ 図表を拡大しなくてよいということではなく、描き直さなくてよいということである。特別支援学校では見やすさが優先されるが、小中学校では隣の子どもと同じ図であることが求められるというように様々なニーズがある。費用負担のことなども考え、当面は図の描き直しをしないで、可能であれば小さいものはある程度大きくするくらいのことでもよいこととし、最終的には、よりよいものに変えていくということではどうか。また、よりよいものとするためには、教科書バリアフリー法第4条と第8条に示されているとおり、検定教科書についても、障害のある児童生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず十分な教育を受けることができるよう、適切な配慮をすることが求められていると思う。

○ メールでもよいので、会議後も追加の意見等々があれば各委員へ配付し、次回の議論が一歩でも進めるような形をお願いしたい。

 (6)事務局より今後の日程について説明があり、閉会となった。

(以上)

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初等中等教育局教科書課