NPO法人チャイルドライン支援センター
チャイルドラインが2005年度に受けた件数は10万件を超えました。これはすべて、子どもからの電話です。ここ5年の年間着信件数の推移は下記の表の通り、年々増加しています。
2001年度 | 2002年度 | 2003年度 | 2004年度 | 2005年度 | |
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年間着信数 | 22,393件 | 36,666件 | 55,951件 | 89,153件 | 122,436件 |
実施団体数 | 33団体 | 43団体 | 53団体 | 56団体 | 61団体 |
チャイルドラインはこの数に後押しされるように団体数を増やしてきました。なぜ、これだけ、子どもたちがチャイルドラインを選んで電話をかけてきているのでしょうか。チャイルドラインは子どもたちに「どんなことでもOK、匿名でかけられ、ヒミツは絶対に守られます」と約束しています。そして、チャイルドラインのガイドラインとして次のようにうたっています。
電話をかけてきた子どもは、自分自身の気持ちや、抱えている困難について話すことで、心を開放し、ほっとしたり、混乱した感情を整理したり、自身を癒したり、自身の存在を確かめたりします。また、自分を受けとめられた、認められた、ということで、自尊心をとりもどし、人間や社会への不信感が和らぐこともあるかもしれません。会話のなかで、何かきっかけをつかんだり、新たな一歩を踏み出すこともあるでしょう。誰かとつながっていたい、そんな気持ちにつきあうこともあります。ほっと安心できる場のひとつが「チャイルドライン」なのです。
(『チャイルドライン・ガイドライン』より)
「子どもにそっと寄り添い、そっと子どもの声を聴く」、それこそが子どもが求めていることなのです。
(配付資料:『2005チャイルドライン年次報告』 4頁)
男女の割合 | 男子53パーセント、女子32パーセント、不明15パーセント |
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年齢の割合 | 小学生女子16パーセント、高校生男子15パーセント、中学生男子12パーセント、中学生女子9パーセント |
電話の内容 | 学校生活27パーセント、性18パーセント、自分自身14パーセント、家族関係6パーセント、その他35パーセント |
男女別内容 | 女子・学校生活20パーセント、男子・性18パーセント、男子・学校生活10パーセント、男女・自分自身各8パーセント |
(その他参考資料:『2005チャイルドライン年次報告』 5~9頁)
これらの声から浮かび上がるのは、友人に気を使い、大人に気を使い、大人社会に翻弄される子どもたちです。そして、自らの生命を、そして存在を肯定できない自己肯定感の低い子どもたちです。世間では、少年少女たちによる他者のいのちや自身のいのちを粗末に扱ったような事件が起きています。その根底には自己の否定、その裏返しとなる他者の否定が流れています。また氾濫する性情報に翻弄されたり、バーチャルなメディアで人とつながる経験しか持たずにリアルな生命力に触れる機会を持たなかったり、危険を察知できず犯罪に巻き込まれるような事件や、大人が陥る罠のターゲットが子どもにも向けられ金銭的物質的な被害を被ることも起こっています。また、チャイルドラインで電話を受ける現場では、子どもが自らの思いを言葉にして伝える能力が落ちてきていることを実感しています。言葉の力が不足することで他者とのコミュニケーションはいっそうとり難くなります。人と結びあう方法を知らず、情報だけが過多に与えられ大人化を急がされる、そのような中で、子どもが生きている実感を得、将来に夢を抱きながら育つ事はますます難しくなっているのです。
初等中等教育局児童生徒課生徒指導室