児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議(平成22年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

平成23年2月22日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 旧庁舎第2会議室

3.議題

  1. 調査の指針案の検討状況について
  2. 米国における子どもに対する自殺予防教育に関する報告について
  3. その他

4.出席者

委員

高橋主査、新井委員、市川委員、川井委員、菊地委員、窪田委員、 中馬委員、坪井委員

文部科学省

山中初等中等教育局長、磯谷児童生徒課長、郷治生徒指導室長、清重児童生徒課課長補佐 他

オブザーバー

内閣府、厚生労働省

5.議事要旨

開会

議事

(1)調査の指針案の検討状況について、背景調査ワーキンググループより中間報告があった。
(2)米国における子どもに対する自殺予防教育について、自殺予防教育ワーキンググループより中間報告があった。

 

1.背景調査ワーキンググループ中間報告

(1)報告

【委員】背景調査ワーキンググループでは、論点整理された検討課題に応える形で背景調査の在り方について検討を進めてきた結果、「子どもの自殺が起きたときの調査指針(案)」を策定しつつある。現時点では、「1.初期手順」、「2.計画」、「3.情報収集」について概ね骨子ができ上がった。

 初期手順については、日が経つほど調査を進めることが難しいため、早い段階で調査を進める必要があると考えた上でモデルを示した。基本は事後対応を丁寧に行い、御遺族に誠実に対応していくことである。そして何よりも、そこで起こった事実をしっかりと把握し自殺予防につなげていくという基本姿勢を持つことが根底にあると考えている。

 まず初期調査として、原則として3日以内に全教師から聞き取りを進め、状況を把握する。同時に、関係のある子どもたちから聞き取りを進める。

 次に、初期調査の経過をできるだけ1週間以内に御遺族に説明していく。そして、初期調査で得たものを材料にしながら、今後の調査について御遺族と協議する。また、学校が絡んだ要因がもしあると判断されれば、更に詳しい調査の実施を御遺族に提案し、協議する。あるいは学校要因の有無にかかわらず、御遺族から詳しい調査の要望があれば、協議をしていく。ここで言う詳しい調査というのは、調査委員会を設置した上での調査、あるいは調査委員会の設置有無にかかわらず、アンケート調査や一斉聞き取りなどの調査を指している。

 そして、詳しい調査を行う場合には、今後の詳しい調査について当該学校の子どもたちや御遺族以外の他の保護者の方々への説明を行う。子どもたちへの一斉聞き取りやアンケートの実施の可能性もあるが、その場合には保護者に承諾書を書いてもらうことが望ましい。

 ここまでが初期手順であり、その後は、調査委員会が立ち上がる、あるいは学校が主体となって詳しい調査を始めていくことになる。調査の決定者は、学校を設置する教育委員会を想定に置いているが、もちろん学校自らが主体的に調査すべきという考え方から、学校が調査の決定者となることもあり得る。何よりも大事なことは、学校や教育委員会が隠さないで事実に向き合う姿勢を保つことである。また、調査の実施主体としては学校や教育委員会のほか、中立的な立場の専門家を加えた調査委員会などを想定している。特に御遺族が学校主体の調査を望まない場合には、中立的な立場の専門家を加えた調査委員会の早い段階での設置が望ましい。御遺族や保護者の代表が調査委員会のメンバーに加わることについては、我々の検討の過程では、中立性あるいは客観的な議論の担保、守秘義務の問題など様々な課題があると考えている。いずれにしても、調査の決定者がメンバー構成を最終的に判断することになるだろうが、できるだけ、御遺族とのパートナーシップの中で、中立的な立場の専門家を加えていくことが重要であると考えている。中立的な立場の専門家委員の重要な役割は、高度な専門性により、分析評価あるいは報告書の内容決定において中心的な役割を果たすこと、また同時に、学校や教育委員会が隠さないで事実に向き合う姿勢をとっているかどうか絶えず第三者的にチェックすることである。ただ、外部委員のみによる調査委員会については、実際の聞き取り等を進めていく上で活動に困難が伴うのではないかと考えている。

 調査の実施主体は、調査をどう進めるかという計画を立てることになる。まず調査の目的を明らかにすることが大事である。一般的に、調査の目的は、今後の自殺防止に生かすこと、御遺族の事実に向き合いたいという希望に応えていくこと、そして、子どもや保護者の事実に向き合いたいという希望にも応えていくことである。目的が決まれば、次に到達目標を明確にすることが求められる。何があったのか事実を明らかにし、自殺に至った過程をできる限り明らかにする。このことは今後の自殺予防への課題を明らかにし、提言をまとめていくという方向性を持っている。また、調査で得た資料の取扱いも慎重にしなければならない。分析評価前の資料については事実確認がなされておらず、憶測や作為が含まれている可能性があるため、そのまま公表したり御遺族に情報提供することは調査の客観性や中立性を損なう恐れがある。したがって、いろいろな情報をすり合わせて総合的にまとめていくことが不可欠である。

 計画の次に情報収集であるが、初期調査以上の教師への聞き取り、子どもへの聞き取りやアンケート等が考えられる。いずれも様々な難しさを伴うため、専門家との連携が必要である。とりわけ子どもは被暗示性が高かったりするため、慎重な姿勢が必要である。そして、調査の途中段階で、御遺族に対して随時説明を丁寧に行うが、そのときに御遺族と調査委員会をつなぐ役割を担うキーパーソンが大事であり、また、御遺族の要望があれば、心のケアの専門家を紹介していくことも必要である。とにかく御遺族の気持ちを汲みながら、信頼関係をつくり、そして事実を明らかにしていく姿勢を貫くことが大事である。

 最後に、「4.分析評価」、「5.報告」、「6.平常時の備え」については、検討中である。分析評価については、情報の信ぴょう性を確認することが極めて重要である。報告書については、調査で判明した事実と分析評価の二つを区別して記載することが望ましいと考えている。また、分析評価と報告書に盛り込む要素とは区別して考える必要があり、分析評価の段階では諸般の事情に配慮することなく、色々な情報を分析するが、報告書をまとめる段階においては、御遺族や周囲の子どもへの配慮も必要だと考えている。報告書の公表に当たっては、あらかじめどのような内容について公表するか御遺族に説明する必要があると考えている。御遺族には必要に応じてその都度、調査の内容を説明していくことが大切であり、特に調査期間が長期に及ぶ場合には、ほかの保護者にも中間報告を行うことも必要になってくると考えている。

 以上のように、背景調査の指針(案)をまとめてきたところである。

(2)質疑

【委員】議論になった大きなポイントは何か。

【委員】一つは調査委員会のメンバー構成である。学校も当事者であり、御遺族からの聞き取りもありえる点で、精神科医、弁護士等の専門家を入れて中立性・客観性を担保していくのが自殺予防に向けて事実を明らかにしていく上で一番大事であると考えている。

 二つ目は、周囲の子どもへの聞き取りアンケートである。調査を進めていくとき、御遺族への心のケアはもちろん、周囲の子どもや保護者へのケアも必要になってくる。よって、子どもたちの心の問題に十分な配慮をしながらどのように事実解明をしていくのか、アンケートもどのような形でどんな内容にすれば事実に近づいていけるのか、というようなことも重要なポイントとして議論を進めた。

 三つ目は、御遺族との信頼関係である。御遺族との信頼関係の中で事実解明を進める、そのことが自殺予防につながり、また御遺族の心のケアにもつながっていくのではないかというのが我々の基本的な姿勢であり、それを具体化していくためにはどのようにしていけばいいのか検討してきた。

【委員】分析評価において注意すべき点というところで、情報の信ぴょう性の確認のことが上がっていたが、対立するような様々な情報の中から何が起こっていたか整理するには、非常に高い専門性が必要とされるのではないか。そのため、調査委員会そのものに専門家が入れなくても、最終的に上がってきた事実を判断する部分においてだけでも、できるだけ専門家の示唆を得ることが望ましいというような形で書くべきではないか。

 例えば、大学のハラスメント防止委員会では、調査そのものは学内の教員がやるが、最終的な事実認定のところについては弁護士に見ていただく。可能な限り、そういうことが望ましいとしておかないと、判断の中立性が問われるのではないか。

【委員】学校・教育委員会が主体となって詳しい調査を行う場合でも、分析評価における分析に当たって専門的な知識を持った方の協力は不可欠であると考えている。全てを解明できるわけではないという限界を踏まえて、謙虚な姿勢でやっていくことが必要である。

【委員】心のケアのために行う関わりと調査は区別しておくべきだということは以前も議論にあったが、どちらも必要なことであり、それぞれをどのように位置づけてやるかということが重要である。

【委員】聞き取りをして事実の解明、そして子どもたちへの心のケアという循環の中で丁寧にやっていくということが大事である。

【委員】可能な限り同じ人がやらないという体制も大事である。

【委員】インフォームド・コンセントはどうなるのか。

【委員】調査の対象は特に子どもなので、保護者に対して必ず了解を取りつけていくことを大前提として押さえている。小学生の高学年、中学生、高校生は主体的な判断ができるので、子どもたちに対しても協力をお願いし、その了解を取るという姿勢を大事にしていくということも議論が随分なされた。

【委員】司法面接のようなきちんとした手法を研修した方がきちんと事情聴取すること、そして、それとは別に臨床心理関係の方が、子どもたちの心の問題のケアを行うことが本当は必要である。そのためには膨大な労力と人材が必要であるため、理想がそうであったとしても現実にできない場合に、どこまで二つを分離して行うかということである。

 インフォームド・コンセントに関しては、自分の言ったことが非常に大きな結論に到達する材料にされるかもしれないので、中学生・高校生等については、本人自身にきちんとそれがどういうことになるのかということを話さなければならない。そうすると、子どもたちが防御的になって話さないのではないかという懸念が出てくるのだが、それでも、子どもたちが語るときには、何のために語っているかがわかることが必要である。

【委員】高い専門性については、具体的に実施する主体として市町の教育委員会というレベルで考えたときに、これだけの専門性を有した人がその狭いエリアで確保できるのかということも実際問題としてある。そういう意味で、都道府県教育委員会というレベルであらかじめこういった組織立てや人選をしておくことが早い段階で調査に入っていく観点からも重要である。

【委員】臨床心理士や児童精神科医の数は、都市部と都市部でないところで歴然として差がある。危機が起こってからの対応ではなくて、危機に備えて平常時にどのように人材を確保し体制をつくっていくかということが、具体の問題として重要になってくる。

【委員】専門家という視点では、例えば自殺の背景をきちんと調査できる意味での専門家が果たしているのかどうかという問題がある。あらかじめ調査にかかわる人選をしておくだけでなく、更にそういった方々が自殺の背景にかかわる様々な研修も事前に積んでおくことも逆に必要になってくるのではないか。

【委員】例えば、背景調査をするに当たって専門家委員を急にその場で選ぶのはなかなか難しいので、地域にはどのような専門家がいるのかをリストアップしておくだけでも随分違うのではないか。

【委員】自殺の背景調査の専門的な力量を持った人は、本当に少ないだろう。専門性が高いと思われる第三者的な面を持つ人が調査委員会に入って事実を少しでも明らかにしていくという、一歩一歩の前進しかないのではないか。そして、その取組の中で専門家と呼べるような力量を備えた人が徐々に増えていくのではないか。

【委員】きちんと分析評価したものを公表していくという姿勢と、当事者・遺族がどこまでの事実を共有していくかということが今後議論の論点になってくるのではないか。

【委員】分析評価前の資料は、断片情報の集合でしかなかったり、偏りがあったり、憶測や作為が入っていたりというような危険性があるため、それをそのまま公開したり、御遺族に提供するというのは課題があると考えている。そして、そのような事情をお互いに分かり合う、あるいは分析評価前の生の情報やデータのある意味での信頼性の低さや危険性をお互いに共有し合う信頼関係をつくるということがまず大前提である。それがあれば、分析評価前のデータがどういうもので、どういう危険性をはらんでいるのかということを御遺族の方も理解していただけるのではないか。

【委員】御遺族へ初期調査の経過について説明し、更に今後の調査について御遺族に提示していくときにも、今後の調査の目的や目標、調査方法、公表、そして御遺族の方への情報提供の在り方などの方針を提示し、協議して合意していく過程が大事である。

【委員】生のデータを出さない点に関して、抽象的な危険を言っているようなレベルでは、なかなか遺族に納得していただくのは難しい。具体的に生データを見せるということでどんな危険が生じるのかということをもう少し具体的に書くべきではないか。

 

2.自殺予防教育ワーキンググループ中間報告

(1)報告

【委員】報告書の目次案だが、前半で今回の米国視察の結果を述べる。マサチューセッツ州訪問結果として、公衆衛生局訪問結果、スクリーニング・フォー・メンタルヘルスというNPO法人のスタッフ訓練プログラムの内容、スクリーニング・フォー・メンタルヘルスのSOS (Signs of Suicide)というプログラムを用いて自殺予防教育を実際に行っている二つの高校での視察結果について述べ、最後にメイン州で予防教育について学んだことを整理する。

 また、後半では、日本で今後実施していく際に検討すべき課題について挙げている。一つは、まだまだ死について直接触れることに対して学校現場の抵抗が強い中で、関係者の合意形成をどのように図っていくかということ。それから、児童生徒に対してどのような説明のもとに開始していくかということである。アメリカの訪問先では、事前に一定のフォームを用いて、保護者に自殺予防教育を受けさせたくない場合は非同意を取り、非同意しなかった人は同意したという形でインフォームド・コンセントを得ていたが、保護者への説明と同意の方法についても検討課題として挙げている。

 二つ目に、誰がどのようにやっていくかという条件整備の課題がある。米国で訪問した二つの高校では、一つの高校ではスクールカウンセラーがクラス担任とペアになって行っていた。もう一つの高校では、健康教育担当の教師が行っており、たった二つの高校でも、担当者については学校の実情に応じて違っていた。日本の実情の中で教員が直接担当する形がよいのか、保健体育の教員なのか、養護教諭なのか、スクールカウンセラーがどういう形で絡んでいくのか等について、実現可能な形での検討が必要である。そして、訓練をどのようにしていくかということがある。また、教材開発の問題がある。更に、自殺予防教育によってハイリスクの生徒が浮かび上がってくるということもある。それをどのように地域で支えていくかというときに、地域の専門機関とのネットワークが不可欠であり、そのあたりの検討も必要である。

 その他として、カリキュラム上の位置づけも非常に大きな検討点である。アメリカでもそれぞれの学校によって実情が違っていた。また、スクリーニングの問題がある。アメリカでは、自殺予防教育をして、その後にスクリーニングをして、ハイリスクの生徒については確実にケアにつなぐという形があったが、そのあたりのやり方等についての検討が必要である。その後、効果をどのように検証していくのかという点がある。自殺者数を直接効果検証に用いることは現実的ではないので、援助を求める行動が増えたなど、どういう形で効果検証していくのかも大きな課題である。

(2)質疑

【委員】日本で実際に先行的に自殺予防教育をしている事例はないのか。

【委員】ごく散発的に行われているに過ぎない。標準的なやり方というのが十分にわからないまま、道徳教育の一環として、命の大切さなどが前面に出てきてしまうような自殺予防教育が現実には行われていると聞いたことがある。

【委員】生涯にわたるメンタルヘルスの基礎として、大学入学が決まっている生徒に話をした。自殺を非常に深刻な事態として受けとめたり、自分の周りには自分を支えてくれる人がたくさんいることに改めて気がついたり、友達の危機に遭遇したときには助けになりたいとか、苦しいことは一生続かないことについてとても心に残ったとか、そういう視点で行うことについて何となく手がかりは得られたような気がした。

【委員】それならば、例えば自殺予防教育と銘打ってこういうふうにされていることは非常に危険だとか、あるいは実際にこういうふうしてみると子どもたちの反応はこうだったというようなことをもし提言として示すことができれば、日本で導入することの位置づけとしてはっきりする。また、導入する場合に、幾つかのモデル実施をしたほうがいいのか、一斉に始めたほうがいいのかというのも書くといいのではないか。

【委員】それは大変重要な点で、今後例えばある程度の標準的な進め方はどこかできちんと検討しなければいけない。また、トップダウンで全国一斉に実施するのではなく、モデル校かモデル地区をつくって試行するのが現実的ではないかと考える。

【委員】大学の講座で大学生に対して自殺予防教育を行ったが、子どもに直接教育していくことが大事だと感じた。

【委員】教育系の大学等で教員志望の学生を対象に自殺予防教育を実施するのもいいのではないか。

【委員】学校の先生や保護者を対象にした自殺予防教育も必要ではないか。

【委員】欧米の主流は生徒を直接対象にしている。なぜならば、問題を抱えたときに、子どもたちは親や先生に相談しないで、同世代の仲間に相談するため、相談されたときにどうしていいかわからなくて混乱しないようにするためである。

 ただ、日本の現状を見ると、一挙にはそこまでは行けない。実際に子どもに直接教えるのは不安だという気持ちが親にも教師にも強い。そのため、第一段階では学校の先生たちにきちんとした知識を持ってもらおうということで、教師向けの自殺予防の冊子を最初にまとめ、今は全国4ブロックに分けて校長や指導主事を対象に研修を実施している。

【委員】保護者はどうか。

【委員】保護者も確かに重要であるが、なかなか今の段階では保護者までは行っていない。

【委員】実際にある学校で行うとなったら、生徒たちに行う前に必ず教員研修を行い、先生方に十分わかっていただいて実施するという形でしかこの教育は成り立たない。可能であれば教員研修と保護者向け研修を行って、生徒に実施するというワンセットでモデル実施ができるといいのではないか。

【委員】PTAも活用し、保護者と教員を対象として一緒に行う視点があってもいいのではないか。

【委員】保護者には御自分がお子さんを亡くされたとか色々な方がいらっしゃるので、やはり配慮が必要で、その辺をどこまでこちらがわかっていてフォローできるか心配である。

【委員】日本は自殺社会であり、子どもたちの近親者に自殺した人がいる場合が非常に多い。しかもなかなかそれを把握できる状況にはない。そういった子どもたちが対象者に含まれる場合に、やり方を一つ間違えてしまうと非常に危険度が高い。それを、2~3回の研修を受けた教員が子どもに対して本当に行えるのだろうか。全国の教員にそういう専門性も更に課していくのかどうか。そういう意味では、エキスパートの人たちによる研修というところから入っていかなければならない。

【委員】保護者と教員が一緒に研修を受けることで、問題を抱えたときにいつも学校は手を差し伸べる準備があるということを示すことができる。この点は非常に重要な点で、今後も議論を続けていく必要があるだろう。

【委員】アメリカは自殺予防プログラムに特化して行っているが、日本では、例えば心の危機への対応等、もう少し包括的なものとして行う方が受け入れやすいのだろうか。

【委員】アメリカの健康教育のプログラムの話を聞くと、かなり包括的にいろんな問題を扱っている中の一つとして自殺予防も入っている。心の危機等について学校教育の中できちんと教えるという素地の上で実施しているという印象を持った。カリキュラムの中に位置づける形になるにはかなりの年月を要すると思うが、特別活動等の時間を使って、自殺予防と銘打つものの実は生涯を通じてのメンタルヘルスを扱う授業を、仮に1コマでも2コマでも子どもたちに提供することの意味は非常に大きいと思う。そういうところから始めていくのが現実的ではないか。

【委員】自殺という言葉を使わないで、心の危機にすればいいわけではない。

【委員】今の日本の教育のカリキュラムの中で自殺に関連付くものがあるかどうか調べている。例えば、社会科で労働問題における過労死や保健体育科でうつ病などが出てくる。古文では、自害や入水がたくさん出てくる。一方で自殺となると、ためらいが出てくる。今実際に自殺に関しての問題がどんなふうに日本の教育の中で扱われ、つながりがあるのかということも、この関連の中で洗い直していく必要があるのではないか。

【委員】自殺予防教育に関して、結論としてはどういう方向感なのか。

【委員】繰り返し申し上げてきたような意味での教育というものの必要性は非常に明確に認識している。克服すべき課題はたくさんあるが、可能なところからモデル実施できる状況にあると考えている。

【委員】教師、保護者を対象にしたものから始めて、子どもに対する自殺予防教育について大人に理解してもらうと、自分自身のメンタルヘルスにも役立ったというような意見が必ず返ってくる。重要性をわかってもらえたら、次の段階で子どもにおろしていく。十分なリソースがあるモデル校やモデル地区で始めるのが現実的である。

閉会

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初等中等教育局児童生徒課生徒指導室