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児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議(平成21年度)(第2回) 議事要旨

1.日時

平成21年9月15日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 児童生徒の自殺の背景調査についてヒアリング(NPO法人ジェントルハートプロジェクト)
  2. 児童生徒の自殺の際の危機対応及び体制整備についてヒアリング(窪田由紀 九州産業大学教授)
  3. 今後の会議の進め方について

4.出席者

委員

高橋主査、市川委員、川井委員、河野委員、菊地委員、窪田委員、阪中委員、坪井委員

文部科学省

徳久大臣官房審議官、磯谷児童生徒課長、岸田生徒指導室長、粟野生徒指導調査官 他

オブザーバー

NPO法人ジェントルハートプロジェクト

開会

議事

(1)事務局から資料について説明があり、その後ヒアリング、討議が行われた。

(2)ワーキンググループの設置について事務局から説明があり、今後の会議の進め方について討議が行われた。

(1)ヒアリングと質疑応答

1)NPO法人ジェントルハートプロジェクトからのヒアリング

1ヒアリング内容

 いじめの問題は、いじめられている子の安全を確保しながら、いじめている子への心にどう寄り添うかが重要である。いじめている子が自分の抱えている痛みと向き合う環境をつくり、いじめを止められるような大人のサポートが必要である。いじめられている子への対応については、保健室登校、または不登校になることで安全の確保につながることがあり、現場の先生方が正しい対応を身につけることが重要である。

 いじめで亡くなった子どもたちのメッセージ展では、亡くなっていった子どもたちはどこにでもいる普通の子であり、また自分のいじめ行為により、いつ身の回りで起きても不思議ではない出来事として伝えるようにしている。

 いじめの未然防止策という観点からは、正しい情報が欠かせない。文科省の調査の数値と、報道されているいじめ自殺の数字、警察庁によって挙げられてる数字、それぞれ異なる。教師の叱責後の自殺についても、文科省の数字では1996年からずっとゼロになっている。指導後の自殺があるということを、教育現場に普及してほしい。

   事件直後の調査とその情報の共有は、いじめ再発防止の観点から重要である。事件から3日以内の調査と、遺族との結果の共有を前提としたアンケート調査を提案したい。事実調査をするための第三者機関については、かえって親の知る権利を阻害しているのではないかと感じられる事例がある。遺族に情報が開示され、遺族の思いが生かされるシステムにする必要がある。いじめ調査の際に、加害者の自殺のリスクというのをよく言われるが、最初にきちんと大人たちが寄り添って、何が自分たちで悪かったのか、子どもだけでなく大人も一緒になって考えていくことが、立ち直りをサポートしていくためにも必要である。

 2質疑応答

【委員】調査できちんとした数字を上げてもらうためには、学校にとってそれを出すことに対して抵抗感がないように、不利にはならないようなシステムを考える必要がある。

【委員】多くの場所で講演をして効果が上がったとのことだったが、定期的に同じ学校で講演をしたり、学年を変えて話したりして、講演の効果を検証したという例はあるのか。

【ヒアリング対象者】毎年、年に1回の講演を行っている学校がいくつかある。新入生が入ったときに、まず講演をして、新学期をスタートさせてもらうというものである。

【委員】学校の対応や周辺のサポートなどで、当初は非常にぎくしゃくした関係だったけれども、その後に遺族の方の納得感が得られたというようなケースはあるか。 

【ヒアリング対象者】ある例では、いじめていた子どもに対して、学校の先生が付き添って、遺族のところに一緒に謝りにいったりして、きちんと謝罪の手紙を出したり、毎年命日にはお参りしたという関係があるということは聞いている。

2)窪田由紀 九州産業大学教授/日本臨床心理士会からのヒアリング

1ヒアリング内容(配付資料参照) 

 緊急支援とは、学校が突発的で衝撃的な出来事に遭遇して機能不全に陥った場合に、学校、教育委員会から要請を受けた臨床心理士がチームで学校に入り、学校がコミュニティーとしてきちんと対応できるように支援するという活動であり、事件・事故発生/発覚直後の数日間に実施する。プログラムのねらいの第一は、突発的で衝撃的な出来事に遭遇することで生じたこころの傷の応急処置として苦痛を和らげ、回復を促進することである。また、第二に衝撃的な事態に対しての反応が長期化・重篤化する可能性の高い構成員を継続的ケアにつなげること、第三に正確な事実の共有により2次被害を予防したりするということを目的としている。

 プログラムの概要は、1直後の時点で明らかになっている事実を、当事者や保護者の了解のもとに共有すること、2一般的にそういう危機的な出来事に遭遇した際のストレス反応と対処方法についての情報提供をすること、3事件・事故によって各自が体験をしたことを、表現する機会を何らかの形で保障することである。

 子どもたちには、そのとき感じていることを、できるだけ早い時期に、抵抗なく表現してもらうために、「こころの健康調査票」というアンケートを使っている。項目については、事案に応じて適切な内容を、現場の先生方と協議しながら検討して用いることを重視している。担任や副担任など児童・生徒と身近に接する先生には、アンケートを基に児童・生徒に話を聴く個別面談の方法についての研修を行い、個別の話の聞き取りのやり方について伝える。児童生徒の状況を把握し、対処の方針が在る程度固まったところで、学校と保護者の協力体制樹立を目的に緊急保護者会を開催する。1その時点で明らかになっている公表可能な事実、2事案発生後の学校の取り組み、3子どもたちの示す反応と家庭での対応を伝え、協力を求める。その後は、子どもたちの反応の収束状況にあわせて、今後のケアのやり方について協議していく。

 突発的で衝撃的な事件・事故が発生/発覚すると教育委員会から臨床心理士会の窓口に第一報が入り、その後実際にケアが必要だということになると、緊急支援要請がある。学校の規模や事案に応じて支援チームの陣容を組み立てることになる。緊急支援プログラムの実施段階では、その後具体的に学校の中でどう進めていくかについては管理職との協議・合意しながら進めていく。

 遺族の方へのかかわりということに関しては、学校が丁寧に遺族の方の意向を確認したりしながら進めていけるように、背後からバックアップするという形にとどまっている。

2質疑応答

【委員】CRTの活動では、4割以上が児童生徒の自殺というのが実情である。CRTが出動した、約半数が、遺族が自殺の事実の公表を同意されない。自殺と警察は発表してしまっているのに、伏せてほしいと言われて、情報をどう扱うかで相当苦慮する。3日間限定のCRTは現実問題として遺族への直接支援はできない。

【委員】緊急支援チームの構成はどのようになっているのか。

【委員】大きくダメージを受ける当該学年のクラス数を基準に、全体を回すコーディネーターと各クラスをバックアップする臨床心理士ということで体制を組むのが一般的である。

【委員】事件が起きて、突然、スクールカウンセラーだから行ってくれと言われて、経験も知識もなくて、困るという例が結構ある。どうやってお互いの訓練をして、その後のスキルの維持を心がけているのか。

【委員】最初はいろいろな書物からプログラムの概要を1つ組み立てた。その後はそれを基本にしながら、実践のなかで新たに出てきたノウハウで、マニュアルを改定していった。

スクールカウンセラー全国研修会でもこのテーマは毎年取り上げられており、理論とプログラムの概要の講義に加え、具体的な支援方法についてロールプレイを交えた演習形式で研修を行っている。都道府県臨床心理士会では、それぞれの実情に応じた形で教育委員会と臨床心理士会が連携し、支援を行っている。

 スクールカウンセラー全体の研修では、理論と具体的にどうするかをロールプレーを交えながらやっていく。

【委員】緊急支援では広い意味でのディブリーフィングをしていると考えられる。適切に行われれば、デブリーフィングに効果があると私個人の経験からは考えているが、その効果には諸説あるが、効果についてはどのように考えるか。

【委員】ディブリーフィングという言葉については抵抗感が強い人が多い。また厳密な意味でのディブリーフィングの手順を踏んでいるわけではないため、ディブリーフィングという語は用いていないが、経験を早い時期できちんと受けとめ、仲間できちんと話ができる関係をつくる意味でも、早い段階でディブリーフィングに準ずるものが入ることは非常に重要かつ基本だと考えている。

 

(2)ワーキンググループの設置について

【事務局】会議を今後進めていくに当たり、危機対応研究グループと背景調査研究グループ二つのワーキンググループで検討いただくことを考えている。危機対応研究グループでは、自殺の事後対応について、これまでの調査研究の内容や児童生徒の自殺への対応の現状について、突発事態の事後対応の現状、深刻ないじめの解決法の現状等について検討する。指針案の例としては、周囲の関係者に対するケアや、危機発生時の学校運営、、校長先生、担任、養護教諭等の役割、CRT等の外部との連携などが想定される。背景調査研究グループは、自殺の動機の調査について、児童生徒の自殺の調査の現状について、自殺・殺傷のような突発事態の背景調査の現状、背景調査の目的・効果、などについて検討する。指針案の例としては背景調査の意義、進め方、学校による背景調査、あるいは第三者による背景調査、などが想定される。

【委員】ワーキンググループを2つに分けて連動がうまくいくのか。検討は全体でやらないと難しいのではないか。今年度指針案までまとめるのは厳しいのではないか。 

【委員】適切に行われたポストベンションであれば、背景の問題も明らかにできるし、なおかつ遺された人へのケアもできる。本来は両者をうまく融合できると思う。あまりにも早期に調査を前面に出してしまうと、犯人捜しのようになってしまって、本来行うべき遺された人へのケアが置き去りになってしまう可能性もある。

【委員】事後のケアは直後にすぐ迅速にやらなければいけない。調査は、直後から始めなくてはいけないものではあるが、拙速が絶対許されない。全体としてコミュニティーが落ち着くということを最優先しながら、一方で慎重に調査を進めていく。自殺といじめの問題は重要であるが、自殺といじめとが直結しているように扱うことについては慎重でなくてはいけない。いじめとはまた別の形で起こってくる自殺もたくさんあってそこが置き去りになってはいけない。

【委員】事実調査の目的は幾つかきちんと区別をしなければいけない。1危機対応の中で、直後に子どもたちや教師や保護者に説明をするための最低限の事実調査というもの2遺族ケアのための事実調査、遺族が納得してくれるかどうかいう意味での調査というもの3今後自殺を予防していくために、2度とこのようなことを起こさないための、学校現場全体が共有していかなければならないための事実調査というものなどが考えられる。直後の事実調査というのは、緊急の事態で、みんなの動揺をおさめるためにするものである。それから学校全体が自殺予防をやるための事実調査というのは、今度は慎重に、さまざまな視点から見ていかなければいけない。遺族ケアのための調査は、プロセスが重要になる。いかに遺族との間で情報共有しながら、開示しながら、信頼関係を構築していくか。誠意を持って情報を共有して、確認をしていくかというプロセスのほうが遺族ケアとしては大事だと感じる。事実調査の目的によって、その段階とやり方は異なるのではないか。いじめと自殺については、いじめがあったどうかの事実の調査はできるが、いじめと自殺との因果関係の調査はすごく難しい。自殺の原因が、いじめも一因だったかもしれないし、ほかにも原因があったかもしれないというあたりを、どこまで学校現場で明らかにするのか。背景調査といっても、もう少しきちんと区分けしていかなければいけない。

【委員】学校だけでは調べ切れないものがある場合に、中立的な立場の第三者が入って、もう少し、遺族の意向も受けた上で、ある程度背景を見て検討するような場があってもいいという考え方がある。第三者機関による調査は、どこが調査のスタートの権限を持つのかや、誰が入るのか、各地域にそういうことができる人がちゃんといるのかというようなことも相当問題になってくる。全国一律にただちに実施するように指示しても難しいかもしれない。

閉会

 

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

生徒指導企画係

-- 登録:平成22年01月 --