生徒指導提要の作成に関する協力者会議(第6回) 議事要旨

1.日時

平成22年3月26日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省16階 特別会議室

3.議題

  1. 「生徒指導提要」最終案について

4.出席者

委員

森田座長、麻畠委員、石井委員、市村委員、小笹委員、梶谷委員、影山委員、木下委員、小林委員、櫻橋委員、
笹森委員、杉原委員、竹内委員、野田委員、諸富委員、横山委員、渡邉委員

文部科学省

德久審議官、磯谷児童生徒課長、岸田生徒指導室長、井上児童生徒課長補佐、須原生徒指導企画係長 他

5.議事要旨

開会

議事

(1)「生徒指導提要」素案の修正作業の考え方について事務局から説明があった。

(2)「生徒指導提要」素案について討議が行われた。

 

(1)「生徒指導提要」素案の修正作業の考え方について

【事務局】前回会議の議論を踏まえ、重複部分については大幅に削除している。また、過去の生徒指導資料と学習指導要領等、これまで文部科学省が出している資料との整合性について、確認し、反映させた。他の箇所に関連する事項がある場合には、第何章・第何節を参照すればよいか書き込んである。

 各章ごとの整理の考え方としては、第3章については、教職員が身に付けておくべき知識と、心理の専門的な内容が混在していたため、心理の専門的な内容について、必要以上に詳しすぎるものについては削除した。第4章と第6章については、内容の重複と、全体の流れについて節の順序を見直すなど整理し直した。

 また、前回の会議の指摘を踏まえ、索引を作成している。

【委員】索引に積極的生徒指導が載っていないが、載せないということで良いのか。

【事務局】この会議で、積極的、消極的と書き方は今回はしないということでご議論をいただいている。

【委員】スクールカウンセラーの項目の中での外部機関との連携について記載があるが、「スクールカウンセラーが医療関係に従事していれば、早い段階で児童生徒を病院に紹介したり、受ける」という点について、たまたま他機関に配置されているから動くという表現は違和感がある。他機関連携は個人でするのではなく、組織としてする必要があるという観点から、書き方を変える必要があるのではないか。

【委員】スクールカウンセラーは心理の汎用性の資格、つまり、医療現場でも教育現場でも福祉の分野でも勤務できるということを前提として考えられているため、「スクールカウンセラーが医療関係に従事していれば」という言い方はすべきでないと考える。 

【委員】関連する専門機関と、そのスタッフと業務内容を表にしたものがあるが、児童自立支援施設の機能について、対象が「不良行為を行った児童等」なっているが、不良行為をまだ行っていないけれども、その可能性があったり、あるいは、不良行為と一線を画すけれども、生活指導が必要な子どもたちの自立を支援する施設なのだということが伝わる記述にしたほうが、学校現場には参考になるのではないか。

 

(2)「生徒指導提要」素案について

【事務局】第1章は、生徒指導の意義と原理についてであり、学習指導要領と解説文を参考に生徒指導の意義について述べ、第1章以降の各章との関係について整理している。教育課程における生徒指導の位置づけについては、旧来の「手引き」を基に、現状との整合性を図っている。集団指導・個別指導の方法原理については、後で6章の1部と2部に大きく分かれている点について、ここでは原理的な考え方を整理している。学校運営と生徒指導については、生徒指導体制にかかわる部分については第4章で言及があるため、生徒指導の原理的な問題として学校運営に大きくかかわる部分に限定してここでは記述している。

 第2章では、教科、道徳教育、総合的な学習の時間、特別活動、それぞれと生徒指導の関係について整理をしている。総合的な学習の時間との関係については、「手引き」では記載がなかった点である。

 第3章は、児童生徒の心理と児童生徒理解の項目であり、児童生徒理解の最低限の知識に絞って整理した。「手引き」と比較して、児童期の心理と発達の問題を追加しているのが特徴である。

 第4章は、今回の生徒指導提要で重要な部分になっている。まず、生徒指導対策の基本的な考え方について、生徒指導の方針基準を明確化、具体化すること、すべての教職員による共通理解・共通実践をすること、実効性のある組織・運営のあり方について述べている。その上で、生徒指導の組織と生徒指導主事の役割について制度面や、求められる資質・能力について解説している。また、生徒指導の方針とか基準を明確化、具体化していったものを年間指導計画の中でどうやって位置づけていくかや、生徒指導について組織的に決めた方針・計画を全体の教職員に共有するための研修の意義について述べている。さらには、資料の保管・活用、全校指導体制の確立、そして最終的に生徒指導の評価と改善の重要性について述べている。

 第5章の教育相談については、教育相談の手法を巡って、ケース会議や育てる教育相談など様々な考え方やアプローチの仕方が出てきているため、コラムを用いて紹介している。

 スクールカウンセラー、専門機関等との連携の重要性については、今回特に強調しているところである。

 第6章の生徒指導の進め方は、第1部では児童生徒全体への指導ということで、どちらかというと集団指導についての考え方を記述しており、組織的対応と関係機関等々との連携として、チーム支援のプロセスや学校種間、学校間の連携について整理している。また、学級担任・ホームルーム担任の役割については、「手引き」では色々な章にまたがっていた部分を一つの節に整理している。 

 第2部の個別の課題を抱える児童生徒への指導については、はじめに問題行動の早期発見と効果的な指導という原則的な考え方について説明し、その後に個別課題への対応説明している。特に、発達障害について整理しているのが提要の特徴になる。

 第7章は各教職員に法令制度を知っていただくための項目であり、校則、懲戒、体罰、出席停止等についてどういう趣旨でそういう制度ができているかについて確認している。また、非行少年の処遇の制度についても、チャートを用いるなどして教職員の方々に全体像を把握していただいた上で、生徒指導をしていただくように、整理している。

 第8章の学校と家庭・地域・関係機関との連携の項目では、地域が活きる教育活動の在り方や、学校が中心となった家庭・地域・関係機関等との連携活動の体制づくりについて説明し、最後に社会の形成者としての資質の涵養に向けてということで、生徒指導提要を総括している。自己と社会とのつながり「ソーシャル・ボンド」という観点で考えていく必要があるということや、「社会的なリテラシー」の育成が生徒指導の目標であるということが、今回の提要の特徴ある点である。

【委員】基本的な生活習慣の確立の部分のところで、「食事習慣、睡眠習慣、運動習慣、排泄習慣など、幼少期からの家庭生活」という記述があるが、学校では保健指導という形で小学校では特に力を入れてやっている部分である。文科省でも「早寝早起き朝ごはんキャンペーン」があったが、これらは非常に大事だということで、もう少しインパクトを持たせたい。

【事務局】ご指摘を踏まえて、「早寝早起き朝ごはん」の活動の内容を解説するコラムを入れるようにしたい。

【委員】なぜ、小学校が児童指導ではなく、「生徒指導」という言葉を用いるのかについて、小、中、高の一貫した指導という視点を重視することについて、もう少し書き込んではどうか。

 自己指導能力の育成に関する内容については、よく、「自己指導能力を育成するためには学校はどういうことに配慮すればいいのですか」という質問を受けることがある。例えば、「各学校としては、自己決定の場を工夫し、自己存在感に留意して」というような文言を補うなど、少し丁寧に言ってあげると学校の先生方が取り組むときのヒントになるかと思う。

 また、児童生徒の多様な行動の変化について、子どものケースに応じる把握とか、子どもが発しているサインのきめ細かな把握を踏まえて指導対応、あるいは相談を行うことが重要であるということを追記してはどうか。 

【委員】教育相談の具体的な方法について書いてある部分があるが、心理学は、いろいろな学派や考え方があるので、具体的な例については削除したほうが良い。

【委員】検査法の例として詳細な表が掲載されているが、これらの検査法を活用するかどうかについては学校差が大きく、生徒指導の先生がかかわる検査法として、ここまで詳細な表が必要ないのではないか。

【委員】生活指導に関する評価基準の作成について、評価項目の具体例があると良い。

【委員】生徒指導と教育相談の関係について、記述が分かりにくく、整理が必要ではないか。

【委員】児童相談所の非行相談対応についての項目で、虐待の通告と同様に、児童福祉法上の要保護児童通告の義務が学校サイドにもあるのだという点について加筆が必要である。

【委員】今回、「手引き」でなく、「提要」とした理由について、改めて聞きたい。 

【事務局】「手引き」から30年が経過しており、情勢の変化もあるたえめ、違う名前のほうがいいのではないかということで幾つかの案の中から絞り込みをした。 

【事務局】生徒指導という切り口で専門家が集まり、原稿執筆者と委員が議論をし、原稿をつくり上げるという濃密なプロセスを経て、この提要が出来た。今後、各都道府県教育委員会、あるいは、教員養成大学等々で、この生徒指導提要が使われる中で、改訂の余地が出てくるかと思う。また、教員研修のあり方についてさらに検討を進めるなど、さまざまな形で生徒指導、教育相談の充実についての施策の展開をしていきたい。

閉会

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室