学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議(第9回) 議事要旨

1.日時

平成22年3月15日(月曜日)15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 学校の第三者評価のガイドラインの策定等について
  2. その他

4.出席者

委員

天笠委員、大矢委員、岡田委員、長田委員、風岡委員、金子委員、木岡委員、小松委員、島宮委員、竹原委員、千々布委員、永松委員、葉養委員、日永委員、兵馬委員、藤原委員、松尾委員

文部科学省

金森初等中等教育局長、前川大臣官房審議官、岩本参事官、田中主任視学官、西田学校運営支援企画官 他

5.議事要旨

 事務局より資料1「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項等について(報告(案))」及び資料2「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項等について(ポイント(案))」について説明。その後、討議が行われた。

 (○は委員からの質問、●は事務局からの回答)

 ○ 「はじめに」の中で、教育活動その他の学校運営「全体」について評価を行うと記述されている一方で、7ページに「評価項目を重点化することが重要」と記述している。これは学校運営に関する全領域の範囲の中で重点化して評価を行うという理解でよいのか。

 ● ご指摘の通り、評価の範囲は学校運営全体であり、具体的な評価活動の際に評価項目を重点化して行うという意味である。

○ 現在の表現では評価項目を網羅的に設定する必要があると捉えられるおそれがあるため、表現を分かりやすく工夫すべき。

○ 「はじめに」の部分に第三者評価の目的についても記述すべきではないか。

○ 「はじめに」の分量は1ページを超えないようにしていただきたい。

○ 2ページに「保護者、地域住民等から理解と参画を得て」と記述されているが、「保護者、地域住民等の理解と参画を得て」という表現にした方がよいのではないか。
    また、2ページの「これらの評価を補強する」という記述について、「補強」の意味が分かりづらいため、表現を工夫すべき。

○ 評価チームにおける個人情報の取り扱いや守秘義務についての記述はあるのか。

● 9ページの評価者の在り方の記載の中で「評価者への就任の依頼に際しては、児童生徒等の個人情報の保護や守秘義務などについてあらかじめ説明し、理解を得る必要がある」と記述している。

○ 4ページの最初の部分等に「学校及び学校の設置者が実施者となり」という表現があるが、学校と設置者のどちらか一方のみが第三者評価を必要としている場合、どのように考えたらよいのか。

○ 5ページに「第三者評価はあくまでも学校運営改善のための手段」という記述があるが、これは第三者評価に限らず学校評価全般ついて言えることなので、主語を「学校評価は」と修正するべきではないか。

○ ガイドラインを出した後にその解説として、自己評価、学校関係者評価、第三者評価の3つの異同を整理すべきではないか。 

○ 学校の実態を把握するためには、評価者に対する情報提供が重要である。7ページに、学校における学校運営に関する情報・資料の収集・整理についての記述があるが、学校は評価者に対する情報提供に積極的であるべきとの記述を加えるべきである。

○ 学校事務の共同実施体制には、単に学校評価に関する事務処理だけではなく、ICTを活用した情報整理や評価情報の分析等が可能となるような体制整備が求められていると思う。また、学校事務職員を第三者評価の評価者とすることができる記述となっており、現場での積極的な活用を期待する。

○ 現在の「学校評価ガイドライン[改訂]」の記述と重複している部分がある。第三者評価のガイドラインにおいては、現行の学校評価ガイドラインのどの部分を参照すべきかなど、それぞれの関連性が分かるようにするとよいのではないか。

○ 7ページに「バリエーション」という言葉があるが、カタカナは極力使用せず、言葉の意味が分かるよう丁寧に記述すべき。

○ 9ページの評価者の例示の5について、学校と地域との連携の仲立ちをしている団体等も含めた記述にしていただきたい。

○ 9ページの3に「地方公共団体」とあるが、第三者評価のガイドラインは公立小中学校を念頭にしているため、地方分権の観点から「市町村教育委員会」にする方が適切ではないか。

○ 4ページでは実施体制(イ)で「学校関係者の評価者の中に、学校運営に関する外部の専門家を加え、学校関係者評価と第三者評価の両方の性格を併せ持つ評価」が考えられるとしている。他方、9ページの2つめの○では「学校関係者ではない者を評価者とする必要がある」としており、読み手は混乱すると思われるため、誤解がないような記述ぶりを検討すべきである。また、「学校関係者評価と第三者評価の両方の性格を併せ持つ」とはどういう意味なのか。

● 学校関係者評価と第三者評価に求められていることを同時に行うという趣旨である。

○ 4ページの実施体制(イ)は、第三者評価の評価者が学校関係者評価に関わりながら総合的に行う評価というようなイメージではないか。

○ 第三者評価の評価者の委嘱は誰が行うことになるのか。学校関係者評価の評価者は校長が委嘱し、第三者評価の評価者は教育委員会が委嘱すると考えると、両者が一緒に評価を行う場合の立場の違いをどう考えるのか。

● その点については、決めつけておらず、学校と学校の設置者が実施者となるので、両者の合意があれば、具体的には校長の名で委嘱することも、設置者の名で委嘱することもあり得るだろうと考えている。委嘱者は誰かということを最初から決めるのではなく、学校関係者評価と第三者評価の両方の性格を併せ持つ形で工夫できればよいと考えている。

○ 学校関係者評価の評価者についても、教育委員会が委嘱に関する規定を設け、その規定にそって委嘱者となっている例もある。

○ 評価者の守秘義務を担保するためには、基本的には設置者が評価者を任命すべきと考えるが、あまり今議論している第三者評価のガイドラインでは詳細を固めることはせず、まずは第三者評価を定着させ、課題があれば今後改善していくという形で進めていくべきではないか。

○ 9ページに「評価者が行う評価には公正性が求められる」との記述があるが、「公正性」の具体的な内容を記述しないのであれば不要ではないか。

○ 12ページに、国において学校の第三者評価の結果を参考資料として活用するとの記述があるが、実施者に国への報告が求められることはあるのか。

● 「実施者に国への評価結果の報告を求める」と規定すると、言葉の意味として強くなりすぎると考える。それを直接的に資源配分に結びつけることを想定しているわけではない。この記述の趣旨は、国として施策を立案していく際の参考資料の一つとして活用することがあるということにあるので、このような記述とさせていただいている。

○ 11ページの1の「可能な限り判断の根拠となる客観的情報を直接収集し」は、どのような趣旨で記述しているのか。学校が提供する情報以外の情報を評価者が直接収集するのは困難であるため、記述ぶりを検討すべきではないか。

● 評価者自身が自分で見聞きしたことをもとに評価結果を判断していただきたいという趣旨で記述したものであり、評価者自身が直接情報収集するという意味まで含んではいない。この点が明確になるよう、記述ぶりは検討させていただく。

○ 13ページの都道府県の役割について、都道府県は教員の人事や研修を実施する役割を担っており、学校評価においては大きな関わりを持つ。

○ 13ページで書かれている都道府県の役割は評価の実施のための役割であるが、評価結果を踏まえた改善など実施後の役割が重要である。

○ 評価結果を踏まえて学校を改善する場合、学校だけで解決できるもの、設置者の支援が必要なもの、学校や設置者だけではどうにもならないものがある。学校運営の改善については、これらを峻別することが重要である。

○ 9ページの第2段落は第三者評価の定義にあわせ、「また、第三者評価の趣旨を実現するためには、学校運営に関する外部の専門家を中心とした評価者による必要がある」などとすべきではないか。

○ 本協力者会議の結論として今回の案のような形になるのはいいと思う。ただし、今回示している3つの方法は、第三者評価という括り方になじまないのではないかと感じている。今後の話として、学校評価は学校運営の改善が目的であるという観点から、自己評価、学校関係者評価、第三者評価の組み合わせにより学校評価を行っていくという枠組みについてもう一度考え直すべきである。

○ 学校現場が実施したいと思えるようなガイドラインにすることが大事である。4ページでは「学校及び学校の設置者が実施者」とされているが、学校現場で分かりやすいものにするという意味で「及び」にはどのような意味が込められているのか確認したい。

● 学校と学校の設置者の両者が第三者評価の実施についてともに了解し、何のために評価を行うのか、また評価結果をどのように活用していくのかを共通理解し、緊密に連携して第三者評価を実施するとの意味である。

○ 現実には設置者が主導して第三者評価進めていくことも考えられるが、その場合、域内の学校全ての同意を必要とするという訳でなく、判断の在り方は地域により多様でよいという認識でよいのか。

● 必ずしもガイドラインにしたがって第三者評価を実施しなければならない訳ではないが、望ましいものとしてお勧めしていくものとしては学校の同意や了解があって、学校が実施主体として必ず登場してくるものとした方が適切ではないかと考えている。

○ 第三者評価を学校の同意なく設置者の責任において実施する場合と、設置者が消極的でも学校が意欲的である場合の両方があり得るが、学校と設置者が、住民に対して両方の立場で積極的に説明責任を果たしていくことのできる第三者評価とすることが理想的である。

○ 学校と設置者が緊密に連携して評価をすることが学校の活性化や学校運営の活発化につながる。

● 学校評価については、学校教育法上、学校が主体となっているという前提があるが、第三者評価については、設置者が関わらなければ実施が難しいため、「学校及び学校の設置者が実施者」という書き方になっている。地教行法上は、学校は教育委員会が管理する客体であるため、校長の意に反して教育委員会が主導して第三者評価を実施するというケースは当然に考えられる。

○ 学校、設置者のどちらが主導して第三者評価を実施するかについては、様々なバリエーションがあると思われるためこの場では決めず、今後、具体的な事例を示すなどして展開に幅を持たせればよいのではないか。

○ 第三者評価を充実させていくためには、現実にうまく進められている事例を多く示していくとよいと思う。

○ ガイドラインの解説や説明の際には、学校評価の形態は自己評価、学校関係者評価、第三者評価の3つであり、その3つの形態が一環しているということを具体的に理解できるように示していくべき。

○ 第三者評価の定義が、現行の学校評価ガイドラインに記載されている内容よりかなり踏み込んだ内容になっているため、第三者評価のガイドラインの内容がまとまったことを契機に、現行の学校評価ガイドラインの見直しを検討すべきではないか。

○ 「学校や設置者等」と記述されている一方、「学校及び学校の設置者」としている箇所がある。言葉を整理して表現を統一すべきではないか。

○ 事務局として今後のスケジュールはどのように考えているのか。

● この協力者会議における議論の内容を踏まえ、文部科学省として現行のガイドラインを改訂する案を立案していきたい。その際は、改訂案をパブリックコメントにかけ、さらに同時に教育関係団体等からも意見をいただいた上でこれらを踏まえ必要な修正を行い、ガイドラインを確定させていきたい。

○ 資料1は「1 第三者評価の意義等について」と「2 第三者評価の在り方について」の2つに分かれているが、2が非常に長い。2を分けて3部構成にした方が読みやすいのではないか。

○ 学校評価においては、他県の学校の状況が分からないことがあるため、事例を紹介することにより、他の学校や教育委員会の活動の状況が広まるようになるとよい。
    また、学校現場の負担感を軽減するため、第三者評価を行うことのメリットをもっと前面に出すべき。

○ 第三者評価を実施する上で、コストをどのように保障するのかが大きな課題であると思う。
    学校情報の発信は非常に大事であるが、県や市によって学校のホームページの内容がばらばらであることが多い。保護者や地域と学校が一体化するためにも、今後施策を進めていく上ではこの点について配慮していただきたい。

 ・これまでの議論のまとめについて、座長に一任することが了承された。

 ・金森初等中等教育局長から挨拶があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 企画・学校評価係

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 企画・学校評価係)