学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議(第7回) 議事要旨

1.日時

平成22年1月29日(金曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 学校の第三者評価のガイドラインの策定等について
  2. その他

4.出席者

委員

天笠委員、長田委員、風岡委員、金子委員、神林委員、木岡委員、小松委員、實吉委員、島宮委員、竹原委員、永松委員、葉養委員、日永委員、兵馬委員、藤井委員、松尾委員

文部科学省

前川大臣官房審議官、岩本参事官、西田学校運営支援企画官 他

5.議事要旨

(1)事務局より「平成22年度予算案(学校評価関係)」について説明。その後、質疑が行われた。

 (○は委員からの質問、●は事務局からの回答)

○ 第三者評価について、本協力者会議で議論しているガイドラインの扱いも含め、今後の見通しを教えていただきたい。

● 第三者評価については、本協力者会議におけるこれまでの議論や実地検証の成果等を踏まえ、学校評価のガイドラインの改訂等といったかたちで施策に反映させていきたいと考えている。来年度は資料1に示しているとおり、具体的な評価手法について委託研究の中で取り組んでいきたいと考えている。

○ 資料1の3枚目に「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の推進」という記述があるが、これと学校評価はどのような関連があるのか。

● 来年度予算案ではモデル事業の統合を行ったところであるが、新政権では保護者・地域住民との信頼関係を前面に出しており、特にその中でもコミュニティ・スクールの推進が大きな課題であるため、学校評価をこれと関連づけて一括りにし、「学校運営支援事業等の推進(コミュニティ・スクール等)」として予算要求したものである。

○ 資料1の2枚目の2内容(2)2において、「都道府県教育委員会に委託し」という記述があるが、これは平成22年度に検討するとされている高等学校・特別支援学校の学校評価ガイドラインと関連があるのか。

● 平成22年度予算案においては、高等学校や特別支援学校のガイドラインを検討する会議を開催するための経費が計上されている。この会議の中で実地検証が必要ということになれば、都道府県に委託をする事業の中で対応できるようになっている。

○ 市町村立学校は調査研究委託事業とどのように関係しているのか。

● 調査研究委託事業については、都道府県と契約を結び、市町村が実施するという関係である。主体が義務教育諸学校である場合、市町村と直接契約を結んだ方がいいのか、都道府県を通じた方がよいのかという議論があるが、具体的にどのような方法で行うべきかについては、当事者とよく相談して実施していきたい。

○ 都道府県と市町村との関係がスムーズでないところでは、都道府県に委託することによって市町村のルートが遮断される場合がある。このような現状を踏まえてよく検討していただきたい。

● 文部科学省としても、単に予算を配分し、委託契約を結ぶだけではなく、成果等の中身もしっかりフォローしていきたい。

 

(2)事務局より「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項」について説明。その後、討議が行われた。

○ 「学校運営」の定義については、文部科学省の定義と一般に理解されているものとずれがあり、特に「学校運営」の中に教育活動が含まれているかどうかが問題である。資料2の(参考1)に掲げられている評価項目等一覧の中には、学校運営と教育活動を並列に記述し、学校運営から教育活動を切り離している記述がある。学校教育法では「教育活動その他の学校運営」と規定されており、法令上「学校運営」に教育活動は含まれているという理解でいるが、この矛盾をどのように解消するのか。

● ご指摘のとおり、学校教育法上、「学校運営」という言葉には教育活動が含まれている。このことが明確になるよう、今後は法令上の意味に統一するようにしていきたい。

○ 今後そうしていただくことも必要だが、「学校運営」には教育活動が含まれないという一般に出回っている誤解を払拭していただきたい。

● 法令上の文言に合わせるという整理も一つの方法であると思う。「学校運営」という言葉の使い方については、今後いろいろな場で配慮していきたい。

○ 法令上、教員の行う授業も学校運営の一部であるという解釈は成り立つが、一方で教員の教育の自由という問題もあるため、学校教育法上の解釈にこだわる必要はないのではないか。

● 資料上は「学校の教育活動その他の学校運営の状況」や「教育活動その他の学校運営全体」と整理しているところである。

○ 「学校運営」の定義については、広義と狭義の両方があると柔軟に捉え、一般の教員に理解しやすいかたちで記述すればよいのではないか。

○ 資料2の2ページの2行目に「学校の優れた取組」という文言が入ったが、これによりガイドラインに対する学校現場の圧迫感が軽減されることとなり、非常に重要なことだと思う。
    資料2の4ページに「学校評価の中心となるのはあくまでも自己評価と学校関係者評価」とあるが、「あくまでも」という表現が入ったのはなぜか。

● 学校関係者評価が法令上位置づけられて努力義務とされてから約2年しか経過していないが、まずは自己評価と学校関係者評価を確立し、これを踏まえて第三者評価を実施していただきたいため、このことを留意点として強調する意図で記述した。

○ 学校の第三者評価では自己評価と学校関係者評価を踏まえる必要があるため「あくまでも」という書き方をしているのだと思うが、学校関係者評価には難しいところがあるため、あまり前面に出さない記述の仕方を検討いただきたい。

○ 資料2の3ページから4ページでさまざまな評価の実施体制が示されたことは大変よいことであると思うが、1ページから2ページにかけて記載されている第三者評価の意義とかみ合っていない記述があるのではないか。
    また、第三者評価を機能させるため、我が国においてすでに取り組まれている自己評価や学校関係者評価との関係等、第三者評価の定義や位置づけを丁寧に記述すべきである。

○ 第三者評価の必要性を判断する主体については、PTA等の団体や地域住民等も考えられるが、我が国で第三者評価を機能させるためには、資料2の3ページの冒頭のとおり「学校の設置者や学校」の二者に限定してよいと思う。

○ 資料2の1ページで第三者評価を「教職員や保護者等とは異なる立場からの評価」としておきながら、3ページで「相互評価型」として「複数の学校の教職員から成る評価組織」という記述が出てくると、読み手が混乱するのではないか。実施する場合の留意点として4ページに「馴れ合いにならず」と記述されているが、特に「相互評価型」の場合、この点は非常に重要であるため、きちんと書き分けるべき。

○ 「相互評価型」の評価を行う場合、教員同士がやりとりするだけになると本来の第三者評価の趣旨からはずれることになるため、「馴れ合い」にならないような評価の進め方を検討すべき。
    また、「相互評価型」のように評価の実施体制をネーミングすると、言葉がひとり歩きし、定義に混乱が生じる可能性があるため、慎重に検討すべきではないか。

○ 「外部評価型」の課題は、評価者が学校のサポーターだけではなく「辛口の友人」になれるかどうかである。評価者がきちんと議論ができるようになることが重要である。

○ 第三者評価は専門家による評価であり、評価結果は学校運営に活かすためのものであることを、教員の意識改革やモチベーションを高めるために強調することが必要。

○ 資料2の3ページ冒頭に、第三者評価の必要性は「学校の設置者や学校」が判断することとなっているが、この記述を市町村教育委員会や学校が読んだとき、どちらが主導するのか分かりにくいと思われる。また、教育委員会と学校では施策の方向性が異なる場合もあることも踏まえ、第三者評価の必要性の判断する主体について記述を検討していただきたい。

○ 実施体制のネーミングについては、先ほど慎重に検討すべきとの意見があったが、取組のイメージを深める意味では分かりやすい点もあると思う。ただし、ネーミングによって言葉がひとり歩きし、結果的に第三者評価の質を下げることにならないよう、実施する場合の留意点をさらに強調する必要がある。
    資料2の4ページでは「学校評価の中心となるのはあくまでも自己評価と学校関係者評価であることに留意」と書かれているが、第三者評価と比較してどちらが大事なのか分かりづらくなるため、「あくまでも」と強調する必要はないのではないか。

○ 資料2の5ページの冒頭の3に「監査的な評価」という記述があるが、「監査的」という言葉をこのまま残すのか、別の言葉に変えるのかを検討したほうがよい。

○ 資料2の8ページの最後に学校の事務処理を軽減に配慮する記述があることは、学校現場にとっては非常に助かる。
 「設置者が学校に関する情報の整理について統一的な方針を日常的に示す」とあるが、これは設置者が様式を示して統一的に整理するということを意味するのか。

● 「監査的」という言葉を残すか否かについては、ぜひこの会議の場で議論いただきたい。
  学校に関する情報の整理については、データベース化するなど、評価者が評価しやすいように学校が日常的に情報を整理することが必要と考えて記述したもの。記述の仕方については工夫したい。

○ 学校の情報管理が課題になってきたとことは、ICTの活用によるものだと思う。できるだけ学校の基本情報はフォーマットを統一して、データベース化したほうがよい。

○ 私の関わっている区の専門外部評価の中では、各学校から出される資料の様式や盛り込むべき内容が不統一であるということが課題となっている。このため、今年度の専門外部評価では、最低限、何を盛り込むべきか等について示すべきであると教育委員会に報告したところである。

○ 学校から提供される情報量がばらばらであると混乱することがあるため、統一的な方針を示すことは必要。しかし、設置者がどこまでの情報を揃えておかなければならないかという問題があるため、資料2の8ページにあるような「統一的な方針を日常的に示す」ことは、難しいのではないか。

○ 第三者評価で学校に求められる書類等は、本来学校において整えられておくべき書類で、評価のために準備する性質のものではない。

○ 第三者評価のガイドラインは資料2の1ページ目に記載されているとおり、公立の小中学校を念頭に置いている。現在、学校において整理しておくべき資料について、どのように統一性を持たせるかが議論になっているが、どのように差異を設けるかが私立学校の意義であること申し上げておきたい。

○ 学校評価に関する基本情報を、統一して報告しなければならない必要性は何なのか。

○ 学校がICTを活用することは当然だと思う。日本中の公立学校がICTを利用する場合、資料にどのように書き込むかを検討しなければならないが、方向性としては推奨すべき。
  また、今後予算をつけるためにも、きちんと学校の情報をフォーマット化して、蓄積する、ICTを利用して効率化するなどの方向性を示すべき。
  私立学校と公立学校は違う面があると思うが、学校に関する情報の整理について何らかの表現は入れてもいいのではないか。

○ 教育委員会から送られてくるデータをプリントアウトし、様式に書きかえるという作業をすると、文書量や負担がむしろ非常に多くなるということが現実に起きているということをご理解いただきたい。

○ 国、都道府県教育委員会あるいは市町村教育委員会がそれぞれの役割分担の中で事務負担を軽減するための環境整備をしていくことが必要ではないか。

○ 既に学校事務の分野においては、紙ベースからデータベース化という流れの過渡期にあり、データベースの構築が進められている。
    また、学校情報は、学校事務の共同実施など学校評価を行うために必要となる情報に効率的に組み替えるための取組が必要である。
  統一的な様式については、国レベル、あるいは市町村単位で行う必要があると考える。また、事務職員の研究団体においても、情報収集し、様式の統一化について議論しているところである。

○ 第三者評価の実施者として、今回設置者以外に学校が含まれることとなったため、資料の統一についての議論が出てきているかと思うが、設置者が一律に様式を示すと学校が毎年データを蓄積するという負担が増えるのではないか。定期的に全方位的に評価をし、専門的にチェックすることは大事ではあるが、小規模校にそこまでの負担を毎年かけられるのか。

○ 学校は学校評価のために資料を用意するという発想から脱するべき。そもそも学校が今後の在り方を考えたり、方向性を示すために様々な文書を用いるのであれば、そこに盛り込むべき内容は、評価を受ける受けないにかかわらず、基本的に押さえておく必要がある。
  また、第三者評価を実施するためには、予算確保が不可欠であり、とりわけ専門家による評価を行う場合は、その費用は相当な額になるため、少なくとも設置者あるいは任命権者の費用負担について記述すべき。

○ 小規模校は、法令上求められている資料を準備するためのスタッフがいないという現実もあるが、学校評価を運営改善にうまく活用できている学校では記録することに労をいとわないという事例も見られる。このような状況が当たり前だということを示唆することが必要。
  また、学校関係者評価者については、委嘱の手続きを必ずしも法令で求められていないので、謝金のないまま運用されている例が見られる。特に第三者評価となると、謝金だけではなく旅費負担も発生するため、手続きについてガイドラインに記述すべきではないか。

○ 高等学校においては評価が定着しているが、よい評価結果があってもそれをどのように活用するかが課題としてあげられる。
  設置者や専門家による学校経営診断が進んでいるが、これと第三者評価をどのように関連づけるかを考える必要がある。

○ 第三者評価を実施するための環境整備が必要である。第三者評価を実施することが困難な自治体がどのように推進していくかを検討する必要がある。

○ 資料2の9ページに「評価者は、評価対象校の学校関係者ではなく」と記載しているが、「外部評価型」は第三者評価から排除されてしまうのではないか。この両者の関係を整理してほしい。
  また、12ページの一番最後の箇所「公立学校については、評価結果を教育委員会の自己点検・評価に適切に活用していくことが望まれる」とあるが、学校を1校しか設置していないなど様々な教育委員会があることを踏まえる必要がある。

○ 資料2の12ページに「明らかになった課題に対してどのように取り組むか設置者は具体的に検討し、学校の支援が必要な改善施策を講ずることが求められる」と記載があるが、具体的な改善策まで示されると、設置者がこれに縛られる場合もあるため、もっと柔軟な表現にしていただきたい。

○ 評価の内容の中に監査的なものや、教育活動の諸基準に対する適合状況も含める場合、適合していない場合は設置者が責任を持って改善すべきであるため、設置者の学校に対する改善の義務や責任について明確に記述すべきである。

○ 学校の第三者評価で一番大事なことは、いかに学校を改善するかということ。資料2の13ページには国、都道府県、市町村の役割分担について記述しているが、これは実施の役割分担であって、改善をするための役割分担についてはあまり触れられていない。改善策を誰が担うべきかについては、評価をした段階で専門家が広域的な立場から整理をする必要がある。都道府県教育委員会、設置者、学校それぞれが問題を押し付け合うことになったら、信頼できる学校にならない。保護者や地域が連携してできることもある。

○ 例えば、大規模な自治体においては、多くの学校を抱えているため、具体的な学校の状況を把握しにくい場合がある。第三者評価も含め学校評価を充実することにより、設置者が詳細な学校の実態を把握した上で支援が可能となる。また、首長や議会、あるいは住民に対して証拠に基づいた施策の説明する際に学校評価を活用することができる。学校現場や関係者から情報が提供されることは、今後、特に財政当局や議会との折衝など教育界以外とコミュニケーションしていくときに、教育条件の改善、教育の水準向上の点で非常に大事なことである。
  自治体規模の大小を意識しながらガイドラインを作成することは大変難しいが、できるだけ丁寧にあらゆるところに当てはまるものにすべきである。

○ 第三者評価に関わっていると、被評価者が評価報告書の内容の修正を求めてくるケースがある。
  評価報告書に示された改善策について、対応可能なことと不可能なことは設置者等の当事者が判断すべきことであり、実現不可能なことを結果報告書に示すなということをガイドラインに記述すべきではない。

● 設置者においては、学校評価は学校改善のために行うものであるため、改善すべき方向として出された評価結果は、設置者に求められていることであると受けとめいただきたい。また、ガイドラインは第三者評価を実施するかどうかの判断していただくための材料である。このため、評価結果を踏まえた対応が求められるということや、費用がかかることを踏まえた上で第三者評価を実施するかどうかを判断していただきたい。
  学校は改善を目指すのであれば、どのような指標やデータを踏まえるかについて整理しなければならない。この考え方が基礎となって、第三者評価のみならず、自己評価や学校関係者評価も充実していくと考えている。
  第三者評価においては、学校の情報が日常的に入っていない方が評価に加わることがあるため、学校の情報提供の在り方については本協力者会議において、第三者評価のみならず学校評価全般の問題としてご提言いただければ非常に参考になると考えている。

○ 資料2の14ページに私立学校に関する記述があるが、「選択」という言葉の意味が分かりづらいため、「学校を選択する段階で様々な評価を常に受けている」と修正いただきたい。

○ 資料2の13ページに、「教職員研修等において、評価の意義を周知」と記述されているが、この研修と事務負担の軽減がどのように結びつくのか。

● 評価の意義を理解するための研修を新たに行うということではなく、任命権者としてすでに実施している教職員研修の中で学校評価の意義等について理解をはかる内容を入れていただきたい趣旨で記載している。

○ 第三者評価の積極的な意義は、日本の指導行政の補完機能を果たすところにあるため、実施者がコスト負担の当時者と単純に考えるのではなく、日本の指導行政を十分成熟できなかった国の責任問題として位置づけることが必要ではないか。

○ 資料2の11ページの(方向性)の3には、学校の改善について学校と設置者以外の責任が記述されていない。学校を支援するものとしては、地域や家庭の協力も考えられるため、そのような視点も加える必要があるのではないか。評価のプロセスにおいて、担い手が誰かということを常に念頭において記述していただきたい。

○ 学校評価とは何なのか、学校評価によってどこまで学校の改善ができるかということの違いが様々な議論を呼んでいるのだと思う。
  また、教育というものは非常に複雑な面があり、評価による改善には限界があることも考えるべき。

○ 我が国の教員は学校の課題を自分だけの責任として解決しようという気風があり、このため多忙感や行き詰まりを感じているという現状がある。第三者評価を行うことにより、学校だけでなく、国、設置者、保護者や地域に問題があるということを示すことができる。この点が自己評価にはない第三者評価の意義であると考える。

○ ここまでの議論の中で、第三者評価の実施体制として様々な型が示されたため、学校にとって取り組みやすいものになってきたと思うが、原点に帰り、国民に対する説明責任として、第三者評価が学校教育の質の向上や水準の維持のためにどう機能するかを大事にすべき。
  学校評価が新政権の教育政策の中で一体どういう形のものになっていくのか、自己評価から第三者評価も含め、学校評価が国の政策としてどのようなものにしていくのかというビジョンがガイドラインの中に示されればよいと思う。

 ・事務局から今後の会議の予定について説明があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 企画・学校評価係

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 企画・学校評価係)