学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成21年7月1日(水曜日)13時~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館 共用1214特別会議室

3.議題

  1. 学校の第三者評価のガイドラインの策定等について
  2. その他

4.出席者

委員

天笠委員、大矢委員、岡田委員、長田委員、風岡委員、神林委員、木岡委員、小松委員、實吉委員、島宮委員、竹原委員、千々布委員、葉養委員、藤井委員、藤原委員、松尾委員

文部科学省

前川大臣官房審議官、藤野参事官、西田学校運営支援企画官、田中主任視学官、他

5.議事要旨

(1)事務局より「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項」について説明。その後、自由討議が行われた。

    (○は委員による発言、●は事務局からの回答)

○ 第三者評価の意義・目的・定義については主語が曖昧であるため明確にすべき。

○ 学校評価が学校運営の改善に重要な役割を果たしているということを記述するのであれば、そのような状況の証拠として好事例を紹介すること等も考えてほしい。
  また、評価者の条件について、どのような人が排除されてどのような人がいいのか具体的に整理してもらいたい。

○ 学校に対する不信が前提になっているような部分があるので修正すべき。また、評価者は「学校運営に関する外部の専門家」とすべき。

○ 学校がきちんと運営されていることを確認することが、第三者評価にまず求められていることであり、改善提案やコンサルティングはその一歩先の話である。

○ 教育の質の保証という側面が強く出過ぎている印象があるので、表現を工夫すべき。

○ 自己評価、学校関係者評価が行われており、その延長線上で第三者評価にどのようなメリットがあるのか強調していく必要がある。
  評価については暗いイメージで捉え過ぎている印象があるため、もう少し前向きな表現にすべき。

○ 第三者評価の実施にはお金がかかるが、国が積極的な支援を行うという言葉の中に、財政的な支援は入っているのか。

● 1つの大きな課題であることは間違いないと思う。

○ 実施主体については必ずしも市町村にこだわらず、ある程度の財政力がある都道府県や政令指定都市などとする方が現実的ではないか。

● 学校の設置者や第三者評価の実施主体、評価者という言葉の関係が曖昧であるため、整理させていただきたい。

○ 地教行法上の教育委員会の自己点検評価と第三者評価をどのように連動させるかという視点が重要である。第三者評価の委員会を組織する主体は、学校の設置者であるということは外せないのではないか。

○ 「過度に学校の事務負担が増えないよう」とある点について、学校事務職員、特に事務長の役割と関連づけて明記できないか。
  また、「主観的評価に陥らないよう」とあるが、評価はそもそも主観的なものであるから、「多面的な評価」というような表現を用いた方がよいと思う。

○ 主観的、客観的という表現はできるだけ抑制した方がよいと思う。

○ 抽象的な目標を設定している学校が多いため、目標が達成できているかをどのように評価するのか検討が必要である。

○ 第三者評価では自己評価や学校関係者評価が機能しているかというところを見ていただきたい。また、第三者評価でただ厳しい評価を下されるだけでは学校現場は消極的になるだけなので、改善の担い手が明確になり、具体的なアクションにつながるようになるとよいと思う。

○ 現在の案における評価の実施の体制はコストがかかる体制のままであるため、この形で実施することになれば教育委員会としては管轄の全ての学校で行うことは物理的に困難であると思う。そうすると、研究指定校のように一部の学校だけを第三者評価の対象とし、その学校の改善を基盤に所轄下全ての学校の変革を目指すという戦略が考えられるが、どのような戦略で行うかを具体的に書き入れた方がよいと思う。

○ 校長一人一人は明確に目指すべき学校像というものを持っていると思うが、それに向けての努力に対して評価をする際は、何が具体的な阻害要因となっているのかを指摘すべき。

○ 学校現場にいると学校評価の実施に当たっての組織体制が非常に脆弱であると感じるため、事務職員や学校事務の共同実施体制の活用などの方向で、評価の組織体制を学校の中で位置づけることが必要ではないか。また、財務面に関しては、私費会計の管理に問題がある場合が多いため、評価項目の中に入れることが必要。

○ 何のための第三者評価なのかということを今一度考えるべきではないか。学校がより信頼されるためには、監査的な評価を受けて、なおそれにこたえられる実力を持たないといけないと思う。この点を強調しすぎると学校現場から批判されるかもしれないが、学校全体に対する不信がある中では、第三者評価をきっちり受けて教育界の外からの信頼を獲得するということも考えるべきではないか。

○ 学校評価はあくまでも自己評価が基本であり、第三者評価は学校自身が自らを律し見直すことを促進する役割を担うものであると考えている。

● 学校改善のための仕掛けとしての第三者評価を行うべきか、学校選択制を前提とした監査的な第三者評価を行うべきかは非常に本質的な問題であり、中途半端になってはいけないため、十分に議論をしていただきたい。現在の案では公立の小中学校を念頭にしているため、学校改善型の第三者評価を原則としているが、高等学校や私立学校についても全く同じ考え方でよいかどうかについては、十分な検討が必要と考える。

○ 産業界が第三者評価に期待していることは、よい学校をよりよくするというものではなく、基準に達していない学校を発見し、改善することで、全国的に教育の質を保証することである。

○ 学校の質というのは学校のマネジメントの質だけで決まるものではない。監査的な評価を行うのであれば、その結果を教育委員会や国などの支援に結びつけていかなければならない。

○ 現在の案で第三者評価を行うとすると、教育委員会が第三者評価を引き受けてくれそうな学校へ依頼し、何とか終了させるという結果になり、本当に改善すべき学校は何も変わらないということになるのではないか。

○ 競争的環境に置かれている都市部の学校の評価と地方の小規模校での評価とでは、異なるシステムを考える必要もあると思う。地方の疲弊した状況の中で、どのように学校を元気にすることができるかということが重要。

○ 市場原理主義の考え方は学校にはなじまないと思う。第三者評価ガイドラインについては、まずは公立の小・中学校を念頭に作られるべきものと認識している。

○ PTAや青少年団体の役員等が評価者の例示として入っているが、教育に関する専門性の点から考えると、第三者評価の評価者には加えず、学校関係者評価の評価者にとどめておくべきではないか。

○ 大学教授という肩書きがあっても、評価者としての専門性が十分でない者もいる。専門家に求められているのは、個々の学校の状況をきちんと把握できるということである。そのため、評価者がそのような資質を持っていることを認証するような仕組みを考えるべきである。

○ 現実には評価内容が妥当でない場合は、次第に評価者から外され、淘汰されていくという実態があるため、すそ野を広くしながら専門性を備えた人をOJD的に育てる仕組みが現実的であると思う。また、学校と設置者との両者に対する「中立性」という部分については、概念としては「公正性」の方が妥当ではないか。

○ PTA関係者の中には専門的な視点を持っている方も多いため、積極的に委員に入ってもらいたい。また、評価を受ける学校に対してあらかじめ評価者がどれだけ評価の経験があるかを知らせることによって、評価者に対する学校の信頼を得るという考え方もあるのではないか。

○ 評価者や実施対象校を選ぶのは設置者なので、ガイドライン上は評価者の資質については例示にとどめておくべき。

○ 監査的評価か自己改善型評価かで評価者の在り方も違ってくると思うが、学校が元気になるためにも自己改善型の評価をとるべきであり、それにふさわしい評価者とすべき。

○ 評価者をOJD的に育てるという話について、何度も評価を行ううちに見えてくるというのは確かであると思う。

○ 評価者による助言が的確でなかった場合の責任をどのように処理するのかという問題がある。
  また、評価者の研修に使える教材が乏しいので、好事例集等の資料を示すことを検討してもらいたい。

○ 第三者評価の評価周期についてはどのように考えているのか。

● 第三者評価は法令上位置づけられている制度ではないため、明示はしていない。

○ 学校現場では、すでに外部の目を意識しつつ特色ある学校づくりを目指して様々な取組を進めている。
  ガイドラインでは第三者評価の手法を幅広く選択できるようにすべきではないか。また、評価者の資質についても、ポイントは押さえつつ例示にとどめるべき。

○ 学校現場が第三者評価に一番望んでいることは、評価結果が学校の支援や必要な改善措置に結びつくことと、教育委員会の日常的な学校の指導に活用されることである。

○ 第三者評価を全国全ての学校で行うことは現実的ではないので、すぐれた実践を広めていくためのツールとして位置づけられることになると思う。その場合、たまたま選ばれた評価対象校だけを支援するのか、それをモデルとして設置者の教育行政、学校支援体制そのものを見直すところまで考えるかを整理する必要がある。

○ 学校や設置者が既に課題を分かっていながら改善に踏み切れないところがあり、第三者が関わることによってそのような部分に変化が起こるというのが私が想定している第三者評価の実質的意義である。

○ 評価結果の公表については慎重に取り扱うべき。特に専門性が強くなればなるほど、深く踏み込んだものになり、表に出す必要の無いものが多くなる。また、評価結果を取りまとめるリーダーの資質は重要であり、全体を総合できる能力が不可欠であると思う。

○ 実施主体と評価者の関係を明確にすべき。また、評価結果の取りまとめをリーダーが行うということについても明記した方がよい。

○ 評価結果の公表については、校長に出すものと、学校関係者に出すものと、全くの部外者に向けたものを分けることも考えるべき。

○ 評価のための評価になってしまわないよう、評価を受ける側からどのようなことを評価してほしいかある程度明確にし、それを重視して評価を行うようにすべき。

○ 専門的助言の妥当性について、責任を持たされるとなった場合、言いたいことが言えなくなるのではないか。

○ 屋上屋を重ねることにならないよう、自己評価、学校関係者評価、第三者評価の3つを整理し、不可欠な内容に絞り込んでいくべき。

 ・事務局から今後の会議の予定日時について説明があり、閉会した。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)