（方向性）
○ 学校の裁量が拡大し、自主性・自律性が高まる上で、その教育活動等の成果を検証し、必要な支援・改善を行うことにより、児童生徒がより良い教育活動等を享受できるよう学校運営の改善と発展を目指し、教育の水準の向上と保証を図ることが重要である。また、学校運営の質に対する保護者等の関心が高まる中で、学校が適切に説明責任を果たすとともに、学校の状況に関する共通理解を持つことにより相互の連携協力の促進が図られることが期待される。
これらのことから、学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校及び設置者等が学校運営の改善を図ること、及び、評価結果等を広く保護者等に説明・公表していくことが求められる。
○ 学校が主体となって行う自己評価や学校関係者評価については、既に法令上明確に位置付けられるとともに、各学校における取組みも進んできており、学校運営の改善を図る上で重要な役割を果たしている。
・ 自己評価は、学校評価の最も基本となるものであり、校長のリーダーシップの下で、当該学校の全教職員が参加し、設定した目標や具体的計画等に照らして、その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価を行うものである。
・ 学校関係者評価は、保護者、学校評議員、地域住民、青少年健全育成関係団体の関係者、接続する学校（小学校に接続する中学校など）の教職員その他の学校関係者などにより構成された委員会等が、その学校の教育活動の観察や意見交換等を通じて、自己評価の結果について評価することを基本として行うものである。
○ 自己評価や学校関係者評価を最大限有効に活用し、学校運営の改善をより確実に進めていくためには、これらの評価で不足する点を補うことにより、学校運営の質を確認し、学校の優れた特色や改善すべき課題などを設置者と学校が改めて認識できるようにすることが肝要である。
○ このため、「第三者評価」として次のような評価を実施していくことが有効である。
・ 保護者や地域住民による評価だけでは期待しにくい、学習指導や学校のマネジメント等について専門性を有する者による評価
・ 学校と直接の関係を有しない者により、必要以上に学校・地域の事情やしがらみにとらわれず、学校に新たな気づきをもたらすような評価
○ すなわち、第三者評価は、学校運営等に関する外部の専門家が中心となり、自己評価及び学校関係者評価の実施状況も踏まえつつ、教育活動その他の学校運営全体について、専門的・客観的視点から評価を行うものと位置付けられる。
○ これによって、学校が自らの状況を客観的に見ることができるようになり、教職員の意識改革につながるほか、専門的な分析や助言により学校の課題とこれに対する改善方策が明確となり、具体的な学校運営の改善に踏み出すことができるようになるなど、学校の活性化につながることが期待される。また、学校運営が適切になされていることが確認され、信頼される魅力ある学校づくりにつながるという意義もある。さらに、学校のみならず設置者である教育委員会等の取組み状況に対する専門的立場からの評価ともなり、学校だけでは解決が困難な課題も含めて、評価結果に基づく支援や改善を促す効果も期待できる。
○ 第三者評価が有効に機能するためには、自己評価及び学校関係者評価が適切に行われることが必要であるが、同時に第三者評価には自己評価や学校関係者評価が効果的に実施されているかどうかを検証し、学校評価システム全体の実効性を高めるという役割も期待される。
○ また、全国や域内に普及させることが望ましい学校等の優れた取組についての情報を収集し、広く紹介していく上でも、第三者評価の実施は役に立つものと考えられる。
○ 第三者評価を含む学校評価は、あくまでも学校運営の改善を通じた教育水準の向上を図るための手段であり、それ自体が目的ではない。学校評価の実施そのものが自己目的化してしまわないよう、地域の実情も踏まえた実効性のある学校評価を実施していくことが何よりも重要である。
（方向性）
○ ガイドラインは、関係者の第三者評価の取組みの参考となるよう、その目的、実施方法、評価項目、結果の取扱いなどについて、目安となる事項を示すものである。したがって、第三者評価が必ずガイドラインに沿って実施されなければならないわけではない。
○ 上記のように自己評価、学校関係者評価及び第三者評価の意義や目的は整理されるが、それぞれの評価の要素を併せ持つ取組を同時に行うことも考えられる。例えば、第三者評価と学校関係者評価との関係では、保護者・地域住民等の学校関係者に大学教員等の専門家を加えて専門的・客観的な視点を取り入れた評価を実施することなどが考えられる。このような複数の評価を併せ持つ取組を同時に行う場合に留意すべき点については、さらなる検討が必要である。
○ なお、ガイドラインは、学校種等を問わず共通する事項を中心に記述しているが、主として公立小中学校を念頭に置きつつ、市町村教育委員会の取組の参考となるよう構成している。幼稚園、高等学校、特別支援学校及び私立学校については、その特性を踏まえた第三者評価の在り方について、さらなる検討が必要である。
（課題・意見）
●自己評価・学校関係者評価の実施状況や第三者評価の評価者確保の現状などを踏まえ、段階的な第三者評価の導入について検討すべきではないか。
1.当面の実施主体
（方向性）
○ 評価結果を確実に学校運営の改善に結び付けるため、当面は学校に対する支援や条件整備等の改善措置を講ずることのできる学校の設置者（市町村、都道府県、学校法人等）の判断により、評価者を確保して実施することを基本とする。
2.設置者単独での実施が困難な場合の対応
（方向性）
○ 小規模な市町村など設置者単独で第三者評価を実施することが困難な場合も想定される。そのような場合は、近隣の複数の市町村などが共同して第三者評価を実施することができるようにするなど、柔軟な対応を可能とする。
○ その際、国や都道府県は評価者情報の収集・提供や評価者の紹介・斡旋を行うなど、積極的な支援を行うことが望まれる。
（課題・意見）
●小規模な市町村などの設置者・学校の事情や学校種等に応じた複数の方法を提示することも検討課題とすべきではないか。
●第三者評価以前の問題として、指導主事を置いていない市町村が多数存在することについても留意する必要がある。そのような市町村に対しては、都道府県や国がより積極的な役割を果たす必要があるのではないか。
●私立学校については、学校の設置者である学校法人等が単独で実施する方法だけでなく、複数の学校法人等が共同して実施したり、私学団体等が実施することなども考えられるのではないか。
3.国、都道府県、市町村の役割分担
（方向性）
○ 当面、国は全国的な教育水準の維持向上を図る立場として、都道府県は都道府県立学校の設置者、私立学校の監督庁及び市町村を包括する広域自治体の立場として、市町村は市町村立学校の設置者の立場として、各々の役割を果たしていくこととする。
（課題・意見）
●国、都道府県、市町村の具体的な役割分担はどのようなものとすべきか。
●国は、例えば、ガイドラインの策定、評価手法の開発、評価者の養成や評価者情報の収集・提供等の役割を担うことが考えられるのではないか。
●評価者の研修のための教材開発や事例集・ガイドブック等の作成はどこが担うべきか。
●第三者評価に係るコスト負担についてどう考えるか。
1.評価の実施の在り方
（方向性）
○ 第三者評価において何をどのように評価すべきかについては、以下のようなものが考えられる。
1. 各学校が教育目標その他の教育上達成すべき目標の設定・達成に向けて適切に取り組んでいるかどうかの評価
2. 自己評価や学校関係者評価が適切に実施され、その評価結果が学校運営の改善に適切に結びつけられているかどうかなど、学校運営の継続的改善プロセスの評価
3. 教育活動を実施する上での様々な基準を満たしているかどうかを確認する監査的な評価
○ 第三者評価の主たる目的が学校運営の改善による教育水準の向上であることに鑑みれば、改善への取組状況を評価する1及び2を中心に考えることが適当である。
○ 他方、3の教育に関する諸基準（例えば、施設・設備や衛生に関する基準など）への適合状況については、本来、学校の日常的な取組や、設置者の各担当部局等において恒常的に確認し、問題が見つかれば即座に改善していくべき性格のものである。このため第三者評価において監査的な評価を行う場合には、諸基準への適合状況を逐一確認するのではなく、基準適合のための学校の取組体制や設置者の確認体制の妥当性を評価するという観点が重要となる。
○ 以上のことから、第三者評価では、各学校の目標の設定・達成に向けた取組状況など学校運営全体の在り方について、自己評価や学校関係者評価では不十分な点を中心に評価し、その結果を踏まえて、今後の学校運営の改善につなげるための課題点等を提示することを基本とすることが適当であり、必要に応じて教育に関する諸基準への適合のための体制の評価という監査的要素も盛り込んでいくことが考えられる。
○ また学校運営の継続的改善を図る観点から、地域や学校の実情に応じ、例えば運営改善のための専門的助言や、過去の第三者評価を踏まえた評価（改善状況等のフォローアップ等）を行うことも有効であると考えられる。
○ なお、具体的な改善提案などの踏み込んだ専門的助言を行うためには、詳細かつ包括的な評価が必要となり、1.評価者の確保が困難である、2.評価日程が長期化する、3.頻繁な学校訪問が必要となる、4.専門的助言の妥当性について責任の所在を明確にする必要があるなどの課題がある。このため、第三者評価においてどこまで専門的助言を行うべきかは、実施主体である設置者が、地域・学校の実情や評価者確保の状況などを踏まえて判断することが適当である。
○ 第三者評価の実施に当たっては、過度に学校の事務負担が増えないように留意する必要がある。
2.実施体制
（方向性）
○ 多様な観点からの専門的評価を可能とするとともに、主観的評価に陥らないよう、複数の評価者がチームとして評価を行うことが望ましい。
3.実施時期・日程等
（方向性）
○ 実施時期や日程、実施対象校の範囲等については、予算編成や人事異動など、実際の改善プロセスに影響する要素も勘案しつつ、実施主体である設置者が自己評価や学校関係者評価の実施状況等も踏まえて適切に決定することを基本とする。
（課題・意見）
●実際の評価実施時期はいつ頃が望ましいのか。
－自己評価を年度末に行う学校が多いので、その結果を踏まえるとなると、第三者評価も年度末になってしまい、次年度予算編成等に間に合わなくなる。
－予算編成等に間に合わせるために中間評価を実施し、その後本評価を実施するという考え方もあるが、年度内に2度も評価を行うことは学校側にとって相当な負担となる。
－予算編成等に反映させるために年度の早い時期に評価を実施すると、前年度の状況について評価せざるを得ず、4月に校長等が異動したばかりの学校では、新体制による学校運営の評価とならず、評価の意義が損なわれる。
－学校運営の改善は予算等のみに依存するものではなく、評価結果を受けてすぐに実行できるものも少なくない。予算編成等のサイクルに過度に引き摺られず、多様な学校運営のあり方を考慮すべきではないか。
4.評価項目
（方向性）
○ 評価項目については、実施主体である設置者が、学校や地域の実情と、自己評価や学校関係者評価の結果等を踏まえて設定することを基本とする。
○ 対象校の取組水準を測る上では、学校側が外部にアピールしたい特色や、専門的評価を求めている部分を適切に把握し、評価することが重要であるが、同時に、学校運営上の課題を見つけ、学校運営全体の改善を図るため、学校側の意向のみにとらわれず、実施主体である設置者が必要と判断する事項については積極的に評価していくことが求められる。
○ その際、例えば実施主体である設置者が共通評価項目を設けることなども検討されてよい。特に財務面など、基準への適合性が重視される部分の評価を行う場合については、共通の評価項目を用いて評価を行うことで、評価者と対象校の双方の負担軽減につながることが考えられる。
○ 他方、限られた評価日程で効果的な評価を実施するためには、各学校や設置者が課題と認識している事項や、過去の評価において指摘された課題等を踏まえ、ある程度評価項目を重点化することが有効であろう。
○ また、学校運営の現状を的確に把握するためには、「教育を行った結果、児童生徒にどのような成果があったか」を測るため、学力調査の結果などの一定の成果に関する資料・データ等を用いることについても検討すべきである。
○ ただし、定量的評価を重視しすぎると、評価が機械的なチェックに近くなってしまい、学校の特色を適切に評価することが困難となるだけでなく、専門的・客観的視点からの評価を通じて学校運営の改善に結びつけるという第三者評価の趣旨にもとることとなってしまうおそれがある。
○ また、例えば学力調査により測定できるのは学力の特定の一部分であって、学校における教育活動の一側面に過ぎないなどの限界があり、有用な評価情報の一つであるものの、多様な観点からの評価のための資料・データ等の一つに過ぎないことに十分留意する必要がある。
○ 他方で定性的評価においては、評価者の知見や経験といった資質に左右される部分が大きく、これに偏りすぎると客観性が損なわれる可能性がある。
○ したがって、地域や学校の実情に応じ、定量的評価と定性的評価をバランス良く組み合わせて評価を実施していくことが重要である。
○ なお、学校運営の改善を進めていく上では、学校と設置者の適切な連携が不可欠であることから、両者の連携の状況についても評価の対象とすることが望まれる。
（課題・意見）
●対象校が測定が困難な抽象的目標を設定していた場合の対応をどのようにするか。
●財務面では、特に私費会計部分の管理などに問題があることが多いので、そういうところについては監査的なチェックも必要なのではないか。
5.評価手法
（方向性）
○ 限られた日程で適切な評価を実施するためには、事前に十分な余裕を持って評価者が対象校の情報を得られるように配慮するとともに、評価者間で予め課題や重点調査項目等について問題意識を共有しておくことが必要である。
○ 同時に、学校の負担を軽減し、調査を効率的に進めるため、調査の段取り等について事前に評価者と対象校との間で打合せをしておくことが望ましい。
○ 具体的な評価活動としては、授業や課外活動等の観察、教職員からのヒアリング等を実施することとする。その際、児童生徒の教育活動に支障を来さないよう十分に配慮する。
（参考：平成20年度試行事業における評価手法）
● 事前の情報収集
・調査対象校は、日程調整の資料とするため、日程の連絡後1週間以内に、学校要覧、教職員名簿、校時表及び時間割・校務分掌が把握できる資料を提出する。
・調査対象校は、予定する調査日の3週間前までに、「事前記入シート」（学校の概要や評価の観点ごとの概況を記入）を提出するとともに、評価対象としたい領域・項目・観点を連絡する。
・重点目標を踏まえた自己評価・学校関係者評価を実施している調査対象校については、それら評価の各項目について、現在の状況を自己診断した資料を提出する。
● 実地の調査活動
・授業観察
・課外活動等の視察
・管理職及びその他の教職員からのヒアリング
・児童生徒との対話
・職員打合せ等の参観
・保護者、地域住民等からのヒアリング
・設置者からのヒアリング
1.評価者の在り方
（方向性）
○ 評価者は、学校運営について専門的・客観的視点から評価を行い、その結果を踏まえて今後の学校運営の改善につなげるための課題等を提示することのできる者とする。
○ また、主要な評価者は対象校の学校関係者（保護者、学校評議員、地域住民、地元企業関係者等）ではなく、かつ当該学校の設置者とも直接の関係を有しない者であることが求められる。
○ 具体的には、評価者の多様性の確保に留意しつつ、次のような者等を中心として、適当な評価者でチームを編成することが考えられる。
1. 大学教授等（教員養成系大学・学部の教授等）
2. 校長経験者や指導主事経験者など、学校の教育活動等に造詣の深い者
3. （公立学校の場合は他の地方公共団体の）教育委員会の指導主事・管理主事、他の学校の教員等
4. 学校運営に関連する知見を有する民間研究機関等（調査研究機関、NPO法人等）の構成員
○ また、学校と地域の連携状況を評価する観点から、PTAや青少年団体の統轄団体の役員等、学校と地域の連携に関する知見を有する者を評価者に加えることや、民間の組織管理に造詣の深い企業の管理職や監査法人を加えることも考えられる。
○ 評価者への就任の依頼に際しては、児童生徒等の個人情報の保護や守秘義務などについてあらかじめ説明し、理解を得る必要がある。
（課題・意見）
●公正中立な評価や独立性をどう担保するか。
●第三者評価の「あるべき姿」がはっきりしていないと、たとえ評価者が第三者であっても、評価者の主観による評価に陥ってしまうおそれがあるのではないか。
●将来的には評価者の資格制度など、評価者の資質を担保する仕組みも検討すべきではないか。
2.実施主体との関係
（方向性）
○ 評価者は、実施主体である設置者の判断により第三者評価を行うこととなるものであり、また実施主体から情報提供等の支援を受けることとなる。他方、第三者評価は学校に対する設置者の支援状況等も対象とすることが求められるので、評価者は時には設置者に対して厳しい意見を述べなければならないことも想定される。したがって、評価の信頼性・客観性を担保するため、評価者には学校と実施主体である設置者双方に対する中立性が求められる。
○ 上記趣旨を踏まえ、実施主体である設置者には、評価者が中立的に評価を行えるよう評価者の構成や評価プロセスの客観性・透明性に十分配慮することが求められる。
（課題・意見）
●どのようにして評価者の中立性を担保するか。
3.評価者の確保
（方向性）
○ 例えば、都道府県レベルで評価者に対する研修や情報提供を実施することや、国レベルで評価者の養成を図ることなど、評価者の確保を計画的に図ることが重要である。
○ さらに、将来的には、教育大学・学部や学会等の協力も得ながら、評価者となり得る人材を継続的に確保するとともに、評価者の裾野を広げていくための方策についても検討していく必要がある。
1.評価結果の取りまとめ
（方向性）
○ 評価結果の取りまとめに当たっては、課題の指摘に止まらず、優れた取組み等についても盛り込むものとする。
○ 専門的評価を実施する意義のひとつとして、客観的事実を取りまとめるに止まらず、課題等の背景について専門的・客観的視点から分析を加えるなど、第三者評価でしか成し得ない評価を実践する工夫が求められる。
○ 評価結果を確実に改善に結びつけていくためには、評価対象校が評価結果を適切に理解し、その内容について納得できるようにすることが重要である。
○ 評価対象校の理解を得られるよう、例えば次のような工夫を講ずるよう努めることが望ましい。
1. 可能な限り判断の根拠となる客観的情報を直接収集し、報告書内でも明らかにする
2. 評価結果の取りまとめの過程で、対象校と事実誤認の有無等について協議する機会を設ける
3. 学校が単独で改善できるものと、設置者による支援が必要なものを仕分けた上で、課題等を提示する
（課題・意見）
●評定を行うべきか否か。
●評価結果について、実施主体、評価者及び対象校の間に考え方の乖離がある場合に、誰がどのように調整すべきか。
2.評価結果の取扱い
（方向性）
○ 評価結果には、学校が単独で取り組めるものと設置者の支援が不可欠なものの双方が含まれることが想定されるので、設置者と学校の両者にフィードバックし、確実な学校運営の改善につなげていくことが重要である。その際、例えば対象校に評価者が事後訪問して評価結果について説明・意見交換を行うなど、フィードバックの方法について工夫することが望ましい。
○ 学校の説明責任という観点のみならず、地域や保護者が学校の現状を理解し、運営に積極的に協力する土壌を作るためにも、学校は評価結果について学校関係者が理解しやすい形で積極的に説明・情報提供していくことが望ましい。ただし、学校関係者への説明等に止まらず広く公表することについては、慎重に取り扱う必要がある。
○ 設置者には、評価結果を踏まえて学校の支援や必要な改善措置を講ずることが求められる。その際、課題のある学校に対して、重点的な支援を行うなどの方策も検討する必要がある。また、第三者評価の結果を、指導主事を中心とする教育委員会による日常的な学校の指導等に活用していくことが望まれる。
（課題・意見）
●評価結果を確実に学校運営の改善に結び付けるためのメカニズムが必要ではないか。学校単独で取り組めるものについては、学校側のモチベーションを高めるような仕組みが必要であるし、設置者による対応が必要なものは、具体的な対応に結び付けるような工夫が必要なのではないか。
●日常的に学校に対する指導助言を行う指導主事について、市町村への配置を促進することや、資質向上についても検討すべきではないか。
（方向性）
○ 学校種（幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校）や設置主体（国立、公立、私立）などを問わず、第三者評価の実施は学校運営の改善に資するものである。
○ 他方、私立学校においてはそれぞれの建学の精神に基づいた教育が行われており、かつ選択を通じてある種の評価を常に受けている点を考慮する必要がある。
○ また、高等学校については、1.全日制・定時制・通信制の別や普通科・専門学科・総合学科の別など多様性があること、2.選択によって入学する学校種であることなど、義務教育諸学校とは異なる特性がある点を考慮する必要がある。
○ 特別支援学校については、児童生徒の障害や発達の段階等に対応した専門的な教育を行うことから、多様な児童生徒の実態等を踏まえた対応が必要であること等の特性を考慮する必要がある。
○ 大学においては、第三者評価として認証評価が行われているが、大学と高等学校以下の学校、特に義務教育諸学校とでは相違点が多いことから、それぞれの特性に応じた第三者評価の在り方を考える必要がある。
（課題・意見）
●学校種別や設置主体別による特性の違いを考慮した上で、第三者評価の在り方についてどのような配慮をするべきなのか。
●私立学校では評議員会が外部チェック機能を果たしていることを考慮すべきではないか。
●私立学校の特性を考慮した場合、第三者評価でチェックする内容としては財務面が重要となるのではないか。
●私立学校では、私学団体の役割も考慮すべきではないか。
●高等学校は公立義務教育諸学校と異なり、学校選択の対象となるので、評価結果の公表についての考え方が自ずと異なるのではないか。
●中等教育学校や小中一貫教育を行っている学校などでは、複数の学校段階に対応した評価者の確保が必要になるのではないか。
●特別支援学校については、その特性を十分に理解している評価者の確保が難しいのではないか。また、特別支援学校に特有の施設設備等や、医学面の専門家など、他の学校と比較してより多様な専門家の確保が必要なのではないか。
●特別支援学校は複数の学校段階に跨るものが多いので、それぞれの学校段階に対応した評価者の確保が必要になるのではないか。
初等中等教育局参事官（学校運営支援担当）付