資料4 学校の第三者評価の実施体制について(案)

学校の第三者評価の実施体制について(案)

(1)学校関係者評価において評価者に外部の専門家を加えて実施

1 実施イメージ
保護者や地域住民等からなる学校関係者評価の評価者の中に、大学教授や校長経験者などの外部の専門家を加え、学校関係者評価と第三者評価の両者の性格を併せ持つ評価を実施する

2 実施例
  ○ 川崎市(学校評価・情報提供の充実・改善等のための実践研究(18~21年度)、各学校・設置者における学校評価の校事例の収集・共有に関する調査研究事例集(20年度))
学校関係者評価の評価者に大学教授等を加えて評価を実施

  ○ 堺市(実践研究(19~21年度))
学校関係者評価の評価者に学識経験者や異校種の教職員を加えて評価を実施

  ○ 品川区(実践研究(18~21年度))
    全区立学校ごとに、学識経験者、PTA、地域団体関係者、近隣小中学校管理職からなる校区外部評価委員会を設置し、訪問観察による評価を実施

  ○ 千葉県市川市(実践研究(20~21年度))
学校関係者評価の評価者が有識者とともに学校参観や教職員ヒアリングを行った上で評価を実施

  ○ 岐阜県本巣市(実践研究(18~19年度)、事例集(20年度))
中学校区単位で、学区内の学校の関係者、学識経験者等からなる学校関係者評価委員会を設置し、学区内の複数の学校の評価を実施

  ○ 岡山県矢掛町(事例集(20年度))
    学校関係者評価の評価者に学識経験者を加えて評価を実施

 3 成果・課題(実施例から)
  ○ 学校関係者評価の評価者には、教職経験者、評価項目にかかわる専門的知識のある人、学校支援ボランティアや校区の他校種管理職等学校とかかわりの深い人、頻繁に来校できる人を選ぶのが効果的である

  ○ 学識経験者が学校関係者評価委員会のリーダーシップをとっている

  ○ 近隣学校の管理職を評価者に加えることで、他校の経営・運営について学ぶものが多く、自校にも生かすことができる

  ○ 学区単位で一体的な眼で評価がなされることで、学びの連続性を意識した学校改善が促進されるとともに、学校間の交流や地域で目指す子どもの姿についての共通理解が図られた。

4 実施の際の留意点
○ 学校評価システムの中核をなすのは、あくまで自己評価・学校関係者評価であることから、まずはその確立を図ることが必要。

○ 学校関係者評価の実施主体は学校であることから、各学校において、学校運営に関する外部の専門家を確保することが必要。地域によっては、それが困難な場合もあると考えられることから、設置者において専門家に関する情報を適切に収集し、学校に提供することなどの支援が必要。

  ○ また、複数の学校をまとめて学校関係者評価を行うことも有効。

○ 学校関係者評価の評価者に加わった専門家が自己評価や学校関係者評価の実施方法等について助言を行うなど、学校における適切な評価の実施に資するような運用も必要。

○ 学校関係者評価の結果は設置者に報告されるが、あわせて専門家による評価も設置者に報告され、設置者による学校改善のための支援に生かされるようにすることが必要。

  ○ 評価結果は、学校関係者評価の結果と同様に、学校において保護者や地域住民に積極的に情報提供し、説明していくことが必要。

(2)地域内の複数の学校が合同で相互に評価を実施

1 実施イメージ
   一定の地域内の複数の学校の教職員が評価者となり、当該地域内の学校の評価を実施する

2 実施例
  ○ 横浜国立大学付属中学校と近隣の公立中学校
対象校の評価をその他の学校の教諭が訪問観察して実施

 3 成果・課題(実施例から)
 ○ 評価者が確保しやすく、特別な準備が不要なため、負担感が軽減される
  ○ 評価者と被評価者が対等なため、互いに評価能力を高め合うことにつながる
  ○ 評価を遠慮する評価者もいる

4 実施の際の留意点
○ 学校評価システムの中核をなすのは、あくまで自己評価・学校関係者評価であることから、まずはその確立を図ることが必要。

○ 評価結果が設置者に報告され、設置者による学校改善のための支援に生かされるようにすることが必要。

○ 同一地域の同業者による評価であることから、なれ合いにならず、新たな気づきをもたらすような評価となるような工夫が必要。その点で設置者が積極的に関与することが考えられる。

○ 評価結果は、学校において保護者や地域住民に積極的に情報提供し、説明していくことが必要。

(3)学校の設置者が評価チームを編成し、学校に派遣して実施

1 実施イメージ
学校の設置者が実施主体となり、大学教授や校長経験者などの学校運営に関する外部の専門家を中心とした評価チームを編成し、学校に派遣するなどして評価を実施

2 実施例
  ○ 京都市(実践研究(19~21年度))
    教育委員会に、学識経験者、保護者代表、校長代表、公募委員からなる検証委員会を設置し、学校訪問等を行った上で、学校における学校評価システムが有効に機能しているか検証を実施。

○ 品川区(実践研究(18~21年度))
教育委員会に、学校経営、教育課程、学校法務、学校財務の専門家4名からなる専門外部評価委員会を設置し、学校の管理職等からヒアリングを行い、専門的立場から指導・助言を実施。

  ○ 杉並区
教育委員会に、教育に関する専門家等からなる診断委員会を設置し、授業観察等を通じ、学校の経営や教育活動について、専門的立場から診断活動を実施。

○ 文部科学省の試行事業(18~20年度)、実地検証(21年度)

 3 成果・課題(実施例から)
  ○ ほとんどの試行実施校が、第三者評価は今後の学校運営の改善に役立つと考えており、具体的には、「教育活動の改善につながる」、「教育活動や現状を見直すよい機会」、「教職員の意識改革につながる」としている。設置者からは「学校評価の見本となる」との意見もあった。

○ 評価項目の在り方、評価報告書における課題の指摘と改善策の提示、評定の是非、公表の在り方、評価者の確保などが課題。

4 実施の際の留意点(これまでの議論に加えて)
○ 学校評価システムの中核をなすのは、あくまで自己評価・学校関係者評価であることから、まずはその確立を図ることが必要。

○ 評価者の確保、事務局体制など設置者・学校に相当の体力、経費、負担を要することから、評価実施による負担とメリットとを十分考慮して実施することが必要。

○ その際、設置者が一方的に実施を決定するのではなく、評価実施による負担とメリットとを明らかにした上で、学校、保護者、地域の理解を得た上で実施することが必要。

○ 評価実施による負担等を軽減するためには、複数の設置者による共同実施や国、都道府県による支援が考えられる。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)