資料4 学校の第三者評価のガイドラインの策定に当たって検討すべき事項について

 1 第三者評価の意義について

○  第三者評価は、以下のような意義を有するものと位置付けることでよいか。

 その学校に直接かかわりをもたない専門家等が、自己評価及び学校関係者評価の結果等も資料として活用しつつ、教育活動その他の学校運営全般について、専門的・客観的(第三者的)立場から評価を行うもの(学校評価ガイドライン〔改訂〕(平成20年1月)

○ 大学における認証評価との相違点及び共通点は何か。

* 学校評価の在り方と今後の推進方策について 第一次報告(平成19年8月)

 自己評価や保護者等による学校関係者評価(外部評価)では不足する部分を補うものとして位置付け、学校運営の質を高めることを目的として学校の取り組みやその成果について評価を行うことが適当

(1) 保護者や地域住民による評価だけでは、学習指導や学校のマネジメント等について教職員を上回る専門性は期待しにくいことから、専門性を有する有識者等による「専門的」な評価

(2) 学校と直接の関係を有しない者により、必要以上に学校・地域の事情やしがらみにとらわれず、学校に新たな気づきをもたらすような「客観的(第三者的)」な評価

として、学校以外の主体が評価機関となって行う専門的・客観的評価と位置付けることが適当

* 学校の第三者評価に関する実践研究の実施結果等の調査研究報告書(平成21年3月)

(6)目的の明確化

 学校の第三者評価の試行事業で明らかになった課題の多くは、第三者評価の目的と意義をどのように設定するのかに深く関わるものである。
 3年間の成果を踏まえ、学校評価のなかでの第三者評価の位置付けや幅広く普及させることを勘案したうえで、第三者評価の目的を再検討し明確にすることが最も重要な課題であろう。

2 第三者評価の在り方について

(1)実施主体について

○  基本的には学校の設置者である市町村、都道府県、学校法人等の判断により、外部の有識者等からなる評価のための組織等を設けて実施することでよいか。
○ その場合、第三者評価の実際の実現可能性とのバランスを考慮した上で、公正中立な評価や独立性をどう担保するか。
○ 小規模な市町村など設置者単独での実施が困難な場合の対応をどうするか。
○  第三者評価システムにおける国・都道府県・市町村の位置付け、役割分担をどうするか。

* 学校評価の在り方と今後の推進方策について 第一次報告(平成19年8月)

 そもそもだれが実施するのが適当か
 評価の主体となる者が、もともと学校に対して有する権限等との関係で、公正中立な評価が可能かどうか。 
 評価の信頼性・客観性を担保するため、高い独立性を保つ仕組みが必要ではないか。
 国・都道府県・市区町村は、それぞれ第三者評価のシステム全体においてどのような位置付けとすべきか。
 システムの構築・維持に要する膨大なコストをだれが負担するのか。

* 教育再生会議第三次報告(平成19年12月)

 国は、学校の第三者評価についてのガイドラインを示す。
 各地域では、国が示すガイドラインを参考に、学校の設置者である市町村、都道府県の判断により、外部の有識者、専門家、住民等からなる評価委員会を設け、学校の第三者評価を行う。
 小規模な市町村など、市町村単独で評価委員会を設けることが困難な場合には、都道府県レベルで評価委員会を設けることも検討する。

(2)評価の実施について

○ 監査的な要素も盛り込みつつ、各学校の目標の設定・達成に向けた取組状況など学校運営全般の在り方について評価し、その結果を踏まえて、今後の学校運営の改善につなげるための課題点等を提示することを基本とすることでよいか。
○ 第三者評価の実施体制(評価チームの編成、実施対象校の範囲等)や評価項目の設定などについてどう考えるのか。
○ 設置者が自己評価及び学校関係者評価の結果の報告を受けていることとの関係をどう考えるか。
○ 学校種(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)や設置者の別(国立、公立、私立)、高等学校にあっては、全日制・定時制・通信制の別や普通科・専門学科・総合学科の別などによる違いについて考慮する必要はないか。

* 学校評価の在り方と今後の推進方策について 第一次報告(平成19年8月)

 基準適合のための学校や教育委員会の体制等が妥当かどうかを検証する監査的な要素(インスペクション)も盛り込みつつ、各学校の目標の設定・達成に向けた取組状況など学校運営全般の在り方について評価し、その結果を踏まえて、今後の学校運営の改善につなげるための課題点等を提示することを基本とすべきものと考える。

 定量的評価がどこまで可能か、あるいは、どこまで重視すべきか。
 少なくとも、学力調査の結果や学校の現状で単純にランク付けを行うことは適当ではない。しかし、置かれた条件が異なる学校を、どのようなものさしではかるのか。
 定性的評価による場合、評価者の経験・知見などの質に左右されることとなるのではないか。
 学校側が外部にアピールしたい特色や、専門家による評価を求めている部分を適切に把握し、評価することが、その学校の取組水準を測る上でも重要ではないか。

* 教育再生会議第三次報告(平成19年12月)

・ 学校評価に当たっては、「教育を行った結果、児童生徒にどのような成果があったか」を測るための成果指標を用いること、知・徳・体のバランスのとれた指標を用いること、児童生徒や保護者の満足度も指標に加えること、可能な限り数値化し自校の状況を把握しやすくすることなどに留意する。
・ 第三者評価の実施に当たっては、過度に学校の事務負担が増えないように留意する。

* 学校の第三者評価に関する実践研究の実施結果等の調査研究報告書(平成21年3月)

(1)評価項目・指標(観点)の重点化と選択
 特定の評価項目や指標(観点)を取り出して評価することの是非について再考する必要がある。
 評価項目・指標(観点)を選択制にすることには、評価を受ける学校、評価を行う評価者双方の負担を軽減し、学校の重点目標に沿って深く踏み込んだ評価を行い、ピンポイントで学校の改善を支援できるというメリットがある。
 一方で、検討を要する点は、
 第1に、選択された領域は重点的に見る必要があるが、それにとらわれ過ぎると全体が見えなくなったり、評価委員として見逃してはならない点を見落としてしまうおそれが生じる。
 第2に、何を共通領域とし何を選択領域とするのかの判断基準を明確にする必要がある。今後学校の設置者等が第三者評価を行う場合には、設置者等が掲げる重点施策や計画と整合性をとりながら、共通の評価項目を設定する必要がある。

(2)学校段階、学校種による評価の在り方の違い
 学校段階・学校種の特徴を考慮した評価が行われるような工夫が必要であろう。

(3)評価者の資質について

○  評価者は、学校運営について、専門的・客観的観点からの評価を行い、その結果に応じた改善の方策を指摘することのできる有識者等であって、当該学校及びその設置者と直接の関係を有しない者とすることでよいか。
○ その場合、第三者評価の実際の実現可能性とのバランスを考慮した上で、公正中立な評価や独立性をどう担保するか。
○ 評価者の資質向上のための研修等についてどう考えるか。
○ 学校関係者と学識経験者等が一緒になって学校評価を行っている実例があることから、学校関係者評価と第三者評価との関係をどう整理するか。

* 学校評価の在り方と今後の推進方策について 第一次報告(平成19年8月)

 定性的評価による場合、評価者の経験・知見などの質に左右されることとなるのではないか。評価の主体となる者が、もともと学校に対して有する権限等との関係で、公正中立な評価が可能かどうか。

 評価の信頼性・客観性を担保するため、高い独立性を保つ仕組みが必要ではないか。

* 学校の第三者評価に関する実践研究の実施結果等の調査研究報告書(平成21年3月)

(5)評価者の育成と研修

 評価結果の分析から、チームリーダーの属性や第三者評価の経験数、評価者の属性(経歴)などにより、評価に差異が見られる項目があることがわかっている。
 評価の実施前には、第三者評価の意義や評価者としてあるべき態度、評価基準を確認する機会を設け、評価者の資質・能力を向上させることが重要と言えよう。

(4)評価結果とそれを踏まえた改善策について

○ 評価結果のとりまとめ方はどうするのか(診断型か提言型か、評定の要否)
○ とりまとめた評価結果の取り扱いについて、設置者及び学校にフィードバックし、学校運営の改善につなげていくこととすることでよいか。
○ その際、評価結果の公表あるいは学校関係者への説明・情報提供の要否についてどう考えるか。

* 学校評価の在り方と今後の推進方策について 第一次報告(平成19年8月)

第三者評価を通じて、
(1) 全国的に波及させることが望ましい優れた取組を広く紹介し、
(2) 課題の多い学校については、人事権者や設置者による改善支援を促す、
などの役割を果たすことが期待される。

 第三者評価を行う際に、改善のための方向性だけではなく具体的な方策等も提示すべきかどうか。
 評価結果について、設置者等との間に考え方の乖離がある場合に、だれがどのようにして調整すべきか。
 評価結果を設置者等が受け止め、指導主事等が実際の学校の指導にあたるという流れが円滑に流れるようにするためには、どのようなシステム構築や関係者の研修等が必要か。

 だれが最終的に学校運営の改善に責任をもつのか。

* 教育再生会議第三次報告(平成19年12月)

 この学校評価の結果については、教育委員会は、各学校にフィードバックするとともに、成果のあがっていない学校に対する支援を行うなど、学校の主体的な改善活動をサポートする。

* 学校の第三者評価に関する実践研究の実施結果等の調査研究報告書(平成21年3月)

(3)報告書の様式
・ 課題の指摘と改善策の提示
 報告書は学校が具体的な改善策を計画する際の拠り所となるものであるから、作成する側も、改善策を意識した報告書をまとめる必要はあろう。
 学校や設置者が報告書に改善のアイデアが示されていることへの過度な期待を持つことは好ましくない。よって、学校への事前訪問等により、あらかじめ第三者評価の目的を学校に伝える必要がある。
・ 評定を付けるか、付けないか
 評定を付けるか、付けないかは一概にどちらかがよいということにはならない。

(4)報告書の取りまとめと確定
 3年間を通じて、学校のアンケートに事実誤認を指摘する自由記述が見られた。このような指摘を減らすために、第三者評価者が学校への事後訪問を行い、第三者評価報告書の記載内容に対して学校と第三者評価者との合意形成を図ることが検討できる。       

 

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

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