資料7 保幼小等連携事例(案)

1.保幼小連携

1.山口県

  山口県では幼保・小の一貫した指導の推進に資する人材を育成することを目的として、小学校の教員を1年間幼稚園に派遣、期間中2週間の保育所での研修等を含む「幼児教育長期研修」を実施。私立幼稚園担当部局及び保育所担当部局と連携しつつ、幼児教育長期研修経験者を活用した他の教職員への意識啓発等、幼保・小連携を推進。
 保幼・小一貫指導の指針となる指導資料『つながる子どもの育ち』を平成16年度に策定。幼児期から小学校低学年にかけ各段階に応じて育てたい力を、4つの視点から27の具体例で提示。冊子を配付したほか、Webページに掲載し更新するなど、活用を促進。

育てたい力

  • 自分のことが自分でできる子ども
  • 社会生活のルールやマナーを守る子ども
  • 感性豊かで思いやりのある子ども
  • 表現を楽しみ学びに関心をもつ子ども

一事例ごとに「育てたい力」「体験させたい活動」「教員の援助やかかわり」を提示

  このような県の取組を活用しつつ、各市町において、子ども同士の交流、職員の連絡協議会の開催等を通じた幼保・小連携を実施。

2.栃木県

  私立幼稚園担当部局及び保育所担当部局と連携をしつつ保幼小連携を推進。栃木県では、連携推進会議、保幼小教職員合同研修、相互職場体験研修等を実施するとともに各取組について以下のポイントを市町村や各施設に提示。市町村や各施設では、県の支援の下、これらのポイントを踏まえた連携を実施。

連携組織の設置

  • 連携の様々な取組が効果的に行われるようコーディネイトする役割

子どもの交流

  • 幼児・児童の双方のねらいを明確にし、互いに学びのある活動を展開
  • 幼稚園や保育所と小学校が一緒に活動を計画

教職員の相互理解

  • 相互参観後の保育・授業参観(保育と授業を見る視点を栃木県が例示)
  • 保育・授業における子どもの発達や学びに視点をおいた話し合い

連絡体制の整備

  • 行政を中心とした連絡体制の整備
  • 全ての教職員が参加し、校種間の垣根が低くなるよう、定期的・継続的な取組

一貫性のある保育計画・指導計画の作成

  • 育てたい子どもの姿や発達に応じた指導についての話し合い
  • 幼児期の「遊び」を充実させ、児童期の「学習」に生かしていくために必要な手立てをカリキュラムに位置づけ

3.愛知県

  小冊子『子どもたちのすこやかな育ちを支える 幼稚園・保育所と小学校の連携の在り方』を作成し、保育所・幼稚園から小学校に対する質問及び回答、小学校から保育所・幼稚園に対する質問及び回答を掲載。また、資料として実態調査の結果を掲載。(掲載事例は以下のとおり。)小冊子を活用しながら、市町村等において保幼小連携を推進。

保育所・幼稚園から小学校への質問例

  • 小学校入学までに幼稚園・保育所で身に付けておいてほしいと願うことは何でしょう。また、小学校入学当初に特に配慮していることは何ですか。

小学校から保育所・幼稚園への質問例

  • 幼稚園や保育所での幼児教育の特徴をわかりやすく説明してください。
  • 幼児教育では「遊び」を大切にしていると聞きますが、それはなぜですか。

実態調査の結果の例

  • 保育者の小学校教育への理解(何が知りたいか等)
  • 入学当初1年生の担任が留意していること(入学前に身に付いてほしい事柄、入学当初困る状態、初めに重視する指導項目、指導で大切にすること等)

4.横浜市

  昭和53年に設置された「横浜市幼児教育調査研究協議会」の20回にわたる検討会とその報告書を踏まえ、昭和58年6月1日、幼児教育に関する総合的な研究研修機関として「横浜市幼児教育センター」が設立される。当初から、幼稚園・保育所・小学校の保育者、教員の合同研修の実施、幼稚園・保育所・小学校の連携と交流を進め、子どもの発達や学びの連続性を確保するために様々な事業を展開してきた。25年にわたる幼・保・小連携の蓄積があり、平成17年の調査結果によると、横浜市の幼・保・小連携の連携実施率は93.5パーセント

研究事業

  • 幼・保・小連携推進地区事業
  • 幼児教育研究事例集の作成
  • 合同研究会(年間10回)
  • 子どもの心に寄り添うカウンセリング研究(年間10回演習等)

研修事業

  • 幼・保・小連携教育研修(1日目モデル園・校の研究発表と講演、2日目分科会参加人数-全体会1,100名分科会700計1,800名)
  • 幼児教育と小学校教育との接続に関する研修会

交流事業

  • 幼・保・小教育交流事業地区実行委員会を各区に毎年設置。委員に委託して、保育参観、授業参観、園長校長交流会、合同研修、保護者研修会などを計画的に実施)

5.北九州市

  保育所、幼稚園の保育環境から小学校の学習環境への円滑な移行や、異年齢児との交流などにより子どもの社会性の醸成を図るとともに、保幼小関係職員の資質向上の促進、幼児・児童の健全育成を推進

平成17、18年度

  幼保小連携推進会議の開催(10回開催。市内3校をモデル校区とする。幼保小連携の課題の検証/保護者・職員アンケートの実施/児童・幼児及び職員相互の交流・連携のあり方検討)

平成19、20年度

  幼保小連携実践校区連絡会(上記のモデル校区を引き続き実践校区と位置づけ、連携を意識したカリキュラムを作成し、実践・研究の成果をまとめることとしている。今後は、この成果を市内全幼稚園・保育所・小学校で活用することで、市全体での幼保小連携の質的向上と拡充を図っていく。)

6.滋賀県大津市

  昭和51年より市全体で保幼小連携に取り組んでいる。(地域組織的連携推進)
「5・5交流(5歳児と5年生)」が滋賀県のほとんどの地域で行われている。
  中学校区の教育研究会に保幼小の教職員が参加し、情報交換を行っている。
  「幼保小連携推進事業、研究推進校園所における取組のまとめ」として30地域の取組を報告。異年齢交流の中で自己発揮していくための指導のあり方など、様々な課題をもって取り組んでいる。

2.保小連携

1.埼玉県熊谷市

  平成18、19年度の2年間、埼玉県教育委員会研究委嘱による「幼稚園・保育所と小学校の連携推進事業」として、幼稚園・保育所・小学校と家庭・地域が一体となって「基本的な生活習慣」の確立を目指す調査・研究に取り組んだ。連絡協議会や講演会等を開催した他、平成18年度には「熊谷市における2歳から8歳の生活調査」を実施し、幼保小の連携を進めた。
  保小連携では、保育所の園祭りや、小学校の授業(生活科・町探検)やクラブ活動等を活用して、小学生が保育所に来園して交流活動を行っている。

2.東京都大田区の公立保育所

  4歳児、5歳児の年間計画に小学生との交流活動を取り入れてねらいをもって計画的に取り組んでいる。園児と小学生の相互訪問、近隣の公園探検など、固定したグループを組み、子ども同士の関わりを深めながら「互恵性」と「学びの連続性」を大切にして行っている。

3.長野県松本市

  30年以上前に設置された「松本市幼年教育研究会」が保・幼・小連携事業を受け継いでいる。市内を4ブロックに分け、その中で毎年、当番園・校による幼・小、保・小のペアリングがなされ、研究交流事業が行われている。保育所が多い地域であり、保・小連携について積極的に取り組んでいる。
  調査研究委員会による幼・保・小の連携についての実態調査や、全市統一版「入学の手引き」の作成と送付も行っている。

3.幼小連携

1.東京都中央区

  幼稚園教育と小学校教育の円滑な接続のため、相互の年間指導計画に基づいた幼児と児童との交流、そして教員の研修や交流等を教育委員会が中心となり実施するとともに、併設の幼稚園・小学校において、生活習慣のつながり、集団の遊び、学習の接続の視点等から教育課程の編成や指導方法を工夫している。

2.大阪府内の私立幼稚園

  幼児と児童の交流、教員同士の相互交流を年間計画に組み込む他、卒園児の小学校生活の状況や幼稚園が配慮すべきこと等を把握するため卒園児対象のアンケートを実施したり在園児と卒園児の保護者に配付する幼小連携機関誌(園長のメッセージ、小学校長の学校紹介、卒園児の近況等を掲載)を発行したりしている。

お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課