資料4 保幼小連携の成果と課題(調査研究事業報告書等より)

1.幼児・児童の交流

1.成果

  • お互いに育ち合うような交流の積み重ねにより、交流がイベント的なものではなく、子どもの発達にとって必要な学習の場であるとともに互いの学び合いの場となっている。
  • 小学生は事前・事後の学習を通して、園児との交流体験への思いや願いを膨らませたり、自分自身の成長を感じたりすることができた。
  • 園児が小学校への期待を高めることができた。
  • 子ども同士の交流の中で、それぞれの発達段階に応じた思いやりの気持ちがはぐくまれた。

2.課題

  • 各施設においてそれぞれ教育課程や保育課程を編成しており、日常的な交流を実施するためにはこれらを事前に調整する必要がある。
  • 子ども同士の交流を年間計画に位置付ける必要がある。
  • 事前・交流を通した体験・事後のつながりを大切にして体験を深める必要がある。
  • 保育所、幼稚園、小学校のそれぞれの子どもたちにとって意義のある交流になるよう、それぞれの目標を明確化する必要がある。
  • 低学年だけでなく、中・高学年においても互いに育ち合うような交流を行う必要がある。
  • 交流活動について、保護者や地域の方々にも幅広く理解を求めていくことが重要である。
  • 子ども同士の交流活動は地理的な条件等により困難な場合もあることから、地域の実態に応じた交流活動の在り方を検討する必要がある。

2.教師・保育士の交流(相互理解・人事交流等含む)

(1)交流

1.成果

  • 保育所、幼稚園、小学校が就学前教育と小学校の接続の視点から情報交換ができた。
  • 相互の保育参観や授業参観を通し、子どもの学びの連続性について共通認識を持つことができた。
  • 教師の指導や教材などの共通点や相違点が明確になり、発達や学びの連続性を再認識できた。
  • 小学校において、保育所や幼稚園からの学びの連続性で子どもの成長を捉え、「なになにができない」から「なになにができるようになった」という肯定的な評価観が生まれた。
  • 合同研修、合同保育・授業等を通して、互いの幼児・児童観や指導観についての共通理解を深めることができた。

2.課題

  • 保育所、幼稚園、小学校の勤務形態が異なっているため、合同研修の時間を確保することが難しい場合が多い。
  • 指導者相互の交流を深めるため、日常的な連携方策の構築が必要である。
  • コーディネーターを中心とし、地域の実態に応じた連携を図る必要がある。
  • 一部の教師や保育士同士の連携に終わらず、学校・園全体の取組となることが重要である。
  • 保育所保育指針、幼稚園教育要領、学習指導要領について教師と保育士が共通理解を図る必要がある。
  • 各施設の役割や資格の違い等により連携に対する意識が異なる。

(2)人事交流等

1.成果

  • 相互職場体験は、保育所、幼稚園、小学校が指導内容・指導方法の在り方をともに検討するための土台作りとなった。
  • 保育体験を通して、小学校の教師は入学前の幼児の様子や発達過程等を理解することができた。
  • 人事交流教員のいる幼稚園や小学校での保育や授業の公開を通して、効果的な保幼小連携の取組を広めることができた。

2.課題

  • 相互職場体験等の事前打ち合わせや日程調整等に係る時間の確保が難しい。
  • 低学年担当者中心の人事交流から他学年担当者へと、その交流の範囲を広げていく必要がある。
  • 教職員が少ない園や学校もあり、人事交流の参加や受け入れの配置が難しい場合がある。
  • 幼稚園と小学校の免許の併用の取得手段は確保されているものの、取得希望者が少ない。

3.小学校教育への円滑な接続のための課程編成の工夫

1.成果

  • 年長児後半から小学校入学期までの学びの連続性を意識し、その時期に育てたい力を明確にできた。
  • 基本的な生活習慣の指導方針を共有することもできた。
  • 互いの教育内容や指導方法の違いを前提に、それぞれの施設の役割を再認識できた。
  • 保育所と幼稚園が5歳児のカリキュラムを共有することにより、同じ目線で教育活動を展開することができた。

2.課題

  • 発達や学びの連続性を踏まえた指導内容や指導方法を一層工夫する必要がある。
  • 育ちの連続性を系統的にとらえるために、それぞれの発達に応じた具体的な行動目標(望む子ども像)を幼稚園、小学校共同で作成することが望ましい。
  • カリキュラムの作成及び更新のためには、協議会の定例開催が必要である。

4.その他

1.成果

  • 保護者から安心して小学校に入学できるとの声があった。
  • PTA、地区子ども会活動の協力により、保護者同士のつながりができた。
  • 教員養成大学との連携による学生のボランティア参加は、教育現場の実態を理解し、教師の専門性や役割について学ぶ機会となった。

2.課題

  • 人事異動等で連携の状況が変わることのないよう、組織的な連携を図る必要がある。
  • 市町村等、行政の支援が必要である。
  • 園便りや学校便り、ホームページ等を活用し、園や学校の取組を積極的に情報発信しながら、地域や保護者の啓発を進める必要がある。

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初等中等教育局幼児教育課