資料2 保育所・幼稚園・小学校の連携に関する主な答申等における記述

1.保育所・幼稚園・小学校の連携

中央教育審議会(答申)「新しい時代を拓く心を育てるために」-次世代を育てる心を失う危機-(平成10年6月)

第4章 心を育てる場として学校を見直そう

(1)幼稚園・保育所の役割を見直そう

(e)幼稚園・保育所の教育・保育と小学校教育との連携を工夫しよう
  幼稚園・保育所から小学校への接続が円滑に行われるようにするため、情報提供の充実や教育内容の一層の連携が求められる。
  幼児の親の間には、例えば、「読み書きを覚えさせないと小学校でついていけない」、「小学校で英語教育が始まるから英語教室に通わせる必要がある」、「小学校へ入ったら遊びは終わり」といった不安や誤解もあると言われる。小学校は、幼稚園・保育所との連携を図りながら、実際の学校の姿や教育活動の目指す方向などについて積極的に情報を提供していく必要がある。
  幼稚園・保育所での活動の中で大きな比重を占める遊びや体験活動は、小学校教育においても効果的に取り入れられていくべきである。そうした点で、小学校低学年で導入された生活科での取組は成果をあげつつあり、その一層の工夫改善が期待される。他方、幼稚園・保育所においては、卒園近い時期に、小学校への入学を念頭に置いて、皆と一緒に教員や保育者の話を聞いたり、行動したりすることができるように指導することも必要である。こうした教育内容・方法についての連携を進めていくためには、教員や保育者相互の交流や共同の研修の機会を増やし、相互の理解を深め、具体的な改善の方途を共に考えることが必要である。
  行政において、幼稚園の教員、保育所の保育者、小学校教員との合同の研修を一層充実していくことが必要である。また、各幼稚園・保育所と各小学校間でも、合同の校内研修を実施したり、行事に際して互いの子どもたちを招待するなど、相互の交流に努めてほしい。

教育振興基本計画(平成20年7月)

第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

(3)基本的方向ごとの施策
基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる

5.幼児期における教育を推進する

【施策】
  ◇ 幼児教育全体の質の向上
  幼児教育の質の向上に向け、教育内容の整合性を図った新しい幼稚園教育要領と保育所保育指針を幼稚園・保育所で平成21年から実施するとともに、子どもの発達や学びの連続性を踏まえ、幼稚園・保育所と小学校の連携を促す。

2.幼稚園・小学校の連携

教育課程審議会(答申)「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」(平成10年7月)

I 教育課程の基準の改善の方針

3 各学校段階等ごとの教育課程の編成及び授業時数等
(1)幼稚園の教育課程の編成及び教育時間等

ア 幼稚園の教育課程の編成
  幼稚園においては、幼児の遊びを中心とした楽しい集団生活の中で、豊かな体験を得させ、好奇心をはぐくみ、健康な心と体を育て、幼児期にふさわしい道徳性の芽生えを培うなどの教育を通して、小学校以降の生活や学習の基盤を養う必要があると考える。

4 各教科・科目等の内容
(1)幼稚園

ウ 小学校との連携
  小学校以降の生活や学習の基盤は、様々な人との出会い、自然や事物との触れ合い体験など、幼児期の発達にとって必要な事柄を経験することにより育成されるものである。幼児の指導に当たっては、幼児一人一人が幼児期にふさわしい生活を十分に体験できるようにし、物事に進んで取り組む意欲と自信を身に付けさせるとともに、創造的な思考や主体的な生活態度の基礎を培うことに十分配慮することが大切である。また、その際には、小学校における生活科などとの関連に留意し、幼稚園における主体的な遊びを中心とした総合的な指導から小学校への一貫した流れができるよう配慮する必要がある。

中央教育審議会(答申)「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた幼児教育の在り方について」(平成17年1月)

第2章 幼児教育の充実のための具体的方策

第1節 幼稚園等施設の教育機能の強化・拡大
2 発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

(1)小学校教育との連携・接続の強化・改善
  遊びを通して学ぶ幼児期の教育活動から教科学習が中心の小学校以降の教育活動への円滑な移行を目指し、幼稚園等施設と小学校との連携を強化する。特に、子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、連携・接続を通じた幼児教育と小学校教育双方の質の向上を図る。
  具体的には、幼児教育における教育内容、指導方法等の改善等を通じて生きる力の基礎となる幼児教育の成果を小学校教育に効果的に取り入れる方策を実施する。
 その際、例えば幼稚園においては園児の8割近くが私立幼稚園に在園していることなどを踏まえ、市町村教育委員会が積極的役割を果たすなどして、公立・私立の連携を図りつつ実施することが必要である。

ア 教育内容における接続の改善

  幼稚園等施設において、小学校入学前の主に5歳児を対象として、幼児どうしが、教師の援助の下で、共通の目的・挑戦的な課題など、一つの目標を作り出し、協力工夫して解決していく活動を「協同的な学び」として位置付け、その取組を推奨する必要がある。

  遊びの中での興味や関心に沿った活動から、興味や関心を生かした学びへ、さらに教科等を中心とした学習へのつながりを踏まえ、幼児期から児童期への教育の流れを意識して、幼児教育における教育内容や方法を充実する必要がある。

  幼稚園教育要領等で幼稚園等施設と小学校との連携の推進等について、より明確化する必要がある。また、これに関連して、将来的には、学校教育法第1条における学校種の規定順序の在り方についても見直すことが望まれる。

イ 人事交流等の推進、奨励

  幼稚園等施設の教員等と小学校の教員の合同研修等を通じて相互理解を深め、教員等の資質向上を図り、きめ細かな教育を展開する必要がある。

  幼稚園等施設と小学校の双方において、非常勤講師等で相互の経験者を活用することや、人事交流を推進するなどの施策を通じ、より一層、双方の教育の質を高める必要がある。

  加えて、特に幼稚園と小学校との連携に関しては、人事交流や相互理解を進める上で、教員免許の併有を促進する必要がある。例えば、免許法認定講習等の実施方法の改善について、中核市等への実施主体の拡大、都道府県の認定講習等の実施の拡大等を検討することが望ましい。

ウ 「幼小連携推進校」の奨励、幼小一貫教育の検討

  市町村教育委員会の支援の下に、教員等の人事交流、「協同的な学び」や小学校の生活科等での幼稚園等施設と小学校との合同活動等、連携の取組を積極的に行う幼稚園等施設・小学校を、例えば「幼小連携推進校」として奨励し、その成果や課題に関する情報の提供に努めるなど、各地域に適した連携の強化が進むようにする必要がある。

  幼稚園等施設の教育と小学校教育の一貫性に配慮した教育の在り方について、現在の連携に関する様々な取組の進展状況、その検証、学校間連携全体の在り方の議論、幼小一貫教育の必要性などを踏まえながら検討する必要がある。

中央教育審議会(答申)「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(平成20年1月)

6.教育課程の基本的な枠組み

(4)発達の段階に応じた学校段階間の円滑な接続

  平成19年6月の学校教育法の一部改正において改められた各学校段階の目的や目標等を踏まえ、各学校段階の教育が果たすべき役割は、次のとおりである。

  • 幼稚園教育は、子どもの基本的な生活習慣や態度を育て、規範意識、思考力、豊かな感性と表現力等の芽生えを養うなど、義務教育及びその後の教育の基礎を培う上で重要な役割を担っている。
  • 義務教育は、子どもの有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培うとともに、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うという極めて重要な役割を果たしている。このため、義務教育においてはすべての子どもに一定水準以上の教育を保証することが求められる。

  それぞれの学校段階において、その役割をしっかり果たすことが何よりも重要であるが、それに加え、教育課程の改善に当たっては、発達の段階に応じた教育課程上の工夫の観点から、学校段階間の円滑な接続に留意する必要がある。

  まず、幼児教育と小学校教育の接続については、幼児教育では、規範意識の確立などに向けた集団とのかかわりに関する内容や小学校低学年の各教科等の学習や生活の基盤となるような体験の充実が必要である。他方、小学校低学年では、幼児教育の成果を踏まえ、体験を重視しつつ、小学校生活への適応、基本的な生活習慣等の確立、教科等の学習への円滑な移行などが重要であり、いわゆる小1プロブレムが指摘される中、各教科等の内容や指導における配慮のみならず、生活面での指導や家庭との十分な連携・協力が必要である。

8.各教科・科目等の内容

(1)幼稚園
(2)改善の具体的事項

(発達や学びの連続性を踏まえた幼稚園教育の充実)
  a)幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続
  小学校での学習や生活への適応の課題を含め、小学校教育との円滑な接続を図り、幼稚園における教育の成果が小学校につながっていくことが大切であることから、教師が意見交換などを通じて幼児と児童の実態や指導の在り方について相互理解を深めたり、幼児と児童が交流するなど、小学校との連携や交流を図る。

幼児教育振興アクションプログラム(平成18年4月)

第4 目標及び具体的施策

3.発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実
目標3 各都道府県において、少なくとも1例以上、幼稚園と小学校間の長期にわたる派遣研修もしくは人事交流を実施する。

  (1) 小学校教育との連携・接続の強化

  • 1.教育内容・方法の充実
    • (ア) 国は、幼稚園において小学校以降の生活や学習の基盤を培う指導(特に、5歳児を対象とした「協同的な学び」の実施等)を一層充実するため、幼稚園教育要領の改訂を検討する。
    • (イ) 地方公共団体は、域内の幼稚園が小学校教育との移行に配慮した教育課程・指導計画等を策定・実施できるよう、例えばモデルカリキュラムを策定するなど、各種支援に努める。
    • (ウ) 国は、生涯を通じた食育の重要性をふまえ、幼児期から望ましい食習慣等を身に付けられるよう、幼稚園教育要領の改訂を検討するなど、幼稚園における食育を推進する。
  • 2.教員の長期派遣研修・人事交流の推進
    • (ア) 都道府県は、政策プログラムにおいて、幼稚園教員と小学校教員の相互の免許併有率の目標値の記載に努める。
    • (イ) 地方公共団体は、例えば以下のような長期(6ヶ月以上)にわたり派遣する研修もしくは人事交流の実施に努める。
    • <公立小学校と私立幼稚園間>
      • 都道府県・市町村と受入幼稚園は、連携・協力して、公立小学校教員を私立幼稚園に長期にわたり、派遣する研修を実施 等
    • <公立幼稚園と公立小学校間>
      • 都道府県と市町村は、連携・協力して、公立幼稚園教員と公立小学校教員との間で人事異動を伴う人事交流を実施 等
    • (ウ) 国は、幼稚園教員と小学校教員の長期派遣研修・人事交流が適切に行われるよう、その仕組みや研修内容等についてガイドラインを策定する。
    • (エ) 地方公共団体は、幼稚園教員と小学校教員が相互の教育内容や指導方法の理解を推進するため、特に5歳児の担任と小学校1年の担任を中心に、保育参加・授業参加を通した合同研修の実施に努める。
  • 3.幼小連携の明確化・制度化
    • (ア)国は、幼児教育と小学校教育の具体的な連携方策を教育課程上明確にすべきとの中央教育審議会における意見を踏まえ、幼稚園教育要領において、幼児教育と小学校教育の連携(以下「幼小連携」という。)の推進に関する記述の明確化を検討する。
    • (イ) 国は、子どもの発達や学びの連続性の重要性に鑑み、学校教育法における幼児教育の在り方などを含め、幼小連携の在り方について検討する。
    • (ウ) 国は、幼小連携を一層推進するため、教員・生徒間交流などの面での幼小連携の成果や課題に関する情報の提供に努めるとともに、幼小一貫教育についても検討する。
    • (エ) 地方公共団体は、幼小連携の理解を深め、幼児の小学校への円滑な接続を図るため、地域の幼児教育の関係者と小学校等の関係者による連絡協議会を設けるなどして、連携・協力体制の整備に努める。

3.保育所・幼稚園の連携

中央教育審議会(答申)「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた幼児教育の在り方について」(平成17年1月)

第3章 幼稚園と保育所の連携の推進及び総合施設の在り方

第1節 幼稚園と保育所の連携の推進

  学校である幼稚園と児童福祉施設である保育所には、その目的や機能において違いがある。
  従来から、幼稚園は、希望するすべての3歳以上の幼児を対象とした教育施設として、保育所は、保護者の就労等で「保育に欠ける」0~5歳児を対象とした児童福祉施設として、異なった目的・機能等を持つ施設として、それぞれの整備・充実を図ってきた。

  一方、両施設とも、小学校就学前の幼児を対象に教育・保育を行う施設であり、近年は少子化の進行、共働き世帯の一般化などに伴う保育ニーズの多様化を背景として、文部科学省と厚生労働省では、両施設の連携を進めてきた。
  具体的には、施設の共用化、教育内容・保育内容の整合性の確保、幼稚園教諭・保育士の資格の併有の促進、合同研修などを実施してきた。また、構造改革特別区域における幼稚園児と保育所児等の合同活動のための特例等の措置を行ってきた。

  第1章及び第2章で述べたとおり、今後の幼児教育の在り方として、幼稚園等施設が家庭や地域社会と連携して総合的に幼児教育を推進するため、また、幼児の生活の連続性及び発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実を図るためには、小学校就学前の子どもの育ちを、幼稚園と保育所とで区別することなく保障していく必要がある。この意味においても、今後とも、幼稚園と保育所の連携を進める必要がある。

幼児教育振興アクションプログラム(平成18年4月)

第4 目標及び具体的施策

1.幼稚園・保育所の連携と認定こども園制度の活用の促進
目標1 幼稚園と保育所の連携を一層促進するとともに、幼稚園と保育所とで区別なく、小学校就学前の子どもの育ちを支える体制を整備する。

(1)幼稚園と保育所の連携の促進

  • 1.研修の充実
    • 国及び地方公共団体は、認定こども園等幼稚園と保育所の連携を研修の一つのテーマとして取り上げ、幼稚園と保育所の関係者がともに参加する機会の充実に努める。
  • 2.幼稚園教諭・保育士の資格の併有の促進
    • 国及び地方公共団体は、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有を促進するための施策の充実に努める。
  • 3.教育・保育内容の整合性の確保
    • 国は、幼児教育の実施にあたり、幼稚園教育要領と保育所保育指針における教育・保育の目標やねらい、指導事項等の内容の整合を図る。
  • 4.窓口の一本化
    • 地方公共団体は、小学校就学前の子どもの育ちに関する保護者向けサービス窓口等について、事務の一元的な対応に努める。
  • 5.相互理解の促進
    • 国及び地方公共団体は、幼稚園・保育所の関係者の意見交換や相互の交流を更に進め、それぞれが積み上げてきた経験の共有に努めるとともに、相互理解を促進する。

保育所における質の向上のためのアクションプログラム(平成20年3月)

(1) 保育実践の改善・向上

1.幼稚園・保育所の連携と認定こども園制度の活用の促進
  • ねらい
    • 養護及び教育を一体的に行うという保育所における保育の特性を生かしつつ、常に保育の内容や方法を見直し、その改善・向上が図られるようにする。

1.地域の関係機関等との連携
  市町村は、各地域の実情等に応じ、保育所が、地域子育て支援拠点、幼稚園、小学校、放課後児童クラブ、要保護児童対策地域協議会など地域の関係機関等と積極的な連携及び協力を図ることができるよう、必要な支援を行うことが望ましい。

お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課